前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8296字。

レストの持つ盾の力がわかる回です。


古代兵装-アンティークギア-

「どの依頼受けたい?」

 

「なんでもいいよ...」

 

俺たちはギルドにやってきた。そのときにはもうレストは抵抗するのをやめていた。ここまできたら抵抗するよりも、さっさと終わらせてしまった方が早いことに気づいたのだろう。

 

「じゃあこれなんてどうだ?よくある魔物の討伐依頼だけど、群れない種族らしいし物理魔法両方使うみたいだから実験にはもってこいだ。報酬も多いしな」

 

群れないせいで何匹も倒すのが面倒で時間がかかるから報酬が割高になっているのだろう。移動時間は削れるし、もってこいの依頼だ。

 

「僕の分は少ないからなぁ...やるなら多い方が嬉しい」

 

「なんでもよくねぇじゃねぇか。ってかなんでお前の取り分少ないのさ」

 

「なんでってほら、ここに書いてるでしょ?5分しかもらえない。5%だと元が多くてもあんまり変わらないんだよね...」

 

レストは依頼書の備考欄にある、盾使いサポートについて書かれているところを指差していた。前見た依頼は2割だったから、この依頼は盾使いがあまり必要じゃないやつなんだろうな。だから報酬として払う額も少なくなってるわけだ。

 

「…お前なんでそれを気にしてんのさ。普通に半分半分だろ」

 

「えっ?でもこれには...」

 

「お前と俺は仲間だ。コレみたいに仮のパーティーを作るわけじゃない。正式な仲間として依頼に参加するんだから報酬は等分するに決まってるだろ?変なこと言ってないでさっさと受付済ませるぞ」

 

「う、うん」

 

レストの腕を引っ張って受付へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーて、ここら辺に魔物がいるはずだが...」

 

俺たちは目的の魔物がいるらしい町の北にある平地にやってきた。

 

「いないな」

 

「いないね」

 

「どうしようかな...試すだけなら別の魔物でもいいんだけど、それもいないし...」

 

「じゃあ今日は解散というわけで...」

 

「おっとそうはさせないぞオイ逃げんな」

 

さささーっと逃げようとしていたレストの肩を掴み、無理矢理引き止める。

 

「魔物がいないなら誘き寄せればいいだけだろ?」

 

「えっ、まさか...」

 

「今から誘き寄せるから身構えとけー」

 

2472ページ上 黒のみ 誘引

 

カスタムなしの誘引を発動させる。紫のカスタムをしちゃうと範囲が広すぎて別の魔物まで来ちゃいそうなのでやめておいた。

 

「少ししたら俺を襲いに来ると思うから、来たら頼むぞ」

 

「えっ、僕しか戦わないの?」

 

「盾の練習なわけだし当然でしょ?それにほら、俺ダガー持ってきてないし」

 

「なんで持ってきてないの?」

 

「そりゃ試験終わって直で来てるからな。宿に置いてきてるんだからなくて当たり前だろ?」

 

「そんなぁ...」

 

「まぁ倒しきれなかったら俺が殺るから安心してね。できるところまで頑張れ」

 

「今すぐにでも変わってほしい...」

 

「あっ、そうだ。後でレストに誘引の魔法教えておくわ」

 

「えっ、なんで?」

 

「盾持ちにヘイト向いた方が他の人が戦いやすくなるだろ?まぁ困ったとき用に覚えておいて損はないしさ」

 

誘引は発動者に周囲の魔物の注意を向ける魔法だ。たとえ誰かを襲っている最中だったとしても、標的を強制的に帰ることができるのだ。仲間に危険が迫ったときに盾使いが発動すれば、味方を救いやすくなるだろう。俺も使いながら高速で移動すれば、安全にヘイトをこっちに向けることができるからたまに使うことがある。レストなら囲まれても捌けるくらいの身体能力はあるし、多分使いこなせるはず。

 

「使ったら僕が困ることになると思うんだけど...」

 

「お前なら大丈夫だっていう信頼の証だから。お前を信じる俺を信じろってやつだ」

 

「なにそれ...今日会ったばかりの人を信じれるの?」

 

「少なくとも、盾使いサポートを受ける奴は背中を預ける相手を信じないってことは無いと思うぞ」

 

「それはそうだろうけど...」

 

「ほら、ぐだぐだ言ってるうちに来たぞ魔物。さぁ俺を守ってくれ」

 

遠くから狼の魔物が走ってくる。依頼の魔物だ。群れない一匹狼の魔物。もっとも、こいつは群れを抜けた狼などではなく、兄弟や親を食い殺して一匹になった狼だ。

 

