前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

200 / 213
8093字。

記念すべき200話ですが、今回は話と話の繋ぎ、完全なる日常回ですね。


新たな脚

「うわっ、どんだけやらかしたのよボロボロじゃない」

 

ライトを助けてちょっと経った後、ギルドの外からそんな声が聞こえてきた。

 

「おっ、ようやく来たか」

 

俺が外に飛び出したことで、神世界復興同盟の奴らが襲い掛かってきたことだろう。そんじょそこらの有象無象が襲ってきたところで即座に返り討ちだと思っていたけど、移動時間を考えるとそれなりに時間かかったな...相当人数いたのかな?

 

「燃えてた箇所は消しといたわよー感謝しなさーい」

 

そう言いながら、おそらくはスートがぶち開けたのであろう壁の穴からニアが入ってくる。その後ろに続くように残りの三人も入ってくる。

 

「一応言っておくが壁の穴の犯人は俺じゃなくてお前が呼んだスートだからな?まぁ火事は俺のせいだけど」

 

「ならほとんどカリヤじゃない建造物破壊の罪と放火の罪で逮捕...ね?」

 

こっちを見て、ニアが固まる。まぁ雷装魔力で創った脚を見て驚いてるだけだろうな...だけ、ってレベルじゃないけど。みんなに脚失ったこと説明しないとか...雰囲気が地獄になるのが目に見えてわかるぜ...

 

「……もしかして、腕だけじゃなくて脚も魔力体に変換できるようになった?」

 

「あーそういう解釈されちゃうか...はーいみんな、ちゅうもーく」

 

こういうのは隠さずに早々に明かしてしまおう。どうせ隠せるもんじゃ無いしな。軽ーくカジュアルに明かしてさっと流しちゃえ。

 

「はいほらライト暗い顔しなーい」

 

「……なんか、ものすごーく嫌な予感するんだけど...」

 

「あっ、そうだその前にこれ返しておくわステラ」

 

指輪を放り投げてステラに渡す。

 

「魔力がない...使ったの?」

 

「ああ。正常に作動してくれたぜ...まぁ、一度しか使えないっていう欠点がモロに出ちまったがな」

 

「それっ...て...」

 

「こう、なっちまったわ」

 

雷装魔力を体内に戻す。身体を支える脚がなくなり、落下してそのまま座り込む。

 

「カリヤ...脚が...⁉︎」

 

……ちょっと危ないセリフ吐くなぁステラよ。腕だったらまんまだぞ。

 

「まぁ、なんだ。一度右脚が切断されて、指輪の力で過去改変されて無かったことにされた次の瞬間には両脚を斬られてたわ。そんで逆行再生で治そうとしたら先にこの形に治されちまって元に戻せなかったんだよな」

 

そう言いながら脚を再形成して立ち上がる。

 

「っ...確かにそうなっちゃ治せないわね」

 

「やっぱニアでもダメなのか。ちょっと期待しちゃってたんだよな...まぁしゃーない」

 

「しゃーないじゃないよ!脚を失って、どうしてそんな平気そうにいられるの...?」

 

「……まぁ、平気ってほど平気でも無いんだけどな。辛いもんは辛いよ」

 

まさかこんなことになるとは思ってなかったからな...脚切断されるとか誰が想像できるかよ。

 

「けど、雷装魔力で脚創れるってわかったからな。そこまで深刻でもないっていうね。なんなら魔道具探ししてナルミの脚と同じ奴探せば良いし」

 

「……なんなの?カリヤの世界じゃ脚無くなるとか日常茶飯事なの?」

 

「いやいやそんなことないぞどっちかというとこっちの世界の方が茶飯事だからな?」

 

そりゃまぁ戦争とかで脚失うとかはあったかもしれんが、そんなのはそうそう起こらないからなぁ...日本人だからそう思うだけかもしれんが。

 

「そんなことよりもアイツだよアイツ。早よ連行しようぜ」

 

「はぁ...後でお父様に義足を作れないか聞いてみるわね。で、結局ライトを呼んだのは誰だったわけ?」

 

「そこでぶっ倒れてる奴だぞアライブだ...って、いない⁉︎」

 

ヤッベェ逃げられた⁉︎完璧に気絶してたのにいつ起きたんだ...?

 

「めんどくせ〜探すか」

 

速度探知を発動させる。流石に一キロ圏内にはいるだろ...

