前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8110字。

今回、半分くらい戦闘で、半分くらいは魔族側の描写になってます。


七色の閃光

「間に合え...!」

 

ログとメリッサが突然転移してきた魔物の群れに囲まれた。いくら二人が強くても、流石に数十体もの魔物に囲まれたら厳しいはずだ。

 

急いで群れの中に突っ込み、ダガーを振って魔物を斬り飛ばしていく。でも、あまりにも密集しすぎていてうまく前に進めない。それに、ここまで密集してたら中の二人は...

 

「…えっ、なんだこの速度。外に押し戻される...⁉︎」

 

内側にいた魔物が、急に外側に向かって吹っ飛ぶ。その速度を事前に察知したおかげでなんとか避けれたが、危うく巻き込まれるところだった。

 

「ってそうじゃねぇ!いったい何が⁉︎」

 

「オラアアァァァッッッ!」

 

魔物の群れの中心から、とてつもない叫び声が響いてくる。その叫び声と共に、複数の魔物が吹っ飛ばされ、宙を舞う。

 

「何が...」

 

「死にさらしゃあああ!」

 

まるでスター○ラチナがハイプ○エステスの歯を殴り砕いたときのように、メリッサがモーニングスターを振り回して魔物を薙ぎ払いながら魔物の群れの中から飛び出してくる。

 

「しょ、正気を失ってる...⁉︎」

 

「これがメリッサの最終奥義、狂化だ」

 

傷を負ったログがこちらにやってくる。

 

「狂化か...見るのは二回目だけど、使い手によって狂化の具合に差があるんだな」

 

「らしいな。所有者の魔力量とか質によって変わるらしい。量や質がいいほど、正気を失う代わりに高い身体能力の強化を受けられるんだとさ。まぁ俺はメリッサのしか見たことないんだけどな」

 

なるほど、メリッサの魔力量だと言語を話せるくらいの正気は残るわけか。そして魔族くらい魔力があると、言語や思考力までも放棄して力を得ることができると。

 

「あれはどれくらいの間もつんじゃ?」

 

ニトラスがこちらにやってきて、ログに回復魔法をかけながら聞く。今、全ての魔物のヘイトがメリッサの方に集中している。そのおかげでこうして回復や話す時間ができていた。

 

「狂化は魔力を使い切るまで続く。おそらく、2分ぐらいはもつだろうな」

 

「2分か...2分で全て倒すのは無理だろうな。ちょうどいい頃合いで回収しなければならんのう」

 

「回収?どうしてだ?」

 

「狂化はスタミナを大きく削るスキルだ。使っている間、どんどんスタミナが削れていく。狂化発動中はスタミナが切れてもそのまま動き続けられるんだが、その効果が切れたら...」

 

「スタミナ切れで動けなくなる、と」

 

雷装と同じだ。発動中はスタミナを削る代わりに、スタミナが切れても動き続けられる。そして、効果が切れると同時にスタミナ切れを起こし身動きが取れなくなってしまう。

 

「ああ、そしてそろそろスタミナが切れるころだ。ほんの少しだが動きも鈍くなる。加勢するぞ」

 

怪我が回復したログがフランベルジュ片手に走り出す。

 

「俺もサポートしに行かないとな」

 

メリッサを助けるなら、魔力切れを起こす前に魔物を殲滅する必要がある。雷装を使って短期決戦をするとしよう。

 

『雷装』

 

「待て、それを使うのは止すといい。お主までスタミナ切れを起こすのは得策ではない」

 

「…え?」

 

「メリッサが魔力とスタミナを切らすのは確定している。ここでお主まで潰れて戦えるのが二人だけになるのは避けたい」

 

「短期決戦で全部倒してしまえばいい」

 

「さっきのを忘れたのか」

 

「…あっ」

 

そうだ。さっき、数十匹もの魔物が転移してきたんだ。これで打ち止め...とは考えにくい。どこから、誰が転移してきているのかを突き止めなくては、下手すれば無限湧きしかねない。

