前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
戦争回5話目です。
全速力で数秒間走り、最後の魔物に向かって魔法を撃ち続けている魔法使いの集団まで辿り着く。
「みんな魔法撃つのやめて!...ああもうめんどくさい!」
叫んでも、一切気付いてくれない。このままだといつ攻撃モードとやらに移行してもおかしくないので、今すぐにでも止めなければならない。多少強引でも構わないだろう。
「ごめんみんな...動くな!」
1640ページ左下 黒 青 拡声
1901ページ左上 黒のみ 振動増幅
6972ページ 黒のみ 洗脳操作
大声を出し、それをトリガーとして魔法使いたちを一気に洗脳する。無理矢理魔法の射出を取り止めさせる。
「うっ、ぐぅ...人の洗脳はキチィな」
魔力消費も、脳への負荷も大きい。洗脳した全ての人間に命令を出さないといけないため、頭が割れそうなほどの作業をするハメになった。魔物は脳の構造が人よりも簡単だったからまだマシだったが...あと数人多かったら脳が物理的に破壊されていたかもしれない。
「でも、これで攻撃モードへの移行は防げたはず...」
しばらく魔物を観察するが、動く気配はない。間に合ったみたいだ。
「一旦洗脳を解いて...っと」
魔法を解除し、みんなの意識を解放する。
「……はっ⁉︎これは...何がどうなって...?」
困惑しながら頭を押さえる魔法使いたち。そして、未だに戦場に立っているということに気づき、続々と魔法を撃つ構えを取り始める。
4014ページ 黒 青 障壁
「はいみんなストップよーく聞けー!」
障壁をカスタムで空中に設置して乗り、魔法使いたちに呼びかける。
「あの魔物に迂闊に攻撃しちゃ不味いらしい!なんでも攻撃モードに移行するとかなんとかだ!普段は無害らしいからアイツは一旦放置!みんなは中央に戻って前線に火力支援を頼む!」
神の使いという肩書きのおかげか、それとも一切攻撃が効かなかったことでの諦めがあったのかはわからないが、魔法使いたちは少し考えたのちに納得してこの場を離れていった。
「これでよし...このデカブツどうしよう」
障壁を消して地面の上に降りる。さて、こいつの処理はどうしよう。どうやって倒せばいいのかわからないんだよな。どのくらい攻撃したらモード変更してしまうのかもわからないし、迂闊な行動は死に直結すると思った方がいいだろう。
「一旦あの人のところまで戻って聞いてこようかな...」
こういうのは有識者に聞くのが一番だ。あの魔物について知っていたあの男なら、どうやって倒せばいいのか知ってるはずだし。
「いや待て。行く前に囲っておくか」
こんなところに流れ弾が飛んでくるとは思えないが、万が一のことを考えて魔物を囲う壁を作ることにした。前線から魔物が放った魔法が飛んでくる...なんてこともないわけじゃない。念には念をだ。
「障壁...は流石にデカすぎて厳しいな。土流で土でも被せるか」
魔法を発動するために、魔法図鑑に魔力を通す...
そうしようとしたその時だった。
一発の魔法が、俺の後方から飛んできた。能力の範囲外だったせいで、気付くのが遅れた。視界の端に入り、存在に気づいた時には、もう止めることはできなかった。
魔法が魔物に命中した。一体誰がこんなことを...?
