前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

191 / 213
8120字。

情報収集パート...かな?


魔神を広める者

「壊滅させるつっても、その方法がねぇんだよなぁ...」

 

祭りの中だと喧騒にまぎれて襲いかかってくるだろうからと、その日中に動くのは無しになった。そうして翌日になったわけだが、早速難航していた。

 

「組織の構成員かどうか見分ける手段がないからねぇ...」

 

「アジトもわからないから殴り込みもできないし...」

 

「あっちから襲いかかってきたのを返り討ちってのは出来るけど、流石に三人いるところは襲ってこないしなぁ...」

 

単独行動は危ないので、俺たちは三人ずつに分かれて行動していた。組み合わせは、俺とステラとニア、ライトとレストとクミリアといった感じだ。索敵回復防御攻撃どれも欠けないようにするには、この組み合わせにするのが一番だった。ただ、完璧すぎて襲われなくなってしまったからこれでよかったのかとちょっと悩み中である。

 

「返り討ち以外に良い方法ないもんかねぇ?」

 

「魔法で捜査できたりしないの?」

 

「言うほど魔法も便利じゃないのよ。捜査に使える魔法よりも犯罪に活用できる魔法の方が圧倒的に多いのもあって、魔法が使われた事件の大半は証拠不十分になって検挙できないらしいわよ」

 

「たしかにそっちに分があるよな魔法って。そりゃ捕まえられないわ」

 

「そういう捜査をするときはとにかく足を使うしかないそうよ。物理的証拠をなんとか見つけて、目撃証言を集め、人間関係を洗って...そうやって地道に地道に捜査してやっと検挙。警察も大変よね...魔法はほとんど捜査には使わないし、カリヤの世界の警察とやってることはほとんど変わらないんじゃないかしら」

 

「まぁ...おおよそは同じだろうな。この世界と違うのは、さっきのに加えて機械だったりAIだったりがあるくらいだけど、それらがあっても魔法には太刀打ちできないだろうな...」

 

改めて思うけどやっぱ魔法ってデタラメすぎるよな...犯罪に使われるわけだよ。

 

「まぁでも、魔法を使って犯罪をやろうって人はそこまで多くないらしいけどね」

 

「そうなのか?そもそも発覚されてないだけじゃなく?」

 

「だって犯罪に使える程度に魔法が使えるなら、もっと別のことに役立てられるからそれで生計立てられるもの。それに、使われた魔法を特定できたなら、その魔法を一度でも使ったことがある人、つまりそのスキルを持っている人に容疑者を絞り込むことができる。リスクも大きいから魔法を使う犯罪者は少ないのよ。だから物理的証拠を見つける方向に警察も努力するってわけ」

 

「なるほどねぇ...あっでもそうか。警察内部に協力者がいたら揉み消せるから、その場合は普通に魔法使うってのもできるのか」

 

王都で物質転移の魔法を使ったスリをする少年と一悶着あったことを思い出した。物質転移はそれなりに高度な魔法で、使える人は全体的に見れば少ないだろう。それなのにバンバン使っていたのは、警察に頭領がいてもみ消すことができたからだったのだろう。

 

今回も警察内部に組織の一員が紛れ込んでいる可能性があるわけで、余裕で魔法による証拠隠滅だったりなんなりをしていることだろう。警察の力を借りることもできないし、捜査は難しそうだ。

 

「……じゃあもう地道に探すしかないってこと?」

 

「そうなるだろうな。速度操作と一緒に魔法を使えたなら、もうちょいやりようはあったけど...」

 

「もし使えたらどうしてたの?」

 

「詳しい話は省くが、ガルムでレストの部屋が泥棒に入られて荒らされた時に、何が起こったのかを確認するために過去を見る魔法を使ったんだ」

 

「それって逆行視点?」

 

「そうそれ。ステラは知らないだろうから説明するけど、この魔法は視点は今いる場所で、景色だけがどんどん過去に遡って見えるような魔法なんだ。これを使えば、今いる場所で過去に何が起こったのかを見ることができる。逆再生だから少し分かりにくいけどな」

 

「でもこの魔法には一つ難点があって、一秒遡るのに一秒かかってしまうのよ。つまり、何時間も遡るには同じだけ時間をかけないといけないの」

 

「だけどそこに俺の速度操作が加われば、その何時間ってのを数分にできるってわけ。あの時はそうやって何時間も視界を遡って何が起きたかを確認したんだけど、能力と魔法を同時に使えない今じゃそれが出来ない」

