前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8162字。

今回は依頼ではありません。
戦闘描写も少なく会話多めなんで平和回かも...?


俺が僕で、僕が俺で

「今日は依頼じゃないんだね?」

 

「ああ、ちょっと思い出したことがあるんだ」

 

会話をしながらガルムの南に向かって走る。レストも加速ダッシュにだいぶ慣れたみたいで、通常時と同じように会話できるようになっていた。加速できる最大値も上がったし、二人ともこの二ヶ月ちょいで大きく成長した。

 

「思い出したことって?」

 

「お前の盾を盗んだ輩に尋問した小屋があったろ?あそこ、地下空間があったような気がするんだよね」

 

尋問に集中していたからほとんど覚えてなかったけど、速度探知でわかるギリギリのところに空間があるのを捉えていた。頭の処理速度加速のせいで一度は流してしまっていたが、微かな記憶として残っていた。

 

「あんなところに小屋があるなんておかしいだろ?聖域でない場所にシレンの穴攻略のための拠点を作るわけない」

 

「それは確かに変だね」

 

「それに、整備されていなくてボロボロで、今にも崩れそうだった。そうだと思った。でも、それだとおかしいんだ」

 

「おかしいって何が?」

 

「盾を結んでいたロープの端は、小屋の柱に結びつけられていた。盾を拾い上げたとき、俺めっちゃロープ引っ張っただろ?でも、びくともしなかった。あの見た目の小屋が耐えられるわけない。ボロく見えてたけど、実際には違うんだ」

 

小屋のある窪みにたどり着いた。

 

「こいつは多分、ダンジョンの入り口なんだ。だから見た目以上に頑丈だった。ただの小屋のように偽装されてるから、誰も気づいてないと思う。ルードに雇われてたあいつらもな」

 

小屋の中に入り、中央に移動する。

 

「あーやっぱり。下に空間あるわ」

 

能力適用範囲も少しだけ広くなった。たった0.2メートルの拡張だが、円形に範囲が広がってることを考えると、以前よりもまぁまぁ広い範囲を探知できるようになったと思う。実際、前は片隅にしか入らなかった地下空間も、今は普通に探知することができた。

 

「ただ、入る方法がわからないな...屋敷のときとは違ってレストの盾で無理矢理突破なんてこともできないし...」

 

入り口はここなはず。何かしらスイッチ的なのを起動すれば入れるようになると思うのだが、それがわからない。

 

「魔法陣を探すか。小さい小屋だし、探せば見つかるだろ」

 

少し歩き回るだけで小屋の全てを探知できるだろう。1分もかからない。壁の中や地面の中にも意識を集中させ、隅々まで探せば...

 

「開いた」

 

「え」

 

な、なんか床が開いて螺旋階段が出来てる...⁉︎

 

「ちょ、どうやったレスト⁉︎」

 

「なんか普通に触ったら開いたよ?」

 

「えぇ...」

 

た、盾が反応したのかな?それとも何か条件があったのか...

 

「わ、わかんねぇけどまぁいっか。入ってみよう」

 

「そうだね」

 

二人で螺旋階段を降りていく。

 

「螺旋階段...シレンの穴と関係あるのかな?」

 

「そうなんじゃないか?別館みたいな感じなんだろう。近くにあるし、何かしらの関係はあるだろうな」

 

「こっちも百層あるとかは無いよね...?」

 

「流石にそれは...でも無いとは言い切れないな。一応覚悟しておこう...お、終点だ」

 

螺旋階段の一番下までたどり着いた。そこから横の通路を歩く。

 

「…こっちシレンの穴の方だな。もうぶち当たっててもおかしくないけど、そうなってないっつーことはここも空間が歪んでる感じか」

 

「よく方角わかるね」

 

「探知で手すりについてる細かい傷がわかるから、それを使って北の方角をずっと覚えてたんだよ。この先がどこに繋がってるのか気になってな。意味なかったけど」

 

「そんなことまでできるんだ...ん、何だろこの扉」

 

話しているうちに通路の終着点までやってくる。そこには二つの扉があった。

 

「何か書いてあるな...それぞれの扉に一人ずつ入れ、か」

 

「じゃあ僕はこっち」

 

レストが左の扉を選び、ドアノブを捻ろうとする。

 

「あれ、動かない」

 

「あー...多分二つ同時に回さないとダメなんだろ。一つの扉に二人入るのを防ぐためにな」

 

そう言いながら俺は右の扉のドアノブに触れた。

 

その瞬間だった。急に扉が奥に開き、中に吸い込まれた。体勢を崩してしまい、地面を転がるように叩きつけられる。

 

「うぐっ、いっつ...まさか吸い込まれるとは思わなかった...」

 

しかも扉閉まったし。閉じ込められた?

