前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
今回は二人分やりますが、二人目の方が文長い+思考描写多めなんで、出来としては悪いかも...?
「もう一回、もう一回だけやらせてくれ!」
俺の前にいるのは、頭を下げて頼み込んでいるミュラー。彼の要求は、今さっきやった俺との試合のやり直しだ。
どんな試合だったかって?なんの特殊ルールも設けてなかったから、ミュラーが罠の線を張る前に近づいて顔面を殴り飛ばしたよ。ミュラーには反撃する謎の魔法もあったけど、アレ、移すのは傷だけだったからパンチだけなら問題なかったんだよね。まぁ、殴った後ちょっと顔痛いなって思って、初めて思い出したんだけどさ。もし衝撃まで相手に移せたとしたら...ダブルノックアウトしてたかもな。
「もう一回やるのはいいけど...多分、また同じ結果になるような...」
「じゃあ一秒待ってくれ。それで準備を全て終わらせる」
「わかった。試合開始から一秒間俺は何もしない。一秒経ったらすぐ行動する。それでいいな?」
「ああ、それで頼む」
特殊ルールが追加された。たった一秒でも、ミュラーなら大量の罠の線を設置できるだろう。多分、俺ならそれすらも一瞬で突破できるだろうけど。
「それじゃあ...始めよう」
結界が貼られ、俺は一秒のカウントダウンを心の中でする。
そのカウントダウンの間に、ミュラーが自身と俺の周りに大量の線を引く。少しでも俺の体が動けば、即座に触れてしまうくらいの密度だ。
「一秒」
声に出して、ミュラーに一秒が経ったことを伝える。
そして次の瞬間に、俺は皮膚から大量の魔力を放出する。排出光によって全ての線を無駄撃ちさせたカノウのように、だが魔力切れになることを防ぐため、類い稀なるほどの才能らしい魔力操作の技術を用いて必要な量の魔力を的確に流し込む。
本来なら、こんなことできない。空気に魔力は流れにくく、すぐに減衰してしまうからだ。そこで俺は、ミュラーの描いた線に沿うように流し込んだ。半径4メートル以内にある線は全て手に取るように感じ取れる。ミュラーの近くにある線は範囲外なため、今すぐに無駄撃ちさせることはできないが、同じような方法で対処可能だろう。
「さぁ、動くぜ」
半径4メートル以内の全ての線を無駄撃ちさせ、安全を確保してからミュラーに向かって走り出す。線の攻撃は、その線上にしか発生しない。たとえ至近距離だとしても、触れている状態でなければ当たらないのだ。もしもっと広範囲に攻撃するようなものだったならこの方法は使えなかったが、そうでないのはカノウという前例のおかげで知っている。
「なぜ線が...!」
1203ページ左下 黒のみ 水刃
「ほいっと」
ミュラーが線を張り直して、こちらの動きが制限される前に水の刃を飛ばす。魔力が乗っているので、これでも線を無駄撃ちさせられる。これで前方の、ミュラーの前までの安全を確保する。
「間に合え...!」
ミュラーは横に転がるように移動し、俺の攻撃を避けながら線の残っている場所に逃げ込む。
「面倒だな...丸ごと吹き飛ばすか」
4571ページ 黒のみ 触手・水
水の触手を無差別に振り回す。当然、罠が起動するが、線上にしか攻撃しないので俺へのダメージはゼロ。電流攻撃でもあれば話は別だったんだが...その心配をする必要すらないので安心して振り回せる。
「くっ...!」
ミュラーが懐からお札のような物を取り出す。そういえば、そんなのあったな。さて、なんの魔法なのやら...
