前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8445字。

色々詰め込んだので、めっちゃ展開早く感じるかもです。


逆恨みの受難

「よぉクルス。修繕頼むわ」

 

「またか。どんな使い方したらこんな頻度で修繕が必要になるんだ?」

 

ダガーを武器屋の店主、クルスに渡す。二度目の修繕だ。

 

「秒速35メートルで走りながら連続で斬ってたら欠けたわ」

 

「そりゃそんな速度で叩きつけたらそうなるさ。もっと耐久性のある素材に変えた方がいいか?」

 

「いや、別にいい。今回はちょっと変な使い方しちゃったせいで欠けただけだ。こんなこと滅多にないし、しなくていいよ」

 

「それ、前にも言ってたぞ」

 

「前回と同じミスをしただけだ。次はない」

 

「それも前に言ってた...」

 

「本当にしないから大丈夫だって。もう慣れたし、どうすれば壊れるのかもわかったから次からは気をつけるよ」

 

能力の効果を受けているものには、物質保護の加護がかかるようになっている。人体を音速以上など極端に加速させた時に、体が空気抵抗でバラバラになったり焼け焦げたりするのを防止するためのものだ。加速したことで受ける物理法則を無視するだけなので、加速中に攻撃を喰らってもノーダメージ、とはならない。あくまで、自滅や自損を防ぐためのものだ。

 

この加護によって、どんなに速い速度で武器を振るっても壊れることはない。壊れるとしたら、能力の使用に関わらず壊れるような動きをしたような時だけだ。

 

刀を例にあげよう。たとえ光の速度で刀を魔物に振るっても、曲がることも折折れることもない。しかし、刀の峰に攻撃が集中すると、加速中でも簡単に折れる。

 

今回のダガーの傷も、魔物の攻撃をダガーで受け止めたのち、無理矢理刃を立てて斬り裂くという無理をしたためだ。こんな使い方、本来の想定から外れている。そういうふうに使うと壊れてしまうのだろう。

 

「まぁ壊れたら直すだけだし、その分料金はもらうから別にいいんだけどな」

 

「よくもそんなことを隠さずに言えるねぇ...」

 

パチンッとクルスが指パッチンをすると、ダガーが一度完全に分解される。そしてそばに置かれていた金属片と融合し、元の形を作り出す。

 

「完了だ。お代は...毎度あり」

 

料金はわかっているので、あらかじめ取り出しておいたお金を渡す。

 

「新しいのは何か買ったりしないのかい?」

 

「しないかな多分。もし買うとしたら、ガネルで買うと思う」

 

「冒険者の町か。それならうちよりもいい武器は揃っているだろうけど...」

 

「この店はオーダーメイドできるんだろ?何か作って欲しいものがあったらここで頼むことにするよ」

 

「そこまで言うなら...その時が来るまで鍛錬しないとな」

 

「俺は見たことないけどさ、クルスなら親父を超えられると思うよ。頑張れ」

 

「お世辞ありがとさん。カリヤも頑張れよな」

 

「お世辞じゃねぇってのに...じゃあな」

 

武器屋を後にする。

 

「さて、ギルドに行こうかな...おわっと」

 

「いてて...ごめんなさい!」

 

小さい男の子にぶつかった。男の子は大きく礼をしてから走り去っていく。

 

「…まさか」

 

能力を発動し、速度探知をする。

 

「やっぱり...!オイ待てこらガキィ!」

 

そのまま自身の速度を加速させ、悪ガキの腕を掴む。

 

「痛っ、何すんだよ!」

 

周囲の人がなんだなんだと集まってくる。

 

「早く盗ったもんだせよ、ガキ」

 

「何のことだよ!」

 

「全部わかってんだよ。鞄から金の入った袋がなくなってる。そして、それはお前のそのポシェットの中に入ってる。返してもらうぞ」

 

「ちょっ、離せってお前!人のもん盗るんじゃねぇよ!」

 

「俺のだよ。先に言っとくけど、落ちてたから警察に届けようとしていたところでした、だなんてこと言っても意味ねぇからな。逃さねぇぞ」

 

