前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
戦闘続行ですが、半分くらいで戦闘は終わります。
「行くぞオラァッ!」
ロングソードを右から左に振り回す。見事魔物の兜に命中し、ガツンという音がなる。
けれど、それだけだ。めり込むことも吹き飛ぶこともない。魔物は一切狼狽えることなくサーベルを振ってきた。
「ぐっ、あっぶねぇ...」
なんとか盾でサーベルの軌道を逸らし、バックステップで魔物から距離を取る。
本当に危なかった。サーベルの軌道が少しでも違っていたら、盾が間に合わず切り裂かれていた。
やはり、速度操作による加速がなければロングソードでの攻撃もあまり効果がなく、盾を使った回避も難しくなる。このままでは奴らを倒すのは難しい。
「あれ、試してみるか...!」
ロングソードをグッと力を込めて握る。
「使うのは一瞬...タイミングを間違えたら終わり!」
魔物に向かって走る。そしてさっきと同じように頭に向かってフルスイングする。
「今っ!」
魔物に当たる直前、ロングソードに渾身の力を込め、そのまま殴り抜く。
ガゴッと音が鳴り、先程はびくともしなかった兜が軽くヘコむ。
「できた...もう一回!」
まだ殺せてはいない。もう一度、当たる直前に力を込めて殴る。二度目の攻撃によって兜にヒビが入り欠ける。
「もう一回...っ、無理か!」
流石に突っ込みすぎた。他の三体がサーベルを振り下ろしてくる。
「足っ!」
今度は足に力を集中させ、地面を蹴る。常人には出せない力が地面に加わり、数メートルほど後ろに飛び退くことに成功する。
「できたできた...魔力操作、これならいける!」
周囲にある聖素に反応し、体内で生成された魔力。その魔力をある一部分に集め、一時的に強化させる。それが魔力操作。ここにくる前に、リヒトに教わった技術だ。
魔力は、物体の隅々にまで通せばその物質の強度や機能を強化させる能力を持つ。ロングソードに魔力を流すことで威力を上げ、足に流すことで脚力を上げた。完璧に練り上げれば普通の物質と変わらなくなる魔力。俺の拙い技量で練り上げたものでも、ここまで強化することができた。これなら魔物を倒せるだろう。
「速度操作がなくても俺は戦える...これがその証明だ!」
近づいてきていた魔物の足をロングソードで砕く。それによって倒れ込んだ魔物の頭に一撃を加え、沈黙させる。
見た感じ動けるのはあと二体。さっき頭を二回叩いた魔物はいつのまにか動かなくなっていた。欠けた兜の破片が中身に突き刺さったのだろうか。速度操作が使えないので生死確認ができないから確証が持てない...ってダメだな。また頼ろうとしてる。
さて、魔力操作は一瞬でないとすぐに魔力が尽きてしまう。直接魔力を運用するため、消費量が馬鹿みたいに多いのだ。使うのは一瞬。当たる直前のみ。そうでなければ、回復した少量の魔力を無駄にするだけだ。
「まずは足...!」
魔物の足を狙って機動力を落とす。そのために、屈んで体勢を低くする。そして足に魔力を一瞬流して跳ぶ。地面と並行に高速移動して一気に魔物のもとまで向かい、すれ違いざまに魔力を通したロングソードで足を叩っ切る。高速移動に慣れていればできない動きだ。普段の慣れが功を奏した。
「ってやべ減速できねぐぶっ⁉︎」
減速できず地面を転がる。速度操作なら加速を解除するだけである程度減速ができたのだが、魔力操作での加速はすぐには止められない。使い方に気をつけないと自分で自分を傷つけかねない。
「よ、よし、奴らの機動力は削いだ。あとは頭を潰すだけ...」
足を潰された魔物の方にスタスタと歩く。そしてロングソードを思い切り振り上げ、ブンッと風切り音を立てながら振り下ろす。兜が砕け散る。それをもう一体のほうに繰り返し行う。
「終わった...のかな?一応もう何度か叩いておくか」
動かなくなった四体の魔物は、生死確認ができていない。今まで生死確認は速度操作に頼っていたので、本来ならどうやるのかを知らない。実は生きているのかもしれない。まだ息があって最期の悪あがきをしてくるかもしれない。念入りに叩いても損はないだろう。
「よっ、よっ、よっと...これくらいやればいいだろ」
流石にもう死んだはずだ。完全に潰れている。
「ようやく終わったぁ...帰るか」
やることはやったので帰ろう。今回の依頼は魔物の一部を持って帰らなくてもいいらしい。どうやって倒したことを証明するのだろう?後で調査するんじゃ意味ないだろうし...どうすんだろ。