この種類の魔物は、大人になった瞬間に兄弟同士で殺し合いを始め、生き残った個体が兄弟と親を食って強くなるという習性を持っているらしい。もちろんこれは雄のみだ。雌の狼は雄よりも早く成長して群れから離れるらしい。もし雌も同じ習性だったとしたら、二匹から一匹しか産まれないのと同じになってしまうため絶滅コース一直線だ。よく種が残っているなと感心したくなる習性だな。

 

「めんどくさい...しかも雄だし」

 

雄は耳の先が赤い毛で覆われている。全身の体毛は白なため、赤はよく目立つからわかりやすい...まさか血の色じゃねぇだろうな?

 

ワフンッ!と鳴き声を出しながら俺へと飛びかかろうとしてくる魔物。一応避けられるように速度操作を構えておいたが、すぐさまレストが間に割り込んで腕の盾を構える。

 

「えいっ」

 

左腕の盾を魔物の側頭部に押し当て、斜めに弾き飛ばす。魔物は空中を舞うが、体勢をなんとか立て直して着地する。

 

「…ノックバック無くなってね?」

 

試験のときはもっと吹き飛んだはず。元の速度が遅いのもあるだろうけど、それにしても飛んだ距離が短い。どちらかというと自分の力で跳ね飛ばしたかのように見えた。

 

「…あっ、盾変わったからか」

 

受け継がれてるもんだとばかり...じゃあこの盾の効果は何があるんだろう。流石に耐久性が高いだけってことはないはずだ。

 

そんなことを考えていると、いつのまにか魔物は牙を剥き出しにしながらこちらを睨みつけてきていた。そして大きく口を開けると、吐息から炎が飛び出して火球を生成しだす。

 

口から火を吐くのを見たら、なんか急にカリスで出会った魔物のことを思い出した。火を吐くのに、耐火性能がなくて自分の炎で焼け死ぬことがある羊の魔物だ。この魔物は自分の炎で火傷したりする残念な生き物ではないみたいで、口の炎はどんどん勢いを増していく。

 

「おぉすごいなこの火球。当たったら死にかねない」

 

火球が放たれる。

 

「そんなこと言う暇あったら、ちょっとは自分で避けてほしい...」

 

レストはすぐさま魔物と俺の間に割り込み、右腕の盾で受け止める。火球は勢いよく弾けて、周囲に熱をばら撒く。

 

「あっつあっつ」

 

そう言いながらレストは軽く髪の毛をはたく。あまりの熱量のせいで少し焦げかけているみたいだった。それくらいの熱量だったのに、直撃を受けた盾は一切傷ついていなかった。溶けていたりもしていない。今のところ耐久性がすごいということしかわかってないな。

 

「癖で跳ね返ると思っちゃった...アレ使うの忘れてた...」

 

レストは軽く頬を叩く。

 

「よっしゃこーい」

 

試験の時にもやってたコアリクイの威嚇みたいなポーズを取るレスト。これ、レストなりの集中するルーティンみたいなものなんかな。

 

魔物はレストが構えを取る前に突進してくる。俺を襲うにはまずこいつから処理しないと妨害されるだけだということを理解したのだろう。無理に跳ばずに地を駆け、レストの足首を狙って口を開く。

 

「こっちだよ」

 

レストはかがむことなく左腕を前に突き出した。

 

その瞬間、なぜか魔物は吸い寄せられるように盾に噛みつき、そのまま真横に吹き飛ばされていった。あまりの速さのせいで魔物は体勢を立て直すことができずに地面に激突、血を辺りに撒き散らしながら何度もバウンドして、やっと止まったときには既に事切れていた。

 

「なんだ...?今の」

 

さっきはノックバック効果はなかったのに今回はあった。それも、前の盾よりも効果が強い。普通の盾と効果付きとで使い分けられるのか?それに魔物が引き寄せられていたし...何か発動に必要なトリガーでもあるのだろうか。

 

「ん、何したか見えてなかった?」

 

「ああ、お前の背中に隠れて見えなかった。次は透視魔法でも使ってちゃんと見れるようにするよ」

 

「まだやるの...?」

 

「何言ってんだ当然だろ。まだ目標数に全然達してないんだからな?それに特訓なんだから一体で終わるわけないでしょ。まだ右の盾の性能も確認できてないしな」

 

「うぅ...帰って寝たい...」

 

「泣き言いってないで次行くぞ」

 

結構な時間が経っても魔物がやってこないということは、ここら辺にはさっきの魔物しかいなかったらしい。俺たちは次の魔物を探すために移動することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら来たぞ。頼む」

 

カリヤが魔物を指差しながら言ってくる。

 

「ちゃんと見てるから盾の力を使ってみせてくれー」

 

「いいけど...」

 

魔物がこっちに向かって走ってくる。さっき戦ったのよりも大きい気がする。めんどい...

