前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
魔導書のお披露目です。
先に言っておきますが、ぶっ壊れ性能です。
「リヒトー来たぞー」
翌日、俺はリヒトの研究所にやってきた。明日までに完成させるとリヒトが言ったんだ。きっと魔導書とやらは完成しているはずだ。
「……返事ないな。地下室だな多分」
扉を閉め切っていて声が届かなかったのだろう。階段を降りる。
「あっ、寝てる可能性もあるか。音立てないように気をつけて入ろう」
完成させるために徹夜したかもしれない。寝ていたから気づかなかったというのも考えられる。独り言喋っといてなんだが、起こさないようにしたほうがいいよな。
できるだけ音を立てないようにゆっっくりドアノブを捻って...
「あだっ⁉︎」
急に扉が開き、頭をぶつける。
「来ていたのか。気づかなかったすまない」
リヒトが地下室から出てきた。
「いてて...起きてたのか」
「なんだ、俺が寝ていると思っていたのか。だから足音も気配もなかったんだな」
「徹夜で魔導書を作ってると思ってたからな...んで、完成したのか?」
「ああ、バッチリだ。今から試してもらうから庭に出るぞ」
リヒトに連れられて庭に出る。
「よし、ここら辺でいいだろう。じゃあ始めるぞ」
「押忍!...って言っても、何が始まるのかよくわかんないんだけどな。それってどんな魔導書なんだ?」
ただ、俺専用の魔導書としか聞いていない。昨日チラッと見たときに、魔法陣が描かれていたのはみたが、それ以外の情報が一切ない。
「これはだな...見てもらった方が早いな。見てみろ」
魔導書を渡される。「読め」じゃなくて「見ろ」なんだな...見てみるか。
「なんだこれ、魔法陣がいっぱいだな」
パラパラとページをめくる。どのページにも、魔法陣が描かれていた。基本は黒色だが、その中に赤や黄、青などの黒以外の色で描かれた線や図形があった。その傍らには、その魔法陣の呪文も書いてあった。
「これがカリヤ専用の魔導書。『魔法図鑑』だ」
「魔法図鑑?」
「その中には私の知っているすべての魔法、その呪文と魔法陣が記されている。簡単な魔法は最初の方に固まっていて、後ろのページになるごとに難しい魔法になっている」
ページをパラパラとめくって、それを確認する。確かに、最初の方は一ページに十字の線が入っていて四分割されており、四ブロックそれぞれ別の魔法陣と呪文が描かれていた。それがページを進めていくと二分割になり、やがて一ページに一つ、見開き一ページで一つと魔法陣が巨大になっていた。
「そこに載っている魔法陣に魔力を流し込めば、簡単に魔法を使えるというわけだ」
「なるほど...」
「基本は黒い線だけに流す。黒い線だけだとカスタムなしの魔法が発動する。色付きの線に魔力を流せば、それに応じたカスタムが自動的に組み込まれる。どの色が何のカスタムに対応しているかは書いてあるから覚えてくれ」
「すでにカスタムバージョンを色付きで描いてあるから流す流さないで使い分けられると...すごいな」
「ああ、私の現在の最高傑作だ」
こんな魔導書があれば、簡単に魔法を使うことができる。呪文を覚えていなくても、魔導書を開いて魔法陣に魔力を流せば発動できるのだ。どのページに何があるのかは覚えないといけないし、そのページを狙って開かないといけないのは若干不便だが、慣れれば使いこなせるようになるだろう。
「……あれ?」
「どうした?」
「いやさ、これって俺専用の魔導書なんだろ?どこに俺専用の要素があるんだ?誰でも使えるじゃん」
そう、これだと誰にでも扱えることになる。俺専用とはとても言えない。量産して出版すればすぐに世に出回ることだろう。