「ってかほんと便利だな魔力操作。特に魔力切れ起こしてからでも使えるのが良き」
森の中を歩きながら呟く。
そう、この魔力操作は魔力切れを起こしてからでも使えるのだ。でなければ、さっきの戦闘で使えるわけがない。
魔力切れを起こすと、完全に魔力が回復しなければ魔法を使うことができないと、神様は言った。ニトラスにも、リヒトにも同じ説明をされた。けれど、このルールには穴があった。
魔力操作は魔法ではないのだ。魔法ではないので、魔力切れを起こしてからでも、回復した魔力を消費して魔力操作ができる。リヒトに魔力操作のやり方を教えてもらったときに、ついでといった感じで教えてもらったのだ。
「すっごい屁理屈にしか思えないけど...実際使えてるんだし、そういうもんだと思うしかないよな」
なぜそうなるのかを知ることに意味はない。そういうものだと暗記して飲み込んだ方が人生楽だ。
「帰ったらもう少し練習しよっかな。一瞬だけ使うの結構難しいし」
リヒトにコツを教えてもらおう。魔法陣に魔力を流したときのようにやればできる...としか言われなかったんだよな。確かにそうやったら成功したけれど、あまりにも感覚的すぎて今のままだといつか失敗しそうだ。
「帰ったらリヒトに頼み込むか...っとと、今は帰るまでのこと考えないとな」
今の俺は速度操作が使えない。そのため、後ろから奇襲をされても気づくことができない。自力で索敵をしなければならないのだ。
ちょうど今森を抜けたので奇襲の確率は減るが、警戒は怠らない。少しの油断が死につながるのだ。いつ魔力が回復しきるかわからないが、それまで耐えなければならない。
「遠いなぁ...そりゃそっか、加速して十分だもんな。歩いたら何時間かかるんだこれ」
嘆いていても仕方ない。魔力が回復しきれば速度操作を使って走ればいいだけのこと。
俺は周りを警戒しながら、カイスへと歩いていった。
一時間ほど歩いた。まだ魔力は回復しきらない。ここまで一度も魔物に襲われていないのは幸運だが、ちよっと怖くもある。何も起こらなければいいのだが...フラグか?
「多分あとちょっとのはずだけど...」
そう呟いた瞬間だった。
目の前の景色が歪み出す。
この現象を、俺はつい二日前に見たはずだ。
「まじかよ...」
これは、この現象は、魔物が転移してくる時に起こっていたものだ。
「今ここで来るかよ...!」
魔力切れのこのタイミングで襲いかかってくるなんて...というか転移させていた魔族はニトラスの閃光が追っていたはずだが、ほぼ不可避のアレを避け切ったのか⁉︎それとも今も閃光に追いかけ続けられているのか...いや待て、そんなことを考えてる場合じゃない。どんな魔物が何体来るのかを見て対策を考えないと。
歪みが収束しだす。すると、その場に魔物が出現する。紫色の鎧を纏い、盾とサーベルを持った魔物だ。それが周囲に三体ほどいた。
「やっぱあの魔物がいたのは転移のせいか。にしても舐められたモンだな。さっき倒した奴をこの数でぶつけてくるなんてよォ!」
ロングソードを引き抜く。足に魔力を一瞬集中させ、前に転移した魔物の方に跳ぶ。そして今度はロングソードに魔力を集中。魔物が動き出す前に頭を勢いよく殴り、そのまま横を通り抜ける。
「…えっ?」
鎧がヘコむ音も、頭を砕いた感触もなかった。慌てて後ろに、魔物のいる方に振り返る。
魔物は無傷だった。
なぜ?なぜだ?森にいた奴はこれで傷をつけられたのに、なぜこいつには効かない?さっきのとは違う魔物なのか?魔法耐性ではなく、物理耐性を持った魔物なのか?ダメだ。憶測だけで何も確定した情報がない。
「今魔法使えないってのに...!」
周囲に歪みが再度生じる。さらに転移してくるのだろう。このまま魔物が増えたらやばい。今の俺じゃ何もできない。戦っても負ける。逃げなければダメだ。
でもどうやったら逃げられる?魔力操作を繰り返して移動すれば、この場から逃げること自体は可能だろう。けれど、それでは再度転移して追ってくるだけ。魔力が減り、魔力操作すらできなくなったタイミングで追いつかれ、なぶり殺されるだけ。意味がない。
鞄に入っているポーションを使って魔力を使うのはどうだ?ポーションを飲めば、魔力が回復しきるまで魔法を使えないというルールを一時的に無視することができる。ポーションで得た魔力分なら速度操作を使うことは可能だ。いけるか...?
