前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
サブタイ通りのお祭り回です。
「そーいや二人って料理できんの?」
許可を取って宿の調理場でパーティー用の料理を作っていたのだが、その時ふと思ったことを近くで見ていたステラとクミリアに聞いてみた。
「私はやったことないなー」
「クミさんはやったことはあるけど苦手って感じ」
「苦手ってどういう感じ?メシマズ系?」
「いやいやそこは舐めてもらっちゃ困るよカリヤ。一応味はちゃんと美味しいんだから」
「じゃああれか?見た目がヤバいのになぜか味は美味いパターン?」
「何を期待してるのかよくわかんないけど、そういうのじゃないからね?単純に時間かかりすぎちゃうから、ちゃんと料理できる人よりかは苦手ってだけ」
「……それ、全体的に見たら上澄みな方だと思うけど。時間かかるってことは丁寧にやってる証拠だし、全然料理できる方じゃんか」
「そうなのかな?...あっ、うちの料理人がすごいテキパキ作ってくのを見てきてたから、基準がおかしくなってたのかな?」
「えっ、クミさんの家って料理人いるの?」
「そういやステラは知らないんだっけか。こいつ良いとこのお嬢様説があるんだ」
「お嬢様⁉︎そうなの⁉︎」
「お嬢様だなんて、そんなもんじゃないよ」
「でも家かなりの豪邸だったじゃんか。ガネルではそれなりに由緒正しき家なんだろ?」
「まぁそれは否定しないけど、二人が想像してるようなものじゃないからね」
「……ってか思ったけど、そういうところで育っててどうして料理の経験があるんだ?あんまそういうのやらせないイメージがあるんだが」
「クミさんがやりたいって言ったら大体やらせてくれたからね。何事も経験ってことで、手取り足取り教えてもらった覚えがあるよ」
「へーというか料理できるならなんで今まで手伝ってくれなかったん?」
「さっきも言ったけど、クミさんめっちゃ時間かけちゃうからさ。多分手伝うよりもカリヤ一人の方が早い」
「そうか?流石に分担した方が早くなりそうなものだが...」
「ところでなんでカリヤは料理できるようになったの?聞きたーい!」
「俺?俺は一人暮らしすることが決まった時に頑張って覚えたな。親がやってるのを見たりとか、ネット...は通じないか。なんて表現すれば良いかな...いろんな人が作った料理のレシピみたいなのが載ってるものを見たりして覚えたって感じだな。まぁ、文明の利器がないからこの世界に来てすぐの頃は失敗多めだったけど」
思い返せば、地球での記憶が丸々残ってるおかげで、そういう家事系の技術で困るようなことはこれまでなかったな。そりゃ最初は手間取ることもあったけど、次第にこの世界の道具にも慣れたしな。
「まぁこの世界特有の慣れの力も大きかったな。料理スキルとかもあるにはあるわけだし、一度やればスッと体に技術が染み付くからやりやすかったわ」
「料理にもスキルってあるんだ。じゃあ私にもできるかな?」
「できるできる。なんなら時間空いた時に教えてやろうか?俺流のにはなっちゃうけど」
「クミさんにも教えてよ。カリヤの世界の料理にちょっと興味あるんだよね」
「いいぞーじゃあクミリアは代わりにこの世界の料理教えてくれ。色々食べてはきたけど作ったことないからさ」
「オッケー」
「えーそれじゃあ私何もお返しできないじゃんどうしよう...」
「ステラは美味しそうに食べるところ見せてくれたらそれでおけだ」
「そうそう、ステラちゃんはそれで十分お返しになるよ」
「そう...なの?よくわかんないけどわかった!」
……と、料理しながら話していた時だった。
「あっ、ここにいたのね」
ニアがやってきた。ニアが来たってことは、そろそろライトやレストも戻ってくる頃合いだろう。
「料理もーちょい時間かかるわ。待っててくれ」
「ごめんだけど、パーティー明日に変更よ」
「……へ?」
パーティー明日...?どゆこと?