 

「次の転移のタイミングで、超広域に探知魔法を使う。もしその時に術者の位置を特定できたとしても、その転移を止めることはできん。そいつらと戦う余力は残しておけ」

 

「それもそうだな。雷装はなしだ。助言ありがとうニトラス」

 

雷装を解除し、鞭を手に走る。

 

鞭なのには理由がある。乱戦なので、弓矢は誤射の可能性がある以上使えない。ダガーはログのフランベルジュがあるし、ロングソードもメリッサのモーニングスターがある。どの役割にも被らないのが鞭なのだ。二人と相性が悪い相手にも、鞭なら効くだろう。

 

『火装・鞭』

 

火を纏った鞭を振るい、二人が倒し漏らした魔物を叩いていく。あるときは音速を超えた速さで叩き、あるときは足を引っ捕まえて他の魔物に向かって投げ、またあるときは首に巻き付けて炎で焼き殺す。

 

「うりゃああああっっっ!」

 

「うおあぶねっ⁉︎」

 

危うくメリッサのモーニングスターに巻き込まれるところだった。敵味方の区別はついてない...のか?

 

「メリッサ、カリヤを巻き込まないように気をつけるんだぞー」

 

「はいはーい!うおらぁっ!」

 

あっ、俺いる方とは反対側を狙うようになったぞ?夫であるログの声は伝わるってか?そういえばだが、魔物に囲まれて狂化を発動したとき、モーニングスターを振り回していたにもかかわらずログは巻き込まれていなかったな。狂化をしていても、ログだけは認識できるとそういうわけだ。これも夫婦愛ってやつ?

 

「メリッサ右だ。その次は左。最後に前からくるやつを薙ぎ払え」

 

「はいよ!オラオラァッ!」

 

ちゃんと指示出せばその通りに動いてくれるのか。これは狂化と言えるのか?まぁ不○のギルドのハナ○タの狂花みたいなのでなければいいか。制御できるのならそれでいい。

 

「狂化使いこなせれば便利だな...っ!メリッサ足元注意!」

 

地中からウナギがメリッサのもとに近づいてきていた。

 

「オラァッ!」

 

「くっそ聞こえてねぇ!土よ、流動しその形を変えよ!」

 

地面に左手をつき、流動化させる。そして流動する地面目がけて鞭を振り下ろし、ウナギに巻き付ける。そのまま逃げられないうちに地中から引っ張り出す。

 

「ログ頼む!」

 

「ああ!」

 

ウナギをログに向かって投げ飛ばすと、ログはフランベルジュで斬り裂く。浅かったため、一撃で命を絶つことができなかったようだ。

 

…一撃で死ねた方が良かったかもしれない。ウナギはビチビチと地面で跳びはねていたかと思えば、少しずつ傷口が紫に変色していき、今度は流れ出る血が緑色に変色して動かなくなった。毒怖え...

 

「だいぶ減ってきたな...いっちょ走るか」

 

秒速30メートルで辺りを走り回る。地中に潜っているウナギを探知するためたが、ついでにすれ違った魔物の首を斬り落としていく。

 

「いねぇな。そもそも数がそんなにいなかったのか...?」

 

「あふぅ」

 

あっ、メリッサが倒れた。星井○希みたいな声出して倒れたな。

 

「これで最後...メリッサを馬車まで連れてくぞ」

 

見えている最後の魔物を斬り倒したログが言う。

 

「運ぶのは俺に任せろ。『雷装』」

 

雷装で身体能力を強化し、メリッサを抱えて走って馬車まで戻る。

 

「ちょっ、俺を置いてかないでくれ!」

 

「待ってろ今行く」

 

メリッサを馬車に乗せ、すぐにログのもとに戻る。そしてすぐに加速させ、ログと共に馬車に戻る。

 

「よし、離脱完了...ニトラス、どうだ?」

 

「またマナの揺らぎが起こっておる。探知を全開にするから、出てきた魔物の処理は頼むぞい」

 

「ああ、任せな」

 

周囲の、馬車の周りの空間に歪みが生じる。その歪みが段々と大きくなっていき、そして...