「いや、これを本当の意味で使いこなせるのは君だけだ。そもそも、これは閉じたまま、もっと言えば鞄の中に入れたまま使うことを想定しているからな」
「……はぁ?」
鞄の中に入れたまま?ちょっと意味がわからない。
「君は基本的にはダガーやロングソードなどの武器を持って戦う。それなのに魔法を使うためには魔導書を取り出して開く必要がある、なんて困るだろう?」
「確かにそうだけど、開かずに魔力を流し込むっていったいどうやれば...」
「君なら出来るだろう。昨日やったことを思い出せばな」
「昨日やったこと...もしかしてアレのことを言っているのか?」
リヒトの持つ紙に描かれた魔法陣、そこに向かって魔力を流す練習。多分だが、それのことを言っているんだろう。
「君は即席の魔法陣を描き出して発動させるのが苦手だ。それとは反対に、魔力操作には天性の才能があると言ってもいい。その二つの特性を活かしたのがこれだ」
「魔法陣はあらかじめ描いてあるから、あとはそこに魔力を流し込むだけ...とは言っても、狙った魔法陣に魔力を流し込めるかはわからないだろ。出来ないかもしれない。第一、どこになんの魔法陣があるか覚えられるかどうか...」
「それは簡単だろう。記憶速度を加速させればいいだけのことだ」
「確かに...いや待て待て。仮にどのページにどの魔法陣があるのかを覚えられたとしても、そこに狙って魔力を流すのは無理だろ。そもそも戦闘中、鞄のどの位置に魔導書があるかわからないし、上下が逆になってるかもしれないとか色々あるだろ?」
「それも君なら解決できる」
「どうやってさ」
「速度操作、君にしか使えない力だ」
「あー...」
できないことはない。速度探知ならどの位置に魔導書があるかわかるし、集中すればページ数までわかるだろう。不可能だ、と言い切ることはできない。
「試しにここで私が言ったページを開いてみろ。283ページ」
「283...ここだな」
閉じている魔導書の小口に触れ、開ける。開いたのは282と283の見開き。成功だ。
「次だ。一回閉じて、765ページを開けろ」
283に765ってアイ○スかよ...と思いながら開ける。
「ほら、出来るだろう?」
「うん、確かにできるけど...」
「なんだ、まだ不満があるか?」
「いや、不満はない。確かにこれは俺専用の魔導書だな」
もしこれが世に出回ったとしても、俺以上に使いこなせる人間はいないだろう。俺に適したものを作ってもらったんだから、それは当然なのだが。
「ただちょっと疑問なんだけど、閉じたままで本当に大丈夫なのか?火の魔法とか使ったら本燃えない?」
閉じたままだと、魔法陣から出てくる魔法が不発に終わるか魔導書を突き破るかしそうだけど...
「私の方で幾重にも防護魔法をかけているから破損することはないが...ああ、そういう勘違いか」
「勘違い?」
「君はニトラスの閃光を見ていたんだったな。勘違いしていても仕方ないか。いいか、魔法陣は発動したからといって、必ず魔法陣を起点にして魔法が発動するわけじゃない」
「えっ、違うの?」
ニトラスの閃光は魔法陣から直接レーザーが飛び出していたから、てっきりそういうもんなんだとばかり...
「魔法陣はあくまで魔法を起動するためのもの。肉体で起こすはずだった魔法現象を発動させるための動きを、魔法陣に代理させているだけだ。だから魔法陣を使って魔法を発動させても、操作権は術者本人にある。発動位置や軌道などの操作は呪文詠唱と同じようにできる」
「なんだそうだったのか...」
「ほかに疑問点はあるか?」
「いや、ないよ」
「そうか。ならそれを持ってもう今日は帰っていい。今日一日、それを覚えるのに使うといいだろう」
「じゃあそうするよ」
「あと、明日からは来なくていい。もう私が教えられることは全て教えた」
「…えっ?」
ちょっと待て今なんて言った?もう来なくていい?全部教えた?