 

「戻れないみたいだね...」

 

レストの声が聞こえた。左を見ると、ガラス張りになっていてレストの姿が見えた。

 

「なんだこれ新手のトラップだった?ダンジョンだと思わせておいて永遠に出られない系のトラップだったの?」

 

「カリヤ落ち着いて...」

 

「落ち着けって言われても...ってほんと何なんだろこの部屋。あっちにも扉あるし、出ればいいのかな」

 

一方通行で、ダンジョンを攻略しないと出れない系?

 

「ってことはこれ分断される感じか。いい実践になりそうだ。主にレストの」

 

「急に落ち着くね...これも二人同時じゃないと開かないみたい。カリヤ早く」

 

「オッケー待ってろ」

 

入ってきた方とは逆の扉のドアノブに触れた。

 

そしてさっきみたいに吸い込まれるように部屋の外に弾き出された。

 

「おっとっと...」

 

今度は体勢を崩すことなく持ち直すことができた。

 

ってなんだこの違和感は。視点が高い?さっき出した声も何か変だ。これはまさか...

 

「入れ替わってる!」

 

バッと右を見る。もし本当にレストと入れ替わっているとすれば、俺の体は右にいるはずだ。

 

「おお...本当だ」

 

レストが、俺の体でぼんやりとした声を出しながら目の前の現状に軽く驚いていた。

 

…あれ?俺とレストが入れ替わってるなら翻訳機能内蔵してる石はレストが持ってるはずだけど、普通に声が聞こえるな...俺以外にもその石使えるのか。知らなかった。

 

今のレストはどんな世界の人とでも話せるようになっているだろう。そして俺はこの世界だとレストとしか会話できなくなった。回収...はしなくていいかな。どうせ元の体に戻るだろうし、また返してもらわないといけないのは面倒だ。

 

「ってかまさか入れ替わるだなんてな...部屋に戻れば元に戻るんかな」

 

「ねぇカリヤ」

 

自分の声で自分の名前呼ばれるの変な感じするな...

 

「なんだ?」

 

「盾落ちてるよ?」

 

「えっ?...うわほんとだ」

 

下を見ると、腕についていたはずの盾が落ちていた。

 

「いつのまに...えっ、触れない」

 

盾を拾い上げようとしたら触れなかった。表面に貼られている透明の壁のようなものに弾かれてしまう。

 

「レストの体なのに触れられないのか」

 

「よいしょっと」

 

「んで、俺の体でもレストは触れると...」

 

俺の体をしたレストはさも普通だと言わんばかりに盾を拾い上げた。

 

「これ、僕が速度操作使えるのかな」

 

「…いや、速度操作は俺が使えるっぽいわ」

 

「雷装は?」

 

「どうだろ...雷装」

 

スキル名を宣言するも、雷装は発動しなかった。

 

「使えねぇわ。盾の方しかダメらしい」

 

「『雷装』...できた!」

 

スキルは使えるのか...

 

「魂を入れ替えた...ってところか?」

 

俺の能力は魂に刻み込まれているものだ。魂が別の体に移っても、能力は魂についてくる。そしてレストの持つ盾も魂を参照しているのだろう。だから俺がレストの体に移った瞬間に、盾が俺の腕から外れた。

 

さらにもう一つ分かったことがある。それは、スキル、魔力、スタミナが肉体に付随していること。雷装をレストが使えたことからもそれは確かだ。他にもいくつか俺が使える魔法をスキルとして発動しようとしてみたが、何一つ発動しなかった。レストが使ったことないものは、俺が中に入っていても使えないらしい。

 

「……あっ、そういうことか。そのためのダンジョンなんだな」

 

このダンジョンの目的がわかった。

 

「このダンジョンは、仲間の戦い方を体験し理解を深めるためのものだ。盾と速度操作は入れ替えられなかったから、その効果は薄いけどな」

 

「そうだね。それならわざわざここを探索する必要はないかも」

 

「いや、それは違う。もっといい活用法がある」

 

「なに?その活用法って」

 