 

「そこじゃな」

 

ニトラスが杖を天に向かって突き出す。地面に7つの異なる色をした魔法陣が描かれ、そこから七色のレーザーが放射される。

 

七色のレーザーは空のある一点へと向かって飛んでいく。進む方向をよーく目を凝らしてみると、ほんの豆粒程度の大きさにしか見えないが、何かがあるのが見えた。

 

「あいつが術者...魔族!」

 

七色のレーザーがその何かに向かって飛んでいく。そしてその何かに命中する直前、その軌道が変わった。七つのレーザー全てが急にあらぬ方向に向かって直角に方向転換したのだ。

 

「逸された⁉︎」

 

「違う、転移で逃げられた。だが...そんな転移でワシの魔法から逃げられると思うなよ?」

 

軌道が変わったレーザーが、一点を狙って飛んでいく。

 

「あの魔法には対象を永遠に追尾する魔法を付与しておる。何かに当たるまで魔法はやつを追い続ける。たとえ世界の端まで転移しようと、追い続ける」

 

レーザーが何度もその軌道を変える。転移した魔族に向かって、何度も直角に曲がって追い続ける。魔族はどうしてもここから離れたくないらしく、近場に転移を繰り返してなんとかレーザーを避けていた。

 

「そろそろ転移も限界じゃろう。さっさとどこかに消えるがいい!」

 

レーザーは今もなお魔法陣から放たれ続けている。つまり、今まで通った軌道上にレーザーが残留し続けているのだ。空には無数のレーザーの網ができており、これ以上この空に魔族が居座ることを許さない。

 

「ふむ、やっと逃げおったか」

 

レーザーが遥か彼方、空の果てまで飛んでいく。

 

「おお!魔族を撃退した!すげぇぜニトラス!」

 

「ところで、お主は何をしてるんじゃ?転移してきた魔物の対処は任せる...そう言ったはずじゃがのう」

 

「あっ」

 

ハッとなって周囲を見渡すと、大量の魔物が馬車を取り囲んでいるのが見えた。魔族は逃げたが、最後の転移は止められなかった。最初より数は少ないが、三十体くらいはいるだろう。

 

「くっそやっべぇ!」

 

の、能力全開!『雷装』発動!

 

「テメェらそこ襲うんじゃねぇ空気読みやがれこの野郎!」

 

全力の秒速45メートルで走り、ダガーで魔物の首を刎ね飛ばしていく。その様子はさながら0.2秒の領○展開後の五○悟のよう...と自分で形容してみる。数が三十数体と本家と差がありすぎるので、流石に299秒もかかるなんてことはなく、20秒くらいで殺しきる。

 

「決着...っと」

 

タガーをしまう。急ぎに急ぎまくったのでどっと疲れた。

 

「に、ニトラス、倒し漏れがないか確認のために探知を頼む」

 

「了解した...杞憂だと思うがの」

 

ニトラスの両目が紫色に光りだす。

 

「大丈夫じゃ。全て死んでおる」

 

「新手が転移してくる...ってこともなさそうだな」

 

周囲に歪みはない。いつのまにか魔族が戻ってきていた、なんてことはなさそうだ。

 

「警戒するのはもういいじゃろう。馬車に戻るぞ」

 

「お、おう」

 

ニトラスが馬車に乗りこむ。その背中を追うように、俺も馬車に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どこまで追いかけてくるのよこの魔法⁉︎本当にうざったい!」

 

転移を繰り返し、魔族は七色のレーザーから逃げる。何度転移しても追いかけてくるレーザーに、魔族は苛立ちを隠せない。

 

「障壁も意味ない...!」

 