「そんなんじゃねぇよ!これは俺のだ!」

 

「俺のだつってんだろめんどくせぇな...」

 

「これがお前のだっていう証拠でもあんのかよ!」

 

「274枚」

 

「…は?」

 

「その袋には274枚入っている。どの硬貨が何枚あるかまで言った方がいいか?」

 

別に、常に所持金を覚えているわけではない。速度探知を使って、何枚あるのか確認しただけだ。

 

「…クソっ!」

 

「っ⁉︎」

 

咄嗟に手を離し、悪ガキの速度を減速させながら半身になって体をそらす。

 

「えっ、なんで...!」

 

「なるほど、アポートか」

 

悪ガキの手には、一本のダガーが握られていた。おれがさっき修繕してもらったダガーだ。ダガーのホルダーに一切手を触れずに盗んでみせた。おそらく、同じような要領で袋も盗んだのだろう。

 

「おまわりさーん!こいつ窃盗と暴行未遂の現行犯でーす!誰か警察の人呼んでー!」

 

「クソっ!」

 

クソガキは走って逃げ出す。

 

「退け!!」

 

ダガーを振り回し、人の波をモーゼのように割りながら走っていく。

 

「めんどくせぇなぁ...うわっと」

 

走ろうとした瞬間、目の前に机のようなものが落ちてくる。周囲のものを転移させ、妨害してきているのだろう。

 

「ほんっとめんどくせぇ...『雷装』」

 

机の上に乗り、クソガキの方を見る。距離およそ28メートル。間にはいくつもの障害物。けれど、こんなの、何の障害にもならない。

 

「一秒だ」

 

机を思いっきり足の裏で蹴り、斜め前に飛び出す。ぐるっと前に一回転しながら着地し、クソガキの手を掴む。

 

「速っ⁉︎」

 

「眠ってろ」

 

「あ゛っ...」

 

空いている方の手でクソガキの首元を触れる。そしてクソガキに軽く電流を流す。スタンガンのように、高圧低電流の電気を流しこんだ。

 

「よっと...あっ警察きた。こいつですこいつー!」

 

警察っぽい服装をした人が歩いてくる。

 

「この人窃盗してきました。あと、この道の騒ぎも全部こいつです。捕まえてください」

 

「この子かい?」

 

「はい。あっ、こいつ気絶してるんで、抵抗できません。そのまま運んじゃってください」

 

「事情聴取するから君も一応ついてきてもらうよ」

 

「はい、なんでも話しますよ」

 

クソガキを警察に引き渡し、俺もついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子供を使った犯罪集団ねぇ...ああ怖い怖い」

 

俺から盗んだ少年は、大きな犯罪集団に脅されて盗みをやっていたそうだ。けれど、擁護はできない。それよりも前から盗みはやっていたらしいし、脅されることになった原因は、犯罪集団の頭領からスリをしたからというものらしい。俺を狙ったことといい、つくづく運が悪いと言えるだろう。

 

「でもまぁ自業自得。ああはなりたくないね」

 

そう思ってしまうのは、比較的治安の良い日本に産まれて育ったからだろうか。スラム街で産まれ育っていれば仕方ないと思えたのだろうか。

 

「アポートなんて魔法使えるんだから、別の方法で人の役に立てることに使えばいいのに...」

 

ポンポンとアポートの活用法が浮かんでくる。運搬業とか適しているだろう。

 

「改心してくれたら嬉しいんだけど...俺には関係ねぇよな。復讐しに来さえしなければなんでもいいや」

 

そうやってあれこれと考えながらギルドに向かう。しばらくは襲撃に気をつけてくださいと警察に言われたので、警戒しながら歩く。その日のうちにマークされるのは少し考えづらいが、念の為だ。

 

「速度探知と魔力回復だけやっておくか」

 

