前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
巨大化魔物との戦闘回です。
「今日の標的はなんなんだ?」
ガネルを出て巨大化魔物がいるという北西方面へと移動中に、多分ニアが知っているだろうと思い聞いてみる。今回はどんな魔物なんだろう。
「今回は二種類よ。それも、同系統だけど正反対の魔物ね」
「同系統で正反対?...どゆこと?」
「カリヤなら前に戦ったことがあるんじゃ無いかしら。騎士の魔物で、物理耐性と魔法耐性の両方がいるらしいわ」
「ああ、あの魔物か」
魔法耐性持ちはカイスでの戦争で、物理耐性持ちはガネルでクミリアと一緒に倒したことがある。それが同じ場所にいるってことか...キネットが転移させてどちらかを運んできたんだろうな。
「認識阻害の魔法のせいで遠くからじゃ見えないけれど、かなりのサイズみたいよ。カイスの壁を乗り越えられるくらいはありそうね」
「そりゃデカいな...ってかホントどんだけ巨大化魔物作ってたんだよ加減しろ加減」
結局使ってないんだし、そんなデカいのを作るくらいなら数メートル規模に巨大化させたのを量産して、女神の山での俺らとの戦闘の時に転移させればよかったのに。そっちの方が苦戦したぞ絶対...もしかしたらサーマルがバカだから毎回過剰に魔素を注ぎ込んでいたのかもな。
「そーいやさ、あの魔物ってめっちゃ似てるけど、あれ見分ける方法とかあるのか?」
同じような見た目で持っている武器も同じ。物理耐性と魔法耐性どっちがどっちなのかわかっていないと戦いづらいだろう。
「無いわ」
「無いのかよ」
「一回攻撃するしか無いわね。まぁそれだけじゃダメなのだけれど」
「ん?どういうことだ?」
「どうもアイツら、互いの耐性を入れ替えることができるみたいなのよね。これまで二種が一緒にいることがなかったから知られてなかったみたい」
「あー...つまり、一度攻撃してどちらの耐性なのか分かったとしても、すぐに入れ替えられてしまうから攻撃が通りづらいってことか。物理と魔法を同時にぶつけるのが一番無難か?」
「そうね。それか一番早いと思うわ」
「じゃあ片方は一旦無視して一方を集中狙いするか。片方だけになれば入れ替わりも無くなるわけだし」
耐性を入れ替える力があるなんて知らなかったな。生息地域が離れてるから、普通ならこの力を発揮する機会は無かったんだろうな...面倒なものを残していきやがったなキネットの奴は。
「魔法耐性持ちが残ってくれると嬉しいね」
「だなー俺らってどっちかというと物理寄りだし」
物理魔法両刀なのは俺とライトだけ。ニアは魔法特化で、クミリアとステラは物理特化、レストは耐久専門と、それなりに物理に偏っている節がある。
そして、物質生成で超質量のものを作り出してぶん殴るといった風に、魔法を使って物理攻撃をすることも一応できるから、魔法耐性持ちだった場合に使い物にならなくなる人はゼロだ。だが、物理耐性持ちだった場合は二人ダメになってしまう。
……あれっ、もしかしてそんなことなかったりする?前にクミリアと物理だけで物理耐性持ちを殴り倒したことあるし、ステラは無心の弓を使えるから魔法攻撃できるな...案外いけるかもしれない。
「……もしかして、物理耐性持ちだと詰むの俺だけじゃね?」
高速移動しながらの魔法攻撃が出来ないからな俺。直接殴りに行くにしても速度操作とバフどちらかしか使えないし、威力が足りない...脚のこともあるし、今日はサポートに徹しようかな。
「まぁいいや。んで、どの辺にその魔物はいるんだ?認識阻害ってどのくらい近づけば解けるんだろ」
「百メートル近くまで接近したら見えるらしいわよ。巨大化してるのに隠密性に長けてるとかふざけてるわよね」
「あれ?そーいや誰が認識阻害魔法かけてんだ?魔族の奴らは死んでんだから違うだろ?」
「そういう魔道具をつけているか、巨大化の影響でそういう力を手に入れたかの二択でしょうね。認識阻害を死んだ後も残す技術なんて知らないし」
「魔族サイドにしか伝わってない魔法って説は?」
「それはそれで良いわね。研究しがいがあるわ」
おっとニアはそういう奴だった危ない危ない...このままだと戦闘中に認識阻害の魔法を解析し始めそうだから、早めに話を変えておきたいな。
「……ん?魔族サイドの魔法...新魔法...?」
ヤバい。話を逸らそうとしたら俺の方が興味持ち始めちゃった。もし俺の知らない、使ったことのない魔法だったとしたら...
