前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
今回戦闘描写なしです。
何話ぶりだろ...
「ここがネオンの言ってた店か...」
俺は今、ネオンと戦ったときに聞いておいた店の前に来ていた。
「これで刀が手に入る...!使ってみたかったんだよねジャパニーズKATANA!」
日本男子、それも男子高校生ならば誰しも日本刀に憧れるというものだろう。実は異世界に来て、もう日本刀に触れるチャンスすらなくなったんだなと落ち込んでいたりもした。ネオンが大会で使っていたのを見た瞬間、表面には出さなかったものの、たしかに心は踊っていた。
「刀を注文したら、昼飯食べてからクミリアと依頼やって...ああ待ちきれない!完成にはどれくらいかかるんだろう!」
あの刀は特注品って話だったし、早くても数日はかかるはず...あっ、こうなりゃネオンの刀そのまま作ってもらおうかな?製作使えば完璧に同じものを作れるはずだし、俺専用のが完成するまでの繋ぎとして作ってもらうのは結構いいかもしれないな。金はかかるだろうが、巨大化魔物の討伐で結構な量の報酬をもらえているし問題ないはずだ。
「すまん、そこに立たれると邪魔なんだが...」
「あっ、すんません」
はしゃぎすぎたな。流石に反省だ。
横に避けると、男の人が店の鍵を開ける。やっと開店か。わっくわっくしすぎて開店前に来てしまったため、結構な時間待つことになってしまったが...後悔はない。
ってか、この人かなり若いな。ただの店員なのか、それとも店主なのか...王都のクルスなり、ガルムの防具屋の夫婦なり、この世界ではなぜか若い人が店主やってること多いからよくわからん。ちょうど世代交代のタイミングなのだろうか。
「…もしかして客か?」
鍵を開けた男が、俺の方を見ながらそう言う。
「はい!」
「こんな朝っぱらから元気いいな...」
「もう昼の5時ですけどね」
「俺にとっては十分朝だ。ほら、客ならさっさと店に入りな」
あくびをしながら店の中へと入っていく男。なんというか...レストと似た気配を感じる。相当なマイペースと見た。
まぁとりあえず、俺も店に入るとしよう。
「適当に置いてあるもの見ながら待っていてくれ。準備してくる」
男は店の奥へと消えていく。言われた通り、置いてある武器を見ていこう。まぁ、今のところ刀以外に欲しいものがないので、本当に見ていくだけになるが。
「品揃え多いな...ってKATANAやんけ!製作で作った刀かこれ普通に買えんじゃん!」
一度作ったものは何度でも作れるからか、普通に陳列されていた。需要があるかわからないためか、値段設定は少しお高めだな。買い手が多ければいずれ安くなるだろう。
「ってか、刀以外の武器、何か見覚えがあるような...」
「さてさてお客さん、何をお求めだい?」
男が戻ってきた。さっきと口調が変わったな。仕事モードだろうか。
「ちょっと作ってもらいたい武器がありまして」
「なるほど、製作の方だったか...ちと値段は張るが問題ないか?」
「大丈夫です。お金ならあるんで」
「わかった...ん?ちょっとお客さん、装備している武器を見せてくれないかい?そのダガーと、ロングソードだ」
「いいですけど...」
なんだろ。うちの商品の方がいいから買った方がいいとか言われるのかな?たしかに消耗してきているけど、出来るだけ修繕して使っていきたい。特に理由はないんだがな。
「……やっぱりそうか。お客さん、この武器は王都で買ったものかい?」
「そうですけど、なんですか?」
「その店の店主、名はクルスと言うのでは?」
「…ですね。知り合いなんですか?」
「知り合いもなにも、従兄弟だ。武器の製法が伯父のものと酷似している...成長したな、クルス」
世界って狭いなぁ...すぐに知り合いの関係者に会う。地球よりも小さ...いや、比較対象が違うな。この世界、四国より少し大きいくらいの大きさだから文字通り世界が狭い。だからすぐに知り合いの知り合いに会うのだろう。
「そして武器の状態もいい。買ったのはいつだい?」
「えっと...七ヶ月前だったかな」
「それでこの状態なら...いいね、これの修繕もオマケでやろう。修繕費はタダ。望む武器の製作代だけで二つやる。これでいいかい?」
「ならそれでお願いします」
なんか本来よりも安くしてくれるみたいだ。当初の代金で修繕までやってくれるとは...金はあるにしても、ちょっと嬉しくなる。
「では、作って欲しい武器の製作に移ろうか。どんな武器が欲しいんだ?」
「えっと、アレみたいな刀が欲しいんですけど...」
「そうか。具体的なイメージはあるか?どういう用途で使うのか、どのくらいの強度や切れ味が欲しいのかなどなど...出来るだけ鮮明であればあるほど作りやすいのだが」
「えーっと、強度は...」
「ああ、声に出して言う必要はない。直接イメージを覗かせてもらうから」
「覗く?」
「頭触るがいいか?」
「…?」
よくわからないがとりあえず頷いてみると、男はカウンターを乗り越えて、俺をすぐ近くの椅子に座らせるとそのまま俺の頭に触れる。
「今からお客さんの思考、武器のイメージを読み取ります。お客さんの望む、最高の武器を作りますんで、これぞ最強!という武器を思い浮かべてください」
「わかりました」
イメージを読み取る...か。神様ー、なんとなくわかってるだろうけど、翻訳の石の効果を一時的に思考にまで作用するように拡張してくれない?
