前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8342字。

依頼回です。
今回と次回で一つの依頼をやります。


生ける屍の屋敷

「うーん...ないか」

 

「なに探してるの?」

 

ギルドで依頼書を見ていると、レストが話しかけてきた。やっと来たか。

 

「レストって、巨大化した魔物の噂のこと知ってるか?」

 

「…聞いたことある気がする。カリスとかカイスの近くで現れたんだっけ?」

 

「そうそれ。巨大化魔物は魔族が作り出してるんだけどさ、大体俺が倒してきたからもし依頼として出てたら受けておきたいなと思って。強い魔物の方が戦闘訓練するなら効率いいし」

 

「でもその様子だとなかったんだよね?よかった...」

 

「なに安心してんのさ...今回はなかったけど、一回くらいはレストと一緒に戦っておきたいんだよね。勇者パーティーで旅してたら絶対何回も戦うことになるだろうし。まぁそんな魔物、現れない方がいいんだけどな」

 

「それはそうだね」

 

「ってなわけでなかったからこの依頼受けにいくぞー」

 

あらかじめ取っておいた依頼書をレストに見せる。

 

「どんな依頼?」

 

「なんか面白そうなんだよね。突然現れた謎の屋敷を調べろだってさ」

 

依頼書には、ガルムとカイスの間、ここから東に突然現れた屋敷の調査について書かれている。なんでも、魔力が実体を持ったものらしい。

 

「強い力を持ったアンデッドが集めた魔力で作ったものなんだと。その性質から、屋敷の中は外界と遮断されていて聖素が一切なく、魔素で埋め尽くされているらしい。魔王城と同じ状況だ。練習にはピッタリだろ?」

 

聖域の反対だ。聖素がないということは、人間が魔力を回復させることが不可能になるということだ。一切回復しないので、速度操作で加速させることもできない。逆に魔物や魔族は高速で魔力が回復するし、行動も活発になる。人間にとって不利すぎる場所だ。だからこそ、体験しておく必要がある。

 

「大変そうだね...でも面白そう」

 

「だろ?報酬も多いし、稀に魔道具が生成される場合があって、見つけたら自由に回収していいんだとよ」

 

基本的には、屋敷を作り出したアンデッドが活動を停止した場合、屋敷も消え去る。けれど、何かが起こった場合魔道具が生成されることがある。原因はわかっていないらしいが、いずれも遥か昔に紛失、または崩壊したはずのものが現れるらしい。

 

これはあくまで俺の推測だけど、アンデッドの正体は古代の魔法使いとかで、自分の屋敷を再現してるんじゃないかと思う。内装が再現されていくなかで、魔道具も一緒に作り出されるんだろう。まぁなんで魔道具は消えないんだって疑問は残るわけだけど。

 

「なんかそれやってること強盗と同じじゃない?」

 

確かに、確かにそうだけど...まさか盾盗まれて数日後に俺らが盗む側に回るなんてな。

 

「…それは言わないお約束だ」

 

「どういう意味...?」

 

「ほら依頼受けにいくぞ」

 

「う、うん」

 

俺たちは依頼書を受付に出しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱカリヤがいると移動が楽だね。旅も楽そう」

 

俺たちは目的の屋敷の前にやってきた。ガルムとカイスのちょうど間。馬車で半刻くらいで着くので、速度操作で走れば3分程度で着いてしまう。レストがこう言うのもわかる。けど...

 

「神の使いをただの移動手段扱いするなよ...」

 

それだけちょっと不服だ。レストのことだからそこまで深く考えてないんだろうけどさ。

 

「だって普通なら何時間も歩かないといけない距離でも数分で着いちゃうし。それに、これからもっと速くなるんでしょ?きっと旅をする頃には音ぐらい速く走れるようになるんしゃない?」

 

「まぁそのつもりだけどさ。俺と一緒に走るならもっとスタミナつけてもらわないとねぇ」

 

「うっ...頑張る」

 

「んじゃ、入るとしますか。魔力も回復したしね」

 

中に入ると魔力が回復できなくなるので、速度操作で減った魔力は今の会話の合間に回復しておいた。

 

「作戦は覚えてるな?」

 

「うん、アンデッドを見つけたら倒さないで拘束するんでしょ?屋敷を全部見て回って、魔道具を回収しきったら倒す」

 

「よし、じゃあ行こうか」

 

屋敷の門を開けて、敷地内に入る。すると、雰囲気がガラリと変わった。魔素しかないからだろうか。

 

「さて内装は...おっ、洋館っぽいね。意外とピカピカしてるな...」

 

外から見た印象や肌で感じている雰囲気とは違い、屋敷の中は普通に明るかった。シャンデリアもあって結構豪華だ。とてもアンデッドを軸として作り出されたものとは思えない。てっきり薄暗くて、お化け屋敷みたいな感じだと思ってたのに。

 

「この様子だと結構部屋多そうだな...どうする?二手に分かれる?」

 

「盾使いを孤立させるつもり?」

 

「冗談だ。どっちから行こうか」

 

正直レストなら単独行動しても問題ないと思うんだけどな...