警戒するなら、速度探知は最適と言ってもいい。現在の能力効果範囲は半径2.3メートル。その範囲に入った全ての速度を探知できるので、たとえ視界外から矢が飛んできたとしてもギリギリ避け切れるはずだ。能力で魔力回復速度を加速させれば、速度探知で使う魔力もすぐに回復できる。ほとんどロスがないので、速度探知だけならほぼほぼ一日中使うことができるようになっていた。

 

「よし着いた。なんの依頼をしようかなー」

 

無事にギルドに辿り着く。さっさと中に入り、壁一面に貼られた依頼書を見る。

 

「報酬はもう少なくてもいいから...これでいっかな」

 

手頃な場所にあった紙を一枚選び、手に取る。

 

「新たに出来た聖域の調査ねぇ...面白そうだ」

 

受付に持って行く。

 

「聖域の調査の依頼ですね。では、これを」

 

杖のようなものを渡される。先端には、真っ白な宝石のようなものがついており、白く光っていた。

 

「これは?」

 

「聖域を検知する魔道具です。目印の杭を打つ魔法も内蔵されているので、これを使って西にできた聖域に合わせて目印を立ててほしいのです」

 

「なるほど...」

 

「杭はピッタリ縁に合わせて打ってくださいね」

 

「わかりました」

 

「それでは、頑張ってきてください」

 

ギルドを後にする。

 

「聖域が出来たってのはどうやってわかったんだろうな...そこだけちょっと不思議だ」

 

まぁ考えたところでわかるものじゃない。なんらかの方法で察知したんだろう。Charl○tteの熊○の能力みたいな感じで、聖域が生まれた瞬間その位置がわかるみたいな魔法があるのかもしれない。

 

「結構距離離れてるみたいだし、王都の外に出たら走るか」

 

襲撃に警戒しながら王都の外まで歩く。この王都は、北と南にしか出入りできる門がない。そのため、俺は北の門へと向かっていた。

 

どうして北と南にしか門がないかというと、魔王軍が攻めてきた時に、その方向を制限するためらしい。基本、聖域には魔物は近づかない。けれど、魔王や魔族が魔物を操っていれば、普通に入ってくる。そのため、侵入経路を限定して迎え撃ちやすくする必要があったのだ。カリスだけ四方に門があるのは、魔王城から遠く、襲われることがほぼないからだ。不用心とも取れるが、狩猟の村だからその方が便利なのだろう。

 

「よし、ここからは走ろう。えっと、南西に走れば着くだろ多分」

 

聖域の場所は王都の西としか言われていないので、正確な場所は知らない。だから、手当たり次第に走り回って見つけるしかない。なんてアバウトなのだろう。地図でここら辺ですとか、そういう説明すらなかったぞ。

 

「杖邪魔だな...先端の宝石取れたりしないものかね?」

 

杖を持ちながらだと走りにくい。けれど、鞄に突き刺しておくわけにもいかない。聖域に反応して光る仕様なので、常に宝石の状況を見ておく必要があるのだ。

 

「ダメだ壊れそう。しゃあねぇなぁ...」

 

仕方ないので、杖を手に持ちながら能力を発動させる。

 

「行くか」

 

秒速25メートルで走り出す。

 

「速っ⁉︎」

 

何か聞こえたような気がしたが、気のせいだろう。多分風の音だ。

 

「どこだどこだー」

 

走りながら杖の宝石を確認する。まだ光っていない。

 

「そもそもどれくらいの大きさの聖域なんだ...?めっちゃ狭いとかだったら見つける段階ですごい時間食うぞこれ...」

 

何かいい方法はないだろうか。

 

「ここら辺だよな、王都の西って。というか場所の指定が方角だけってほんとアバウトすぎる。Go○gleマップが欲しい...」

 

文明の利器って本当に便利だったんだなぁ...と思いながら、一度立ち止まる。王都にあるあのデカい城がなかったら、方角すらわからなかっただろう。

 

「西ってどこらへんまで含んでるんだろう。放射状に考えるのか、直線的に考えるかで、範囲結構変わるぞ?本当に走り回るしかないのか?」

 

走り出す前に少し考える。杖以外に聖域を見つける方法は...あっ。

 

