前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8325字。

ガネルに向かいます。


ガネル、高速で今到着

「よーし準備完了!」

 

宿の部屋にて荷物の準備完了。忘れ物もなし。

 

「レストへの挨拶も済ませたし...」

 

昨日、明日になったらガルムを出てガネルに行くと伝えたら、じゃあ僕も旅に出ようかなとレストが言った。まずはカイスに行くらしい。魔法を学びながら、いろんな人とパーティーを組んで守る練習をするようだ。どれだけ強くなるのか...次に会う時が楽しみだ。

 

「あっ、ギルド行って登録解除しておかないと」

 

危ない危ない、忘れるところだった。

 

「ギルド行っても...時間は十分間に合うな。行くか」

 

今日乗る予定の馬車は朝一番のではない。大体一時くらいに出発するやつなので、時間的余裕は十分にあるのだ。

 

というわけで俺はギルドに向かう。近い位置にあるので、1分歩けばすぐついた。他の町もこれくらい近ければいいのに。

 

何回来たのかもわからないギルドの扉を開けて中に入る。

 

「登録解除お願いしまーす」

 

「かしこまりました」

 

登録した時と同じ男の人が受付をしてくれた。

 

「今日でガルム滞在も終わりですか...長い間ガルムに居てくださりありがとうございます」

 

「…それはどういう?」

 

なぜに感謝されたの俺?

 

「あなたがガルムに滞在している間、冒険者の方々が多くこの町に来られまして。この町にも活気が戻ってきたとでも言いましょうか」

 

ああ、確かに冒険者っぽい人増えてた気がする。ギルドにいる人も増えてるな。俺のおかげなのこれ?

 

「報酬の良さや冒険者サポートの件も広まりまして、あなたがこの町を離れても来てくれるでしょう。本当にありがとうございました」

 

「いえいえ。俺が来なくても時期に人は集まってたと思いますよ。レストが魔王討伐に貢献すればいずれ...」

 

「レストが選ばれたのもあなたが選んだからですよ。ルードの逮捕もあなたの功績でしょう?」

 

そういえばそうだったな...俺が来てなかったら、英雄選抜試験の試験官をやってなかったら、ルードが英雄になってた可能性もあったんだな。どちらが良かったのかはまだわからないが...あの選択を後悔しないように、俺もレストも努力するとしよう。

 

「欲を言えばもうしばらくはガルムに残ってもらいたいんですが...ガネルに行かなければならないんですよね」

 

「ええ。今日の昼からガネルで英雄を決める最後の大会が始まるみたいなんで、初戦から見ておこうと思いまして」

 

ガネルの英雄は、一年前から行われるいくつもの大会で得たポイントを一番多く持っている者が選ばれるらしい。オリンピック卓球代表を選ぶときにやるポイント制みたいな感じだ。より多くの大会でより良い記録を残せる、一年を通して常勝できる最強を排出するための方式のようだ。

 

そして英雄を決めるための最後の大会が、今日始まる。数日間に分けて行われ、一週間近くかかるらしい。だが、俺は初戦から全部見るつもりだ。いろんな人の闘い方を見ることで技術を盗めるかもしれないし、英雄最有力の人の動きをあらかじめ確認しておけば、パーティーを組んだときに指示を出したり連携をとりやすくなるはずだ。だから今日に合わせて予定を決め、馬車の予約も取った。朝イチの馬車じゃなかったのも、開始が昼からなので少し遅めでも問題なかったからだ。

 

「大会ならもう始まってますよ?」

 

………は?

 

「…すみません。なんて言いました?」

 

き、聞き間違え...

 

「大会はもう始まってますよ」

 

じゃねぇ!

 

「えっ、本当ですか?大会もう始まってる⁉︎今日からのはずじゃ!」

 

「早まったらしいです。6日前にはもう始まってたみたいで、あと数十分もすれば今日の試合が始まりますよ。確か...準々決勝だったはずです」

 

「なんで早まったんだ...!」

 

怒りをぶつけても仕方ないのに、抑えきれず受付の人にぶつけてしまった。立てていた予定が台無しになったのが想像以上に効いているらしい。

 

「カイスで大規模な魔物の進行があったことは知って...おっとそうでした、あなたも参加していたんでしたね」

 

それでもこの人は冷静に話してくれた。そのおかげで少しだけだが自分も落ち着けた。

 

「…そうですが...それがなにか?」

 