「それは私からの卒業祝いのようなものだ。存分に使ってくれ」
「いや待ってくれまだ二ヶ月しか経ってないぞ⁉︎」
「三ヶ月目いっぱい使って学び続けるよりも、二ヶ月で学んで一ヶ月間練習できる方がいいだろう。元々二ヶ月で終わらせる予定だったしな」
「マジか...」
まさか二ヶ月で全て教えてくれるとは...急いだ感覚はまるでない。もう終わりなのかと驚くくらいだ。
「まぁ来たくなったら来るといい。アドバイスくらいはしてやる」
「……そっか。この二ヶ月の間、いろんなことを学べたよ。ありがとう」
「感謝するくらいなら魔王を倒してきな。それが一番の孝行だ」
「だな。じゃあまたな、リヒト。また来るぜ」
「ああ、待ってるよ」
俺は魔導書を手に、リヒトの研究所を飛び出した。
弟子の門出を、師匠は見守ってくれていた。
さて、一日を使って魔導書を見ていたわけだが、いくつかの欠陥を見つけた。しょうがない欠陥であり、直すことのできないものだ。あって当然のものだと言える。一つずつ見ていこう。
一つ目は、載っている魔法についてだ。この魔導書には、リヒトの知っている魔法全てが載っている。逆に言えば、リヒトの知らない魔法は乗っていないのだ。代表例は、ニアの魔法だ。リヒトの家を出て世界を回っているニア。リヒトの家を出た後に編み出した魔法を、リヒトは知らない。俺を蘇生させた魔法はリヒトも知らないみたいで、載っていない。他にも、まだ世間に発表されていない他の魔法使いが造った魔法も載っていないみたいだ。
二つ目はカスタムについて。本という形状に落とし込む以上、ページの大きさによる制限を受ける。あまりにも複雑な魔法陣になると、線が潰れてしまい、魔法が発動しなくなる。そのため、全てのカスタムを一つの魔法陣に描き込むことができていない。そういう場合は二つ以上に魔法陣を分けているようで、同時に発動することのできないカスタムが存在することになっている。
三つ目は魔法陣の合成について。この魔導書には、リヒトの知る全ての魔法が載っている。しかし、一つずつ載っているため合成することができないのだ。魔法の同時発動自体は可能だ。できないのは魔法の合成。ニトラスの閃光のような例だ。
ニトラスの閃光は、複数の魔法の魔法陣を組み合わせて、一つの魔法陣にすることで発動する。単純に魔法を同時に発動するのとは訳が違うのだ。同じような理由で、フレアとミレアの使っていた長距離移動用術式も使うことができない。
これら三つが今のところ見つかった欠点だ。どれもあって仕方ないものだ。けれど、リヒトもそれがわかっていたみたいで、既に策が用意されていた。
この本は魔道具だ。何百何千とページがあるにもかかわらず、厚さは三センチほどと、ページ数に厚さが見合っていない。重さも、普通の本よりも軽い。そして魔道具としての機能に、ページ数の増加があった。あらかじめサイズを合わせた紙を近づけると、自動的に本に融合されるのだ。
この特性を活かすと、上の三つの欠点がほぼ全て解消される。この魔導書に載っていない魔法を追加したり、使いやすいカスタムを選んで一つの魔法陣を作ったり、魔法陣を自由に組み合わせたものを追加したりできる。魔導書自体もカスタマイズすることができるのだ。
「ほんとすげぇの作ったなリヒト。一日でよくこんなものを作れるな」
魔道具の製作...俺もちょっとやってみたい。暇ができたらリヒトのところに行って教えてもらおうかな。魔法以外のことは教えてもらってないので、そういうのを聞きに行くのもいいかもしれない。来たくなったら来ていいって言われてるしな。
「というか今更だけど魔法ってすごい数あるよな。俺でなければ覚えきれんぞ」
あっ、そもそもどこに何の魔法が書いてあるのか覚えてないといけないっていうのを除いても、もう一つ欠点あったな。
最後の欠点に、それがどんな魔法なのかわからないというのがある。この本には、呪文と魔法陣とスキルとしての名前が書いてある。あとはカスタムの説明くらいだ。魔法の効果は載っていない。一度使ってみないと、どんな魔法なのか普通の人にはわからないのだ。
まぁ自分はこの二ヶ月でこれに乗っている全ての魔法を教え込まれたので、欠点にはならないのだが。どれもすでに一度自分で使った、もしくは見せられているので、どんな魔法なのかは覚えている。問題はない。
こうしてみると結構欠点があるように思えるが、逆にここまで減らせていることを称賛する方がいいだろう。数万もの魔法陣や呪文を一つのミスなく描き出せているのだ。感謝してもしきれない。
「さて、とりあえず試してみるか」
俺はカイスの外に出ていた。この魔導書を魔物相手に試してみるのだ。感謝を込めて使わせてもらおう。
「魔物出てこーい...あっそうだ、魔物誘き寄せる魔法あったな」
本来なら周囲にいる魔物のヘイトを自分に向け味方を守る魔法だが、使いようによっては魔物を誘き寄せることもできる。
「2472ページ上、黒、紫」
魔力を操作する。鞄を通して魔導書に魔力を流し、速度探知で目的のページを見つけて黒と紫の線に魔力を流し込んでいく。紫の線は範囲拡大のカスタムだ。出来るだけ範囲を広くして多くの魔物を誘き寄せる。
「誘引発動っと」
魔法が発動する...多分。すぐに目に見えた効果が出るわけではないので、ちゃんと使えてるかわからない。火球や土流のような手動操作を必要とする魔法ならすぐにわかっただろうが、発動と同時に効果を表す単発型のためよくわからなかった。
「一応簡単なやつやってみよっと。3ページ左上、黒のみ」
魔力を魔法陣に流し込む。
「火の粉発動」
右手の手のひらからほんの小さな火の粉が生成された。
「よし、ちゃんとできてるな...あっつ!」
一度発動させた魔法を突然キャンセルさせることはできない。そして、基本的にどの魔法も、自分にも影響を及ぼす。いつだって自滅の恐れがあるのだ。生み出した火の粉が自分の手のひらに落ちてきたその熱さで、急にそれらを思い出した。
「気をつけないとな...っとと、来たな」
魔物がやってきた。この辺りによく居るらしい、鳥の魔物だ。カイスに来るまでの道中に、魔族がけしかけてきた鳥の魔物と似ているような気がするが、同種だろうか?
