前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
今回はカノウと戦います。
「よく来たな」
俺がその闘技場に行くと、既にカノウが試合場の中央に立っていた。
「こんな時間に悪いな、ここしか予定が空いていなかったんだ」
今は日没前の、夕方の14時50分。地球にいた頃の俺に今のセリフを言ったら、まだ全然真っ昼間じゃねぇか何言ってんだって思われるだろうけど、この世界の一日は30時間で、昼は15時間あるからこれが正しい。ミルキーの家にいるのがめっちゃ気まずくて、急いで楽譜を覚える羽目になったからか疲れてちょっと眠い。
「大丈夫だ。色々あって精神的なダメージと眠気があるが、戦うには問題ない」
「それは本当に大丈夫なのか...?」
下手な傷よりも、変態!って大声で叫ばれる方がダメージって多いんだなぁ...うん、嫌な記憶だから寝る前辺りに魔法使って綺麗さっぱり忘れてしまおう。記憶定着速度加速中の会話だからハッキリと記憶に刻み込まれてしまっているけれど、なんとか忘れてやろう。魔法がダメなら物理でもなんでもやってやる。
「あんまり深掘りしても意味ないから話を進めるぞ。とりあえずカノウ、今から俺は何をするんだ?」
ミルキーの例があるので、ただ戦うだけじゃないかもしれないのが既にわかっている。普通に試合をするのか、何かしらの試験をするのか、まずはどっちなのかを聞かなければ。
「というと?」
「一個前にミルキーと会ったんだが、試験みたいなのをやらされたからな。普通に試合するのか、それとも特殊ルールでやるのかを知りたい」
「…普通に試合をするつもりだったが、何かルールをつけるのもいいのか?」
「ああ。ちゃんと勝敗がつくものであれば」
「そうか...少し考える。待っていてくれ」
「おう」
カノウが手を顎に当てながら考え始めたので、目を閉じて少しでも体力回復に努める。流石に立って寝るなんてことらないだろうけど...やっぱ...眠い...
……ハッ
「あっぶね倒れかけた」
思っていたよりも結構疲れてたんだな俺...今日は宿帰ってご飯食べて風呂入ってすぐ寝よ。
「決めたぞ...って、本当に大丈夫か?無理そうなら4日後予定空いてる時間あるからずらしてもいいんだが...」
「立ちながら寝かけただけだ。問題ない」
「それを問題と...いや、大丈夫と言っているならいいか。負けたら自己管理の甘いお前が悪いってことで」
自己管理の問題じゃないが、まぁそこは指摘しなくてもいいか。
「ルールをつけようと思う。まずは勝利条件。俺の勝利条件は、五分以内に攻撃を一発でも当てること。お前の勝利条件は、五分間全ての攻撃を避け切ること」
五分間ノーダメ強制か。ちょっと厳しいけど、できなくはない...いや待て、普通の剣なら避けられるけど、未来から飛んでくる斬撃は避けようがなくね...?
「五分は流石に長すぎやしないか?黒の未来から飛んでくる斬撃はどうやっても避けられないし、ノーダメは無理だろ」
「不可能ではないさ。黒にも弱点はある。避けようと思えば避けれるものだ」
避けれるのか...?まぁ、その情報を知ってるだけまだマシかな。
「おそらく一回では無理だろうから、試合は三回やる。一回でも無傷でやり過ごせばお前の勝ちだ」
なるほど、三回あるのか。それなら、二回で黒の弱点を見抜いて三回目で回避するか。
「勝利条件はわかった。ところで、俺は攻撃してもいいのか?」
攻撃していいなら永遠に妨害して攻撃させないようにするんだが、流石にダメかな。
「無しでいいか?」
「ああ。じゃあ、攻撃の妨害はどれくらいしていいんだ?デバフとかはどうなる」
「そうだな...こうしよう。一度にかけられるデバフは一つまで。デバフは十秒経ったら必ず解除する。拘束系の魔法も十秒で解除してくれ。そして、デバフも拘束も一度解除したら十秒間を置いてからでないと再発動できないということで」
「了解した」
ある程度の妨害は許されるみたいだが、これだとそれだけでハメるってことはできないな。拘束してる時にも、黒で未来から斬られることが十分あり得る。その辺気をつけなければ...あっ。
「黒の未来からの斬撃は、試合中である五分の間に原因を作らなければならないってルールを付け足してくれないか」
「…そうか、確かにそうしないといくらでも攻撃できてしまうか。それもルールに加えよう。他に気になる点はあるか?」
「いや、ない。いつでも始めてもいいぞ」
「わかった。それでは、一回目を始めよう」
結界が貼られ、五分間の試合が始まる。
まずは光の剣の力をよく見て、次に繋げなければ...
