前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8500字。

一話ごとの文字数と展開の進みが、どのくらいが適切なのか模索中。


強さに年齢って関係ないんだね

「ほんとすごいな魔法って。痛みもほとんどないし、こんなすぐに動けるようになるもんなんだな」

 

「…おにーさん魔法見たことないの?」

 

少し返答に困った。この世界だと普通に魔法が使われているようだから、この歳で見たことないってのは少々不自然だろう。どう答えようかな。

 

「あっ、でもそういえば山奥から来たって言ってたっけ?もしかしてずっと山奥に住んでた感じ?なら見てなくても不思議じゃないね」

 

勝手に自己解決してくれたようだ。

 

「でもそれにしては綺麗な服着てるよね。もうボロボロだけど」

 

「あー...親みたいな人が作ってくれたやつなんだよ。と言っても、これしか服はないんだけどね」

 

この体を作ってくれたのは神だ。親みたいな人、と言っても嘘にはならないだろう。というか一張羅なんだよな...明日からどうしよ。

 

「お金回収したら服買いなよ。カナさんの服屋ならその服も直してもらえると思うよ?」

 

「なるほどなるほど...後で村のどこに何があるか教えてくれたりできない?多分しばらくはあそこに定住することになるだろうからね」

 

「オッケー。帰ったらやってあげるよ」

 

ステラの横を歩いて、俺がお金を落とした森へと向かう。

 

「…そういえばなんだけどさ、君の名前ってステラであってる?」

 

衛兵の人がこの少女のことをステラと呼んでいたが、愛称の可能性がある。

 

「あってるよ。じゃあおにーさんはなんて名前なの?」

 

「…仮谷幸希だ。仮谷でも幸希でも、どっちで呼んでくれても構わないよ」

 

さっきのステラの反応的に、どうやらこの世界には苗字の概念がないらしい。いや、そう考えるのは早計か。貴族にはあるとかはあるかもしれないし。けれど、少なくとも普通の一般人には苗字がないのは確定した。だからフルネームで答えるか一瞬迷ったが、ちゃんと答えることにした。

 

「じゃあカリヤさんって呼ぼ」

 

………おにーさんと呼ばれている方が良かったと、一瞬でも考えてしまった俺に軽く戦慄する。そういうのはダメだぞ、俺。

 

「カリヤさん、着いたよ」

 

おぉ、話しているうちにもう着いていたみたいだ。

 

「どこら辺に落としたかわかる?」

 

…どこだろ。神様ーどこに落としたかわかる?

 

『それはわからんのう。でも、お主が落ちてきた場所ならそこから五百メートルちょい歩いたところじゃぞ』

 

五百メートルか...森だと距離感狂ってわかりにくいな。なんか特徴的な袋に入ってたりしない?どんな色してる?

 

『普通の袋じゃぞ。色は白じゃ』

 

白か。まぁ森の中なら白のほうが目立つか?

 

「こっから真っ直ぐ五百メートル行ったところだって。多分そこにあると思う。あっ、白い袋があったらそれだから」

 

「そんな距離正確にわかるんだ」

 

そういえばだけど距離の単位って同じなのかな?メートルでも普通に通じたな。

 

『同じじゃないけど、多分翻訳が働いておるんじゃろ。便利じゃろ?』

 

うんすっごい便利。言語通じなくて苦労する異世界系のやつ見たことあるし、もとの世界でも言語の壁って大きいからなぁ。そこら辺一気に取っ払ってくれるのは本当にありがたい。

 

「でも森だと距離感狂うよね。どうしよっかなー」

 

「まぁ適当に歩けば見つけられるかな。多分折れた太い木の枝とか落ちてるだろうし」

 

「何があったのさ」

 

「左肩の怪我の原因だよ」

 

「ん?どゆこと?」

 

まぁ、分からなくていいと思う。転移して落下中に掴んだ枝が折れたとかそんなこと説明しても意味ないし。

 

