前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8062字。

スートとの共闘です。


勇者候補集結

「なぜここがわかったんだ?もしや、ここに来るまでの間にニアに念話でもしていたのかい?なぁライト」

 

「……いいや、そんなことはしていない」

 

ニアから話を聞いているとスートは言っていたけれど、なぜここで戦っているのだとわかったのだろう。多分ニアから念話が来て事情を知ったんだろうけど、ガネルのどこで戦っているのかはわからないはず。

 

それに、スートはカイスから飛んできたはずだけど、僕が宿を出てここに移動し始めてからすぐにスートも移動し始めたのだとしても時間はだいぶギリギリだ。探す時間なんてほとんどないはず...

 

「半分偶然だ。ガネルの上空を飛んで騒ぎが起きている場所がないか探していたら、急にギルドの方から音がしてな。見てみたら剣のようなものが飛び出していて、しかも見覚えがある剣だった。それが急に物質転移でもしたみたいに消えたもんだから、こんなかで戦ってるってわかったわけだ」

 

……ということは、アライブの蹴りの瞬間に手を離したことが、間接的にスートをここに呼び寄せることの要因になったってことか?もしそれをしていなければ変形する魔道具が僕の背中に刺さっていたわけだし、あの一つのやりとりで色々起こりすぎでしょ...

 

「まさか戦ってる相手がアライブだとは思わなかったけどな。何やってるんだよお前」

 

「……悪いけどこっちにも目的があるんだ。邪魔はさせない」

 

アライブは武器を構えながら、隷属の印によって引き出された魔法をスートに向けて放った。

 

「っと、随分なご挨拶だな!お返しだ!」

 

杖に乗って飛行するスートは飛んできた魔法を軽々と避けると、お返しとばかりに同じ魔法を放って攻撃する。

 

「同じ魔法なら...!」

 

またしても同じ魔法を放つアライブ。二人の放った同じ魔法が正面衝突し...スートの魔法を飲み込んでアライブの魔法がスートを襲う。

 

「なっ、適性値どうなってんだ⁉︎」

 

驚きながら間一髪のところで回避するスート。勇者候補じゃなくなってからずっと努力してきたのにどうしてアライブよりも適性値が低いんだとでも言いたげな顔をしているが、もしかして隷属の印の話をニアから聞いていないのか?元々その魔法が得意な人の力を借りているだけだから、アライブの適性値がすごいわけでは無いんだけど...訂正している暇はない。せっかく二対一になったのだから、数の力をしっかり活かさないと!

 

床板を踏み抜く勢いで駆け出し、背後から横薙ぎに聖剣を振るう。前へ一歩進むだけで避けられてしまうが、すぐさま下から上へと床ごと切り裂きながら聖剣を振り抜く。

 

「スート追撃!」

 

「わかってる!」

 

下から上への切り上げは魔道具の変形によって生み出された小さな盾によって防がれてしまったが、アライブは盾で受け止めた瞬間、同時に横方向への回避をするために体重移動をしていた。

 

ここから急に方向転換するのは難しい。なので、アライブの進行方向からスートに攻撃してもらうことで少しずつ追い詰めていく。

 

アライブはさらに魔道具を変形させ、こちらの聖剣での攻撃をかろうじて受け止められる程度の小さな盾を作りながら、進行方向から飛んでくる魔法を受け止める壁を作り出した。多分これ以上変形させて防御範囲を広げることは無理なはずだ。

 

僕は真正面から聖剣を振り下ろしてアライブに防御させる。そしてそのまま聖剣を掴んだままスライディングして魔道具の防御の内側に入り込む。そして魔法拡散で隷属の印による魔法行使を封じ...ってそれじゃダメだ!