いや、無理だ。ポーションで回復できる量では、カイスに着く前に尽きてしまう。そこから魔力操作で跳んでもギリギリ辿り着けないだろう。それに、今から鞄を漁ってポーションを飲めるほどの余裕はない。これでは遅すぎる。
せめて後数分、数分あれば魔力が回復しきったかもしれないのに...
「……数分?」
そうだ。あとほんの少しで魔力は回復しきるはずなのだ。もし魔力が回復しきれば、速度操作で魔力を回復しながら走ることができる。もちろん、数分間増え続ける魔物の攻撃を避けることは不可能に近い。それを試す気などさらさらない。
「やっとこれを使うときが来た...腕輪解放!魔力還元!」
左手首に付けた紫の腕輪に触れながら詠唱をする。一ヶ月近くかけて貯めてきた魔力の一部を解放し、自らの体の中に取り込む。
「キタキター!魔力充填完了!さっさと逃げる!」
腕輪に貯めた魔力は元々自分のものだ。なので、それを取り込んでもポーションのようなデメリットが起こることはない。そして、魔力が回復しきったので速度操作を使えるようになった。
「じゃあなお前ら!俺は帰らせてもらう!」
秒速30メートル、速度操作だけで出せる最高速度で転移してきた魔物の横を通り抜け、そのまま平原を駆ける。
「はっはっは!これなら追いつけまい!」
周囲の景色が歪みだすも、その歪みを無視してそのまま走り抜ける。転移にはタイムラグがあるため、俺には追いつけない。あらかじめ俺の進行方向に転移させていたとしても、避けるのは容易い。
「おい魔族!呼ぶならもっと速えやつ呼んできやがれ!それができねぇならさっさと消えな!」
どこかで俺のことを見ているであろう魔族を挑発する。そしたら少しの間空間の歪みが増えたが、やがて意味がないことを察したのか転移現象は止まった。
「やっと治ったか...いや待て油断は禁物だな。止まらずに走って帰ろう」
もしかしたら油断させたところを襲う作戦かもしれない。そのまま走り続けてカイスに向かう。
「今思ったけどあの転移って聖域の中にも飛ばすことできるのかな?もしできたらやばくね?」
もしできるのだとしたら、町の中に大量の魔物が出現することに...まぁそんなことができるんだとしたらすでに襲われてないとおかしいし、何か条件が必要なんだろうな。
「………おっ着いた着いた」
そんなことを考えながら走っていると、いつのまにかカイスの近くにまで来ていた。南の方までぐるっと回り込み、門のところまでやってくる。
「お疲れ様でーす」
透明になっている門番に声をかけながら門を通る。えっ、という声が微かに聞こえた。気づかれたことに驚いたのだろう。
「転移してくる気配はなし...と。ギルドに行くか」
とっっっても疲れたのでゆっくり歩いてギルドまで向かう。スタミナが結構減っているので、結構息が辛い。あまり表には出していないので側からみれば平然としているように見えるだろう。神の使いがゼェハァ言ってたら町の人は少なからず不安がるはずだ。なので、速度操作を使ってスタミナの回復速度を上げ、血流や酸素の取り入れの速度を上げて呼吸を整え、発汗の速度を落として見かけを整える。上がった体温も速度操作の応用で低くさせる。
「ギルドとうちゃーく。呼吸は良好。入るか」
