前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
今回も依頼回です。
まぁまぁ重要な話を盛り込んでたりしてます。
「ねぇカリヤ。この依頼やってみない?」
珍しくレストが要望を伝えてきた。
「どんな依頼だ?まさか、簡単なので済ませようとしてるとかはねぇよな?」
「そんなわけないじゃん。見てから言ってよ」
「悪かったって...どれどれ?」
レストから依頼書を受け取る。
「これって...」
「前にカリヤ言ってたでしょ?巨大化した魔物の依頼だよ」
ちゃんと覚えてくれていたようだ。言ったの結構前だったはずだけど、探してくれてたんだな。
「…え?討伐じゃないのこれ?」
どんな魔物なのか確認するために依頼書をよく見ていると、討伐ではなく捕獲と書いてあるのが見えた。一度討伐と書かれていたみたいだが、バツ印がつけられて上に捕獲と訂正されたみたいだ。
「そうみたいだね」
「捕獲ってどうすりゃいいんだよ...大きさにもよるけどさ、倒すのでさえ結構大変なのに捕獲って...」
ってか何で捕獲してほしいんだ?何のために?
「…生態調査だぁ?そんなもんカイスの人にやらせろよなんでガルムでやろうとしてんだ」
「巨大化魔物の攻撃からの防衛方法を考えたいんじゃない?どんな力を持っていて、どんな攻撃をしてくるのか、それが分かれば守りやすいから。ほら、魔王軍の攻撃はガルムに集中するからさ」
「それはわかるけどさ...こんなん普通の人には無理ゲーだろ。だから残ってるんだろこれ」
依頼書は結構クシャッとしていた。それだけ多くの人の手に取られ、無理だと諦めて戻されたのだろう。
「普通の人にできないなら、僕たちがやるべきだよね?」
「…そうだな」
レストにそれを言われるなんて...普段と立場が逆転してるな。
「しゃーねぇ行くか。珍しくレストもやる気みたいだし、俺も頑張らないとな」
俺たちは受付に向かった。
「問題はどうやって捕獲するかだよなぁ...」
巨大化した魔物がいるという北の荒地までやってきた。巨大化した魔物が見えるくらいの距離で、戦闘前の作戦会議を始める。
「拘束魔法でこう、なんとか...」
「一時的に捕らえるのはできるよ?でもそこからどうやってガルムまで運ぶんだって話よ」
今までで一番デカかった騎士の魔物も、カスタム赤の拘束と魔法復唱を使うことで一時的に動きを封じることはできた。ただ、これでできるのはその場に止めることだけ。移動させることはできない。
「それは攻撃して弱らせてから...」
「多分それ依頼的にやっちゃダメなんだよねぇ...下手に傷つけちゃうと、魔素が漏れ出てサイズちっちゃくなるから」
巨大化してる状態じゃないと捕獲する意味がない。少し小さくなるくらいは問題ないかもしれないが、大きい状態でガルムまで持ってくるのがこの依頼の条件と言っていいだろう。
「傷ついたら外に漏れる...それなら、内側の傷なら魔素出ないんじゃない?」
「…どうだろ?」
内側の傷、つまり神経や筋、腱などを切れってことか?身体表面に一切傷をつけずに?
「できなくはない...のかな?鞭を使えば擦り傷程度で内側に痛みを与えれるけど...あとは魔法使ってゴリ押しだな。それしかない」
ロングソードで骨を叩き折るのもいいかもしれない。魔法で切れ味を限りなくゼロまで落として叩けば骨だけ折ることもできるだろう。
「僕の盾でスタミナを削るのもいいかもしれないね」
「スタミナ削るのも確かにいいな。その発想はなかったわ」
スタミナを削る方法なんて俺にはほぼないから、そうやって勝つことなんて考えたこともなかった。まだ誰かのスタミナ消費を速くすることはできない。雷装を使っていて著しく消耗が激しいときのようなケースでないとできないのだ。遅くすることはできるので味方のサポートには使ってきたが、いつか通常時でも加速させるようになるんだろうか...
「あと、傷つけた後に表面だけ治せばいいんじゃないの?」
「レストお前...天才か?」
アカン頭凝り固まっとる。俺、一回これしかないと思い込むと抜け出せなくなるみたいだ。そうだよな治しゃいいんだよ。敵を治すなんて考えたこともなかったわクレイジー○イヤモンドかなんかか?