この魔法は一度何かに当たったら消えるはず。そう思って障壁の魔法を発動させても、レーザーは障壁に当たることなく貫通し進み続ける。木などの障害物のすぐ前に立ち、自らに当たる直前に転移して消滅させようとしても、レーザーは直角に曲がって障害物を避けてしまう。

 

レーザー自体を転移させて地面の中にでも放り込む、というのも考えて実行しようとしたが出来なかった。早すぎて転移させるのが無理なのだ。

 

「このまま戻るわけにもいかないしどうすれば...」

 

肉体の保護は貫通されるだろう。あの魔法は私を狙ったものだ。物理的に存在するものなら当たるだろうが、魔法で作り出したものは全て貫通してしまう。よほど高密度かつ高魔力で編んだ障壁でもなければ、何の意味も成さずにレーザーは私の体を貫くことだろう。そして、そんな障壁は今の私の全魔力を注ぎ込んでも作ることはできない。

 

「そうだ、物理的なものなら!」

 

転移をやめ、飛行の魔法でレーザーと同じ速度で空を飛ぶ。同じ速度といっても、私の方に向かって完璧にまっすぐ飛んでくるレーザーとは違って、私は若干上下左右にブレが生じる。ほんの少しずつだがレーザーは私の方に迫ってくる。けれどそれでいい。転移して待ち伏せするよりも、こっちの方が距離の調整がしやすい!

 

「当たれ!」

 

地面に一瞬触れ、すぐに逃げる。地面が丸ごと捲れ上がり、爆発でもしたかのように大量の土砂が真上に向かって飛び出す。

 

「う、嘘でしょ⁉︎」

 

全部避けられた⁉︎残留してるレーザーは切り落とせたけど、先端はまだ生きてる!まだ追尾して追ってくる!

 

「同じことしても無駄だろうし...他に方法は...!」

 

『やっほーキネット。どう?調子』

 

こんな時に姉はなんて呑気な!今は話をする余裕もないのに!

 

『今は話しかけないでバカ姉さん!』

 

『ちょっ、開口一番がバカって姉に対する口の聞き方じゃなくない⁉︎...あっ、開口してないねテレパスだし』

 

『だから話しかけないでって言ってるでしょ!』

 

『困ってるなら姉に頼るといい〜!』

 

『私でもどうしようもないのに、バカな姉に解決策が出せるわけないでしょ!』

 

というかなんでこの姉は私が困ってるって知ってるんだ⁉︎

 

『バカバカ連呼するのやめてほしいな...私が解決したら、一生慕ってくれるって約束できるなら助けてあげよう!』

 

『できるんだったらやってみなさいよ!ああいいでしょうできるなら慕ってあげますよ姉さん!一生ね!』

 

『オッケー、なら障壁を自分の周りにぐるっと囲ってね』

 

言われた通りに障壁を自分の周囲に作り出す。前後上下左右少しの隙間もなく全てだ。

 

『…やったけど障壁は貫通してくるわよ?』

 

『普通ならねー』

 

七色のレーザーが障壁に迫る。

 

『本当に大丈夫なんでしょうね⁉︎』

 

『安心しなって。あっ、転移はしちゃだめだからね』

 

念を押される。障壁を通り抜けたのを見た瞬間に転移しよう...そうでないと私は一度死ぬ羽目になる。

 

しかし、それは杞憂だった。

 

レーザーは障壁を通り抜けることなく着弾し、消滅した。

 

「…え?」

 

なんで障壁をすり抜けなかった?どうせ何にもならないと思って魔力もほとんどつぎ込んでないのになぜ?

