前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8423字。

タイトル通り、魔法使いになります。


17だけど魔法使いになったよ

「すみませーん!報告に来たんですけどー!」

 

ツルさんのところに鹿状の魔物を届けたのち、俺たちは役所の依頼受付所までやってきた。

 

「はいはい、承りますよー」

 

「五体狩ってきました。確認お願いします」

 

耳の入った袋をカウンターに置く。

 

「確認しますね。一つ、二つ...三つ四つ五つと、はい、確かに五体ですね。少しお待ちください」

 

受付の人が奥に消えていく。そして何かの袋を持ってきて戻ってきた。

 

「今回の報酬です。どうぞお受け取りください」

 

「ありがとうございます...これ袋ごともらっていいんですか?」

 

「そうですよ?」

 

「そうなんですか...」

 

袋ごと報酬を受け取る。そして中身の硬貨をもともと使っていた袋にまとめる。余ったこの袋何に使おうかな...

 

「次の依頼をお待ちしております!」

 

役所を出る。次...か。今日中に何かしら受けておこうかな。まだまだ一日は長いし。

 

「その前にご飯かな。忘れてたけど朝から何も食べてないし」

 

「そっか。私は別の依頼受けてくるからじゃあねカリヤさん!」

 

「おう、またな」

 

ステラと別れる。

 

「宿戻る前に本屋行こ」

 

宿でご飯を食べたら本を読む時間にしよう。読み終わったら本を返して役所の依頼を受けよう。そんな感じの予定を立てる。

 

「えっと、ここから本屋は...こっちだったよな」

 

昨日ステラと一緒に通ったルートを思い出しながら歩いていく。

 

「あっ、あったあった」

 

道を間違えることなく本屋にたどり着いた。

 

「いらっしゃい」

 

店員のおばあちゃんに声をかけられる。

 

「また来るとは言っていたけれど、早いわねぇ。また夜に来るものだと思ってたわ」

 

「いずれこの本屋の本全部読むつもりなんでね」

 

「あら、お得意様になってくれるのね?時間をかけて見ていらっしゃい」

 

「そうします。あっ、ここって立ち読みOKですか?」

 

「いいわよ。中身見て選んでちょうだい」

 

よし、許可も取ったし色々見ていくか。いずれ全部読むけど、優先度を決めておきたい。

 

「これは...童話か。これも...ここって童話とか図鑑多めなんですね」

 

「ここは子供向けだからねぇ...それに、新しい本がなかなか入ってこないから仕方ないのよ。ちゃんとした本が読みたいなら他の町に行った方がいいわよ」

 

「いいんですよ。ここにある本も興味深いですし」

 

「そう言ってくれると嬉しいわ。そういえばあなたはどんな本を探しているの?」

 

「なんでもいいんですが...魔導書的な物はありますか?」

 

「魔導書ねぇ...あなた魔法が使いたいの?」

 

「ええ」

 

「魔法ならカイスに行った方が早いと思うけど...そうねぇ。魔導書なら確か一冊だけ...」

 

おばあちゃんがカウンターから出てきて本棚を探し出す。

 

「ああ、あったあった。あそこにあるのが魔導書よ。ちょっと高くて私じゃ届かないけど」

 

「これか。よっ、と」

 

本を取る。背には何も書かれていなかったが、表紙にはタイトルが書いてあった。『魔法使いルルの冒険』という本のようだ。

 

「これ...絵本ですか?」

 

パラパラと本を捲ると、カラフルな絵が目に映った。

 

「そうわよ。絵本だけど簡単な魔法ならわかるようになっているわ」

 

「なるほど...じゃあこれは確定だな。見つけてくれてありがとうございます」

 

他の本は...適当でいいか。魔導書はこれ一冊だけみたいだし、中身見なくてもいいだろ。童話でも図鑑でもこの世界についてはわかるだろうし。

 