「よっしゃ、試し撃ちの的になってくれや!」
ダガーを引き抜く。同時に魔力を魔導書に流す。
72ページ右下 黒のみ 跳躍
足に瞬間的な強化がかかり、地面を蹴ると大きく跳び上がる。そのまま魔物のいるところまで跳び上がった俺はダガーで鳥の魔物の体を斬り裂く。
「よし、武器持ってても使えるな」
魔物が地面に向かって落ちていくが、途中で体勢を立て直し空に戻っていく。
「ありゃ、仕留めきれなかったか。なら別の魔法を...」
7713ページ 黒 赤 重力操作
「ほれ、落ちろ」
空に飛ぼうとしていた魔物。しかし、重力操作によって何倍にも増やされた重力に引き寄せられて地面に激突する。
「…結構難しいな重力操作。魔力もめちゃもってかれる」
簡単に使っていたフレアって結構凄かったんだな...いや、加重で事足りたかこれ。選択ミスだな。何でも使えるってなるとどうしても強い方を選んでしまう。ちゃんと考えて使わないとすぐに魔力が無くなりそうだ。
「トドメっ!」
1061ページ右下 黒のみ 風刃
ダガーを振り、風の刃を地面に落ちた魔物に向かって撃ち出す。見えない風の刃は魔物をズタボロに引き裂いて死に追いやった。
「まず一体目...さぁどんどん来な、全部叩き落としてやる!」
仲間をやられた恨みからか、それとも誘引の魔法で誘き寄せられただけなのか、どちらなのかはわからないが、鳥の魔物が何匹もやってきた。全部殺すとしよう。
4009ページ 黒 青 水道
942ページ右下 黒のみ 呼気再生
1025ページ左上 黒のみ 水泡
最初に発動した水道の魔法で、空中に水の道を作り出す。そして前にも使った呼気再生と水泡を発動して、水の道の中に入り込む。
247ページ左下 黒 赤 緑 光弾
2281ページ下 黒のみ 追尾付与
ダガーをしまい、追尾属性を付与した光弾を指から連続射出する。カスタムによって、発射レートと威力を増やされた追尾する光弾が魔物の頭を弾き飛ばす。避けた魔物も中にはいたが、翼に向かって飛んでいた光弾は避けることができず命中し、地面に落ちていく。
「落ちたのは後回しだな」
水の道から飛び出し、呼気再生と水泡を解除してつぶやく。そして近くにいた魔物一体に指パッチンの構えを向ける。
3776ページ下 黒 黄 音撃
パチンッと指パッチンをすると、指向性を持った凄まじい音の塊が魔物の鼓膜を叩き脳を揺さぶる。意識を手放し、地面に向かって墜落していく。
「次は...これ試してみるか」
4014ページ 黒のみ 障壁
障壁を使って空中に即席の足場を作り、ジャンプする。狙いは群れの中で一番上にいた、最後の一体だ。
「よぉ鳥頭、ちょっくら脳破壊されてくれ」
5114ページ 黒のみ 思考共有
能力で思考速度を最大限加速させる。そうして大量の思考を一瞬に行い、その思考と、速度探知での情報を魔物の脳に共有させる。能力使用中は自身に保護がかかる。そのため、自分はいくら思考を加速させても脳の機能を超え、焼き切れるなんてことは起こらない。
しかし、こいつは違う。こいつがどれだけ賢いのかは知らないが、確実に人間よりかは頭は悪いはずだ。魔族と魔王しか人間以上の知能を持っていないとされているからだ。そのため、普通の人間では脳がショートしてしまうほどの思考を流し込めば、必ずと言っていいほど脳がパンクする。流し込んだ情報をなんとか処理しようとして熱を生じ、脳を焼き切る。そこまでいかずとも、情報処理に気を取られて体がしばらく動かなくなる。
「おっ、脳が止まった。死んだ...かな?」
鳥と一緒に落下していると、脳の活動の速度が止まったのを速度探知で確認できた。もし死んでいなくても、この高さで地面に激突すれば命はないだろう。
「俺も着地しないとな」
7713ページ 黒のみ 重力操作
上向きに少し重力をかけて減速し、安全に着地する。
「よし、始末していくか」
翼を撃ち抜かれ、地面に落ちてピクピクしている魔物を、簡単な魔法で殺していく。