 

『魔法を透過するレーザー。けれどそれは、魔力で練り上げたものなら一切避けることなく突き進む欠陥品と言ってもいい』

 

確かにそうだ。そういう捉え方もできなくはない。けれど、それで十分なのだ。無駄に避けるよりも、透過できるのなら直進した方が距離も魔力消費も少ない。これを欠陥品と言える人間なんて、世界に一人もいないだろう。

 

「なら、私の力で障壁に使われた魔力を最大限まで増幅して物理的に存在するようにすれば、あとは物質化した障壁に向かって勝手にレーザーが突っ込んでくれる」

 

「…テレパスじゃない⁉︎なんでここにいるの⁉︎」

 

カリスからここまでだいぶ距離がある。それに、私は常に転移してレーザーから逃げていた。そんな私の位置を探知し、飛行の魔法で追ってきていたというの⁉︎

 

「姉さん!」

 

「わっはっは!姉さんの手にかかればどんな困難もこの程度よ!」

 

そこには、短く切られた赤い髪を揺らし、大きく口を開けてワハハと笑っていた姉の姿があった。

 

「どうして姉さんがここに...」

 

「ん?そりゃ仕事中もずっと探知してたからだよ。急に位置が変わったからどうしたのかなーと思って来てみれば、変なレーザーに追われてるもんだからびっくりしたよ」

 

「そんなことでわざわざ仕事を抜け出してきたんですか?姉さん」

 

「そうそう。まぁ結果的に助かったんだからいいでしょ?あっ、絶対途中で雨降ってるところ通ったでしょ。綺麗な髪の毛がびしょびしょだよ」

 

そんな!私の綺麗な赤い髪が傷んでしまう!急いで雨水だけを転移させなければ!

 

「うわっ、すぐに乾いた。ほんと便利だね、転移。私の増幅能力って日常生活で使う場面ないからキネットが羨ましいよ」

 

よかった、ちゃんと乾いたみたいね。前にやった時は髪の毛ごと転移してしまって酷いことになってしまったし、成功してよかった。

 

…今思ったけれど、雨の降っている地域を通ったということはもちろんあのレーザーも雨の中を通ったわけだ。それでもここまで追跡してきていることに気がついていれば、土砂を巻き上げて撃ち落とすなんて魔力の無駄遣いをしなかったりというのに...なぜ気づかなかったんだ私のバカバカ!

 

「あっ、そうだ。結局どうだった?神の使い、何が苦手そうだった?」

 

「ああ、それですが...」

 

姉さんに説明をする。

 

「そっか、他の冒険者に邪魔されちゃったか...」

 

「でも収穫はありました。ただ弱い魔物を数だけ揃えても、あの速度で一瞬で刈り殺されてしまうとわかったのは良い進展です」

 

「数を揃えてもだめ、私の力で作ったデカいのを放り込んでもだめ...あっ、両方放り込むのはどう?」

 

「おっ、頭の弱い姉さんにしては考えましたね」

 

「毎度ながらひどい毒舌だね...とても姉に対する態度とは思えない。けど、それも今日で終わり!」

 

「…?」

 

「あの約束をもう忘れたのかい?賢い賢いキネットちゃん?」

 

「…あっ」

 

そういえば私、助けてくれたら一生慕うって言っちゃったな...

 

「ほらほら、約束通りこれからは私への態度を改めてもらうよ?キネットちゃん?」

 

ちゃんづけされることの何たる屈辱。

 

「…姉様」

 

「なーに?」

 

「確かに私は一生慕うと言いました」

 

「だねだね」

 

「ですが」

 

「うん」

 

「その一生はここで終わりです」

 

「え?」

 

指をトンっと側頭部に当て、そこからレーザーを放つ。

 

私は脳を貫くレーザーによってバタリと倒れて絶命する。

 

「ちょちょちょちょキキキキネット⁉︎なんで急に自殺を⁉︎」

 

姉さんがあたふたしている。その哀れな姿を、自らの頭を再生しながら見る。

 

「言ったはずです。一生慕うと」

 

「それがなんで自殺に繋がるの⁉︎」

 

「死ねばその一生は終わり。つまり、私はこれから姉さんを慕う必要はないわけです」

 

「…あっ」

 

「姉さんも詰めが甘いですね。『一生』じゃなくて『永遠』ならこうはならなかったでしょうに...やっぱり頭が残念ですねw」

 