「……いない?」
後ろを振り返っても、遠くにさっき呼びかけて移動させた魔法使いたちがいるだけだった。飛んできた魔法の角度的に、せいぜい離れていても数メートル...5、6メートルくらいのはずだ。誰もいないのはおかしかった。
「これでアイツは起動した。せいぜい頑張りなさい」
「っ⁉︎誰だ!」
すぐ後ろから声がした。確かに人型の何かがいた。けれど、そいつは一瞬ですぐ後ろに現れて、一瞬で消えた。振り返りながら裏拳を放ったが、空を切るだけだった。
「今の...まさか転移の魔族...?わざわざ煽りに来た...?ってかヤバい!」
起動した、と謎の存在は言った。もしその言葉が本当だとしたら...急いで魔物の方を見る。
姿が変わっていた。いや、姿はさっきとあまり変わっていない。埴輪のような見た目のまんまだ。姿が変わったと一瞬思ってしまったのは、模様がついたからだった。
いや、その考えも間違っているみたいだ。あれはただの模様なんかじゃない。魔物を構成している、煉瓦造りのように組み上げられた石。それらが全て反転していた。一つ一つに、魔法陣が描かれていた。
次の瞬間、魔法が放たれた。
石に描かれた魔法陣一つ一つから、対応する魔法が飛び出す。全ての石に魔法陣が描かれているため、文字通り無数の魔法が辺りにばら撒かれる。下手な弾幕シューティングよりも密度が濃い気がする。
「マジかよマジかよマジかよ⁉︎」
速度探知を使いながら飛んでくる魔法をなんとか避けていく。こうでもしなきゃ避けられないほどの弾幕だ。難易度ルナティック。一発でも当たったらどうなるかわからない。完全無欠モードを自力でやっているようなもんだ。俺、究極反則生命体の称号取れてないし、能力使わないと一瞬で死んでるわんなもん!
「クソっ、どうすりゃいいんだこれ!時間制限とかねぇのか⁉︎」
情報が少なすぎる。このまま避け続けていればいずれ治るのか、そうじゃないのか...幸い魔法の射程が短いため、俺以外にこの弾幕の被害にあっている人はいないみたいだ。魔法使いたちを移動させて正解だったな。
「チキショウ攻撃を撃つ隙すらねぇ...流石に攻撃モードになったら防御は弱くなるよなそうであってくれ!」
4566ページ 黒のみ 閃光
わずかな隙をついて、魔法を透過できる閃光を放つ。弾幕に打ち消されることもない。真っ直ぐ飛んでいく。
閃光が魔物に着弾する。しかし、あまり有効打にはなっていなさそうだった。当たった部分の石からまだ魔法が放たれていた。魔法陣を削り取ることすらできていなかった。
「マジかよ...何か弱点っぽいところはないのか...?」
魔法の弾幕を避けながら魔物をよーく観察する。些細な違和感を見つけろ。どんなことも見落とすな。死にたくなければ前だけ見てろ!頭を回せ!
「魔法は効果が薄い...一旦物理攻撃をしてみるか」
やれることは全て試そう。それが勝利への道となる。
4014ページ 黒 赤 障壁
自分の一メートル前に障壁を貼る。赤のカスタムは座標固定。俺の一メートル前という位置に障壁を固定することで、移動してもついてくるような障壁を設置した。これを盾にして、無理矢理弾幕の中を駆ける。
「チッ、脆くなってやがる...急ぐか。『雷装』」
障壁は本来、何があっても壊れない鉄壁の守りである。しかし、カスタムのせいでその耐久性が失われていた。魔法が命中するにつれて少しずつ障壁はヘコみ、削れていっていた。このままじゃすぐに壊れてしまう。そのため、短期決戦をするために雷装を使い、加速する。
魔物に近づくにつれてどんどん弾幕が濃くなっていく。避けれるものは速度操作を使って出来る限り避け、無理なものは諦めて障壁で受ける。そうして俺は魔物のすぐ近くまで来ることができた。
「実験だから適当に...そこ!」
ダガーを抜き、削れて穴の空いた障壁の隙間部分を通して魔物に突き立てる。
「あんまり効いてない...チクショウ一旦離れるか」
ダガーではあまり傷をつけることができなかった。体が石でできているため、斬撃は効きにくいみたいだ。ロングソードで叩き割ればあるいは...といったところだが、ここは一旦離れた方が良さそうだ。障壁ももう保たない。
バックステップで魔物から距離を取る。当然離れるときも、弾幕に当たらないように気をつける。弾幕の速度よりも、俺が下がる方が速い。自分から魔法に当たりに行くようなことはしたくない...ん?
焦りすぎて忘れていた。魔法石あるじゃん。これ使えばもっと簡単に近づけたじゃん。これなら後ろを気にせずに下がれるな。
「ってかどうやって倒せばいいんだよこいつ...物理も魔法もダメってどうすれば...あつっ⁉︎」
背中に焼けるような熱さが走った。正体は速度探知で既に知っていた。簡単な炎の魔法だ。けれど、避けなかった。魔法石の効果で勝手に逸れてくれるはずだったからだ。
「…魔法が逸らせてない...?魔法石の効果が切れてる⁉︎」
魔法が逸らせてないということは、そういうこと。おそらく、使い過ぎて魔力が切れたのだろう。戦闘中に使えなくなることはないってリヒト言ってたはずなんだけどなぁ...