「リターン!」
「制御が...モド○コみたいだな」
触手が俺の制御を離れ、勝手に動き始める。ちょうど、さっきまで俺が動かしていた軌跡を逆再生しているみたいに。この様子だと、しばらくは使えない。それどころか、触手に引っ張られて思うように体を動かせない。
「めんどくせ、もう無理矢理突っ切るか」
『雷装』
触手を諦め、解除してミュラーに向かって最高速度で走る。
「っ⁉︎だが、俺には罠が...!」
「無駄なんだよねぇ...!」
罠の線などお構いなしに俺は飛び蹴りを放つ。
「んぐぶっ⁉︎」
飛び蹴りはミュラーの顔面を確かに捉え、そのまま蹴り抜き少し先の地面に着地する。
「罠は線に触れた直後に発動する。けれど、ほんの少しだけタイムラグがある。クミリアが避けれたんだから、俺が避けれないわけないだろ?」
やったことは単純。罠による攻撃が始まる前に、その効果範囲から脱出する。さっき言ったが、クミリアにもできていたのだから、俺の速度でできないわけないのだ。実は最初からやりたかったのだが、あの時は指一本動かすこともできない状況だったので出来なかった。触手が使えなくなってちょうどいいタイミングだったのでやったわけだ。
「さて、これで俺の勝ちだ。罠の魔法と、傷の反射魔法について教えてもらおうか」
倒れているミュラーに手を差し出し、掴んで起き上がらせながら言う。
「…教えるのはいいんだが...本当にいるのか?」
起き上がったミュラーがそんなことを聞いてくる。
「お前にはその速度がある。反射の方は需要があるだろうが、罠とはそもそも相性が悪いだろう?常に移動しながら戦うのだから、俺の話なんぞ聞かずに別の人の話を聞いた方がいいと思うのだが」
「いやいや、必要だから来たのさ。いらなかったらあんな本気で殴りに行かないし、そもそも戦ってない。二戦目もしないさ」
「それはそうなんだが...まぁいいか。教えるだけ教えるとしよう」
ミュラーは罠の魔法について、話し出した。
「いい収穫だったな」
ミュラーはああ言っていたけど、結構使える。確かに設置型の罠の線は使いにくいけど、自分の体についてくるタイプの罠はとても使いやすい。自分の周りに罠を貼りまくってから敵に近づけば、能動的に罠にかけることができるわけだし。まぁ、それって罠なの?って言われそうだけど。
ただ、一つ難点としては、味方を巻き込まないようにするための準備が少し面倒だということか。この罠の線は、魔力に対して反応し発動する。反応しない、罠にかけたくない人の魔力をあらかじめ認識させてホワイトリストに入れていないと、味方を巻き込んでしまう危険性があるのだ。それさえ済んでしまえばあとは自由に使えるので、使う使わないにしても、勇者パーティー結成したら真っ先に魔力認識をしておこう。
「えーっと、多分ここだよ...な?」
そんなことを考えているうちに目的地に辿り着いたのだが...なんだこれ、道場...?あっ、反撃流って書いてある。あってそうだな。
「たのもー!」
扉を開けて、おそらく中にいるであろうゴモンに聞こえるように声を上げる。これ、道場破りみたいだな。いやでも、似たようなものかな?戦ってその技術を教えてもらおうとしてるわけだし。
「待っていたぞ、神の使いよ」
おお、いかにも道場主って格好で、ゴモンが道場の中央で立っていた。ってか、道着あるんだな...
「我が反撃流の会得を望んでいると、そうワンナから聞いている」
なんか喋り方、昔の日本人っぽいってか武道やってそうな人っぽいというかなんというか...これ翻訳どうなってんだ?方言といい、こういう口調といい、全部標準語になってもおかしくないのにどうしてこんなバリエーションに富んだ翻訳ができるんだろう。どういう基準なんだ?
「本来なら道場に入門し、二、三年修行させて初めて教える物なのだが...貴様は特別だ。我の提示する試験に合格すれば、道を極めたとして我が反撃流の極意を教えよう」
「わかった。で、その試験ってのはどんなのだ?」
今度はどんな特殊ルールで戦うことになるのやら...
