前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
今回スローペースなんで、英雄が決まって英雄選抜試験が終わるところまでしか進みません。
スローペースなのは今に始まったことではありませんがね...毎回8000字以上でもう50話以上使ってるのにまだ4つ目の町とかマ?
「時間です。準備お願いします」
テントの中に頭を覗かせて、ギルド職員が呼びかけてくる。
「時間だとよ。ほらレスト起きろー」
地面で寝ているレストのそばにしゃがみ、ほっぺを突っつきながら声をかける。
「……起きねぇな。どうしよ」
「ほっとけ。少しすれば起きるだろう」
そう言いながらルードはテントの外に出ていった。
「……えいっ!」
『雷装』
「いっっっっっ!!」
軽くほっぺに電流を流したら、面白いくらいに飛び起きた。
「な...なに...?」
「時間だぞ。ほら、身なり整えてテントの外に出る!」
「う、うん...」
無視したらまた電流を流されると思ったのか、若干怯えながらレストはそそくさとテントの外に出始める。俺もその後ろをついていく。
「なんでついてくるの...?」
「なんでってお前...ほら止まんないさっさと行く!」
これから二人の試験の結果を発表するのだ。そしてどちらが英雄に選ばれるのかも発表することになる。こいつ寝てて説明聞いてなかったんだな。
レストと二人で大広場の中央に向かって歩く。先に行って待っていたルードが、なぜかこっちを見て驚いたような顔をしていた。多分だけどレストがこんなに早く起きたことに驚いてるんだろうな。脅して起こしたということは隠しておこう。
「お前...そんなに早く起きれたんだな」
「寝てたのにビリビリされた...」
あっ、黙ってようと思ってたのに言いやがった。まぁ別にいいけど。
「試験を受けたルードさん、レストさん。試験監督のカリヤ様。今日はお疲れ様でした!」
どこからか声が響いてくる。なんか既視感あるなと思ってたけどこれ、あれだ。校内放送で始業式やってるときみたいだ。お疲れ様でしたって言われて思わず礼しちゃうのもその習慣が残ってるんだろうな。
「これから試験結果を発表していただこうと思うのですが...準備はいいでしょうか?カリヤ様」
「はい。一人ずつ感想を言っていきますね」
そう言ってからまずはルードの方を見る。
「えーっと、まず、ルードさんは堅実な盾使いだと言えますね。大きく重い盾を見事に操り、敵の攻撃を的確に受け止めて防ぐ。少なくとも一対一で魔物と戦う分には負けることはないでしょう。複数対一でも十分相手取れると思います」
どういうふうに言ったとしても上から目線のようになってしまうが、そこは神の使いだからということで納得してもらおう。丁寧語でも上から目線の物言いは隠しきれない。
「そして魔法もある程度使える。大きい盾で視界が塞がれてしまうという弱点を透視によって解消したり、反応しきれない魔法や矢を設置型の軌道変更魔法で防いだりと、使い方が上手い。まだまだ未熟だけれど鍛え上げればもっと使えるようになるだろうし、魔法無しでも十分に守り切れるから旅をしながらでも間に合うでしょう。魔力が少ないという弱点もありますが、これも旅をしていればいずれ増えるでしょう」
バフをかける魔法でも覚えればもっと動きも良くなるだろうしな。覚えるのと、魔力を増やすのに時間はかかるだろうけど、増やすだけなら俺の能力を使えばだいぶ時間短縮できるだろうしね。
「なかなか戦闘センスもいい。凍った地面を、炎魔法を受けた盾を使って溶かしたり、電流を一瞬だけ盾を手放すことで受けないようにするとかの判断をすぐさまできるのはすごいと思う。そしてそれを実行できる身体能力があるのもいい。普通の人じゃ考えついたとしても実行に移せないだろうからな」
ルードは俺の言うことを一言も漏らさないとばかりに聞き入っていた。
「盾がなくても身を挺して守れるのもよかった。まぁ加減は必要ではあると思うけど...命をかけてでも誰かを守るという心意気はよし。勝ちを確信して、注意力が散漫になったのは減点対象だがな」
ポーチを外せば魔法は使えないと思い込んだのがルードの敗因の一つである。別に魔法図鑑がなくても魔法を発動すること自体はできるし、その時やったみたいに魔力を遠隔で流し込むこともできるからな。
魔物と戦うにあたって思い込みは禁物だ。勝ちを確信することはしてはいけない。意表を突いた行動をされても十分に対処できる状態に常になっているのが理想だ。俺もできているとは言えないけど。速度操作で無理矢理対応してるだけだしね。人のこと言えない。