「ぐふっ⁉︎」
二回目の痛みが胸に走る。チキショウまた黒にやられた。
「クソ、これじゃ避けられねぇのか...」
そう言いながら少し後ろに下がると、原因作りのためにカノウがさっきまで俺が立っていた場所に剣を振る。
「これで二回目終了だな。三回目、すぐ行くか?」
「ああ。傷も治ったし、大体プランも立てられた。次こそは全て避けさせてもらうよ」
「そうか。なら、三回目開始だ」
そうカノウが言うと、貼られていた結界が一瞬消えて再度展開される。
2007ページ下 黒のみ 拘束
三回目の試合が始まった瞬間に拘束魔法を発動、カノウの腕と足を縛り付け動けなくし、出鼻を挫く。
「ならこいつだ」
カノウの剣が青く光り出し、切っ先から光の刃が幾つも飛び出してくる。
「追尾するのは面倒だけど...青は簡単に避けれる!」
ギリギリまで引きつけてから回避をすることで、刃同士を衝突させたり結界に命中させることで打ち消していく。
そして十秒経ったので拘束を解除する。ここから十秒は妨害出来ないので、カノウの行動をよく観察して行動を決めなければならない。
「今度は金か。それもまだ避けられる!」
拘束が解除されたことで動けるようになったカノウは、光を金色に変えながらこちらに近づいてくる。金色は過去から未来に飛んでいく斬撃だが、避けることは容易い。カノウの剣がなぞった軌道上に立ち入らなければいいだけのこと。剣を振った瞬間だけではなく、構えながら歩いた時でも未来に斬撃が送られているので、それだけ注意すれば問題なく避けられる。
「ただ剣振るだけじゃ当たんねぇぜ!包囲網も突破できるしな!」
未来への斬撃で着実に俺の行動範囲を減らしていくカノウだが、未来跳躍によって短距離の転移が可能であるためこの戦法は通用しない。
青は直前に避けることで、金は未来跳躍で対処できる。残るは黒の斬撃。だがそれすらも、たった二回の試行でチャートを組んだ俺には通用しない...はず。このチャートを完璧になぞることができれば、三分間避け切ることで俺の勝利が確定する。残る二分は何もせずに勝てるはずだ。
7801ページ 黒 青 未来跳躍
「ほらこっちだ!」
もう動ける場所がなくなった瞬間に未来跳躍を発動し、0.1秒で4メートル移動して斬撃の包囲網から逃れる。今ので二、三十秒稼げた。きっと次は...