 

「じゃあ左から行こう」

 

エントランスからは、左右の廊下と前方の扉の先の部屋、階段を登って2階にも行けるようだ。そこからレストは左の通路を選んだ。

 

「オーケー」

 

3780ページ上 黒のみ 筆記

 

左の廊下の地面に、緑色で大きく印をつけておく。敷かれているカーペットが赤いので、補色効果で見やすいだろう。

 

「何やってるの?」

 

「一度通った道がわかりやすいようにしてるんだよ。仮にもダンジョンだし、広い屋敷だから普通に迷うかもしれないから。魔法で迷わされるかもしれないしね」

 

「なるほど...」

 

「ダンジョンに潜るときは似たようなこと大体やるぞ。まぁ俺もダンジョン潜ったの一回しかないし、こうやるのもその時に知ったんだけどな」

 

未だにあのムカデの巣穴潜り以外にダンジョンらしいダンジョンに潜っていない。あれダンジョンかって言われると微妙だけど。

 

「部屋に入るときも同じようにやってくからな。あと、一応書いたところは踏まないでくれ。少ないけど魔力が込められてるから、何が起こるかわからん」

 

トラップみたいにもなってるので、アンデッドが踏んだらわかるようになっている。ただ、そのときに込められた魔力が放出されるので何が起こるかわからない。魔力量的にそこまで酷いことは起こらないだろうけど、事故は防がないといけない。

 

「よし、じゃあまずここから入るか」

 

3780ページ上 黒のみ 筆記

 

一番近くにあった扉を開く。扉は開けておき、扉と壁にそれぞれ線を描いておく。もしアンデッドが扉を閉めたら、その瞬間に魔法陣が完成して拘束が発動するようになっている。廊下に描いておいたのとは違って、こっちはちゃんとしたものを描いた。廊下はアンデッドが踏むかわからないし、間違って俺らが踏む可能性があるので下手に効果をつけるわけにはいかない。扉は閉めなければ発動しないので事故もない。印としてではなく、完全なトラップとして運用している。

 

「この部屋は...なんだこれ?」

 

こんないかにもな屋敷なんて入ったことないので、見ただけじゃ何の部屋なのか全くわからない。使用人室...かと思ったけど、こんな入口から近いところにあるものなのか?わからん。

 

「まいっか。調べるぞ」

 

「空き巣開始だー」

 

「空き巣言うな」

 

俺は部屋の中にある棚とか机に片っ端から近づく。

 

「調べないの?」

 

「速度探知で物の位置がわかるからな。こうやって近づくだけでわかる」

 

たとえ物が動いていなくても、速度がゼロという情報は入ってくる。能力適用範囲である半径3.5メートルに入りさえすれば全て探知できるので、探索は簡単だ。頭の中に入ってくる大量の物の位置と速度の情報を、思考速度上昇や処理速度の上昇をして処理する必要があるため、周りが思ってる以上に大変ではあるのだが。

 

「この部屋には何もないみたいだな。隠し扉とか、隠し魔法陣的なのもない」

 

それらしい形跡は一切なかった。ハズレだな。

 

「次行くぞ」

 

開けたままの扉を通り、廊下に出る。

 

「この調子で何もなく行けばいいんだけどね」

 

レストがそんなことを言ってくる。

 

「まぁアンデッドがいるのは確定してるからな。何もないってことはないよな」

 

フラグっぽいことをレストは言ったけど、そういう依頼なのだから何か起こるのは確定している。アンデッドとの戦闘は必ず起こる。

 

「気、引き締めとけよ。不意打ちされる可能性はほとんどないとはいえ、急に戦闘になるなんて当たり前...だからなァ!」

 

2007ページ下 黒のみ 拘束

 

後ろから迫ってきていた何かに向かって魔法を放ち、大量の鎖でその体を雁字搦めに拘束する。

 

「びっくりした...なに?」

 

「アンデッドだ。こいつは...服装からして使用人か?」

 

鎖で拘束されているアンデッドの姿を観察する。こいつは執事っぽい服装をしていた。

 