「試験が終わっても息上がっていなかったから、スタミナも多いんだろうな。途中でバテられちゃ困るし、加点対象だな。自分が死んだら誰も守ることができなくなる。そのことを頭の片隅に入れて行動すれば、もっと良くなると思う」
身を挺して守るってところで言おうと思っていたけど、完全に忘れていたことを今言う。ルードは俺を押さえつけたが、もしその拘束が甘かったら?もし別の攻撃手段を隠し持っていたら?実践だったら、そして魔物相手だったら?ルードは死んでいた可能性が高い。そんな行動を諌めないわけにはいかない。
「ってなところでルードの評価は終わりかな。次はレストだ」
レストの方を向く。
「おいうたた寝すんな。今からお前の評価言うんだからちゃんと聞いとけ」
ハッ、といった感じで目を見開くレスト。よし、ちゃんと聞いているな。
「レストは...そうだな。あんまり一般的な盾使いを知らないからもしかしたら間違っているのかもしれないが、結構特殊な盾の使い方をしているよな。腕につけた癖のある盾たちを適材適所で使えているのは、他の人には真似できない特技なんだと思う」
俺も腕につけてるけど、二種類を使い分けるのは多分無理だと思う。頭がこんがらがって、間違って受け流す方で受け止めちゃって壊しちゃいそう。
「あと、見た目や普段の様子からは想像できないくらい動けていてちょっと驚きだ。まぁ、その先入観抜きにしても動けているとは思う。魔法のバフもあるだろうがな」
そういえば魔法無しのときの動きを見てないな。魔法拡散でも使って確認しておけばよかったな。
「さっきルードにスタミナが多くて魔力が少ないって言ったけど、レストはその逆だ。さまざまな魔法を使っているから自然と魔力が増えている。その分スタミナは人並みだ。雷装の副作用でスタミナの消費が早くなっていたのもあるけど、数十秒の使用で既に息が上がってたしな。少なくともルードよりは少ないと言える」
魔力は俺の能力で増やすのを助けられるけど、スタミナを上げるのにはあんまり助けになれないからな。こればかりは自分で努力してもらうしかない。普段からのんびりしてるのをなんとかすれば、もう少しスタミナも増えると思う。
「けど、そのスタミナ不足を補えるくらいの実力はある。まずは魔法について話すけど、属性付与の使い方がうまいな。火、氷、水、土、風と、状況に合わせて最善の属性を付与して守れていた。土魔法で壁を作ることもできるみたいだし、近づかれた時の緊急対処として有効だな。身体能力強化のバフ魔法は言わずもがなだ」
水と土と風の盾は俺も使ってみたい。他にもありそうだし、後で教えてもらおうかな。
「次は身体能力。バフ抜きの動きは見たことがないからわからないけど、常時あの動きができるなら大体の攻撃は防げるだろうな。秒速63メートルの速度に追いついてる時点で普通の魔物の攻撃に追いつけないわけないし」
こっちが二、三個さらにバフをかけてやっと突破できそうなくらいだったから、そうそうやられることはないだろう。
「最後に戦闘センスだな。雷装水刃を一発で対処されたし、爆破も最後のトリガーを弾かれたし、初見の技の対処が的確すぎて怖いくらいだ。音撃を弾かれたのを見るに一度受けた攻撃の対策はしっかり練っているみたいだし、こんなだけどちゃんと努力はしてるんだな」
「こんなってどういう意味..?」
「ただ、試験だってのに普通に反撃してきたのには普通に驚いた。ルードみたいに攻撃を防ぐために押さえつけたんじゃなくて、カウンターされて地面に伏せてる俺の頭めがけて踵落とししてきたからな。攻撃した方がいい時もあるだろうけど、それで防御が疎かになるのはダメだと思う。守りながらナイフ投げるみたいに、両方同時にできるならいいけどな。こっちはこれ以上の攻撃を防ぐための行動だし、やってみる価値はあったからよかったと思う」
身体能力あるから盾が手元になくてもある程度戦えるってのは実に良い。分断されて単独行動を余儀なくされる可能性は大いにあるしな。転移の魔族なら分断なんてちょちょいのちょいだ。人間を転移することはできないなんて甘い考えはしない。
「ってな感じで終わりかな。あと何か言ってなかったことは...あ、あれ言ってないな。いやでもこれは後で言ったほうがいいか...?」
うんそうだな。その方が話の構成としていい気がする。
「よし、これで二人の試験の感想は終わりだ。これからどちらが英雄になるのかを発表しようと思うが...その前に何か言いたいことはあるか?お二人さん」
こういう発表をする前って何か聞いといた方がいい気がする。多分だけど、RPGゲームでストーリーが少し進むたびに町の人全員と話していくアレの感覚が残ってるんだと思う。何を聞けるかな?