「…ってかそうだこれ傷つける必要もねぇわ運ぶだけなら前にやったこと真似すりゃいいだけだ」
やっと頭が回るようになってきた。前に騎士の魔物にやったみたいに、水膜と水噴と路面凍結と暴風を使ってガルムまで直接お届けしてやればいいのだ。拘束の話でさっき一度思い出したときに、これも思い出しておくべきだったな。普段の俺なら絶対思い浮かんでいたはずだ。
「よしオッケー作戦決まり!さっき言ったこと色々試す!以上!突っ込めー!」
魔物の方に向かって走り出す。
「えっ、本当にもう行くの⁉︎まず何からやるのさ!」
「まずは攻撃せずに魔法を駆使して移動させる!それが失敗したらスタミナ削りと、傷つけて表面だけ治すのを繰り返す!だからまずは俺に任せな!これに掴まっとけ!」
4571ページ 黒のみ 触手・水
触手を出してレストを掴む。
「跳ぶぞ!舌噛まないように気ィつけな!」
72ページ右下 黒のみ 跳躍
地面を蹴り、一気に巨大化魔物に向かって跳ぶ。頭が回ってきて、気分も上がってきた。今ならなんでもできそう...ってそんなこと言ったら頭食いちぎられそうだから流石にやめておこう。
「こっち見てくる前に...!」
4983ページ 黒のみ 虚像生成
魔物がこっちに気づいて振り返り始めたので、見られる前に魔法を発動して分身を生成する。光を拡散、屈折させて魔物にしか見えない虚像の偽物を作り出すのだ。これで奴、巨大になったトロールがこっちを見ても、どれが本物なのか判別することができない。
「ウガア゛ア゛ア゛!!」
トロールがその巨大な腕を振るい、俺の周りに見えているであろう虚像ごと薙ぎ払おうとしてくる。
「そうくるわな」
7801ページ 黒のみ 未来跳躍
どれが本物かわからないのなら、丸ごと薙ぎ倒してしまえばいい。魔物が考えそうなことだ。当然読んでいたので未来跳躍を発動する。
消失するのはデフォルトの1秒。その1秒の間に、トロールの腕を避けて魔物の頭の上くらいまで移動する予定だ。落下速度の加速で地面に一度降り、もう一度跳ぶだけ。それが秒速42メートルの速度で1秒のうちに移動できる限界だったが、これで十分だ。
1秒が経ち、トロールの頭上に転移する。そしてそのまま重力に引かれて落下し、毛むくじゃらな頭の上にトンッと着地する。
「大体20メートルくらいか...おっ、やっと気づいたか?」
薙ぎ払ったはずなのに未だ目に映る虚像に驚いていたみたいだが、やっと頭に乗っている俺に気づいたようだ。
2007ページ下 黒 赤 拘束
5000ページ 黒のみ 魔法復唱
まずは動けないように大量の鎖を召喚してがんじがらめに拘束する。あの時の再現をするのだ。
5701ページ 黒のみ 重力反転
次に重力反転でトロールをほんの少しだけ浮かせる。
1527ページ左上 黒のみ 水膜
前にやったようにトロールの足に水の膜を張る。他にも、地面に接地している部位には軒並み水の膜を張っていく。
「あやっべ、路面凍結忘れてた...まぁいいかどうせガルムまで伸ばせるわけでもないし」
数キロぐらいなら、横幅を抑えれば氷の道を伸ばすことは可能だ。騎士の魔物を押し出した時もそれくらいは伸ばしたし、だいぶ魔力を使うけどできなくはない。けれど、流石にガルムにまで届くほど氷の道を作り出すことはできない。いちいち止まって作り直すのも面倒だし、路面凍結は使わずに地面を削りながらガルムまで滑らそう。
「さぁ!吹き飛べ!」
1749ページ右上 黒のみ 水噴
4447ページ 黒のみ 暴風
拘束を一斉解除して、同時に二つの魔法を発動させる。水噴での斜め上への推進力。魔法発動前に移動して、背中付近から放った暴風による推進力。二つの魔法で生まれた力はゆっくりとではあるが、トロールの体を押し出し始めた。
「おっしゃ加速ゥ!」
前回はニトラスの閃光のサポートでやっと動き出したが、今回は前よりも小さいのでこれだけでも動き出した。そして動いた瞬間に加速させ、秒速42メートルでガルムに向かって突き進む。
「どうだレスト!上手くいったなァ!」
「う、ぐぐ...よ、よく喋れるね...」
「そりゃ慣れてるからな!直接風を受けてるわけじゃないからまだ話しやすいぞ!」
今は魔物の背中にへばりついている状態なので、魔物の影に入っており風を遮ってくれていた。普段走っているときは、いつも風をモロに喰らっている。保護がかかっているため、空気抵抗の影響を受けなかったり、風が口の中に入ってあばばばってなことにならないようになっていたりしているが、風を喰らわないに越したことはない。いつもよりはるかに楽なはずだ。
「いや、そうじゃなくて、揺れが...」
「ああ、揺れ?頑張って耐えろ!」
揺れは知らね。これぐらいの揺れには耐えてほしい。これでも結構揺れは抑えている方なんだぞ?俺がちょっと水の触手の操作をミスったらそのまま地面に真っ逆さまなんだから、それと比べるとだいぶマシなんだが...