「魔力量そんな多くねぇな...執事っぽいし、こいつがこの屋敷を作ったやつとは思えねぇ。屋敷の核は別にいるな」

 

「じゃあどうするの?倒しちゃう?」

 

「いや、一応やめておこう。この中にいるアンデッド全員で屋敷を形成してる、なんて可能性もあるしな。こいつ倒した瞬間にもうおしまいかもしれないし、後回しにしよう。倒すのは全部の部屋の探索が終わってからだ」

 

「わかった...これ、動かないよね?」

 

「どうだろ。こいつに鎖を解くほどの力ないとは思うけど...一応描いておくか」

 

3780ページ上 黒のみ 筆記

 

アンデッドの周囲に何個も魔法陣を描き込んでおく。鎖の拘束から逃れ、そこから一歩踏み出せば引っかかる位置だ。

 

「これでいいだろ。んじゃ行くか」

 

アンデッドを放置して俺たちは廊下を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこにも魔道具ないな...」

 

一階はあらかた探索しきった。どこの部屋も何もなかった。アンデッドもまだ一回しか会っていない。廊下に何個も設置した印には誰も触れていないし、扉も閉められていない。一階にはアンデッドはあの一体しかいなかったみたいだ。

 

「レアなんでしょ?なくても仕方ないんじゃない?」

 

「なかったら諦めるだけだけどさ...二階行くか」

 

エントランスまで戻ってきた俺たちは、階段を登り二階に上がる。

 

「じゃあまずはこの部屋から...あーいるわ」

 

速度探知のおかげで、扉や壁越しに向こう側の状況がわかってしまった。ほんと便利だなこれ。曲がり角でバッタリなんてこともなくなるし、索敵として有用すぎる。

 

「アンデッド?」

 

「うん、扉開けたらすぐいるわ。どうしよ...」

 

というか扉のすぐ前にいるせいで、扉を開けることができない。引っかかってしまって不意打ちを仕掛けることができない。

 

「筆記で不意打ちってできないの?」

 

「直接は無理かな...筆記は手の届く範囲にしかできないから、扉の裏に描くことはできないんだよね。何かいい魔法あるかな」

 

頭に指を当てて少し考える。この間にアンデッドが移動してくれたりしないかと期待してみたが、一切動かなかったので対処法をちゃんと考えなければならなかった。

 

「うーん...これならできるかな?」

 

4566ページ 黒 紫 閃光

 

指から閃光を放つ。撃ち出された閃光は扉を透過して飛んでいき、アンデッドに当たって吹き飛んでいった。

 

「よーし突入だ」

 

扉を蹴破るように開けて中に入る。アンデッドは向こうの壁に背中から激突し、気を失っているみたいだった。

 

「追撃は...必要なさそうだな。拘束だけしておくか」

 

2007ページ下 黒のみ 拘束

 

鎖を射出し、壁に縛り付ける。

 

「おぉ...どうやったの?」

 

「さっきの魔法のことか?さっきのはノックバック性能を付与した閃光だ。閃光は魔力でできたものを透過できるからな。この屋敷は魔力で形作られてるから、閃光を使えば壁越しに一方的に攻撃できるんだよ。ノックバックを付与すると攻撃性能が下がるけど、倒すのが目的じゃないから好都合だ」

 

「へー...」

 

「自分から聞いてきたのにすごい興味なさそうな返事するなお前...」

 

「探索しないの?」

 

「今やってる」

 

ほんとマイペース...で片付けていいのかは知らんが、自分で聞いてきたんだからちゃんと聞いて理解してるそぶりを見せてほしい。

 

「…それっぽいのはなんもないな。じゃあなんでこいつはずっとここにいたんだ...」

 

ずっと扉の前で見張るように立っていたもんだから、何かあると思っていたのに期待はずれだ。

 

「ただ単にここで生活してた人だったんじゃない?」

 

「生前の行動を繰り返してるならありそうだけど...だとしたらこいつずっと扉見つめてることになるぞ?闇深すぎんぞ」

 

ノックバックを喰らい、真っ直ぐ吹き飛んで背中から激突したってことは、こいつは最初から扉の方に向いていたことになる。考えてる間微動だにしていなかったし、怖すぎる。

 

「き、気を取り直して次の部屋行くか...」

 

3780ページ上 黒のみ 筆記

 

扉と壁に魔法陣を描いてから廊下に出る。

 

「さっきの部屋見て思ったけど、二階は屋敷の主人一家が住む場所なんかね?」

 

一階の部屋と比べると、二階の部屋は少し広めで置かれている家具も豪華になっていた。

 