「あっそうだ。距離がわかってるなら...」

 

そう思い、能力を発動する。移動中に魔力が回復していたらしく、また使えるようになっていたのだ。

 

「えっと、みはじだから...」

 

能力を使えば周囲の速さが手に取るようにわかる。自分の歩行スピードが秒速どれくらいなのかもわかるので、道のりの五百メートルから割ればどれだけ歩けばいいのかの時間が分かるという寸法だ。みはじなんて久しぶりに使ったな。

 

「この速度で歩くと秒速一メートルか。大体五百秒かな?とりあえず行ってみよー!」

 

「えっ?あっ、うん」

 

突然歩き出した俺に合わせてステラがついてくる。ボディーガードより先に行ってどうすんだ俺。気をつけないとな。

 

「なんでそんなことわかるの?」

 

「そんなこと...って距離とか速さの話?」

 

「そう、それ」

 

どう説明しようかな。

 

「なんて言おっかな...これも魔法なのかねぇ、魔力使うし」

 

「魔法?感知するような魔法かな」

 

「感知と操作だね。周囲の速さがわかって、操作できるような魔法...とでも言っておこうかな」

 

「でも魔法は見たことないんじゃなかったっけ?」

 

あっ、やべ。矛盾が。

 

「…この魔法は生まれつき持ってたやつだからさ。他の魔法は少し知ってるけど見たことがないって感じかな」

 

(この世界での)生まれつきだから間違ってないはずだ。

 

「あと少しで着くはず...あっ、折れた枝あった」

 

道中、魔物に一回も会うことなく無事に俺が落ちてきた場所に戻ってくることができた。この枝のせいで俺、治療費高くなりそうなんだよな。中級とか言ってたけど、結局あの治療っていくらかかるんだろうか。回収したお金でも足りないとかはやめてほしいな。

 

「ねぇカリヤさん」

 

「なに?」

 

「白い袋って...もしかしてあれ?」

 

ステラの指差す方を見ると、そこには確かに白い袋があった。確かにあったのだが...

 

「あっ!逃げた!」

 

その袋は、なぜかあの猪似の魔物が咥えていてそのまま逃げていった。

 

「この距離ならまだ...⁉︎」

 

間に合う、そう思って自らを加速させようとしたその瞬間、俺の能力はとある行動の速さを感知していた。

 

その動きはとても洗練されていて、とても速かった。

 

一切の迷いなく矢筒から矢を取り出し、矢につがえる。そして弓を限界まで引き絞り、魔物に狙いを定めて矢を放つ。

 

矢はほんの少しの放物線を描いて飛んでいき、魔物に突き刺さる。

 

気づいて避ける隙をも与えない動きの速さ、洗練さ。俺はその動きに、すっかり魅了されてしまった。

 

「す、すげぇ」

 

そんなことを呟いてしまったのは、仕方のないことだろう。

 

「何してるのカリヤさん?はい袋」

 

いつのまにかステラは今さっき殺したばっかりの魔物と一緒に袋を持っていて、俺に袋を渡してくる。

 

「おっ、おう。ありがと」

 

「そういえば袋ってそれであってる?別の袋だったりしない?」

 

それもそうだな。確認しないと。中身を開けてみると、中にはお金らしき硬貨が大量に入っていた。これどれくらい入ってるんだろう。この世界の物価とか知らないから使い過ぎには気をつけないとな。

 

『それが渡した袋じゃ』

 

神様からのお墨付きももらったし、これで間違いないみたいだ。

 

「うん、これであってるよ」

 

「ならよかった。カリヤさんはどうする?村に戻るんだったら送ってくけど」

 

「ステラは送ってった後はどうするの?」

 

「もう一度ここに戻ってしばらく狩りかな」

 

「なるほど...それじゃあまだ残ってようかな」

 

「残るの?」

 

「うん。ステラの弓を見てたくなったからね。大丈夫、邪魔はしないから」

 

「へー、そっかぁ、えへへ」

 