「貴様の攻撃で、我の両足をこの地から浮かせてみろ。ルールはそれだけだ」
「なるほど、わかった。ところで、どのくらい暴れていいんだ?」
「暴れていい...とは?」
「ほら、この道場が倒壊しちゃうかもしれないだろ?あとあと、怪我はちゃんと治るのか?」
ゴモンの反撃流は、受けた衝撃を他のものに流し込むことで成立している。上半身への攻撃は足から外へ流れるわけだが、床にヒビが入ったり、酷ければ床が抜ける可能性がある。そのため、どこまで力を出していいのかを聞いておきたい。
「問題ない。この道場には、そこらの闘技場と同じ結界が貼られている。貴様がいくら暴れようとも、この道場が壊れることはない」
「了解した」
とりあえず、どんなにやっても何も被害が出ないことがわかって安心だ。怪我も治るってんなら、多少の無理もできる。
「こちらの準備はできている。いつでもかかってくるがいい」
ゴモンが構えをとる。そういえば、大会の時もそうだけどずっと似たような構えをとってるよな。あの構えが発動条件だったりするのか...?まぁ、今考えても仕方ないから。戦ってから聞こう。
「じゃあ遠慮なく...」
とまぁそんなこと言ってみたが、ちゃんと遠慮はしないとな。両足を浮かせるだけなら、重力反転を使うなり、洗脳操作を使うなりすれば簡単にできてしまう。略奪を使えばもっと楽だ。けれど、ゴモンが望んでいるのはそんなのではないだろう。
ゴモンが望んでいるのは、物理攻撃での反撃流の打倒。まぁ、魔法での攻略を禁ずるようなルールは設定されていないから、魔法で攻略してもゴモンなら認めてくれそうな気がするが...流石に無しだ。俺にもプライドってものがある。それに、真っ向から打ち破ってこそ、真に反撃流を教えてもらう資格を得たと言えよう。魔法で攻略なんていう野暮なことはしたくない。
「行かせてもらうよ!」
一瞬でゴモンに近づき、そのまま右肩に飛び蹴りを叩き込む。アクセルの速度には遠く及ばないが、これでも人を吹き飛ばすには十分すぎるほどの速度だ。
けれど、あの大会で見たのと同じように、俺の体はゴモンの肩に触れた瞬間に静止する。速度ゼロ。指一本動かせない。そして地面へと衝撃が流れ込み、ものすごい音が鳴る。
「アクセルと比べると、随分と遅いな貴様」
「あいつと比べたらそりゃそうなる。あん時のアクセル、今の俺の四倍以上速かったし」
口は動くんだな...この静止はどういう原理なんだ?発動条件はゴモンが両足を地につけていることだとわかっているけど、具体的にどうやって止めているのかがわからない。手足も頭も動かないのに、口は動くのはなんでだ?そこを考えれば何か弱点が見つかりそうだな...
「一撃には...」
って、そんなこと今考えてる場合じゃねぇ!
「一撃を!」
ゴモンが片足を上げて、反撃に移るために地面を蹴りつけようとする。
「動ける今っ!」
ゴモンの片足が浮いたことで自由に動けるようになった。その隙を逃すまいとゴモンの動きを少しだが減速させ、足が地面に着く前に肩を蹴って距離を取る。
「…まさか、あの状態から避けるとはな」
「減速はアクセルにはできない、俺の特権なんでな。遅いからって舐めてもらっちゃ困るぜ」
普通なら避けられない。アクセルも避けられていなかった。俺が避けられたのは、ひとえに減速と思考速度の加速のおかげだ。減速でゴモンの動きを遅らせていなければ間に合わなかっただろうし、思考速度加速が無ければ、動けることに気づいてから動き始めるまでにもっと時間がかかっていたはずだ。
「次は...」
次の攻撃方法を考える。回避できることはわかったけれど、両足を地面から離すという目的にはまだ遠い。ゴモンが反撃してくるタイミングで攻撃したとしても、片足が地面についてさえいれば反撃流は発動するため、衝撃を逸されてしまい足を地面から離すことは叶わない。
そしてアクセルがやったような、地面を破壊して足を無理矢理地面から浮かせることもできない。ゴモンが反撃流で俺の攻撃を地面に流し込んでも、道場の床はヒビ一つつかなかったのを俺は既に見ている。同じ方法での突破は無理だ。
なら、次にやるべきことは...