「魔法石は頼れない...障壁で耐えるしかないか」
まずは下がるのを優先する。もし次突っ込む時があれば、さっきと同じように障壁を使っていくとしよう。
「時間が経てば攻撃が止む感じなら嬉しいんだけど...巨大化の副作用で攻撃モードの時間が増えててもおかしくないな。射程短いしいっそのこと無視するか...?」
うん、そうしよう。そっちの方がいい気がする。そうとなればさっさと逃げようそしてこの魔物のことを聞きに行こう倒すのはその後だ。
「逃げるんだよー!」
魔物に背を向けてダッシュで逃げる。時々後ろを向いて魔物の様子と距離を確認するのを忘れない。追ってきたり...はしてないな。もし足でも生えて追ってきたら恐怖で泣け叫ぶぞ。
「よし、もうそろそろ射程圏外...これで追ってこないなら嬉しいけどどうだ?」
魔法の射程外に出る。これでもう魔物の攻撃は届かない。
しかし、俺の立て続けたフラグはちゃっかり回収される。
足が生えたわけではない。魔物を構成している石が部品ごとにバラバラになり、こちらに飛んできたのだ。
「イエロー○ビルかよ⁉︎」
飛んでくる石を見切ってなんとか避けていく。跳んでしゃがんでスライディングしてまた跳んで...しばらくやっていると、やっと魔物が一塊に戻る。そして攻撃が再開された。
「なるほどそういう魔物なわけね」
範囲内にいる人間がいなくなれば、逃げた方向に飛んで範囲に入れ直す。下手すれば範囲内にいる人間が全て死なない限りこの攻撃モードは止まらないのかもしれない。
「でもなんとなく突破口は見えてきたぞ。まずはとりあえず...逃げる!」
さっきと反対方向、元いた場所に向かって走る。そのままこの場所で戦えば誰かを巻き込みかねないという理由もあるが、これは攻撃に移るための行動である。
「ほーら鬼さんこちら!」
しばらく走ると魔法弾幕の射程外に出る。するとさっきのように、イエロー○ビルみたいな感じで石を飛ばして移動してくる。
「攻略法ひとーつ!移動中移動直後は魔法を撃ってこない!」
俺の目の前で魔物が組み上がる。ここから一秒程度の間、魔法を撃たない時間があるのだ。
「ふたーつ!魔法陣を塗りつぶす!」
3780ページ上 黒のみ 筆記
筆記の魔法を発動し、魔物を構成している石に描かれている魔法陣に適当な線を書き加える。
「乱された魔法陣は...ドカーン!」
魔物が魔法を撃ち始める。それと同時に、俺が手を加えた魔法陣が暴走、軽い爆発を起こす。魔法陣はとても繊細なもの。ほんの少しずれたり汚れたりするだけで、魔力の暴走を起こし望んでいない現象を引き起こしてしまう。その性質を利用させてもらった。
爆発が起きたが、それが大きなダメージを産んだわけではない。しかし、魔法陣は壊れた。この目の前に立てば魔法は飛んでこない。安全地帯の出来上がりだ。
「仕組みさえ理解すれば案外楽勝なのかもな...いや待て、そっか本来ならこんな大きさじゃないから安地を作れないのか。巨大化の弊害だな」
正面に立てば安全とかどこの⑨かな?っとそんなことは置いておこう。
「一旦あらかた破壊させてまわるか」
少し移動し、安全地帯から魔法陣に干渉する。今度は爆発せずに魔法陣が機能停止した。何が起こるかわからなくてちょっと怖いが、魔法に当たるよりかはマシなはずだ。陣取りゲームのように少しずつ魔法陣を壊し、安全な領域を生み出していく。
「魔力は...問題なさそうだな。このままやろう」
この辺りはまだ聖素の方が多い。カイスに近いのもあるが、まだこの魔物に傷をつけていないため、魔素が外に漏れ出していないのも大きい。さっき倒した二体の巨大魔物の周りは魔素が多くて魔力回復が著しく遅くなっていたが、ここなら問題ない。筆記で減るよりも回復の方が多い。魔力の心配は一切せずに魔物の戦力を落としにかかる。
「……ってなんだこれ。魔法が出てない...?」