「ムキーっ!ちょっと賢いからって調子に乗ってからに!」

 

「ちょっとではないですよ。天と地ほどの差はありますね」

 

「くっそ煽りよるこの妹!というかそうじゃん!死んでも生き返れるんだから私が姉さんのこと助けなくてもよかったじゃん!あの障壁魔力ぜんぜんこもってなくて増幅させるの大変だったんだからね⁉︎」

 

「生き返れることすら忘れてたんですかこの姉は...あのレーザーに当たるわけにはいかなかったんですよ」

 

「ん?どうして?」

 

自分に迫ってきている魔法がなんであるのか解析したりしないのか?この姉は。そうよね、どんな魔法も増幅させた障壁を使えば受け止められるのだから関係ないのよね...私としてはその増幅能力の方が応用性の高さから欲しいというのに、どうして転移を羨ましがるのかわからない。

 

「あの七つの魔法全てに、探知魔法が内蔵されてました。倒しきれなかった時のために、当たった対象に発信器を取り付ける...といった魔法です。当たるわけにはいかなかったんですよ」

 

「探知かー確かに面倒だね」

 

「それに、再生出来なくなる恐れもありましたから」

 

「再生が?阻害魔法も入ってたの?」

 

「あの七色のレーザーは、追尾と魔法透過と探知の共通して付与されている効果とは別に、その色によってそれぞれ違う効果があるみたいなんですよ。赤は傷口を燃やし、青は凍らせて紫は毒、といった感じですね」

 

「確かに、当たったら再生に支障が出そうなのばっかりだ」

 

「だから当たるわけにはいかなかったんですよ...さっきは色々ありましたが、助けてくれたことは素直に感謝します」

 

「おっ、キネットが礼を言うなんて珍しい」

 

「…もう言いません。永遠に」

 

「永遠に⁉︎もう希望ないじゃん!」

 

ふふっ、姉さんを揶揄うのは本当に面白い。

 

「さて姉さん。そろそろ仕事に戻らないとまずいのでは?」

 

「あったしかに。ここまで休憩が長引くと流石に怪しまれるな...転移お願い!」

 

「わかりました」

 

「そうだ。ねぇキネット。あんな魔法初めて見たんだけど、あれ撃ったのってもしかしてカリスの最強魔法使い?」

 

「いいえ違いますね。あの子は今ガネルにいますから。あれを撃ったのは別の人間です」

 

「へー。誰?」

 

「一世代前の最強。完全攻撃魔法特化の『閃光』使い、ニトラスですよ」

 

「なるほど、じゃあ今はただの老いぼれか。なら安心した。転移お願い」

 

「はいはい」

 

姉さんをカイスに転移させる。

 

「ふぅ、うるさいのがいなくなった...私も帰りますか」

 

自らを転移させる。転移能力は一度に転移させるものの数と、大きさによって飛距離や精度、必要時間が変わる。姉さんより軽い私は姉さんより一回の転移でより遠くまで飛ぶことができた。

 

『なんか失礼なこと考えなかった?』

 

『なにも失礼なことなんて考えてませんよ。早く仕事に戻ってください』

 

こういう時だけ勘が鋭いんだから...

 

さて、私も仕事に戻るとしよう。

 

仕事をしながら、神の使いを殺す方法でも考えておこうかな...




意外と赤髪双子魔族のキャラ気に入ってるんですよね。
書いてて楽しかった。

これからも何回か襲われると思いますが、カリヤくんと直接戦うのはいったいいつになるのやら...

というか、前回の後書きでカイス到着は次回に持ち越しとか言ってたのにカイスに着かなかったぞどうなってんだこれ。
どうしてこうなった...まぁ原因は上に書いた通りでしょうけど。
魔族視点が書いてて楽しかったせいだな、うん。
これも全部魔族が悪いんだ()

次回にはカイスに着くはず...はず!
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