前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8069字。

なぜミルキーが襲いかかってきたのか、その辺の説明回です。


神世界復興同盟

「ほら、さっさと起きろッ!」

 

「あグッ⁉︎」

 

肩を蹴飛ばし、ミルキーを無理矢理起こす。

 

「起きたかー意識はっきりしたかー?じゃあ尋問開始すんぞー」

 

「死んで...ない⁉︎」

 

ミルキーは俺のことを見て、驚愕の表情を浮かべた。どうやら、気絶したせいで記憶が飛んでおり、包丁を刺した後のことは覚えてないようだ。ミルキーの中では、俺を殺したことになっていたらしい。

 

「そう言うってことは、ガチで殺しに来てたみたいだな...あんなんで俺が死ぬかよ。で、どうしてテメェは俺を殺そうとしたんだ?誰かの指示か?」

 

「……答えると思ってんの?」

 

「へぇ...よくこの状況でそんな態度取れんなお前...睨んでんじゃねぇよグズが!」

 

腹を蹴り、ミルキーを壁に叩きつける。

 

「いいか?さっきは尋問つったがよォ、実際は拷問だ。減速を使いながら死なないように痛めつけるなんて造作もない。さっさと吐いた方が身のためだぞ」

 

「チッ、裏切り者の魔族が...!」

 

「あ゛?魔族?...なるほどそういうことか」

 

どこからか、俺が魔族なんじゃないかという噂が広がり、それを真に受けてしまったミルキーが正義感から俺を殺しにきた...ってことか?能力の宿っている位置とかそういう特徴が魔族と似ていたから、そういった誤解を受けることは何度かあったけれど...それって確かシレンの穴だとか魔王城の中とかで起こったことで、ミルキーが知り得るわけないよな...?

 

「俺は魔族でもなんでもない。ただの人間だ...って、言っても信じるわけないか」

 

「あんたが裏切りさえしなければ...!」

 

「話通じねぇな...だから、俺は人間だし裏切るとかそもそもねぇよ」

 

「なんで!魔族のあんたが魔王様を裏切ったのよ!」

 

……は?

 

「……は?」

 

だめだ意味がわからなすぎて頭回らん...何言ってんだこいつ。つーか魔王様?なんで様付けしてんだ?もしや魔族...ってことないし、何から何まで意味がわからん。

 

「……ふざけてるなら、今度は顔面に蹴り叩き込むぞ?」

 

「ふざけてないわよ!」

 

目がマジだな...洗脳でもされてんのか?まぁいい。このまま拷問を...

 

「ヅッ!うるさっ!」

 

急に爆音が俺の耳に叩き込まれた。ミルキーの演奏魔法か...!

 

「隙だらけなのよ!」

 

ミルキーは俺を押し退け、先ほど俺が放り捨てた包丁を拾おうと手を伸ばす。

 

「無駄だ」

 

「なっ、動かない...⁉︎」

 

「拾われる可能性を考慮してないわけないだろ...で、さっき言ったこと忘れてねぇよな?」

 

そう言い放つと、俺は無言でミルキーの顔面に飛び蹴りをかました。

 

「拷問レベル上げるわ。今から、お前の体温を減速で少しずつ奪っていく」

 

顔面を押さえて悶絶するミルキーに向かって淡々と言い続ける。

 

「それが終わったら、今度は手足の先端の血流を止めよう。低温も併せて、壊死は免れないだろうな。その次は...思考速度とか時間の認識を遅らせようか。ありとあらゆる苦痛が引き延ばされ、さらに一秒が何百秒と長く感じるだろうな。その次は...」

 

拷問内容を淡々と聞かせるのはかなり精神にクルらしい。みるみるうちに顔が絶望に染まり真っ青になっていく。

 

「……とまぁ、こうなりたくなけりゃ質問に答えることだな。まぁ絶対に命を落とすようなことはしないし、頑張って耐えるのも手の一つだとは思うがな」

 

「ま、待って!話すよ話せばいいんでしょ!もう抵抗しないから!何もしないで!」

 

「わかればよろしい」

 

目はまだ抵抗の意志を持っているようだけど、行動に出さないなら別に良いだろう。大方、拷問方法がとても人間のものとは思えない、やはり魔族なんだだとか思っているんだろう。初手で背後から襲い掛かって殺そうとするという、とても人間の所業とは思えないことをしようとしたミルキーが思うようなことではないと思うがな。

 

「じゃあまず最初の質問だ。さっきも聞いたが、なんでテメェは俺を殺そうとしたんだ?」

 

「そんなの決まってるじゃない」

 

いや、決まってないから聞いてるんだがな...

