前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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クミリアの口調こんなんだったっけ...思い出せなくなっちったせいで以前と違う気がするけど、気にせんといてください。


全力疾走、音を超えて

「準備はいい?」

 

「ああ、作戦もある程度立てたよ」

 

ほぼ適宜なんとかするアドリブを求められるけどな!そもそもこいつを使うの自体初めてなんだからちゃんと実践で使えるかどうか確かめてすらいないってのに...

 

「作戦ってどんなの?」

 

「…それ、本気で聞こうとしてるだけなのか、ネタで言ってんのかわかんねぇな...」

 

「あはは、聞いても答えるわけないか!」

 

「なんでこうも試合前に緊張抜けるような会話が...まさか、これが狙いだったり?」

 

「そーんな狡いことはしないよ」

 

意識的にやってるわけじゃないのはわかってるけど、結果は同じだよなぁ...ってのは声に出さないでおいた。

 

「それじゃあ始めようか!」

 

「だな...冷静に、冷静に...」

 

すぅーっと、目を閉じて深呼吸をする。必要なのは集中。能力の限界を超えた先に、適応するために...

 

「一応言っておくが、ちゃんと見えてるからな」

 

クミリアの攻撃を避けながら呟く。この速度なら普通に避けられる。うん、避けられるとわかっていれば、怯える必要もない。難なく避けられる。

 

「…さて、やるか」

 

意識を全身に集中させながら、魔力を魔法図鑑に流していく。

 

この魔法は、大量の魔法を同時に発動するために作り出した複合魔法陣によって発動するものだ。

 

この魔法は、つい三日前から試行錯誤をしながら作っていたものだ。まだ未完成。ちゃんと使えるかはわからない。

 

この魔法は、とある人物を超えるために作り出したものだ。

 

この魔法を使えば俺は...

 

誰よりも速くなれる。

 

9934、9935ページ

 

その魔法の名は

 

全力疾走(オーバーアクセル)...!」

 

音速のアクセルを全力をもって超える。そんな目的で作られたこの魔法には、この単純な名前がふさわしい。

 

「ふっ...!」

 

地面を蹴ると、今までの何倍もの速さで体が動き出す。秒速にして230メートルちょい。大会で見せたアクセルの速度を、若干ながら超えている。

 

「オラァッ!」

 

この地を一瞬で駆け抜けてクミリアに接近すると、肩に拳を打ちつけてそのまますれ違うように走り抜ける。武器は使わない。この速度だと耐えきれずに壊れてしまう。

 

「んっ...速いね!アクセルを超えたんじゃない?」

 

うまく受け流されたか...今の俺に会話するほどの余裕はない。ちょっとした気合いを入れる声を除けば、俺の口からは苦しそうな呼吸音しか発しない。

 

息は苦しいが、クミリアへの攻撃はやめない。すれ違いざまの攻撃を繰り返す。クリーンヒットの攻撃を繰り出すことはできない。それをしてしまえば、俺の体が耐えきれず文字通り砕けてしまう。

 

「アクセルとはちょっと加速の方法が違うのかな...攻撃が読みやすいね。この速度ならまだ避けれるよ!」

 

そうだ。クミリアなら、秒速200メートルでもカウンターを叩き込むことができる。少し速くなったところで、それは変わらないらしい。できる限りカウンターを喰らわないようにしながら攻撃してみるが...その分威力を出せなくなってしまう。この速度では足りない。

 

息が苦しい。脳への酸素の供給が、速度操作で加速しても間に合わなくなってきてる。スタミナが枯渇しかけてる...