「スキルを覚えさせるんだよ。俺はレストの使ったことのない魔法を使い、スキルとして体に覚えさせる。レストは盾の技術を俺の体に覚えさせる。そうすれば、お互い足りなかったところを効率よく補える」

 

スキルは肉体に付随している。魂が入れ替わっている今なら、お互いの身体にスキルを覚えさせることができる。使うかどうかはわからないけれど、スキルがあるのとないのでは大きく違う。レストの魔法のレパートリーが増えるなら、やる価値も十分あるだろう。

 

「レスト、その盾とポーチだけ渡してくれ。それ以外は自由に使っていい」

 

「うん、わかった」

 

レストから、俺が普段着けている盾とポーチを受け取る。スキルを覚えるには一度魔法を発動させる必要があるが、詠唱や図形を思い浮かべるのは面倒だ。魔力を流せば即起動できる魔法図鑑を有効活用しよう。

 

「じゃあ奥、行ってみようか」

 

俺たちはダンジョンの奥へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「戦いづらい...!」」

 

俺とレスト、二人の声がハモる。

 

今、魔法を撃ってくる虫の大群に襲われているのだが、うまく戦うことが一切できていなかった。

 

主な理由は二つ。

 

一つ目は肉体的な問題。背丈の差による視点の違いや、筋肉量、手足のリーチの差などによって普段と動き方が変わってしまって動きづらかった。

 

二つ目はスキル。なんと、俺もレストもほとんどスキルを使えなかった。言語が違うせいだった。

 

魂は記憶を有している。だからこうして入れ替わっていても入れ替わり前の記憶が残っているのだが、脳を覗き込むようなイメージをすることでその体の記憶を読むことができるみたいで、それでお互いの使えるスキルを見てスキルを使うつもりだった。

 

だがしかし、俺がレストの記憶を読もうとしたら異世界語のままだったので解読不可能だった。それはレストも同じで、俺の脳に残る記憶は日本語なため読めなかったみたいだ。記憶や思考は翻訳の石の効果範囲外なのだ。

 

結果、俺が口頭で発動したことのある雷装や水刃などの一部のスキルしかレストは使うことができず、俺はレストが使えることを知っている盾に属性を付与するスキルくらいしか使えなかった。

 

この状態では、互いにできることを確かめて理解を深めるという、このダンジョン本来の目的を達成することができそうにない。戦いにも支障が出ている。

 

「このままじゃやられる...ダガーもらうぞレスト!」

 

すれ違いざまにダガーをひったくる。とりあえずまずはこの窮地を脱する。スキルを使えない問題はその後に解決しよう。

 

「一旦こいつら全員ぶっ倒す!」

 

4571ページ 黒のみ 触手・水

 

水の触手を使って地面を叩き、宙を飛んで虫たちを直接切り裂いていく。手が届かない範囲にいる虫は触手で地面に叩きつけていく。

 

こうしている最中にも魔法が飛んでくるが、この虫たちが使ってくる魔法は炎系が多いので水の触手でほとんど消すことができた。というか地下のダンジョンという閉鎖空間の中で炎使われんの怖すぎる。ダンジョンだから大丈夫なのかと一瞬期待したが、着実に酸素は減っていっていた。実質的なタイムリミットだ。魔法でいくらでも増やせるから問題ないのだが、ちょっと焦る。

 

「カリヤ!反射で一掃したい!魔力頂戴!」

 

「了解!」

 

9929ページ 黒のみ 閃光・改

 

ある程度既に魔力が貯まっているはずなので、魔力量を調節しながら閃光を放つ。俺の体にある魔力ならこんなことしなくても、盾の魔力結晶と合わせれば十分必要量ありそうだが...まぁいつもの癖なんだろうな。自分自身の魔力だけでは発動できないから魔力を貯めないといけない、という思考が残っているんだろう。

 

「こっち来て!狙いをつける!」

 

レストが叫んだ直後には、俺は秒速47メートルでレストの背後に滑り込んでいた。

 

「いいぞレストやってやれ!」

 

「うん!」

 

レストの盾が完全解放される。巨大な盾が展開され、対象が設定される。

 

虫たちは盾を突破しようとして、大量の炎を吐いてきていた。炎はどんどん盾に命中していき、その威力がチャージされていく。対象を設定した瞬間に存在していた炎全てを吸収するまでは、反射は起こらない。

 

