前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
後半軽ーく戦闘します。
「本当に申し訳ないと思っております...」
宿に戻ってきた俺たちだったが、俺は二度目の土下座をしていた。
「クミさんを撃ち抜いたのはもういいよ。なんか一瞬だけだけど強くなれたし。でもね、ライトにぶつかったのはダメだよ。ただの不注意だもん」
「俺もなんであんなことになったのかわからなくて...普段ならあんな不注意起こさないってのに...」
「結構な速度でぶつかってきてビックリしたよ。まぁ、僕も不注意だったけどね」
「いいや全体的に俺が悪い。ライトが謝る必要なんて微塵もないよ」
「必殺技撃った直後でちょっと注意力散漫になってたからね。ここはお互いに悪かったってことで」
「それで良いのかよライトお前聖人か?」
「これからは気をつけようねー」
「そうだよカリヤ。随分とハイテンションだったし、雷装をうまく使えて楽しかったのはわかるけど気をつけなきゃダメだよ?」
「はい、それは重々承知しております...」
クミリアとステラに左右から詰められた。しっかり反省しないとな...
「あっ...いや、流石にこのタイミングじゃあなぁ...」
「どうしたのかな?」
「あっ、いや、ほら、戦闘前に言ったことを思い出してな」
「あー巨大化魔物を倒したら話すって言ってたやつ?カリヤの戦力増強についてだっけ?」
「そうだけど、流石にこの流れで言うのは気がひけるっていうか...」
「何言おうとしてたのよ」
「ちょっとクミリアとステラに頼み事をだな...」
二人に詰められた直後のこの状況で協力頼むとかちょっと無理...まぁ二人がいいって言ってくれるなら普通に頼むけど。
「頼み事?なにさ言ってみてよ」
「……じゃあ言うぞ。っと、その前に一つ質問だクミリア。前々からよく使ってる空気の腕だけどさ。あれってどんな魔法なんだ?」
「どんな魔法...って、そのまんまだよ?腕とか脚で視界を塞いだ場所に空気の手脚を作る魔法だって前に説明しなかったっけ?」
「いや、俺らに対しての説明は一度もなかったぞ。アクセルとの試合の時に説明してたのは俺聞いてたけど」
「……ちょっと待ちなさい。あの魔法って、何かしらの空気を操る魔法に自ら制限をかけているとかじゃなかったの?」
「違うよー?空気の体を作るだけの魔法だよ」
「……ってことは、ニアも知らない気体操作系の魔法ってことだよな?」
「えっ、ニアこれ知らないの?」
「知らないわよ。そんな魔法だったなら早く教えて欲しかったわ」
「知ってるもんだと思ってたよ...あっ、そういえば昔、うちの誰かにこれ秘伝の魔法だからって言われてたような...」
「秘伝ってお前...それなのにあんなバンバン使っててよかったのか?大会でも自信満々に解説してたし」
「ま、まぁ側から見ただけじゃ誰も知らない魔法だなんて思わないでしょ?実際みんな勘違いしてたわけだし」
「それもそうだけどな...んで、その誰も知らない魔法ってところが重要なんだ」
「どういうこと?」
「とりあえず、その魔法の発動方法を教えてくれないか?呪文でも魔法陣でもなんでも良いぞ」
「いいけど...この魔法を使えるようになったからといって、今のカリヤがこれ以上強くなるとは思えないなぁ。別の魔法使った方が良くない?」
「いいや、他の魔法じゃやりたいことができないんだよ。さっきも言ったけど、誰も知らない魔法...俺が使ったことがない魔法ってのが重要なんだ」
「後半は言ってなかったでしょ」
「冷静に突っ込まないでくれよ...」
「で、なんでそれが重要なの?」
「単刀直入に言うと、速度操作発動中にも魔法が使える」
「……え?」
「もしかして、永続の楔を外せたりするの?」
「んいや、それはまだ無理かな」
「まだってことはいずれできるようになるんだ?」
「一応な。能力を完全に引き出せるようになったら、今度は永続の楔が緩み始めるはず。時間はかかるだろうけど、いずれ普通に魔法を使えるようになるんじゃ無いかな多分」
まぁ神様に聞いたわけじゃ無いからあくまで俺の考察なんだけどな。