 

「さらに...」

 

スタミナが切れかけ、速度も足りない。ならば、やることは一つ。

 

「ん?」

 

「加速...」

 

視線を上げ、クミリアを見る。

 

「『雷装』...!!」

 

ズバンッ!と、身体中に電流が流れる。それと共に、抜けかけていた力が戻ってくる...強制的に。

 

「ア゛ッ...グッ...ッッ!」

 

雷装発動中にスタミナ切れを起こした場合に起こる、動けるけど激痛が生じるこの状態。耐えきれないほどの痛みをなんとか...そう、なんとか抑えつけ、足を前に出す。

 

その瞬間、俺は音を超えた。

 

「ウ、オ...ラァッ!」

 

クミリアの肩めがけて飛び蹴りを放つ。今のこの状態は想定よりも負担が大きすぎ、おそらく一回しか攻撃できない。なので、最後の攻撃を絶対の致命とするために、この蹴りを放った。

 

「あっ」

 

「えっ?」

 

アカン。

 

全然制御できなかった。

 

狙いが大きく外れた。

 

音速の蹴りがクミリアの横を通り過ぎ、そのまま止まることも出来ずに壁へと激突。

 

そのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、大丈夫かー?」

 

「……ハッ⁉︎」

 

クミリアに揺すられて目が覚めた。確か俺は、音速で壁に激突して...

 

「おっ、よかった目覚めた。ほんとすごいよねこの闘技場。ぐっちゃぐちゃになっても元通りになるし」

 

……うん、そりゃあの速度で激突したらぐっちゃぐちゃになるだろうけどさ。想像しちゃうから言わないで欲しかった...!

 

「それよりもさっきの速かったねー。流石のクミさんも反応できなかったよ」

 

「自分で流石とか言わない方がいいと思うんだけどな...っとと、まだ動けないか」

 

スタミナ切れを起こしているのに雷装で無理矢理動いたせいか、起きあがろうとしたけど体が一切動かなかった。

 

「こりゃ明日は筋肉痛かな...」

 

懐かしいな。王都に着いた次の日を思い出す。

 

「とりあえず、めちゃ疲れたからもうちょい寝かせて...」

 

「えっ、ちょっと待ってよさっきのやつどうやったのか教えてよ気になるじゃん!」

 

「揺らすな揺らすな...起きたらな。聞きたきゃ俺を救護室に連れてっといて...」

 

「うわホントに寝た!消耗激しいのかな...よいしょっと」

 

目を閉じ、クミリアに運ばれている揺れだけを感じる。一応言っておくが、本当に寝たわけではないぞ?速度操作でスタミナ回復速度を加速させて、少しでも早く動けるように努力はしている。疲れてはいるが、寝るほどではないしな。

 

5092ページ 黒のみ 再生

 

一応再生の魔法を発動させ、これも加速させる。闘技場の効果で傷は全て完治したとは思ってるけど、万が一があっては困るのでやっておく。痛みも少しは和らぐしな...

 

「到着...よっと」

 

ベッドに寝かされる。心なしか、前にワンナと戦った闘技場のベッドよりも柔らかい気がする。流石はこの町最大の闘技場...?設備もいいのかな?

 

「運んでくれてありがとうクミリア」

 

「起きてたんかいっ!」

 

「本当に寝るわけないだろ...んで、さっきの加速魔法について聞きたいんだったな?」

 

「う、うん。あれってどうやってたの?」

 

クミリアに全力疾走について説明する。

 

全力疾走は、俺の知っている全ての加速魔法、身体能力強化魔法、物理保護魔法など、さまざまな魔法を同時に発動することで成り立っている複合魔法だ。結局勘違いだった、アクセルの加速の原理を再現したわけだ。

 

これと速度操作での加速を同時に発動することで、俺は秒速230メートルの速度へと到達することができる。武器は使えない。肉体の物理保護も微妙に足りていないので、無理な動きをすると身体が壊れてしまうのが難点だ。たが、まだこの速度に反射速度が追いついているので、安定して使えるのはこの段階までだな。

 

なお、この状態はスタミナの消費が激しすぎて、一分も経たずにスタミナ切れを起こしてしまう。

 