ちょっと照れてる。可愛い。

 

「あっ、でもあまり離れないようにしてね」

 

「オッケー」

 

弓を構えながら歩くステラの後ろをついていく。ステラは全方向に意識を向けており、どこからか草の動く音がした瞬間そこに向かって矢を放つ。矢は百発百中とはいかなかったものの、そのほとんどがなんらかの魔物へと命中していく。

 

「スッゴ」

 

ステラの弓は素人目から見ても本当にすごかった。けれど、これでも村で二番目なんだよな。一番だというステラのお兄さんはどれだけ上手いんだろうか。

 

俺がそんなことを思っている最中も、ステラは矢を放つ。ちなみに、俺は今荷物持ちをさせられている。ただついていくだけのもアレなので自分から名乗り出たのだが、死んだ魔物を幾つも袋に入れて抱えるのはなんか...ちょっと嫌だな。自分から言っといてなんだけど。まぁそのおかげでのびのびとステラが狩りをできていると思うことにした。ポジティブシンキングは大事。

 

「ねぇステラ、この森ってどんな魔物がいるの?」

 

「んー?ここにいるのはそれだけのはずだよ?どっかから紛れ込んだやつがいるかもしれないけどね」

 

「鳥系の魔物が飛んできてたりとか?」

 

「あーそうそうそんな感じ。ほらカリヤさんあれを見て。ほらあれ、あの木の上」

 

ステラが指差した木の先端には、長い尻尾と嘴を持った鳥か止まっていた。

 

「あいつ勘がいいから弓あまり当たらないんだよねぇ...あともう少し矢が速ければ当たるんだけど」

 

「速ければ...か。俺が能力で加速させれば当たる可能性ある?」

 

「能力?あっ、魔法のことか。周囲の速度を変えるだっけ?それってどれくらいの距離までいじれるの?」

 

「範囲は今のところ一メートルくらいかな」

 

「範囲から出たら変えた速度ってどうなるの?」

 

「元に戻るね」

 

「…それだと途中で軌道が変わっちゃって当てるの難しそうだね。一発でやるとなるとちょっと難しいな...」

 

「その心配はいらないよ。途中で速度は変わらないから」

 

「えっ?でもさっき元に戻るって...」

 

「とりあえず構えてみて、矢がちょっと速くなると考えて調整してみて」

 

「う、うん」

 

ステラが弓を構える。ちょっと考えて、斜め上に向けていた弓の角度をほんの少し下げる。

 

「本当に当たるの?」

 

「多分だけどね。まぁ当たればいいなって感じ」

 

「…じゃあ撃つよ?」

 

「オッケーいつでもいいよ」

 

ちょっと困惑した様子だが、ステラが引き絞った矢を放つ。矢は、今までに放ったものよりも速い速度で飛んでいく。鳥型の魔物は飛んでくる矢に気づいたものの、避け切ることが出来ず突き刺さる。

 

「当たった...?」

 

魔物が落ちていったところまでステラが駆けていく。

 

「ちゃんと当たってる...でもどうして?」

 

「矢じゃなくて弓の方を加速させたんだよ。二次被害...は表現としておかしいか。加速されたものが引き起こした物理現象はそのまま範囲外に出ても残り続けるって言えばいいのかな?説明が難しいな」

 

やったことは石を投げた時と同じだ。弓が矢を弾き飛ばす速度を加速させれば、矢は加速された速度のまま飛んでいく。速度が変わることで普段の照準からずれるというのが問題点だが、ステラは完璧に合わせてくれた。

 

「んーよくわからないけどすごいね、カリヤさんって」

 

貰い物の力を誉められてもあんま嬉しくないな。できるだけ早くこの世界での魔法を自力で習得したいものだ。どうやったら習得できるのだろうか。魔導書でも読めばいいのか?それとも学校のようなものがあるのだろうか?まぁ、いつか巡り合う時が来るだろう。

 

「役に立ててよかったよ。ってか結構狩ったけどあとどれくらい残るの?」

 

袋が結構パンパンだ。というかめっちゃ重い。

 

「荷物持ちしてくれてるから想定以上に居ちゃったなー...あと一体狩っていい?」

 

「いいよ。あと一体くらいなら持てると思う。デカいのは勘弁だけどね」

 

というわけで、あと一体狩ってから帰ることにした。

 

「………」

 

「……いないね」

 

しかし、なかなか最後の標的は現れなかった。物欲センサーでも働いてんのか?