 

この魔法を使ってできるのは、キネットが誰と話していたかを確認することくらいだろう。けれど、その会話は最短でも一週間以上前のことだ。まさか一週間もギルドの中で棒立ちするわけにもいかないし、魔力も持たないだろう。加速ができない以上、この方法は使えない。

 

「ニアが魔法を使って、カリヤが加速させるってのは出来ないの?」

 

「んー...人の逆行視点に干渉するのは流石に難しいかな。咄嗟に止めるとか無理だし。それにもし出来たとしても、音は聞こえないから会話の内容は聞き取れないし、普通に受付員として仕事しているのと見分けつかないだろうな。読唇術とか出来るなら話は別だけど、ニアできる?」

 

「無理ね」

 

「はい振り出し...地道に冒険者にコンタクトをとって、口頭質問とカマ掛けして構成員かどうか見抜くのが現時点で最善かねぇ?」

 

「今のところはそうするしかないわね」

 

「それじゃあとりあえずどこに行く?ギルドの方はライトたちが行ってるんだよね?」

 

「そうなんだよな。だからギルドとは別の、冒険者が多く集まってそうなところに行きたいんだけど...クミリアに目ぼしい場所を教えてもらっておけばよかったな」

 

「……ねぇカリヤ。怪我人の中にも構成員がいると思う?」

 

……そうか。人魔戦争で負傷した冒険者の中に組織の構成員がいる可能性は大いにある。そして、ニアはつい一昨日までガネルで負傷者の治療作業に当たっていた。つまり、容疑者の多くいる場所を知っているということだ。

 

「全然いると思うぞ。なんなら人魔戦争中に記憶が戻ってきたわけだし、その瞬間に攻撃されたとかで普通の人よりも怪我してそうな気がする」

 

「それあり得るわね。あの中に何人いるのかしら...行ってみましょうか」

 

「ああ。案内は頼んだ」

 

ニアの後ろについていき、俺たちは負傷者の多くいる病院へと向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここよ」

 

「へーこんなところに...意外と辺鄙なところにあるんだな」

 

「こういうところも使わないと場所が足りないのよ。まぁこの場所は軽傷な人が多いんだけどね」

 

「そうなのか...それじゃあ入るか」

 

建物の中に入る。病院特有の薬品っぽい匂いは...特にしないな。正規の病院ではないみたいだし、魔法でほとんどの治療をしているみたいだから薬はないんだろうな。

 

「……なんか意外と元気そう?」

 

廊下を歩いていると、普通に患者らしき人たちが行き来していた。とても怪我人とは思えないな。

 

「そりゃあ軽症だし、既に魔法で治してあるもの。一応経過観察のために入院してもらっているけれど、それも今日の昼まで。だから最初にここに来たのよ」

 

「なるほどな...よし、さっさと始めるか。まずはこの部屋から...ってマジか。知り合いじゃん」

 

部屋のネームプレートにメリッサと書いてあった。同名の別人とかじゃなければ、以前出会った冒険者夫婦の嫁さんの方だろう。

 

「ミルキーの件もあったし、普通に怖いな...」

 

知り合いから襲われるのはもうゴメンだ。一応念のため、速度探知を使っておくか...

 

「ん?二人いる?...ってログか。そりゃお見舞いに来るわな」

 

部屋の中に二人いることに気づいて一瞬おや?と思ったがすぐに自己解決。特に不審なことは何もないため、さっさとドアノブを捻り中に入る。

 

「おーっすお二人とも久しぶり。ちょいと用事があったんで来たぜ」

 

ベッドに腰掛けて談笑していた二人の方を見ながら話しかける。

 

「おっ、誰かと思えばカリヤじゃないか」

 

「随分と久しぶりだな。何ヶ月ぶりだ?」

 

「七ヶ月ぶりとかじゃね?」

 

「ちょ、ちょっと、知り合いなんでしょうけど相手は怪我人よ。もうちょいこう...何かないの⁉︎」

 

「何言ってんだニア。冒険者同士の再会ってこんなもんだろ?それにもう治ってるってさっき言ってたじゃねぇか。二人も別に気にしてないよな?」

 

「そうだな。別に気にしていない」

 

「いやぁカリヤは変わってないねぇ...あっ、噂はかねがね聞いているよ。魔王を倒すだなんて凄いじゃないか」

 