その欠点を解消できるのが雷装なのだが...これをすると、さらに加速することになる。原理は不明だが、現在速度の1.5倍の速度になる雷装の効果で秒速230メートルの1.5倍、秒速345メートルにまで加速する。音速を超えるわけだ。まったく、何が生体電気の刺激で筋肉が効率的に動かせるようになる、だ。予想完全に外れてるじゃねぇかなんで1.5倍になるんだわけわかんねぇ。

 

と、そんなことは置いといて...この雷装、スタミナ切れの欠点がなくなるのはいいが、さっき言った通り更なる加速をもたらしてしまう。音速にまでなるとただでさえ心もとなかった物理保護がさらに足りなくなるし、ギリギリで保っていた制御を失ってしまった。雷装を使うなら、いくつか加速バフを切る必要がありそうだ。ここら辺は要検証、要改造だな。

 

ひとまず、雷装の痛みはなんとか耐えられるってのがわかっただけよかった。うまくやれば使えなくはないってのもわかったし、アクセルと戦う日までには、もっと使いやすいように修正しないとな。

 

…ってなことを、無駄は省き、必要な部分だけをかいつまんでクミリアに説明した。いやー、やっぱ説明って難しい。自分の頭の中にしかないものを、一回で聞いて理解できるように言葉にするのは何度やっても難しいと思ってしまう。

 

「話を聞いて、やっぱり負荷が大きそうだなって思ったよ。出来るだけ使うべきではないだろうね」

 

「まぁな。これが必要になることなんて、アクセルと試合をするときか、魔王と戦うときくらいだろうさ。それまでには改良できるだろうし、音速には速度操作だけでたどり着けるようにしたい」

 

そう、速度操作だけでできるならば、全力疾走を使う必要がなくなるのだ。加速の最大値が上がれば物理保護が強くかかるようになるので、使わなければならない状況に追い込まれても比較的安全に使えるようになるのだ。

 

「ところで...どんな魔法を混ぜているのか見せてもらってもいい?」

 

「ああ。自作だからごちゃっとしてるが、これでいいなら」

 

そう言いながら俺はポーチから魔法図鑑を取り出し、裏表紙側から開いて一枚ページを捲る。

 

「これがポーチの中身かぁ...魔導書ってやつ?」

 

「ああ。世界に一つだけの、俺だけの魔法図鑑だ」

 

「うわ、たしかにごちゃっとしてるね...何個ぐらい混ぜたの?」

 

「聞けよ...正確な数は覚えてないな。五十は超えてるんじゃないか?」

 

「それはすごい。こんな大きさの紙によく描けたね...おわっ、知らない魔法陣がある!これも知らない...」

 

若干目をキラキラさせながら魔法陣を見ていくクミリア。クミリアって武闘家だけど、意外と魔法使うしまぁまぁ魔法にも詳しいよな。普通に頭がいい方だ。

 

「でも、クミさんが知ってるやつが何個か入ってなかったりするね...」

 

「っ⁉︎それマジ?ちょっと教えてくれよ」

 

「いいよー。あっ、でも...これをクミさんにも使えるようにしてくれたら、ってことにしよっかなー」

 

「交換条件ってやつ?...クミリアの魔法適性がどれくらいかによって変わると思うけど、俺と同じくらいの速度を出すのは無理だと思うぞ」

 

「どうして?」

 

「速度操作を使い続けていたからか、全力疾走に使ってる魔法の適性がバカ高くなってるんだよね。適性の問題が解決しても、速度操作で加速した分の速度は別の方法で補わないといけないしな」

 

「そっかぁ...その速度操作を使わなかったらどれくらい遅くなっちゃう感じ?」

 

「使ったら秒速230メートルで、使わなかったら180くらいかな。差し引き50メートル分をクミリアが補う必要がある」

 

「それは流石のクミさんでも厳しいかなぁ...」

 