「というか、それよりもだ。多分このままガルムに直行なんてことにはならない。一応準備しとけ」
「この状態で、どう準備しろと...?」
あそっか、触手に捕まれた状態だったな。準備しろって言われても動けないか。
「心構えをしとけってことだ。いつでも戦闘できるようにな」
「どうして?このままガルムまで行けるでしょ。うぅ、揺れが...ほら、こいつ一切動けてないよ」
確かに、トロールは一切手足を動かせていない。この速度で無理矢理押し出されている最中に動くなんてこと、普通ならできないしな。下手すりゃ動いた瞬間に何かにぶち当たって怪我するかも、なんてことも考えるだろうし。物理保護があるから余程のことがない限りそんなこと起こらないが、物理保護がかかっていることを知らないだろうからかなり有用な抑止力になっていたりする。
「…わからないのか?こいつトロールなんだぞ?」
「それが?」
「トロールってのはな...」
トロールと言うとネット用語の方を思い浮かべる人の方が多いだろうが、その語源は北欧の伝承に登場する妖精のトロールである。その悪戯好きな性格から、トロール行為などといった用途で名前が使われるようになったが、トロールにはもう一つ大きな特徴がある。
「変身すんだよ」
そう俺が言った瞬間、俺たちはトロールの背中から弾き出されるように落ちた。手から放たれる暴風を使って戻ろうとしたが、すぐに間に合わないと察知して離脱を優先する。
「ほらな。一瞬だけ背中を肥大化させて弾き飛ばしてきやがった。俺が離れれば加速が切れるってのに本能で気づいたんだろうな」
水噴だけでは大して移動させることはできない。加速が切れたトロールはすぐに止まる。
「次同じことしても今みたいに弾かれるだけだ。だいぶ移動できたが...二度目はない。第二プランで行くぞ」
ガルムまであと半分くらいのところまでは移動できた。触手からレストを放しながら指示を出す。
「うん。スタミナ削りと再生だね」
「ヘイト集めは頼むぞ。俺は突っ込む!」
一瞬で加速してトロールの足下まで移動する。
「セイヤァッ!」
ダガーでトロールの踵をすれ違いざまに斬り裂く。流石に刃渡りが小さすぎて靭帯にまでは届かなかったが、決して小さくない傷だ。
「そしてすぐに治す!」
表面だけを治し、魔素の流出を最小限に抑える。そのために、速度操作で魔素の流出速度を減速させながら魔法図鑑に魔力を流し込んだその時だった。
「…チッ、やっぱ再生能力持ってやがるか」
伝承の中に登場するトロールは強い再生能力を持つ。変身能力をちゃんと持っていたことから、再生能力も持ってるんじゃないかと思っていたがその通りだったようだ。もし北欧の伝承そのまんまなら、腕を切っても断面を合わせるだけで繋ぎ直せることになる。生半可な攻撃ではすぐに再生されてしまう。
再生能力を超えるダメージを与える、もしくは再生能力を封じてから内側にだけ傷を与える。方法はこれくらいだろう。
「レスト!」
「うん!」
トロールが足を持ち上げて俺を踏み潰そうとしてきたので、レストに向かって叫ぶ。返事と共にすぐさま左腕の盾が起動され、ヘイトがレストに向き踏みつけ攻撃がレストの盾に向かう。そのまま逸らされ、すぐ近くの地面に足が叩きつけられる。地面が轟音と共に一気に揺れる。
「ナイスだ最高!」
714ページ左上 黒のみ 土流
トロールの足元の地面を液状化させ、足を沈める。そしてすぐに液状化を解除して固め、足が抜けないようにする。
7002ページ 黒のみ 金属生成
1972ページ右上 黒のみ 体積増加
4000ページ 黒のみ 流体金属
複数の魔法を駆使して、巨大な金属の棘をいくつも作り出す。
「ブッ刺さりなァ!」
4302ページ 黒のみ 念動
金属の棘を動かしてトロールに刺そうとする。足が埋まっていて動かせない以上、奴は変身して何とかするしかない。けれど、魔素の影響で巨大化してしまっているがために、大きくなることはできても小さくなることはできない。さらに大きくなって棘を弾き飛ばすだとか、歪な形になって避けるくらいしかできないだろう。