「これで終わりっと...いやーだいぶ魔力使ったな。やっぱ強い魔法は魔力喰うねぇ」
やっぱり、強い魔法があるとそっちを使いたくなってしまう。加重を使えば魔物を地面に落とすことなど簡単なのに、重力操作を使ったりといったことがこれからもあってはすぐに魔力が尽きてしまうだろう。
「まだ使えない魔法もあるし...練習しないとな」
今現在、戦闘中に満足に使えるのは7713ページの重力操作まで。それ以降の魔法になると、連発が出来なかったり、魔力が減っている状態だと使えなかったり、魔力が満タンでも使えなかったりする。魔法陣があっても、魔力が足りなければ使えないのだ。
使えない魔法を使えるようになるために、必要なのは二つ。
一つは魔力を増やすこと。脳筋だが、何度も魔力を使い切り魔力総量を増やせば、もっと高度な魔法を使えるようになる。
もう一つは、その系統の魔法に慣れること。魔法は使えば使うほど体が慣れていき、俗に言う適性値が上昇していく。使えない魔法があったら、それと同じ系統の下級魔法を何度も使えば体が慣れていく。いずれ消費魔力が減っていき、使えなかった魔法が使えるようになるのだ。重力操作を使いたかったら、同じ系統である加重の魔法を使いまくればいいのだ。
「せめて町を出るころまでには全部使えるようになっておきたいな...」
この本の今の最終ページは9928ページ。まだ満足に使えない魔法は...1750個だ。どれだけ魔力を高め、適性を上げればいいのかわからないため、気が遠くなる作業になるかもしれないが...まぁ俺なら何とかなるだろう。
「よし、町に戻ったら正式な依頼を受けて特訓だな。次の町に行くための資金も稼がないとだし」
この町のものは税金が高い。町中にある魔道具の維持費用のために、さまざまなものに税金がかけられているのだ。そのため、リヒトの特訓の過程でやった程度の依頼では、お金は減っていくばかり。そこまで多く減ったわけではないが、着実に減ってはいる。特訓ついでに金稼ぎをしなければ、いずれそこをついてしまうのだ。
「できれば国の援助は受けたくないしな...そうと決まればさっさと戻るか」
88ページ左上 黒 緑 俊敏
88ページ左下 黒 黄 加速
72ページ右下 黒のみ 跳躍
能力を使い、加速バフをかけ、跳躍で横に飛んでカイスまで走る。
「便利になったなぁ...頑張りますか」
町に着くまで多分一分程度。これからの予定を頭の中で組み立てながらカイスへと向かった。
はい、今回で呪文を考える必要がほとんどなくなりました。
やったぜ。
ページ数は今のところ結構適当につけてるので、後々修正したりするかも。
効果やページ数、色のカスタムなどをメモに取っているので、完結したら公開するかもしれません。
ちなみに、リヒトに天性の才能があるとまで言わしめたカリヤくんの魔力操作なんですが、なんでそこまでの才能があるかと言うと、転生者だからなんですよね。
カリヤくんにとって、魔力なんてものは元の地球で暮らしていた頃にはなかったもの、ハッキリ言えば異物です。
異物として認識しているが故に、生まれた時から魔力を身に宿しているこの世界の人間よりも魔力を感じ取ることができ、操作することができるというわけです。
さらに、異物だと思っているから体の外に魔力を流し込むことが簡単にできます。
前回魔力操作を使ったときに、自分という存在が拡張されたと感じたのも同じような理屈なんですが、まず、魔力を異物だと思っているのはカリヤくんの精神・意識・魂です。
しかし、肉体は新しく造られたものなんで、魔力があることを自然に捉えられます。
そうしてできた肉体と精神の乖離によって、魔力を外に流し込むと一緒に肉体も外に出ていくような感覚を感じるというわけです。
以上のことを本編で説明できればよかったんですが、説明させるには神様に解説をさせる以外に方法がなく、テンポも悪くなるということでここでの紹介になりました。