前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8267字。

リヒトに魔法を教えてもらいます。


天才の魔法講義

「   かはっっ⁉︎」

 

飛び起きる。確か俺は雷装を使って...そのまま気絶したんだっけか?

 

「まだ痛みが...」

 

「やっと起きたか。待たせおって...」

 

「誰のせいだと思ってんですか...解析はどうなりました?」

 

これで何の成果もなしじゃ怒るぞおい。

 

「とりあえずデータはある程度だが集まった。もう少し調べることはあるが、後日でいいだろう」

 

「まだやんのかよ...」

 

「後日と言っただろう。それに、今回みたいに倒れるまでやるわけじゃない。安心してくれ」

 

「できないから言ってるんだよなぁ...んで?どれだけわかったんですか?」

 

「それを話すのは後だ。効率よく進めてくぞ」

 

「…あと?じゃあ今は何をするんです?」

 

「まずは減った魔力を全快にしてもらおう。速度操作なら簡単だろう?」

 

「できるけど...何のために?」

 

「現在の魔力総量を調べる。ついでに適性もだ」

 

「ああ、なるほど」

 

魔力回復速度を加速させる。元々ここは聖域の中なので、加速させればものの一分程度で魔力が回復する。

 

「回復したぞ」

 

「なら、まずはこれを声に出して読んでくれ」

 

「了解。えっと...我が力は全て光に還元される」

 

これ、前に王城に入るときに詠唱した呪文だな。その時と同じように、全身の魔力が足下の魔法陣に流れ込む。

 

「…少ないな」

 

「魔力量がですか?」

 

「ああ」

 

おかしいな。確かあの時は平均より少し多いくらいって言われたはずだが...

 

「それ、比較対象狂ってません?あなたや娘さんと比べたらそりゃ少ないですけど、平均よりは多いはずですよ?」

 

「魔王と戦うには少なすぎる。カリヤ、一つ目の質問だ。魔法を使い始めたのはいつだ?」

 

「だいたい四ヶ月くらい前だったかな」

 

「それでこれか。確かにその期間にしては多いほうだが...カリヤ、もう一つの質問だ。最後に魔力を使い切ったのはいつだ?」

 

「最後か...いつだったかな...ああ、あの時か。トレントの時だから、一ヶ月ちょい前だったかな」

 

「なるほど、やはりそうか」

 

今の質問の意図はなんだろう。魔力量と関係あるのか?

 

「知らないだろうから教えるぞ。魔力総量は魔力を使い切るたびに増える」

 

「…まじ?」

 

「お前、速度操作で魔力を回復できるからって、今まで魔力を温存しながら戦ってきたんじゃないか?だから魔力総量が増えていない」

 

そうやって魔力を増やすのか...初めて知った。だから最近魔力が増えてなかったのか。というか神様も教えてくれればよかったのに。

 

『教えようとしたタイミングでお主が魔力回復速度を回復させられないかと聞いてきたんじゃ。そのせいでタイミングを逃した』

 

遊○王並みにタイミング逃すな。後で言ってくれればよかったのに。

 

「さっき詠唱した魔法は魔法陣がなくても発動できる。魔力を全て光として放出するだけの魔法だから、夜寝る前に使うといい。魔王と戦う前までには、聖域で一晩中寝ても回復しきらない程度の魔力量にしておけ」

 

「わかった。確かに、戦闘中魔力使い切りたくなくて温存してたからな。やっておくよ」

 

「それと魔法の適性の方だが...ぼちぼちといったところだな」

 

「ぼちぼちっすか」

 

「ああ。ほぼ全てが平均値。身体強化系と、属性付与系が少し得意といったところだな」

 

「身体強化と属性付与は速度操作にあってそうだな。んで、平均だとどれくらいできるんだ?適性がないと使えない魔法があったりとかあるのか?」

 

「適性はあくまでも目安でしかない。魔力の消費量にしか関わらないしな。適性が低くても、魔力を多く使うだけで発動自体はできる」

 

「なるほど...」

 

適性がないと使えない魔法があるとかだったらかなーり困ったが、そうじゃなくてよかった。平均ってことは、ある程度の魔力で使えるわけだし、魔力回復速度加速で埋め合わせできるだろう。

 

「それに、魔法を使えば使うほどその系統の魔法に体が慣れていき消費魔力が減る。人の進化は著しい。一代で大きく成長することができる」

 

…ってことは身体強化と属性付与の適性値が上がってるの、ずっと使ってきたからじゃね?そう考えると俺の適性って全平均だったんかな。神様が一から造った体だから、親からの遺伝が一切なくて平均値になったということだろうか。さっきのリヒトの口ぶり的に、親から適性値が遺伝するっぽいし、多分あってそうだ。