 

「んーどうしよっかな。戻っちゃう?」

 

「俺はどっちでもいいよ。ステラのしたい方でいい」

 

「じゃっ、戻ろっか」

 

進行方向とは真反対に向き直ろうとする。基本的に真っ直ぐ進んでいたので、帰りも真っ直ぐに進むだけでいいのだ。

 

「えっ」

 

先に振り返ったステラの声が聞こえる。困惑の声だ。

 

「どうしたーってスライム⁉︎」

 

ガチのスライムだ!顔すらねぇ!というかいつの間に後ろにいたんだ?魔物狙うのやめた瞬間に出てくるとか本当に物欲センサーがあるとしか思えない。

 

「この森の魔物ってあの猪のやつしか居ないんじゃなかったっけ?」

 

「そのはずだけど...どっかから迷い込んできたのかな?それとも別の魔物に追っかけられたのかな?」

 

魔物にも弱肉強食ってあるのか?アンブレラ種とかも居るんだろうか?というかスライムを襲う魔物とはいったい...

 

「私スライムって苦手なんだよねー。矢があまり効かないし」

 

「どうする?倒すの?」

 

「倒さないと分裂しちゃうからねー。生態系?ってやつが崩れちゃうんだよ」

 

外来種は確かにヤバい。そういうのを駆除するテレビ番組たまに観てたし、釣り行った時ブラックバスしか釣れなかった経験もあるしで、外来種が入るとヤバいっていうのはわかる。一体で自己増殖できるなら尚更だろう。

 

「どうやったら倒せるの?」

 

「増殖しなくなるくらいバラバラにすればいいんだけど...矢じゃ出来ないんだよね。どうしようかなー」

 

「…俺がやろっか?」

 

「できる?武器持ってないんでしょ?」

 

「要するにバラバラにできればなんでもいいんでしょ?」

 

魔物の入った袋を地面に下ろす。

 

「一応聞いておくけど、核みたいな物はないんだよね?見た感じは無さそうだけど」

 

「うん、ないよ」

 

「おっけ」

 

軽く屈伸したり肩を伸ばしたりと準備運動をする。

 

「よっしゃ、行きますか!」

 

スライムはこちらを見ているだけだ。何もしてこない。いや、目がどこにあるのかわからんし、見てないのかもしれんが、本当に何もしてこない。人間には害をなさないような魔物なのだろうか?自然環境に害なすことで間接的に人間に害なすことになりそうだけど。

 

「そいつ反撃は少ししてくるから気をつけてね」

 

「忠告ありがとね。ほらよっ!」

 

何もしてこないスライムに思い切り加速キックを放つ。悪いスライムじゃないのかもしれないが、ここに来てしまったこと自体が不運だったと思ってもらうしかない。慈悲なく叩き込む。

 

「うわ、足に引っ付いた!」

 

ある程度弾け飛んだが、一部俺の足に引っ付いていた。弾け飛んだ方も、ある程度の大きさに固まって小さなスライムへと変わる。

 

「繰り返せば倒せる...か。というか、反撃ってこれ?」

 

「そうだよ。攻撃してきたあいてにまとわりつくだけなんだけど、面倒だから魔法を使って倒すのが定石らしいよ?あと、顔に引っ付かれないように気をつけてね。窒息しちゃうから」

 

「また窒息するのは嫌だな...とりあえずこいつらを退かすか。ほれ!」

 