「やっぱ黒か...!」
一度、過去からの斬撃が全て放たれる。別の色に切り替えるためには全て消費し切る必要があるからだ。そして色が変わる。金色から黒に、過去から未来へと切り替わる。
7801ページ 黒 青 未来跳躍
再度未来跳躍を発動し、カノウの後ろに回る。黒の未来から飛んでくる斬撃は、剣に光が完全に満ちるまでは使えない。黒くなり始めた瞬間に背後に回る、これが黒の光の攻略法だ。
黒の未来からの斬撃は、俺がいる座標に直接飛んでくる。けれど、どうしてそんなにピンポイントに狙えるのだろう。少しのズレもなく、真っ二つにできるのだろう。それは、今この瞬間に、俺がそこにいるということを認識し、未来で原因を作るときまでそれを覚えているからだ。
故に、黒の斬撃は、そこに俺がいるということを知られさえしなければ飛んでこない。だから、背後に回る。俺の方が速いのだから、振り向こうとしたりしてもそれよりも速く移動して視界外に居続けることができる。
もちろん、位置を特定することなく、滅多矢鱈に斬撃を送り組んでくる可能性はある。けれど、それは当たるかわからない、一種の賭けだ。試合中の五分の間に原因を作らなければならないという制約がある以上、適当に放った攻撃が当たらなければその後の行動に大きな制限がかかる。最悪、原因作りに追われて俺への攻撃が一切できなくなる、なんてことになりかねない。だから、それはできない。直接見てからでないと斬撃は飛んでこない。
「くっ...今度はどっちだ...!」
まぁ、そもそも十秒間カノウは動かないのだが。
一、二回目の時、転移したと見せかけて、姿を見えなくする魔法を使って棒立ちしてみたことがあった。こういう魔法も十秒経ったら解除しないといけないなのだが、これで十秒稼ぐというのを何回かしてきたわけだ。
そうしたら、いつのまにかカノウは俺の姿が消えたら十秒待つという行動をするようになったのだ。さっきは自分から声を出して後ろにいることを主張したため即座に行動していたが、今回は声を出していないため待ちに入った。
だから、こういった戦法も取ることができる。
4983ページ 黒のみ 虚像生成
転移から十秒経ったちょうどのタイミングでカノウに魔法をかける。カノウの目には、転移する前と何ら変わりない位置に俺が立っているように映っているはずだ。
「そこか...!」
黒の未来からの斬撃が虚空を斬り裂く。まぁ、カノウの目にはそこに俺がいるわけだが、すぐにその姿が偽物であることに気づくだろう。
「視界に干渉する魔法か...なら、さっきのは本当の転移!」
バッと後ろに振り向くカノウ。しかし、それよりも速く移動して視界外に逃れる。視界が動くと俺の虚像も同時についていくためそれを利用しようかと一瞬考えたが、万が一が怖いので普通に避けた。
「チッ...!」
十秒経ち虚像は解除されるも、現状は特には変わらない。このままだとイタチごっこ。しかも、一回斬撃を放ってしまっているため直ぐに別の色に変えることもできない。
一分経過
「一旦変えるか」
カノウは不毛だと気づいたみたいで、俺を探すのをやめてさっき斬撃を飛ばした場所を切りに行く。
「じゃあ一旦止まってな」
2007ページ下 黒のみ 拘束
カノウが空気を切って色を変えた瞬間に拘束魔法をかけて動きを封じる。
「そこか!」
「っと危ね!」
焦った色変えたと思ったらすぐ黒に戻してきやがった。色が変わり切る前になんとか離脱が間に合ったけれど、少しでも遅れていたら斬られていたかもというか絶対斬られてた。斜め上に跳んで逃げたのだが、爪先から数センチくらいのところを斬られていた。ガチで危ない。
「クソ、拘束使わなきゃよかった...!」
すぐさま拘束を解除する。黒相手には拘束はあまり効果がないし、別の魔法を使える方がいいからだ。
「でも、ここなら届かないはず...!」
斜め上に跳んでいた俺はそのまま結界を蹴ることで上へと避難していた。黒の斬撃は原因を作れる場所でないと飛んでこない。そして、カノウの身体能力ではバフをかけたとしてもここまで来れない。剣を投げることもできない。だから、青で攻撃するしかない。
「なるほど、なら撃ち落とす!」
目を離していた時にさっきの原因を斬っていたのだろう。カノウはすぐに青に光を変えて光の刃を飛ばしてくる。
「その攻撃はデレ行動ってね!」
青なんて転移なしでも避けれる。結界を蹴ることで縦横無尽に飛び回り、光の刃を避ける。
けれど、常に動き続ける必要があるため、引きつけて直前で回避して消滅させる戦法が使えないのも事実。少しずつ光の刃の数が増え、身動きを封じていく。
4014ページ 黒 赤 障壁
障壁魔法を自らの周辺に展開しながら落下し、光の刃を受け止めていく。
「よっと...」
着地し、カノウの剣の色を見る。もし黒ならば、すぐに背後に回らないといけない。黒以外なら、障壁であと五秒は耐えられる。今はまだ青だが、すぐに光は消えた。さて、何色に変わる?
「あ...か?」
カノウの剣が赤色に変わった。一、二回目どちらでも赤色は出てきていない。大会で赤色が出たことはあったものの、いずれも不発に終わっていて効果がわからない。対処法がわからない。
剣をギュッと握りしめ、カノウがこちらに迫り来る。けれど、この距離この速度だと、障壁がある状態で剣が振られるだろう。少し待って障壁がなくなってから切ればいいのに、なぜそうしない?