「それってどういう...?」
「カリスのもろもろが一段落ついたから、国全体で魔王討伐祝勝会をするってことになったのよ。そういうお祭りごとはガネルの専売特許だからってことで、ガネルで明日やる流れになったわ」
「あーたしかにうちの町はそういうの主催したがるからなぁ」
「ちょっと待ってくれ。じゃあ今作ってるこの料理たちはどうなる?」
「そりゃ今日食べるでしょ。もちろん、パーティー関係なしにね」
「そんなぁ...ん?別に今日は今日で俺たちだけのパーティーを開けばいいのでは?」
「それでも良いけど、確実にこいつが飲んだくれて明日潰れるわよ」
「それじゃあ仕方ねぇな」
「えっ、とんとん拍子で話が進んでいったけど、今日パーティーしたらクミさんが酔い潰れるのって共通認識なの?えっなんで?」
「そりゃそうだろクミリアお前、俺らに隠れて追加で何本か酒買ってたろ?見逃してねぇからな」
「うっわバレてたんだ...」
「ってなわけで今日は一滴も飲ませんぞ。羽目外すなら明日やれ」
「マジかー...」
「パーティーの件はとりあえず了解した。あと一品作ったら終わりにするから部屋で待っててくれニア。二人も部屋行ってていいぞ」
「あっ、それじゃあ出来てるやつもう運んじゃうよ」
「サンキュー頼んだ」
「部屋で待ってるわよー」
「ああ、なる早で作るわ」
テキパキと料理を作り続ける。普通の食事としては結構量が多くなってしまったが...まぁ仕方ない。
……明日のパーティー、ガネルでやるって話だけど、どんな感じになるんだろう。楽しみだなー。
「すっごい喧騒だぁ...」
ガネルのお祭りと聞いて、クミリアが英雄になることが決まった大会後にやった時のを思い浮かべていたのだが、それとは比にならないレベルのお祭り騒ぎだった。
最初は静かだったんだ。けど、俺たちがガネルの中央に特設された高台みたいなところに登って、色々話しているうちにどんどん盛り上がっていって、気づけばもう制御不能だ。各々好きなようにはしゃぎまくっている。
それもガネル出身の人だけならまだわかるんだ。こういうノリが好きな人たちだからな。でもいつのまにかその雰囲気に飲まれて別の町の人も羽目を外していた。本当に収拾がつかなくなっている。
「群衆雪崩とか起こんないよな...?心配なるぞこれ」
「それは多分大丈夫でしょうけど...もし混乱が起きてしまったら、対処しに行かないといけないわね」
「この規模の祭りは誰も経験してないだろうしねートラブルは絶対起きると思うよ」
「なんか、あんまり楽しむ余裕無さそうだな...これ、勇者パーティーのやることか?一番の功労者なはずなんだが...」
「仕方ないよ。勇者パーティーの責務は魔王を倒すだけじゃない。倒した後も、未来永劫平和であるように死力を尽くす。こういう治安維持も、仕事の一つだから」
「なんだかなぁ...」
「それに、僕たちはこの催しを百パー楽しむなんてことできないしね。だったら、せめてみんなには楽しんでもらわないと」
「……それどういう意味だ?」
楽しむ気満々でここまで来たのにトラブル対処のせいであまり楽しめないかも...という話の流れだったはずだが、なんで元からフルで楽しめないことになってるんだ?
「だってみんな、心の中ではもっと上手く出来たはずって思ってるでしょ?もっと被害を少なく、今よりも良い今を迎えられたかもしれない。そう考えちゃうと、楽しんでいいものかと...」
「あー...そっか、その発想まるっきりなかったわ」
たしかにもっと上手く出来たところはあっただろう。けれど...うん、こう言ってしまうと被害を受けた人たちに申し訳なくなってしまうが、俺たちは十分頑張ったはずだ。本来なら俺たちは全滅だったはずで、世界は魔王の手中に収まっていた。それを考えると、これ以上のエンディングを迎えられたかもと考えすぎるのは精神に毒だと思う。考えたくなる気持ちもわかるが...
「そんなたらればの話をしたらキリがないぞ。それに、そういう話はしないし考えないって前に決めてなかったっけ?」
「そうだけど、こうやって僕たちが守った人たちを見ちゃうと、守れなかった人もいたんだなって思っちゃって...」
うん、気持ちはわかるんだけど...って、あれ?