加速した回し蹴りをして、足に引っ付いていたスライムを弾き飛ばす。勢いよく飛び散ったおかげで一つ一つの塊が小さく、動くことはなかった。

 

「さて、もっと粉々になってもらうぜ!」

 

全身を加速させ、辺りに散らばっている小さなスライムたちを蹴り、殴り、踏み潰していく。スライムは小さくなり、数も増えていく。けれど、やはりある程度の小ささになると動かなくなるようだ。少しずつ生きたスライムの数が少なくなってくる。

 

「見た感じこいつでラストかな。おらよっと」

 

最後のスライムを踏み潰す。足にまとわりつこうとするも、すぐに動かなくなる。

 

「動かなくなったけどこれ倒せてる?」

 

「…多分大丈夫だと思うよ」

 

「よかったよかった」

 

「それじゃあ...」

 

ステラが小瓶を取り出す。そして中に入っている液体を飲み干し、空にする。

 

「それなに?」

 

「水」

 

あっ、そういえばこの森に来てから一回も水分補給してない。診療所で飲ませてもらったそれが最後だ。

 

「飲みたかったならごめんね、もう飲み干しちゃった」

 

「あー、それは大丈夫」

 

「じゃあこの瓶で...」

 

ステラが小瓶にスライムだったものを入れていく。

 

「また一つにしちゃっていいの?復活しちゃわない?」

 

「死んでるやつだから平気だよ。生きてるやつにくっついちゃうと復活しちゃうんだけどね」

 

小瓶いっぱいにスライムだったものが入る。そしてステラは、俺にその小瓶を渡す。

 

「はいこれ」

 

「…貰っちゃっていいのか?」

 

「カリヤさんが倒したんだからいいんだよ。初めての単独討伐だよ?貰っておきなって」

 

「初めて...か。あれは討伐したとは言えないし、そうだな。じゃあ貰っておくよ」

 

猪の魔物のアレはほとんど自滅だったしな。これが初めての魔物討伐だった。スライムだったからか緊迫感はあまりなかったが、これからは命のやりとりが何回も起こるだろう。魔物を殺すということに、早く慣れないといけないな。

 

「これ何に使えるんだ?」

 

「基本的には売ることになるだろうけど...なんかの素材になるだかそんな話。聞いた覚えがあるよ。しばらく持っててもいいかもね」

 

なんの素材だろ。わからんけど二個目手に入るまでは取っておこっかな。ラストエリクサー症候群引き起こしそうだけど。

 

「よし帰ろー!」

 

ポッケに小瓶を入れ、魔物の死骸の入った袋を持つ。

 

「重っ!よくさっきまで持ててたな」

 

「スタミナ切れかな?さっきめっちゃ動いてたししょうがないか。ちょっと休もっか」

 

「そんなにスタミナ使った覚えないけど...いや、でも確かにちょっと疲れたな。休もう休もう」

 

袋を置き、木を背もたれにして座る。

 

『そういえばスタミナについて教えてなかったのう』

 

スタミナ?もしかしてパラメータとしてスタミナがあるのか?

 

『そうじゃ。スタミナが隠しパラメータとしてある。それが少なくなってくると動きに制限がかかってきて、ゼロになるとほぼほぼ動けなくなるのじゃ。あの時動けなかったのはそれじゃな』

 

あの時ってステラに助けてもらった時のことか。

 

『スタミナは激しい動きをすると減っていく。他にも深い傷を負うと少しずつ減っていくし、特殊な魔法やスキルを使ったりすると減ることもあるのう』

 

なるほどね。説明ありがとう神様。

 

『また聞きたいことがあったらいつでも聞くんじゃぞ。ワシの知ってることならなんでも話すからのう』

 

知ってることって言うってことは、知らないこともあるのか?