 

魔物はそのまま走ってカリヤの方に行こうとしているみたいだ。服や靴、ナイフとかに刻んでいるバフの魔法をいくつか発動させて、余裕を持って間に割り込む。

 

魔物はそのまま走り続ける。僕を攻撃する意志はないっぽい。減速も迂回もしていないから、そのまま股の下を通り抜けるつもりみたいだ。

 

「そうはさせないよ」

 

僕は左腕につけている盾の、腕に巻く部分に付いている超小型の魔法陣に指を触れる。

 

古代兵装(アンティークギア) 限定起動(リミテッドブート) 誘引(アトラクション) 受流(パリィ) 体力略奪(スタミナプランダー) 発動(アクティベーション)

 

僕にしか聞こえないらしい音が流れながら盾が起動する。すると、股下を走り抜けようとしていた魔物が突然盾に噛みつこうとする。それに合わせてうまく盾を斜めに当てると、受け流しが発動して斜め横にものすごい勢いで吹き飛んでいく。

 

「なるほど、ボタンっぽいのを押すと起動するのか。自由に制御できるのはいいな」

 

なんかカリヤが言ってるけど、無視して魔物が飛んでいくのを見る。

 

「…なんか強いっぽい...?」

 

魔物は綺麗に着地していて無傷っぽかった。でも今ので結構スタミナを消耗したんじゃないかな?だから次は魔法を使ってくるだろうし、いつでも発動できるように構えておこう。

 

ワフーとか鳴きながら魔物は地面を前脚で蹴りつけた。すると近くの地面から木の根っこのようなものが生えてきてこちらに迫ってくる。カリヤが前にやってたから簡単に対処できる気がする。というか魔法は魔法でも物理系だねこれ。ならこっちでもう一回。

 

左腕の盾を腕から外して手で持つ。その時に、さっき触れた方とは反対側についている魔法陣を押す。

 

古代兵装(アンティークギア) 起動(ブート) 展開(エクスパンション) 誘引(アトラクション) 受流(パリィ) 体力略奪(スタミナプランダー) 発動(アクティベーション)

 

少し長めの音が鳴り響き、半分に割れていた盾の断面から半透明の物質が飛び出して一時的に元の形に戻る。

 

「戻った⁉︎」

 

「よっ...それっ」

 

大きくなった盾を動かして、吸い寄せられるように飛んでくる木の根っこを順番に弾いていく。ノックバックの威力が増えたおかげか、それともスタミナ...生命力を吸い取る効果のせいで木の根が脆くなっているおかげなのかはわからないが、氷装なしでも木の根はどんどんへし折れていった。あっ、もしかしたらカリヤのよりも魔法の力自体が弱いのかも...

 

「そっちのボタンを押すと連続して使えるのか...大きくなるし、片手が塞がるリスクを除けば使いやすそうだな」

 

カリヤは見てるだけでどんどん解析してるっぽい。このまま戦っていれば口で説明する必要なさそう。倒し切らないように気をつけながら戦おうかな。

 

「…もしかしてもう終わり...?」

 

魔物は木の根を消した。そしてしばらく待ってみるけど、なかなか動いてこない。僕としては攻撃してくれないと反撃できないし、別のを探さないといけないから困るんだけど...カリヤに倒してもらえばいいかなぁ?ちらりと期待の目を向けてみる。

 

「まだ終わってないぞ。ほら次が来る」

 

「うわ、本当だ...」

 

いつのまにか魔物は口を大きく開けて火の玉を作り出していた。目を離した少しの間でここまで大きいのを作れるってことは、やっぱりこの魔物結構強いみたいだ。強いとカウンターが決まりやすくなるから逆に助かるけど。

 

古代兵装(アンティークギア) 格納(ストレージ) 休眠(ドーマンシー)

 

盾の展開を止めて左腕に付け直す。そして魔物が火の玉を撃ち出す前に今度は右腕の盾についている魔法陣に触れる。

 

古代兵装(アンティークギア) 限定起動(リミテッドブート) 誘引(アトラクション) 魔法吸収(マジックアブソープション) 変換貯蔵(コンバージョンプリザーベーション) 発動(アクティベーション)