「これでいいじゃん。『マナ探知』」

 

視界が切り替わる。赤い点と青い点が見えるようになる。

 

「青だけの所は...この近くにはないな。移動しよう」

 

聖域の内部は、全て聖素で満たされている。杖など使わなくても、マナ探知を使えば聖域の場所を見つけることができる。

 

「あっ、この宝石、聖域に反応してるんじゃなくて、魔素に反応して光らなくなるだけか。マナ探知の魔道具だったんだな」

 

おそらく、マナ探知を使えない人のための宝石なのだろう。それに、杭を打つ機能を持った杖をくっつけた。そういう魔道具なのだ。

 

「よし、もう一度...『マナ探知』」

 

視界が切り替わり、赤と青の点が見える。

 

「おっ、あそこ青い点だらけだ。多分あそこだな」

 

それっぽいところを見つけたので、スキルを解除して歩く。

 

「確かこの辺だったはず...おっ、光った」

 

杖の宝石が光り出す。ここが聖域みたいだ。

 

「境目に杭を打つんだったよな...うぉっ」

 

背後から飛んできた矢を、加減速を用いながら首を傾けて避ける。ちょうど瞬きのタイミングだったが、速度探知があれば関係なかった。

 

「今来るかぁ...っていない?」

 

後ろを振り向くも、誰もいない。

 

「でも矢は飛んできたし...んなっ⁉︎」

 

目の前から、目に見えない矢が飛んでくる。視覚で捉えられなかったことで少し驚き、反応が遅れてしまったがなんとか能力を駆使して避ける。

 

「見えない矢か...でも、実体はあるっぽいし風で作った矢ではなさそうだな」

 

おそらく認識阻害の魔法か、風○結界のように空気の屈折率を操作する魔法で見えなくしているのだろう。けれど、ただ見えないだけでは俺には当てられない。速度探知の前には無力だ。

 

「術者も、矢を隠しているのと同じ魔法で姿を隠してる、そうだろ?」

 

「っ...!」

 

「そうやってコソコソ隠れてても無駄だ。俺を倒したいなら姿を現しな、臆病者」

 

飛んでくる全ての矢を軽々と避けながら挑発する。

 

『図に乗るんじゃねぇぞテメェ。よくも俺らの稼ぎ頭を潰しやがって。ただじゃおかねぇからな!』

 

どこからか声が聞こえてくる。いや、どこでもない。頭の中に、直接叩き込まれているような感じだ。テレパシーの魔法だろう。直接声を出して、位置を悟られないためだろうか。

 

「そうやって隠れてねぇとそんなことも言えねぇのか?威勢だけはいいなお前」

 

そう言うと、飛んでくる矢の数が増える。怒っているのだろうか。

 

「お前、一人か?」

 

『誰が言うか!』

 

「なるほど、一人だな」

 

『な、なに⁉︎』

 

「複数人いるならわざわざ突っかかる必要ないしな。それに...『マナ探知』」

 

視界が切り替わる。赤い点と青い点が視界を埋める。

 

「姿が見えなくても、お前が動いたことで揺らいだものを見れば位置を割り出せる」

 

赤い点と、青い点が不自然に動いているところが見えた。おそらくそこにいる。数も一つだ。

 

『なんで!避けれんだよ!』

 

「さぁな、教えるもんか」

 

さらに飛んでくる矢の量が増えたが、まだ避け切れる。けれど、これ以上増えたら少し面倒だ。

 

「そろそろこっちもいくぞ。痛みで泣くんじゃねぇぞ」

 

鞭を取り出す。これなら遠距離に、広範囲に攻撃をできるし、必要以上に傷つけることもない。少なくとも半径2.3メートル以内にはいないので、大きく移動しながら打つ必要があるな。

 

「痛かったら早く言えよ!そして姿を現しな!」

 

飛んでくる矢を鞭ではたき落とし、そのまま直進して横凪に振るう。空気を叩く音が響き、その直後、何かに当たったかのように不自然に軌道がそれる。

 

