前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
とうとう最終回。
ほぼ全てが会話パートでございます。
この『前世の俺がすでに転生特典決めてました』の最終回を楽しんでいってください。
「……カリヤ!」
聖杖で放った反転聖素の光が消え、魔王が消え去ったことを確認した僕は急いで首から血を流しているカリヤの元へ近づこうとした。
「あぐっ...⁉︎」
だが、走り出そうとしたその瞬間、僕の全身に激痛が走った。
スタミナ切れだ。雷装を発動させているためなんとか動けるが、激痛が走り動きが鈍ってしまう。ここまでスタミナが持ってくれたこと自体奇跡なのだが、もっと持ってくれてもよかったのに...!
けど、ここで立ち止まるわけにははいかない。早くカリヤの傷を治さなければ...!
「あ...」
フワリと、自分の身体から力が抜けた。身体中を駆け巡っていた雷装も激痛も一緒に抜けてしまった。僕の体内に入り込んでいた、次元収納の魔道具も一緒に排出された。
魔力切れ。とうとう僕も起こしてしまった。
「さ、最後の希望が...!」
カリヤを救う最後の希望が失われてしまった。
元々僕の残り魔力ではカリヤの傷を治すことなんて出来なかったから、僕はカリヤ自身に傷を治してもらおうとしていた。何度も何度も魔力体を吸い取り、魔力を吸収貯蔵していた腕輪を渡せば、カリヤ自身の魔力なのだから特に制約なく魔力を全回復させ、傷を治すことができたかもしれなかった。
なのに、僕も魔力切れを起こしたことでそれが出来なくなってしまった。腕輪は次元収納の魔道具を通じて取り出していたからだ。魔力切れによって魔道具が機能を停止したため、魔道具を通じて取り出していたものは全て収納されてしまう。腕輪もしまわれてしまい、取り出すことができない。あとほんの少しでも魔力が残っていれば、救えたかもしれないのに...
「いや、まだだ!なんとかしてニアを呼べばまだ...!」
「おいおい、その身体でどうやってニアを呼ぶってんだよ」
首からの出血を手で押さえることもせず、脚がないのに上手いこと地面に座り込みながらカリヤはそう言った。
「隷属の印の接続がある!今はもう切れているけど、世界が動いている間に接続されていた瞬間があったから、ニアならそれを追ってここまで来れるはず!」
「来たところで治せないと思うぜ?ライトお前、隷属の印でどれだけニアの魔力を使った?たとえ俺たちを聖域に移動させたとしても、魔力が足りないから蘇生魔法は使えない。普通の回復魔法を使うにしてもも、この傷を治せるほどの魔法を使うには魔力不足だろ」
「……ならニアに魔道具を使わせて腕輪を取り出す!カリヤ自身が出血速度を止めてしまえばいい!そうすれば時間を引き伸ばせる!」
「悪いが、そこまで持ちそうにねぇわ」
「それはカリヤの努力次第だろ⁉︎」
「無茶言うぜこの勇者は...なんかな、もう解っちまったんだよ。助からないって」
「そんな...!」
そんなわけないそんなわけない!カリヤが死ぬ?そんなわけないだろ!カリヤを救う方法は必ずあるはず...!