「言うことはない。早く発表してくれ」
「早く帰りたいから早めに終わらせて」
「あっ、はい、すんません」
めっちゃ冷ややかな返答をされた...もう少し乗ってくれてもいいんじゃないんですかねぇ!
「えーっと、うん。気を取り直して...英雄選抜試験の合格者を発表します!」
軽く咳払いをしてからそう告げる。そして頭の中でドラムロールを流して発表のタイミングを図る。
「英雄になるのは......レストです!」
腕を掴んでバッと上に上げる。格闘技の判定勝ちで選手の腕を持ち上げるレフェリーみたいな感じだ。
「なっ...⁉︎」
「おぉ、やったー」
驚きの声を上げながら震えているルードと、その緊迫感からは対照的にぽやーっとしたまま喜ぶレスト。
「ま、負けた...俺が?こんな怠け坊主に...?」
頭を軽く抱えながら俯いてボソボソと呟くルード。なんかプライドちょっと高そうだったし、普段のんびりしてるような奴に負けたとなればこんなんになるのも当然だな。俺だって傍目から見たらなんの努力もしてなさそうな奴が勝利を掻っ攫ってったらこうなると思う。
「カリヤ様、レストさんを選んだ理由はなんですか?」
「そうですね...実力だけで見ると、二人は拮抗しています。まぁ方向性が違いすぎて比べることすら難しいんですが、パラメーター的に見れば同じくらいの強さだと判断できるでしょう」
「パラメーター...?」
あっ、流石に伝わらないか。まぁそこは重要じゃないから別にいいけど。
「だから俺は将来性と俺との相性、あと根性があるかで決めました。順に説明していきますね」
主な理由は三つ。一つずつ説明していこう。
「まずは将来性。これからどれくらい成長するかってことなんですけど、ルードは盾使いとして動きが完成されすぎてて魔法くらいしか伸ばすことがないですよね。けど適性の問題もあるから、今後伸びるかは未知数で予測ができない。それに対してレストは、相手の動きによって対応をすぐに変えることができる流動性がある。魔法も既にある程度習得しているから、これからも伸びると想像することができる。魔王の攻撃を受けるには、戦いの中で慣れて成長する必要があると俺は思っている。そしてそれができるのはレストだ」
「くっ...」
完成しすぎているというのにはルードにも心当たりがあるのだろう。魔法を覚えたのも、これ以上の成長が見込めなくなってきていたからという理由なんだと思う。でも、流石に遅すぎだな。この歳からでは間に合わない。
「次は俺との相性。とは言ったけれども、他の英雄や勇者との相性を考慮してないってわけじゃない。ルードにレスト、俺の能力は知っているな?」
「周囲のものの速度を操作する能力だろ。それがどうこいつを選ぶ理由になるんだ」
「そう、速度操作。だから、俺との相性だけで見れば身体能力の有無はあんまり関係なくなる。移動速度がどんなに遅くても、俺の力でどうとでもなってしまうからな。単純にパワーがあってどんな攻撃でも受け止められるルードの方が合っていることになる」
「…だったらなぜこいつを選んだ?」
「俺は基本的に前線で戦うことになる。だから俺の能力の恩恵を受けられるのは、同じく前に出て戦う勇者や、ガネルの英雄くらいだと思う。カリスやカイスの英雄、そしてガルムの英雄は位置的に離れすぎていて支援できない」
勇者は一緒に前に出るだろうし、ガネル...冒険者の町の英雄は人にもよるだろうけど、肉弾戦を得意とする人が英雄として選ばれることが多いらしいから、多分サポートできる。しかし、弓使いや魔法使い、盾使いは援護することができないのだ。できるくらいの距離にいたら、魔物の攻撃を喰らいかねない場所にいるってことになるしね。