 

仕方ないのでそのままアライブの股下をスライディングで通り抜け、スートの魔法を受け止めるために作った魔道具の壁に足をつける。そして跳躍魔法を使って壁を蹴ることで瞬時にその場から離脱する。

 

「あっぶな...そっか魔法拡散は使えないのか」

 

魔法拡散を使ってしまえば、スートの攻撃をも消してしまう。あの場面で隷属の印を止めるために使っていたら、スートの魔法から身を守る必要がなくなるのだから壁として使っていた魔道具を全て武器の形に変形させて攻撃してきていただろう。危なかった。

 

けど、方向性としてこれは間違っていないはず。二人の攻撃を同時にけしかけて魔道具で防御できる範囲を凌駕し、そこから隷属の印の魔法を乗り越える...とりあえず前提条件を満たし続けて、それからどうすれば隷属の印を乗り越えられるか考えることにしよう。

 

「巻き添えには気をつけな!」

 

「わかってる。僕はここから...!」

 

色彩剣装を発動し、黒い光を聖剣に纏う。これならこの位置からでもアライブに攻撃を仕掛けることができる。これだけで痛手を負わせることは難しいけれど、これで気を引ければスートの魔法が命中する確率を上げられるし、なによりも未来の確定によって僕の身の安全が保証されているのが良い。もちろん腕や手を切断されたらその限りでは無いけれど、そういったよっぽどのことが起こらない限り、この色彩剣装を止めることはできない。

 

スートの放つ魔法によって埋め尽くされてしまいアライブの姿を視認することはできないが、大体の位置はわかるのでその位置に未来から斬撃を送り込む。

 

「……っ⁉︎魔法が弾かれてる!」

 

突如としてスートの魔法の軌道が逸れ始めた。まるで、アライブに当たらないように自ら外しているかのようだ。

 

「軌道変更でもここまでは出来ねぇはずだぞ...どうなってんだ⁉︎」

 

「……まさか、同じなのか⁉︎」

 

魔法が逸れたことで、アライブの姿が見え始める。彼の持つ魔道具に、黒い光が纏っているのが見えた。同じ色彩剣装だ。カノウにも隷属の印を付けていたのか...

 

……というかまずい。これだと、未来の確定が意味をなさなくなってしまう。未来の確定は、未来から送り込まれた斬撃の辻褄合わせが終わるまでの間は色彩剣装を解除できないという強制力によって起こる現象だ。だが、自分も相手も同じ魔法を使っていた場合、話が変わってくる。

 

端的に言ってしまえば、擬似的にだがお互い不死身と化してしまうのだ。もし未来から斬撃が送り込まれてきたとして、それがどっちの使い手が放ったものなのかわからない。どちらの剣でも辻褄合わせができてしまうが故に、一つでも斬撃の辻褄合わせが終わっていない場合、どちらにも未来の確定による強制力が働いてしまう。

 

よって、全ての斬撃の因果をハッキリさせるまで、二人で一生終わらない戦いをする羽目になる。それか、どちらも同時に腕を切り落とされるかだ。アドバンテージなんてものはなく、ただただ不毛な戦いと化してしまう。

 

色彩剣装使い同士が戦うなんてこと普通じゃ起きないから、アライブはこのことを知らないだろう。僕が使ったのを感じ取って自分も使おうという安易な考えで発動してしまったのだろうが、そのせいで凶悪なロックがかかってしまった。これを解くには、互いにこれ以上斬撃を飛ばすことをせずチマチマと辻褄合わせをしていくほかないが、果たしてそれは可能なのか...?

 

「……なるほど、それは大変だな」

 

僕は何も言っていないのに、アライブはそう言いながら剣を振った。ちょうど僕が放った斬撃と同じような軌道でだ。

 

その行動によって、色彩剣装が解除可能になった。知っていたのか?けれど、さっきの言葉的には...

 

「心を読んでるのか」

 

多分だけど未来予知はもうやめたのだろう。スートが来たことによって攻撃の厚みが変わったから、未来予知では精神が疲弊してしまう。だから思考を読むことで攻撃を先読みして避ける方向に舵を切ったのだろう。

 

実際、心を読んでいなければさっきのアライブの行動をすることは不可能だった。自身が色彩剣装を発動させる前に送り込まれてきた斬撃の辻褄合わせをすることはできないからだ。となると、アライブは僕が斬撃を送り込む前から色彩剣装を発動させていたということになる。僕の心を読んで、この攻撃が飛んでくると知っていなければ不可能だ。

 

「心を読むのなら...回避不可能の攻撃を浴びせるだけ!」

 

靴の裏に水の膜を貼り、滑るようにして移動しながら魔法を放つ。スートと協力して、ひたすらに物量を放って物理的に逃げ道を塞いでやろう。

 

「小癪な真似を...それならこれだ。リターン!」

 

アライブは細長い紙のようなものを生み出しながら呪文を唱えた。紙は一瞬で燃え尽きると、それによって魔法が発動したのか僕たちが放った魔法全てが自身の通ってきた軌跡をなぞりながら戻ってきた。