「……どっちかっていうと、そういうの考えるの俺の役目な気がするんだが」
「えっ、なに急にどうしたのさ」
「いやだってさ、こういう祭りが開かれるのってそういうことを考えない人が大多数を占めてるからじゃないの?その文化の違いに俺が驚く...ってのがいつもの流れだと思うんだけど」
見たところカリス出身らしき人たちも騒いでいるように思える。人魔戦争終結から一週間以上経っているとはいえ、吹っ切れるのが早い気がする。こっちの世界だったら、人が死んでるんだぞなんて不謹慎な!みたいな話が出て祭り自体がおじゃんになるだろうし、そういう倫理的な話を持ち出すのは俺の方な気がする。
「どうなんでしょうね。辛いことは一旦置いておいて、ひとまず魔王討伐を祝そうという祭のはずだけれど、心の底から吹っ切ることのできてる人なんてそうそういないと思うわよ」
「全員が全員、何かしら人魔戦争に関係しているからね。他人事な人は誰一人いない。誰だって心に傷は負ってると思う」
「実際酒の力に頼って無理矢理吹っ切れてる、なんて人もいるしね。もちろん現実を受け入れてる人もいるだろうけど」
「……そっか、気にしてない人が大多数ってのはこの世界に対する偏見だったな。みんな傷を負ってて、それでも未来に進むために平和を祝福する...ってところか。そういや、亡くなった人たちへの鎮魂もしたりするのか?」
「やる人はやるだろうけど、それは各々自由にって感じかな。楽しむ方が主体だからね」
「なるほどな...まぁ、そうだな。俺たちは完全なる当事者で、故に百パー楽しむことは無理だ。だからこそ、さっきライトが言ったように、せめてみんなには楽しんでもらわないとな」
平和のために尽くすのが勇者パーティーだとしたら、人民の心の平穏を保つのも俺たちの役割だろう。完全に吹っ切れることはまだ無理だとしても、この時間を楽しんでもらえるように、なるべく頑張ってみよう。
「それじゃあどうしようか。今の思考のまま見渡してみると、ところどころ盛り上がってなさそうなところがあるのが見えるわけだけど、行ってみるか?」
「そうね。各々散らばって、トラブルの対処と一緒になんとかしてみましょうか」
「方法は各自に任せる。全員でこの祭りを盛り上げていくぞー!」
おー!!
……と、全員で声を上げながら拳を上げた。俺たちも抱えてしまっている心の傷を覆い隠し、動き出すための動き。
それに合わせて近くにいた酔っ払いたちが真似して声を出したもんだから、驚いて軽く出鼻を挫かれたような気分になったというのは内緒にしておこう。
「ステラは俺と一緒でいいのか?」
それぞれバラバラに散らばって動き始めた俺たちだったが、なぜかステラは俺についてきていた。
「うん。ガネルあんまり来たことないから一人で回れるか不安だし、この人混みの中で一人で行くのちょっと怖くて...」
「たしかに、もみくちゃになりそうで怖いよなこの人数だと。それならもうちょい近く寄りな。迷子になっちゃ困る」
「迷子って、そんな子供じゃないよー」
「子供じゃなくても迷子になるぞこういう時は。人波に押されて分断されるとかあるあるだ...まぁ、この規模の祭りの経験ないから実際なるのから知らんが」
アニメだとよくあるシチュエーションだけど、そう上手く離れ離れになるもんなのかねぇ...