「そしてガルムの英雄に求められているのは、後衛であるカリスとカイスの英雄の防衛。俺の速度操作のサポートを受けられない状態で二人を守らないといけないわけだ。どっしりと構えるのが得意なルードよりも、自分から動いて守りに行けるレストの方がいいだろう。ルードの使った固定型の軌道操作魔法も、常に動きながら戦う戦闘だと上手く使えないしな。俺と相性がいいから選んだんじゃない。俺がつきっきりにならなくてもいいからレストを選んだんだ」
後衛の防御をレスト一人に任せられたなら、他の人たちはとても動きやすくなる。後ろを気にすることなく攻撃出来るからな。動けるからって前衛と後衛を行き来しなければならないなんてことは御免だ。
「最後に根性!これはレストの試験の感想のときに言い忘れていたことなんだが、レストは雷装の盾を避けるのではなく掴み取った。そして自らの力に変えてしまった。痛みから逃げないその覚悟と、勝つために戦いの中でも成長しようという強い意志。ガルムの英雄として、必要なものを全て持っていると思ったわけだ」
「すごい褒めてくれる...嬉しい」
「まぁこうして少しのんびりとしてるから本当に英雄に決めてしまってもいいのかと迷ったが...性格面は今後俺が叩き直す。だから不安がらないでほしい」
「ヒエッ...」
少しずつ顔が青ざめていくレスト。調教...いや、教育が早くも効き始めてるみたいだ。痛みに慣れさすという目的もあるわけだし、今後なにかレストがやらかしたりしたら雷装を軽く浴びせることにしよう。
「以上がレストを英雄に決めた理由だ。納得できないかもしれないが...飲み込んでくれないか?」
ルードにそう言う。頼む、納得してくれ。やけを起こしたり試験のやり直しを求めたりするのはやめてくれよ?面倒だから。
「………」
ああ、沈黙が辛い。何か言いたいなら早く言ってくれ...!
「……わかった」
よ、よ、よかったー!
「ここまで理由を列挙されれば納得せざるを得ない。俺がこいつより劣っていた。それがこの試験の結果なんだからな」
「納得してくれてありがとうルード。みんな!ガルムの英雄はレストに決まった!拍手してやってくれ!」
俺がレストの腕を持ち上げながらそう大声で言うと、周囲の見物人たちから大きな拍手が送られた。
「…ちょっと恥ずかしい...」
視線が気になるのか、そわそわしだすレスト。もう少しシャキッとしてほしいが、まぁ今回くらいはいいだろう。
「皆さまよろしいでしょうか。これから英雄となるレストさんに盾を授与いたします」
拍手の中、ギルド職員の声が聞こえてくる。すると次第に拍手は止んでいき静かになっていく。
完全な無音になったのち、こちらに向かってくる足音だけが響き始める。振り向くと、テントの方からトレーを持ったギルド職員が歩いてきた。トレーの上には、真四角の小さな石板みたいなものが乗っていた。あれが盾なの?
「お受け取りください」
「これ...盾なの?」
同じような疑問を口にしながら、レストはトレーに乗っているそれを手に取る。
その瞬間、それは光り出して形を変えていく。
「この盾はガルムの英雄が代々受け継いでいるものです。そして持ち主によってその姿を変える特殊な盾なのです。果たして、レストさんの盾はどうなることやら...」
盾を持ってきたギルド職員が盾について説明する間にも、レストの持つ特殊な盾はその姿を変えていく。
「ま、眩しい...!」
盾はだんだん大きくなっていき、形は正八角形に近づいていく。まぁまぁデカいけどこれがレストに合った盾なのか...?どちらかと言うとルードが持ちそうな盾だけど...