速度操作のおかげでだいぶ体力が戻ってきた。もう能力を使わなくても問題ないはずだ。解除してギルドの中に入る。
「報告の列は...おっ、空いてんじゃん。ラッキー」
この時間に依頼完了報告をする人はいないのだろうか。ちょうどいいのでさっさと受付のもとに行く。
「報告お願いしまーす...えっ」
「あっ」
なーんでこの人いるんですかねー
「なんでこの受付やってんの?掛け持ちなの?」
「うっさいなーあんたのせいでしょうが!」
サーマルが叫ぶ。いろんな部署をやらされてるみたいだな。南無三。
「大変そうだな」
「そんな他人事みたいに...」
「他人事だし」
「ああダメだ何言っても意味ないわこいつ...」
「レスバよっわ」
レスバになってるのかは知らんけど、多分サーマルは絶対弱い。
「そういえばなんだけどこれって証明どうすんの?俺16体殺ってきたんだけど...」
「ああ、頑張ってたね」
「…え?見てたの?ストーカー?」
「違うわ!監視魔法!」
「それを人はストーカーと呼ぶ」
「だから違う!」
「もしくはヤンデレorメンヘラ」
「それも違うっ!このギルドは監視魔法を使って冒険者の働きを確認するの!」
「受付員がか?」
「本来は事務員の人がやるんだけど...あんたがミスるところを見たくて見せてもらったのさ」
「で、サボってるところを咎められて別の部署も掛け持ちすることになったと...自業自得やんけ」
「なんでそれを知って...⁉︎」
「さっきの聞いて察せないほうがおかしいだろ」
わかりやすすぎるんだよなぁ。
「というか見てたってことはあの魔物の転移も見えたんだよな?あれ魔族が関わってるから解析とか調査お願いしていいかな?上の人に掛け合ってもらえない?」
「えっ、あっ、う、うん。わかった」
ん?なんか挙動不審に...
「お前そんな狼狽えてどうした?もしかして上司と話すの怖いのかなー?」
「あっ、そ、そうだねーちょっと怖いかなー」
なんか棒読みだなぁ。なんか怪しい?
「そうだこれを上司に言って功績を上げれば元の楽な部署に戻れるかも...」
あっ、なんか調子戻ってきたな。
「行ける...行ける!」
「多分無理」
「酷い!」
「そりゃ無理だろそれだけで帳消しになるわけないじゃん。ってか事務員の人と一緒に見てたんだろ?だったらその人がもう報告してるんじゃ?」
「ああそれはないよ。映像私しか見てないから。仕事交代してもらったんだよね」
「じゃあもう無理だよプラマイゼロにすらならないよどうやってもマイナスにしかならんよ」
「そんなー!」
「というか事務員さんは怒られなかったのか?そこ心配だぞ」
「二人で呼び出されたけど、私しか怒られなかったよ」
「うん、日頃の行いの差だな」
多分こいつもうどうやっても信用回復できないと思う。ダメな大人だなぁ...こうはなりたくない。
「ってかまだ終わんないのか?遅くね?」
「あ ん た の せいでしょ!ほらもう終わったから早く帰った帰った!」
「あざまーす」
報酬をもらったのでもうここには用はない。さっさとリヒトのところに行こう。
「あっ、そうだ言いたいことあったんだった」
サーマルに呼び止められる。
「…なに?」
「あんた独り言多いけどなんで?ちょっと気持ち悪い...」
「あー聞こえない聞こえないー」
耳を塞ぎながらギルドを出る。俺は何も聞いていない...