 

「あんたらが魔王様を倒したからよ」

 

……はぁ、意味がわからん。様呼びしてるところからもうわからないが、なんで魔王を倒したことが、俺を殺す理由になるんだ?

 

魔王を倒せなかったからだとか、倒すのが遅かったせいで大切な人が死んでしまったから、みたいな理由だったら、お門違いな恨みだけどまだ納得ができる。魔王を倒したから恨まれるってのは因果関係が不明すぎて笑えてくる。どういう理屈で殺しに来てんだよ...

 

「なぜ魔王を倒したことが俺を殺す理由になる。答えろ」

 

「魔王様は世界を本来あるべき姿に戻す救世主だからよ!それを妨害したあんたらは万死に値する!」

 

「魔王が救世主だぁ?じゃあなんで人間と争ってんだよ。救世主だってんなら争いを避けて話し合いでもすりゃあ良いじゃないか」

 

「人間が勝手に悪だと決めつけて攻撃し出したから応戦しただけ!魔王様は話し合いを望んでいる!」

 

そうきたか...まぁたしかに、人間を作り出した女神は魔物や魔王と戦えと命令を出しているから、あながち間違いでもないけれど...魔王も魔王でノリノリで人間を滅ぼしにかかってるから違うんだよな。

 

「……つーか、さっきの口ぶり的に狙いは俺だけじゃなくて勇者パーティー全員、その中でも魔族だって思われてる俺が真っ先に狙われただけってわけか...」

 

とりあえず今わかっているのは、ミルキーがなぜか魔王を信仰していて、魔王を倒した俺らを憎んで殺そうとしたこと。そして、なぜか俺は魔族だと思われており、魔王を裏切った者として真っ先に狙われたことの二つだな...うん、整理してもわからん。

 

「……その、魔王が世界を元に戻す救世主だってのはどういう意味だ?」

 

「女神とは違う、この空間を作り出したもう一人の神、魔神を復活させる!それが魔王様の目的で、世界を元に戻す偉大な行動だった!それがあんたらのせいで...!」

 

「魔神...だと⁉︎」

 

魔神の存在をなぜミルキーが知っているんだ?魔王の目的が魔神を復活させることだっていうのは、魔王本人と魔族、アクセルから話を聞いた勇者パーティーにしか知り得ないはず...どこからか話が漏れていたのか?

 

「その話どこから聞いた!!」

 

「ギルドの職員からよ」

 

「職員から?それはいつの話だよ」

 

「人魔戦争前よ」

 

「は?人魔戦争前?ってことはあん時会った後に聞いたのか?」

 

「いや、その前ね」

 

「それこそはぁ?なんだが...じゃあなんだ?あん時俺らを止めなかったのは、俺らには魔王を倒せないだろとでも思ってたのか?」

 

「違う。あの時は誰かによって記憶を封じられていたから覚えてなかったのよ」

 

「記憶を封じられてた?じゃあいつその記憶は戻ってきたんだよ」

 

「人魔戦争中」

 

「それは魔王城が移動する前後どっちだ」

 

「移動してしばらく経った後」

 

「ふむ...」

 

なんとなーく、そうなんとなーくではあるけれど、経緯がわかった気がする。ガネルのギルドで話を聞いたことと、記憶が戻ってきた時間、この二つの情報からして、多分俺の想像は正しい...はず。

 

「なぁ、ギルドの職員から聞いた話は、俺が魔族だっていう根も葉もない嘘と、魔王が魔神を復活させて世界を救う救世主だっていう話の二つだけか?それ以外に何か聞いたか?」

 

「それ以外...もし魔王様が倒されてしまった時に、あたしたちだけでできる魔神の復活方法くらいよ」

 

……なかなかすごい情報が飛び出てきたな。もう驚かないぞ。いちいちオーバーに反応するのが面倒だから淡々と行こう。

 

「なんだ?それは」

 

「と言っても、あたしたちが生きてる頃に復活するわけじゃないけどね。なんとかして勇者から聖剣を奪って誰にも見つけられない場所に隠せば、魔神の封印の維持ができなくなっていずれ復活するだろう...って方法だから。こんなの絶対不可能でしょ」

 

「……まぁそんなもんか」

 