「オラァッ!」
股間狙いの蹴り上げ。反撃流は衝撃を受け流すことはできても、痛みだけは普通に受けてしまう。人体の急所を狙って攻撃を叩き込み、自ら足を引かせる。これが次の作戦だ。
「…今のに反応してくるか...!」
「目線が狙ってる箇所を如実に示していたぞ。受けるのは容易い」
狙いがバレていたようで、俺の蹴りはゴモンの手によって受け止められてしまった。体が硬直し、全く動けなくなってしまう。
「その硬直も攻略したいんだけど...っと」
ゴモンが反撃に移ったタイミングで回避し、一旦距離を取る。目線で狙いを読めても、あの速度の攻撃を受け止められるか普通?まぁ、目線で次の動きを読んでくるなら...こうするだけだ。
「…目を閉じるか」
「これでも周りは見えるんでね。このまま行かせてもらう...よ!」
目を閉じ、速度探知だけを頼りにしてゴモンに近づき、そのままの勢いでこめかみに拳を叩き込む。
「無駄だ」
これでも痛がるそぶりすら見せないか...っとと、危ない危ない。ちゃんと避けないとな。
それにしても、流石に動じなさすぎだ。衝撃は逃げていくから脳震盪を起こすことはないとはいえ、痛みは感じているはずだ。この速度でこめかみにダメージが入れば、少しは怯んでもいいはず...あっ、ダメだわ。よくよく考えたら、アクセルの打撃を受けても少しも表情変えてなかったわ。俺くらいの速度じゃ怯むわけねぇわ。
となると、こちらの攻撃は効かないし、ゴモンも俺に攻撃することができない。軽い膠着状態だな。
状況を打破するにはまず、観察だ。さっき後回しにした、反撃流の発動条件や硬直の原理の解明。観察をしてそれらを解明すれば、反撃流の突破につながるはずだ。
ゴモンに近づき、能力の範囲内に入れる。そして意識を集中し、体の内部、筋肉の動きに至るまで情報を取り入れていく。
構えはさっきと変わらない...ように見えて、実は毎回微妙に変わっている。足の位置や、腕の角度、手の開き具合や方向などは結構変わっている。さっき俺の股間蹴りを手で受け止めた時にも反撃流が発動していたのを見るに、構えは発動条件に深い関わりがあるわけではなさそうだ。多少の可変は許容されている。構えを崩すことでは、反撃流は崩せない。
なら、片足を地面につけているだけで発動できるものなのか?流石にそんな緩い条件ではないはず。空中では発動できないから、片足をつけるのは条件の一つではあるだろうけど、それだけでは発動できない。何か他にも条件はある。
ってかそもそもこれ、体術でできる所業じゃないから魔法だよな?魔法だと心の中で詠唱してしまえば発動できてしまう。魔法だとすると、途中で解除させるってのは難しいから、そのまま攻略は難しいってことに繋がるが、攻略不可能ならこの試験は成り立たない。何か突破口は必ずあるはず。
…そういや、仮にも道場なわけだし、修行させてから習得させるのだから、ただの魔法ではないはず。修行はただ単に痛みに慣れるためとかだったら前提が崩れるから考えないものとするが、ただの魔法ではないとなると、考えられるのは一つ。
反撃流は、ミルキーの音楽と同じように、原初の魔法と同様の原理で発動している、というものだ。とある動作をもって、魔法現象を引き起こしている。その動作を身につけるための修行なのだ。
反撃流は原初の魔法である。その推測のもと、考察を続けていこう。おそらく、反撃流の発動条件の一つは呼吸だ。ゴモンはさっきからずっと、少し奇妙なリズムで呼吸をしている。身体の内部で、通常と違う動きをしているのは呼吸器官だけだった。この特殊な呼吸が発動のトリガーだ。
だが、それが分かったところで、打撃では呼吸を止めることはできない。普通なら鳩尾を殴れば一時的に呼吸困難になるが、反撃流適用下ではそれができない。
他に呼吸を止める方法はあるか?真っ先に思い浮かぶのは、頸動脈を締めること。この方法なら、反撃流で止めることはできない。だが、硬直によって止められてしまう。片足を離している少しの時間のうちに締め落とすことは、首を絞めることに慣れていない俺にはできない。硬直を突破する必要がある。
だが、おそらく硬直は原初の魔法ではない。アクセルは硬直を反撃流の効果の一部だと考えていたけれど、もしそうなら口も動かなくなるはず。硬直は反撃流とは違う別の魔法なのだ。
ゴモンが別の魔法を使って反撃流をサポートしているのは事実だ。アクセルとの試合中に上半身と下半身への同時攻撃を受けた後、ゴモンは「昔はこれでやられたが今は違う」と言った。原初の魔法をカスタムすることはできない。別の魔法で補助をしていると考えるのが自然だ。硬直も、その補助魔法の内の一つだと考えられる。
…ダメだ。別の魔法だということはわかっても、攻略法がわからない。一旦硬直を喰らってみて、具体的にどこが動かせないのかを調べてみるか。
「待たせたな。一発試させてもらうぜ」
蹴りを側頭部に叩き込む。が、ゴモンに触れると同時に体が動かなくなる。
相変わらず、指一本動かない。けれど、体内器官まで止まってるわけじゃないし、口は動く。目を開くこともできるな。でも、頭そのものは動かせない。正確には首を動かせない、だけど頭を動かせないのには変わりない。となると、動かせないのは五体だけ...?