 

「あっ見つけた。動き止めるわ」

 

逃げるアライブの速度をゼロにし、完全に固定してしまう。

 

「追いかけるぞ〜ついてこーい。ここに居ても何もなんないぞ〜」

 

「ああもぅ待ちなさい勝手に歩き出さない!」

 

ぱっぱと行こうとしたら引き止められた。

 

「そうは言っても逃す方がまずいだろ?意外と魔力減ってるし早く行かないと逃しちゃうぞ」

 

「あんた...その脚で行くつもり?」

 

「うん」

 

「即答...それで魔力使い果たしたら困るし、それに目立ちすぎだから脚は消しておきなさい」

 

「それじゃあどうやって移動すりゃあ良いってんだよー」

 

「クミリア」

 

「あいあいさー」

 

「えっ、人攫いスタイルなの?そっちの方が目立たない?」

 

クミリアの肩に担がれる形で運ばれる。絵面がアレだから脚が変なことになってる奴よりも注目を浴びそうなんだが...

 

「早く雷装解除してよカリヤなんか触れてないのにピリピリする」

 

「あっすまん」

 

雷装魔力の密度が凄すぎて、触れずとも近くにいるだけで少し電流が流れてしまうらしい。クミリアだからピリピリ程度で済んでるけど、普通の人だとだいぶ痛いだろうな...

 

「それじゃあ俺が道案内するから移動は頼んだぜクミリア」

 

「オッケーどっち行けば良い?」

 

「とりあえず外に出て...こっちだな。最短ルートで行くぜ」

 

クミリアに担がれて移動する。後ろにみんなもついてくる。

 

「そういえば、スートはどこに行ったのよ」

 

「俺が来た時に離脱していったぞ。魔力切れしちゃったからな」

 

「カリヤが魔力を回復させてやればよかったのに。そうしたら三対一よ?」

 

「なんかスートにも隷属の印が付いてたみたいでな。元から付いてたのか戦闘中に付けられたのかはわからんが、魔力回復させてたらスートの魔法が飛んできてただろうからやんない方が正解だったんだよ。まぁ、しなかったのは偶然なんだけど」

 

かくいう俺も戦闘中に付けられたわけだし、多分戦闘中に付けられたんだろうな。もしスートの魔法が使われていたら...どうなんだろ。スートが今どんな魔法使えるかわからないから苦戦するのかもわからないな...

 

「つーかさ、隷属の印とかあの変形する魔道具とかはなんでライトに引き継がれてないんだ?ああいう戦力になりそうな奴は大体勇者に引き継がれるものじゃないの?」

 

「魔力や魔法、スキルは身体に蓄積されるものだから勇者選定の時に引き継げるけど、魔道具はあくまで物だからね。魔道具は直接手渡ししてくれないと引き継げないんだ」

 

「隷属の印を使えてたらだいぶ話変わってくるよな...英雄以外の人の力を魔王討伐の時に借りられるとか強すぎね?」

 

「……だから僕に渡さなかったのかもね。渡してしまったら魔王が簡単に倒されてしまうかもしれないし」

 

「そうかもな。選定直後はまぁ落胆してたし俺らもすぐ移動したから渡せなくても普通だけど、その後ならいつでも渡せたはずだもんな。わざと渡さなかった説が濃厚か」

 

「魔族に協力してたわけだしね」

 

「……そういえば聞いていなかったけれど、二人が戦ったのはアライブ...元勇者候補で合っているのよね?」

 

「そうだな」

 

「勇者候補だった人がこんなことしたの...?」

 

「そういや言ってなかったが、アライブが神世界復興同盟のリーダーらしいぞ」

 

「えっマジ⁉︎」

 

「うわ揺らすなビックリすんだろ!」

 

驚いたクミリアの動きによって腹が揺さぶられた。肩に担いでいるということを忘れないでもらいたい。

 

「それ、本当なの?」

 

「ああマジだ。奴が魔族と共謀して組織を作ったんだと」

 

「魔族と共謀?キネットから魔神の話を聞いた記憶が戻ってきてから作ったんじゃ無いの?」

 

「どうも違うっぽいんだよな。前々から魔族となんかしてたらしいし、俺は記憶を弄られてないとか言ってたし。まぁ、記憶云々は不可逆の記憶改竄の可能性が高いけど」

 

「もしそうだとしたら、いくら尋問したところで無意味そうね...」

 

「だな...つーか、結局アイツの目的ってなんだったんだろうな?」

 

「えっ?魔神の復活なんじゃないの?あっ、あと魔王の敵討ち...とか?」

 

「アイツの言い分的に違いそうなんだよねぇ...俺への殺意エグすぎて、魔神の復活とか二の次って感じだった」

 