「まぁあれから色々成長したもので。良い仲間にも恵まれたんでね。こっちは...治療の時にあってるだろうしいっか。んでこっちはカリスの英雄のステラだ」

 

「おやまだ子供じゃないか。この子が魔王討伐に参加してたのかい?」

 

「これでもめっちゃ強いんだぜ?魔族を一人、ステラ単独で倒したんだ」

 

「そりゃ凄い!よく頑張ったねぇ」

 

「この子がいるならカリスも安泰だろうな」

 

「えーっと...えへへ、なんか気恥ずかしい...」

 

夫婦からめちゃくちゃ褒められて、ステラは恥ずかしそうにしている。ログの言った、ステラがいればカリスも安泰だろうという言葉はだいぶ刺さっただろうな。ステラにとってはこれ以上ない褒め言葉かもしれない。頑張りが報われたようで、俺もちょっと嬉しくなる。

 

「さっきからステラがーって言ってるけど、魔族を単独で倒したってそれカリヤもじゃない」

 

「そうなのか?」

 

「まぁ一応な...って、そんなことを話しにきたんじゃないんだ。そろそろ本題に入ってもいいか?」

 

「おっと、そうだったね。で、用事というのはなんだい?」

 

「単刀直入に聞くぞ。神世界復興同盟という名に聞き覚えはあるか?」

 

あまりにもストレートすぎてステラとニアが驚いているが、変に回りくどく聞くよりもこうやってスパッと聞きにいった方が咄嗟の反応を見れるから見分けやすいはず...

 

「なんだい?それ。何かの店...ってわけじゃなさそうだけど」

 

「どっかの組合の名前か何かか?悪いけど聞いたことはないね」

 

……うん、知らなそうだな。けれど、これだとまだ組織に属していないだけの可能性がある。ミルキーがそうだったように、組織には入っていないが魔神の話は聞いている可能性は残っている。それも聞かなければならない。

 

「じゃあ魔神ってのは聞いたことあるか?」

 

「まじん...?私は聞いたことないね」

 

「まじん...魔神?そういえば、ここに見舞いに来る前にギルドに寄ったんだが、その時にそんなことを誰かが話していたような...」

 

「それは、ログに向けて話しかけてきたとかじゃなくて、誰かが話しているのを偶然小耳に挟んだ...ってことで良いんだな?」

 

「そうだけど、何のためにそんなことを聞くんだい?」

 

「まぁ経緯を話すと長くなるんだが...端的に言うと、人魔戦争前にギルドの中に紛れ込んでいた魔族が妙な噂を流していてな。それを信じ込んでしまった奴らがさっき言った名前の組織を立ち上げて反社会的行為をしようとしているんだ。それで、情報を集めるためにここまで来たってわけ」

 

「なるほどそんなことが...まさか、ギルドに魔族が紛れ込んでいたとはね」

 

「……えっ?知らないのか?」

 

「ああ、そんなことは初耳だ」

 

「マジで⁉︎ちょっ、ニア?なんでキネットとサーマルがギルドに潜伏してたって話が知れ渡ってないんだ?まさか、公表されてないのか⁉︎」

 

「そうらしいわね。一応報告はしたのだけれど...そのことが知れ渡ってしまうと、ギルドの信用が落ちてしまうし混乱を避けられないから公表してないみたいね」

 

「クッソなに保身に走ってんだよ...ってか、それ隠してるから組織の奴らは国に疑念を抱いたんじゃねぇか...?」

 

魔神の話をただの一ギルド職員として話したところで信じてもらえないだろうから、きっとキネットは自身を魔族だと明かした上で話したはず。そのキネットは倒され、ギルドも国も彼女が魔族だったとわかっているはずなのにいつまでも魔族だったとは公表されない。記憶を国の関係者に封印されたと誤認しているところにその事実も加われば、他にも何か隠蔽していることがあるのではと邪推し始め、疑念は膨らむばかり...ってな展開になるだろうな。

 

「もう俺らで公表しちまわないか?それか冒険者経由で噂として流すとかさ」

 

「そうしたいのは山々だけれど、それをしたら多分国に追われるわよ」

 

「それは勘弁願いたいな...」

 

……そういや、本物の王様はもう死んでたってのも公表しないことにしたんだっけか。結構隠蔽体質あるなこの国...