「もう助からないってのは解っちまってるからさ...せめて苦しまずに逝けるように、最期の時まで楽しい会話に付き合ってくれよ」
「どうして...そんな冷静なんだ...!」
「まぁ、死ぬような痛みを受けたことは何度もあるからな。試合もそうだし、対魔族の試練でもそうか。なんなら本当に一度死んでるしな。死には慣れたっつーか...」
力を振り絞り、僅かに動く身体をなんとか動かして這い、カリヤに近づこうとする僕に対して手を出して静止を促しながらカリヤは続けた。
「……うん、色々言ったけど、死ぬのは怖いよ。けど、この世界を確かに救えたって実感がある。やるべきことは全部やって、楽しいことも全部やった。悔いは有りまくりだけど、ここが俺にできる最大限だったんだよ。これ以上は高望みだ」
「……そうだよまだカリヤは夢を成し遂げられてない!生き残ってその夢を叶えなくちゃ...!」
「夢って、機械を作るって奴のことか?アレ、正直今の俺の知識じゃ無理だって思い知らされたよ。自力じゃ無理だ」
「そんな簡単に諦めて...!そうだ!アクセルと会うっていうのはどうするのさ!」
「あっ...今となっては、それが一番の悔いかもな。俺は元の世界で生まれ変わるだろうし、二度と会うことができないのか...って、それはみんなもそうか。寂しいな」
「寂しいって、まだカリヤは死んでない!また会うことだって...!」
「往生際が悪くなったなぁライトよ。お前と初めて会った頃とはもう別人じゃねぇか」
往生際が悪いって...そりゃ当然だ。誰が好き好んでカリヤが死ぬことを受け入れるんだ。最後まで抗うに決まってるだろ。
「あん時は人見知りモード全開で口数も少なかったよなぁ...その精神性も含めてガチの勇者になったよな」
「それはみんなが居てくれたからだ!誰か一人が欠けたら僕は...!」
「意地でもその話に繋げようとしてくるな...別に俺がいなくなったってお前は平気さ。ちゃんと勇者としてやっていけるだろうよ」
「そんなこと...!」
「……ってか、こんな結末になるなんて運が悪いなと思ってたけど、まだ運がいい方だったな。倒れたのがあそこじゃなくてよかったぜ」
……一瞬何を言っているのかわからなかったが、理解した。カリヤが左腕として目覚めてから、僕と魔王は戦いながら移動をしていた。天の怒りの降り注ぐ荒野から離れるように。もし離れていなかったら、魔力切れを起こして防御手段のない僕達二人に雷が降り注ぎ、二人とも絶命していたことだろう。
「運が良ければ、そうなっては無いだろ...!」
「そうだな。神に与えられたっていう幸運が発動していたらこうはなってなかっただろう。そこも含めて、運の尽きってことだな」
「カリヤ...」
「あっ、そうだ。みんなに遺言残しとかないといけないな...」
「遺言って...!そんなものは直接会って伝えろ!僕は言わないからな!」
「直接言うとか元気すぎんだろそんなん遺言にならねぇよ。あと、絶対に伝えてもらうからな」
そう言ってカリヤは、一呼吸置いてから遺言を遺し始めた。少しずつ、息が荒くなり苦しそうな声を漏らしている。残り時間が短くなっているのが目に見えてわかる。
「ステラには...そうだな、『お前は戦争で兄を失った。一度は故郷も失った。そして、こういうのもなんだが...俺も側にいてやることが出来なくなっちまった。短期間で色んなものを失って、悲しいと思う。だからこそ、残った家族...両親のことは大切にしてやれよ。一緒にいてやれなくてごめんな』...って感じか。なんか恥ずいな」
「……次は」
「ようやくちゃんと話を聞く気になってくれたか...次はニアにしよう。『お前には助けられてばかりだったな。ニアならなんとかしてくれるっていつも頼りきりだった...ちょっと申し訳ないと思ってるよ。あと、日本語を熱心に覚えようとしてくれたの、正直めちゃ嬉しかった。なんかこう、繋がりみたいなのができた気がして...ありがとうな』」
あー恥ずかしいと呟いてカリヤは顔を押さえた。
「次はレスト...『いつもいつも、みんなのことを守ってくれてありがとう。みんな生き残って魔王を倒すにはレストが必要不可欠だった。いつも弄っちゃってたけど、実はずっと頼りにしてた。これからもみんなを、この世界の人を守ってやってくれ。あと、ゲームはほどほどにな』」