 

「さて、そろそろ雷装についてわかったことを話すとしよう。魔力が回復しきるまでは何もできないしな」

 

なるほと、後回しにしたのはそのためか。

 

「と言ってもわかったことはまだ少ないがな。わかったことは一つ。雷装の原理だけだ」

 

「原理...いったい何です?」

 

「まず、これは医療の学会で最近分かったことらしいんだが、人体には微弱な電流が流れているらしい」

 

「生体電気のことかな?」

 

生体電気発見されてるのか。この世界の文化レベルが未だによくわからん...どうやって見つけたかによるけど、もし元の地球みたいにカエルから発見したんだったら、近い将来ボルタ電池が創り出されそうだな。ちょっと楽しみだ。

 

「なんだ知っていたのか...魔力の増やし方は知らないのにどうしてそれは知っているんだ...?」

 

「そこはあまり気にしなくていいところです知識の偏りは今に始まったことでもないですし」

 

「そうなのか。なら話を戻すぞ。カリヤの雷装は、その生体電気を魔力によって何十倍にも増幅させることで成り立っている」

 

「その増幅した生体電気のおかげで身体能力が上がってるって解釈でいいですか?」

 

「ああ、それで問題ない」

 

なんか天○装着みたいだな。あそこまでの身体能力強化は出来ないけど、代わりに触れたものに電流を流し込めるからちょうどいいかもしれない。

 

「そして、その生体電気のおかげでスタミナがなくても動けるのだろう。スタミナを切らすと体の自由が効かなくなるが、それでも無理やり動かそうとするため痛みが走る」

 

これは前に自分で立てた予測と同じだな。痛みの原因はやっぱりそれだったか。

 

「原理はわかりました。では、なぜこの力を手に入れられたのか。雷装のスキルの取得条件はわかりましたか?」

 

「そこまではわからない。ただ、本来なら勇者にしか使えないはずの力をなぜ使えるのかについてはある程度の予測はついている」

 

「というと?」

 

「おそらく、天の怒りを直接スキルで再現しているのではなく、天の怒りを受け感電した状態を再現しているのだろう。だから、本来なら勇者しか使えないはずの天の怒りの力が使える」

 

感電状態の再現か。だから空気に電流を流すことができないのだろう。あくまで感電状態の再現だけなので、雷を放つなんてことはできないのだ。できるのは、触れている液体や固体に流すことだけ。俺の体に落ちた雷が地面に流れた、それを再現するだけだ。

 

「あの、その勇者にしか使えない魔法って何なんですか?天の怒りを扱う魔法ってことはなんとなく予想がつきますけど...」

 

勇者にしか使えないと何度も聞いていたので、少し気になった。いったいどんな魔法なんだ?

 

「…ふむ、魔力が回復しきるまで暇だし、見せるとしよう」

 

「…見せる?」

 

「ちょっと待ってろ」

 

リヒトが本棚から一冊の薄い本を取る。薄いというのは物理的な意味であって、そういう薄い本というわけではない。

 

「これが、その勇者にしか使えない魔法が記された魔導書だ」

 

魔導書を開く。表紙や裏表紙を除けば、中身は四枚の紙しかない、とても薄い魔導書だ。そして、一ページに一つの呪文と魔法陣が描かれていた。

 

「たった八つですか。それに、カスタムワードが一つもない」

 

「全て天の怒りを使う魔法だ。カスタムワードがないのは、一般人にはそれを使うことができなくて実験ができないからだな。理論的には成功するはずのものはいくつか見つかったんだが、実証実験が出来ていないから使わせることができない。もし失敗していて勇者が自滅してしまっては意味がないからな」

 

「なるほど。確かに使わせるわけにはいかないな...その魔法って勇者以外が使ったらどうなるんですか?」

 

「特に何も起こらない。その魔法は神の力を借り受けて使うものだ。神に繋がっていない一般人が使っても、何も起こすことはできない」

 

「…俺が使ったらどうなるんだろう。仮にも神の使いなんだし、雷装持ってるし、使えそうな気がするな」

 

『おそらく無理だと思うぞ』

 

ほんとに?まだ試してないからシュレディンガーだぞ?

 

『この世界の女神と繋がってない以上無理じゃ。ワシとじゃ意味がない』

 

「…試してもいいかもな」

 

ほら、リヒトもこう言ってるぞ?