「…よし、今回はこんなところでいいかな。会計お願いします」

 

「はい、返すときに料金は払ってね。ちょっと安くしておくわ」

 

「ありがとうございます。では」

 

鞄に本を詰め、宿に戻る。そして自分の部屋に本を置き、一階の食堂に降りる。

 

「ご飯ご飯ー!」

 

この宿は泊まっている間、三食ご飯が出る。昨日の夜ご飯は結構美味しかったので、楽しみだ。

 

「えっ?朝ご飯の時間はもう過ぎてるわよ?」

 

「えっ」

 

「ご飯の時間は決まってるから注意してって受付の時に言わなかったかしら?」

 

待ってなにそれ覚えてない!

 

「つ、次のご飯の時間は...?」

 

「だいたい四時間後ね」

 

この世界の四時間後ってことは五時間後じゃん。流石にそこまで耐えるのは無理だな。

 

「そうですか...外で食べてきます」

 

しょんぼりしながら宿を出る。まさかこんなことになるとは...

 

「あそこ行くか。ステラと行ったところってこっちだったよな」

 

腹減ってやばいので能力使って早歩きしてあの店に向かう。

 

「あら昨日も来た...カリヤさんじゃないですか。今日は何にします?」

 

「昨日と同じで」

 

お腹空いてて早く食べたいし、おいしいと知っている物で空腹を埋めたかったので前回と同じものを頼んだ。

 

「はい。少々お待ちください」

 

…料理が来るまで暇だ。本持ってくればよかったな。

 

「お待たせしました」

 

「ありがとうございます。いただきまーす」

 

バクバクと目の前の料理を食べていく。空腹なので、前回食べた時よりも美味しく感じた。

 

「ごちそうさまでした!会計お願いします」

 

パパっと会計を済ませて店を出る。とりあえず今は猛烈に魔法が使いたい。それ以外にはなるべく時間を割きたくないのだ。

 

「よし、まずは宿戻ってあの絵本回収したら外で試そうそうしよう」

 

部屋に戻り絵本の魔導書を回収し、外に出る。役所行って依頼を受けたり、それの報告をしたりとかしていたらまた宿のご飯の時間を過ぎてしまうかもしれないので、それはしなかった。

 

「ここならいいかな。誰もいないし、魔物も見当たらないし」

 

そんなわけで、俺は村から少し離れた北の平原にやってきた。ここで魔法を試していくとしよう。

 

「えっと、呪文は...あそっか、これ絵本だ。細かい説明までは書いてないんだな」

 

でもどんな魔法なのか、どういう効果があるのか、どうやったら使えるのかはちゃんと書いてあるから普通に使えそうだ。

 

「えっとなになに...?最初は水の魔法か?これ」

 

魔法使いルルの冒険で最初に出てきた魔法は、水を放つ魔法だった。炎を吐く魔物が燃えているのを消化するために使っていた。この魔物って絶対あの羊だろこれ。

 

「この呪文を唱えればいいのか...これ日本語で言ってもできるのかな?」

 

この世界の言語じゃないと使えないとかだと俺詰むよ?

 

『大丈夫じゃ。翻訳した日本語での詠唱でも魔法は使えるぞい』

 

ならよかった。

 

「えっと...水よ、我が敵を押し流せ!」

 

手を空中にかざしながら詠唱をする。すると、体の中から何かが抜ける感覚を感じたのち、手のひらに水の弾が発生する。そして生じたその水の弾は数メートルほど前方に飛んで地面に命中し、その周辺の草花を湿らせる。

 

「これが水の魔法...本当に子供向け簡単な魔法なんだな。威力とか結構低そうだ。全然押し流せないし」

 

絵本に載っているくらいだ。初級も初級なのだろう。追加詠唱とかでカスタムとかができるらしいが...やり方がわからないから今はこれで我慢だな。それにしても...だ。

 

「初めて魔法が使えた...魔法スゲェ!」

 