「……元々人混みは苦手な方だけど、こうも人多いとそれだけで疲れてくるな」
「そういえば能力って使ってるの?」
「使ってないぞ。頭痛くなるのが目に見えてるからな。そういうわけで、もし本当に迷子になられちゃ探せないから気をつけてな」
「じゃあ...こうしよっか!」
「うおびっくりしたぁ...手ぇ握るなら先に行ってからにしてくれな。心臓飛び出ちゃうから」
「そんなにびっくりすること?」
「普通びっくりするって...」
年下の女の子に手を握られるなんて状況そうそうないし、ドギマギするのは普通だよな?まぁ、そういうふうに考えられる程度には冷静なんだけれども。
「まぁいいや。握るんならちゃーんと握っとけよ」
よくよく考えると、戦闘中に抱きかかえて移動したりとかよくしてたし、そもそも速度探知の諸々があるから今更何気にしてんだって話だな。ここは離れ離れにならないようにちゃんと握っておかないとな、うん。
「とりあえず人混みから抜けないとな。人多くて盛り上がってないとかあんまないだろうし」
盛り下げ怪人モリ○ゲールがいるとかなら話は別だが、この場の雰囲気に乗ることができない人が大通りにいるとは到底思えない。いるとすればある程度大通りから離れた路地裏辺りが妥当か。はしゃいでいる人たちが来なさそうなところに向かうのがいいだろう。
「となると...こっちの方かな」
ステラの手を引き、それっぽい場所に向かって人混みをうまく避けながら歩く。
「……ちょくちょく見知った顔が見えるな」
「そうなの?私からじゃ見えないや」
「まぁまだ背ちっちゃいからね。俺でもギリ見えるくらいだし、それじゃ見えんわ」
「ちっちゃいって言ったなー?まだまだ成長してるんだからね!で、誰がいるの?」
「ワンナとかカノウとかいるぞ。つーかあん時の四人か」
「挨拶しに行く?」
「んー...やるなら後でみんなと一緒にだな。今やるべきことをやろう」
そのまま進み続け、細い路地裏へと入る。
「やっと抜けたか...」
「だね、早く行こっ!」
「……ところで、手はこのままでいいのか?」
「うん。さっきはああ言ったけど、実はニアから頼まれてたんだよね。カリヤが危ないことしないようにちゃんと見ててって。だからこの手は離せないかなーあっ、別にさっきのは嘘ってわけじゃないからね?不安なのは本当だよ」
「えーなにそれ俺暴走するとでも思ってんの?」
「昨日一人で巨大化魔物と戦ったのは誰だったかなぁ?」
「それを言われちゃうとなぁ...」
仕方ない。監視は甘んじて受けれるとしよう。非があるのは俺だって流石に理解してるし。
「おやおやぁ?これまた面白いものを見ちゃったなー」
「うおっ、ミルキーかびっくりした」
向こうからミルキーが歩いてきた。そういや前にもステラと二人でいる時に会ったっけか。なにかと縁があるな...
「ミルキーさんこんにちは!」
「こんにちは。あんたら前にも二人で居なかった?もしかしてホントにそういう関係?」
「違うぞ。監視されてんだよ」
「監視には見えないけどねぇ...」
「ところで、ミルキーはなんでこんなとこにいんだ?」
「ちょっと疲れちゃったから休憩。二人は?」
「トラブル対処とか諸々のために色々回ってんだ。治安維持するならこういう路地裏も回んないとだろ?」
「なるほどねーご苦労様。勇者パーティーってのも大変だね」
「まぁな...あっそうだ。ミルキーそっちの方から来たんだろ?あっちの方で何か問題起きてたりしなかったか?喧嘩とかスリとか」
「うーん...まだ特には起こってないと思うよ。まだ祭りが始まってすぐだし、酔っ払ってる人も少ないからね」
「それ、逆に言えばこれからどんどん増えるかもってことなんだよなぁ...大変になりそうだ」
酔っ払いが増えれば些細なことで喧嘩が起きたり、注意力が散漫の人が増えてスリの絶好の的にされてしまうだろう。祭りが後半に向かうにつれて、指数関数的に増えそうだなぁ...面倒の極みだな。
「情報提供ありがとなミルキー。それじゃあステラ、行こうか」
「じゃあねーミルキーさん!」
「またねステラちゃん」
ミルキーに別れを告げ、路地裏を進...