人の手で魔神を復活させる手っ取り早い方法はないってわけだ。それなら安心...とも言い切れないわけだけど、唯一の方法もほとんど達成不能だし少なくとも俺やライトが生きてる頃には復活しないだろう。

 

「それじゃあ...最後の質問だ。お前以外に同じ話を聞いたものはどれだけいる?答えろ」

 

「そう言われてもねぇ...結構な数はいると思うけど、正確な数までは知らないよ」

 

「大体でいい。どのくらいいる?」

 

「ざっと百人は軽く越してるだろうね。あたしは入ってなかったけど、変な団体作れる程度には居ると思う」

 

「魔王や魔神を信仰する宗教団体でも出来てんのか...?この世界的には潰した方がいいのかな...」

 

勇者パーティーがこれからも狙われ続けるんだとしたら潰す一択なんだが、案外こういう組織が存在している方がこの世界にとっては良い可能性あるんだよな。魔王を倒しちゃったからこの世界の危険分子はもう魔神くらいしかないわけだが、怪しげな宗教団体があるおかげで魔神の存在が認知されて、封印もしっかり為される...みたいな感じになってくれるかもしれない。潰すべきかどうか微妙に迷ってしまう。

 

「ふむ...色々話してくれてありがとよ。同じことを警察に言うんだな」

 

「や、やっと終わったぁ...」

 

「これに懲りたら、もう二度と人を襲わないこったな」

 

一応地面に落ちている包丁を蹴飛ばしてミルキーから遠ざけておく。ミルキーももう抵抗できないだろうし、ミルキーの減速も解除しちゃってもいいだろう。速度探知はそのままだからまた襲われても対処は余裕だしな。

 

「……つーかニア遅いな。ステラ探すの手間取ってんのかな...いや、まさかニアも襲われてるとかねぇよな?」

 

ないとは言い切れない。狙いは俺だけじゃなくて勇者パーティー全員なわけだし、一人でいるところを祭りの喧騒に乗じて襲われている可能性は十分ある。流石に大丈夫だとは思うけれど、ちょっと不安だ...

 

「……っと、なんだなんだ?」

 

道の向こう側から、どう考えても一人のものではない足音が響いてきた。5、6人はいそうだが、一般人か?それともさっきミルキーが言っていた団体の人らか?まぁどちらにしても、この状況を見られるのはまずいか。

 

背中に刺された傷をつけた男と、地面には血のついた包丁、そして蹴られまくってボコボコの女...謎な状況ではあるが事件性は凄い。一旦建物の屋根の上にでも避難してやり過ごすか...って、急に走り出した⁉︎逃げるのは無理か...!

 

「いたぞ!裏切り者の魔族だ!!」

 

はい、謎団体確定。面倒だなぁ...六人か。

 

「あ、あたしが呼んだわけじゃないからね⁉︎殺さないでよ⁉︎」

 

「殺さねぇよ。さっき団体と繋がりはないって言ってたし、こいつらが来たのも多分偶然なんだろ?」

 

「お前が魔王様を倒さなければ世界は救われていたのに!殺してやる!」

 

「うわどう考えても話通じない奴じゃん。つーかミルキーと話してる途中だろ割り込んで来んなよ」

 

「殺す!」

 

「テメェさえいなければ!」

 

六人の男はそれぞれ武器を取り出し、じわじわと俺との距離を詰めてくる。俺の能力が弱体化したことは知らないだろうに、なんで殺せると思うんだ?流石に速度操作のことを知らないわけないだろうし...あっ、この状況を見ていけるかもって思っちゃったのか。ミルキーは、町の中じゃ能力を切っているってことを直前に俺から聞いていたから刺せたわけで、能力発動中の今俺を傷つけることなんて不可能に等しいのに。

 

「ほれほれ、無駄だからさっさと散りな」

 

「ハッ舐めやがって!」

 

「テメェなんか簡単に殺せんだよ!」

 

ものすごい小物臭を漂わせながら、男たちが襲いかかってくる。

 

「あがっ⁉︎」

 

だが、急に男たちは呻き声を出しながら後ろによろめいた。まるで、何か見えない壁にぶつかったかのように...まぁ、事実なんだが。

 

「空間ごと止めてるからな。どうやっても俺には近づけないぞ」

 

「クソッ、なんで!」

 

「今説明したろ。ほんと話通じねぇな...」

 

『雷装』

 

「寝てろ」

 

「んぐッ⁉︎」

 

男たちに近づいて移動速度をゼロまで落とし、首筋に雷装を一気に流し込んで昏倒させる。

 