「アレの影響で、英雄を選ぶ日が少し早まったみたいなんです。少しでも早く英雄を決め、特訓のリソースを一人に集中できるようにとのことで。大会の日程をずらすのは難しく、大きく変えることはできなかったみたいで6日だけ前倒しになったらしいですね」

 

「マジかよ...!」

 

そんなところにまであの戦争が影響を及ぼしてるだなんて思ってなかった。もう少しちゃんと情報を集めるべきだった。

 

「あなたが予約した馬車なら、決勝は観れると思いますが...少しでも多くの試合を見たいのならばお早めに動かれた方がよろしいかと」

 

「…わかりました。色々とありがとうございました!今すぐ行ってきます!」

 

深々と礼をして感謝を伝えてからギルドの扉のほうに走る。

 

「あっ、馬車の予約のキャンセルお願いしていいですか!」

 

振り返って受付の人に向かって叫ぶ。

 

「わかりました。こちらの方で処理しておきます」

 

「ありがとうございます!」

 

それだけ伝えてギルドの外に飛び出す。馬車を待っている暇はない。速度操作で限界まで加速させ、自分の足で全速力で走る。それだけが、大会の試合に間に合う唯一の方法だ。

 

「加速...最大!」

 

まずはガルムの外、南の門まで全速力で駆ける。

 

自分が試合に出るわけじゃないんだから、こんなに焦らなくてもいいだろと思れるかもしれない。けれど、俺は走る。もう準々決勝だったとしても、7試合は観れる。得られる情報も多い。そのために走っている。

 

10秒ほどで門に辿り着き、ガルムの外に出る。そしてすぐさま西の方角に方向転換、ガネルに向かって走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間に合ってくれよ...」

 

ガネルまでの距離はおおよそ25キロ。カイスからガルムまでの距離よりも10キロほど大きくなっている。広い聖域のある場所にしか町は造れないから、等間隔ではないのだろう。秒速53メートルの今なら7、8分走れば着くだろう。馬車で行くよりも何倍も早い。

 

そして今、ちょうど4分ほど走り、ガルムとガネルの間くらいにまでやってきた。スタミナはまだ十分ある。このままなら普通に間に合うはず...

 

だが、そのときだった。視界の端にそれは映った。

 

確かにこの目で捉えたその光景は、一人の人間が魔物に襲われているというものだった。

 

「っ!」

 

『雷装』

 

小さい魔物だが、襲われているなら放ってはいられない。雷装を切り、秒速79メートルで魔物に向かって跳ぶ。

 

「オラァッ!」

 

そのまま速度を維持したまま魔物に飛び蹴りを叩き込む。速度操作の副次的効果である物理保護がかかっていない魔物は、当然その速度に耐え切ることなど出来ず木っ端微塵になりながら弾け飛んでいった。

 

「よっと...」

 

そして俺は蹴りと同時に加速を解除、その場に止まった。

 

「怪我はしてませんか?あれば治しますよ」

 

そう言いながら襲われていた人の方に振り返る。

 

その人は武器のようなものは何も持っていなかった。流石に武器を持たずに町の外を一人でうろつくことなんてあり得ないので魔法使いなのかと思ったが、指抜きグローブをつけているからおそらく武闘家だろうか。体つきは女らしいが、見てわかるくらいには筋肉もついていた。速度探知のせいで体の中までわかってしまうから言えることだけど、なぜか俺の筋肉のつき方と似ていた。

 

そして一番目を引いたのは、腰くらいまで伸びていた髪の毛。その色だった。これぞ青、とでも言えるくらいに綺麗な青色で...

 

ん?青い髪で武闘家?ちょっと待てそれって...

 

「お前...アクセル⁉︎」

 

目の前にいたのはアクセルだった。青髪の武闘家と言ったらこいつしかいない。

 

「誰かと思えばカリヤじゃないか。久しいね」

 

「久しいねじゃねぇよ。お前なんで魔物に襲われてんだ?お前なら普通に倒せんだろ」

 

「ちょっと油断していてね。あそこまで近づかれるまで魔物が来ていることに気が付かなかった。君が来なくてもなんとかなったとは思うけどな」

 

「…じゃあ助けなくてもよかったか」

 

「いやいや、普通に助かったよ。ありがとうな」

 

「そうか。んじゃ俺ちょっと急いでるから」

 

懐かしい奴と再会したが、今はそれを喜んでいる暇はない。試合が始まる時間は刻一刻と近づいてきている。助けたことをタイムロスだと言う気はないが、話をするのは違う。急いでガネルに向かう必要があるのだ。さっさと話を切り上げてガネルに向かって走り始める。

 

「ちょっと待ってくれよ」

 

「サラッと追いついてくんじゃねぇ!」

 

こいつ普通に俺よりも速いんだった。音速まで加速できるのに、わざわざ俺に並走してくるくらいだから相当加減して走っているはずだ。アクセルを見ると少しへこむんだよな...ここに追いつけるのはいつになるのやら。

 

「今こそあの日の約束を果たすとき...だろ?」

 

「あの日の約束...?」

 

もしかして、次会ったときに手合わせしようって言ってたアレか?