そして数秒経つと、対象になっていた最後の炎が命中したのだろう。反射が作用して、無数に飛んでいた虫たちが一つ残らず一瞬にして消し炭になった。残る炎を受け止めながら盾は収縮していき、レストはくっつけていた盾を引き離す。

 

「やっぱそれ強いな。ちっこくて狙いづらい奴らも勝手に死んでくのは楽でいい」

 

「魔力を結構使うのがネックだけどね...」

 

「俺の体なら普通に発動できると思うけど」

 

ハッとした顔でこっちを見てくるレスト。自分の顔に見つめられるってやっぱ変な感じだ。

 

「ずっとこの体でいいかも...」

 

「やめてくれ。また魔力量増やさないといけないのは面倒だ..」

 

魔法ももう一度全部使ってスキルにしないといけないし、剣や弓、鞭とかのスキルも取り直しだ。なにより、雷装を使えないのが一番嫌だ。剣や矢の雷装は発動中の物を手に取ればまた使えるようになるけれど、体に纏う雷装はそうはいかない。あれを使えるようになるには、複数回雷を浴びる必要がありそう、ということしかわかっていない。もう一度手に入る保証もないのだ。

 

「雷装を使えないのも困る」

 

「そっか...ちょっと小さいけど、結構使いやすくていい体なのに...」

 

「おい今ちっちゃいつったなお前一応俺平均値なんだからな高二の!」

 

「こう...に?」

 

伝わらないのはわかってたけどちっちゃい言うのは許せんお前がデケェだけなんじゃい!

 

「はぁ...とりあえずアレやっておくか。ちょっとレスト動かないでくれ」

 

「叩いたりしない?」

 

「しねぇよ」

 

レストに近づき、服の裾を捲って右肩あたりに巻かれている包帯に触れる。

 

「入れ替わった時から気になってたんだけど、これなんなの?」

 

「ちょっとな...」

 

包帯をほんの少しだけずらし、中に入っている小石に触れる。

 

神様神様、レストのために俺の脳の中にあるスキルの知識だけ翻訳してやってくれません?

 

『了解じゃ』

 

よし、神様とちゃんと話せるようになったな。翻訳の石は常に持っている必要がある。皮膚に直接触れていなくても、鞄の中とかに入れておくだけで『持っている』判定になって翻訳機能が働いてくれるが、落としたり奪われたりという危険がある以上安易にその選択肢は取れない。

 

そして色々考えた結果、動きの邪魔にならない位置にはっつけておこうというふうに落ち着き、こうして右肩に貼り付けることになった。足首や手首などにブレスレットやアンクレットみたいな形でつけるのも考えたが、腕や足がもってかれる可能性も考えて無しになった。肩ごと持ってかれるのはレアだからこれで紛失することはない...と思っていたが、まさかこんな形で使えなくなるとは思わなった。

 

あっ、神様ーついでにレストの脳のスキルの知識も翻訳してくれない?

 

『できるが...石から手を離せば翻訳できなくなるぞい?』

 

覚えるから問題ない。

 

『わかった』

 

「よしレスト。もっかい俺の脳内を覗いてみてくれないか?多分スキルだけ見れるようになってるはずだ」

 

「えっ、わかった...」

 

レストが目を閉じて集中しだした。俺もレストのスキルを見ておかないと...

 

「ホントだ読めるようになってる...さっきまでのあの変な奴はなんだったの?」

 

「あー...暗号みたいなもんだ。魔族に記憶を盗み見られて情報を盗まれるのを防ぐためにな」

 

日本語のことは一旦こう説明しておこう。詳しいことは後で...いつか話そう。

 

「そんなことまで考えてるんだ。すごいね」

 

なんか素直に褒められると罪悪感出てくる。偶然だからなぁ...

 

「で、ここには何が入ってるの?」

 

包帯を指差すレスト。

 

「内緒だ」

 

そう言いながら包帯を直して離れる。レストが使えるスキルはあらかた覚えたのでもう離れても問題ない。

 

「というかカリヤ、ものすごい量のスキル覚えてるね」

 

「そりゃ何千と魔法を使ってきてるからな。ちゃんと使ったことないのも多いけど」

 

「魔力もこれだけ増えるわけだよ...」

 

「レストもこれくらいは増やした方がいいんじゃないか?せめて自力で盾の完全解放ができるくらいはさ」

 

「そんなすぐには無理だよ。速度操作使って魔力回復速度を上げてくれるならできると思うけど」

 