「……なんで後退りしてんだ?」
俺らが一歩進むと、なぜかミルキーは一歩下がる。休憩を切り上げたのだとしても、わざわざ後ろ歩きする意味ないし...そういやさっきからやけに俺たちから距離をとっていたな。
「……速度探知を警戒してんなら意味ないぞ。今俺能力使ってないし」
「えっ、あっそうなの?なーんだよかった」
「あと、そこだったら全然範囲内だぞ」
「……まじ?」
「よかったな、発動してなくて」
「今度から気をつけないと...今はどこまで見れるの?」
「えーっとたしか、今ミルキーが立ってる位置から3...いや、4歩後ろに下がったところらへんまでだな。使ってないからあくまで感覚だけど」
「うわ広っ。前会った時もうちょい狭くなかった?」
「最近どんどん範囲広がってるからな。そのせいで色々苦労してるんだよ...町中じゃもう能力あまり使えないし」
「へー大変そう」
「めっちゃ他人事だな...」
「それじゃあ二人とも頑張ってねー」
言うだけ言って去っていったな...まぁあいつらしいか。
「そーいや最後にあいつの技術使ったんだよな。今度会った時に礼言っておこ」
魔王討伐の時、トドメを刺すためのバフとしてミルキーの演奏魔法の技術を使わせてもらった。あれがなければ最後の一撃を叩き込むのに苦労しただろう。過言かもしれないが、実質的にミルキーが魔王討伐の最後の鍵となったわけで、感謝を伝えておきたかった。まぁスタコラサッサと去ってしまったから、礼を言うのはかなり先の話になりそうだけど。
「それじゃあ先に進みますか」
ステラの手を引き、路地裏を進む。
ズブッ...
背中に、鋭い痛みが走った。
「ア゛、ヅ...!!」
背中に何かが深々と刺さり、猛烈な痛みが神経を伝って脳に叩き込まれる。
「かっ、カリヤ⁉︎」
状況を飲み込めないステラは混乱し、俺の名前を叫ぶ。そして、俺の背後にいる誰かを見て、その表情を歪ませる。
「なんで...⁉︎」
「なんで...?」
ステラと、誰かの声が重なる。
「なんで...動かないの!」
背後に立つ誰かさんは、俺の身体に刺さっている包丁を引っ張ったり、グイッと捻って傷口を広げようとしたりと、全力で包丁を掴んで動かそうとするも、包丁は動かない。
「……そりゃ、能力で動かないように止めてるからだよ」
減速能力を使うことで包丁を動かせないようにしてこれ以上の悪化を防ぎ、なおかつ出血速度停止と痛み止めも一緒に行なっている。
さて、速度探知を発動させたおかげで、俺に刺さっているのが包丁で、誰が刺しに来たのかも丸わかりなわけだが...なぜ、こいつが?
「ったく、能力使わせやがって...どういう了見だ!ミルキーさんよォ!!」
「げふっ⁉︎」
後ろ回し蹴りを放ち、背後に立っていたミルキーを思い切り蹴飛ばし、壁に叩きつける。
「……チッ、気絶しやがったか...」
「なんで...ミルキーさんが...?」
「理由さっぱりわかんねぇし、起きたら問いただすしかねぇな...」
「ってかカリヤ!傷!大丈夫なの⁉︎」
「とりあえず減速で対処したが、治さないと不味いな。まずは引き抜いて...」
「ちょっ、抜いちゃダメだよ!」
「そんなもん知ってる。減速してるから出血しないし、治療の邪魔になるし動きづらいから抜くんだよ」
なんとか腕を伸ばし、背中に刺さった包丁を引き抜く。出血はもちろんしない。
「治療は...ニアに頼むか。ステラ、空飛んでニアを探してくれ。途中でライトを見つけたなら、ニアと念話出来るはずだからそっちでもいいぞ」
「わ、わかった!あっそうだ私がこれで応急処置するよ!」
ステラは魔力銃を取り出すと、傷口に向けて回復弾を放つ。
「おお、気休め程度だけど助かったよステラ。じゃあ、頼んだぞ」
「う、うん!行ってくる!」
魔道具を起動して、ステラは空に向かって飛んでいく。ニアが来れば、こんな傷すぐに治してくれるだろう。速度操作と一緒に回復魔法が使えたなら、ここまで面倒なことにはならなかったのだがな...
「……さて、ほら早く起きろ。テメェにはなんでこんなことしたか、洗いざらい吐いてもらわねぇとなんだからよォ」
壁に叩きつけられてぐったりしているミルキーに近づく。
ほんと、なんで俺を攻撃したのかわからないが、理由は必ずあるはず。その理由を解明しなければ。
狙われたのがみんなじゃなくてよかったと思いながら、俺はミルキーが目覚めるのを待つのだった。
日常回だと思った?残念非日常への序章だ!
……というわけで、ほんわかエピローグは終わりです。
なんでミルキーはカリヤくんのことを襲ったんでしょうねぇ...