 

「おい俺さっき急いでるつったよな?そんな余裕はない後でにしてくれ」

 

走りながらなので会話はしてやる余裕があるが、戦えるほどの時間の余裕はない。

 

「後で...か。いいだろう。私もやらないといけないことがあるしな」

 

「予定あるのになんで今やろうって言ったんだよ」

 

「それに、まだ私を追い越せていないようだしな」

 

「クソ覚えてやがったなコイツ!忘れてりゃよかったのに!」

 

次会う時はお前を追い越してみせるよって言ったことをちゃんと覚えられていて、軽く煽られた。チクショウ絶対追い越す...!

 

「そういえば君はなぜそんなに急いでいるんだい?ガネルになんの用があるのか、少し気になるな」

 

「ガネルの英雄を決める最後の大会を見たいんだ。想定とは違って今日から見ることになってしまったがな...」

 

「ああ、それを見るために来たのか。納得だ」

 

「そう言うアクセルはなんであんなところにいたんだ?特訓かなにかか?」

 

「特訓というよりは、最終調整のためだね」

 

「最終調整?なんのだ?」

 

「さっき話に出た大会のだ。私もその大会に出ているのさ」

 

「…マジで?それなのに俺と戦おうとしてたのかよお前」

 

一瞬で終わるから戦っても時間間に合うだろう...ってこと?いやまぁ違うとは思うけど、ちょっと酷くね?

 

「君と戦えるなら大会不戦敗になってもいいかなと思ってな」

 

「そこまでかよすごいなお前」

 

覚悟キマリすぎだろ。そんなに期待されても瞬殺されるだけだぞ。雷装で触れてきた瞬間に電流を流してカウンターをする、とかすればある程度対抗できるだろうけど、音速にはどうやっても負ける。バフを大量に積みまくってもなんとか捌けるようになるくらいだろうな。アクセルにデバフをかけるなり、かかってるバフを解除するなりしない限り勝てはしない。そして、音速相手じゃそれをする時間も与えてくれないだろう。なんでそんなに俺と戦いたいのかよくわからなくなってくる。

 

「まぁ戦うのは後の機会にってことでな。アクセル、大会頑張れよ」

 

「ああ、言われなくとも勝ってやるさ」

 

そうだったな、こいつ相当な自信家だったわ。

 

「お前と一緒に戦えると嬉しいな。俺とお前で縦横無尽に戦場を駆け回って敵を薙ぎ倒す...いい光景が頭に浮かんでくるぜ」

 

きっとアクセルは大会で優勝してくれるだろう。速度がいかに大事かというのを、速度操作を使える俺は嫌というほどわかっている。中には超速度に対応してくる奴もいるが、それもせいぜい秒速60メートルちょいくらいだろう。レストやルードがそれくらいだった覚えだ。守ることに特化している二人でもそこが限界なのだから、それを捌き切って攻撃もするというのは普通できないだろう。60メートルでそれなのだから音速ならば尚更だ。反撃できるやつなんて誰もいないに違いない。

 

「ふっ、たしかにいいな。君と戦うのもいいが、君と共に戦うのも面白そうだ。優勝して英雄になったらよろしく頼む」

 

「『もし』って言葉つけないのはもうさすがだよ...」

 

もし優勝したらよろしく頼む、ではないのだから、優勝するのはもう確定なのだろう。取らぬ狸の皮算用にならなきゃいいけど...

