前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
なんかモチベを保つことができず、書くのにめちゃ時間かかってしまった...
そのせいで文章がちょっと変な部分あるかもですすみません。
「えーっと、来たはいいけど俺は何すればいいんだ?」
俺はステラとクミリアと共にカリスに来ていた。復興を手伝おうと思って来たわけだが、具体的に何をしなくちゃいけないのか知らないんだよな。
「んー...何が残ってたかな...」
「正直この一週間で色々やってきたからねーやることあんまないかも」
「これまで何してきたんだ?」
「えっとね、まずは崩れた家の解体だったかな。そして...汚れを綺麗にして...」
汚れってのは、おそらく死体のことだろう。オブラートに包んでくれたんだろうが...ここに来た時点で、いやでもあの記憶を思い出してしまっていた。複製体や魔物に襲われて死んだ者、空高くから落とされてグチャグチャになって死んだ者...記憶加速のせいで、狂化発動中以外に見たものは全て覚えてしまっている。PTSDになってもおかしくないし、できれば忘れてしまいたい記憶だ。
「それが終わったら、無事だった家具とか色々を家ごとに分けて置いたりしたね」
「家具を分ける?」
「うん、村に住んでた人の大半は生き残って王都の方に避難してるから、戻ってきた時に渡せるように集めて置いてあるの」
「ステラちゃん、誰がどこに住んでたか全部覚えてるからちゃんと仕分けられてるんだよね。この場所は誰々さんの家だから〜って感じで」
「なるほどな。その作業はもう終わってんのか?」
「ほとんど終わってるけど、まだちょっと残ってたはずだよ。私たちがカリヤのところに行ったから作業止まってるだろうし、残ってると思う」
「そっか、ステラがいないとできないからな」
全ての作業をステラとクミリアの二人だけでやったわけではもちろんない。別の町に派遣されていた、カリス出身の冒険者たちがボランティアとして手伝ってくれている。だが、その人たちは当時誰がどこに誰が住んでいたかなぞ知らない。最新の記憶を持つステラの指示がなければこの作業はできないのだ。
「……ステラ人気者だな」
歩きながら状況説明を色々聞いていたわけだが、ステラはすれ違ったボランティアの冒険者に声をかけられまくっていた。一応この現場の最高責任者って感じだし、しかも自ら率先して動いているステラは尊敬されているのだろう。
「英雄だからってのと、子供なのに頑張ってるなって思われてるだけだよ」
「あー子供扱いされてるように感じちゃうのか。まぁ確かにそれもありそうだけど...子供扱いされるって結構良いもんだぜ?」
「どういう意味?」
「いやさ、高校生とか大学生くらいの歳以上になってくると、頑張るのがデフォルトになってくるわけで、頑張ったから褒められるとかすごいってなるようなことは無くなってくんだよ。自分のやったことをちゃんと褒めてくれるって結構貴重だし、貰えるんなら貰っといた方がいい」
「ごめん、こうこうせいって何?」
「あそっか伝わんないのか...まぁ俺くらいの年齢の人たちのことさ」
「へー...確かに子供の時は良いことしたらなんでも褒めてくれるけど、大人になったら褒められなくなるよね。というか子供を褒める側に回っちゃう」
「ってクミリアも言ってることだし、子供扱いってのは良いことなんだよ。なんでも褒められるし、守ってくれる。ちょっと嫌かもしれないけど、あと数年したらされなくなることで、その時になったら存外悪いものじゃなかったなって思えるさ。享受できる時に享受しとけ」
「んー...なんか急に色々言われてよくわかんないけど、なんかそのままでいいんだよって感じのこと言われた気がするなんで?」
……あっ、もしかして子供扱いされてることに悩んでて言ったんじゃないのか...?勇者パーティー結成の時に暖かい拍手でほんのり子供扱いされてたのに気づいてなかったステラが急に子供がなんたらとか言い出したから、てっきりこの一週間で悩んでしまったのだとばかり...早とちりしちゃったか。やっべー話題変えないとこのままはまずい。
「というかカリヤってまだ子供でしょ。まだまだ褒められる側だぞ〜」
クミリアマジナイス!その話乗っからせてもらうぞ!
