前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
準決勝第二試合です。
「君の一番の武器は、なんだい?」
準決勝第二試合が始まり、ワンナが早速問いかける。略奪魔法の発動に必要なのだろうか?
「わざわざ言わなくても、クミさんを見てたら多分わかるよ!」
クミリアの全身にオーラ的なものが纏わりつく。そしてワンナに向かって走り出した。
「見てるだけじゃわからないよこれが一番なんて有り得るか!」
両の拳を青い炎で包むワンナ。それを見て文句を言うが、しょうがないと割り切ったみたいで短刀を掴み取った。
「せっかくだから有効活用させてもらおう」
青い炎が拳から短刀に燃え移る。そしてそのまま構えを取り、向かってくるクミリアを待ち構える。
「できればその見えてるバフをもらいたいんだけど...!」
「させるわけないよね!」
ズバッと空気を引き裂くような飛び上段蹴りが放たれる。
「チッ...!」
ワンナはそれを体を半身にすることで避け、まずは青く燃える左拳を膝横に叩き込む。そしてそのまますれ違うように脇腹に短刀を滑らせて斬り裂く。
「いったー...止血ありがとさん!」
着地したクミリアが斬られた脇腹を押さえながら言う。膝の方はほとんどダメージがなさそうだったが、流石に燃える剣で斬られりゃ効いたみたいだ。もっとも、その傷自体が浅く、燃える剣で斬ったため同時に止血されたので、そこまでのダメージになっていないようだった。感謝してるし。
「どうやったらそんな精神状態でいられんだ...」
「さぁ?これがクミさんの平常運転さ。羨ましいなら奪ってみたら?」
「能天気を奪う気にはなれないな」
「能天気って...というか、なんとなく言っただけなんだけど武器以外にも盗めるの?」
「一応な。盗むには別の条件がつくが、できないわけじゃない」
「へーそうなんだ。心...とかも奪えたり?」
「できなくはない。精神丸ごと奪うことはできないが、興味を私に向けさせることはできる」
「おー、ならクミさんにそれやってみてよ。面白そう」
「…私、女だぞ?」
「いいよそんなの、関係ない。とりあえずやってみてよ。どうなるのか気になるかさ」
「やるわけないだろ。試合中だぞ」
「あ、そういえばそうだったね。じゃあ大会終わりの後夜祭の時にやってよ」
「気が向いたらな」
手のひらをクミリアの方に向けるワンナ。なんだろうといった感じでその手を見つめるクミリア。
「そして...気を抜きすぎだ」
「…⁉︎」
クミリアが纏っていたオーラのようなものが、突然消え失せた。
「もしかして、思考を誘導されてた?」
「暗示のようなものだな。ちゃんと会話に乗ってくれる人は助かるよ」
「あちゃーこれ取られちゃったかー...まぁ無数に手数あるし、流石に全部取られる前には勝てるかな」
クミリアの体が少し大きくなる。もともと筋肉質な体だったが、筋肉が膨張してさらにそれが強調されていた。
そしてそれに対抗するように、ワンナの体にオーラが纏わりつく。
「…これ取られちゃったかーってこれ見た目だけじゃないか。ブラフかよ」
「どう?一枚上手だったでしょ」
マジか、あのオーラ見た目だけのハリボテでなんのバフもなかったのかよ。
「無駄に魔力消費するだけの光魔法さ。盗んでくれてありがとうねー」
「いらないから返品するよ」
ワンナの体からオーラが消える。盗んだ魔法を返したのだろう。
「武闘家だからって誰も彼も脳筋だって考えるのはやめてよね。こう見えてちゃんと考えてるんだから!」
筋肉量を増やしたクミリアが、ワンナのもとまで走る。重さが増したから速度は遅くなると思ったが、足の筋肉量も増加しているため前より速く走れていた。威力も増してるはず。喰らえば一撃退場もあり得なくはない。
「これでも...喰らいな!」
剛腕がものすごい速度で振るわれる。まるで空間でも削り取るのかってレベルで振られた手が、ワンナを掴まんと動く。服の端でも引っ掛かれば、そのまま体ごと持っていかれるだろう。そしてそのまま顔面を殴られて一発KOだ。
「おわっ...と!」