 

「一応そのギルドに潜り込んでいた魔族が誰だったのか聞いても良いか?もしかしたら、私たちもその魔族から何か話を聞いているかもしれない」

 

「魔神の話を知らないなら何も聞いてないとは思うけど...まぁいいか。カイスとガネルに一人ずついて、カイスにはサーマルが、ガネルにはキネットが紛れていたよ」

 

「……ああ、あの赤髪の受付員か」

 

「そういえば姉妹だって言ってたっけ。そうかあの子たちが魔族だったのか...その噂ってのを流していたのはキネットの方なんだよな?」

 

「ああそうだ」

 

「なら何も聞いていないな。私たちはサーマルの方とは交流があったけど、キネットの方とは無くてね。毎回知り合いの受付員のところに並んでいたものだから」

 

「そうか...色々聞かせてもらって悪かったな。これで失礼させてもらうよ」

 

これ以上は何も聞き出せないだろうし、次に行こう。昼頃には退院するらしいし、それまでに全部屋回らないとだからな。

 

「二人ともお元気で。魔神がどうとかいう奴と会ったら、無視して構わないようにしてくれ」

 

「了解した。気をつけるよ」

 

「今度また会ったら、その時は一緒に依頼を受けに行こうじゃないか」

 

「いいなそれ。そん時はよろしくな」

 

よし、次の部屋に...

 

「ちょっと待ちなさいカリヤ」

 

「ん?どうしたんだニア」

 

「さっき、あなたギルドで魔人の話をしている人がいたと言っていたわよね?」

 

「そうだな」

 

「ちょっと記憶を覗かせてもらってもいいかしら。その人が誰か知りたいわ」

 

「別に構わないぞ。何かこっちがしないといけないことはあるか?」

 

「その時の状況をぼんやり思い浮かべてもらえると助かるわ」

 

「了解した」

 

ログは目を閉じ、ニアはログの額に手を向ける。

 

……十秒ほど経ったのち、ニアは手を下ろした。

 

「協力感謝するわ。しっかり読み取ることができた」

 

「俺はほとんど何もしていないが、役に立てたのなら光栄だ」

 

魔神の話をしていた人の情報を得れたのは結構な進展かもしれない。思わぬ収穫だな。

 

「それじゃあ二人ともお元気で!失礼しましたー」

 

二人に別れを告げ、部屋を出る。

 

「それじゃあ今見た男と話し相手の女の身なりの情報をライトに送るわね。つい数十分前の話らしいし、もしかしたら今もいるかも」

 

「その男女の追跡はライトたちに任せて、俺らは次行くか」

 

ニアがライトと連絡を取り終えるのを待ってから、次の部屋へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今ニアから連絡が来た。魔神について話をしている男女がいたらしい。数十分前の話らしいから、探せばまだいるかも...容姿はこんな感じらしい」

 

レストとクミリアに、ニアから聞いた人たちの特徴を伝える。

 

「それってあの人じゃない?女の人の方はいないみたいだけど」

 

クミリアが指差した方を見ると、たしかにそれっぽい人が他の冒険者と話し込んでいた。

 

「話しかけてみる?」

 

「……そうだね。魔神の話を広げようとしてるなら、早く止めないと」

 

「それじゃあ行ってくるよ二人はもう一人の方探しに行っててー!」

 

「ちょっ、クミリア待って一緒に行くから」

 

我先にと飛び出して行ったクミリアを追いかけ、男に接触する。

 

「ねぇねぇ君、何の話をしているの?」

 

しょ、初対面の人にそんな気安く...クミリアは凄いな。僕も多少は人見知りが治ったと思ってるけど、流石にこの領域に行くのは無理だと思う。

 

「っ⁉︎...ゆ、勇者様が俺に何の用で...?」

 

「ライトじゃなくてクミさんが聞いてるんだけど?」

 

「す、すみませんちょっとびっくりしたもので...ガネルの英雄様が何の御用で...」

 

「さっき言ったこと聞こえてなかった?今何の話をしてたのかって聞いてるんだけど」

 

そんなストレートに聞いても答えないと思うけど...

 

「い、いやぁとても貴方がたに聞かせられるような話ではとても...」

 

ほらやっぱり誤魔化そうとしてくるよね。まずはバレないように近寄って、盗み聞きするところからしたほうが良さそうだったのに...