「魔王を倒したのはカリヤなんだし、魔神の方はともかく敵討ちってのは当たっているんじゃないかしら」

 

「でも俺が魔王を倒したことって公表されてないだろ?ライトが倒したことになっていたはずだ。だから敵討ちで狙うならライトになるはずだろ」

 

「……そういえば、僕がアライブと対面した時変なこと言われたな...」

 

「変なこと?」

 

「僕の狙っている相手は君じゃなかったみたいだ...って言っていた。そういえば、僕のことを一目見ただけで、魔王が倒したのは僕じゃないってわかっていたようだった。魔王を倒したことで、カリヤに何か変化が起こっているのかも...」

 

「そーいや俺と対面した時にもそんなこと言ってたな。標的はカリヤで相違ない...だったか。なに?俺呪いでも刻まれてる?」

 

「そんなのかけられていたら私が気づくわよ」

 

「まぁそうだよな」

 

「変なことといえば、あれはなんだったんだろね?」

 

「あれ?...ああ、あれか。お前は生きてちゃいけないんだ。お前の仲間も友達も関係ない赤の他人も全員お前のせいで死ぬ。それが嫌だったら自分の首でも切って死んでくれ今すぐに...だっけか」

 

「なにそれ。頭おかしくなっちゃったんじゃ無いの?」

 

「そうだよなぁ...これがあるから、記憶弄られてないっつー話到底信じられないんだよな」

 

どうして俺が生きていたら全員死ぬんだ?俺が生きていたら世界が滅ぶって何が起こったらそうなるんだよ...

 

「……アイツの言うこと全部が正しいとして、うまーく辻褄が合うように解釈すれば、いずれ俺の能力が限界まで強化されて全世界の速度を操作できるようになった時、俺の匙加減で全て意のままにできてしまうのを恐れた...って感じになるけど、これも結構無理あるしなぁ」

 

「カリヤが変なことするわけないのにね」

 

「すっごい信頼だなぁ...いやまぁそんなことしないのはそうなんだけどな。というか、そんなことになるまで能力を使うこともないだろうし」

 

この世界全域を速度操作の領域が覆うって、どれだけ能力を使い続けたらなるんだろうな...ライトを探すために使ったときの拡大率からして、意外と早いかも...?

 

「あっ、そこ左な。そこにいるはずだ」

 

話していたらもうすぐそこまで来ていた。道を曲がると、完璧に動きを止めたアライブの姿が見えてくる。

 

「よしよし、ちゃんとアライブ本人で間違いないな。どんな気持ちだ〜」

 

「ク、ソがぁ...!」

 

「うっわ目ぇヤバ...」

 

クミリアにアライブの前に回り込むように頼んで移動してもらったが、めっっちゃ睨まれた。怖すぎる。移動速度しかゼロにしてないから目がギロっと動くし怨嗟の声も出せるから怖すぎる。もう全部止めてやろうかな。

 

「手痛くやられたが、勝負はお前の負けだ。大人しく捕まってもらうぜ」

 

「……チッ!」

 

まだ抗いたいが、速度操作の前では無力だと察したのか、アライブは動こうとするのをやめる。

 

「なぁ、どうせ記憶改竄されてるだろうし無意味だろうけど、一応聞くぞ。なんで俺が生きてると世界が滅ぶんだ?」

 

「……せかいってのがなんなのか分からん...」

 

「説明めんどくさ...全員死ぬってのがどういう意味かって聞いてんだ」

 

「それは...言うわけにはいかないな」

 

「なんで言えねぇんだ?お前が知ってること全部答えろよ」

 

「ダメだ。お前にだけは言えない」

 

「なんでさ」

 

「……」

 

「無言ねぇ...俺以外だったら話せんのか?」

 

「……ライトにだったら」

 

「ライトだけ?なんでぇ?」

 

「それならなんであの時に話してくれなかったの?」

 

「そうじゃん俺とかスートが来るまでお前らタイマンしてたんだからそん時に話せたじゃん」

 

「それは...」

 

チラッと俺の方を見てくる。なんだろう、俺が悪いみたいな雰囲気出してくるなこいつ。

 

「俺がいなきゃ話せるってか?」

 

……頷くんじゃねぇよ。

 

「何か俺に聞かれたらまずいことなんかねぇ...じゃあアレだ。今度ライトが一人でアライブに聞きに行ってくれ。俺がどっか遠くに行った時に、事前に伝えずに行ってくれば俺に聞かれる心配ないだろ」

 

速度探知の範囲内だとその場にいなくても何を話しているか分かってしまうからな。速度操作を使うことは少なくなるとはいえ、一応俺が遠出している時に話を聞いてもらうとしよう...この脚で遠出するかどうかは微妙だが。

 

「じゃあそういうことで、とりあえずお前は逮捕だ。話は後でライトがじっくり聞くから、大人しく着いてきてもらおう...いや、動き止めとくからこのまま持ち上げていこうぜ」

 

「りょーか〜い」

 

そう言ってクミリアはアライブを持ち上げ、肩に担ぐ...今こいつ、男二人担いでんだよな。いつものことだが筋力エグいっすね...