だがしかし、ワンナがものすごい体勢をとって斜め上から迫り来るクミリアの手を避けた。普通の人間には無理のある動き。とてつもない柔軟性を持っていなければ、腰とか色々な部位をいわしそうな体勢だった。
「そんな動きできたんだ!すごいねあんた!」
「前はできなかったがな...そして巨体にはこう!」
レイバック・イナバウアーのような体勢から急に地面に手をついて足を振り回し、ワンナはクミリアの足を叩き転ばせる。
「その動き...」
「デカけりゃ転んだら辛いはず!」
転ばされて尻餅をついているクミリアに、連続で蹴りや青く燃える炎を纏った拳を叩き込む。その動きはまるで...ダンスのようだった。
「ダンススキル使ってるね!奪ったまんまなのかい?」
増やした筋肉で身を守りながらなんとか立ち上がり、急いで下がりながらクミリアが言う。ワンナのこの動きは、どう見てもミルキーのダンススキルそのものだった。
「一度はちゃんと返したさ。試合前に救護所に行ってな。起きているところを頼み込んで使わせてもらっている」
「よく貸してくれたね」
「この大会出てる人らは、総じていいやつだからな。勝った人への協力は惜しまない。君だって、今まで勝ってきた人たちから教えを請うこともあっただろ?」
「確かにそうだね」
「あと、それもらうよ」
クミリアの体が元に戻る。
「おっ、やっぱり発動中に盗まれたら副作用なくなるんだ」
「…副作用あるのか。使わないでおこう」
さらっと思考誘導されて盗まれているけれど、副作用があったっぽいしわざと盗ませたのだろうか。ってか副作用ってなんだろう...逆に筋肉が萎むとか?
「んじゃー次はこれで行こうかな」
走り出したクミリアだったが、さっきまでより速くなっていた。筋肉増加状態よりも速い。普通にバフをかけたのだろう。これを見ていると、最初に使ってたオーラって本当になんのバフもない見かけだけの魔法だったんだなぁと思う。
「ミュージックスタート...ってね」
そうワンナが言うと、突如として爆音の音楽が鳴り始める。
「うぅぅるっせぇ!」
3207ページ上 カスタム追加 青 集音
ミルキーが使っていた時よりも音がデカく、思わず叫んでしまった。さては、音の増幅魔法を同時に使っているな?ワンナがもともと持っていたのか、それともミルキーが持っていたやつを使っているのか...多分後者だろう。増幅だけ持ってるなんて考えにくいし。
「結構な爆音だねぇ...こりゃ耳塞いでも無理だな」
この爆音の音楽を聞いたことで、クミリアの動きが見るからに鈍くなっていた。デバフのせいだろう。単にうるさくて集中できてないからかもしれんが。
「ミルキーの力を借りて...君を倒そう」
目に見えて遅くなったクミリアに一瞬で近づくと、そのまま体の芯に蹴りを数発叩き込んだ。あの音楽は相手にデバフを、自身にはバフをかける。今までまともに自己強化できていなかったワンナだったが、やっとバフをかけることができ重い攻撃が当たり始めた。
「くっ、うぅ...結構辛いねこの音楽。音でバフか...考えたこともなかったよ」
動きづらい体でなんとか蹴りを捌こうとするクミリア。けれど、何度かに一回はモロに喰らってしまう。
「音...こんな感じかな?」
クミリアが突然、トンッ、トントンっと足でステップを踏み出す。
「そんなことしても...っ⁉︎」
「案外行けるもんだね」
…信じられないことに、クミリアのタップダンスの要領で出した音は自らにバフをかけていた。デバフからも解放され、楽に動けるようになったクミリアはワンナの連続攻撃を最も容易く避けていく。
「なんでそんな...というか、この音楽の中でどうやって音を...?」
「衝撃や振動を操作する魔法をうまーく使ってね。音を自分の耳にしか聞こえないように調整したのさ。この音しか聞こえてないから音楽のデバフも意味ないしね」
「それはまだしも、なんでバフに成功してるんだ。人力で魔法と同じ効果出してるなんてそんなわけ...!」
「あんたの...いや、ミルキーのだったか。その演奏魔法、一番重要なのはこの独特なテンポなのさ。それ以外はカモフラージュでしかない。テンポさえ真似できれば、同じ効果が出る。もっとも、こんな足音だけじゃ普通はできないけどね」