「よし、リヒトのところ行くか」
ギルドを出た俺はリヒトの研究所に向かって歩く。
「……お腹減ったな。なんか買ってくか」
研究所までの行き道にあった露店で適当に食べ物を買っていく。魔法使いの町といっても、こういう場所があるのは変わらなかったりする。裏道に入ればホームレスが生活しているのを見ることができるのも変わらない。といっても生活に困窮しているのではなく、宿が全て埋まっていて泊まるところが無くなってしまった冒険者だったりするケースがほとんどだ。ガチの生活困窮者はほとんどいない。
「ん、これ美味いな。帰りにも買ってこ」
掘り出し物みーっけ。この世界の食べ物にも慣れてきているので、こう言う道端で売ってるものでも美味しく食べられるようになってきた。しかし、元の地球での料理が恋しくなってきてもいるので、多分今日本食食べたら号泣する自信がある。自分で作ればいいのだが、料理をする機会もなかなかないのでまだ出来ていない。勇者御一行に合流したらタ○シみたいに料理担当にでもなろうかなとは思っている。
「ただいま戻りましたー」
ちょうど食べきった頃、リヒトの研究所に到着する。
「やっと戻ったか」
地下室からリヒトが出てくる。タイミングいいな。
「全部見させてもらったぞ」
あそっか見られてたんだった...カイスに戻ってからも見てたのか?
「さて、見た感想を率直に言うぞ。良かった点悪い点全て洗い出し、次の実践や指導に繋げる」
「遠慮せずにズバズバ言ってくれ。なんでも直すつもりだ」
「ならまずは...独り言をなんとかしてくれ。状況整理で軽くつぶやくのはまだわかるが、それにしても頻度が多すぎる」
「ぐふっ...ぜ、善処します...」
独り言は俺の悪い癖だ。地球にいたころから変わっていない。なぜ独り言を言うのかといえば...なんでだろうな?ハッキリ言うとなんでなのか俺にもわからない。リヒトが言ったように頭の中を整理するという目的は確かにあるが、勝手に思考が口から漏れ出ている場合もある。ほぼほぼ無自覚なので直せる気はしないが、努力はしよう。直すって言っちゃったしな。
「次だ。熱残留と熱放逐をああやって使ったその応用力は良し。一つの用途に捉われず使えるのは魔法使いとしての素質があると言える。しかし、魔力の残量管理がなっていない。現に魔力切れを起こしただろう?本来ならあの程度で魔力切れを起こしてしまうのだ。加速に頼った魔力の運用は改めないとダメだ」
「それは俺も思った...魔力増強頑張りまーす」
「次。魔力操作についてだな。難しいと言っていたが、結構筋は良かったぞ。速度操作のおかげで一瞬の判断力や反応速度が鍛えられていたんだろう。初めて実践で使ったにしては効率よく出来ていた」
「ホント?」
「ああ。欠点である魔力消費量の多さも、速度操作で減速すれば使い勝手も良くなるはずだ。カリヤには結構向いていると思う。後でもう少し練習をするとしよう」
独り言のおかげで頼む前に了承をもらえた。じっくりわからない点を聞くとしよう。
「次。専門外だからよくわからんが、あの剣は独学か?速度操作使用時用に最適化されているみたいだが...」
「そうだな。特に誰に教えてもらったでもないぞ」
「そうか。速度操作を使えるなら今までのやり方でいいだろうが、使えないときにあのままだと効率が悪そうだ。いつか誰かに習うといいだろう」
確かに、今の俺は基礎の基礎すら知らない。本当に困った時に頼れるのは基礎だって何かで聞いたし、ガネルに行ったら誰かに師事を請おうかな。
「こんなところだな。速度操作とかいうイレギュラーがあるせいで何を言えばいいのか悩んだが、今現在の問題はこれくらいだろう」
「意外と少ないな」
「ああ、それよりも転移の方が気になってな。手短に話させてもらった」
「リヒトの視点から見て、あれってどう思う?」
魔法使い目線だとどう映るんだろう。
「魔族の特殊能力の解析なんて初めてだからな。わからないことだらけだ。魔素のある場所にしか転移できない...なんて考察をしてみたが、検証することすらできんからわからん」
「そうか...」
「もう少し研究はしてみるさ。さて、そろそろさっき言った魔力操作の練習に入るとしよう」
「お願いしまーす」
「そうだ。その前に...と」
「ん?...ああ、ありがとう。助かった」
リヒトが切れた服を直してくれた。気が利くなぁ。
「じゃあ始めるぞ。ついてこい」
「押忍!」
裏口から庭に出ようとするリヒトの背中を追って、俺も庭に出る。
修行再開だ。
リヒトとの会話シーンに一時間近くかかった...戦闘シーンは結構サクサクかけたのになぁ。
そう何話も修行シーン書くわけじゃないので、退屈だけはさせないようにしますね。