 

「反射の魔法か...?けどこの程度なら!」

 

スートは放った魔法の数が多すぎたため回避が難しく魔法で撃ち落としていたが、僕は移動しながらというのもあってか戻ってくる魔法の密度は小さい。軽々と床を滑って避け、そのままアライブのもとまで滑って斬りかかりにいく。

 

「……糸?」

 

アライブの周りを取り囲むように、糸のようなものが張り巡らされているのが見えた。嫌な予感がしたので接近するのをやめて魔力銃を撃って牽制する。

 

「なるほどトラップの一種か!」

 

魔力弾が糸に当たった瞬間、糸に沿うようにして魔法が放たれた。触れたら魔法が飛んでくるらしい。だけど、一度当たったらその糸が消えるようだからここは強行突破だ。

 

再度アライブに向かって滑る。そして魔力弾を大量に放って糸に前段的中させることで魔法を無駄撃ちさせ、トラップを全て消費させる。そのまま最高速で近づき、左腕を切り落とすために聖剣を振り下ろす。

 

「っ...ギリギリ、間に合ったな」

 

聖剣はアライブの左腕に命中した。が、皮膚に触れた瞬間に僕の全身が硬直した。なぜか、そこから先へ攻撃することができない。

 

「動けな...反撃流か⁉︎」

 

「正解だ」

 

アライブは右足を動かし、僕を蹴りつけようとする。だが、彼の片足が離れたことで動けるようになったのですぐにその場から飛び退いて攻撃を回避した。

 

「結構マズイな...」

 

近接攻撃は反撃流で防がれ、遠距離攻撃はあの反射の魔法で対処されてしまう。どちらも構えだったり紙を出したりと予備動作は必要だけれど、どちらの攻撃も封じられてしまったな。予備動作を取る前に攻撃できればいいけど、それは思考を読まれてしまうから不可能だ。

 

……本当にそうか?思考を読むとは言っても、二人の思考を全て読むことなんてできるのか?攻撃の先読みだけするにしても、二人分の情報を処理するのは難しいはず。片方は思考を読み、もう片方は目で見て避けているだとか、そういうふうにしているのでは?

 

確証はないけれど、脳の情報処理云々はカリヤが何度も話していることだからなんとなく合っている気がする。速度操作も無しにただの人間が二人の記憶を全て読むなんて不可能だ。自分自身の思考も含めて三人分だしできるわけがない。読んでいたとしても一人分だけだ。

 

それを加味してよく見てみると、スートの放つ魔法が尽く避けられていることに気づく。おそらく、今はスートの思考を読んでいるのだろう。だから一度の被弾もせずに最適解の回避をし続けられる...それなら、僕がそこに干渉してしまえば、それだけで状況は一変する...!

 

「カリヤ...借りるよ!」

 

複合魔法を発動させる。カリヤが以前使っていた、跳弾鏡射の魔法だ。鏡を生み出して周囲にばら撒く。

 

「なんだ?その魔法は...っ⁉︎」

 

スートの放った魔法が空中に浮いている鏡に当たると、その軌道が急に変化してアライブを襲う。スートの思考しか読んでいないためアライブはこの変化に対応することができず、魔法が命中する。

 

「軌道が滅茶苦茶に...!」

 

スートの思考を読んでも無駄だと理解したアライブは、今度は僕の思考を読んだのだろう。魔道具の変形を生かしながら完璧に魔法を回避し、それと同時にさっき被弾した箇所の回復までしていた。

 

「なに俺の魔法を勝手に弄ってんだ!」

 

「思考を読まれてて軌道がバレてるんだ僕が修正する!」

 

「修正つってもお前の思考も読まれてんじゃねぇか当たってないぞ!」

 

「二人同時に読まれることはない!やることはわかるな!」

 

「……なるほど理解した!」

 

スートは僕が操作している鏡に当たらないような軌道で魔法を放ち攻撃を仕掛ける。そして僕は不規則に鏡を動かしてスートの魔法の軌道を変えて変則的な攻撃を放つ。

 

二人の思惑がぶつかり合い、互いに邪魔しながらもアライブに対しての攻撃が通る。互いに邪魔し合い思い通りにいかない。これこそが思考を読まれることへの対策となる。片方の思考だけを読んでも避けることは不可能だ。