「話が逸れたな。速度操作中に魔法が使えるってのは、そもそも永続の楔をこういう条件で打ったからなんだ」
俺は一呼吸置いてから、あの時神様に伝えた内容を復唱する。
「雷装シリーズを除く、現時点でこの身に刻まれているスキル、並びにその基となった魔法の発動を、速度操作発動中に限り永続的に禁ずる...ってな」
「……それってつまり、これから始めて使う魔法ならば、速度操作を使っていても使えるってことよね?」
「そういうことだ。クミリアのあの魔法だけは速度操作を使っていても発動することができる。今の俺にとって、これはかなりの強化だ」
「……あっ、もしかして私に聞きたいことって無心の弓のこと?」
「おっ、勘がいいな。無心の弓もそうなんだよ。ってか速度操作使いながら無心の弓とかもう最強じゃね?」
「それは...うん、そうだと思うけど、無心の弓を教えるのって無理だよ?前にもそんな話しなかったっけ?」
「してたけど、一応方法がないこともないんだよな。略奪を使えば、スキルの発動で発動条件を無視して使ってみることはできるわけだし」
「略奪で使ってもスキルの習得はできないんじゃ?」
「そうだけど、一回自分の身体で使えるのは確かだ。その時の身体の動き、精神状態を把握して解析すれば、もしかしたら使えるかもしれない。そして一度発動させてしまえばスキルで何度でも使えるってわけだ」
「試してみる価値はあるってわけね」
「ってなわけで、後で略奪させてくれステラ」
「わかったー」
「これで二人のはオーケー...他に誰か俺が使ったことない魔法知ってるって人いる?」
「そもそもどの魔法を使ってないのか把握してないから名乗り出るとか無理でしょ」
「使ったことある魔法は全部魔法図鑑に書いてあるぞ。魔法陣わかってない奴はメモ書きしかしてないけど」
「……それなら結構あると思うわよ?」
「えっ、そうなの?」
「と言っても、戦闘に使えそうな魔法はほとんど残っていないけれどね。きっとお父様は、戦闘に使える魔法を優先して教えていたみたいね」
「あー...確かに時間短かったし、そうしてそうだな」
リヒトに魔法を学んだのは二ヶ月ほど。この短い時間で魔法を教え込むなら、必要な魔法だけをみっちり教えるのは普通だろう。多分、戦闘ではあまり使わない、どちらかといえば日常で使うような魔法はまだ使ったことがないものが多いのだろう。
「一応そういうのも覚えておこうかな...もしかしたら使うかもだし」
めっっちゃ出力が弱くとも、速度操作と合わせたら強くなるとか普通にあり得るし、覚えておいて損はないだろう。あっ、料理とか機械弄りに使えるような魔法があったら嬉しいな。
「それじゃあ今度時間あるときに頼みますわみんな」
「え、暇だし今からやろうよ」
「そう?それじゃあ外出るか」
「外出るの面倒だし闘技場行こうよ。対戦相手いた方が練習になるしね」
「いや、クミリアのならまだしも無心の弓は試合で使ったら色々とヤバいし...ってちょい待て。クミリアお前ただ俺と戦いたいだけじゃね?なんならさっきのお礼参りしようとしてるんじゃ...」
「断らないよね?」
「おぉぅ...しゃーない付き合ってやるよ」
クミさんを撃ち抜いたのはもういいよって言ってなかったかさっき...まぁ良いけどさ。雷装魔力の槍を当てちゃった後のクミリアの雷装の出力がおかしかった奴も検証できるかもしれないしな。
「それじゃあ闘技場行くか」
「押すよー」
「おお、ありがと」
自分で車椅子を押そうと思ったらステラが押してくれた...親切半分、事故防止半分ってところか。普段だったらあんな事故起こさないし心配しなくて良いのにな...と思いながら、俺らは闘技場へと向かうのだった。
「どう?使えそう?」
「一応使えそうだ。思ったより制御難しいな」
闘技場で、クミリアから教えてもらった魔法を使ってみながら答える。空気の腕や脚を作っても、色彩剣装の緑とかを使った時と比べてそこまで重量を感じることはなかった。だけど、視界準拠なせいで腕だったり自分の頭だったりが少しでも動くと空気の体の位置もズレてしまうから、そこだけ難しく感じる。よくこれで狙ったとこに攻撃できるな...