そうした俺の予想通り、トロールは腕を巨大化させて振り回し、棘を弾き飛ばそうとした。あの巨体ならば金属の重さにも負けずに打ち勝てるだろう。
「悪手だけどな」
トロールの巨体は金属の棘を打ち砕いた。金属はひしゃげ、中の液体が漏れ出す。
「ブッ刺されろ改め...ぶっかけじゃい!」
インジウムで出来た棘からジメチル水銀が飛び出してトロールの全身に付着する。トロールが何もしなければ物質強化で棘の強度を上げてそのまま突き刺す。避けたり打ち砕いたりしようとすれば物質強化はかけずにジメチル水銀をぶっかける。どっちでも攻撃できるように二重の策はきちんと立てていた。
「あっ、レスト危ねぇ」
急いで加速し、レストを抱えてその場を離れる。危うくレストまでジメチル水銀をかけるところだった。大量に作りすぎて安全性に欠けていた。反省。
「あれ...なに?」
「金属製の毒みたいなもんだ。こいつに効くかはわからんが、一応試してみた」
トロールの方を見ると、めっちゃジタバタしていた。なんとかしてジメチル水銀を弾こうとしているみたいだ。こっちまで水銀が飛んでくる。速度操作で遅くすれば、魔法の解除による消滅が間に合うので問題ないがちょっと面倒だ。
けれど、少しずつ飛んでくる水銀の量が少なくなってくる。全部弾き飛んだわけではない。だんだんトロールの動きが鈍くなっているのだ。
「おっ、効いてるみたいだな。んじゃあ安全のために体内に入ったやつ以外は全部消しといて...」
魔法を解除し、トロールの表面及び周りに飛び散ったジメチル水銀を丸ごと消去する。
「毒は再生の範囲外みたいだし...今のうちに傷をつけよう。レスト、魔法吸収で俺の魔力を吸い取れ」
「どういう...ああ、そういうことね」
レストが右腕の盾を起動する。
9929ページ 黒のみ 閃光・改
自身で新たに追加したページに書かれた魔法陣を起動する。ニトラスに教わった閃光の魔法陣。代名詞にまでなった閃光を一部再現したレーザーを放つ。魔力を流せば流すだけ威力が上がる効果が黒の線で既に書かれているので、レストの盾で受けられるギリギリまで威力を上げた。
「どうだ?これで足りるか?」
「うん。十分だよ」
レストの盾にはびっしり魔力結晶がついていた。
「それじゃあ俺があいつを打ち上げる。落下地点に移動して反射でズタボロにしてくれ。打ち上げる前に起動すんなよ?飛び道具判定になって俺が反射受けることになるから」
レストの盾の反射は、直接攻撃の場合はその本人に、飛び道具の場合はそれを放った者に返る。だが、対象を設定するタイミングにさえ気をつければ、魔物をレストに向けて吹き飛ばすことで、突進攻撃を仕掛けてきたと誤認させて反射を魔物に適用させることができる。今回は空中から押し潰し攻撃をしようとしてきたと盾に誤認させ、反射を発動させボロボロにするのだ。
「わかってるよ。落ち始めたら起動する」
「オーケー。じゃあ行くぞ!」
5701ページ 黒のみ 重力反転
重力反転を発動し、苦しみもがいているトロールの体を浮かせる。
「そぉいぶっ飛べ!」
自分も反転した重力に乗ってトロールに加速キックを叩き込む。どこぞのマキシマ○ドライブのような地団駄キックでどんどんトロールを押し上げ、一気に空まで弾き飛ばす。
「後は頼むぞレストォ!」
「うん、行くよ!アンティークギア起動!」
レストが両腕の盾をくっつけて盾に秘められた効果を発動する。魔力が盾に流れ込み展開される。
そこにトロールが落ちてくる。そして落下によって膨大なエネルギーを得たトロールが盾に触れた。
次の瞬間には、全身がズタズタになって軽く後ろに吹き飛んでいた。
「カリヤ!」
「おう!再生開始!」
5092ページ 黒 青 再生
トロールに再生魔法をかける。
再生の効果範囲は、本来なら全身。時間がとてつもないほどかかる代わりに、どんな傷だろうと治してしまう魔法だ。通常は重篤な怪我をしたり病気になった人にかけて数ヶ月単位で治すためのものだが、俺なら速度操作で超速度で再生できる。そんな再生をカスタムで体表面にだけかけ、超再生ですぐさま傷を塞ぐ。