「な、何言ってんだよクミリア。一応俺この世界に来てから一年たってるから18歳だぞ。前にも言ったはずだ」
「実質1歳児じゃん」
「それはそうだし否定できないけど、それでも俺は18だからな。こっちの世界じゃ十分大人だろ」
「酒も飲めないのに?」
「この世界だと18は飲んでオーケーなんだろ?じゃあ大人じゃんか。まぁ飲んだことないのは確かだけど」
俺がこう言うと、なんか二人にキョトンとされた。
「……なんか俺おかしなこと言ったか?」
「カリヤ忘れたの?」
「忘れたって?」
「カリヤ前に一口飲んだじゃん」
「……いつの話だ?」
「シレンの穴攻略記念でパーティーした時」
「……そんなのしたっけ?やろうって話してそのままやらなかったんじゃ?」
「うっわまさか全部記憶失くしてるとは...」
「えっ、もしかして俺酒飲んだことあんの?そして全部記憶消し飛んでんの?マジ?」
「マジ」
「あの時はヤバかったね...もう絶対飲ませちゃダメだと思ったよ」
「俺なにやらかしたんだ...?」
話題を変えることには成功したけど、思いもよらぬ事実が判明したな...一口飲んだだけで記憶飛ぶって俺酒に弱すぎね?
「ってかなるほどだから酒も飲めないのにって言われたんか...でも酒飲めるから大人で飲めないから子供は違くね?」
「でも一番弱い酒でああなったからなぁ」
「私も前にお兄ちゃんに...いや、あの時はフロートかな?とにかく飲んでみるかって言われて少し舐めたことあったお酒だったけど、あんなことなんなかったよ」
「マジか俺の酒耐性ステラ以下なのか...これ、俺が異世界人だから酔いまくった説あるな。というかみんなだけパーティーの記憶あるのずるいわ。今度魔王討伐記念でまたやろうぜ」
「仕事が片付いたらやろっか」
「だね。あっ、カリヤにはもう飲ませないって決まってるけど、クミリアも程々にしてよ?大変だったんだから」
「それは本当にごめん」
「酒飲めてもダメな大人になったら意味ねぇわな」
「もう致命傷だからそれ以上はやめて...ほら!仕事始めよっか!」
強引にクミリアが話を戻した。よし、これでさっきのアレは無かったことになったな。良かった良かった。
「んじゃあステラ、指示頼むわ。どこの家から取り掛かればいい?」
「それじゃあカリヤは...南の方からやってもらおうかな。加速して運べるカリヤは遠い距離を往復してもらいたいからね。北にある集積所から遠いところからやってほしい」
「りょーかい!いやー久しぶりにちゃんと能力使うなー」
昨日ぶりに能力を発動させる...あーちょっと頭痛いな。ってか昨日よりも範囲拡大してる気がする...頭痛のせいでほとんど能力使えないとかなるのは流石にやめてくれよ?
「大丈夫?」
「んあ?もしかして顔に出てた?」
「うん、ちょっとだけ辛そうだった」
「マジか...まぁ大丈夫だから安心してくれ。んで、まずはこっからでいいか?」
「そうだね。この家はたしか...」
……と、一番南に位置している家の前に辿り着き、作業に取り掛かろうとしたその時だった。
「っ⁉︎なんで魔物がここにっ⁉︎」
速度探知が、南の門から村の中に入ってくる魔物を捉えた。
なぜ聖域であるはずのカリスの中に、魔物が単独で入ってこれるのか。わからないが、俺はすぐに動き出す。
『
急いでポーチの中にしまってあった魔道具を取り出して起動し、体内に融合させる。そしていつもの装備プリセットを呼び出し、ダガーを抜いて魔物を切り裂く。
「後続は...無しか。でもなんで魔物が中に?」
俺は門の向こう側を見て、他に魔物が来ていないことを確認してから二人の元に戻る。
「あー最近増えてきてるんだよねそれ」
「どこの町でも、ちょくちょく魔物が入ってきてるんだって。一度聖域じゃなくなったから、入ってきやすくなっちゃったんじゃないかーって噂になってるよ」
本来ならば、聖域の中に魔物が自ら入ることはない。それは、つい先ほどまで獲物として狙っていた人間が、聖域の中に逃げ込んだとしてもだ。聖域の中に入ることはせず、諦めてしまうのが普通だ。
唯一の例外は、魔族によって攻め込むように指示があった場合だ。カイスやガネルで起こった戦争も、サーマルだったりアクセルだったりが指示していなければ起こらなかった。魔族の指示があったからこそ、あそこまでの数の魔物が集まり、大挙として町に襲いかかってきたのだ。