「あと、スタミナの消費も激しいからな。クミリアは俺よりもスタミナあるだろうから長く使えると思うけど、それでも一、二分でスタミナ切れを起こすと思う。教えるのはいいけど、そこだけ承知してくれ」

 

「んー...やっぱさっきの無しで。クミさん短期決戦よりも、持久戦の方が得意だからさ。その...オーバーアクセルだっけ?クミさんにはいらなそうかな」

 

「そうか...専用に調整したのを作るってのもできると思うけど、どうだ?」

 

「うーん...一応お願いだけしておこうかな。あっ、ゆっくりでいいからね?これから長い付き合いになるんだしさ」

 

「確かに。それもそうだな」

 

クミリアとはこれから仲間として共に戦うことになる。今すぐじゃなくていい。共に旅をして、クミリアについてよく知ったあとに専用の魔法を作ればいいのだ。

 

「あっ、なんか紙持ってる?魔法陣描いてあげるよ」

 

「紙か。それなら鞄に...放り捨ててそのままだったな」

 

クミリアとの試合の後に回収するの忘れてた。ってか、クミリアに運んでもらうときに一緒に持って貰えばよかった。俺のことを軽々と持ち上げてたし、追加で鞄くらいなら余裕で持てるだろう。

 

「ちょっと待ってて。鞄取ってくるわ」

 

「ああ動かないの。待ってて、クミさんが代わりに取ってきてあげるから」

 

「いや、俺のだし自分で...って、もう行っちゃったか。早いな」

 

クミリアが救護室から出ていく。言う前に動いてればよかったな...もう戻ってきた。往復早くね?

 

「はい鞄」

 

「ありがとう。よいしょっと、はい紙」

 

「よくそんなに早く取り出せるね」

 

紙を受け取りながらクミリアがつぶやく。

 

「速度探知で見えてるからな。周囲のものの位置は大体わかる」

 

「へー。索敵とかに便利そうだね」

 

「うん、結構便利だよ。あっ、そうだ。あとで速度操作について説明しておくわ。前衛のクミリアは加速させる機会多いだろうしね」

 

「そうだね。今のうちに互いにできること説明しておいた方がいっか」

 

クミリアは紙に魔法陣を描きながら言う。描きながらでも話せるっぽいし、待たないでこのまま話そう。

 

「そうだ、先に一個聞いてもいい?」

 

「なんだ?」

 

「雷装ってどうやって手に入れたの?」

 

ちょっとキラキラとした目でこちらを見ながら聞いてくるクミリア。そんなに欲しいのか...?

 

「かみな...天の怒りに打たれたらいつのまにか手に入れてた」

 

「それだけ?」

 

「うん」

 

「それならクミさんも手に入れてないとおかしいんだけどな...」

 

「…ん?」

 

今...なんて言った?

 

「もしかして、クミリア天の怒りに打たれたことある?」

 

「一度だけね。いやーあれは死ぬかと思ったよ」

 

「よく生きてたな」

 

「それはカリヤもでしょ」

 

まぁそれはそうなんだけど。俺は二回も雷浴びてるし尚更だ。なんで生きてんだって言われても、それはニアのおかげとしか言いようがないんだが。

 

「話を戻すけど、天の怒りに打たれるだけで雷装を使えるようになるなら、他にもいろんな人が使えてないとおかしいんだよね」

 

「それは多分回数の問題だろうな。俺は二回喰らったから」

 

「二回浴びて生きてた人も昔いたらしいけど、その人は使えなかったみたいだよ?」

 

「…じゃあ浴びた頻度の問題か?それとも、先に剣や矢の雷装を使えてないとダメなのか...?」

 

「もしかして、君が神の使いだからじゃない?」

 

「いや、それは無いと思う。武器に付与するタイプの雷装は渡せば他人にも使えたから、神の使いだからって理由じゃないと思うんだ」

 

「んー...じゃあ条件ってなんだろうね?」

 

「それは俺も知りたい。知ってたら真っ先にクミリアに教えてるよ」

 

