前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8218字。

アクセル戦です。


音速、瞬間の抜刀

「そろそろ...攻めさせてもらおうか!」

 

刀を鞘に収める。

 

「その武器...ネオンのみたいだな」

 

「あんなチャチなもんじゃねぇよ。俺のは本格派...いや、真打って言ったほうがいいか。とりあえずもっかい喰らっとけ!」

 

刀を鞘に押し込み、アクセルに接近しながら一瞬で振り抜く。音速に近い速度で振られる抜刀。本来なら身体が持たないが、刀の効果だろうか、なぜか肩や肘が脱臼することなくついてきている。

 

「一度喰らった攻撃を、二度喰らうほど甘くない!」

 

今度の攻撃は避けられる。さっきのは不意打ちだったから当たったが、こちらから追おうとすると流石に読まれてしまうみたいだ。これは、アクセルが方向転換するために減速する瞬間を狙うしかないか。

 

「なら、否が応でも喰らってもらおうか!」

 

刀を納刀しながらアクセルに近づく。まず、狙うは足。アクセルの高い機動力を削ぐためだ。

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

3780ページ上 黒のみ 筆記

 

あちこちに転移で移動しながらアクセルに近づく。その最中、地面の草花に魔法陣を書き込んでいく。任意発動型の、拘束魔法や減速のデバフ魔法だ。これをアクセルが踏んだ瞬間に発動すれば、アクセルの動きを鈍らせることができるだろう。刀を当てるための前準備だ。この魔法陣はとても小さいから、アクセルの目に止まることはない。

 

2007ページ下 黒のみ 拘束

5000ページ 黒のみ 魔法復唱

 

そしてカモフラージュのために鎖を放つ。否が応でも喰らわせると言って何もしないのは変だしな。

 

「こんな鎖当たるわけないだろ!」

 

ああ、そんなことわかってる。だからカスタムしてないんだ。どうせ捨て駒だから、魔力を無駄に使うのを避けるためにな。

 

「バーカバーカ。やっぱ見えてないだろ」

 

アクセルが地面に書いた魔法陣を思っきし踏みつけたので、即座に魔法陣を起動、アクセルの動きを鈍らせる。

 

「…バカは赤髪の姉の方だけでいい。私はバカじゃない!」

 

赤髪の姉...?と思いつつ刀を抜刀する。だが、デバフ込みでもアクセルは速かった。刀を避けつつ、そのまま俺の手元にあった鞘を蹴り飛ばしてきた。帯執が破損し、遠くへと吹き飛んでいく。

 

「その鞘に秘密があるみたいだけど、封じさせてもらった!」

 

「得意げだけど正直鞘はオマケだ!残念だったな!」

 

まぁ結構重要なんだけど...なくても問題ない。

 

1203ページ左下 黒のみ 水刃

 

「『雷装』...水刃!」

 

刀を腰の位置で構えてから一瞬で振り抜く。水の刃が放たれ、電流が付与される。鞘による抜刀速度加速はないが、速度操作だけでも問題ない。

 

「イ゛ッッ...これが雷装か...!」

 

水刃がアクセルの肩を擦り、雷装をその身で味わうことになる。初めての感触だろう。巣穴での偽物の魔族も電流を浴びている最中は動けなくなっていた。やはり魔族相手でも、雷装はかなりの効果になる...!

 

「弱いな」

 

「…は?」

 

「神の怒りよりも全然痛くない。あの時は気絶するかと思ったが...警戒しなくても良さそうだ」

 

は?...は?こいつ雷を喰らったことあるのか?しかも喰らって気絶すらしてないなんて...流石は魔族。というかいつ喰らったんだ?ってかまさか雷装を手に入れてたりしないよな?未だに入手条件わかってないし、アクセルが使えるようになっててもおかしくはない...けどできれば持ってないで欲しい!持ってたら俺は泣く!