 

「じゃあ行くよー」

 

アライブを連れて、俺たちは警察署へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ...ここどこ?」

 

アライブを捕まえた次の日のことだった。

 

目が覚めたら、俺は外にいた。どうやら、ガネルのどこかの路地裏らしい。

 

「また夢遊病...?なんで脚無いのに歩き回ってんだよ俺...」

 

無意識下の行動のはずだが、どうやら雷装魔力で脚を創って歩き回っていたらしい。地を這うようにして移動していたなら服が汚れているはずだが、綺麗なままだからな。ちゃんと脚を創って歩いてきたことの証拠だ。

 

「……とりあえず戻るか」

 

『雷装』

 

雷装魔力で脚を創り出し、宿に向かって歩き出す。

 

「……やっぱ変な目で見られるなぁ...」

 

この時間になると人通りも増えてきて、俺の脚を見て驚く人も少なくはなかった。なんかバチバチしてるし、そりゃ注目を集めるよな...

 

「しゃーねぇ急ぐか」

 

能力を発動させ、加速ダッシュで宿へと向かう。

 

「……また能力強化されてる...一晩でこんだけ広がんのかよヤベェな」

 

昨日から倍くらいまで能力範囲広がってる...半径二キロだよ二キロ。ヤバくね?

 

「こりゃライトとアライブの秘密話の時にはだいぶ遠くまでいないとダメだなこりゃ...っともう到着か。速度もだいぶ速くなったな」

 

一瞬で宿の前に辿り着いた俺は、さっさと扉を開けて中に入った。

 

速度探知のおかげで入る前からわかっていたことだが、中に入ると腕を組んでいかにも不機嫌そうなニアが立っていた。

 

「まーた夢遊病?」

 

「らしいな。で、その後ろに隠してあるやつはなんなんだ?」

 

「……はぁ、速度探知を使ってるなら何を隠したって無駄ね。これ渡すわよ」

 

そう言いながらニアは後ろに隠していたものを取り出した。

 

「なにこれ...って、もしかして昨日言ってたやつ?」

 

「ええ、カリヤ専用の義足よ」

 

「……早くね?後で頼んでおくつってたけど昨日の今日で完成できるもんなのか?」

 

アライブと戦ったのは昨日の朝だ。連行した後にリヒトに作ってもらうように頼んだとすると時間的には昼以降のはず。そこから一晩で義足を作ったってことだよな...工期ヤバすぎだろブラックすぎん?

 

「魔力を流せば動く簡単なものだからすぐ出来たわ。ガワはちょっと無骨だけれど、使う分には問題ないはずよ。これで魔物を蹴り飛ばしても大丈夫な程度には耐久性も上げてあるわ」

 

「凄いなめっちゃ助かる」

 

「ただ、魔力をだいぶ使ってしまうのよね。動くためとは別に、耐久力を保つのと重量を支えるのにも魔力を使うからかなり消耗が激しいわ。カリヤの魔力はとても多いとはいえ、とても普段使いできるような代物では無いわね。一日中使うのは無理よ」

 

「そうなのか?そうなると...普段の移動はクミリアに任せるしか無いか?」

 

「カリヤがそれでいいのなら別に構わないのだけれど...一応こんなものも用意したわ」

 

突如虚空から物が出現する。次元収納に格納されたものは速度探知に引っかからないからちょっとビックリしてしまった。

 

「お〜車椅子かいいね」

 

出てきたものは車椅子だった。見た目は普通だけど、機構を見るとどうやらオフロードでも動きやすいように細工されてるな?