魔法陣を潰している最中、それに気づいた。その魔法陣からは、魔法が出ていなかったのだ。俺はまだ何の細工もしていないというのに、だ。
「なんだろこれ...気づかなかっただけで潰していった奴の中にもあったのかな?」
遠目からだと、弾幕に塗りつぶされて気づかなかった。よーく見ると、同じように魔法が出ていない魔法陣が近くにもいくつかあった。
「もしかしなくても...弱点だったりする?ちょっと試してみるか」
普通の魔法陣は筆記で潰し、魔法の出ていない魔法陣に近づく。
「よっ...おっ、やっぱりそうか」
魔法陣を軽く叩くと、途端にヒビが入り魔法陣が機能停止する。やっぱり弱点みたいだ。
「ってことはこいつを全部潰してまわればいいわけだ。よーし行くか」
ちょっとだけ予定変更だ。普通の魔法陣ももちろん潰しておくが、魔法の出ていない魔法陣を見つけたら優先的に消していく。
「これこのサイズだから簡単に見つけて崩せるけど、元のサイズだとめっちゃ大変そうだな。巨大化もすりゃあいいってもんじゃないね。負けフラグ立つし」
多分この魔物は、魔法の出ていない魔法陣を見つけ、そこを叩くことで倒せる魔物。逆にそれ以外の攻撃では意味がない。小さかったらどれが狙うべき魔法陣なのか見分けるのが大変だし、見つけられたとしてもそこだけを狙うのは難しい。巨大化してて助かったのは初めてだな。
「…よーしこれでとりあえずオッケー!」
ほぼ全ての位置の魔法陣を破壊し尽くした。しかし、一部分やっていないところはあるため、一旦魔物の動きを見る。残したのはわざとだ。もし魔法をまだ撃っていたら、消し漏らしがあるということ。それを見抜くために残した。
「んー...まだ残ってんのか。探さないといけないの大変だな...」
探すのは結構面倒だ。さっきまでは魔法を撃っていないという確かな異常があったから存在が浮いていて見つけやすかった。しかし今はほぼ全ての魔法陣が止まっている。筆記の魔法で描いた線の色を特徴的にしておいてなければ、しらみつぶしで探さなければいけなくなるところだった。
「……あ、あったあった。これでラストだと嬉しいな」
見つけた魔法陣を小突く。石がボロッと崩れ、魔法陣も止まる。
その時だった。
魔物の全身に少しずつできていたヒビ。それが少しずつ大きくなり、ヒビとヒビ同士が繋がっていく。
そして一気にバラバラに崩れた。
「やーっと倒せた...」
魔物は崩れていった。体を構成していた石が地面へと降り注ぐ。
「避け...る必要はなさそうだな」
大きめな石が降ってきたので避けようかと思ったが、石は地面に落ちてくるまでの間にどんどん小さくなり、砂粒くらいの大きさまでになって降ってきた。魔素が抜けて巨大化が解けたのだろう。
「途中で魔法陣に気づけてよかったな...危ない賭けに出る必要なくなった」
元々の作戦は、ある程度魔法陣を潰し切ったら一旦離れて魔物の移動を誘発、体を形作る前にその内側に入り、内側から攻撃するというものだった。一度目の移動で中身が空洞なのに気づき、即興で立てた攻略法その3だったが、内側に入ったらどうなるのかわからないから賭けも賭けになるところだった。
まぁ冷静になって考えてみると、魔法使いたちが一斉に魔法を当てても一切効かなかった面が内側を向いているわけで、中に入ったところで何もできなかったような気がしてきた。下手すりゃ出れなくなって詰んでいたかもしれない。本当に気づけてよかった。
「よし、一旦カイスに戻るか」
魔力も結構使っちゃったし、何より疲れた。一旦戦線離脱しよう。二回目だけど、運動量が違うしちょっと許してほしい。
しゅたたーっと走り、カイスの門の前まで戻ってくる。
「…なんだなんだ、なんの騒ぎだ?」
カイスに戻ると、多くの人が慌ただしく右往左往していた。魔力の回復待ち...ってわけではなさそうだった。どうしたんだろう...あっ、リヒトだ。聞いてみよう。