それゆえに、魔物が単独で入ってくることは異常でしかない。魔族の生き残りかいるとは思えないし、さっきステラが言っていたことがおそらく理由なのだろう。一度聖域でなくなったことが、この異常事態を引き起こすほど大きな影響を及ぼしてしまうとは思っていなかった。
「俺が眠ってる間にそんなことになってるとはな...」
「……あっそうだ!カリヤさ、魔物退治してくれない?」
「荷物運ぶんじゃなく?...まぁ確かに、今から仕事を覚えるよりも簡単か。既に何日もやってて慣れてるボランティアの奴らに任せて、俺は得意分野やるってことね」
「そうそう。リハビリしたいって言ってたし、ちょうどいいでしょ?」
「だな。んじゃあ行ってくるわ。二人とも頑張れよ!」
「カリヤもねー!」
二人に見送られながらカリスの外に出る。
「よし、一旦ぐるっと回ってみるか」
ひとまず東に向かって走り出す。とりあえずカリスの外周をぐるっと回り、どれだけ魔物がいるのかを確認するためだ。
「おっ、いるじゃん。でも村を狙ってはない...のか?」
魔物は見つけたが、様子は普段のものと変わりない。聖域という自らが弱体化する場所にわざわざ攻め込んでくるような奴はそうそういないのだろうか。そもそもどうして聖域の中に入る必要があるのだろう。入ってこれる理由はあっても入る理由がわからない。
「まぁ考えても仕方ねぇか...村に近いし一応倒しておこう」
急に心変わりしてカリスに牙を剥く可能性は大いにある。少し可哀想な気もしたが魔物は魔物、倒すことにする。
「それじゃあ失礼しますよっと」
一瞬で方向転換して魔物に向かって全力ダッシュ。すれ違いざまにダガーを滑らせ、息の根を止める。
「……なんかさっきより柔くね?」
ついさっき倒した魔物よりも刃がスッと入ったような...気のせいか?
「まぁいいや。次行こう次」
今度は北に向かって走り出し、カリスの東側を見ていく。カリスは他の町よりも小さいから、この感じだと二、三分あれば一周できそうだな...
「っと、入ろうとしてる魔物はっけーん」
カリスに入ろうとしている魔物を見つけたため、これまたすれ違い様に切り裂いて殺していく。
「今度はさっきよりも硬いな...比較的強い魔物しか入ろうとしないのかな」
適当に当たりをつけながら再度走る。
「ってか魔物入ってくることあるってわかってるなら、北側以外門閉めたらいいのに...ってかそもそも扉がねぇんだよな」
元々温厚かつ弱い魔物しかこの辺にいなかったため、カリスの防衛力は他の町と比較しても弱い。ちゃんと柵で囲われており、門もあるが、肝心の扉がないから常時開きっぱなし。冒険者の出入りが多いから開け閉めしなくてもいいように扉を無くしているんだろうが、流石につけた方がいいと思った。この機会に変えたらどうかって後でステラに進言してみよう。
「……そっかそれされるんだったら扉つけても意味ねぇわ」
考えながら走っていたら、空から魔物がカリスに向かって飛んできているのを見つけた。空から襲われるんだったら扉なんてつけても焼け石に水だよなぁ...そうなると、カイスみたいな迎撃魔法発射機構も欲しくなってくる。
「とりま倒さないと...ってそうだ。魔法使えないんだった...」
ついついいつもの癖で魔法図鑑の閃光のページに魔力を流してしまったが、速度操作発動中は魔法を使えないのを忘れていた。
「この制約かなり面倒いな...しゃーないから弓でっと」
即座に切り替えて弓矢を取り出し、魔物に向かって矢を放って撃ち落とす。
「久しぶりに弓矢使った気がするな...」
墜落して地面でもがいていた鳥の魔物にダガーを突き刺してトドメを刺しながら呟いた。
「やっぱ他と比べて硬いんだな...もしかしてあれか?人魔戦争中に生まれた魔物だったりするのか?」
人魔戦争中、それも魔王が女神の山を乗っ取って聖域の位置が変わった後の話だが、ここら辺は魔王城に一番近いため魔素の量が爆増していた。よって、通常時よりも強い魔物が生まれやすくなっていた。その時生まれていた魔物が、カリスを襲っているとしたら...