「俺いなくてもできるだろ。俺だって、カイスにいた三ヶ月間毎日暇があれば魔力を使い切って回復させるだけでここまで来たんだぞ?ガルムに来てからもやってるけど、夜しかやってないからあんまり増えてない。増やしてたのはほとんどカイス時代だけだ」

 

「速度操作で加速させてたんじゃないの?」

 

「何言ってんのさ。魔力使い切ったんだから使えるわけ...あっ」

 

「えっ、どうしたの?」

 

「これ、俺の魔力を増やすいいチャンスじゃ...?」

 

魔力量を増やすには、魔力を一度使い切ってから満タンまで回復し直す必要がある。しかし、魔力を使い切ってしまえば魔法は使えなくなる。速度操作での魔力回復速度加速もできなくなってしまう。聖域での自然回復が最速であり、それでも数時間はかかってしまう。

 

だが、今は違う。能力は魂に、魔力は体に宿っている。魔力量を増やしたい俺の体と速度操作を持つ魂が別になっているのだ。今の状態なら、俺の体に入っているレストに魔力を使い切ってもらい、レストの体に入っている俺が回復速度を早めることで俺の体の魔力量を増やすことができる。本来ならできないことができる。これができるのとできないのでは大きな差がある。

 

ここは聖域ではないため魔力回復速度は少し遅いが、ゼロではない。加速させれば、聖域で自然回復させるよりも早く満タンになるだろう。

 

「よしレスト。排出光ってスキルあるから使ってくれないか?」

 

「なんだろ...『排出光』」

 

レストがスキルを使う。次の瞬間には魔力の全てが光に変換されて放出される。

 

「まっっっ...!まっぶし!」

 

光で目が...使ってる本人は全く眩しく感じないから、ここまで明るいのは知らなかった。

 

「ねぇカリヤ。魔力無くなっちゃったんだけど」

 

「そういうスキルだからな」

 

「ちょっと状況よくわからないんだけど...なんで僕魔力使い切らされたの?」

 

「なんでってそりゃ俺の魔力量を増やすためさ」

 

「…今やる必要ある?」

 

「あるある。魂が入れ替わってる今しかできないんだ」

 

「今また魔物に襲われたらどうするのさ...」

 

「そしたら俺が全部倒すまでよ。加速できるから魔力切れの心配もないしな」

 

レストの魔力は俺と比べると少ないが、一般人よりかは普通に多い。数回戦闘しても、魔力は持つだろう...一応後でレストの魔力も速度操作を使って増やそうかな。

 

「今日から、俺がガルムを出る二週間後くらいまでの間、特に良さそうな依頼がなければここに来て魔力増やそうと思うんだがいいか?多分依頼受けて戦闘経験を積むよりも、魔力を増やした方が何倍もいいと思うんだ」

 

「カリヤがそう言うなら別にいいけど...僕あんまり動かなくて良さそうだし」

 

「昼飯もここで食べるか。一日篭れるならその方がいいし...今日は食材持ってきてないから出来ないけど」

 

「おぉ、カリヤの作るご飯食べてみたい」

 

「飲食店の息子の舌を満足させられるかはわかんねぇからな。あんまり期待しないでくれよ」

 

「ここで食べるなら体はカリヤのだし多分大丈夫だと思う」

 

「あそっか。そういえばそうだな」

 

入れ替わってるから味覚もその体のものになってるのか。今の一瞬でよくそこまで頭回ったなレスト。意外と頭の回転早いんだよな。

 

「…ご飯の話してたらお腹減ってきたな」

 

「そう?僕はそんなに...あっ、多分僕の体であんな速く動いたからじゃない?」

 

「確かに。普段よりもエネルギー使ったはずだしな。魔力回復終わったら一旦ガルムに戻ってご飯にするか」

 

「さんせーい」

 

「んじゃ回復するまで適当に駄弁ってるか。早いとはいえ数十分はかかると思うし...そうだ。さっきの料理の話でちょっと思ったんだけどさ、レストって料理できるの?」

 

「手伝いくらいはできるよ。簡単な料理もできるけど...今度作ってあげようか?」

 

「いいねいいね。明日は俺が作るから明後日はレストが作ってよ。道具は俺が作るからさ」

 

そんな感じで適当に話しながら魔力回復を待つ俺たちだった。




次回でガネルに行きます。
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