 

火の玉が飛んでくる。それを右腕の盾で受け止めると、火の玉は盾に吸い込まれて消えて無くなってしまう。それと同時に、盾の裏側に魔力でできた結晶のようなものが出来上がる。これは僕の魔法発動のための魔力として使うこともできるけど、別の用途もあるから後のために残しておこう。

 

「こっちは魔法を吸収できるのか...魔力も溜め込めるとなると、魔力タンクとして受け止められるのは受け止めてもらった方が良さそうだな。他の人も溜め込んだ魔力は使えるのかな...?」

 

…なんか怖いこと言ってる。受け止めきれない量とかあるから避けられるのは避けてもらいたいんだけど...他の人が使うのも無理だしなぁ。

 

「おっ、都合いい」

 

今度は魔物の周りに大量の氷が宙に浮いていた。多分ゼロから魔力で作ったものだろうからこれで吸えるはず...

 

古代兵装(アンティークギア) 起動(ブート) 展開(エクスパンション) 誘引(アトラクション) 魔法吸収(マジックアブソープション) 変換貯蔵(コンバージョンプリザーベーション) 発動(アクティベーション)

 

右腕の盾を取り外して左手で持って魔法陣を起動、半透明の盾が欠損部分を補い、連続で発動できる状態にしておく。

 

「…うん、吸えるね」

 

飛んできた氷に盾を当てると、無事に魔力に変換されて吸収されていった。念のため真横から当てて弾き飛ばせるようにしておいたけど、杞憂だったみたい。

 

そのまま出来るだけ最小限の動きで盾を動かし、飛んでくる氷の塊にチョンチョンと盾を当てていく。その全てが魔力に変換されて、盾の裏側に結晶として蓄積されていく。一部はこの盾の発動のために吸われているけれど、吸収量の方が多いから魔力が尽きる心配はない。

 

「これで...最後っと」

 

飛んできた最後の氷を受け止め、魔力の結晶に変える。そろそろ溜め込める量にも限界が来ているし、もう一回魔法で攻撃されたら受けきれないから一旦外しておくか...

 

盾の裏についている魔力結晶を二、三個取り外して適当にポッケに詰め込んでおく。盾から取り外すと数分で消えちゃうけど、吸収できなくなるよりかはマシ。多分すぐ使うことになるだろうし。

 

「あっ、それ外せるんだ。吸える魔力総量には限りがあると...ちょっと色々確認したいから一個俺にくれない?」

 

「いいけど...カリヤには使えないよ?」

 

魔力結晶を一つ取り出してカリヤに投げ渡す。

 

「おぉ、これが...うわ消えちゃった」

 

魔力結晶がカリヤの指に触れた瞬間に消えてしまった。この結晶は僕以外の生物が触れた瞬間に霧散してしまうと、この盾から教えてもらった。盾自体も、他人には触れることはできないらしい。触れられないのは物理攻撃や魔法も同じで、盾で弾いたり受け止めているように見えて実際には盾のほんの少し手前にある何かに防がれているみたい。本当に僕にしか触れられないから、地面に置こうとするとほんの少し浮いたりする。拾い上げるときちょっと便利。

 

「ほら言ったでしょ...」

 

カリヤを無視して魔物の方を見る。今度の攻撃は...魔法じゃないっぽい。魔法はもう効かないって判断したのかな。魔力を全身に纏わせているみたい。身体能力の強化に全部割り振って最後の突進をしかけてくるつもりかな。なら...

 

古代兵装(アンティークギア) 格納(ストレージ) 休眠(ドーマンシー)

 

盾を元の状態に戻して右腕に付け直す。

 

「よーしがんばるぞー」

 

これは結構疲れるって聞いたから気合いを入れておく。

 

「よっと」

 

両腕に付けている左右の盾。それを元の八角形の形になるように、腕を曲げて目の前に持ってきてひっつける。

 

古代兵装(アンティークギア) 権能(オーソリティー) 全開(フルスロットル)

 

盾が特別な音を出し始める。盾を発動するときに鳴るこの音は限界まで圧縮された詠唱らしい。早すぎて聞き取れないが、何で言ってるのかちょっとだけ気になる。カリヤに反応速度を速くしてもらったら聞こえるようになるかな。

 

魔力充填(スペルローディング) 障壁展開(バリアエクスパンション)

 

大量の魔力が盾に流れ込む。そのほとんどが溜め込んだ魔力結晶と周囲の聖素自体を吸収することで賄われたため、僕自身の魔力はほとんど吸われなかった。多分、カリヤに一個渡してなかったら僕の魔力も使わなくてよかったと思う。