「よくこんなんで襲ってきたよなぁ...流石に勇気じゃなくて蛮勇だな。蛮勇が過ぎる」

 

男たちの武器を取り上げながら呟く。

 

「あと、この隙に乗じて逃げたりしないのは感心だなミルキー」

 

「に、逃げたところで追われるだけだしね...」

 

「よくわかってんじゃねぇか」

 

「カーリヤー!」

 

「っと、やっと来たか」

 

ようやっとステラがニアを連れて戻ってきたようだ。

 

「ってなんか増えてる⁉︎」

 

「先に言っとくが、こいつらに怪我は負わされてねぇからな。ってわけで傷治してくれニア」

 

「了解よ。傷見せなさい」

 

服をまくり、背中の傷をニアに見せる。

 

「結構ザックリやられてる...災難だったわね」

 

「ああ、災難だ。刺してきた理由聞いたけど、そりゃもうびっくりの理由だったよ」

 

傷を治してもらいながら、ミルキーから聞いた話を話す。

 

「そんなことが...」

 

「そういやニア、ここ数日ガネルで治療活動してたんだろ?なんかそれっぽい話聞いてなかったか?」

 

「聞いてたらここまで驚かないわよ...そもそも、勇者パーティーの私に話すわけないじゃない」

 

「それもそうか」

 

「で、さっきの言い方じゃ誰が噂を流したのかわかってそうだったけれど、どうなのよ」

 

「想像でしかないけど、多分キネットだ。ガネルのギルド職員でそういう話すんのはアイツしかいないだろ」

 

「まぁ、そう考えるのが自然よね...じゃあ、記憶を封じたのは誰よ」

 

「それもキネットだろ。人魔戦争中に思い出したのは、キネットが死んだことで記憶消去に使われた魔法が解除されたからだろうからな。フロートが死んで、王様の複製体が消えたのと同じさ」

 

「自分で話したことを忘れさせるっておかしくない?」

 

「あくまで保険だったんだろうな。あとは、人間サイドが記憶を封じに来たのだと思わせることで、魔王側に正義があるという話に説得力を持たせようとしたとかだと思う」

 

「キネットが記憶を封じたんだとしたら、そう思わせるのは無理じゃないかしら。そういうふうに記憶を改竄していたとしても、死んだら元に戻ってしまうわけだし」

 

「んー...それはまぁ、上手いことやったんだろ。洗脳系の魔法を使ってそこらの一般人を乗っ取り、そいつに記憶改竄の魔法を使わせて、冒険者たちに王城関係者だとかギルドの人らに囲まれて何か魔法を使われたような記憶を埋め込む。そしてキネット自身が記憶を封じる魔法を使う。ちょっと無理があるかもしれんが、これなら一応説明つくと思う」

 

キネットが話したことは既に国が把握していてなおかつ民衆には秘匿されており、それを知ってしまったがために記憶を封じ込められてしまった...という筋書きを作り出せればいいのだ。そうすれば、キネットが死んだことで記憶が蘇った時、国に不信感を覚えて魔王魔神サイドにつく可能性が高まる。実際にそうなった人たちが、団体とやらを作ったのだろう。

 

「……まぁ、筋は通っているわね」

 

「まっ、この辺は想像でしかないし、事実はこいつらから確認するしかないだろうな。ステラ、警察呼んできてくれないか?わかんなかったらギルドに行けばいい。できるか?」

 

「わかった行ってくる!」

 

ステラが飛んでいく。さっきから話に混ざることもせずキョロキョロしていて、手持ち無沙汰っぽかったからとりあえず頼み事をしてみたけど...襲われないかだけ心配だな。

 

「……流石にまた警察の中に紛れ込んでるとかはないよな多分」

 

「またって?」

 

「結構前の話なんだが、王都で犯罪集団に絡まれたことがあってだな。そこの頭領が警察官だったんだよ。今回も警察内部に団体員が紛れ込んでたら嫌だなーっと思って」

 

「うわぁ...あり得そうなのが怖いわね。ギルド職員の立場を利用すれば、その辺りにも話を通せそうだし気をつけた方がいいのかも...あれ?ステラちゃん大丈夫?」

 

「……ど、どうなんだろう考えてなかったわ」

 

「ちょっ、不安だわ一緒に行ってくる!怪我治したから行って良いわよね!」

 

「あ、ああ助かった。行ってこい」

 

