前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
今回ちょっと出来悪いんですけど、まぁまぁ重要なことをいくつか入れてるのでダレずに読んでくれると助かります。
加速と減速の描写が難しい...
「何回かためして穴を探すか」
シレンの穴の底に侵入するための穴を探すために、もう一度飛び込む。
今回は穴の中心ではなく、すぐ下にある坂に向かって飛び降りた。もしかしたら底に飛び込むのがダメなだけで、一個下くらいなら問題ないかもしれないと思っての行動だ。
最高速度に加速して落下する。秒速42メートルの速度なら、半秒も経たないうちに着地できるはず...だったのだが、今度は一瞬で速度が減速していく。最初に穴の中心に飛び込んだ時よりも、減速開始の時間も、減速速度も早くなっていた。
結果、坂から1メートル上くらいのところで完全に静止、気がつけばまた飛び込む直前の場所に戻されていた。
「どこに飛び込んでもダメなのか...」
おそらく、こうやって戻されてしまうのは、坂を飛び降りるなどの正規の方法以外で先に進もうとするのを防ぐためだろう。一段分飛び降りるだけでもダメらしい。不正をせず、ちゃんとダンジョンを上から攻略してくれということなのだろう。
「それに、どれだけ速くても着地の前に減速しきっちゃうとなると...下りるのは無理なのか?」
あの高さで秒速42メートルを減速しきれるのなら、重力操作でさらに加速させたとしても余裕で減速が間に合ってしまいそうな気がする。そもそも速度操作で再加速できないのだから重力操作で加速することすらできないのか?
「…いや、やる前に決めつけない方がいいか。時間はあるし、いろいろ試してみよう」
地面を蹴って飛び込む。最大速度で一段下の坂に向かって下りるが、すぐに減速が始まった。速度がみるみるうちに落ちていく。
7713ページ 黒 赤 重力操作
周囲の重力を操作し増幅させ、真下へと向ける。
「加速した⁉︎」
速度操作でも加速できなかった落下速度が、増幅させた重力によって加速した。もっとも、その増加分もすぐに減速してしまったため、坂にたどり着くことはなかったが。
元の位置に戻される。
「戻されたは戻されたけど...ちょっとだけ近づけたな」
速度探知で地面との距離もわかる。数センチではあったが、さっきよりも近づくことができた。微々たる差ではあるが、確かな前進だ。
「減速中でも、別の方法なら加速できる...と」
色々な魔法を使えば、減速を無視して地面まで辿り着けるかもしれない。重力操作での加速や、空中に障壁を設置して蹴ったり、風を噴射して移動したりとか、やりようは色々ある。
でも、さっきの重力操作くらいの加速では意味がない。加速すればするだけ、減速も早くなる。タイミングを見計らって、静止する直前に加速するのを繰り返せばいけるだろうか。
「…待てよ?もし初速度が遅ければ...」
ちょっと思いついたので、すぐに実行してみる。一歩前に足を踏み出して、落下する。少しずつ加速していく。けれど、能力は使っていない。重力という、一般的な物理現象に従って加速しているだけだ。
そのおかげか、減速の開始地点は今までよりも低くなり、減速も緩やかだった。だが、このままでは地面から1メートルのところで静止してしまう。
そうなる前に能力を発動し、減速したそばから加速させていく。減速と加速は釣り合い、少しずつ地面との距離が近づいていく。地面に近づくにつれて減速は早くなっていくが、その分加速させる。
そうして10秒ほど格闘していると、一瞬だが足先が地面にチョンッとついた。
「ぐえっっ⁉︎」
そして地面に叩きつけられた。
「いっってぇ...!」
坂をごろごろ転がり、痛みを逃す。もちろん、坂の下に転がってしまわないように抑えながらだが。
「まさか減速が解除されるだなんてな...」
どうやら不正防止の減速は、地面に触れた瞬間に解除されるらしい。たどり着けても戻されてしまう、なんてことがないのを確認できてよかった。