そう思った瞬間だった。
「わ、割れた⁉︎」
パキンッと盾が真っ二つに割れた。それも対角線状に割れたのではなく、辺の中央から垂直に真っ二つになっていた。
「まさか二つに分かれるだなんて...記録にはなかったはず...」
ギルド職員は少し狼狽えている。今までになかったことだからというのもありそうだけど、これ本当に一つに戻るんだろうかという心配もありそうだった。次世代の英雄が二人になったらそれはそれで面白そうだけど。
「二つか。レストの盾らしいな」
盾が二つに分かれた後は特に大きな変化をすることなく、持ち手ができると同時に光は収まった。
「これが...僕の盾?」
レストはゆっくり盾を腕に取り付けていく。
「あー、なるほど。わかったそういうことね」
ん?何がわかったんだろう。
「登録完了。これにてこの盾の持ち主はレストさんだと完全に認識されました。この盾の特性、使い方、全てを理解したはずです」
えっ、なに?つけるだけで全部インストールされるの?どこのゼロ○ン?ってか自分で姿を変えて機能も変えて、取説まで一瞬で与えてくれるってどんな魔道具だよ。オーバーテクノロジーが過ぎない?
「この盾の授与をもって、レストさんは英雄となりました。実力は十分。この盾も軽々と使いこなせることでしょう。実力と肩書きに見合った態度と行動を取れるよう、努力は怠らないようにしてください」
「わ、わかりました」
レストは丸まっていた背中を伸ばして返事をした。
「これにて英雄選抜試験は終わりです。ルードさん、レストさん、そしえ試験監督を務めてくださったカリヤさん、本日は誠にありがとうございました。3人に、盛大な拍手をよろしくお願いします」
パチパチパチパチ!!!
大きな拍手が大広場に鳴り響いた。
「さてレスト。その盾の力を試しにいこうじゃないか」
「やだ」
……英雄選抜試験が終わったそのあと、俺はレストと一緒に町の外で実践をしようと思っていたのでレストに声をかけた。けれど一瞬で断られてしまった。
「おいレスト。さっき英雄としてふさわしい行動をしてくれって言われたばっかだよな?その盾にも早くなれないといけないし、どんな効果なのか見たいから行こうぜ」
「…いや。今日これ以上動くとかもう無理...」
「何言ってんだよ。試験だって十分かかってないんだぞ?そんくらいでスタミナ切れだって言ってバテるのはやばいぞ。今後どれだけ長時間の戦闘をするかわからないんだぞ?」
「その時はカリヤに回復してもらう...」
「もし俺とお前が分断されたらどうすんだよ。ほら座り込まない地面にへばりつかない!さっさと立て怠け坊主!」
「ぐえ〜」
レストを無理矢理引っ張り上げて立ち上がらせる。
「ほら行くぞギルドに。あそこで適当に依頼を受けてから実践するぞ」
「いやだー今ここで盾のこと全部話すからそれじゃだめ...?」
「だーめ。お前のスタミナ不足の訓練でもあるんだから大人しくついてくる!普段から怠けてなければスタミナ切れなんて起こさないんだぞ。それだったらどんなに楽だったことか...自業自得だから恨むなら過去の自分を恨んどけ」
「うぅ...ひどい...」
「ってかどうしてそんなめんどくさがりなのに英雄になろうと思ったんだ?」
「いや、店の手伝いしないでゴロゴロしてるくらいなら冒険者でもやりなって言われて、仕方なくやってたら強くなっちゃって、どうせなら英雄になっちゃいなよといつのまにか申し込まれてて...」
…なんだその経歴。ニートしてたら無理矢理働かされたけど、そのおかげで才能開花しちゃったってこと?しかもアイドル事務所に勝手に履歴書送られたみたいな感じで英雄選抜試験受けてたの?マジかよその話試験前に聞かなくてよかった。聞いてたら流石に先入観やばすぎてどれだけ強くても選んでなかったと思う。
「……まぁ何はともあれ、選ばれたんだからやる気出して頑張れって、な?」
「選んだのカリヤのくせに...」
「聞かなかったことにしてやるぞー」
俺はレストを引っ張ってギルドへと向かっていった。
はい、英雄はレストくんに決まりました。
試験も後半だったし、試験前の人物説明も若干レストの方が長かったり性格に特徴があったり、後書きで匂わせてたりもしちゃってたので、予想できてた人は多いんじゃないかなと思ってます。
次回はレストの盾がどんなものなのかがわかります。
ご期待ください。