 

『まぁ試すといい』

 

「使えるといいな。カスタムワードの実験もできるしな」

 

「おぉぅ急にやりたくなくなってきたぞー」

 

「ははっ、冗談だ」

 

「ほんとかなぁ...」

 

「時間を無駄にするわけにはいかない。とりあえず魔力が回復しきるまでに使いたい魔法を教えてもらおう。何が使いたい?」

 

「サラッと無視されたな...使いたい魔法は今朝言った通り全部だ。時間のある限り覚えたい」

 

「…何個魔法があると思ってるんだ」

 

「さぁ?」

 

「さぁって...まぁいい。まずは短くて覚えやすい初心者用の魔法を教えるとするか」

 

「おっすおなしゃす!」

 

さて、頑張って覚えますか...ん?

 

「魔力回復しちゃった」

 

さすが聖域。数分で魔力が溜まる。

 

「やはり少ないな。こんな短時間で回復しきるとは...」

 

…待てよ?今の魔力量で数分だろ?一晩でやっと回復できる量の魔力ってどれだけ多いんだ?そりゃ確かに少ないってなるわそれが基準だったら。

 

「さて、回復したならまずは手始めにこれから始めよう」

 

リヒトが本を取り出す...ってこれ勇者専用のじゃん。

 

「冗談じゃなかったのかよ...」

 

「カスタムワードの実験の話はな。通常発動の実験をしないとは言ってない」

 

「まぁそれだけならいいけど。失敗しても何も起こらないって話だし。で、どうやって使えばいいんですか?」

 

「この魔法陣に触れて魔力を流し込むだけでいい。呪文よりもやりやすいし結果がわかりやすいしな」

 

「よし、それじゃあ...」

 

本に描かれている魔法陣に触れ、魔力を流し込む。自発的に魔法陣に魔力を送るの、なんだかんだで初めてな気がする。意外と簡単だな。

 

「………やはり何も起こらないな」

 

「ダメか...」

 

「まぁいい。気を取り直していこう。外に出ようか。室内だと危険だしな」

 

リヒトに連れられて、研究所の裏口から外に出る。裏口の外は広ーい庭のような感じになっていた。ところどころボロボロなのは魔法の実験のせいだろうか。

 

「よし、やるぞ。まずは魔力の続く限り魔法を使っていこう。一つの魔法を一回だけ使ってすぐ次の魔法を使え。一度経験させてスキルとして定着させろ」

 

…意外とスパルタだなおい。

 

「そうだ、加速を使えば魔力もすぐに回復できるんだったよな。絶対に魔力を使い切るんじゃないぞ。今日だけでこの本に書かれている魔法全て使うんだ。いいな?」

 

スパルタもスパルタだった。弟子になって一日目だけど...ちょっと辞めたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法は筋肉痛とかなくていいな。そのおかげで休めないけど...」

 

次の日の朝、リヒトの研究所に行く準備をしながらつぶやく。結局あの後、ずっと魔法を使っていた。呪文は覚えていないが、スキルは手に入ったのでそれだけで大幅な強化になっただろう。

 

「おっと、忘れないうちにやっておかないとな。『排出光』」

 

スキルを発動し、全魔力を光に還元して放出する。昨日、リヒトに宿を出る前にもやっておけと言われていたのだ。曰く、まだ魔力が少ないから着くまでに回復しきるだろうしやれとのことだ。確かに効率はいい。行き道に暴漢に襲われたりしたらやばいけど、その時はダガーを振るだけだ。

 

「よし、行くか」

 

宿を出てリヒトの研究所に向かう。道半ばで魔力が回復しきるが、ここで排出光は使わない。使ったら光で周りの人の眼がやられて迷惑をかけてしまうからだ。

 

「おはよーございます来ましたよー」

 

研究所に着いたので、扉を開けて中に入る。

 

「おぉよく来たな。てっきり来ないかと思っていた」

 

「確かに一瞬考えたけど流石に来ますって」

 

というか自覚あるなら方法変えようぜ。ほんとにニトラスはこの人に教えてもらったのか?教える天才って聞いてたけど全然そんな気がしない...いや違うな。俺が魔法全部教えてほしいとかいう無茶振りしてるからだこれ。時間ないから超ハイペースでやってるだけだこれ。自業自得だ。

 

「今日は何をするんですか?」

 

「今日はちゃんと教えるぞ。昨日は手当たり次第に種類とか関係なくやったが、今日は適性に合わせたものをやる」

 

「というと今日は身体強化と属性付与をやるってことですか?」

 

「ああ。追加でそれに合いそうな魔法も少しな」

 

どんな魔法だろう。厳選してくれてるみたいだし、ちょっと楽しみだ。

 