考えられるのは、一つしかない。
障壁魔法は、ほぼ全て、ありとあらゆる攻撃を防ぐ。普通の物理攻撃はもちろん、魔法だって防げる。魔族や魔王の攻撃でさえも防げるだろう。
けれど、そんな障壁魔法にも苦手なものは存在する。一つは閃光などの、魔法現象を透過する魔法。すり抜けてしまうため、受け止めることができない。
もう一つは...
「っ...!」
急いでバックステップで後ろに下がろうとする。だが、既にカノウは目の前に立っていた。
赤色に光る剣が勢いよく振り下ろされる。剣は障壁とぶつかり...ガラスを打ち砕いたかのように障壁を叩き割った。
「っっぶね!」
障壁がクッションとなり、剣を振り下ろす速度が若干遅くなったためなんとか避けることに成功した。あと一歩遅ければ、この体は障壁と共に切り裂かれていただろう。
障壁魔法の弱点その二。それは、障壁を打ち砕くというひどく限定的な魔法を行使されること。たったそれだけで瓦解するため、汎用的に使えるが万能ではないし、とても魔族や魔王に対して使うことができない。それが障壁魔法だ。
「よく避けたぞ俺...!」
自画自賛しながら思考を回す。
今ので赤の効果がわかった。おそらく、威力特化。ありとあらゆる防御魔法、バフを無視して直接切り込む、そのための色なのだ。
そうなると、対処は簡単。ただ避ければいいだけ。光の刃を飛ばすとか、過去や未来から斬撃が飛んでくるとか、そういった遠距離攻撃でない以上、ただ振られた剣を避ければいいだけなので、なんなら一番デレてる攻撃だな。
二分経過
アレを誘発させる。そのために、時間を計算してデバフや拘束を使うタイミングを見定める。
「まぁ赤を使い続ける理由はないわな」
カノウが剣の光を赤から青へと変えたのを見てそう呟く。
「でも、青もデレ行動だぜ!」
光の刃が飛び出してくるが、引きつけては避けて、引きつけては避けてを繰り返して避けていく。
「赤...青...」
カノウがボソボソと何か呟いているので、何かと思い光の刃を避けながらカノウの方を見る。
「混色・紫!」
「む...紫⁉︎」
カノウの剣が紫に光り出す。初めての色だ。混色ってことは、赤と青の光を混ぜたのか?確かに、よーく視ると赤色と青色が端の方にチラついていた...って、そんな呑気に考えてる場合じゃねぇ!
「混ぜたっつぅーことは両方の性質を持った何かになったはず...!」
紫に光る剣から、紫色をした光の刃が飛び出す。青よりもちょっとだけデカい。でも、それだけな訳がない。
「とりあえず避け...って合体したぁ⁉︎」
さっきまでのように刃同士を衝突させて消滅させようとしたら、合体してさらに大きな刃となった。しかも、更に速くなってる。まだ走れば避けられる程度の速度ではあるが、もし今出てる光の刃が全て合体したらと思うと...ゾッとする。
「障壁も断ち切られるだろうし...こうなりゃこうするしか!」
方向転換し、カノウの方へと走る。
「これは俺が攻撃してるわけじゃねぇからいいよな!」
カノウのすぐ横を秒速50メートルでスライディングし、後ろに回り込む。
「俺を盾にするつもりか...!」
すぐそこまで迫っていた光の刃が全て消滅する。よし、目論見成功!