「っとと、こんなことしてる暇ねぇ。早く戻んねぇと」
このままここに止まり続けていたら、魔物がダンジョンから出てきてしまう。上には二、三個しか横穴はないが、どれだけ強い魔物が何体出てくるのかわからない。早めに離脱した方がいい。
「よっ」
72ページ右下 黒のみ 跳躍
地面を蹴り、ヒョイっと穴の外に飛び出す。
「よいしょ...えっ」
穴の外の地面に足が触れた瞬間、跳躍で跳ぶ前の位置に戻っていた。
「上がるのもダメなのかよ...」
こっちは減速という予兆がなかったので、無理矢理突発するのはむりそうだ。
「走るっきゃねぇ!」
大人しく坂を駆け登って穴の外に出る。運が良かったのか、それとも早く離脱したからなのか、魔物が横穴から出てくることはなかった。
「よし脱出完了...突破の目処ついたし、一旦レストのところに戻るか」
72ページ右下 黒のみ 跳躍
レストのいる位置とは真反対の方に出てきてしまったので、助走をつけてから一気に跳躍で跳び、シレンの穴を飛び越える。
「よいしょっと...レストはどうなったかな。流石に回復してるよな?」
着地して、レストの寝ている場所まで歩く。
「おっ、いたいた。おーいレストー」
「なに...?」
目を擦りながらレストは上体を起こす。ちゃんと起きてくれて助かる。
「ごめんだけど、俺だけじゃ盾取るの無理だわ。レストがいないと多分無理」
「そうなの...?わかったよ」
レストはのそりと立ち上がる。
「んじゃやること説明するぞ。まずはこの穴の不正防止機能についてだが...」
レストに実験で分かったことを説明する。
まず、高さに応じて減速の速度は変わる。地面との距離が近ければ早く減速するし、離れていれば減速は遅い。
そして、速度が速いほど減速も速くなる。最初の速度を限りなく遅くし、減速に合わせて緩やかに加速すれば加減速はプラマイゼロとなり地面にたどり着くことができる。
最後に、どうやらこの不正防止機能は、本来の速度−減速した速度=実際の速度のような感じの計算式が成り立っていると考えられる。アルテリオス計算式並みに単純な計算だが、こうでもないと地面に着いた瞬間に本来の速度に戻った説明ができないし、速度操作で再加速出来なかった説明もつかない。この計算式ならば、速度操作で操作していたのは本来の速度であり、実際の速度ではなかったため再加速が出来なかったと考えることができるのだ。
「うーん...よくわからない」
レストには難しかったようだ。
「まぁレストはあまり気にしなくてもいいことだったな。だけどこっからは絶対に覚えておいてほしい」
そう言うと、レストの顔が真剣な表情に変わる。集中しているのが見てわかる。
「まず、俺がレストの足を掴んで頭を下に向けて穴に飛び込む。そして減速に負けないように加速しながら底まで落ちる。底につく限界くらいにまで辿り着いたら、ギリギリ静止しないくらいにまで減速する。レストには、完全に静止してしまう前に盾を掴み取って欲しい。掴めたら加速を切って止まり、ここまで戻ってくる。不正防止機能を利用して離脱するんだ」
「…もし掴む前に止まっちゃったらどうするの?」
「何回も飛び込むまでだ。一応言うけど、絶対に地面に手を触れないでくれ。減速が急になくなって地面に叩きつけられるし、坂を登らないといけなくなるからな。盾は地面から浮いてるから、地面に触れずに取れるだろ?」
「…わかった。やってみる」
「よーしじゃあ行こう。よいしょっと」
837ページ右上 黒のみ 膂力強化
レストの足首を掴んで、そのまま真上に持ち上げる。
「うわわっ!ちょっとこれ怖い!」
「飛び込むぞー。それ!」
地面を蹴り、穴の中心に向かって飛び込む。
「えっ、この体勢であってるの?」
頭から落ちていく。俺が足首を掴んでいるため、当然レストの頭も下に向いている。それがちょっと心配だったのか、レストが聞いてきた。
「さっき言っただろ?お前には手を伸ばして盾を掴んでもらわないといけないんだからこうなるのは当然だろ」