『了解じゃ』
よし、これで問題なくイメージを読み取れるはず。
刀のイメージか...とりあえず、強度は欲しいな。速度操作での物理保護である程度守れるとはいえ、壊れるときは壊れる。魔法での保護も十二分にかけるが、素の強度はあればあるほどいい。
切れ味は...引っかからずにスパッと切れるくらいの切れ味があれば十分だろう。最低限引っかかりさえしなければ、速度操作での加速で威力は出せる。鉄や石を切れる...まではいらないかな。肉と骨を断ち切れるくらいでいいはず。
他には...ってか、素材ってどうなるんだろう。確か日本刀って、玉鋼ってのが必要なんじゃなかったっけ?たたら製鉄...とかいう方法でしか玉鋼は作れなかったはず。その技術がこの世界にあるのか...?いやでも、あのネオンの刀を作れたのなら、玉鋼を作れるのか?
「……大体読み取れた」
あっ、色々考えているうちに、イメージを読み取れたみたいだ。俺の頭から手が離れる。大丈夫かな?ちゃんと俺の要望通ったのかわかんないからちょっと不安だ。
「お客さん...実家は鍛冶屋かなんかで?」
「いえ、違いますけど...」
「では!さっきの謎の金属はなんなんですか!たたら製鉄というのはいったい...!」
うわすっごい目キラキラしてる!そんな目で見られても俺鍛冶師じゃねぇしネット知識だから教えられねぇぞどうしよう。
「あの、俺もそこまで詳しくないので...」
「いえ大丈夫です!結構鮮明なイメージだったんで、どうやれば作れるのかも大体わかりました!久しぶりに試行錯誤して頑張って作ります!」
「…久しぶり?」
どういうことだろう。最近はオーダーメイドしにくる人がいなかったのかな?
「ああ、本来ならイメージを読み取ればそのままその通りのものを作り出せるんですよ」
えっ、なにそれすごくね?実質、イメージを現実にする魔法やんけ。武器屋の店主にしておくには普通に惜しいチカラなんだけど。
「でも今回は素材や製法が謎なんでそれが出来ないんですよ...でも問題ありません!二週間...いや、一週間でお望みの武器を作って差し上げます!」
「お、おう...頑張ってください」
気迫に押されて変な返事になっちまったな...ま、まぁちゃんと作ってくれそうだからよかったよかった。
「早速作ってきます!」
「えっ、あちょっと待ってくださいこの刀買っておきたいんですけど、あと日本刀の製作の代金は?」
「後払いなんで完成品受け取りの時に代金は持ってきてください!その刀の代金はカウンターの引き出しの中に入れて、そのまま持ってってください私は作業してるので!」
そう言いながら男は店の奥へと消えていった。慌ただしいというかなんというか...ってか、レジの場所勝手に開けていいのか?興奮しすぎててちょっと不安になる。
「まぁ盗む気ないからいいんだけどさ...一見さんなんだし、もう少し気をつけて欲しいよな」
陳列されている刀を取り、カウンターを乗り越えて引き出しに代金を入れる...これ、もし窓があったら強盗に見られてもおかしくないよな。なんで窓ないんだほんと不安になるぞ。
「…んよし。気にしてもしゃーないそういうもんだと考えとこう」
言ってみりゃ他人だしな。それに、俺が知らないだけでどうせ何かしらの魔法で防犯してるんだろう。払わずに出たら警報が鳴るなり、そもそも出られなかったりしそうだ。
「刀買ったし、ご飯食べてからギルド行こーっと」
俺は店を出て、昼飯を食べるために宿へと向かった。
「クミリアが風邪ひいたぁ?」
「そうらしいですね。ご家族の方からのカリヤさん宛ての伝言によればですが」
風邪かぁ...ちゃんとこの世界にもあるんだな。アレ?でも風邪って似たような症状の総称だったような...俺が思ってるような風邪じゃない可能性もあるな。
というか、俺って免疫とかどうなってるんだろう。神様が一から作った体なわけだし、親から遺伝するような免疫は持ってないってことだよな?そもそもこの世界のウイルスとか細菌ってどんなのなんだ?魔法がある世界なわけだし、地球のウイルスとは全く別物だろうし...か、罹りたくねぇ。めっちゃ怖い。もともと持ってたインフルとかの耐性は通用しないはずだし、出来るだけ病気にならないように注意しないと...