「でも、視界が塞がれるデメリットは速度探知で相殺できるから、そこはクミリアにはない利点だな」
視界を塞ぐ関係上、攻撃中は相手の動きを見ることができないという弱点があったけれど、速度探知があれば相手の行動はいつでもわかる。その点はかなり高相性だな。
「んじゃあ始めるか。この魔法の練習だし、俺速度操作とこれと雷装しか使わないわ。それでいいよな?」
「いいよーこっちは使えるもん全部使うから」
「じゃないと俺の速度に追いつけないもんな」
「お、言うねぇ...その減らず口、一回塞がせてもらうよ!」
「うおっ、急に試合始めんなしニアお前ら謀ったな⁉︎」
試合は双方の開始の了承か、双方から委任された人が開始を宣言するかしないと始まらない。今回は外から見ているニアに開始を頼んでいたのだが、急に試合が始まってクミリアが殴りかかってきたもんだからビックリする。
「っぶねぇ速度操作なかったら喰らってたぞ...」
「油断は禁物だよ!試合じゃなかったら不意打ちなんて普通なんだから!」
「うん、それは実際襲われたわけだし身に染みてるけどさ...試合なら不意打ちはやめようぜ?」
「余裕で避けながらよく言うよ!」
「余裕ってほどでも無いんだけどなぁ...つーか速すぎだろ何個バフ積んでんだお前」
フィールドを縦横無尽に駆け巡りながらクミリアの攻撃を避けていく。まだ俺が雷装を発動させて無いってのもあるけど、謎にクミリアが速くなってるせいで攻撃を避けるのはかなりギリギリだ。空気の腕や脚で道を塞いで回避方向を限定させてくるのが面倒極まりない。
「それじゃあこっちもそれ使わせてもらうか!」
えーっと確か魔法図鑑の後ろの方に描いたはず...完全弱化を見開き一ページにするためにその一つ前が空きページにしていたからそこにあるはずだ。そこに魔力を流し込み、魔法を起動させる。
9945ページ 視塞空体
周囲に貼られている結界を蹴って空中に躍り出た俺は、腕を伸ばしてクミリアに向かって振ることで巨大な空気の腕を作り出して攻撃する。
「うおっ、相殺されてる⁉︎」
クミリアも空気の腕を作り出したようで、互いの腕がぶつかり合い均衡を保ったことで俺は空中に固定されてしまっていた。クミリアに遠距離攻撃がないから追撃されなかったけど、この状況かなり危険だな...球とか撃てたら普通に被弾してるなこれ。
「ってか埒開かねぇし...ならこっちは弾撃ってやるもんね」
『雷装』
雷装魔力の弾丸を結界に向けて放つ。弾丸は結界に命中すると鏡のように反射し、空気の腕の隙間をすり抜けてクミリアに命中する。
「っ゛⁉︎」
「よっしゃ今!」
一瞬の痛みにクミリアが目を閉じた瞬間、空気の腕を解除して一気に急降下、雷装を右手一本に集中させた状態でクミリアのすぐそばに着地する。
「オラァッ!!」
「あいったーッ⁉︎」
咄嗟に出したであろうガードの上からクミリアを殴りつける。
「雷装の練りが甘いぜ?」
「うっさい!カリヤの雷装が凄いだけだよ!」
「褒めても何も出ないぜ?強いて言うなら出んのは拳だけだ!」
一瞬義足に雷装魔力を流し込んで急加速し、すぐさま肘に流して強化したまま肘打ちを放つ。
「拳じゃないじゃん!」
「トラッシュトークはあったりまえだろ?」
今度は殴りかかると見せかけての突進でクミリアを押し倒して馬乗りに...ならねぇ体感強過ぎる!
「力すっご...!」
がっしりと服を掴まれ、抜け出せなくなってしまう。雷装魔力を流し込もうとするも、触れてる場所にはしっかりと魔力で保護をかけているらしく効果があまりない。
「それなら...!」
全ての加速をキャンセルして、減速を発動させる。空気中での放電速度を極限まで下げてから雷装魔力を背中側から放出する。ぐるっとクミリアの視界の外から回り込ませて、背後から雷装魔力を浴びせてやる。
「集中させすぎだぜクミリアさんよォ!」
その言葉を聞いたクミリアは急いで背中側にも雷装を集めて防御しようとする。だが、そちらに集めようとしたらそれだけこちら側の量は減る。俺の服を掴んでいる手を両手で掴み、勢いよく雷装魔力を流し込む。そうして神経と筋肉に電流を浴びせることで強制的に手を離させる。
「分散させすぎもダメってね」
クミリアの雷装は俺よりも出力が強いが、技量次第でいくらでもその差は埋められる。雷装の守りを貫通させてダメージを与えることなんて造作もない。
「って危なっ!」
クミリアが空気の腕を伸ばしてきた。こちらも同じことをしようとしたが、ギリギリ間に合わないと悟ってすぐに雷装魔力の盾による防御に切り替える。
「くそっ...!」
直撃は避けられたが、結界まで押しつけられてしまう。つーかエグイこれ!完全に空気の手で囲まれてるから抜け出せないし、このままだと息がもたねぇ!