「どうしたんだリヒト。何があった?」
「お、おぉカリヤか。悪いが今それどころじゃないんだ。ニトラスに聞いてくれ」
そう言ってリヒトは去っていった。ほんとにどうしたんだろう。リヒトがこんなに慌ててるなんて珍しい。んで、ニトラスは...いた。
「おーいニトラス。この騒ぎはなんだ?リヒトにニトラスに聞けって言われたんだが...」
「カリヤか...気づいてないのか?」
「気づくって、何に?」
「時計を見るんじゃ」
「時計?...っ⁉︎」
懐中時計を取り出して見る。
驚愕した。
「どう...なってんだこれ、もうとっくに一時間経ってるじゃねぇか⁉︎」
戦闘開始から一時間十数分ほどが経過していた。戦闘が始まる前、リヒトとニトラスと門の辺りで話していた時に時間を確認したから、記憶違いでは決してない。
「じゃあなんで防衛装置が移動できてないんだ?一時間で移動できるって話じゃなかったのか⁉︎」
「なんでも、何者かの邪魔を受けているらしいんじゃ。防衛装置の移動は魔法を使う。整備と転移場所の調整は終わっておる。けれど、肝心の転移ができていないんじゃ」
「妨害...魔族か?」
「おそらく...な」
「マジかよ...で、いつになったら移動できるんだ?流石に永遠に移動できないってわけじゃないだろ?」
「具体的にこうとハッキリ言うことはできないが...この調子だと短くても十分はかかるじゃろうな」
「十分か...まぁこの調子で守り続けられたら問題ない時間ではあるか...?」
「そうは言ってられない。どれだけ使ったかによるが、魔法石の効果がそろそろ切れてくる頃合いじゃ。一時間の戦闘を想定して魔力を込めていたらしいからのう。これ以上戦えば時期に使えなくなる」
「あっ、だから魔法石使えなくなってたのか...早く気づくべきだったな」
一時間は切れないと言っていたんだからそこをきちんと信じていたら、もう一時間経っていることに気づけたかもしれない。まぁ気付けたからといって俺に何が出来るんだって話だが。
「魔法石が使えなくなれば、後方から魔法の支援を送るのが難しくなってくるのか...もう冒険者下がらせるのはどうだ?十分程度なら魔法だけでもいけるんじゃないか?」
「確かに十分はもつじゃろうが、そこまで。もし移動が長引けば押し切られてしまう」
「じゃあどうすれば...」
どうしようかと頭を悩ませながら門のほうを向く。門の先には魔法を飛ばす魔法使いたちの姿が見える。ここからだと見えないが、さらに奥では冒険者たちが戦っているはずだ。
考えろ。なんとかカイスを守り切る方法を...
「………は?」
一瞬。
そう、一瞬で見えていたはずの景色が塗り替えられた。何かに遮られて、魔法使いたちのその向こうに見えていた空色や背の高い魔物の姿が見えなくなった。
一瞬頭が追いつかなかった。それがなんなのかを確認しようと、俺は一目散に門の外へと駆け出した。
高いカイスの壁の上から見えるそれを、無意識に見ないようにしながら。
「なん...だよ...これ」
そこにいたのは、魔物だった。紫色の鎧に、盾、武器としてサーベルを持った、騎士のような容姿の魔物。見慣れた魔法耐性持ちの魔物だ。
しかし、サイズがおかしい。
今までに一度も見たことのない大きさだ。恐ろしすぎてどんどん血の気が失せていく。目の前の事実を脳は受け入れたくないらしく、ふらっと意識を手放しそうになる。
それをなんとか抑える。
意識を現実に戻す。
現実を直視する。
上を見上げる。
そこにあるのは、巨大な魔物の片足。これが門から見た外の景色を塞いでいた。
さらに上を見上げる。
首が痛くなるほど見上げる。
推測するのも無理なほどの大きさの魔物が、そこに立っていた。
前半の三体目の魔物との戦闘描写がめっちゃ適当になってしまいましたすみません。
次回の戦闘はもっと頑張るんで許してクレメンス。
次回は超巨大魔物との戦闘になります。