「ガァッッ⁉︎」

 

パチンッと乾いた音が響き、弓を持った男の姿が見えるようになる。魔法が解けたのだ。

 

「クソが...!」

 

「ほれもういっちょ!」

 

「ぐっ...⁉︎」

 

男の背中に勢いよく鞭を叩き込む。男は痛みに悶え、弓を手放す。

 

「次で終わらせる。眠ってもらうぞ」

 

『雷装・鞭』

 

鞭に高圧低電流の電流が流れ始める。当てればスタンガンのように気絶することだろう。

 

「終わんのはテメェだ!」

 

男は弓に手を伸ばす...ことはなく、懐から何かを取り出して傾ける。

 

「目眩し⁉︎小癪な真似を!」

 

それは小さな鏡だった。太陽の光が反射し、目に浴びせられたことで一瞬目を閉じてしまう。それに構わず鞭を振るが、当たらない。

 

「悪いけど目眩しには慣れてんだ...なるほどね、面白い」

 

荒野で幾度と雷で目を潰されてきたため、すぐに回復する。しかし、一瞬まだ目がやられているのかと思ってしまう状況が目の前に広がっていた。

 

「分身...か」

 

男が三人立っていた。姿形、衣服、動き全てが同じだった。

 

「いや、分身じゃねぇな。お前のその魔法、光を操作するタイプのやつだろ。それで、光を拡散させて複数の像を作り出してる。当たってるだろ?」

 

「なんで...!」

 

「つまり、二つは偽物。本物はこの中にいる...なんてね」

 

振り向きざまに鞭を振る。背後に立っていた男に命中し、バチンッと電気が流れる。

 

「本物は後ろ。お前、近づきすぎだ」

 

速度探知の範囲内に男が入ったおかげで、本物の位置を特定することができた。もし男が入ってこなかったとしても、少し前に踏み出せば偽物が範囲内に入って実体がないことがわかったはずなので、この結末は変わらなかっただろう。

 

「とりあえず...聖域の中に入れておくか。気づかないうちに魔物に殺されてたとかなったら目覚め悪いしな」

 

男を引きずり、聖域の中に入れる。

 

「よし、杭を打つか。えっと、境目は...ここだな」

 

ちょうど宝石が光るか光らないかの境目に立つ。

 

「打ち方は確か...宝石の接続部を右に回して、地面に底を叩く!」

 

カンッ!と金属音が辺りに響く。

 

「できたかな...おぉ、できてるできてる」

 

杖を地面から離すと、地面に水色の杭が刺さっていた。これでいいんだろうか?

 

「どんくらいの感覚でやればいいんだろ...適当に1メートル間隔くらいでいっか」

 

少し移動しては杭を打ち込むのを繰り返す。

 

「結構広いな...」

 

何度も、何度も繰り返す。ちょっと虚無感出てきたが、そのまま何も考えずに杭を打ち込み続ける。

 

「これ、俺の魔力使うんだな...だいぶ減ってきた」

 

さっきまで戦っていたのもあって、だいぶ魔力を使ってしまった。この感じだと、あと大体4分の1くらいだと思うが、一旦魔力を回復する必要があるだろう。

 

「おっ、やっぱ聖域は魔力回復早いな」

 

杭を打つのを中断し、聖域の中に座り込む。やはり、魔素がない場所だと魔力回復がとても早い。ただでさえ早いのに、加速も合わせるとさらに爆速だ。

 

「ここまで回復すればもう足りるだろ。再開しよっと」

 

杖を持ち、杭を打つのを再開し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男を引き摺りながら王都に戻り、警察署に向かう途中、騒ぎを聞きつけたらしき警察官がやってきた。

 

「まさかその日のうちに襲われるとは...君も災難だったね」

 

警察官に男を引き渡した時、そう言われた。

 

「えぇ、まったくです」

 

「今後も襲われるかもしれません。警備をつけましょうか?」

 

「うーん...いえ、大丈夫です。自分だけでなんとかできるんで」

 

「そうですか。それはよかった」

 