 

「油断して足掬われんなよ?さっきみたく不意打ちされても知らんからな?」

 

「超速度の前に不意打ちなど効くものか。君もそうだろう?」

 

「いや、俺は速度探知があるし...」

 

「そういえばそんなものあったな。私のはただ速くなるだけだから、その力が少し羨ましくなるよ」

 

「油断しなけりゃいい話だろ。それにこの能力、加速の最大値が上がるのに相当時間かかるから、そんなにいいものでもないぞ」

 

「そうなのか...」

 

少しだけだが、残念そうな声をアクセルが上げた。羨む気持ちもわかるが、アクセルが使っても誤差でしかないと思う。少なくともこの大会を乗り切るまでは。人間相手に、マッハ1にプラスアルファがついたところで、ただでさえ過剰だったのがさらに過剰になるだけだ。

 

「っとと、もうこんなところか」

 

そんなふうに走りながら会話していると、もうガネルの入り口近くだった。近くと言っても500メートルくらいはあるが、10秒あれば着くので十分近いと言える。加速した者にしか許されない距離感覚だな。

 

「ガネル到着っと...」

 

門の前で加速を解除し急停止する。一方アクセルはほんの少し前から減速をかけて止まっていた。速度操作での加速と、加速魔法での加速の違いだろう。

 

俺は動き出しの瞬間に加速を始めているため、元の本来の速度は微々たるもの。そのため、加速を解除すれば加速前の速度に戻り、すぐに止まることができる。けれどアクセルは元の走りの速度にいくつもの魔法を重ね合わせることであの速度に至っている。魔法を解除しても、止まるには元の走りの勢いを落とす必要があるのだ。

 

「そうやって一瞬で止まれるのも羨ましいのだが...そうだ、いざとなったら君が私を止めてくれないかい?君の能力は、確か減速もできるのだろう?」

 

そんな光の速度まで加速したト○プくんを不動で止めるアン○ラのあれみたいなこと言われても...

 

「一応言っておくけど、減速は加速と違って時間かかるから一瞬で止めるのはまだ無理だぞ」

 

「まだってことはいつかはできるようになるのか。楽しみだ」

 

確かに将来的には能力が成長してできるようになるから『まだ』つったけどさ、そんなに期待しないでほしい。魔王討伐の時までにできるようになるかわからないし。

 

「そういえば、君は大会の会場がどこか知っているかい?」

 

「いや、知らないな。そこまでは調べられなかった」

 

「じゃあ私が連れて行ってあげよう。ついてきな。歩きでも十分間に合う距離だ」

 

「助かる」

 

会場の位置までは情報を得ることができていなかったので、この提案はとても助かる。詳しい、正確な情報が広まるのが遅いのは、異世界に来てから不便に思うことランキングトップ10に入る。ネットって便利だったんだなぁ...とつくづく思う。ガセネタも多かったけど。

 

前を歩くアクセルについて行き、ガネルの中に入る。そして町の中心へと歩いていく。

 

「ここさ」

 

町の中央から少し右に逸れた場所、そこに闘技場があった。ここが大会の開催地らしい。

 

「私は選手用の入り口から入るからここでお別れ。是非とも楽しんでいってくれ」

 

「ああ、面白い戦いを期待してるぜ」

 

俺のその言葉を聞いてから、アクセルは超高速でこの場を去っていった。選手用の入り口の方に回っていったのだろう。

 

「…んじゃ、俺も入りますか」

 

一般用の入り口の方に行く。入場、観覧にチケットは特に必要ない。それは既に確認済みだ。そこは抜かりない...まぁ、日程は間違えてたわけだけど。

 

「パンフレットどうぞー」

 

入り口にいた係員の人からパンフを受け取る。

 

「トーナメント表と今日戦う選手たちの紹介が載ってるのか。あとで読も」

 

とりあえず戦ってるのが見えるところに移動しよう。多分この階段を登れば外に出るはず...

 

「おお、すっげえ人いる...」

 

会場は人で埋め尽くされていた。どこを見ても人ばかり。階段に座り込んで見ている人も多く、少し避けてもらわないと階段も登れないくらいだ。なんなら魔法で空を飛んで見ようとしてる人もいた。

 

「俺も上から見るしかないかな...」

 

なんとか階段を登って一番上の方まで行けば、立って見れる場所もありそうだけど遠すぎて見えなくなりそうだし、こっちの方が手っ取り早い。

 

「あらよっと」

 

地面を蹴って上の方まで跳ぶ。跳躍は使わない。反作用を増幅させるのが跳躍なので、加減を間違えると遥か彼方まで吹っ飛んでしまうからな。高さを調整したいなら自力で跳んで速度操作で調節した方がいい。

 

4014ページ 黒 青 障壁

 

「よしベストポジション」

 

いい感じの場所で障壁を空中に設置して座り込む。首が痛くならないくらいのちょうどいい角度、壁だからちょっと硬いのはご愛嬌ということにしよう。

 