「かもね。思い返してみれば確かにそうかも」

 

「仮にそうだとすると、使用人も二階に集まってるのかもな。住人も使用人もアンデッドになってるっぽいし、普段の行動を真似してるなら複数体固まっててもおかしくないよな」

 

アンデッド...死者が生前の行動を真似しているのをみると、がっこう○らしを思い出す。一階にあった食堂っぽいところのベルを鳴らせば、引き寄せられるように全員来てくれそう。

 

「一筋縄にはいかなくなるかもね」

 

「拘束するだけでいいからまだ楽だけどね」

 

「…倒す方が楽って言うと思ってた」

 

「そりゃ普通の魔物だったら首切り飛ばせば大体死ぬけどさ。アンデッドは心臓を破壊しないと死なないからちょっと面倒なんだよね。首切り落としたとしても、人間の知能が引き出せなくなるだけで普通に動き回るからさ」

 

脳が残っていると知識や記憶を使えるというだけで、別に脳が残っていなくてもアンデッドとして動くことはできる。俺は魔物を倒すときはよく首を切るため、どうしても癖のように首を切ってしまうのだ。そのためワンテンポ遅れてしまう。最初から拘束することを目的にしていたら問題なく動けるので、アンデッド相手なら拘束する方が楽なのだ。

 

「こんなふうにね」

 

2007ページ下 黒のみ 拘束

5000ページ 黒のみ 魔法復唱

 

大量の鎖が飛び出して、曲がり角の先にいるアンデッドたちを捕らえた。

 

「アンブッシュされないの本当楽だわ...ってマジか」

 

レストを手で後ろに押しながら下がる。その瞬間、目の前を大量のナイフが通過した。

 

「範囲外に一人いたのか。投げナイフ...メイドか?」

 

投げナイフ=メイドってなってしまうのは多分どこぞの幻樂団の影響なんだろうな。屋敷の中だからってのもあるかもしれないが。

 

「ってどんだけ投げてくんだよ...これじゃ出れねぇじゃん」

 

いつまで待ってもナイフは飛んでくる。一歩でもこの角から飛び出せば、即座に大量のナイフが突き刺さってしまうだろう。

 

「僕に任せて」

 

レストが右腕の盾を取り外して左手に持ちながら言う。

 

「これ、多分魔力でできてるから...これで吸えるよ」

 

レストは盾を展開させながら角を飛び出した。盾に無数のナイフが刺さるが、即座に吸収されていく、

 

「今のうちにお願い!」

 

「あいわかった!」

 

俺も角から出てレストの後ろに移動する。ナイフを投げてきているアンデッドは一体のみ。メイドっぽい衣装をしてる奴だけ。そして、近くで縛り付けられているアンデッドに当たらないように的確にこちらに向かって投げてきているのを、展開された半透明の盾越しに見る。

 

「でもこのままじゃ攻撃できん...レスト、前に進めないのか?」

 

魔法は撃ってもレストの盾に吸い取られて当たらない。武器を投げても多分途中でナイフで弾かれる。そもそも拘束が目的だからあんまり攻撃らしい攻撃もできない。

 

だが、近づくこともできない。レストの盾の半透明の部分は、魔法以外なら通り抜けることができるが、レストの盾より前に出た時点でナイフに刺さるのは確実だ。近づく必要があるのに近づけない。だからレストに前に進むように頼んだ。

 

「これ以上前に出るのは無理...下見て」

 

「下?」

 

レストに言われるがまま、下を見る。レストの言いたかったことがわかった。

 

「なるほど、そりゃ無理だな」

 

展開した盾は、この廊下の地面を抉り取っていた。この屋敷は魔力で出来たもの。盾の効果で吸収してしまえるのだ。このままレストが前に歩けば床はどんどん消失していき、やがて進めなくなる。

 

「カリヤ早くして...そろそろ魔力が...」

 

レストの持つ盾を見ると、その裏面には既に大量の結晶がくっついていた。もうそろそろ限界を迎えるだろう。

 

「おけ」

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

一瞬でメイドアンデッドの背後に転移し、まずは足払いをかける。

 

2007ページ下 黒のみ 拘束

4014ページ 黒のみ 障壁

5000ページ 黒のみ 魔法復唱

 

床にうつ伏せになったメイドアンデッドを鎖で拘束し、障壁ですぐ周りを包む。こいつは遠距離攻撃を持っているからな。ただ拘束するだけだと不十分だ。

 

「よしオッケーっと。ありがとうレスト、助かった」

 

「…そんな転移できたんだ...」

 