「でもこれもしミスって落ちたら頭が...」
「お前が地面に触れなきゃ問題ないんだ。頭から地面に激突したくなければ、ちゃんと盾掴むんだぞー」
「うぅ...できるか不安...」
「そもそもなんであの盾、位置情報を送る機能はあるくせに、自動で手元に戻ってくる機能ないんだよ。その機能さえあればこんな面倒なことしなくても済んだというのに...」
「それ僕に言われても...」
「あとから設定できたりしないの?もし自動で手元まで戻ってくるなら、色々と戦術の幅が広がると思うんだよ」
「うーん...できるかわからないけど、後で一応やってみる。できなかったら、代わりになりそうな魔法でも教えてよ」
「おっけーわかった。心当たりがいくつかあるから教えるよ」
重力にしたがって加速しながら穴の中心に向かって落ちていく。今は地面まであと三分の一くらいの位置だ。速度が遅く、高さもまだだいぶあるため減速が始まるのも遅い。けれど、おそらくもうそろそろ来るだろう。
「レストには関係ないけど、多分もうそろ減速が来る。変な感覚になるだろうけど、じっと耐えて盾を掴むのに集中してくれ」
「わかった」
そうレストが言ったとき、ほんの少しだが俺たちの体が遅くなり始める。
「来た。ゆっくり加速させるぞ」
減速した分の速度を加速させて元に戻す。速度操作で増やせる秒速42メートルに、重力操作での加速、足裏からの風や水の噴射による加速、空中に設置した障壁を蹴る反動での加速、同じように空中に障壁を設置し触手で掴んで移動することによる加速などが、これから増やせる速度だ。同時に全部やって大体秒速70...くらいか?やってみないとわからないが、この速度を全て使い切る前に地面に辿り着かなければならないのは変わらない。
まずは速度操作の加速で減速を中和させていく。一段下に下りるくらいなら速度操作だけでも足りるだろうが、多分底まで行くには速度操作だけでは無理。けれどこれが一番調整しやすいので、ギリギリになるまでは速度操作だけで下りていく。
「確かに変な感じだね。もう少し速く移動出来そうに思えるのに、実際には全然速くない」
「そうそう。精神と肉体が乖離してるみたいな、そんな感じがするんだよね」
気持ちだけが勝手に前に行っているような感じがするのだ。ゴー○ドエクスペリ○ンスに殴られて精神だけが暴走してるみたいな、そうな感じ。多分だけど、実際には体は穴の上にあるんじゃないかなと思っている。静止すると元の位置に戻っているのは、飛び出した精神が元の肉体のもとに一瞬で戻ってるからじゃないかと思う。地面に触れると、逆に肉体が精神に追いついてくるのだ。全部俺の妄想なので間違ってるかもしれないが。
「ごめん。そこまでは思ってない」
精神と肉体が乖離してる感覚をレストは理解してないみたいだった。単純に頭の中の思考と現実がズレてる程度の認識だったみたいだ。俺は一度死んでるから、精神とか肉体とかの感覚を掴みやすいんだろうな多分。
「…これってどれくらいかかるの?」
ゆっくりと、着実に落下しているときに、レストにそう聞かれた。
「1分はかからないと思うけど...どうした?」
「いや、頭に血が上っちゃうなーっと思って」
そっか、ずっと逆立ちしてるようなものだしなこれ。
「流石にそう何時間もやるわけじゃないから大丈夫だよ。数分くらいなら問題ない。心配なら頭に上った血だけ加速して全身に回したりできるけどどうする?」
「いいや。というかカリヤって血の流れる速さも操作できるの?」
「集中すればなんとかね。といっても、今やってるみたいに触れてる必要はあるけどね」
探知できるからといって、全て操作できるわけではない。神が定めた能力の制限により、操作できるものに制限がかかっているものがあるのだ。血流もその一つ。体内を流れている血流を操作するには、その人の脈に触れている必要がある。足首を握っているため、今は条件を満たしているのだ。これから能力が進化していけば、やがて触れなくても良くなり、出血箇所があれは出血速度を加速させて一瞬で死に至らしめるなんてことも可能になるだろう。