「んよし、時間までパンフ読むか」

 

もらったパンフを読み込む。大会が始まるまでに、選手の情報は出来るだけ多く知っておきたい。その方が、何が起こったのか分かり易いだろう。

 

準々決勝第一試合

 

一人目はミュラー。その二つ名は罠使い(トラッパー)。一瞬でいくつもの罠を仕掛けながら戦うようだ。分類的には魔法使いに当たるらしい。筆記の魔法で罠を作ってるということだろうか。

 

二人目はカノウ。二つ名はなし。オールラウンダーで、魔法と剣を合わせて戦うらしい。異世界の魔法剣士と言って思い浮かぶイメージをそのまま体現したような感じだ。

 

準々決勝第二試合

 

一人目はゴモン。二つ名は反撃流。自分が経営している道場の流派がそのまま二つ名になっているらしい。二つ名のとおり、カウンターを得意としているようだ。どのようにして反撃するのかはパンフには乗っていなかった。道場の者にしか使っている魔法は公開していないらしく、原理は目で見て盗むしかないだろう。

 

二人目はアクセル。既に知っている通りのことが多く書かれていた。知らなかったことといえば、優勝候補の対抗馬だったということか。二、三年前からポイントが手に入る大会は行われていたみたいだが、ちょうど一年くらい前からアクセルは大会に出始めて数々の成績を残し、一年で優勝候補の持つポイント数に追いついてきているらしい。この大会で優勝すればトップに躍り出ることになるようだ。まぁ、準々決勝に残っている8人はどれも優勝すれば英雄になれるくらいのポイントは持っているみたいで、条件はあまり変わらないが。

 

準々決勝第三試合

 

一人目はワンナ。二つ名はなし。何かを盗む魔法に特化しているらしく、持っている武器を奪うなどしてアドバンテージを取ってから、短刀を使って攻撃をするようだ。物質転移とは原理が違うらしいので、多分この人が作り上げた固有の魔法なのだろう。少なくとも、リヒトの作った魔法図鑑にはそれらしい魔法は載っていなかった。

 

二人目はミルキー。二つ名は死のダンサー。なんのこっちゃな二つ名だが、踊りながら少しずつ殴る蹴るなどし、ダメージを与えていく戦法を取ることからこの二つ名になったらしい。龍が○くの真島○朗のダンサースタイルが近いだろうか。変則的な攻撃が戦局をどう狂わせるのかがちょっと気になる。武器は己自身なため、何かを盗まれることもないだろうし相手との相性も良さそうだ。個人的に、アクセル以外で一番気になる人かもしれない。

 

準々決勝第四試合

 

一人目はネオン。二つ名はなし。心を読む魔法を使い、相手の行動を先読みして攻撃や回避をするのが基本戦術らしい。頭に流れ込む相手の思考から必要な部分だけを抽出して生かすのは、戦闘中にやるには難しい。心を読む魔法一本でここまで残っていることからも、その実力が伺える。

 

二人目はクミリア。二つ名は不敗の拳。この大会の優勝候補であり、今までに出た大会では一度も負けたことがないらしい。そのため、ポイント保有量も最高だ。武闘家で、かなり多くのバフを重ねがけして動くのが基本戦術のようだ。バフを使うのはアクセルと同じだが、アクセルは加速とそれに耐えれる耐性に特化しているのに対して、こっちは基本的なバフは常時発動し、状況に応じて最適なバフを発動させる、といった運用法をしているらしい。

 

「こんなところか...」

 

書かれている内容から読み取れるのはこのくらいだ。だいぶ情報は得られたが、より詳しいことは戦っているところを見ないとわからないだろう。

 

「…お、始まりか?」

 

アナウンスがかかってきた。そろそろ試合が始まるみたいだ。第一試合で戦う二人の選手が試合場の中に入ってくる。

 

「さーて、どっちが勝つかなー」

 

そう俺が呟いた瞬間、試合は始まった。




久しぶりに登場したアクセルさん。
最後に登場してから40話近く経っての再登場ですね。
アクセル以外のキャラも再登場させたいな...とは思ってるんですが、なかなかチャンスが見つからないんですよね。

この大会で誰が勝ち残り、英雄になるのか。
考察しながら続きをお待ちください。

p.s.
書くの完全に忘れていました。
明日からテスト週間になるので、しばらく投稿止まります。
次回の投稿は3月13日水曜日になります。
上で書いた通り、誰が勝ち残るのか考察しながら待っていただけると助かります。
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