盾を右腕に付け直しながらレストは言った。

 

「転移じゃない。未来跳躍っていう未来に飛ぶ魔法だ。まぁ速度操作がないとここまで便利には使えないけどな」

 

「それできるなら最初からやってくれない?僕出る必要あった?」

 

「自分から任せてつったのに何言ってるのさ...どこにアンデッドがいるのかわからなかったからな。目視してからじゃないと転移した瞬間にナイフに刺さるとかになりかねない」

 

未来跳躍は、消失している間に移動できる場所にしか転移できない。そして、転移先に何か障害物があった場合、転移は失敗する。気体は押しのけられるが液体や固体は押しのけることができないのだ。転移失敗の可能性と、偶然ナイフとナイフの間にある隙間に転移できてしまい直後に刺さる可能性を考えると、目視してから転移したいと思うのは当然だ。知らない人にとっては当然ではないのはわかってるけど、わかってほしい。

 

「助かったって言ったろ?レストのおかげでアンデッドの位置を確認して飛べた。それに、魔法吸収が屋敷にも働くってのがわかったしな。探索が楽になるぞ。めんどくさくなったらその盾で全部の壁ぶち抜いて歩きゃいいんだから」

 

「確かに」

 

そう言いながらレストは盾を外そうとする。

 

「ちょっ、ちょいちょい、今やるなよ。まだ結晶消費してないだろ?」

 

「こんなもの適当に放り投げれば...」

 

「一応とっとけよ何かに使うかもしれないんだから...自然消滅するまでちゃんと持っとけ」

 

「わかったよ...」

 

「ほら、次この部屋入るぞ。扉近くには誰もいないから開けていいはず」

 

ドアノブに触れる。

 

「二階の部屋って広いんでしょ?奥にはいるんじゃない?」

 

「まぁかもしれないけど。透視...いや、これでいいか」

 

4014ページ 黒 赤 障壁

3780ページ上 黒のみ 筆記

 

ちょっとした準備をしてからドアノブを捻り、中に入る。

 

「うわホントだ」

 

目の前に設置していた障壁に何かが当たった。その瞬間に、筆記で書いた魔法陣が起動してカウンターとして鎖が飛んでいく。

 

「レストの言った通りだったな。サンキュー」

 

「一瞬だったね...」

 

部屋の奥にいたアンデッドは既に鎖で縛り付けられていた。すぐ近くにあった物を投げてきただけみたいなので、障壁で囲むのはやらなくてもいいだろう。

 

「それにしても、これ結構使えるな。扉開ける時は毎回これやろ」

 

障壁を目の前に設置しておき、そこにカウンター機能を付けた魔法陣を描き込んでおけば勝手に拘束されてくれる。初めてやってみたけど結構便利だ。座標固定のカスタムも便利すぎる。こういう壁の魔法は移動の邪魔になることが多いけれど、移動に干渉しないのがいい。自分の動きについてくるとか、トラックの上でクラフ○ワーク使ってるみたいだな。

 

「ねぇカリヤ。これって...」

 

レストが俺の足の間から手を伸ばして、俺の足元に落ちていたものを拾い上げた。

 

「ここに落ちてるってことはあいつが投げてきたやつだよな?どんなやつだ?」

 

レストが拾い上げたものを見る。

 

「多分これ、魔道具なんじゃない?雰囲気が違う」

 

「これって...⁉︎」

 

なんだこれ見た目が乾電池すぎる。単一くらいの大きさだ。電気の技術は発達していないはずだから、偶然形が似ただけか...?

 

「…これ知ってるの?」

 

「んぁ?いや、変な形してるなーって思っただけだ。多分魔道具だろ」

 

ちょっと変な声出ちゃった。別世界から来たなんてことまだ言えないし、乾電池のこと知ってるの隠しておかないと。魔王倒して平和になったら言おうかな...

 

「そっか。じゃあ持っておくね」

 

そんなことを考えていると、レストが拾ったものを懐にしまった。

 

「屋敷から出たら消えてないか確認するか」

 

「だね」

 

「それじゃあ次の部屋に行くか」

 

3780ページ上 黒のみ 筆記

 

扉と壁に魔法陣を描いてから廊下に出た。

 

探索は続く...




依頼の内容と展開考えるの難しいっすね...行き当たりばったりで依頼回は大体書いてるので、元から考えていた本編の展開と比べるとどうしても出来が悪くなるんですよね...
たまに思いつきで本筋に関わる伏線をぶち込んだりするので、そういうのを探してみるのもいいかも?と思いながら書いてる今日この頃。
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