「あれ?ってことはあの魔法も...」
「カリヤどうしたの?」
「あー...うん、巨大化魔物倒したら話すわ。ちょっと思いついたことがあってね。主に俺の戦力増強に繋がる話」
「これ以上強くなって何と戦うつもりなのよ...」
「まぁ強くなるに越したことはないからな。速度操作に頼らない戦闘も出来る様にならないとだし」
つっても、今回思いついたのは速度操作使用中に出来そうなことなんだけどな。
「……っと、押してくれてありがとなステラ。お出ましみたいだ」
範囲内に入ったのだろう。紫色の鎧を着て盾とサーベルを持った巨大な騎士の姿が見えた。
「よっと...こいつはしまっておくか」
義足に魔力を流して起動し、車椅子から自力で降りる。そして魔道具を経由して次元収納の中に車椅子をしまう。
「よーし、義足の試運転と行きますか!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて義足の具合を確かめてから走り出す。
「やっぱちょっと走りづらい?」
「まぁそうだな。いつもの脚とは微妙に違うわやっぱ」
後から走り出したのに平然と俺に並走してきたクミリアに義足の感想を話す。走ってて接合部に痛みが走るとかはないから使いやすくはあるけど、なんか違和感...まぁそのうち慣れるか。
「じゃあ先行ってるねー」
クミリアが先手を切って攻撃しに行く。比較的近くにいる方の巨大騎士に向かって跳躍して殴りかかる。
「どっせーい!!」
雷装が込められた拳が巨大騎士の脛に突き刺さる...が、殴られたことによるダメージは無さそうだった。物理耐性持ちの方か。
「それなら...!」
9929ページ 黒のみ 閃光・改
5000ページ 黒のみ 魔法復唱
速度探知を使って魔法陣を探りあて、能力を解除してから魔法を起動させる。大量の魔力が込められた閃光が連続発射されて物理耐性持ちの巨大騎士に向かって飛んでいく。
ユラァ...と一瞬巨大騎士の輪郭がブレる。そして次の瞬間閃光が殺到して巨大騎士に直撃する...が、何も起こらず霧散してしまう。
「アレが入れ替えの兆候か!」
「ならもういっちょ!」
魔法耐性に切り替わったのならとウッキウキで巨大騎士の顔面ぶん殴るクミリア。追い討ちとばかりにステラの雷装の矢が飛んできて鎧の隙間を的確に空から撃ち抜いていく。
「エッグいねぇ...ニアもだったわ」
耐性があろうとなかろうと関係ないとばかりに魔法を放つニア。二体とも両方同時に攻撃してるけど流石に脳筋がすぎないか...?
……物理耐性持ちはもうあっちに任せちまうか。俺は魔法耐性持ちを削ることにしよう。
「『雷装』!!」
雷装を発動して即行で魔力とリンクさせる。脚を作った経験があるためか、以前よりも雷装魔力の操作性は格段に向上した。そんな今なら、今までできなかったこんなこともできる...!
「行くぜ『投擲』!」
雷装魔力で作り上げた無数のナイフを、文字通り投擲する。雷装魔力のないふは空気中で霧散することなく一直線に飛んでいき、鎧の隙間へと侵入、刺さった瞬間に炸裂して内側から痺れさせる。
「そして...『速射』!!」
弓を手にした俺は、雷装魔力で矢を作り出して瞬く間に五本射出する。今度は隙間を通すことができず鎧に防がれてしまったが、それでもあの密度の雷装なら...余裕で貫通して痺れさせることができる。盾で防がれなければダメージを通せるだろう。
「あれカリヤそれ前に出来ないって言ってなかった⁉︎」
「今ならできるってだけだ!ほーらもういっちょ!」
電気そのものの矢を放ち、魔物の鎧を撃ち抜く。
「うわスッゲェ疲れる!スタミナも魔力も減りヤッベェ!」
雷装魔力を直接撃ち込んでいるため、その分消耗も激しい。もうしばらくしたらスタミナが切れて全身を激痛が走ることだろう。まぁ、その程度の痛みもう慣れきってしまったから普通に戦闘は続けられるだろうけど。
「つーかアドレナリンエッグいな!サポートに徹するつもりだったのに動きたくて仕方ねぇ!」
雷装魔力を義足に流し込み、強化してから全速力で駆け抜ける。巨大騎士の足を、盾を、サーベルを、次々と足場として蹴り飛ばして跳躍し、頭上にまで飛び上がる。
「雷霆よ!降り注げ!!」
雷装魔力で超巨大な槍を作り出す。そしてそれを...脳天に向けてぶん投げる!!