 

「それなら!リターン!」

 

いつのまにかアライブは紙を手にしており、それが一瞬で燃え尽きる。それに呼応するように、放たれていた魔法が反転し始める。

 

「無駄だ!」

 

動き出した魔法が鏡に当たり、軌道が捻じ曲がりまたアライブを襲い始める。鏡に当たりさえすれば何度でも軌道は変えられる。これで反射の魔法は意味をなさなくなる。

 

「っ、ならこれで!」

 

アライブは周囲に障壁を貼り、飛んでくる魔法を受け止め始める。飛んでいる魔法の中に閃光は一つもないため、障壁によって全て防がれてしまう。

 

閃光が混ざっていないのは跳弾鏡射を使えないからだ。鏡に触れたものに対して軌道変更の魔法が発動するようになっているが、魔法によって生み出された鏡を閃光はすり抜けてしまう。ゆえに跳弾鏡射では軌道を変えることができないため、一発も放たれていなかったのだ。

 

だが、今なら使える。

 

「ハァッ!!」

 

スートが特大サイズの閃光を放つ。跳弾鏡射の鏡も飛び交っている魔法も障壁も、全てを貫通してアライブに襲い掛かる。

 

「どうだ?やったか⁉︎」

 

スートが叫ぶ。閃光を放つことは心を読まれてバレていたかもしれないけど、自分で障壁を貼っていたから逃げ場はなかったはず。魔法的な防御は無意味だし、未来跳躍されても大丈夫なようにスートは三秒以上撃ち込んでいた。回避手段はもう無いはず...

 

「いやぁ、危ない危ない」

 

「「っ⁉︎」」

 

残っていた魔法が全て障壁に防がれ、やっと障壁の内側が見えるようになった。そこには、ほぼ無傷のアライブが黄色い光を纏った剣を持ちながら立っていた。

 

「色彩剣装で空間ごと切り裂いて閃光を消しとばしたのか...!」

 

「ご名答。そして、反撃開始だ!」

 

アライブは魔道具を杖のような形に変えると、大量の魔法を放って僕達二人に攻撃してくる。他人の魔力を使うから普通じゃ考えられないペースで攻撃が飛んでくる。隷属の印を発動させるための魔力消費も当然あるはずだが、微微たるものすぎて魔力切れになる気配は微塵もない。

 

「クソッ、魔法撃ちすぎたか...?早すぎる!」

 

スートが魔法を避けながら嘆いた。

 

「悪い!魔力もうそろそろ切れちまう!」

 

ここでスートが魔力切れするのか⁉︎あまりにもハイペースすぎてスートの方が先にバテたか!マズイ、ここで一対一に戻ったら...!

 

「つーかアイツ魔力量どうなってんだ⁉︎あれだけ使ってんのに切れる気配がねぇ!」

 

「隷属の印っていう魔道具の仕業だ!左手に紋章を刻んだ相手から魔力を奪って魔法を発動させているんだ!」

 

アライブの攻撃を避けながらスートに説明する。今更すぎる説明だが、今やるしか無い。

 

「まだ戦う意思があるなら魔力が完全に切れる前にカリヤのところまで飛べ!魔力回復させて戻ってこい!」

 

カリヤの力を借りればまだ戦える。速度操作を使わせるのはあまりしたく無いけれど、こればっかりは仕方ない。

 

「……おい待て。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()⁉︎」

 

その言葉にギョッとする。首を痛めそうな勢いでスートの方を見ると、確かにその左手の甲に隷属の印の紋章が刻み込まれていた。

 

「バレたか...なら、ここらで退場してもらおう」

 

アライブはスートに向けて閃光を放った。

 

「無駄だ!」

 

スートは閃光を止めるために魔法拡散を発動させた。障壁で受け止めることが不可能な以上、これが最適解...いや、違う!