「今の短い時間で俺もミルキーも知らないことを見抜いてんのおかしいだろ...」
「言ったでしょ。脳筋じゃなくてちゃんと考えてるって。舐めてもらっちゃ困るよ...あんたがね!」
ワンナの放った蹴りに合わせるように蹴りを叩き込む。同じバフがかけられている以上、この競り合いの勝敗を分けるのは素の筋力に他ならない。当然のようにワンナが押し負け、弾き飛ばされるように後ろに下がる。
「ぐっ...衝撃操作か」
まるで足が痺れているかのように、右足を軽く上げて左足重心になっているワンナ。足同士がぶつかり合ったときに、クミリアに魔法を使われて足に伝わる衝撃を増幅させられたのだろう。
「どうよ。しばらくはその足、使えないだろうね」
「ダンスは厳しい...か」
「というわけで...一方的な攻撃開始!」
片足立ちを強要されて動きにくくなっているワンナに、タップダンスの音でバフをかけたクミリアが攻撃を始める。
「や...ばい...!」
「結構避けるねぇ!もしかして、心を読んでたりする?」
ワンナは片足だけでぴょんぴょんと跳び、クミリアの攻撃を避けていた。普通ならたとえ両足が使えたとしても、この攻撃を避けられるかはわからないが、心を読んで避けているのなら納得だ。
「心を...読んでるんじゃ、ない。未来、予知だ!」
「へーネオンってそんなこともできたんだ」
あそっか。明鏡止水使ってる最中に言ったことだから、クミリアは知らないのか。
「知らなかったのか言わなければよかった...!」
「まぁどっちにしろ、避けられなきゃ関係ないよね!」
そうクミリアが言った瞬間、クミリアが二人になった。
「分身⁉︎」
黒く塗りつぶしたクミリアのような人型が現れ、本物と分身がそれぞれ左右からワンナに襲い掛かる。
「あっ...ぶな!」
片足で大きく後ろに跳び、左右からの攻撃を避けるワンナ。
「そのままぶつかる...わけないか!」
ワンナに避けられたことで、互いに激突するかと思われたクミリアと分身体。しかし、二人の体はぶつかることなくすり抜け、跳び上がったワンナが着地するであろう位置に向かって二人並んで走る。
「来るな!」
並んで走るクミリアたちの前に、線のようなものがいくつも張られる。
「ん?」
突然のことで張られた線に気づかなかったクミリアたち。見事に引っかかり、線から炎や金属製の針などが飛び出してくる。
「うおっ、危ない危ない。ミュラーの罠の線か。前に戦ったことあるから知ってるよ」
ギリギリのところで回避に成功するクミリアたち、
「なのに引っかかるのか...」
両足で着地しながら言うワンナ。もう右足の痺れはなくなったみたいだ。
「突然だったしね。というか、いろんな人の貰ってきてるんだね」
「誰も彼もいい人だね」
「そうだな。負かしたらあんたはその魔法教えてくれるのかな?」
「教えたとしても使えないと思うな。私の適性バグってるみたいだし。それに、もし適性が君にあったとしても、今の君にはもう使えない」
「それは...なるほど、なんとなくわかったよ」
分身体と共にワンナに対して攻撃をするクミリア。とても連携が取れており、時々一人に戻っては二人に増えるを繰り返しながら蹴りや拳を叩き込んでいた。
「その略奪の魔法、その力を一度でも自力で使ったことがあると盗めないんでしょ」
攻撃を続けながらワンナに問いかける。
「あんたは一度盗んで返した後に、再度その力を使うなんてことをしていない。今使ってるやつも、もう一度盗んできたってなこと言ってたよね。盗んだ力が、自分のスキルになっていないのさ」
…そういえばそうだな。一度盗んで使ったなら、自分の体にスキルとして記憶されてもおかしくない。それなのに、わざわざ頼み込むなんてことしてまで再度盗んできて使っているのは変だ。適性が既にある程度ある状態で力を使いたいってんなら納得だが、それならもっと昔に盗んだことがある魔法やスキルを使えばいいだけだ。昔から使っているならある程度適性が上がっているだろうしな。
けれど、それをしていない。それは、盗んだ力が自らの力として定着していないことの表れだ。