 

「でっっっ!!!」

 

僕は知識として頭に入っていたからそこまで驚かなかったけど、カリヤはものすごく驚いていた。5メートルを超える大きさだからね。僕も知らなかったら驚いてたと思う。

 

「すっげぇなこの大きさ!なんでも止められそうじゃねぇか!」

 

「止めるだけじゃないよ」

 

対象設定(ターゲットセッティング) 誘引(アトラクション) 完全反射(フルリフレクション) 発動(アクティベーション)

 

魔物がものすごい速さで突進をしかけてくる。展開した盾と比べると、とてもちっぽけに見える魔物は減速や迂回をすることなく真っ直ぐ突き進み盾に激突する。

 

その瞬間、魔物は後ろに吹き飛んでいく。激突する前とは打って変わって既に魔物は満身創痍の状態になっており、地面に落ちた衝撃でバラバラになって絶命していた。

 

「……は?」

 

カリヤ、もしかして何が起こったかわかってないっぽい?説明しないといけないとダメかな...

 

対象に設定した攻撃を全て受け止めるまで蓄積して、最後の一発が当たった瞬間に、その時受けた攻撃の威力と右の盾で受けて溜め込んだ魔力を攻撃してきたやつに距離を問わず反射するだけなんだけど...見ただけじゃわかんないかな。

 

古代兵装(アンティークギア) 格納(ストレージ) 休眠(ドーマンシー)

 

腕を下ろして盾の展開を止める。

 

「なんだ今の...盾に当たった瞬間にボロボロになってたぞ...反射だとしてもあの威力はどこから来たんだ...?」

 

できれば見るだけで理解してほしい。ちゃんと説明できる気しないし、今の反射をやると結構疲れる。すぐに動けなくなるほどじゃないけど、すぐに2回目をやるのは魔力的にもスタミナ的にも厳しい。この消耗した魔力とスタミナは左右の盾でそれぞれ補給しろってことなんだろうけど、そんな面倒な手順を踏むんだったら最初から永続回復機能をつけて欲しかった。

 

「あーダメだ今のは見るだけじゃ分からん。次の魔物探すまでの間に今のだけ教えてくれね?」

 

「これ疲れるから動きたくない...」

 

駄目元で言ってみる。

 

「なら左の盾の効果使いな。俺のスタミナなら吸っていいから」

 

そう言いながらカリヤは腕を突き出してくる。えーそうなる?確かにカリヤの方がスタミナ総量多いだろうけど、まさかそんなことを言ってくるなんて...でもここで拒否しても多分背負ってきて無理矢理連れてかれるしなぁ...仕方ないか。

 

古代兵装(アンティークギア) 限定起動(リミテッドブート) 誘引(アトラクション) 受流(パリィ) 体力略奪(スタミナプランダー) 発動(アクティベーション)

 

起動させて盾を前に出すと、カリヤはコツンとそこに拳を当てる。意識していなかったからわからなかったが、盾は上方向に若干向いていたらしくカリヤは上に向かって吹き飛んでいった。

 

「おわわわっっ!」

 

カリヤは少し慌てるも、速度操作をうまく使ってちゃんと着地してた。

 

「うわこれどっと疲れるな...どうだ、動けるくらいには回復したか?」

 

「うん、不本意だけど」

 

「そう言うなよ。ほら行くぞ」

 

…そういえばだけど、カリヤって多分僕よりも年下...だよね?背は普通の大人とさして変わりはないけど、顔は大人っぽく感じない。子供っぽさが残ってる。なのになんでこんなにタメ口なんだろう。冒険者ってだいたいそうなのかな。

 

「…どうしたんだ?」

 

「ん、なんでもない」

 

カリヤが歩き出したので、考えるのをやめてついていく。まだ何体か倒さないといけないらしい。もうそろそろカリヤにも戦ってほしいなという思いをそこはかとなく醸し出しながら、僕はカリヤの横を並んで歩いた。




今回は途中から視点をレスト視点に変えてみました。
レスト側でしかわからないことがあるのでやってみましたけど、敵サイドの描写以外で視点変更をしたのは何気に初めてですね。
これからはちょくちょく視点変更をして、周りの人がカリヤのことをどう思ってるのかを描写してみようかと思ってたり思ってなかったり...

あと、盾の詠唱で使った英語が間違ってるのを見つけても見逃してください。
英語は苦手なんじゃ...

ま、まさか漢字に変換できてないところがあったとは...今更ですが修正しました。
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