「…カリヤさん?どうされました?」
「あっ、すんませんちょっと考え事を...とりあえず今日は一人で依頼になりそうだな」
「お見舞いには行かれないのですか?」
「お見舞い?あー...」
お見舞い...お見舞いか。その考えはなかった。やってみてもいいかもしれないな。刀の試し斬りは後日でもいいし。
「じゃあ依頼受けるのはやめて、お見舞いに行ってきます」
クミリアの家は知っている。少し前にクミリアの使ってる魔法や武術を習おうとしたら家まで連れてこられた経験があるからな。
「お見舞いって何持っていけばいいんだろ...」
ギルドに出てから、少し考える。生まれてからこの方お見舞いをした経験なんてないから、何持っていけばいいのかわからないんだよな。アニメでのの知識しかない。とりあえずサムゲタンはアウト...だよな?お粥的なものを作れるくらいの食材があればいいのかな...うん、りんご的なフルーツも定番っぽいし、少し買っておこう。
「よし、とりあえず店回るか」
風邪をひいていても食べやすいものを作れるように、食材を買い込んでいく。自身が風邪で寝込んだ経験もあまりなく、インフルも罹ったことはあるがそこまで重症になることもなかったために少ない看病された経験の記憶をなんとか呼び起こし、その他必要な物を買う。
「こんなところで...いいな。よし、向かおう」
クミリアの家へと向かう。
「クミリアん家...結構広いんだよな」
前に来たときに知ったのだが、クミリアの家はリヒトの家よりデカい。流石にガルムでレストと一緒に行った屋敷よりかは小さいけれども、普通に豪邸と呼べるくらいの広さはある。ミルキーもそうだったけど、実家強い人多くない?
「あの力も代々受け継がれてきたものだったりするのかなぁ...っと、着いたな」
クミリアの家の門の前に着いたので、備え付けられているインターホン代わりのベルを鳴らす。これを鳴らすと、来客がいることを屋敷の中まで伝えてくれるらしい。インターホンみたいに返事が返ってくるわけではないのがちょっと不便だな。
「マンションみたいにドア開けて、入っていいよーみたいな感じの会話までできたら便利なんだけどな...人来るまで待たないといけないし」
用件だけでも伝えられたらいいんだけどな...っておいおいおい!
「なんでクミリアが出てくんのさ!」
他に人いないのか⁉︎毛布をまとって暖まりながらクミリアが家から出てくる。
「あっ、カリヤか。こんにちわー」
「こんにちわ言ってる場合か。ほら早く部屋に戻って寝るんだ看病してやるから」
なんで無理して病人が出てくるんだと少し怒ってしまったが、その怒りをクミリアにぶつけるのはよくない。なんとか抑えながらクミリアを部屋に戻るように促す。
「看病してくれるの?ありがとねー」
「フラッフラじゃねぇかちょっと動くな部屋まで運ぶぞ失礼する」
グイッとクミリアを持ち上げ、加速させて走る。全速力では走らない。せいぜい秒速十数メートルくらいだ。揺れるとアレだしな。
「家に誰もいないのか?」
「うん、みんな用事があって出払ってるよ」
「そうか。ならわざわざ呼び出しに応じなくてもよかったのに」
「呼ばれたら出ないと...何か重要なことかもしれないしね」
「だとしても、風邪ひいてるんだからあんまり無理しない方がいいぞ。押しかけちまった俺が言うことじゃないかもしれないけどな...部屋はこっちで合ってるよな?」
「うん、合ってるよ。それにしても、風が気持ちいねぇ」
「冷えたらゴメンな」
「大丈夫大丈夫。外出てちょっと暑くなってたからちょうどいいや」
「後で氷枕でも作って冷やすか。ベッド寝たらでいいから要望あったら言うんだぞ」
「わかったー...あっ、部屋そこね」
「おけ」
クミリアの部屋の中に入り、ベッドに寝かせる。
「そうだクミリア、お腹空いてたりしないか?お昼時もう過ぎてるけど、食べてないなら作るぞ」
「じゃあ頼もうかな。美味しくて食べやすいものお願いねぇ...」
「わかった。キッチン借りるぞ...あっ、キッチンってどこにある?」
「さっき通った曲がり道まで戻って、少し先に行ったところの右の扉の先...だったかな。クミさんあまり行かないからもしかしたら間違ってるかもかもしれないけど」
「違ったら探すだけだから平気だ。ゆっくり休んでな」
部屋を出てキッチンまで移動する。クミリアはああ言っていたが、ちゃんとキッチンの場所は合っていた。
パパーっとお粥を作る。米はなかなかに希少で高価な食材だが、ちゃんとエネルギーとして摂取してほしいので惜しまず使った。お粥なんて作るの久しぶりだけど、ちゃんと美味しく作れただろうか...