 

「あの時見て気になったから試してみたけど、結局雷装は使えないし...でも、この痛みに慣れることができたからやっててよかったと思ったよ」

 

よし!ペラペラ情報喋ってくれた!雷装は持ってないし、雷を喰らったのは巣穴の依頼の後!痛みにはだいぶ慣れていると本人は言ってるけど、結構痛そうな声出てたし普通にダメージはありそう。長時間途切れることなく浴びせられれば、動きを止めることもできそうだ。

 

でも、水素爆発で攻撃するのは無駄だろう。あれはアクセルの目の前で使ってしまっている。氷と雷装、これだけで警戒されて距離を取られるだろう。それを逆手に取って戦術に組み込むことはできそうだが...まぁ自滅する危険性もあるし、使わないとは思う。

 

「情報ありがとよ。雷装はここぞって時に使わせてもらうわ」

 

アクセルの攻撃をギリギリで避けながら言う。避けれているのは、地面の魔法陣によるデバフと自らの加速、それに加えて筋肉の動きを探知することで動き出した瞬間に回避を始めることができるからだ。ほんの少しでも集中が途切れれば当たってしまう。それくらいのギリギリだが、まぁ当たらなければギリギリだろうと余裕があろうと結果は変わらないのでオーケーだ。

 

「ってなわけで...今はこいつを使わせてもらうからさっさと喰らって楽になれ!」

 

『色彩剣装 原色・赤』

 

刀を赤く光らせながら、アクセルに限界まで近づく。

 

「それはカノウの...!」

 

88ページ左上 黒 緑 俊敏

88ページ左下 黒 黄 加速

 

「セイヤッ!」

 

二つの加速魔法を使い、さっきよりも速くなった俺は一瞬で刀を振り抜く。またしても直撃はしない...が、一切の抵抗無く右腕を少し切ることができた。やはり赤は最強。防御無視は強いな。

 

「んぐっ...赤色はそんな効果だったわけね」

 

そうか、アクセルは大会でカノウが使っていた赤と青と金と黒しか存在を知らない。赤は空振りしまくってたから効果も知らないのか。原色の緑は存在も知らないし、混色は全滅だ。情報のアドがある。しばらくは色彩剣装でなんとかなりそうだな。

 

「もうロングソードいらねぇんじゃねぇか...な!」

 

近づいては刀を振るのを繰り返す。刀身の長さが色彩剣装の発動条件を偶然満たしていたおかげで、前ではロングソードでしか使えなかったのを考えると随分と使い勝手が良くなった。色彩剣装を手に入れた当初は、ロングソードがついに日の目を見る時が...なんて思っていたのに、こんなすぐに優秀な新人が入ってくることになるとは思ってもみなかった。すまんな。正直やっぱ使いにくいわ。

 

「…っとと」

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

「危ない危ない」

 

考え事をしていたせいで一瞬回避が遅れてしまった。なので未来跳躍で回避した。今度は真後ろに。アクセルが近づいてきてもすぐに反撃できるようにだ。

 

それをわかっていたからか、アクセルはすぐに突っ込んでくることはしなかった。だが、今はそうさせることが目的だった。

 

『色彩剣装 原色・緑』

 

本来なら間合いの範囲外。水を纏っているわけでもないから水刃でもない。だが、刀が緑色に光っているのを見て何かを感じたのだろうか。アクセルはすぐさま走り出し、回避行動を取る。

 

「オ...ラァッ!」

 

見えない刃を伸ばし、その分重量が増した刀を両手でなんとか振り抜く。

 

「…何も飛んでこなっっ⁉︎」

 

アクセルはクミリアのように、気配を読むことはできない。だから目に見えない刃を避けることができなかったのだろう。首に直撃を喰らわせることができた。ゲーム風に言えば、見えない刃の威力は元々の剣の威力を参照しているため、ロングソードを使っていた時よりも見えない刃の威力も上がっている。そのおかげで、刃が少しずつアクセルの首に食い込み始める。

 

「ぐっ...!」

 

拳で首に刺さっている見えない刃を弾き飛ばすアクセル。そして弾かれた見えない刃に引っ張られるようにバランスを崩した俺に向かって、反撃しようとものすごい速度で近づいてくる。

 

『色彩剣装 原色・赤』

『色彩剣装 原色・青』

 

俺はそれを待っていたというふうにニヤリと笑いながら二色を混ぜる。本来なら発動までに時間がかかるため攻撃されてお陀仏だが、速度操作で発動までの隙を減らし、さらに実は混色の...ってのを言う必要は特にないので、そのまま紫色に光る刀を、ぐるっと回ってバランスを持ち直しながらアクセルの方に向ける。

 

「初見でどれだけ避けられるかなアクセルさんよォ!」

 

紫色の光の刃をいくつもの射出される。さて、合体巨大化にどれだけ対応できるかな...?