「ってやっべ。喋ってる場合じゃねぇわ集中する」
そろそろ速度操作で加速できる限界が近づいてきた。重力操作を発動して少しずつ加速しよう。
7713ページ 黒のみ 重力操作
重力を増幅させ、ほんの少しずつ加速させていく。地面が近づいてきたためか、減速もかなり早くなってきている。このままだとすぐに静止してしまう。
「くっ...!」
思考速度を最大まで加速させ、底に辿り着くまでに必要な手順を考える。
「まずは...これ...!」
7713ページ カスタム追加 赤 重力操作
発動していた魔法陣にさらに魔力を流し込み、赤色の線に魔力を通す。重力加速度が増幅され、さらに加速する。
「あともう少し!」
レストが言う。レストの指先から、盾まであと...3メートルくらいか?速度探知の範囲外なので、正確な距離が掴めない。
「くっそ...調節むずい...!」
加速させすぎて地面に落ちてもダメ。減速しきって止まってしまってもダメ。どうせなるなら後者の方がまだマシだが、地面に近づくにつれて前者の可能性が増していく。リスクなくしてリターンなし。ギリギリをなんとか攻めていく。
4014ページ 黒 赤 障壁
4571ページ 黒のみ 触手・水
障壁を空中にいくつか設置し、触手を出して掴んで体を押す。これで減速を振り切り、さらに前に進む。
「あとちょっと...!」
能力の範囲内に盾が入る。俺の手から3.5メートル。レストの手からは1メートルもない。あと数十センチだ。
「もう少し下げて!」
「言われなくても!」
触手で障壁を押し、グイッと前に体を押し出す。盾を掴んだ瞬間に戻ってこられるように、動かなくなる限界のほんの少し手前を維持しながら進む。その方がレストも盾を掴みやすいはずだ。
「これでどうだレスト!」
「これなら...!」
レストが思い切り腕を伸ばす。少しずつ減速してしまうが、それでも指先をピンと張ってなんとか盾を掴み取らんとする。
そして...
俺たちは地面に叩きつけられた。
「いっっっっ!!!」
「か、顔が...」
めっっちゃ痛い。叩きつけられる直前に能力の解除や、重力操作で上向きに重力を向けたりしたが、それでも上がった速度は抑えきれずに叩きつけられた。
「おいレストォ!なんで地面触ったァ!」
「触ってないよ!僕はただロープに触れただけで...!」
「ロープ?」
レストが握りしめていたのは、盾を結びつけていたロープだった。盾からほんの少し浮いていて触れていないが、ロープを動かすと盾もついてくる。
「…ロープが地面に触っていたから、ロープに触れた時点でアウト判定だったってこと?」
マジかよ...
「ってかちょっと待て。このロープってまさか...」
レストからロープをひったくり、勢いよく引っ張る。が、何かに引っかかっているような感じの感触が手に伝わってくるだけだった。
「……くそ、なんでそこにまで頭が回ってないんだバカかよ俺は...!」
おそらく、このロープは穴の外に繋がっている。いくら引っ張ってもこれ以上動かないのをみるに、ロープの端を何かしらにくくりつけて固定しているみたいだ。
こんなところに盾を落として、どうやって回収するんだってのを真っ先に考えるべきだった。盾を盗んだ奴らが何の策もなしにこんなことをするわけがない。回収する手筈は必ずあるはずだった。もしそれを一回でも考えることができていれば、盾を運ぶのに使っていたロープを使って回収できるようにしていると気づくことができていたかもしれない。なまじゴリ押しができてしまうがために、他の方法を考えることができなかった。反省しなければならない。
「ごめんレスト。俺がもっとちゃんとしてたらこんなことしなくてよかった。お前に怒る必要もなかった。怒ってごめん」
「それはいいけど...早く逃げないと。ほら、もう魔物が出てきてる」
「えっ」
我に返って坂の方を見る。そして上の方を見る。そこには、100ある横穴から続々と魔物が出てくる光景が...