…いや、違うな。これ、首から下への体性神経の動きを遮断されているだけか?自律神経は生きているから、体内器官は動いたまんまなんだ。
「ならこっちも、一発叩き込ませてもらおう」
と、色々考えていたら、なぜかゴモンは右拳で自身の足を叩きつけた。
「足を離さなくとも、反撃はできる」
…まずい。速度探知のおかげでわかってしまう。右拳に走った衝撃は足の方へと移動していく。こっちは関係ない。が、足から登ってくる衝撃は無視できない。このままだと頭から俺の方まで衝撃が送られてくるだろう。足が離れていないから、回避することもできない。
「くっ...そ、『雷装』!」
できるなら使わない方向でいこうと思っていたが、解禁して雷装を発動し電流をゴモンに流す。
「こ...この痛み...は⁉︎」
今まで感じたこともない痛みに、思わずゴモンが一歩後退りする。その隙をついて離脱する。
「なんだ?今のは...天の怒りか?」
「使いたくはなかったんだがな...」
「使えるものは存分に使え。全力でかかってこい。それを耐えてこそ、反撃流なり」
「…そうか。なら、無理矢理突破させてもらう!」
硬直の攻略法を考えるのをやめる。そして一瞬でゴモンの背後に周り、チョークスリーパーをかける。ただし、触れた瞬間に硬直したため、まだちゃんと締められてはいない。電流の痛みで足が離れるのを待ち続ける。
「っ...ぐっ...耐えて...みせる...!」
チキショウもう順応しだしてやがる!こうなったらゴモンの足の神経に電流を流して無理矢理動かすしか...ダメだ、それだと洗脳操作と変わんない。なんとかして腕を動かせれば...
……いける。雷装なら、腕を動かせる!
「ふんっ!」
雷装で腕の神経に電流を流し、無理矢理動かして首を絞める。
「コヒュッ...」
グググっと首を締め上げ、呼吸を苦しくしていく...呼吸のリズムが崩れた!体が動く!
「オラどっせい!」
足をゴモンの腰に引っかけ、全体重をかけて後ろへと倒れ込む。雷装での痛みもあり、既に意識が薄れ始めていたゴモンが抵抗できるわけもなく、その両足は地面から離れた。
「グエッ」
そのまま後ろに倒れたため、俺はゴモンの下敷きになってカエルが潰れたような声を出してしまった。い、いてぇ...ってか、気絶してるな。無理矢理腕を動かしたから力加減ができなくて絞めすぎたみたいだ。
こりゃ、起きるのを待つしかないな...
「では、我が反撃流を伝授しよう」
「押忍!」
試験が終わって復活したゴモンに、これから反撃流を伝授してもらうところだ。試験終了直後、ゴモンが痺れるという未知の感覚と痛みを味わえたことに感謝してきてちょっと引いたが、それは置いておくとしよう。
「首を絞めてきたきたところを見るに、おおよそ見当はついているのだろうが...我が反撃流は呼吸によって発動する。地に足をつけ、大地のエネルギーを得て、それを呼吸で形作ることで使うことができる」
大地のエネルギー...?地脈とかあるのかこの世界。
「想像しづらいとは思うが、習うより慣れよだ。我の呼吸を真似してみよ。一から十まで、全て叩き込んでやろう」
そうして、ゴモンの反撃流レッスンが始まった。
反撃流を突破させる方法を考えるのにめっちゃ苦労しました。
設定を強くしすぎて、首を絞めるとかいう結構無理くりな方法を採用する羽目に...反面、設定的にカリヤくんなら簡単に突破できてしまうためミュラー戦は短くなるしで、強さのバランスが難しいんですよね...正直、アクセルとカノウとワンナとクミリアの四人がいれば、そこらのゲームの魔王くらいなら倒せそうですし。
バランス崩壊には気をつけよう(戒め)