伝言はあと一人と呟き、少し考えてからカリヤはまた口を開いた。
「『クミリアがいてくれたおかげで、いつも楽しかった。ふざける時はふざけて、真剣な時は真剣で...正直めっちゃかっこいいと思ってた。あとは...戦争で幼馴染を亡くした時、表には出さなかったけど、きっと悲しかったと思う。今クミリアがどんな気持ちを抱いているかはわからない。けど、俺の知るクミリアなら、きっとその辛さを乗り越えてくれると信じている。これからも、もっと強くなってくれ』」
「……これで、伝言は終わりか?」
「ああ。あとはお前にだな」
カリヤは一呼吸置いてから、僕はの遺言を残し始めた。
「さっきも言ったけど、初めて会った時からものすごく変わったよな。勇者になって、三ヶ月とか四ヶ月とか、まだそんなところだろ?人ってここまで成長出来るんだなって思わされたよ」
「それは...多分カリヤもだと思う」
「それはそうだな。俺も戦闘経験一切無しの状態から一年と数ヶ月でここまでになったしって、そんなことはどうでもいいんだよ...いや、こんな他愛のないことが遺言になってもそれはそれでいいか。最期を看取るのはライトだし、最後の言葉まで全てが遺言ってことで、カッコつけるのはやめて好きに喋らせてもらおうかな。絶対に聞き漏らすなよ?」
「当然だ...」
「そうだな...そういや、アライブが俺のことを殺そうとしてたのって魔王が入っていることを知ってたからなのか?そう考えるとアイツマジモンの勇者だな...スートもそうだけど、三人とも誰が勇者になっても全然不思議じゃなかったよな。雷装を手に入れていたのが決め手だったけど、多分誰が勇者になっても魔王は倒せてたんだろうな」
「……そうだね。二人とも強いから、魔王は倒せていたと思うよ。カリヤもいるしね」
「けど、俺はライトが勇者で良かったと思ってる。魔王を倒す点だけで言えば他の二人だけでも良かったかもしれないけど、一緒に旅をして良かったって思えるのはライトだったよ。まぁ、二人と旅をしていたら、それぞれ良いところを見つけられていたのかもしれないけどね...っと、ヤバいな。流石にそろそろ限界みたいだ...」
「……そう、なのか」
「ああ。意識を保てているのが奇跡なくらいっつーか、気絶したら多分すぐ死ぬ。気力で持ってる状態だな」
もうかなりの量を失血してしまっている。たしかに、意識がまだ残っているのは異常だ。
「……死にたくねぇなぁ...けど、もう仕方ない。これで、お別れだ」
「……また、会うことはできないのか...?そっちの神様とやらに頼めば、またこの世界に来れるんじゃ...」
「もしかしたら、だけど多分無理だろうな。流石にコンティニューさせてくれは通用しないだろう。まぁでも、可能性はゼロじゃない...か」
カリヤはそう言いながら、右手をコチラに向けて伸ばしてきた。
「さよならは無しだ。また会えるかもしれない望みにかけて、また再開できることを願って、しばしの別れってことにする。だからこれは、その別れの挨拶。最後に握手して終わろうぜ」
「そう...だな。今行くよ」
地面を這い、カリヤに近づく。
あと少し、もう少しで届く。
届く。手を伸ばす。
だが、その手を掴む前に、カリヤの伸ばした腕が力なく落ちた。
「掴めな...かった...」
ああ、見てわかる。カリヤは死んでしまった。
「……っ⁉︎」
カリヤがどこからともなく現れた光に包まれてしまった。そして、その光が散ったら...
「消え...た?」
カリヤが消えてしまった。遺体すら残らなかった。カリヤの神様に回収されてしまったのだろうか。この世界にいるはずのない人間を残すわけにはいかないということなのか...?
「……また、会えるかな...」
しばしの別れ、その挨拶となる握手を出来なかったことは、逆に縁起がいいかもしれない。また会える日を、楽しみに待つことにしよう。
……遠くから、僕の名前を呼ぶニアの声が聞こえてきた。
いつのまにか流していた涙を拭い取り、僕は仰向けになる。
「みんなへの遺言...ちゃんと伝えないとな」
僕は一人、そう呟いた。
「ここ、は...」
気がつけば、真っ白な空間にいた。三度目だ。見間違うはずもない。神様のいるあの空間だ。
「ここに来たってことは、本当に死んじまったんだなぁ...つーかうわっ、脚ある!なんか逆に新鮮だな...」