興奮したまま絵本のページをめくり、次の魔法が載っているページを探す。

 

「あったあった!次は土か!」

 

地面に手をつき、呪文を唱える。

 

「土よ、流動しその形を変えよ!」

 

体の中の何かが地面に流れ込む感覚がすると同時に、地面の一部が液状化して動き出し、壁のような形になって固まる。

 

「この感覚は魔力が持ってかれてるってことなのかな?というかこれ水魔法も混ざってるような...まぁいいか。次だ次!」

 

ページをめくっていく。次に見つけたのは、風の魔法だった。

 

「風の初級魔法ってどうなるんだ...?えっと、風よ、我が意のままに吹き荒れろ!」

 

またしても体の中の力が抜ける感覚がする。しかし、何も起こってるように見えなかった。

 

「えっと...?あっ、もしかして」

 

手のひらを地面に向けてみる。地面に咲いている草花がゆらゆらと揺らいでいた。

 

「うーん、そよかぜ。出力低すぎでしょ。ドライヤーとして使おうかな」

 

吹き荒れろという詠唱変えた方がいいと思う。初級だし仕方ないのかなぁ。

 

「えっと次は...火か」

 

これも威力低いんだろうなぁ。ちょっと興奮が抜けてきた。

 

「火よ、塵となるまで燃え続けろ」

 

体の中の力が手のひらに集まり、火球を生み出す。

 

「あっつ!!」

 

さっき作った土の壁に飛ばそうと思っていたのだが、手のひらが熱すぎて適当な方向に飛ばしてしまう。なんで術者まで傷つけてるんだこれ!

 

「これ火傷注意だなこれ...あっ、やべ」

 

どこに火球が飛んでいったかなと思い、辺りを見渡したのだが...見事に燃えていた。草原がやばい。

 

「やばいやばいやばい!消火しないと全部燃える!環境破壊はマズイ!」

 

消火器は...無い!異世界だここ!そんなのあるわけねぇ!

 

「そうだ水魔法!えっとえっと...あった!水よ、我が敵を押し流せ!」

 

水の弾が燃える草木に向かって飛んでいく。けれど、弾の大きさが小さいせいで全ての火が消えたわけではなかった。未だ、燃え続けている。

 

「まだダメか。水よ、我が敵を押し流せ!水よ、我が敵を押し流せ!水よ、我が敵を押し流せ!」

 

魔法を連発する。しかし、焦っているためかなかなか狙いが定まらず、火を消し切ることができない。唱えている間に燃え広がってしまうこともあり、このままでは消すことは不可能だ。

 

「水よ、我が敵を押し流...ああもうめんどくせぇ!『水弾』!」

 

スキルとして魔法を発動する。さらに頭の中でスキル発動を何回も思い浮かべ、連続で水弾を飛ばす。火本体ではなく、燃えている火の周りに生えている草花を狙って水をかけた。

 

「これで燃え広がることはないはず...あとは本体を!」

 

スキルを発動する。三発の水弾が飛んでいき、すでに消えかけていた火を完全に消火した。

 

「ああよかった...カスタムのやり方がわからない今ならスキルも便利だな」

 

詠唱無しに魔法を使えるスキルは楽だな。連発しやすいし。

 

「草花にはゴメンと謝っておくとして...これで地水火風の四元素の魔法が使えるようになったわけだけど、空のエーテルってないのかな?続きに載ってたりするかな?」

 

火の魔法のページに戻り、さらにページをめくっていく。

 

「これ...か?なんかの魔法を使ってるな?」

 

絵本の中で、山を登っている最中に使った魔法なのだが、効果がよくわからなかった。見慣れない単語が多すぎてわからないのだ。

 

「とりあえず使ってみるか。えっとなになに...?純粋なる力の塊よ、その姿を映し出せ!」

 