「りんごはあっちでむこーっと。その場で剥いてあげるのはアニメの定番だよねー」
できたお粥を持ってクミリアの部屋まで戻る。
「お粥できたぞー自分で食べれるか?」
「それくらいの体力はあるよー...いただきます」
「よーく噛めよ。飲み込みやすいからってすぐ嚥下しちゃダメだかんな。消化に悪いからちゃんと噛むんだぞ」
「なんかお母さんみたいなこと言うねカリヤ」
「誰が母さんだ」
まったく失礼な...病気はちゃんと治してもらわないと困るから言ってるだけだというのに。
「デザートもあるからなー今剥くからゆっくり食べて待ってな」
りんごと包丁を取り出し、剥き始める。
「なんでここで剥いてるの?」
「ん?俺のいた場所の文化だとこうだったから...かな?」
「なんで疑問形なの...?」
疑問形の理由?アニメでしか見たことないからだYO!
「…器用だね」
お粥を食べながらジーッと俺の手元を見ていたクミリアがそう言ってくる。
「料理はまぁまぁ長くやってきてるからな。ダガー使ってるのもあって包丁使いはかなりのモンだと思うぞ。本職の料理人には当然敵わないけどな」
「十分美味しいけどね」
「十二分じゃないならまだ成長できるってことだな」
「…ふふっ、クミさんの真似かな?」
クミリアの影響で、十二分出してやっと本気っていう思考が染みついていた。
「ところで、料理は加速させないの?」
「やらないよ怖いじゃん指切りそうで」
「たしかに」
「それに試したことないけど、なんか美味しいの作れる気がしないし」
加速させたところで料理になんの変化が出るんだ。絶対雑になって美味しくなくなる。やるとしても、カップラーメンのできる時間を加速させるくらいだろう。カップラーメンないからできないけど。
「…お粥ごちそうさま」
「タイミングいいな。こっちも完成したところだ」
皿に剥いたりんごを乗せて渡す。
「何これ」
「うさぎりんごだ。可愛いだろ」
「…えいっ」
「皮むしりとるんじゃねぇ!」
「だって食べるのに邪魔だし...」
「だからって...うん、まぁ食べるのには邪魔か」
別にうさちゃん重要じゃないし...別にいいし...
「…で、美味しいか?ちゃんと味するか?」
「うん、ちゃんと味はするよ。大丈夫」
「…ってそうだ。氷枕作ろうと思ってたの忘れてたわ」
194ページ左上 黒のみ 氷弾
袋を取り出し、その中に氷の粒を大量に入れていく。
「そういえば症状聞いてなかったな。熱あるのは知ってるけど...咳はないよな。自覚症状は何がある?」
「うーん...全身がちょっとだるいのと、頭痛がすごいするってくらいかな」
「なるほどな...はい頭上げてー、ヒヤッとするぞ」
クミリアの頭の下に即席の氷枕を敷く。
「おーひんやり」
「これで熱は大丈夫なはず。頭痛はどうしようか...ああもう、風邪を治す魔法がありゃいいのに」
風邪がこの世界にもあるということを、あそこで初めて知ったのには理由があった。リヒトから風邪を治す魔法を教えてもらったことがないからだ。治す魔法がないのだから、そもそもの風邪自体がないものだと勘違いしていた、というわけだ。
もちろん、病気を治す魔法はある。けれど、対応している病気は心臓病なり癌なりで、感染症に効くようなものは一つもなかった。何故ないんだろう。細菌とかウイルスの存在が知られてなくて原因がわからないからかな。
「あるにはあるんだけどね」
「えっ、あるの?」
じゃあなんでレストは教えてくれなかったんだろう...一般的な魔法じゃないのかな?