 

「避けろスート!!それじゃ消せない!!」

 

「っ⁉︎」

 

スートが急いで回避しようとした瞬間、閃光が魔法拡散の領域内に侵入した。

 

閃光は分解されなかった。魔法拡散なんて元からなかったかのように直進し、さっきまでスートが居た場所を貫いた。

 

「なぜ消せない⁉︎」

 

「スートの魔力で組み上げた魔法だからだ!自分自身の魔法は魔法拡散じゃ消せない!」

 

危なかった。以前カリヤがニアと試合をした時に、その性質を使って攻撃しようとしたという話を聞いていなかったらスートはやられていた。

 

「ふむ、避けられてしまったか...ならば、こうするまで」

 

アライブが魔法を発動させた。さっきと同じ閃光。しかし、その大きさは先ほどのものとは段違いだ。放たれた瞬間に回避行動を取らなければ回避は間に合わないだろう。

 

だが、アライブは回避も許さなかった。

 

「っ⁉︎魔力が...!」

 

突然、杖に乗って飛行していたスートがフヨフヨと落下し始めた。ギルドの床に墜落する。

 

「こいつ...俺の魔力を全部使いやがった!」

 

隷属の印でスートの魔力を全て使って閃光を作り魔力切れを引き起こしたのか!マズイただ走っただけじゃあのサイズの閃光は避けられない...僕が止めるしかない!

 

「魔法拡さ...使えない⁉︎」

 

「悪いが奪わせてもらった。隷属の印を介して使ったことはあるが、俺自身は一度も使ったことがないんだ」

 

略奪の魔法は、自身が使ったことのある魔法やスキルを奪うことはできない。そして、隷属の印は他人の魔力を使い、その人の適性値を使って魔法を発動させるものなために、略奪の制約に引っかかることはない...クソッ、止める手立てがない!軌道変更の魔法も略奪で奪われてしまうからダメだ!どうする...どうする⁉︎

 

「命まで奪うつもりはない。だが、お前ではカリヤを呼ぶ人質にはなり得ない。だからここらで退場してもらおうか、スート」

 

「させない!」

 

アライブとスートの間に割り込む。アライブに攻撃を仕掛け、無理矢理照準を逸らすしかもう方法はない。ガチガチにバフをかけて身を守り、自分の身体で逸らすくらいの勢いでやるしかない!

 

「無駄だ」

 

閃光が放たれる。自ら当たりに行き、軌道を逸らす...

 

そうしようとしたその時、閃光が勝手に軌道を変えた。僕を避け、左右の二つに分たれてスートに狙いを定めて飛んでいく。

 

「自動追尾⁉︎」

 

もう何もできない。頑張って走るスートだったが、そもそも追尾して来る閃光など飛行できたとしても避けるのは困難。

 

なすすべもなく、命中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……かのように思われた。

 

「……止まっ...た?」

 

閃光はスートに命中する直前、突如として動きを止めた。何が起こっているのかわからず、だが命の危機から脱したことは理解したために緊張が抜けてしまったのか、スートは腰を抜かして座り込んでいた。

 

「何が...起こっている...?」

 

アライブがやったことではないらしく、困惑を隠しきれていない。何者かによって、閃光が止められた。

 

魔法を...止める?

 

「まさ、か...⁉︎」

 

「だいぶギリギリ、間一髪だったみたいだな」

 

またしても、飛び入り参加。スートの魔法によって開けられた穴から、誰かが入って来る。

 

「悪いな、減速使っちまってるから魔力回復は出来ねぇや。スートは逃げてくれ」

 

腰の抜けているスートの肩を叩き、逃げるように指示するとそのまま僕の方に近づいて来る。

 

「よぉ、ライト。ご苦労さん。なかなか苦戦してるじゃないか」

 

「カリヤ...!」

 

カリヤだ。カリヤが来た。来てしまった。

 

「なぜここだとわかった?」

 

「んなもん決まってんだろ。速度探知で見つけただけだ...宿からな」

 

「宿から...⁉︎」

 

宿からこのギルドまでどれだけ離れていると思っているんだ⁉︎今日の朝の時点でのカリヤじゃ到底届かない!まさか...俺を探すためにずっと能力を使っていたのか⁉︎

 

「……まぁいい。二対一はちと面倒だが、呼ぶ手間が省けたと考えよう。どうやら標的はカリヤで相違ないらしいしな...悪いが死んでもらうぞ、カリヤ」

 

「死ぬつもりはねぇぞ。アイツとの約束を守るまで、俺は死ねないからな」

 

まだ、戦いは続く。




また乱入展開かよと思われるかもしれませんが、本当ならスート乱入はなかったんで許してくだせぇ...カリヤ乱入は元から決まってたんで変えようがなかった...

次回はカリヤ視点になります。
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