呪文を唱えた瞬間、視界が一瞬歪む。さっきまで見えていた景色に重なるように、赤い点と青い点が無数に現れていた。そしてその点は、まるで大気のように流動していた。青い点の方が多いが、なんなんだこれ。チカチカする。飛蚊症にはなったことないけど、こんな感じなのかな。

 

「なんの魔法なんだこれ...」

 

魔法を解除する。あー、目が疲れた。

 

『あれがこの世界に満ちてる力じゃ。いわゆるマナじゃの』

 

「おっ、神様。解説してくれるのか?」

 

『おう。まず、この世界のマナは二種類ある』

 

「赤と青の二種類か?」

 

『そうじゃ。赤い方が魔素で、青い方が聖素じゃ』

 

「まそ...魔の素で魔素か。そしてせいそ?清楚?」

 

『その清楚じゃないぞい。聖なる素と書いて聖素じゃ。魔素の方はわかっていたのになんでそっちはわからんのかの...』

 

「魔素と聖素か...もしかして魔素が魔物に影響を及ぼして聖素は人間に...ってこと?」

 

『そうじゃ。魔素と聖素の割合によって、人間の魔力の回復速度が速くなったり、魔物が活発になったりするのじゃ』

 

「なるほど。そういう感じなのか」

 

『地域によってその割合は異なるんじゃが、だいたい南に近づくほど聖素の割合が大きくなり、北に近づくほど魔素の割合が大きくなるようじゃ』

 

「へー。だから南に女神の山があって、北に魔王城があるのか」

 

『逆じゃ。女神の山と魔王城がそこにあるから魔素と聖素が偏っておるのじゃ』

 

「あっ、そうなんだ」

 

『まぁでも一つ前の魔王が消えてから、少しずつ南側でも魔素の割合が増えてきているようじゃがの』

 

「それだけ今代の魔王の力が強いってことか?」

 

『かもしれないのう』

 

「そこはわからないのか」

 

『それよりも...時間は大丈夫かのう?昼飯の時間...あとどれくらいじゃ?』

 

「えっ...ああでも今の時間なら歩いても間に合うかな。多分」

 

体感だが、まだ五時間も経っていないはずだ。村まで距離はあるが、歩いても充分間に合うだろう。

 

「能力は使わなくても...いや、一応使っておくか。途中で魔物に襲われて間に合いませんでしたじゃ困るし...ん?」

 

能力を発動させると、地面の中で動いている何かの速度を感じ取った。

 

「何か...来る?」

 

一応ダガーを構えておく。

 

「絶対何かいるよな...」

 

地面の中の何かはいつまで経っても出てこない。害はないのかもしれないが、チョロチョロ動いてて気になる。襲ってくるようなら倒したいのだが。

 

「そうだ。えっと...土よ、流動しその形を変えよ!」

 

地面に手を当て、土流の魔法を発動させる。一メートル下までの地面を一気に液状化させ、辺りに飛び散らせる。そのおかげで、地面の下にいた魔物の姿が露わになる。

 

「チョロチョロ動いてたのはお前か...ってなんだこいつ。う、ウナギ?」

 

細長い見た目をしていたので、デカいミミズかなんかかと一瞬思ったがその正体はウナギだった。なんで地面の中にいるんだ?ほんと、地球の常識が通用しない世界だ。

 

「あっ、潜っていった。攻撃性はないタイプの魔物か。ちょっと悪いことしちゃったかな...」

 

とりあえず、掘ってしまった地面を直さないとなと思い、穴から出て再度スキルを発動しようとする。土流を使って地面を均そうという魂胆だ。しかし、ほんの少し地面が流動しただけで止まってしまう。

 

「…もしかして魔力切れ?」

 

様々な魔法の実験や、水弾の連発、さっきのウナギでの無駄な魔法の使用で魔力を使い切ってしまったようだ。

 

「まぁいっか。能力使わなくても間に合うはずだし...これ魔物に襲われて間に合わなくなるフラグじゃね...?」

 