 

「むら...さき?もしかして色を混ぜた...ってことか!」

 

アクセルは少しだけ大きく、速くもなっている光の刃を見て、適当に当てをつけてから走り出した。

 

そして避けたら当然、追尾する刃同士が衝突していくことになる。融合し、巨大化していく光の刃は、さらに加速してアクセルに向かって飛んでいく。

 

「合体...か。お返ししよう」

 

アクセルがこっちに向かって走ってくる。どうやら、俺と同じ方法を取ろうとしたみたいだ。

 

「こっちくんなバカ!」

 

刃を出して牽制しながら後ろに下がる。あの光の刃は、合体すればするほど加速する。いずれ、アクセルよりも速くなるはず。急いで合体させれば...

 

「だぁっくそ間に合わねえ!」

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

刃の速度の加速云々より前に、俺の速度が遅くて回避が間に合ってない。このままだと光の刃がアクセルを切り裂く前に俺が死ぬ。だから未来跳躍で回避した。

 

「解除してくれたか」

 

実は、飛ばした光の刃と刀の切っ先にはめちゃ細い糸のような光が繋がっている。それ自体には攻撃能力はないし、当たり判定的なものもないのだが、これによって追尾だったり合体用の魔力が常に補充されているのだ。

 

しかし、未来跳躍を使ったためにほんの0.1秒ではあるが俺はこの世界から消失した。刀から伸びていた細い光の繋がりが消えてしまった。故に、光の刃は勢いを失って消失した。解除したのではなく、勝手に解除されてしまったのだ。

 

「っ...!」

 

思考を加速させ、次の一手を考える。白は...流石に時間がかかりすぎる。未来跳躍で回避しながら発動させるのは、もうアクセルに転移先を読まれ始めているから無理だ。

 

金は、どうしても後手に回ってしまう。金は一度振った刀の軌道上に、斬撃を一回いつでも出せるようになるだけ。先に原因を作っておく必要がある。刀を振る前に近づかれて攻撃されれば終わりだ。

 

黒は...多分使える。けれど、その後原因を作る必要がある。アクセルを相手にしながらそれができるか?できなければ、その後の行動に制限がかかるだけ。リターンは大きいが、少しリスクがある。

 

空色は...刀が固定されてしまい動けなくなるからダメだ。片手だけで後ろに回り込んだアクセルを対処できるとは到底思えない。

 

となると、黄色がアクセル相手に使うなら一番いいだろう。空間を引き裂くことで動きを阻害させることができるし、防御無視効果もあるからアクセルの硬い体も問答無用で切り裂ける。使うのに条件もあまりない。一石三鳥といったところか。

 

「他には...!」

 

そう、今のはあくまで色彩剣装だけの話。他の魔法も選択肢に入れなければならない。最近手に入れた魔法の印象が大きすぎて、思考が狭まっているように感じる。前から使える魔法を、本来の用途ではない方法で使うとか、そういうことをやっていただろう昔は。思い出せ。

 

『色彩剣装 原色・赤』

『色彩剣装 原色・緑』

 

とりあえず次の手を思いつくまでの繋ぎとして、混色・黄を発動しておく。

 

「黄色...赤と緑だっけか」

 

俺がカノウとの試合でやったみたいに、アクセルは色の効果を考察しているみたいだった。その隙を狙って刀を水平に振り抜く。

 

「緑は射程増加...避ける!」

 

上へと跳び、アクセルは見えない刃を避ける...が、そいつは悪手だぜ。

 

「空間が...⁉︎」

 

そう、この空間の裂け目はしばらく持続する。一度空中へと飛び出してしまえば、何か魔法を使わない限りただ落ちるだけ。たしかワンナが、アクセルは固有能力と狂化しか持ってないと言っていた。避ける手段はない...はず!

 

「くぅっ...!」

 

機動力が落ちるのを恐れたためか、アクセルは左手を空間の裂け目に突っ込んだ。防御を無視できる...と思っていたが意外にもダメージが出るのが遅く、アクセルは左手が壊れる前に地面を勢いよく押し、空間の裂け目のある一帯から離脱する。魔族の体硬すぎだろ...トロールはほぼ一瞬で引き裂かれてたぞ?