「よっしゃやりぃ!」
槍はさながら雷のように巨大騎士へと降り注ぎ、頭から全身を駆け巡って地面へと抜けていく。かなりの大ダメージだ。痺れているからしばらくは身動きできないだろう。完全に硬直してしまっているから地面に倒れることはなさそうだな...ここは一旦任せてもう一体の方に行くか。
「ってマズッ!」
もう一体の方へと向いたら、ちょうど巨大騎士がサーベルを俺に向かって振っているところだった。これを避けるには...!
「こうするしかねぇ!」
雷装を操ることで、磁力をも操作する。磁力を操作することで、俺の脚に付いている義足を無理矢理引っ張り真下へと急降下する。これでサーベルを回避...
「接合部イッテェ!!」
無理矢理引っ張ってるからめっっちゃ痛い肉引きちぎれる!!
「なんて方法で回避してんのよアンタ⁉︎」
魔法を撃ちながら驚愕するニアのそばを落下しながら俺は右手でキツネサインをして複合スキルの発動を試みる。
「『九尾』!!」
『九尾』
┠ 4571ページ 黒のみ 触手・水
┗『雷装』
落下しながら触手を生やし、それを伸ばして地面に突き刺すことで威力を殺し安全に着地する。
「いやー痛かったわ。でもアレなら少し工夫すれば...!」
磁力を操り義足を引っ張って移動する。ちょうど義足が脚の接合部を押すように引っ張り方を調整して飛べば...
「よし痛くない!」
さっきは義足が接合部を引っ張る形だったために痛みが走ったが、引っ張るのではなく押すような形にしてしまえば痛みは少なくすむ。安定飛行は難しいけれど、これなら雷装を使うだけで飛行ができるしかなり便利だ。
「まずは物理耐性持ちから倒す!」
ニアが魔法でだいぶ削ってくれたこっちの巨大騎士から倒していこう。そうしたら残りは物理ゴリ押しで倒せるからな。
「その盾、切らせてもらおうか!」
雷装魔力を操って雷撃剣を生み出す。超高電圧の電流によって触れたものはなんでも焼き切れる剣。たとえそれが、大量の魔素によって強化された魔物の盾であっても!
「ぶった斬る!!」
巨大騎士の盾がまるで豆腐かのようにスパッと切断される。切断面は焼けこげ、リヒテンベルグ図形のようなものが切断された盾に刻まれる。そして、被害は盾だけにとどまらず、巨大騎士の腕までにもダメージを与えていた。
「あとはその剣ももらうぜ!」
巨大騎士の腕を触手でぶっ叩き、反動でもう片方の腕へと移動する。そしてその移動の勢いのまま雷撃剣と触手の剣を同時に振るい、サーベルを持つ腕を斬り飛ばす。
「あとは頼んだぜニア!」
「あいっかわらず人使い荒いわね!」
いつのまにか雷雲を作り出していたニアは、これまたいつのまにか雷の精霊を辺りに侍らせていた。大量のキューブに電気エネルギーを生成させ、そのエネルギーを巨大騎士を穿つために一つに集約させている。
「ぶち抜くわ...撃ちなさい!」
数十体のキューブが光線を放ち、前方に位置している一体のキューブに命中させる。そのキューブは力を束ねるための生贄。その火力に耐えきれず自壊してしまうが、死の直前に集約した光線を放って巨大騎士の胸を撃ち抜いた。
「ナイスゥ!」
キューブの光線によって空いた巨大な穴の中に飛び込み、触手の剣を乱雑に振り回して傷口を広げていく。
「コイツどうするよ死ぬまで結構時間かかるぜー?加速するかー?」
「しなくていいわあっち倒してきなさい!」
「りょーかい!」
体内に溜め込まれた異常な量の魔素が抜けるまでコイツらは死ぬことはない。魔素流出速度を加速させれば一瞬だが、ニアがそういうのだからここは任せてもう片方に行くとしよう。傷口を広げるのは任せたわ。
「そっちも切断するぜェ!!」
ステラが放った無心の弓によって開けられた穴に雷撃剣を突っ込み、そこから振り抜くことで一気に巨大騎士の体を切断していく。つーか、魔法耐性があったとしても無心の弓は流石に防げないんだな。雷装も魔法かと言われると微妙だけど普通にダメージ与えられるし、意外と耐性穴多め?