クミリアが雷装を使えたらもう無双できると思う。

 

「単純に数が必要なわけではないと思うんだよな。仮に数だとすると、俺が雷装発動して殴ってきた人たち全員使えてないとおかしいし。何か特殊な条件があるんだろうなぁ...スキルの定義としてはおかしいんだけどさ」

 

スキルは一度起こった状況を再現するもの。だから、会得に特殊な条件があるってのはなかなかにおかしいことなのだ。まぁ、勇者にしか使えない天の怒りを扱えるスキルだから、この世界の摂理的な何かで規制されてる可能性は大いにあるが。

 

「はい、描けたよー」

 

「サンキュー。後で使わせてもらうわ」

 

紙を受け取り、一旦鞄の中にしまう。後でしっかり清書し、魔法図鑑のフォーマットに合わせていくのだ。

 

「よいしょっと...こっからは移動しながら話そうぜ」

 

ベッドから起き上がり、装備をいつものように取り付け荷物を背負いながら言う。

 

「どこに行くの?」

 

「ギルドだ。クミリアと一緒にやろうって思ってた依頼があってな。会ったばっかだが、さっそく合わせるぞ」

 

「オッケーぶっつけ本番はクミさん得意だよー」

 

「それはよかった。じゃあ行こう。さっきから俺の話ばっかだから、今度はクミリアのことについて聞かせてくれよ」

 

「いいよー。クミさんはねぇ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、未来跳躍が...っと、着いたか」

 

ギルドに到着した。二人で中に入る。

 

「やっぱりこの時間は空いてるねぇ...キネットさーん!依頼受けに来たよー」

 

クミリアがささっと受付の方まで歩いていく。受ける依頼はもう決まっているし、誰かに並ばれる前に受けてしまおうってわけだろう。

 

「クミリアさん、公共の場ですのでお静かに。っと、カリヤさんも一緒でしたか。今日は二人で依頼を?」

 

「ああ。連携の練習ついでに、こいつを消化しておこうと思ってな」

 

「なるほど、この依頼ですか...わかりました。受諾します」

 

「あっ、そうだ。キネットさん、アクセルを見かけてませんか?」

 

大会が終わってからアクセルに一度も会ってないんだよな。後夜祭にいなかったし、ワンナも会わなかったみたいだから連絡を取ることもできず...ギルドには来てるだろうから、聞いておきたかった。

 

「アクセルさんですか...ここ二、三日見かけていませんね」

 

「そうか...」

 

ギルドにも来てないのか。何やってるんだろう...クミリアに負けたのが悔しくて、修行でもしてるんだろうか。

 

「何か用があるのなら、言付けを預かりますが」

 

「じゃあ頼もうかな。約束を果たしたいから、昼の6時にギルドの前で待っている、と伝えてくれ」

 

「了解しました。見かけたら伝えておきます」

 

これでよし...と。

 

「じゃあ用はこれだけなんで、バッチリ討伐して戻ってきますね」

 

「健闘を祈ります」

 

「じゃあーねーキネットさん」

 

ギルドを後にする。

 

「ねぇ、さっき言ってた約束ってなに?」

 

「いやな、前にとある依頼でアクセルと会ったんだが、その時に次会ったら戦おうと約束したんだ」

 

「同じ加速使いだから、戦ってみたいってなったわけ?」

 

「そんな感じだ。んで、大会前にバッタリ会ったんだが、その時は時間がないってんで後回しになってたのをやりたかったんだけど...それから一切会わなくてな。なかなか約束を果たせずここまで経ったわけだ」

 

「なるほどなるほど...で、今やって勝てるの?」

 

「三...いや、二割いけばいいほうかな。全力疾走だけでもある程度戦えるだろうけど、雷装を使わないとアクセルの最高速度は超えれないからな。うまく一撃当てられれば勝てるけど、制御をミスれば自滅するだけって感じだ」