 

『まぁ神にも知らないことはあるってことじゃ。あと、いろいろな事情で話せないこともある。そういう時は知らないとか言えないとちゃんと言うからの』

 

了解。

 

「  ねぇ聞いてる?」

 

「えっ、あっごめん。考え事してた。悪いけどもう一回言ってもらえる?」

 

神と会話してる間にステラが話しかけてきていたようだ。

 

「カリヤさんって今日どうするの?泊まるところある?」

 

「あー、その話か。村に宿的な物はある?」

 

「あるよ。魔物を売り払ったら村を紹介することになってたよね。その時に一緒に紹介するよ」

 

「本当に助かる。ステラには助けてもらってばかりだな...あっ、そうだ。それなら...」

 

お金の入った袋を広げて、中身をいくつか取り出す。

 

「はい、これあげるよ。これ拾うの手伝ってもらっちゃったし、これから村を紹介してもらうし、それらのお駄賃としてね」

 

「えっ、いいよ別に」

 

「いいんだよ。ステラは俺の命の恩人でもあるからさ。貰っておいてくれよ」

 

「それじゃあ...」

 

ステラが俺の手のひらに乗せていた硬貨のうち、一つを取る。

 

「これでいいよ。私もあの鳥とかスライムの時に助けてもらったしね」

 

ステラはちょっとクールぶりながらお金をポケットに入れる。けれど、顔はちょっとニヤけていた。なんだよこいつ可愛いかよ。

 

「どう?そろそろ動ける?」

 

「ん?あーどうだろ。ちょっと待って?」

 

袋を持ち上げる。さっきまでは持ち上げられそうになかったが、軽々...とまではいかないものの、持ち上げることができた。

 

「よし、行ける行ける。待たせてごめんね」

 

「いいよー、それじゃ行こっか!」

 

村まで歩いていく。途中で魔物が出てくるかも...と思ったが、そんなことは一切なく森の外まで出ることができた。よくよく考えてみれば、魔物の死体を運んでるんだよな今。そんなやつに襲い掛かったら同じように攻撃されてる死ぬかもしれないんだから襲うわけないよな。物欲センサーとか関係なかったわ。

 

「大量大量〜♪」

 

えらく上機嫌だ。

 

「今日はカリヤさんが手伝ってくれて本当に助かったよ。ありがとね」

 

「いいよいいよ。これからもお世話になるんだし」

 

「それもそうだね」

 

これからステラに村を紹介してもらうことになっているしね。正直、こっちの方がお世話になりっぱなしなのだ。もう少し何かしてあげないと割に合わないと思う。

 

「そういえばなんだけど、あんなに動いて良かったの?トリさんにあまり動くなって言われてなかったっけ?」

 

「そういえばそんなこと言われてたような...水飲んでた時だったかな?あんま集中して聞いてたわけじゃなかったから忘れてたわ」

 

人の話はちゃんと聞いておかないとなぁ。医者の話は特に。

 

「でもそんなに体は痛くないし、多分大丈夫だと思う。まぁ治療費払うときに一応診てもらおうかな。気づかないうちに傷ついてるのかもしれないし」

 

「じゃあこれ売ってから行こっか」

 

能力を使ってほんの少しだけ歩く速度を上げながら村まで歩く。結構な時間森に居たと思うが、まだまだ日は高かった。多分だけど一日が二十四時間じゃなさそうだ。二十四時間じゃない時計ってどうやって作るんだろ。この世界の時計を見たくなってきた。

 

「おぉ、速い速い。面白い力だねー」

 

人の役に立てるのなら、借り物の力でもいいなと思った。今のままじゃ世界を救うなんてこと到底無理そうだけど。早く自分だけの取り柄を持ちたい。

 

「この調子ならすぐ着きそうだね。どこから説明しよっかなー」

 

ステラは村のどこを紹介するか考えているようだった。

 

コロコロと表情の変わるステラの横顔を楽しみながら、村へと戻っていった。




ステラのAPPは15と16の間くらいです。

一応書くけど恋愛要素とかはないです。
自分に恋愛経験ないのにどうやって書けばいいんすか()
そもそも仮谷くんロリコンじゃないしね。ほんとだよ。
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