……いや、これだとこの場所だけしか成り立たないな。他の町でもなってるって話だし、人魔戦争時に生まれた強い魔物が襲うってだけじゃ説明できない。北側に位置するカイスの近くじゃ普段よりも弱い魔物が生まれているはずだかからな。
っとなると...
「……町の中で生まれた魔物が戻ってきてる...とか?」
カリスが聖域で無かった間に、どれだけの魔物が生まれたことだろう。聖域に戻った時に散り散りになった魔物たちが、帰巣本能のようなもので生まれ出でた場所に戻ろうとしているのだとしたら...十分あり得る。
「まぁあってる保証も無いし、当たってたとしてもどうにもならんがなー」
これ以上考えてもあまり意味はないなと思い、俺は走るのを再開する。
「やっぱり魔法使えないの不便だな...ってかさっきので気づいたけど、通常時もほとんど魔法使えなくね?これ」
俺が魔法を使うときのプロセスはこうだ。速度探知で魔法図鑑の目的のページと魔法陣を見つけ、魔力を流し、魔法陣を起動する。
……そう、速度操作の発動中は魔法を発動できないため、速度探知無しで魔法陣に魔力を流す必要がある。だが、速度探知無しでは一万近くあるページの中から目的のページを探し出しピンポイントで魔力を流し込むなんて芸当、到底できるわけない。
発動することの多い閃光や未来跳躍などの魔法ならば、なんとなくで魔力を流し込むことが出来るかもしれないが、それでもミスる可能性の方が高いだろう。予想外の魔法が発動すれば、自滅待ったなしだ。
「まぁ普通に魔法を使えって話なんだけどな...」
もちろん今のは、魔法図鑑を使って魔法を発動するときの話だ。普通に詠唱するなり魔法陣を描くなり、もっと簡単にスキルとして発動させるだけでも、魔法を発動させるなら十分だ。それをしてしまえば、魔法図鑑を使えない問題は無視できてしまう。
「でも今更変えるのも面倒いしなぁ...体に染み付いた慣れを取り除けるわけでもないし...」
今後も咄嗟に魔法を使おうとしたら、さっきみたくいつものように魔法図鑑に魔力を流してしまうだろう。この十ヶ月くらいずっとやってきた動きを、今から変えるのは難しいだろう。
「だからといって、戦闘中にいちいち魔法図鑑を開くわけにもいかないしなぁ。普段はそれで良いとしても、両手が塞がるって結構まずいし」
もっと言ってしまえば、戦闘中に魔法を使いたいからって速度操作を解いてしまうこと自体あまりやりたくない行動ではある。そうなると、もう戦闘中に魔法を使うのは諦めて、あらかじめしまっておいたストックを射出する方向で考えた方がいいのかな...
「……いや待て?何難しいこと考えてんだちょっと工夫すれば...」
ちょうど良いところに魔物がいたので、実験台になってもらうことにした。魔物からある程度の距離にまで近づく前に、準備として魔法図鑑の閃光のページに魔力を流し込んでおく。そして...
「これでできるはず!」
速度操作を解除して立ち止まり、ページに流していた魔力を一気に魔法陣へと雪崩れ込ませる。
4566ページ 黒のみ 閃光
「よっし発動した!!」
目論見通り閃光が発動し、魔物を撃ち抜いた。
「速度探知で魔力を流し込んでから解除すれば良いだけだったな。やっぱり一瞬止まる必要はあるってのがネックだけど、両手を空けたまま魔法を使えるのは良いね」
これくらいならば前とあまり変わりなく魔法を使えるかもしれないな。といっても、一部は激烈に弱体化しそうではあるが。
「特に未来跳躍が弱体化だな...障壁もあんまり使えないか」
魔法発動中は速度操作を使えない。よって、加速のおかげで成り立っていた未来跳躍による緊急回避や、0.1秒の跳躍といった技は使えなくなる。障壁も、単発で身を守るだけならいいが、常に発動させ続けるような使い方は無理だろう。これまでやってきた戦法がいくつも封じられてしまったわけだ。
「こりゃ後で色々考えないとなぁ...みんなに迷惑かけるわけにもいかないし」
俺のせいで足を引っ張るなんてこと起こってはならない。なんとしてでもこれまで通りの戦闘をできるように、急いで調子を戻さなければな。
「とまぁそうこう言ってるうちに一周し終わりそうだな。こっからどうしよ」
カリスに近づいてくる魔物を倒せば良いわけだけど、俺一人だけでこのタワーディフェンスじみた戦闘をこなすことはできない。飛行魔法は苦手だから、ずっとカリスの上空に居座って監視することもできないし、どうしたものか...