身体の欠損も全回復...いや、魂が人型になってる感じだから全回復とはまた違うか。
「そーいや魔王倒した後にここ来たけど、なんか凄いノイズみたいなのが走って目が覚めたんだっけ...それ以降神様と喋れなかったのも、魔王の影響だったのかな?」
「そうじゃ。あの時点で伝えられておればよかったのじゃが、うまくいかなかったのう...」
「おっ、神様久しぶり」
「随分軽いな...お主、死んだのじゃぞ?」
「まぁ、死ぬのは二回目なんで...」
「二回目だとしても、一回目は意識がない間での溺死じゃし、もう少し恐怖しても良いと思うのじゃが...」
「それなりに修羅場も潜り抜けてきたしな。死ぬのはまだ怖いけど、それなりに恐怖感は抜けてきてるよ。ところで神様よぉ、俺ってこのあとどうなるの?流石にもう一度あの世界に行けるぞってことはないだろうし、地球に送り込まれて赤ちゃんから新たな人生開始って感じか?」
「そのことなんじゃが...そうじゃな、最初から順番に説明するとしよう」
……よくわからないけど、なんかあるらしいな。とりあえず聞いてみるか。
「まず、お主が魔王に乗り移られたのは、お主が魔族の核を壊そうとして魔王の体内に入り込んだ時じゃ」
「えっ、あの時にはもう寄生されてたの?」
「そうでなきゃ、幸運の加護によってお主や勇者に放たれた攻撃を事前に察知して避けることが出来ていたはずだからあの時点で寄生されていたはずじゃ」
「あーそれはたしかに。不運の予知が出来てないってことはあの時点で魔王の力で無効化されてたわけか...ってか、その幸運の加護ってのはなんで付けたんだ?いやまぁそれに何度も助けられたからあんま強く言えないけど、お節介が過ぎね?運命を捻じ曲げる幸運とか要らなかったんだけど」
「もし加護が無ければ、お主すぐに死んでいたはずじゃよ。ワシのミスで起こった天空落下が無くともな」
「それは...うん、そうなんだけど」
普通の一般人だった俺が戦えたのもその加護のおかげなのだろう。神様としては必ず役目を成し遂げてもらいたかっただろうし、保険をかけておくに越したことはない。ってのはわかってるんだけど、ステラと出会えたこととかもその加護のおかげなんじゃないかって思えちゃうからなんか否定したくなっちゃうんだよな...
「……もういいや。続き話してくれ」
「寄生されたお主はそのことに気づくことなく魔王を倒した。この時点で、未来は二者択一になっていた。勇者ライトを救えたか救えなかったかで、これは分岐する」
「救えた場合が俺が通ってきた未来だけど、救えなかった場合ってのは?」
「そのまま魔王がお主を早々に乗っ取り、誰も止めることができずそのまま魔王によって世界が支配されてしまうのじゃ。お主はよくぞ勇者の命を救ってくれたな」
「もしライトが助かってなかったら、世界滅亡エンド待ったなしだったのか...救えてよかったな」
「そして、お主があの時気絶したことで、僅かに残された魔王の一部が活性化し出したのじゃ。お主と会話ができなくなったのもその辺りからじゃったのう...会話どころかお主のことを見ることすらできなくなってな。こんなこと初めてじゃったからたまげたものよ」
「なるほどなぁ...んであれか。俺が寝ている間に俺の身体を動かして速度操作を強化していたと」
「ああ。まだ力の弱かった魔王はお主の意識のない時にしか行動することができなかった。最後に乗っ取った時も、結局速度操作の減速でお主の精神を止めていなければ長くは持たなかったようじゃがな」
「それもこれも、アライブがライトに魔王のことを伝えて、即座に動けたからなんだろうな。もし動くのが遅れて魔王が力を取り戻していたら、減速にリソースを割くことなかっただろうし一瞬で光速の攻撃をしてゲームセットだったかもだからなぁ...なんか、色々と紙一重すぎる...」
「その紙一重をお主は掴んだんじゃ。まぁ、お主があの世界から消える瞬間まで、ワシとしては気が抜けなかったんじゃがのう...」
「ん?それってどういう...」
「実はのう、なんとも言い出しにくいのじゃが...」
神様は本当に言いづらそうにして、それから数秒後に、ようやく口を開いた。
「お主、また魔王に寄生されておる」
「……へ?」
……聞き間違い?