「使っちゃいけないんだけどね」
「…なんで使っちゃいけないんだ?」
病気を治せる魔法だなんて、あればあるだけいいってのに。いざって時に体調不良で動けませんじゃ困るわけだし。
「風邪ってさ、ちっさい生き物みたいなのが体の中に入ってひくわけでしょ?」
ちっさい生き物...なんだ、もうウイルスは発見されてるのか。じゃあ細菌も見つかってそうだな。
「そのちっさい生き物も、人と同じように適応能力があるのよ」
「……ああ、そういうことか」
ようは、薬剤耐性菌みたいなものが生まれてしまうから、ということなのだろう。
「つまり、下手に魔法を使って治しちゃうと、偶然生き残ってしまったウイルスなり細菌がその魔法の耐性を持ってしまって、今後魔法を使っても治せなくなってしまう可能性があるから自然治癒する必要があるってわけだな?」
「そういうこと」
なんでも魔法でまるっと解決!とはならないんだなぁ...まさか、薬剤耐性菌の知識が役に立つとは思わなかった。
「一応普通の回復魔法でも病気に効き目があるらしいんだけど、これも耐性を持っちゃうらしくて使っちゃダメなんだ。だからほら、いつも使ってるリジェネも切ってる。カリヤならわかるでしょ?」
「えっ?...あ、本当だ」
クミリアは、身体中に刻印のようなものを刻んでいる。これに魔力を流すことで瞬時に大量のバフをかけているのだが、そのうちの一つにリジェネ効果を持つ回復魔法がある。人体のうち、魔力が一番集中している心臓に一番近い左胸にそれは刻まれており、クミリア寝ている時でさえも魔力を流し続けているのだが、今はそこに魔力を流していないと速度探知でわかった。
「本当に自力で治さないといけないんだな...」
「まぁクミさん丈夫だし、明日には多分治ってるよ」
「本当かぁ?」
「本当だよ。クミさんちょくちょく風邪ひくけど、いつも次の日には治ってるし」
「ちょくちょく風邪ひくやつは丈夫じゃないと思うんだけどな」
「あはは、たしかに」
「わろとる場合かよ...んで、他に俺にできることはあるか?」
クミリアからりんごが乗っていた皿を受け取りながら聞く。
「いや、もう大丈夫かな。うつしちゃうと悪いし、もう帰っていいよ」
「本当に大丈夫か?」
「うん、今日はありがとね」
「そうか...じゃあ俺帰るわ。ゆっくり寝てるんだぞー」
「わかったお休み」
「早いなオイ...カーテン閉めとくぞ」
「ありがとー」
シャッとカーテンを閉めて、部屋を出る。安静にしてもらいたいものだ。
「うつしちゃうと悪い...か。遅いて」
実を言うとさっきの速度探知で、既に俺の喉にウイルスが入ってきてるのがわかってしまっていた。
「さーてどうするか...そうだ」
まず、ウイルスの増殖速度を減速。そして免疫機能の速度を加速させて...
「上手くいくかわからんけど、これでなんとかなるだろ。免疫ゲットだぜ!」
そう言いながらクミリアの家を出た。
後日、俺は風邪をひく
…なんてことはなく、クミリアも無事復活したため依頼を受けに行ったとさ。
今回の本文で話すことないので、代わりに本編で明かす機会のなさそうな設定を公開します。
この世界は地球と同じように365日で一年が経過しており、1月は31日まで、2月は28日までとそこも共通しています。
ですが、この世界は空が動いているので公転がありません。
地球で言う月に値するものもないので、一月二月という概念も普通では生まれません。
ならなぜ一年が365日なのか、月の概念があるのかというと、とある魔法が関わっています。
魔法図鑑では5571ページに描かれている、デイトラブル(漢字はまだ考えていない)という魔法です。
この魔法は、日付によって効果が変わるという特殊な魔法です。
31種類の魔法がそれぞれ日付と対応しており、1月1日に発動する魔法と2月1日に発動する魔法は同じです。
これによって一ヶ月が決まっています。
そして、この対応している日付は、年を跨ぐとランダムに変化します。
これよって一年が決まったわけですね。
さらに、7日に一回、つまり日曜日に当たる日はこのデイトラブルが不発になります。
ついでのようですが、これで一週間が決まり、日曜日という休みの日が生まれているわけですね。
まぁ今まで日曜日の描写はしてきませんでしたが。
こういう感じで日付が決まっているという裏設定でした。
後書きなのに550文字書いててすんません。