「……こっちから出向いて片っ端から倒すか?...うん、待ってるだけじゃどうにもならんし、行ってみるか」
魔物の多そうなところに行って、強そうな魔物を片っ端から倒していくことにした。ステラのちょくちょくと言う言い方からして、魔物が入ってくるにしても一時間に一回以上あるかなって程度だろう。俺がここを離れてすぐ侵入されることもないだろうし、先んじて倒しておけば後々の侵入を防ぐことにもなる...よし、理論武装はここまでにしてさっさと行こう。
「とりあえず...あの森にでも行きますか」
俺が最初に降り立った地であり、ステラとの初邂逅の地でもあり、ステラの命を救った地でもあり...と、なかなか思い出深いあの森に行くことにした。
「あの時は遠く感じたけど、今からしたらめちゃ近いな...速くなったんだなぁ」
当時の八倍以上速くなっているため、すぐに森へと辿り着くことができた。少しずつ加速最大値が上がっていくからあまり気にしたことなかったけれど、こうしてみるとめっちゃ速くなったんだなと感じるな。
「さーて魔物はーっと...」
多分だが、頭にツノの生えている猪っぽいやつは無視で問題ないはずだ。元からこの森に生息している魔物はここで生まれた個体なはず。本来ならここにいないはずの魔物が自ずとターゲットにとなるわけだ。
「ってか猪っぽいやついねぇな...あれか、外来種に追い出された感じだなこれ」
前にスライムがこの森に居着いてしまった時にも似たようなことがあった気がする。猪っぽいやつがいないのは、そういった外から来た魔物が居着いていることの証になるわけだ。
「そいつは一体どこに...っ!」
速度探知が、魔物の姿を捉えた。俺のすぐそばにある木の頂点を、おそらく鳥の魔物のものらしき脚が掴んでおり止まっているのを、速度探知の隅の方で捉えたのだ。
……おそらく、と言ったのは、確証が持てなかったからだ。隅の方だったために全体像を捉えることができなかったのもあるが、確証を持てなかったのにはもう一つ理由がある。
「なんつー大きさだよ...」
その脚が、とても鳥のものとは思えないくらいデカかったからだ。
「まさか、巨大化魔物の生き残りか...?」
枝と葉のせいで直接見ることができないためよくわからないが、デカい魔物がいることは間違いない。こいつがカリスに入ってくるかはわからないけれど、倒しておくべきではあるだろう。
「……でも、一人で行けるか?」
こっちから視認できないように、魔物もこちらを見ることはできない。気づいていない今なら、カリスまで戻って二人を読んでくることも出来るかもしれない。今の俺一人で巨大化した魔物と渡り合えるか少し不安だ。二人を呼ぶ選択肢は十分アリだ。
「……どっちが迷惑になるかなぁ?」
俺一人で戦って心配をかけるのと、二人を呼んでから戦うのだと、どっちが迷惑になるのだろう。回復したのにすぐ怪我しましたとかなったら絶対みんな怒るんだよなぁ...でも二人を呼べば、カリスの復興作業は一時的に止まってしまう。どっちの方がいいんだ...?
「……いいや、やっちゃおう」
いつもの俺なら二人を呼びに行っていただろうが、こうすることに決めた。さっきまですれ違いざまに切り裂くだけという味気ない戦闘ばっかしてきたために、暴れたりないと感じたのが理由だ。少しくらい自分勝手に動いても別に良いだろう。
「それじゃあ久しぶりに行きますか、ジャイアントキラー!」
書いている最中に、あれ?こうすれば魔法図鑑普通に使えるんじゃねと気づいたため魔法図鑑続投になりました。
自分で作った設定の中に意図してない穴があった時、出来るだけ嬉々として作中内に取り入れようとしていますが、そのせいで予定していたシナリオがぶっ壊れるんだよなぁ...