「聞き間違いじゃないぞ。お主はまた魔王に寄生されておる」
「う、うそーん...ホントに?だって一回魔王完全に俺の身体から出ただろ?んで聖杖で完全に消し飛ばしてただろ?どうやったら魔王が俺に寄生できるんだよ」
「本当に、聖杖が魔王を消し飛ばしたところを見たのか?」
「それは...魔力切れで首から出血して地面に倒れ込む真っ最中だったからちゃんとは見れてないけど...」
「おそらく勇者もちゃんと確認できていなかったじゃろう。聖素の光で視界を完全に塞がれてしまうからの。二人には魔王がどうしていたか見ることはできなかったわけじゃ。実際には、ほんの少しだけ身体の一部が残っておって、なんとかお主の中に入り込んでおったのじゃ」
「え、えぇ...」
魔力切れを起こしたことで魔王は一瞬だけだが動けるようになっていた。あの距離で放たれた聖杖を、あの短い時間で一部だけとはいえ回避するなんて...嘘だろと言いたくなってしまう。
「……で、俺が消える瞬間まで気が抜けなかったってのはその魔王の話とどう関わるんだ?」
「お主、死ぬ間際に勇者と握手しようとしておっただろう?アレ、もしできていたら勇者に魔王が寄生しておった」
「……掴めなくてよかったって言いたくねぇー」
「あの時の勇者は魔力切れを起こしていて加護の力が無くなっていたからのう...もし触れていたら直ぐに魔王が乗り移って意識を奪っていたじゃろうな。もしも掴んだらどうしようとハラハラしっぱなしじゃったわ」
「いや怖すぎんだろ...まぁ俺が死んで魔王も一緒に消えたわけだし、あの世界の平和は確約されたな。それだけはよかったぜ」
「たしかに魔王はあの世界からは消えたが、まだ生きておるぞ?」
「……ちょっと待て?まさか、寄生されてるって現在進行形の話...?」
「そうじゃよ?」
「俺が死んでここに転移した時に、魔王も一緒に着いてきたってこと⁉︎」
「ああ。ワシもどうしたものかと頭を抱えたものよ」
「まだ魔王が俺の魂に巣食ってるって...エグ。えっ、なんとかならないのか?」
「なんとかできるなら、お主が最初に寄生された時点で干渉しておる。ワシにはどうすることもできん」
「えぇ...ん?じゃあこれどうすんの?ってか俺これからどうなるの?元の地球に戻るってことは...」
「当然無理じゃな。今のお主を地球で生まれ変わらせて、地球で魔王に乗っ取られでもしたら大変じゃ」
「……じゃあ本気でどうするの?地球に戻すことはできないんだろ?んで、神様が魔王を取り除くことはできない...またあの世界に送り込むってのは?俺の意識を保った状態で聖杖を浴びせてもらえれば、なんとかなるはず...」
「あの世界での器は破壊されてしまっておるでの。再生成には時間がかかる」
「ってことはその再生成とやらが終わるまで待ちぼうけってことか...?」
なんか、物凄い面倒なことに巻き込まれてしまった。俺の魂に魔王が...勘弁してくれよ。
「そうしたいところじゃが、それではお主も退屈じゃろう?じゃから、一つ提案がある」
「提案?」
「お主、別の世界を旅してみたくはないか?」
「別の世界を...?」
「別の世界の器をゼロから作ることは、再生成するよりも簡単じゃ。じゃから、器の再生成が終わるまで別の世界を旅するのじゃ。まぁ、少し仕事を頼むがのう」
「仕事?どんな仕事だよ」
「お主があの世界でやったのと同じじゃ。魂の初期化事件によって生じた世界のズレを、許容可能な範囲にまで戻す。そんな仕事じゃ。その仕事をしては別の世界に行って、また仕事をする。どうじゃ?」
「なるほど、歪んだその世界を修復しながら世界を渡り歩くってことか...でも、それだとその行った先の世界で魔王が俺の意識を乗っ取ったらヤバくね?」
「そこはワシが対策しておくから安心せい。それでどうじゃ?受けてはみないか?」
「うーむ...」
ただここで器ができるのを待ち続けるか、ちょっとした仕事をこなしながらいろんな世界を旅するかの二択か...この二択なら、選ぶのは当然こっちだよな?
「決めたぜ。その仕事、乗ってやろうじゃないか」
「おおそうか!それは助かる!お主くらいにしか頼めないと思っておってのう...引き受けてくれて嬉しいわい」
「ただ、一つ条件だ」
「条件じゃと?」
「持ってく能力は、ちゃーんと俺に選ばせてくれよ?」
「……はは、当然じゃ!」
どうやら、俺の異世界旅はまだまだこれかららしい。
……さて、次の世界に持っていく能力は何にしようか!
やっっと終わりました!
2023年の八月から連載開始して、早二年弱...大まかなストーリーは決まっているなか、ひたすら即興で肉付けしていく二年間でした!
まさかここまで続くとは...!
そして、誰が予想できたであろうまさかの三部作!
次回作もカリヤくんの物語が続きます!
またいつものように三日後に投稿しますが、詳細は活動報告に載せておきますので、是非是非ご覧ください!
では、ダイヤモンドリリーの次回作にご期待ください!