「よーし治った。これで内側だけズタボロだ」
トロールの再生能力も働いてないみたいだ。ジメチル水銀のせいなのか、それとも一気に傷付けたために使えなくなっただけなのかはわからないが、好都合だ。
「動かなくなったし、ガルムまで運ぶぞ。最初にやったみたいにやるぞ。掴まっとけ」
4571ページ 黒のみ 触手・水
水の触手を出し、レストを掴む。
「揺れるから今のうちに覚悟決めとけよー」
そう言いながら俺は倒れているトロールに飛び乗ろうとする。
「…えっ?」
しかし、なぜか俺たちの体はトロールをすり抜けてしまった。
「は?...は?」
何が起こっている?訳がわからない。なぜトロールに触れられない?触手でも触れられない。見えているのに触れられない。トロールにそんな能力あったか?
「何かやばい...一旦離脱!」
何が起こっているのかわからなかったが、異変が起こっているのは確実。急いでトロールから離れた。
「これは...なに?」
「…空間の歪み⁉︎転移してくる...いや、こいつが転移するのか!」
空間の歪みが少しずつひどくなっていく。それと同時にトロールの体が少しずつ薄くなっていき、歪みがトロールの体を包んでいく。
そして次の瞬きの瞬間には、トロールの姿はどこにもいなくなっていた。
「……やられた。回収されちったな」
情報は渡さない、という魔族側の意思表示だろう。
「依頼失敗か...しゃあない、帰ろう」
俺たちはガルムに戻っていった。
「ギリギリでしたが、なんとか回収できましたね」
「そうだねキネット」
赤い髪の女二人が話している。
「まさか種を狙われるなんてね...せっかく作ったのに、なんて奴らだ人間」
「戦争の火種はもっと町から遠い、目立たない場所で作るべきですね...まさか捕獲依頼が出されているだなんて思ってもいませんでした」
「というかガルムって変な町だね。検証のためとはいえ巨大化した魔物を呼んで攻撃させようとしたんでしょ?頭おかしいんじゃない?」
「そういうことをしてきたからこそのあの防御力なのでしょう」
「ってかさ、もう面倒だから今のうちにガルム潰しておかない?そうしたら本格的な魔王軍進行の時楽になるよ?」
「ガルムに経験をこれ以上積ませるわけにはいきません。忘れたのですか?姉さん。ガルムに戦争は仕掛けない。既に決めていたことでしょう?やっても時間を稼がれてカイスとガネルから来た援軍にボコボコにされるだけ。戦力の無駄です。だからこそ私たちは次のガネルに狙いを絞って準備を進めているのですから」
「そうだけどさー...」
「次は時期の都合上フロートは参加できないようですが、あの人が参加してくれるみたいです。あの人なら神の使いとも互角以上に渡り合えるでしょう」
「戦いを楽しんじゃった結果、決着つけるのが惜しくなって途中で戦闘を止める絵が思い浮かぶ...」
「…流石にないと思いますが...ダメですね、失礼ですが私も横槍を入れるなとか言われて転移させた魔物を倒されそうな予感がします」
「あはは、ありそう」
「まぁそこは彼女を信じるとしましょう。転移しますよ」
「おねがーい」
二人の女がその場から消えた。
キネットとサーマルの会話パートがありましたが、この二人の会話パートは魔王サイドの状況説明に使いやすすぎるんですよね。
ほぼ重要なことしか喋ってないし。
次回依頼じゃない話を一個やってガルム編最後になるんじゃないかと思ってます。
あと余談なんですが、去年の夏に見る専で作ったはいいもののほとんど使っていなかったアカウントを流用しまして、Xのアカウントを開設しました。
https://twitter.com/diamond_lily799
つい昨日作ったばっかなんでほとんど何も呟いてない+初SNSで使い勝手まだよくわかってないという...
投稿報告や、今までしてこなかった次回予告をしたりするので、暇があれば確認してもらえると嬉しいです。