「多分適性ごと盗んでいるから、体が覚えるはずだった記憶が定着せず、そのまま元の持ち主に返却されてしまうからだろうね。だからあんたの体にはスキルが刻まれない。それでちょっと考えたわけだ」
ワンナの鼻先に二人の蹴りが掠りながらも喋り続ける。
「あんたは人のスキルを一時的に盗むことができる。でももし、もともとそのスキルを使えたとしたら?同じスキルは二つ持てない。運動系のスキルは人によって再現する動きが若干違うから盗めるかもだけど、魔法スキルはそうはいかない。きっと盗むことすらできなくなるはず。それを避けるために、君はできるだけスキルを習得しないようにしているはずだ」
「そうだけど、それが?」
「だからクミさんには使えないってことでしょ?既にいろんなスキルを持っているから、盗めないものが多くて使い物にならないってわけだ。魔法もいろいろ齧ってるから、よっぽど珍しいやつじゃないと盗めない」
なるほど...確かに、それくらいのデメリットがないとこんな強い魔法使えないよな。さっきまで教えてもらいたいと思っていたけど、自分もほとんどの魔法既に使ってるからあんまり使いこなせなさそうだな...一応使うかもしれないから教えてもらおうとは思うが。
「まぁこれがわかったところで、何か有利になるかって言われると微妙なんだけどね。剣に炎をつけるスキルはあんたも持っているから盗めないってのしか対抗策なさそうだし」
そう、今のところワンナが確実に持っていると知っているスキルは、火装・剣だけだ。あれだけはこの試合の初めにクミリアの炎の拳を利用してやっていたから、誰もが知っている。もっとも、唯一盗めない火装・剣で対抗しようとすれば、剣を盗まれて終わりだと思うが。
「クミさんは真っ向勝負であんたを倒すよ。全部盗まれる前に倒す。単純明快だ」
ワンナがなかなかスキルを奪えていないのを見るに、クミリアもクミリアで必要ないスキルを一番の武器だと思い込み、略奪から逃れているのだろう。そんなんで逃れられているから、略奪魔法は相当使い勝手が悪いと言えるだろう。相手の認識に依存している時点で、ちょっと弱い。というかクミリア、明鏡止水使って一番の武器っていう思考を無くせば完封できるんじゃ...
「いろいろ喋ってくれたおかげで君の魔法もわかってきたよ」
クミリアたちの攻撃をギリギリで避けながらワンナが言う。ちょっと加速しているから、知らないうちにクミリアのバフ魔法を一つ奪っていたのかもしれない。
「その分身、黒っぽいからさっきまで影だと思ってたんだけど、ちょっと違った。鏡だったんだ」
「おっ、よくわかったね。どこで気づいたの?」
「そりゃ見るからに左右対称で動いてるんだから気づかないわけないだろ」
うん、俺も気づいてた。というか、周りで見ている人は上から俯瞰して見れているからほとんどの人が気づけただろう。
どうやら、分身は発動した瞬間に向いていた方向を軸として、本物と左右対称の動きをしているみたいだった。時たま分身を消していたが、それはワンナが軸から大きくズレて分身がほとんど意味がなくなっていたからだった。
左右対称という法則に気づいてから、ワンナは横移動を繰り返し多用して回避をしていた。横移動をすれば、攻撃してくるのは一人だけになる。少なくとも、本体と分身が同時に攻撃してくることは避けれた。
「見抜かれちゃったならしょうがない。盗んでいいよ」
フワッとクミリアの分身が消えた。一番の武器の認識を自ら変え、わざと盗ませたのだ。
「ならありがたく...っ⁉︎」
ワンナの顔が苦しそうに歪んだ。
「ごめんね騙して」
ズバンッ、と強烈な一撃がワンナの顔面に突き刺さった。声にならない声をあげ、ワンナが後ろに倒れ込む。
その寸前、ワンナが踏み締めていた地面に、巨大な亀裂が走った。
「いっった...!死ぬかと思った...!」
ワンナはそのまま地面に倒れ込み、後転をしてから一気に後ろに跳んでクミリアから距離を取る。
「反撃流だよね今の。ゴモンからも盗んでたんだ」
「一応もらってたんだけど、なければ今ので終わりだった...!」