 

「それじゃあ君に聞くよ。君はこの人からどんな話を聞いていたの?教えてよ」

 

あそっか。話を聞いている側は別に誤魔化す必要ないから、そっちに聞けば絶対答えてくれるのか。

 

「なんかこいつ変な話してくんすよ〜」

 

うわちょっと酒臭い。こんな時間から飲んでるの...?でもギルドに来てるんだから冒険者のはずだよね。なんで酔っ払った状態でここまで来たんだろう...こっちもこっちでよくわからない人だな。

 

「ヒック...なんか〜まじ...ん?とかなんとか、よくわかんないこと言っとって、他あたれつってるのに話し続けてんすよ...なんとかしてくれん?」

 

「へぇ、魔神...ねぇ。ちょーっと気になる話だね。その魔神の話、クミさんたちにも聞かせてよ」

 

「お〜そうかそれなら俺はおさらばさせてもらうぜ〜」

 

「あちょっ、話はまだ...」

 

「あの人もいなくなったことだし、クミさんたちに話してよ。ちょうど良いでしょ?」

 

随分と強引に話を進めていっていたけど、これくらい強引な方が自分のペースで話を持っていけやすくなるから実は良いのかも。真似できる気はしないし、こういうことはクミリアに任せてしまおうかな。ガネルだから知り合いも多いだろうし。

 

「……」

 

「ちょいちょい、どこに行こうとしてるのさ」

 

無言で男が立ち去ろうとしたのを、クミリアは無理矢理掴んで引き止める。

 

「なに?何かクミさんたちに聞かれちゃまずいことでも話してたわけ?」

 

「……チィッ!」

 

「おっと危ない...よっぽど聞かれなく無いみたいだねぇ!」

 

クミリアは身を翻して男の攻撃を避ける。どうやら、懐から魔力銃を取り出して魔法を撃ってきたようだ。

 

「流石に見過ごせないね。こんな人が大勢いるようなところでそんなことをしたらどうなるか...わかっているね?」

 

『雷装』

 

一瞬で男に近づき、魔力銃を握る手に触れ雷装を流し込む。それによって筋肉が硬直した瞬間に魔力銃を取り上げ、そのまま男の足を蹴って倒れ込ませて捕獲する。

 

「先に君が攻撃してきたんだから、これは正当防衛だ。僕達にしたがらなかった話を、警察にたっぷり話すといい」

 

これ以上抵抗しようものなら即座に雷装を流し込む気持ちで押さえ込む。

 

「僕がいてよかったね。君の罪が重くなるところだったよ」

 

そう言いながらレストが歩いてくる。盾に魔力結晶が付いているのをみるに、さっきの男の魔法はしっかり受け止めていたらしい。毎度のことだけど、よく反応できたよね...

 

「レストがいてくれたから今回は無事だったが、周りに人がいるところであの凶行はいけないな。警察が来るまで大人しく反省していろ」

 

「……ハッ、別にそいつがいなくたって誰も傷つきはしねぇよ」

 

「僕が守ってなかったら、確実にそこにいた人に当たっていた。その言い分は通らないよ」

 

「通るさ。なぜなら...やっちまえ!!」

 

「っ⁉︎まずい!」

 

レストが守ったはずの人が、魔力銃を取り出してこちらに標準を定めていた。それだけじゃない。近くにいた人全員が魔力銃を手にしており、今まさに引き金を引こうとしている...!

 

「ふんっ!」

 

次の瞬間、クミリアが床板を踏み抜いた。それによって床板が剥がれて捲れ上がり、何人かの魔力銃を手から弾き飛ばす。だがしかし、全員の魔力銃を弾けたわけではない。後ろはレストが受け止めるとして、前からの攻撃は僕がなんとかするしかない!

 

「ハァッ!」

 

鞘の状態のまま聖剣を持ち、盾のように使って魔法弾を受け止める。これで初弾は回避できた。

 

「なんで周りの人が魔人の話に不審がらないのかと思っていたけれど、身内で周囲を固めていたからだなんてね...」

 

囲まれてしまったけれど、これは考えようによっては好都合。一斉検挙して、情報収集してしまおう。

 

「どこからでもかかってきな。僕たちが軽く相手してあげるよ」




前回書き終わり時点では組織のトップが誰か決まっていなかったんですが、ちゃんと決まったんでラストの展開は安定すると思います。
そこに至るまではこれから考えるんで、どうなるかはちょっと...頑張って書きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。