「ちょっ、気をつけてクミさん中にいる!」
「えっ何やってんのお前⁉︎...って、それ俺もやってたな懐かしい」
どうやらクミリアが巨大騎士の鎧の内側に潜り込んでタコ殴りにしていたらしい。危うくクミリアごと切り裂くところだったわ...気をつけないとな。
「あっ、てかクミリアお前雷装で五感拡張できんだから頑張って避けてくれー!」
「んな無茶な⁉︎」
そうは言ったものの一応クミリアのいそうなところは避けて雷撃剣を振っていく。クミリアならちゃんと避けてくれそうだけど、一応な。
「クミリアいるんだし胴体じゃなくて別のところ狙ったら?」
ステラが俺の近くまで飛んできて、腕や脚を無心の弓で撃ち抜きながら言ってきた。
「……それもそうだな。狙い変えるか」
「ステラの言うことならすぐ聞くよねカリヤって!!」
「あー聞こえないなー」
磁力操作で巨大騎士の腕に飛びつき、サーベルを持つ手を斬り裂きながらすっとぼける。別に理にかなってたから従っただけでステラだからじゃないからね?
「うっわレスト暇してんねぇ...一本くらいサーベル残してやっても良いかな?」
「別に気にしなくて良いよー動く時には動くから」
巨大騎士は近くをうろちょろと飛び回る俺やステラを優先して攻撃してくるから、地上で待っているレストに攻撃が飛んでくることはほとんどない。巨大騎士は魔法を使わないから魔力の吸収もできないし、カウンターもする機会がない...完全に暇してやがる。まぁ盾役が仕事ないってのもそれはそれで良いことではあるんだがな。
「つーかライトどこ行った?」
「ニアの方に行ってたよ?」
……なるほど。ライトの聖剣の力で魔素を反転させようってことか。先に物理耐性持ちを倒すために増援に行ったと...
「必殺技連発できれば良かったのにな...そしたらこんな奴ら一瞬なのに」
「それ、カリヤが言うの?」
俺のせいで聖杖のクールタイムめちゃ伸びちゃったからな...ライトは多分残った一体を処理するために温存しているのだろう。再発動に十分以上かかるとなるとおいそれと簡単には使えない。
「こっちもこっちで削っておきたいよなぁ...脚くらいはもいでおくか」
万が一にも聖杖を避けられてしまわないように、機動力を削いでおかなければ。前に避けられて面倒なことになったからな...
「脚を...もぐ...あっ、良いこと思いついた!」
確かこの辺に...と、九尾を発動させているがために速度探知が使えないので、魔力を感覚で流していく。後ろの方にあの魔法陣はあったはず...
「よーしみっけ!あとは攻撃するだけ...ってダメだ死ぬぅ⁉︎」
雷撃剣で攻撃を仕掛けようとしたその瞬間に間違いに気づき、磁力操作で急停止する。激痛が接合部に走るがそんなものに構ってはいられない。危うく死にかけたことでサーッと血の気が引いていた。
俺は
だけど、よくよく考えてみればそれは自殺行為だった。傷が移るのは何も俺から相手にだけでは無い。相手から俺にも返ってくる。さっきまで巨大騎士に散々与えてきたダメージが全て俺に返ってくるのだ。無心の弓や雷撃剣でつけた傷はとても大きい。それが全て返ってくるとなると、そのどれもが致命傷になりうる。俺の命と引き換えに相手の両脚...どう考えても割に合わない。
速度操作を使えてたらやばかった。自力で探りあてる時間がなければ、疑問に思う前に発動させていたことだろう。図らずも不便が俺の命を救ったわけだ。
「やるなら一番最初にやらないとか...さて、そろそろこっちにもドデカい穴作りましょうかァ!」
雷装を操り、巨大な槍を生み出す。決め手が槍なのはイメージの問題だ。雷のものを貫くというイメージ。そのイメージを雷装に落とし込み、形にする。
「ぶち...抜け!!!」
狙いは大雑把に、とにかく最高速度でぶん投げる。電気の性質上、一番流れやすい所に向かって槍は飛んでいく。ここから一番近く、金属部分の面積の広い背中の鎧に必殺の一撃が引き寄せられていく。
「あいったーッ⁉︎」
あっ...もしかして、必殺の一撃クミリアに当たっちゃった...?