「そこにいると分かってるなら...!」
カノウは振り向きながら、紫色に光らせた剣を振る。剣が俺のすぐそばまで近づく。ここから後ろや横に避けても、光の刃で追撃を喰らう形だ。
だが、これはチャート通りだ。まぁ、青を想定していたので、紫なのは予想外だが、なんとかこの展開に持ってこれた。既に準備は出来ている。
7801ページ 青 未来跳躍
1603ページ右下 黒のみ 光源設置
0.5秒の未来跳躍を発動。消滅までの0.5秒で光を放ち、カノウの目を潰してからその場の全く同じ位置に転移するために消滅する。
消滅している0.5秒に何が起こっているか、それは俺にはわからない。一つだけわかるのは、消滅現象が起きている時点で、転移は成功している、つまり転移先に空気以外のものが存在しないということ。ひとまず、カノウの剣は避けられた。
0.5秒が経ち、その場に転移する。
そして見えたのは...黒色に光った剣と、カノウの後ろ側の空間が幾千もの斬撃で切り刻まれている光景だった。
それを見た俺は、さぞニチャアという擬音が似合うくらいの笑顔をしていたことだろう。全てが自分の想像通りに動いた。これで俺の勝利がほぼ確定した。試合開始三分で、だ。
なぜカノウは、背後を未来からの斬撃で切り刻んでいるのか。それは、転移後は必ず背後に出現してくるというカノウの思い込みのせいだ。まぁ、未来跳躍を使うときは背後に転移するようにしていたため、そう思うのも仕方ないのだが。
そもそも、俺が未来跳躍で飛んでいるとカノウは知らないのだ。未来跳躍では短時間に長い距離は飛べない。その常識があるため、カノウは敵の背後限定で転移できる魔法だと勘違いした。人にゼロ時間転移をすることは不可能という常識もあるが、神の使いというイレギュラー性と、0.1秒というほぼ一瞬の転移を何度も見せたために、俺にはゼロ時間転移が限定的に可能なのだと錯覚させた。
そして背後に転移すると思ったカノウは、すぐさま剣の色を黒に染め、背後の空間全てを切り裂いた。数秒間にわたって、綿密にだ。
なぜ光で目潰しをする必要があったのか、それにさえ気づけていれば、カノウは別の行動を取っていただろう。全方位、全ての場所に斬撃を放っていれば、俺は負けていた。もしかしたら最初の0.何秒かは前方にも斬撃を放っていたのかもしれないが、今回は0.5秒の転移をしているので回避できている。
「…手応えがない...?」
斬撃を放ち終えたカノウが、そう呟く。待て、まだ笑うな。まだ声を出してはいけない。アレが来るまで俺の存在を悟られるな。
「確かに転移していたはず...なら上か?」
まだ目が見えないみたいだが、カノウが上を見上げる。そうじゃないんだよねぇ...そして、アレはまだなのか...?
「くっ...体が...!」
カノウが剣に引っ張られるように動き出す。
「はっはー!これで俺の勝ちだカノウ!」
勝利確定!勝利宣言をする。
「これが狙いか...今までの全てが布石だったのか...!」
「そうだよ!これでもうお前は俺を攻撃できない!」
さっきの斬撃で決め切るつもりだったカノウは、未来からの斬撃を制限時間をフルで使って放った。それが不発に終わった以上、これからは原因の回収タイムだ。原因は試合中に全て作らなければならない。幾千もの斬撃の原因を、俺を攻撃しながら作るなんて出来ない。剣が強制的に体を動かして、原因を作らせようとするだろう。アクセルがカノウの腕を切り取った時のように、だ。
「あと二分、俺はゆっくりお前の剣舞を鑑賞させてもらうぜ!」
カノウが剣に引っ張られながら何もない空間を斬っていく様を見る。
「お前の勝ちだぁ...?」
カノウが俺を睨みつける。ハッ、無駄さ。これ以上未来から斬撃を飛ばすことなんてできない。
「そいつはちげぇなぁ!」
剣に引っ張られながらも、カノウは全身を動かして剣を右脇の下まで持ってくる。
そして...下から上へと、空間を斬ると同時に己の腕を斬り飛ばした。
「…ハァ⁉︎」
「これで俺は自由だ...!」
カノウの顔が一瞬苦痛の顔に歪むも、すぐに歪な笑顔へと変化する。
「あと二分...まだやろうぜ、神の使いよぉ」
「…狂ってやがる」
試合が終われば治るとはいえ、自分の腕を自ら斬り落とすだなんて...!
「勝利宣言は...まだ早い!」
右腕を失ったカノウがこちらに走ってくる。
試合終了まで、あと一分半。
試合の描写が大体6000字くらいなんだが、6000字が三分なわけなくね...?
というか、一話でまとめるはずだったのにまた二話になってしまった...戦闘描写できるようになったと喜んでいいものかわからん...