「視界さえ塞げば...!」
こうなったら...半ばズルみたいなもんだけどこれをするしかねぇ!
「あ゛っ゛づ⁉︎」
速度操作で加速させることにより、クミリアの体温...特に瞼や目の辺りを急激に上昇させる。それによって目を瞑らせ、空気の腕を解いて拘束から逃れる。
「回避不可能攻撃しちまって悪いな」
「カリヤって時々エッグいことするよねぇ...!」
「これ本当の戦いだったら、減速で完全に動き止めて殴るか、分子運動の加速で膨大な熱を生み出して焼き尽くすかの二択になるんだよな。ちゃんと試合になってることに感謝して欲しいくらいだ」
「あーもうなんかイラつく一回殴らせろ!!」
「嫌だね断る!」
殴りかかってきたクミリアを軽くいなし、膝裏に軽く蹴りを入れる。やっぱこんなんじゃ倒れないか。普通の方法じゃ転ばせるのは無理そうだな...なら、さっき手を離させたみたいに雷装で無理矢理転びせるか。
「ほらほら喰らいな!」
流れるような連続蹴りをクミリアの上半身目掛けて放ち続ける。ちゃんと雷装を集中させているから、クミリアも同じだけ集中させなければ防げない。そして、金属製の義足は普通の脚よりも重い蹴りを放つことができる。こうやって何度も当て続ければ、いずれガードを崩せるはず...そこが狙い目!
「今ッ!」
ハイキックによってクミリアのガードが崩れた瞬間、俺はすぐさま軸足を地面から離して転がるように地面を移動し、クミリアの足にしがみつく。そして雷装を一気に流し込んで筋肉を動かす!
「それは...読んでたよ!」
「うっわマジかよ痛っ⁉︎」
一瞬筋肉を動かすことに成功したが、それは本当に一瞬だった。クミリアの雷装が脚に集中して俺の雷装を上書きされたばかりか、上回る量を流し込まれて俺の方が感電してしまう。
「クソが...!」
義足を雷装による磁力操作で引っ張り、急いでクミリアから離れる。
「意外と面倒だな...つーかやっぱり出力上がってねぇか?」
なんか少しずつクミリアの雷装の出力が上がってきている気がする。特に、俺がクミリアに攻撃した直後はそれが顕著な気がする。やっぱり俺の雷装を吸収でもしてんのか...?
「しゃーねぇそろそろ終いにするか」
雷装魔力を操り雷撃剣を生み出す。
「ってか全然魔法使ってくれないじゃん!もっと使って⁉︎」
「クミリア相手に使ってもさっきの二の舞になるだけだろ。まぁ使えることはわかったし、今はお前と雷装勝負する方が優先だ!」
雷撃剣片手にダッシュして勢いよく振り抜く。
「その剣怖すぎる...!」
「ほーらもういっちょ!」
地面を転がるようにして雷撃剣を回避したクミリアに対して、再度雷撃剣を振る。
「今度は避けさせねぇぞ!」
振られた雷撃剣が変形し、蛇腹剣のようになってクミリアに襲い掛かる。
「ちょっ、なにそれ...!」
「チッ、空気の壁で受け止めたか...なら、こいつはどうかな?」
雷装魔力で弓矢を生み出し、反射角度を計算して結界に向けて射出する。
「守れるのは前方のみ。全ては止められないぜ?」
雷装魔力の矢が結界を何度も反射してクミリアの近くを通っていく。どう動けば当たってしまうのか、このまま動かなかったらいつ当たるのか、すぐに判断することは難しいだろう。そして、空気の腕で防御しようにも、視界を塞ぐことが条件なせいで後方から飛んでくる矢は受け止めようが無い。
となれば、クミリアが取る行動は一つ。
「被弾覚悟で来るよなァ!」
雷装魔力で身を固めて、被弾覚悟で俺に突っ込むしか無い。
「待ってたぜェ!!」
雷装を一点に凝縮させ、一本のダガーを生み出す。これを突き刺せば、いくらクミリアが雷装を集中させたところで容易に貫くことができるだろう。
「うん、こっちも待ってたよ」
いざダガーを突き刺そうとしたその瞬間、俺はガクンと膝から崩れ落ちた。
「磁力操作を習得したのか...!」
どうやら俺が雷装を一点に集中させてしまったことで、クミリアが俺の義足を操る隙を与えてしまったようだ。
クミリアは倒れ込んだ俺に追い討ちを仕掛けるために、その拳に雷装を集中させる。すると、それに引き寄せられるように義足が引っ張られてしまう。今からダガーを分解したところで回避は間に合わない。なら、別の方法で...!