「ご、ごめーん!!」
「……後で絶対土下座させる!!」
そう言いながらクミリアが巨大騎士の鎧の中から飛び出してくる。その身体には、どう考えてもただ発動させただけじゃ纏えない量の雷装を纏っていた。もしかして俺の放った雷装を吸収してる...?
「丸ごと叩き込むッ!!」
クミリアの拳が巨大騎士の頸椎辺りに叩き込まれる。その瞬間、蓄えられていた雷装のエネルギーが一気に放出され、巨大騎士の身体がビクンと反応する。神経を電流が伝わって筋肉を動かし、そうはならんやろという動きをして地面に倒れ込む。
そして、倒れ込んだ先には...
「やっと出番だね」
レストのカウンターが炸裂する。巨大騎士の全体重がかかったのしかかり攻撃の威力を完璧に跳ね返し、その身体をめっちゃくちゃにへこませる。偶然が引き起こした巨大騎士の意図していない攻撃だし、これカウンターって言えるのか...?と言いたくなるが気にしないでおこう。前にも俺が上に吹き飛ばした魔物の落下に合わせてカウンターを発動させたことあるしな。そういうものだと思っておこう。
「これでもう避けられんだろ...よしライト!やってやれ!!」
「お膳立てありがとう。美味しいところ...持ってくよ!」
もう一体を先に倒してきたライトがこちらに向かって走ってくる。聖剣納刀をして準備を整えたらすぐに聖杖を放つ構えをとる。
「丸ごと消し飛べ!」
ライトの聖杖が放たれる。圧倒的な量の聖素が巨大騎士を覆い、体内の魔素を全て反転させ浄化させてしまう。
「討伐完了...!」
「……一緒に喰らっておけばよかったな」
雷装魔力の放出をしすぎて魔力が底をつきかけていた。なんか思わず避けてしまったけど、巻き込まれても俺はノーダメージなんだし魔力回復のために喰らっておけばよかった。
「まぁいっか。魔力温存ーっと」
次元収納の中から車椅子を取り出し、どかっと座り込む。そして義足への魔力供給を止めて魔力消費ゼロの省エネモードに移行する。
「これにて一件落着、だねぇ」
「一息つく前に謝ってもらおうかなぁ?」
「あーやめて痛い痛いっ!」
頭をぐりぐり〜ってやられる。クミリアのパワーでやられると普通に激痛なんだよなぁ...
「こっちだってめっちゃ痛かったんだからね⁉︎お返しだよ!」
「潰れる!潰れる!」
「何やってるんだか...終わったんだし早く帰るわよー」
「緊急離脱ッ!」
「あっ、待て逃げるな!」
ニアの呼びかけにクミリアの意識が向いた瞬間に車椅子を動かして逃げる。
「そーいや耐性交換一回しかしてこなかったな」
「よくその状況で振り返りできるわね...逃げてないでさっさと謝ったほうが身のためでしょうに」
「攻撃しないってんならすぐにでも謝るけど今は無理!」
「あっ、ちょ前!」
「あぐっ⁉︎」
……や、ヤッベェ...衝突しちった...
「ご、ごめんライト...前、見てなかったわ...」
衝突のせいで車椅子から転げ落ちていた俺は、恐る恐る頭を上げ、少しフラフラとしているライトの方を見る。
「……早く、謝りな」
「本っっ当に、申し訳ありませんでした...」
少ない魔力を使って土下座の体勢に移行した俺は、深々と頭を下げるのだった。
同調魔法の流れは執筆中の作者の思考を丸々トレースしたものでした。
脚切られた時点で同調魔法を使えるなーとは思ってたんですけど、危うくカリヤくんを殺すところでしたわ...危ない危ない。
ちなみにカリヤくんの雷装を受けてクミリアの雷装が一時的に強化されていたのは仕様です。
カリヤくんの雷装がきっかけでクミリアは雷装を手に入れたのでね、そりゃ強化されますよと。
なんでカリヤくんとライトはあの荒野の雷を喰らったら一時的に雷装が強化されるという裏設定があったり無かったりポケッターリ...その設定が今後使われるかは未定です。