 

「…左手はもう使えないか」

 

だが、かなりのダメージにはなった。足を潰せればなおよかったが、攻撃手段を一つ奪えたのは僥倖。左手が使えないことで少なからずバランスも崩れ、走りにも影響するだろう。どれだけ減速するかに期待だ。

 

「まさかカノウがこんなチカラを隠していたとはな...ところで、黒や金は使わないのか?」

 

「これの方が使いこなせるんでな」

 

空間の裂け目のおかげで、アクセルはあと一秒はこちらに近づくことはできない。なのでその一秒の間にアクセルに弾き飛ばされた鞘を回収する。

 

「…手で持つしかないか」

 

鞘を太刀紐につけるための帯執が破損しているため、帯刀することができない。片手が埋まってしまうのが痛いが、あった方が使いやすい。最悪、打撃武器にもできるしな。それに、ほんの少し傷ついてきてるから直さないとだし。

 

あらかじめ一粒は鞘に入れていたため、納刀するだけで刃こぼれの修復と研磨が行われる。いやー便利だ。

 

「再生魔法くらいは覚えるべきだったか...」

 

アクセルはそう言うが、ボロボロになった左手はほんの少しずつではあるが再生していた。魔族としての力か?魔素に溢れている環境だから、再生も早いと見た。そういや巣穴の偽魔族も再生してたな。あいつが再生するならアクセルもするか。

 

「仕返しにその腕もぎ取ってやろう」

 

「うおあっぶね何物騒なこと言ってんだお前!」

 

腕をもぎ取るという文が聞こえた瞬間に回避したら、アクセルの右手が俺のすぐ前を通り過ぎていく。喋ってくれてなかったら危なかったぞ。少し遅くなってるとはいえ、ほぼ変わってないも同義だ。

 

「チキショウもうちょい遅くなってくれてもいいのに...でも、作戦はできたぜ」

 

ずっと考えていた次の手を思いついた。

 

参考にしたのは過去に魔族と戦った記憶。巣穴の偽魔族と、フロートとの戦闘の記憶だ。

 

「まずは...こいつだわな!」

 

3776ページ下 黒 黄 音撃

1901ページ左上 黒のみ 振動増幅

 

いつもの指パッチン。攻撃のため音速より遅くはなっているが、見えず、超高速で飛ぶ音の塊をアクセルは避けることができない。

 

「ぐっ...!」

 

脳が揺さぶられれば、しばらく動けなくなる。魔族だから復帰も早いだろうが、ガワの強度を無視して内側にダメージを与えられるこの攻撃はとても有用だ。

 

「もう一発!」

 

そう言いながら指パッチンの構えをとる。

 

「…っ!」

 

そうだよな。アクセルは音撃に警戒するしかない。故に横へと回避行動をとる。

 

「引っかかったなバァカが!」

 

納刀はしたが、色彩剣装を解除したわけではない。鞘の効果である抜刀速度加速を利用して一瞬で黄色の斬撃を放つ。

 

「チィッ...!」

 

今度は斜め後ろへと飛ぶアクセル。あと数瞬遅ければ足を空間の裂け目に引き摺り込めていたが、ギリギリといった形で回避されてしまう。

 

「そして本命の...思考共有!」

 

5114ページ 黒のみ 思考共有

 

回避不可能の思考共有魔法。本来なら念話のように、作戦を脳内で共有するとかいったサポートとして使うものなのだが、俺の場合速度探知の情報や加速した思考全てをぶつけることで攻撃にすることができる。

 

フロート相手にもやった、理解しようとするが故に復帰に時間がかかるこの技。ただの魔物なら脳をパンクさせて殺し、魔族なら行動を制限する。ハッキリ言って強すぎるが、いつ復帰してくるかわからないのが怖いところだ。

 

『色彩剣装 原色・赤』

『色彩剣装 原色・青』

『色彩剣装 原色・緑』

 

「トドメだ...!」

 

白の光を放つ。

 

一瞬で光が周囲を包む。

 

そしてその光が、これまた一瞬で晴れた。

 

「…は?」

 

一瞬...そう、一瞬だが魔法拡散を起動された?光が全て魔力に変換されてる...!

 

「くそ、どの魔族の仕業だよこの野郎...」

 

魔法拡散のせいで白が無駄打ちになってしまった。これ魔力五分の一くらい使うし、ほんとに困った。狙ってやがったなチキショウめ。

 

「ってか、てっきりサシでやるもんだとばかり...いや、俺が戦うなら誰も巻き込まないって言っただけだから、確かに多対一でも矛盾はしてないんだけどさ」

 

でも、アクセルらしくはない。いや待てよ...?もしかしてアクセル知らない?一瞬だけしか魔法拡散を使わなかったのも、アクセルが思考共有で頭が動かなくなってるところで使ったのも、アクセルにバレないようにするためか?