 

「普段はこれに乗って移動すると良いわ。誰かに押してもらうなり、自分の手で動かすとかして使いなさい」

 

「いや〜助かるわ。ありがとなニア」

 

「礼ならお父様に言いなさい」

 

「そうするよ。じゃあこれ座って良いか?」

 

「カリヤのために作ったものなんだからわざわざ聞かなくて良いわよ」

 

「へいへい」

 

ニアから義足を受け取り、車椅子に座る。そして雷装魔力の脚を消して、脚に義足を取り付ける。

 

「魔力流せば動くんだっけ...おっ、意外と使いやすいな」

 

雷装魔力で脚を形成して動かすよりも遥かに楽だ。魔力で義足を動かしているのではなく、魔力を流して義足を起動させたら、頭の中で思い浮かべた通りの動きを自動的に汲み取って動いてくれるって感じか。少し違和感はあるものの、普通に脚を動かしているのとあまり遜色ないな。

 

「でも確かにまぁまぁ魔力使うな。雷装魔力よかマシだが、確かに普段使いは出来ないな」

 

今度は車椅子の具合を試す。ロックを外して、ハンドリムを回して...

 

「おっ、軽いなこれ。だいぶ動かしやすいぞ」

 

以前高校で車椅子体験みたいなのがあってそれで乗ったことがあったが、その時のと比べてかなり動かしやすい気がする。いつも通り何らかしらの魔法がかけられているんだろうな。

 

「……なぁ、これも魔力使って動かせたりしないか?」

 

「出来るは出来ると思うけど、それだったら義足で歩いた方がマシよ」

 

「そっか...後で改造してみよ」

 

過去に触れたことのあるものなら製作スキルで大抵のものは作れるし、モーターとか色々取り付けてジョイスティックで操作できるように改造しようかな。電力は雷装を使えばなんとかなるし、バンバン技術革新を進めてやろう。

 

「なにそれー!」

 

ステラが二階から降りてきた。義足も車椅子もなかなか珍しいものだろうし、気になるのだろう。

 

「失った脚の代わりだ。普段はこれに乗って移動することになるかな」

 

「へ〜一人用の乗り物なんだ」

 

「押してみるか?」

 

「押すって?」

 

「俺がここ持ってタイヤ動かして動くこともできるけど、ほらここに持ち手があるだろ?誰かにここを持って押してもらうことでも移動できるんだ。やってみないか?」

 

「やるやるー!」

 

ステラは俺の後ろに回り込むと、持ち手を持って車椅子を動かそうとする。

 

「あれ?動かないよ?」

 

「ああごめんストッパーかけてるんだ今外す」

 

ガチャンとブレーキを解くと、ステラによって車椅子が動き出した。

 

「ちょ、っと力いるねこれ」

 

「まぁ俺の体重が乗ってるからな」

 

ゆっくりとだが宿の中をぐるぐると動き回る。ステラも少しずつ慣れてきたようで、だいぶ動きが滑らかになってきた。

 

「これって段差があったらどうするの?」

 

階段の方を見ながらステラが聞いてきた。

 

「小さな段差だったらこのまま昇り降りできるぞ。下の方に棒みたいなのが突き出てるところがあるだろ?そこを踏むと前輪が持ち上がるからそれで段差を乗り越えるんだよ。んで、降る時は後ろ向きに降りるんだ前からだと俺落ちる」

 

「大きい段差だったら?」

 

「無理。さっさと降りて車椅子と別々に登った方が早いかな」

 

「そうなんだ...」

 

「おっ、なんか面白そうなことしてるじゃん」

 

クミリアが降りてきた。ライトやレストも一緒に降りてくる。

 

「俺の新たな脚だ。クミリアも押してみ...いや、やめとこ」

 

「えーなんでよクミさんにもやらせてよ〜」

 

「絶対に断る」

 

なんかクミリアに押させたら暴走する未来しか浮かばない。絶対振り落とされると思う。

 

「……んで、今日何するよ」

 

ひとまず神世界復興同盟関連の騒動は一段落ついた。トップを捕まえただけで末端の構成員はまだ活動を続けているだろうけど、まぁ時期になんとかなるだろう。わざわざ探さなくとも勝手に襲いかかってくるだろうし、やるなら何か別のことをしたいところだ。

 

「巨大化魔物の討伐に行こうと思っていたのだけれど...カリヤは動けるのかしら?」

 

「全然動けるぞー多分」

 

「わかったわ。それじゃあ行きましょうか」

 

お?なんかすんなり俺も一緒に行く流れになったな。てっきりステラあたりが反対すると思ったのに...昨日のうちに話を通してあったのかな?

 

と、こうして俺は新たな脚を手に入れ、いつもの戦闘へと繰り出すのだった。




書き始めた当初はまさか200話を超えるとは思ってませんでしたよ...読んでくださる皆様に感謝です。

次回は戦闘回ですが、脚が変わったからといってそこまで変化はないかも...?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。