うん、やっぱ怪しい。

 

「ちょーっとすみませんねぇ」

 

『雷装』

 

「ガッッ!」

 

一瞬で警察官の首に触れ、電流を流す。

 

「テメェ...なにを...!」

 

「さて、ここの袖に隠してあるナイフはなにかなー?」

 

袖を捲りながら、まだ意識を保っている警察官に問いかける。

 

「くっ...!」

 

「お前、どうせあいつらの仲間なんだろ?あのガキから聞いたのかは知らんが、耐性付与の魔法を自分にかけていたみたいだし、ナイフの件も含めて怪しすぎんだよ。ここに来るのもめっちゃ早かったしな」

 

「だからってテメェ...警察に即攻撃するかよ...!」

 

懐を弄って、速度探知で見つけていた手帳のようなものを引っ張り出す。それは警察手帳だった。名前は...ルークか。

 

「ありゃ、これ本物の警察手帳?ってことはお前スパイだったわけだ。警察の仲間がいれば、そりゃ摘発できんわな」

 

「テメェ...死ねや!」

 

警察官は腕を俺の方に向け、肘を軽くクイッと動かす。すると、ナイフが射出されて飛んでくる。

 

「無駄だよ」

 

射出するための魔道具がついていたのは、速度探知のおかげでわかっていた。そのため、簡単に掴み取ることができた。

 

「面白い魔道具だな、こんなのもあるのか...さて、実はなあの男、うわ言みたいに呟いてたんだよ。何だと思う?」

 

「……」

 

「きっとルークが助けてくれる...だってさ」

 

もちろん、そんなこと言っていない。今もずっと気絶しているのだ。そんなこと言えるわけがない。名前だってさっき知ったばっかりだしな。

 

「くそっ、サーズのやつ...!」

 

「あれー?あの男の名前知ってるんだー?指名手配でもされたのかなー?」

 

わざとらしく言ってやると、警察官はやっとカマをかけられたのだと気づく。

 

「今のでチェックメイトだ、ルークさん?」

 

『雷装』

 

ルークとかけてチェックメイトを告げ、再度首に電気を流し込むと、警察官は耐えきれず気絶した。

 

「ふぅ、これで...ん?」

 

その時、周囲に立っていた子供が三人近寄ってくる。なんだなんだ?

 

「と...」

 

「と?」

 

「頭領ー!!」

 

「頭領⁉︎こいつが⁉︎」

 

マジか。それは流石に想定外だ。

 

「お前よくも頭領を!」

 

「ああもうめんどくせぇ」

 

『雷装・鞭』

 

ヒュンッと鞭を振り、子供に電気を流し込む。

 

「はぁ...めんどくせ。依頼の報告しに行かないといけないってのに...」

 

この場には二人の男と、三人の子供が横たわっている。どうしたものか...

 

「あの、これはどういう...」

 

野次馬の一人が話しかけてくる。

 

「あぁ、こいつら、なんかの犯罪集団の一味みたいなんです。すみません、俺行かないといけなくて、あと頼みます」

 

「えっ?ちょっ」

 

もうなんかめっちゃめんどくさかったので、全て放り投げる。

 

『雷装』

 

雷装を発動し、能力も使って、秒速35メートルでその場を後にした。

 

後日、警察が宿にやってきて懸賞金を渡しにきた。思わぬ臨時報酬に俺はしばし喜んだが、ほっぽりだして逃げたことをこっぴどく怒られることとなった。




さらっと犯罪集団を一つ壊滅させたカリヤくん。
でも、もし警察官が本物だったらどうするつもりだったんですかね...
豚箱エンドも面白そうですね。
物語が終わっちゃうから書きませんでしたけど。

あと、熊耳の能力ってあれであってましたっけ?
自分の記憶だとこうでしたけど、どこにもソースないし、公式サイトには何も書いていないしで...よくわからん。

p.s.
最後の雷装スキルの鉤括弧、』←こっちだけ抜けてたんで修正しました。
気づかなかっただけで何回かやってそうだなぁ...反省します。
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