「あと、今日は依頼を受けてもらうぞ。魔物相手に実践してもらうからな。もちろん一人でな」

 

「…まぁそりゃそっか。庭に撃ち続けるのもちょっとあれだしな」

 

一日中魔法を撃ち続けるのももう飽きた。一日しかやっていないけど正直もうやりたくない。

 

「というわけで教えていくぞ。今回はカスタムワードまで教えるからな。しっかり覚えるように」

 

「問題ない。覚えるのは得意なんで」

 

元々記憶力は良い方だと自負している。元の地球で見聞きしたこと大体覚えてるし。大体っていうか完璧に覚えてるけど。水素爆発の原理をまるでwi○i見ながら言ってるかのように言えたのもそういうわけだ。流石にそれは変だし、神様がなんかしてくれたんだろうけど。

 

「魔法は全て口頭かつ必ず一つはカスタムワードを入れてもらうつもりだったが...できるか?一度しか教えんぞ?」

 

「あー...多分大丈夫なはず...です」

 

あれをすれば覚えられるはずだし、一度だけでも問題ないはずだ。やばそうだったら気合と根性で何とかしよう。

 

「なら早速一つ目の魔法だ。風を纏いて疾くあれ、これは風の魔法を利用した加速魔法だ。カスタムワードは旋風。風を旋風に変えるだけだ」

 

「風を纏いて疾くあれ風を纏いて疾くあれ...カスタムワードは旋風...」

 

「なぜそんなブツブツ呟いてるんだ?」

 

「話しかけないでください今覚えてるんですから...風を纏いて疾くあれカスタムワードは旋風...よし覚えた」

 

「そんなに覚えにくいことかこれ?何度も繰り返さないと覚えられないのか?」

 

「確かに一回聞いたらある程度は覚えられる。けれど、それはあくまで短期記憶。時間が経てば忘れてしまう。使っていくうちに覚えられるだろうけど、それじゃあ時間が必要だ。俺はもっと早く覚えたい」

 

エビングハウスの忘却曲線というものがある。ざっくり言うと、いい感じのタイミングで復習すれば効率よく記憶できるようになるというものだ。けれど、これは長期記憶に短期記憶が移行するまで時間がかかるということも意味している。

 

「そこで俺の能力です」

 

「…まさか、記憶の定着速度を加速させたとでも?」

 

「そうです。何度も復唱して、長期記憶にさっさと入れてしまうんです。そうすれば、もう忘れずに済む」

 

これが、この世界に来て手にした新たな記憶術。強制的に長期記憶に叩き込み、忘れないようにする。魔法の詠唱は失敗するわけにはいかない。特にカスタムワードを入れる場合は、ミスれば自滅の可能性があるためなおさら間違えるわけにはいかない。うっかりド忘れしたなんてことは許されないのだ。その危険を、この記憶術によって解消する。

 

「なるほど、確かに便利だな。一瞬で覚えられるその力、少し羨ましくもある」

 

世の魔法使いはこんなことをしなくても覚えられるってんだから、そっちの方がすごいと思うんだけど。

 

「じゃあ次の魔法いくぞ。その熱量は残留する、これは武器に付与するタイプの魔法だ。付与した武器で傷をつけた場合、その傷に熱を与えてグズグズにする。再生するような魔物に使うような魔法だ。カスタムワードは放逐。残留を放逐に変えて、その熱量は放逐されると詠唱すると、逆に冷やして凍りつかせられるようになる」

 

「その熱量は残留する...その熱量は放逐される...残留と放逐...熱を留めるのと放出させる違いってわけか。よし、覚えた」

 

「次だ。柔軟なる肉体堅牢となる、肉体保護の魔法だ。発動中は物理的攻撃に対する耐性を得ることができる。体を金属のように固めている関係上、動きは制限されてしまうがな。カスタムワードは二つ。肉体を皮膚に変えれば、耐性が弱くなる代わりに動きやすくなる。堅牢を鉄壁に変えれば、耐性は強くなるが、解除するまで一切動けなくなる」

 

「柔軟なる肉体堅牢となる...肉体を皮膚にすると動きやすくなって、堅牢を鉄壁にすればアス○ロンと...」

 

「覚えたか?」

 

「ああ、覚えた...少し思ったんだが、なんか呪文短くないか?昨日詠唱した魔法もそうだったが、全体的に呪文が短い気がする。簡単な魔法だからか?」

 

絵本で覚えた魔法よりも短いぞ。なぜだ?