「痛みは普通に受けるはずなんだけど...よく耐えたね」
「二度と使いたくはないね。痛みで意識飛びそうだったよ」
ゴモンだったら顔色ひとつ変えなかっただろうけど、痛みへの耐性がないとこうなるのは当たり前だ。俺だって意識飛ぶよ多分。
「それはそうと、なんなんだあの魔法。視界がブレて頭おかしくなるかとおもった...」
「あれ、五感をお互いに共有してるんだよね。目も耳も倍になるからわけわからなくなる。特に、分身したては酷い。最初は重なってた視界が少しずつズレていくせいで、酔いそうになる」
説明聞くだけで確かに酔いそうだなって思えてくる。二人分の感覚を一つの脳で処理するのは大変そうだ。普段から思考速度加速させてる俺なら多分大丈夫だろうけど。速度探知の情報量が多すぎて、しかも既にそれに慣れてきているから、二人分の感覚とか余裕だと思う。
「盗めるのはスキルと適性だけ。それを自由に使いこなせるかどうかは別。それもあんたの弱点ってところかな」
「使えないスキル盗ませやがって...!」
「おっと、言葉荒くなってるよ。女の子なんだからもう少し柔らかくしないと。クミさんを見習うといいよ〜?」
「余計なお世話!」
いつのまにかしまっていた短刀を取り出し、青い炎を纏わせながら走る。
「これで終わらせる!」
いくつもの罠の線がクミリアの周囲を塞ぐ。逃げ道がなくなったクミリアは、その場でのカウンターを迫られる。
「…青に青、いいカモフラージュだ!」
そうクミリアが言った瞬間、ワンナの短刀から光の刃が飛び出す。カノウの光の剣だ。青の光は剣先から光の刃を飛ばすモード。青い炎の色に紛れ込ませて気づかれにくくしていたのだ。クミリアには、色の些細な違いを見抜かれてしまったみたいだったが。
「一応、弾けないことはない!」
ミュラーほど洗練されてないためか、それとも逃げ道を塞ぐことだけを考えたからか、ワンナの張った罠の線ではクミリアの動きを全て封じることができなかった。少しは動ける余裕がある。その空間の余裕を使い、飛んでくる光の刃を拳で叩き落とす。
「黒でも金でもなんでも来なよ!終わらせるなら全力の一撃で来な!」
「言われなくたって...!」
青い炎はそのまま、短刀は赤く光り出す。
「全力で叩き込む!!」
クミリアの目の前まで全速力で走ってきたワンナ。しかし、その全速力の走りのエネルギーを使うことなく、ドンっと地面を蹴り付けてその場に立ち止まった。
「もらった!」
ミュラーの罠で逃げ道を塞ぎ、クミリアの青い炎で短刀を包み、カノウの赤の光を纏い、ミルキーの音楽でバフをかけ、ゴモンの反撃流のエネルギーを使い、ネオンの未来予知で当たる未来を見てから放つ。準々決勝以降の、アクセルを除いたすべての選手の力を束ねた短刀を真上から振り下ろした。
「いやー流石にやばかったね。強かった」
真っ向から短刀に拳を当て、打ち砕いたクミリアが手を軽く押さえながら言った。
「みんなの力を合わせて戦う...か。あんた、物語の主人公みたいだったね。カッコよかったよ」
ネオンの未来予知すら打ち破ったクミリアは、短刀を失い茫然自失となっているワンナに近づく。
「だから殴って気絶させてハイ終わりってのをしたくないんだよね...降参してくれない?」
「…自ら負けを認めるなら、気絶した方がマシだ」
「そっか...わかった。おやすみ」
頭にちょこんと拳を当てるクミリア。たったそれだけの攻撃だったのに、ワンナはふっと意識を失い地面に倒れた。衝撃操作魔法で脳を響かせ、痛みを最小限にして気絶させたのだろう。
「後夜祭、楽しみにしてるからね」
そう言ってから、クミリアは試合場を後にした。
準決勝第二試合が終わった。
次はいよいよ、決勝戦。
ワンナの力、普通に主人公できるくらいのスペックあるんですよね。
スピンオフというか、同じような能力持たせたキャラ作って新しい作品作ってもいいかもしれない。
今のところそんな予定はありませんが、既に構想を練ってある作品全て書き終えて、十分なネタが集まればやるかもしれません。
何年後になるかはわかりませんがね...
次回、決勝戦。
アクセル対クミリア
乞うご期待!