 

アクセルに勝つために作ったのが全力疾走だが、クミリアに対して使って十分に理解した。まだまだ調整不足。これを使って勝てる確率は低い。明日にも戦う可能性はあるため、早急な調整が必要だな。

 

「そ、頑張ってね。よければ、クミさんが練習相手になってあげよう」

 

「助かる。ま、とりあえずそれは置いといて、依頼解決しに行こうぜ」

 

「あ、うん。なんの依頼なのか知らないけど行こー!」

 

「あれ?言ってなかったっけ?」

 

「お互いの戦力の話ばっかで依頼の話は一切してなかったよ?」

 

「そっかぁ...さっき受けた依頼はな、巨大化した魔物の討伐だ」

 

キネットから受け取った三つの依頼の一つだ。一人だけでもできる程度のものだが、せっかくだからクミリアとの連携を試すために使うことにしたのだ。

 

「クミリアも巨大化した魔物の話は聞いたことあるだろ?そのうちの一体ってわけだ」

 

「それくらいのことは流石にクミさんも知ってるよ、何体か倒したことあるし」

 

うん、そんなことだろうと思ってたよ、うん。

 

「で、今回の魔物はどんな感じのやつなの?」

 

「まずサイズは十数メートル級。そこそこの大きさだな」

 

「普通の魔物に比べたら十分でかいんだけど...なんか基準おかしくない?」

 

「カイスで百は余裕で超えてそうなやつと戦ったからな...っと、話がズレたから戻すぞ」

 

まぁとある理由から、全く関係がないとは言えないんだけどな。

 

「その巨大化した魔物は、紫色の鎧を着て、盾とサーベルを持ってる」

 

「ああ、あの魔物か」

 

「…うん、多分勘違いしてるだろうから一応言っておくよ?クミリアが考えてるのって、このガネルの近くによくいる魔法耐性持ちの魔物だよな?」

 

「そうだけど...違うの?」

 

「今回のはその逆。カイスの方から転移されてきた物理耐性持ちの魔物だ」

 

「…それ、クミさんいる?カリヤが魔法使って倒せばいいんじゃ?」

 

「いるいる。物理耐性持ちならば、クミリアがどの程度まで戦えるのかハッキリわかるし、俺もどんなサポートをすればいいのかがわかりやすい。倒しにくいからこそ、試金石たりえるのさ。ってか、クミリアそういうの好きそうだと思ってたんだけど違うの?」

 

「戦うのは好きだけど、無駄に戦うのはちょっと...」

 

「無駄言うなし。これからのためだと思ってさ、俺も十分、いや、十二分にサポートするから頑張ろうぜ」

 

「まぁ依頼受けたわけだし、そこはちゃんと頑張りますよ。それで、その魔物はどこにいるの?」

 

「えっと確か、ガネルから北西に15キロくらいのところだったかな...」

 

「…それ、今から行ったら帰り夜にならない?」

 

「大丈夫だ。たった15キロだろ?走れば5分で着く」

 

「そりゃ加速できるんだからそうなんだろうけど、やっぱり感覚おかしくなってない?」

 

「それはほら、そっちが慣れてもらわないと。これから先、移動はたいてい加速ダッシュになるわけだし」

 

「戦う前にスタミナ減らすのはどうなのさ」

 

「それは回復を加速すればいいだけだ。ほら、とりあえずガネルを出るぞ。流石に町の中で加速ダッシュをするわけにはいかないしな」

 

「本当に走るんだ...わかったよもう仕方ないな、クミさんはカリヤについていきますよー」

 

俺たちはガネルを出て、巨大化魔物のいるところへと向かった。




前話の後書きにカリヤくん挽回させるとか書いたけど、たった2000字で終わった...あるぇー?
もっと長くやるはずだったのに、めちゃ早く終わってしまった。
カリヤくんが加速させてしまったのか...?

次回は巨大化魔物と戦います。
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