今は能力も魔法も使えないから、魔物に襲われたら普通に死ぬ可能性がある。武器があるからなんとかなる...か?でも戦いたくないので出来るだけ村へと急いで歩く。走りはしない。途中でスタミナが切れて動けなくなったところに魔物が来たら詰むからだ。まだ歩いても間に合う。やばくなってから走るでいいのだ。

 

「ああ、ポ○モンのゴー○ドスプレーでもあればいいのに...それかド○クエのトヘ○ス」

 

そういう感じの魔物を寄せ付けなくなる魔法みたいなのはないのだろうか。まぁ、あったとしても魔力切れで使えないが。

 

「とりあえずエンカウントだけはしませんように...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジかよ無事に帰ってこれたよ」

 

思いが通じたのか、それともただの幸運か、村まで一体も魔物に会わずに辿り着くことができた。

 

「とりあえず今何時か確認しないとな。時計どこだー?」

 

宿までの道のりを歩きながら、時計を探す。

 

「おっ、あったあった。って三十分くらい余裕あるじゃん。本でも読んで待ってよ」

 

一瞬時計が狂ってるのかもと思ったが、魔法で動いている物だ。多分ズレてたりはしないだろう。単純に魔物に会いたくない一心で、無意識のうちに早歩きでもしていたのだろう。だから時間の余裕ができたのだ。

 

というわけで、俺は宿の自分の部屋に戻った。一応宿の人に昼ご飯の時間を確認したし、時間になっても来ないなら部屋まで呼んできてほしいと頼んでおいたので、食いっぱぐれることはないだろう。

 

「とりあえず呪文は暗記しておかないとな。詠唱でも使えるようにしておかないと、カスタムする時に困りそうだし」

 

絵本を何度も読み返す。あの五つの魔法以外の魔法は出てこなかったが、今のところあれだけ使えていたらいいだろう。初期魔法を使いこなす奴って結構カッコいい印象あるし...よし、多分覚えた。

 

「もう一冊くらい読めるかな...魔力も回復したし、能力使いながら読も」

 

能力を使い、頭の回転や理解の速度を加速させながら本を読んでいく。物質的な速さだけでなく、こういった速さも弄れるのは結構便利だ。

 

「…よし読み切った。もう一冊くらいならいけるか?」

 

まだ時間あるはず...多分。もう一冊新しい本を取り出し、読んでいく。

 

「………もうそろそろ三十分経つよな?ここらで止めとこ」

 

今何ページなのかを覚えておき、本を閉じる。そして食堂へと向かう。

 

「ご飯ご飯ー!」

 

食堂のドアを開け、中に入る。

 

「今回は間に合いましたねカリヤさん。もう少しでできますから座って待っていてください」

 

よしよし、ちゃんと間に合ったな。適当な一人席に座って待つ。

 

「ご飯食べたらまず依頼を受けに行って冒険に行こう。いや、その前に本読み切って返してから行くか。まだ一日の半分も終わってないしね」

 

時計を見ながら、これからの予定を立てていく。そうやって時間を潰しているうちに料理が運ばれてくる。

 

「いただきます」

 

パクッ...うん、美味しい!

 

やはり美味い。地球とは調味料が違うせいか、ちょっと独特な味だが何回も食べていくうちにどんどん美味しく感じてくる。これが慣れか。

 

「ごちそうさまでした」

 

あっという間に全てペロリと平らげてしまう。いやー本当に異世界料理美味しいっすね。レシピとか聞いたら教えてくれるかな?ちょっと作ってみたくなる。

 

「よし、本読もう」

 

自分の部屋にさっさと戻って本を開く。えっと、何ページだったっけ...そうだ57ページだ思い出した。

 

「あと何冊あるんだっけ。にーしーろーやーとー、11冊か。一、二時間あったら読み切れるかな」

 