「ソイツはくれてやる!!」
「あぶっ⁉︎」
義足を取り外すことで磁力操作から逃れる。そして運のいいことに、義足はそのまま引っ張られ続けてクミリアの拳に命中した。まぁまぁな重さの金属がぶつかれば、それなりに痛かろう。
「これで終わらせる!」
ダガーを分解して雷装魔力で脚を創り出す。そしてすぐさま走り出し、クミリアの延髄目掛けて跳び回し蹴りを放つ。
「っ、うっそだろお前これ防ぐ⁉︎」
跳び回し蹴りはあるものによって防がれた。それは俺の義足。クミリアは義足を空中に放り投げることによって、雷装魔力によって創られた脚をそちらに引き寄せて蹴りを回避したのだ。
「クソっ、魔力が...!」
義足に雷装魔力が持って行かれてしまったため、だいぶ魔力を失ってしまった。脚の形成で手一杯で、速度操作に使う余裕がない。どちらか一方にしか、魔力を使えない。
そこで俺は脚の形成を優先した。この密度の雷装ならクミリアの守りも貫ける。なにしろクミリアの雷装攻撃を受け止める必要もあるわけで、こっちを選ばなければ攻守共に何もできなくなってしまうからだ。
だが、それは速度操作も同じだった。
「速っっ...⁉︎」
速度操作無し、雷装単体では万全のクミリアに追いつけるわけもない。
なんとか抵抗しようと蹴りを放つも、かえって逆効果。残っていたもう片方の義足を投げつけられたことで全ての雷装魔力が吸い取られてしまい、ほんの少しの魔力を残してすっからかんになってしまう。
最後の力を失った俺に抵抗の術はなく、思っきし顔面を殴られてノックアウトした。
「いっつつ...本気で殴りすぎだろ...」
と、闘技場を出て、残っていた僅かな魔力を使って魔力回復速度を加速させていた俺はぼやく。
「本気でやらないと反省しないだろうしね」
「元から反省はしてたっての...つーかほんとなんなんだよアレ。なんで俺の雷装吸収してんの?」
「クミさんに聞かれてもわかんないよ。なんか少しの間だけ強くなるんだよねなんで?」
「アクセルと戦った時はそんなこと一度も起こんなかったしな...うーむわからん!」
おいおい研究するしか無いな。ライトとか俺もそうなるのか調べないとだな。
「というかカリヤいつの間にそんな雷装の扱い凄くなったの?前までそんなことできてなかったでしょ」
「昨日のアライブとの戦いでインスピレーションがちょっとな。脚を創ったってのもあるけど」
「アライブの持ってた魔道具みたいな動きしてたね」
「あーたしかに影響受けてたかも」
脚失ったしそれを補えるほどのものでは無いけど一応あの戦いで得たものはあったんだな...
「つーかだいぶ魔力量減ってたんだな...気づかなかったわ」
「脚と一緒にだいぶ血液を失ったものね。しょうがないわ」
「おかげで魔力満タンになるのも早いぜ...よし、今度はステラだ。無心の弓教えてくれ〜」
「わかった!それじゃあ外行こっ!」
闘技場の中で無心の弓を使ったら被害がやばいので、町の外に出ないといけない。
たたたーっと走っていくステラを追いかけて、ゆっくり町の外に...あっ、戻ってきた。はしゃいじゃったえへへーって感じの表情をしながら戻ってきたステラは、車椅子のハンドルを握って移動させる。
そうして、俺たちはゆっくり町の外へと向かうのだった。
アクセルはカリヤくんの雷装を喰らっても強化はされません。
雷装を得るきっかけになった2度目の電撃はサーマルが放ったものだからですね。
もし2度目もカリヤくんだったら、多分絶対あのタイマン勝負はアクセルの勝ちでしたね...
次回は無心の弓の習得...を全てすっ飛ばして別の話します。
習得できたかどうかは、まぁ次回わかると思います。