 

「無駄を最大限削ったからな。一般的に出回っているのと比べるの短いのも当然だ」

 

「削った?もしかしてリヒトがか?」

 

「ああ。ちゃんと調べたら無駄な文言が入っていることに気がついてな。お前に教えているのは俺が調整を重ねた圧縮呪文だ。それを教えてもらえることに感謝するがいい」

 

「ははー...」

 

頭を垂れ平伏する。

 

「そこまでやれとは言ってないんだが...」

 

困惑させてしまった。流石にやりすぎたか。

 

あっそうだ。神様ー。

 

『なんじゃ?』

 

なんかカスタムワード簡単じゃね?言葉の意味をきちんと考えてうまく入れ替えれば簡単にできそうだ。まぁそれが難しいってことなんだろうけどさ。

 

『お主目線だとそう思うのも当然じゃろうが...仮谷、肉体保護の魔法の呪文とカスタムワードが何だったかリヒトに聞いてみてくれ』

 

何のために?覚えたって言っちゃったから少し言い出しにくいんだけど。

 

『カスタムが難しいということをわからせるためじゃ。ほれ、言ってみぃ』

 

はぁ...まぁいいけど。

 

「あの、肉体保護の魔法の呪文とカスタムワードもう一回言ってくれませんか?」

 

「覚えたんじゃなかったのか?」

 

「一応確認しておきたいんですよ。間違って記憶していたら悲惨ですし」

 

「なるほど、確かに間違って覚えられて自滅されても困るしな。仕方ない」

 

リヒトが呪文を言うために口を開く。そして...

 

「『Q:∥‥≦ ‥”〒◎®︎ t° ≦ヾ∥ L‥” *〆®︎*♭¿ z&n®︎~ 〒◎®︎t• ◇n〒*≠”* °≦ヾ∥ •仝 ≫cr〒*≠” *□n®︎~$』」

 

…は?

 

なんだ今の。なんて言ったのかまるでわからなかった。まさか...今のがこの世界の言葉...なのか?

 

『そうじゃ。今のがこの世界の言語じゃ。石を通してお主に与えている言語翻訳能力を一時的に切ったのじゃ』

 

これがこの世界の言葉...とても人間の言葉とは思えない。元の地球のどこを探してもこんな発音方法はないだろう。カタコト英語のように日本語でそれっぽく真似することすらできそうにない。

 

『文法も日本語とは違う。そもそも、カスタムワードがこの世界の言語では意味のない単語だったりもする。日本語に翻訳しているからわかりやすくなって推測もしやすくなっておるが、本来は見つけるのも一苦労なんじゃぞ』

 

うん、身をもって知ったよ...

 

「どうだ?間違えずに覚えられていたか?」

 

「えっ?ああ、はい」

 

今気づいたけど、今みたいに日本語に聞こえてるときは口の動きと耳に入る声がズレているけれど、さっきの謎言語のときは口の動きと同期してたな。ほんとにあんな言葉話してるのか...やべぇ(語彙消失)

 

「いつかは翻訳能力に頼らないで話せるようになりたいと思ってたけど...絶対無理だなこれ」

 

「なんか言ったか?」

 

「いや、独り言だ気にしないでくれ」

 

「…敬語がついたりタメ口になったり安定しないなお前。気が抜けるとタメ口になるようだが...無理して敬語をつけるのはよせ。聞いていてなんかむず痒い」

 

「会ってからあまり日が経ってませんしそれは...いや待てよ?共闘した人とは普通にタメ口で話してるな俺」

 

ニトラスとかログたちと会ってすぐの頃は丁寧語で話していたけれど、魔物との戦闘後は普通にタメ口になってたな。俺って意外とチョロい?俺、すぐに心許しやすくね?

 

「ほう、なら一度戦ってみるか」

 

「いや遠慮しますやめてくださいお願いします」

 

多分瞬殺される。きっとヤ○チャみたいに地面に伏すことになるだろう。

 

「そうか...まだ少し教えることがある。それを話したら、早速実践しに行ってもらうぞ」

 

ニトラスの講義が再開された。




呪文作るのもキツかったけど、異世界語を表現するのが面倒だった...
異世界語は小説の表現として、平仮名一文字を一つの記号や文字に当てはめて入れ替え、適当な場所でスペースを入れて作っていますが、実際には地球の言語では説明することさえできない発音で、文法も日本語と順番が違くてバラバラだというふうに認識してくださると助かります。

あと、呪文は正直言って適当です。
あと何話かすれば、とある理由で呪文を作る必要がなくなるので、それまでの辛抱だぞ俺...

追記
まさか、前書きの名前をミスっていたとは...73話を書いていて、リヒトの名前をど忘れして確認しにきたら見つけました。
油断した...すみませんでした。
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