「おぉぅ...」
「放心してないで早く逃げないと...カリヤ加速早くして!」
「…はっ!悪い現実逃避してた!急ぐぞレストは盾持って!」
ダガーを取り出して盾を包んでいるロープを切り刻む。そして盾をダガーで弾いてレストに渡す。
「全部倒す時間はない!レストは触手に掴まってて!雷装で突っ切る!」
「わかった」
レストを水の触手で掴み取る。
『雷装』
「行くぞ!」
最大速度まで加速させ、魔物で埋め尽くされた坂の真ん中を突っ切る。行手を邪魔する魔物はダガーで切り裂いたり、雷装を流し込んだ触手で弾き飛ばしてなんとか道を開けていく。
「くそ、スタミナ持ってくれ...!」
かなりのハードワークだ。坂は螺旋状になっているため常にカーブをする必要があり、遠心力に負けないように踏ん張らなければならないため普段よりも消耗が激しい。雷装も発動している。レストを掴んでいる触手には電流が流れないようにしなければならないし、マルチタスクすぎて頭がパンクしそうだ。最悪、坂を登り切った瞬間に倒れ込んでしまうかもしれない。
そして、上に行けば行くほど魔物の密度が濃くなる。辿り着くまでに時間がかかっているため多くの魔物が出てきているし、上の方の横穴から出てきたのが下に降りてきているのもあってさらに埋め尽くされる。上に行くに従って一周するのにかかる時間も増えていく。本格的に辛くなってきた。
「カリヤ!僕を進行方向に持ってきて!盾で弾くから!」
レストが両腕に盾をつけながら言う。もともとつけていた盾が邪魔そうではあったが、既に構えており準備万端だった。
「わかった頼む!」
触手を動かし、レストを目の前に持っていく。するとレストは左腕の盾を、魔法陣を押しながら取り外して展開した。そしてそのまま道を塞いでいる魔物を盾で弾き飛ばしていく。
「サンキューレスト!これならスタミナも...!」
あともう少しで外に出れる。レストが魔物を弾いてくれるようになったため、ダガーを振る必要がなくなり無駄なスタミナ消費が抑えられた。このままいけばスタミナ切れは絶対に起こらない。
「あと一周...出れた!」
穴の外に繋がっている螺旋状の坂。その最後の一周はとても長かったが、なんとか走り切り、外に出ることができた。
「はぁ...はぁ...つ、疲れた...」
ものすごい疲れた。カイスでの戦争でもここまで疲れてはなかったと思う。ここに来るまでにやった15分の全力ダッシュに加え、すぐに穴に何回も飛び込んで実験をして、今も穴を出るために走って...ほとんど休憩なしでやったのがダメだったな。戦争の時は何回か休憩をしにカイスに戻っていたからスタミナももったのだろう。もう少し体力つけないとな...
「ぶへらっ⁉︎」
「あっ、やべ」
疲れすぎて魔法の制御を手放してしまったみたいだ。水の触手は形を崩し、レストが地面に落ちてまぁまぁ痛そうな声を上げた。
「ごめんレスト...」
「ゆ、ゆるさない...」
やっばちょっと怒ってるホントごめん。
「そ、そういえばあの魔物たちって自分たちが出てきた横穴より上には来ないんだなー」
穴の方を覗き込みながら言う。レストなら一回話を逸らせば忘れてくれそうなので、適当にそれっぽい話題を振っておく。めっちゃ失礼だと思うけどホントごめん。
「多分一層目のダンジョンの辺りに百層目の魔物がいたら階層分けした意味ないからじゃない?下に降りてくる分にはいいけどさ」
「そうか。弱いのが降りてくる分には確かに問題ないね。まぁそもそも上から順番に攻略する想定だから、無視したペナルティ的な意味合いもあるんだろうけど」
「あと、話逸らそうとしたよね今」
「うっ」
アカン、バレテーラ。
「そ、そうだレスト。怒ってる場合じゃない。まだやることが残ってる」
「…やることって?盾は取り返したでしょ?」
「確かに取り返したけど、逆に言えばそれしかやってない。このまま戻っても、またどこかのタイミングで盗まれるだけだ」
「じゃあどうするの?」
「今から元凶を取り除く。待ち伏せもいいが、せっかくのチャンスだ。こっちから不意打ち決めようぜ」
もう一回盗みに入ったところをとっ捕まえるのもいいが、どうせならこっちから行ったほうが楽だ。場所も大体わかってるしな。
「不意打ちって言っても、どこにいるのかわかるの?」
「ああ。ロープの伸びてた方向は確認済みだ。多分その先にいる」
ロープの伸びていた方向を指差す。
「いくぞ。とっちめて情報吐かせて黒幕も暴いてやろう」
「いいねそれ。行こう」
すっかり怒りを忘れたみたいで、少しだけニヤリとしながら俺の後ろをついてきた。
やっぱりチョロいなと思ってしまったのは、内緒にしておこう。
多分次回はめっちゃスピーディーに話が進んでいくと思います。
一回でいいからアン○ラくらい早く展開を進めてみたい...