ニアが急いで飛んでいく。ニアがいればステラも安全だろう。

 

「……さて、俺は何しようか」

 

そこらで伸びている男たちを見ながら呟く。こいつらにも拷も...尋問するか。目が覚めたら団体について聞くとしよう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っと、ここまでがニアにも話したことだな」

 

ミルキーと男たちを警察に引き渡し、諸々の事情聴取を終えた俺たちは、ライトたちと宿で合流してこれまでの経緯を話していた。今は、ちょうど団体についての詳しい話をする直前だな。

 

「で、こっからは俺を襲ってきた男たちから聞いた話だ。まず、団体の名前は神世界復興連盟。魔神を復活させ、世界をあるべき姿へ戻すっていう目的がそのまま名前になったんだろうな」

 

「名前なんてどうでも良いわ。人数はわかっているの?」

 

「どれだけいるかは構成員にもわからんってさ。百は超えてるらしいけど、もっといるかもしれないからわからん。人魔戦争の準備してた二、三日の間にキネットが色々やっていたらしいから、その期間中にガネルのギルドに行った人たちはもれなく容疑者入りだし、なんならキネット関係なく今現在人伝で人数増やしてる可能性もあるし、絞り込みは不可能だろうな」

 

「そういう団体なんだから、幹部とかトップみたいなのはいるんだよね?それが誰かとかは流石に聞き出せなかった?」

 

「色々やったけど無理だったわ。警察所属のガチ拷問官なら出来るのかもしれないけど、俺には無理だね」

 

「団体についての手がかりあんまりないね...」

 

「そうなんだよなぁ...百人以上いる組織だってのに襲われるまで存在すら知らなかったわけで、ここまで隠密出来てるってかなり異常なんだよな」

 

「たしかに、そこまで大きい組織になってるならどこかでボロを出していてもおかしくないわよね...やっぱり、ギルドだったり警察内部にも構成員が紛れ込んでいて、もみ消していたりするのかしら」

 

「数はどうあれ、いるにはいるんだろうな。検挙されるのを防ぐためにも、そういう人員は欲しいだろうし」

 

「というかそもそも、よくそんな話を信じたよね。魔神の存在はまだしも、魔王が正義で世界をあるべき姿に戻そうとしてるだなんて普通信じられないよね」

 

「でも実際、魔神が復活したらどうなるかまるでわからないんだよな。もしかしたら人間にも友好的かもしれないし、女神の作ったものは全破壊だとか言い出すかもしれない。そういう曖昧なところは話さずに、良い感じに切り取ってキネットは話したんだろうな」

 

「……ねぇさっきから思ってたんだけど、その組織ってガネル以外にも広まってたりするのかな?」

 

「あー...あり得なくはないな。人魔戦争のために他の町の冒険者もガネルに集まってたし、そこで手を加えられた人たちが今は別の町にいるってのは全然あることだと思う」

 

「そっか...でも大半はガネルの冒険者なんだよね多分。ちょっと、胸がキュッとなるなぁ...」

 

クミリアは地味に郷土愛が強い。町全てを身内だと思っている節があるから、そんな人たちが一種の反社会的活動をしているということが心苦しいのだろう。

 

「……警察やギルドを頼ってもいいのかわからない以上、これは俺たちで解決すべき問題だと思う」

 

「そうだね。僕たち勇者パーティーで解決するべきだ。野放しにしていたら僕たちの命も危ないしね」

 

「ハッキリ言おう。奴らに正義はない。この世界の本来あるべき姿とは、魔神が復活した世界ではなく封印され続けている世界だ。そうでなければ、そもそも俺はこの世界に来ていないからな」

 

俺がこの世界に来たのは勇者敗北ルートを変えるため。魔王が勝ち、魔神を復活させるシナリオを回避するために来たのだから、本来通るべき未来は封印継続のはずだ。

 

「敵の規模は未知数。だが、俺たちは負けない。必ず組織を壊滅させて、この世界に平和をもたらすぞ!」

 

おー!と声を上げる俺たち。

 

かくして、神世界復興同盟を壊滅させる新たな物語が始まったのだった。




こういう異世界系の小説で人vs人をやるとあんまり面白くないというのはわかっているんですが、何をどう考えてもキネットならこういうことするよなぁとしか思えなかったのでやりました。
ちなみにこれ、本来のプロットには存在していないという...魔王戦書いてる時に思いついちゃったからね仕方ないね。
話をどれだけ作れるかわからないけど頑張るぞぉ。
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