 

アクセルは身体能力が武器だ。おそらく、固有能力は俺と同じで魔法拡散に引っかからないと思われる。サポートするならば、一瞬ではなくずっと、それこそ戦いの最初から使っていてもいいくらいだ。でもそうしなかったってことは、アクセルにバレたくなかったから。

 

なぜバレたくないのかは知らない。けれど、今の魔法拡散のようにバレない程度にサポートはしてくるみたいだ。魔力の無駄打ちをさせられたのは痛いが、そこで逆転の発想だ。

 

サポートをするために、おそらく魔族はこっちの動きを逐一観察する必要がある。そして、魔法は魔法陣をあらかじめ設置するなどしていなければ、原則五感で感じ取れる範囲にしか魔法を使えない。ここを見れる場所に魔族がいるわけだ。

 

つまり言いたいことは...少なくとも一人は魔族の注意をこちらに向けることができている、ということだ。現在判明している魔族は四人。フロート、転移、魔素操作、アクセルの四人。そのうち二人を戦場から遠ざけられているのだから、ポジティブシンキング的に見ればかなりのアドだ。二人同時に攻撃してくるってこともないしな...それもそれで不思議なんだけどな。

 

「ってかそうだ。アクセルが復帰する前に攻撃しないと」

 

今思考するのはダメだ。攻撃のチャンスを無駄にはできない。

 

「魔法は使えない...普通に刀使うか」

 

また魔力拡散を使われて魔力を無駄にする、なんてことはしたくないので普通に刀を構える。バフや、鞘の抜刀速度加速も魔法拡散で無効化される恐れがあるため、速度操作だけで切ることにした。

 

「首...いや、脚だな」

 

アクセルがいつ復帰してくるかわからない。バフ無しである以上、一撃で仕留められるとも思えない。ここは脚を傷つけ、その後の機動力を奪う...!

 

「そういや雷装は魔法拡散に引っかからないな。使っておこう」

 

アクセルの後ろに回り込み、しゃがみ、膝裏を狙う。

 

『雷装』

 

「よーい...しょ!っと」

 

一瞬で刀を振る。刃がアクセルの膝裏をなぞるように入っていき...

 

次の瞬間には、俺はものすごい速度の後ろ蹴りを顔面に喰らっていた。

 

「っっっ...!!!クソ!もう復帰してきやがったか!」

 

蹴られる直前に魔力を固めた防護壁を作ったのだが、それだけでは受け止めきれなかった。ちょっと顔がヒリヒリする。というかやばい。急いで離れないと...!

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

アクセルの動きを確認するよりも前に転移して後ろに下がる。追撃は...ないな。

 

「…ん?動いて...ない?」

 

アクセルはなぜか後ろ蹴りを放った体勢のまま静止していた。すごいバランス神経...って、そこじゃないよな。

 

「動かないってことはまさか...脊髄反射で動いたとかそんなか?マッ○ュルかよ」

 

触れなきゃ動かないみたいだけど...これ、攻撃したら一瞬で反撃喰らうよな。魔法での遠距離攻撃もできるかわからんし、どうしたものか...

 

「あ、久しぶりにこれ使おうか」

 

弓を手に取る。魔法図鑑を手にしてから使う機会がそれなりに減った弓矢だが、こういう時に役に立つんだよな。見習ってくれロングソード。

 

『雷装・矢』

 

「これでも...喰らえ!」

 

「……うおっと危ない!」

 

チッ、お目覚めか。

 

「できればそのまま寝たままでお陀仏してくれればよかったんだけどな。どうだ?俺の頭の一端を見た感覚は」

 

「よくわからん」

 

適当に処理されたか。でも、かなりの時間は稼げたな。もう一回やれば...いや、アクセルが気絶してる状態ならもう一人の魔族は本格的に干渉してくる。いつ戻ってくるかわからないアクセルを気にしながらもう一人と戦うのは厳しいだらう。ここは使わないで普通に戦うべきだ。

 

「でも...なんとなく、カリヤの感じる世界を見た気がしたな」

 

「そうか。なら、今度は俺がアクセルの感じる世界を体験する番かな」

 

アクセルの意識があるうちには魔法拡散は使ってこないと読み、俺は切り札を切る決心をする。

 

「一分でケリつけてやる」

 

9934、9935ページ

 

「…全力疾走(オーバーアクセル)

 

俺は少しでも追い縋るため、走り出した。




Q.なんでアクセルの音速の攻撃を速度操作と未来跳躍、数少ないデバフて回避できてるの?

A.殺すのが目的じゃないから。あくまで試合...ですからね。
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