能力を使いながら読んでいく。魔力を途中で使い切ったものの、最後まで読み切る。

 

「今何時だ...?部屋に時計無いのめんどいな」

 

ロビーに戻ればあるのだが、わざわざ時計の確認のために降りるのも面倒だ。今回は外にそのまま出るから別にいいのだが、部屋に一つくらいは置いてあってもいいと思う。

 

「腕時計でも買おうかな...いや、腕時計なんてしてる人一人もいなかったな。時計持ってないなんてあんまり考えられないし、懐中時計でも持ってるのかな?雑貨屋とか道具屋ってないのかな?」

 

予定変更。本屋に本を返しに行ったら、道具屋を探すことにしよう。冒険はそれからだ。そう思い、宿を出る。

 

「あっ、カリヤさーん!」

 

「ん?おお、ステラじゃんか。どうしてこんなところに?」

 

こんなところでステラに会うとは思わなかった。数時間前に分かれたばっかだぞ?そこまで大きくない村とはいえ、こんな一日に何回も会うもんなのか?

 

「ご飯食べ終わって、役所に依頼を受けにいくとこだったんだ。カリヤさんは?」

 

「あっ、ちょうどいいや。ちょっと頼まれごとしてくれない?」

 

「なになにー?このステラに任せなさーい!」

 

「道具屋的なところに連れてってくれない?懐中時計を買いたくてね」

 

「…あそっか。そういえば説明し忘れてたね。じゃあこっち着いてきて!」

 

ステラがタタターっと駆けていく。

 

「ちょっ、なんでそんな走る必要がある!ご飯食べたばっかなんだろ⁉︎」

 

能力は魔力切れで使えないし、普通に走るしかない。くっ、高校生の全力疾走見せてやろうか?すぐに追い越してやんよ!子供と大人の差をわからせてやる!

 

走る走る走る。よしあとちょっとで追いつく...あれ?離されてってる?ちょっ、足がもつれて...!

 

「あぐっ⁉︎」

 

「えっ?あっ!大丈夫カリヤさん!」

 

「だ、大丈夫...ちょっと転んだだけ」

 

本物の狩人鬼速え...追いつきそうと思った瞬間すぐに離された...いや、まて違う。俺鞄背負ってるしロングソードにダガー二本に弓矢に盾まで持ってるんだ。装備の重量のせいで負けた、そう思っておこう。そうじゃないと俺の小さなプライドがポッキリ逝く。

 

「ごめんね?ちょっとはしゃいじゃって走りすぎちゃった」

 

「大丈夫だって。それで?あとどれくらいで着く?」

 

「あとちょっとだよ。そこの十字路を左に行ってすぐだから」

 

ステラと一緒にゆっくり歩いて道具屋へと向かう。

 

「はい、ここだよ。普段使わないから忘れてたんだよね」

 

「へぇー。あっ、時計あった」

 

やはり腕時計はないようで、懐中時計がいくつか置いてあった。そのうち、小さくて邪魔にならなそうなものを見繕って手に取る。

 

「ここ他に何があるんだろ。ポーションとかあんのかな?」

 

「あるよあるよ?他にも傷を治す軟膏とか、暗い時に使う衝撃を与えると光る石とか、本当に色々あるよ」

 

「これ光るんだ。色々あるんだなぁ。こういうアイテム一個くらいは持ち物に常に入れておきたいんだよね」

 

回復魔法を使えない今、傷薬は貴重な回復手段だし、名札見る限りこのポーションは魔力を回復させるみたいだからこれも結構使いそうだ。

 

「よし、じゃんじゃん買ってこ」

 

軟膏とポーションと、光る石と懐中時計を購入する。

 

「準備完了っと。じゃっ、依頼受けに行こっか」

 

「そうだね。一緒に行こー!」

 

俺たちは役所へと向かった。




異世界転生二日目で魔法習得って平均的に見たら早いんですかね?それとも遅いのかな?
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