前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8253字。

アクセル戦続き。
もう二話くらいはやるんじゃないかな多分。
ああ、ガネル編が長くなる...

あと前回、一分でケリつけるとか言ったな。
あれは嘘だ。


全力疾走、音速を超える二人

「だいぶ速いな。でも、まだ遅い!」

 

超高速で動き攻撃を仕掛ける俺を軽くあしらいながらアクセルは言う。

 

「なぁアクセル!お前、そろそろ舐めプすんのやめたらどうだ!」

 

俺も叫んでみる。それなりに呼吸は辛いが、会話で少しでもアクセルの集中を削げれば幸運だ。聞きたかったことでもあるしな。

 

「舐めプぅ...?何かなそれは!」

 

「だってお前!やろうと思えば今この瞬間にも俺を殺せるだろ!」

 

アクセルはまだ俺よりも速い。秒速100メートル以上の差があればそれこそ一瞬だ。魔法があるといっても、良くて防戦一方、少し良いくらいじゃ死に方を選ぶことくらいしかできないだろう。

 

「さっきの魔法拡散の時もそうだしな!」

 

「魔法拡散?なぜ今その魔法が出てくるんだ?」

 

やっぱり仲間が何かやってるのを知らないみたいだな。お仲間の魔族がこの試合に絡んでいることを伝えたらそれなりに面白そうなことになりそうだが...うん、後でやろうかな。

 

「まぁいい話を戻すぞ!アクセルお前...俺を殺すのが目的じゃないだろ!」

 

「そりゃそうだ試合だからな」

 

えっ、そういうこと...?てっきり、何か目的があるもんだとばかり...

 

「お前本気でそれ言ってんのか⁉︎」

 

「まぁ半分冗談さ。もともとカリヤを殺す目的じゃないからな」

 

あ、やっぱそうなのね?紛らわしいこと言うなよまったく...

 

「なら何が目的だ?なんとなく予想はついているが...」

 

「だいたい予想通りだと思う...よ!」

 

アクセルの反撃を間一髪で避ける。超高速の戦闘中に会話するの、だいぶ慣れたよなぁ...一年くらい前の俺に、お前一年後秒速250メートルで走りながら会話できるようになるぞって言ってやりたい。どんな反応するかな。

 

「参考までに、私たちの目的が何だと考えてるか聞いてみようか!」

 

「どうせアレだろフロートに俺の速度操作をコピーさせたいから強化させてるとかそんなんだろ!」

 

「半分当たり!」

 

「五十点かよもう半分はなんだってんだ」

 

「私の強化!カリヤと戦えば私は強くなれる!」

 

「なるほどそういうことね...!」

 

くそ、辛くなってきたな。そろそろ雷装を使わないとスタミナ切れで動けなくなるな...

 

「交渉だアクセル!裏切って人間側についてみる気はねぇか!」

 

「なんだい?藪から棒に」

 

「考えてもみろよ!人間側につけば、俺と一緒に旅ができる!長時間一緒に戦えるぞ強くなるのが目的ならそれでいいだろ!」

 

「面白い提案だ!」

 

「なんなら俺よりももっと強い奴と戦えるぞ!クミリアともいつでも戦えるし、ピーキーな力を持つ奴らとも戦える!魔族として戦うよりもうんと楽しいはずだ!あっ、他の魔族とか魔王と戦うの面白そうじゃねぇかやってみろよ!」

 

「さらっと同族を殺せと言ってるけど自覚あるかい?...まぁ断るよ!」

 

「そりゃそうだよなダメ元だ!一応理由を聞いておくぜ!」

 

「魔王様が世界を支配してからでも遅くない!それに、このままいけば待ってるだけで力自慢が挑んでくるようになるんだからそっちの条件と差して変わらないしな!」

 

「そりゃ残念...気が変わったらいつでも寝返ってくれよな!」

 

まぁ最後まで寝返ってはくれないだろうけど...なんかやり方をちゃんと変えればマジで勧誘できそうな気もするんだよな。スタミナが底をつきそうで呼吸も辛く、頭痛くなってきたからそこまでちゃんと考えられないから今は無理だけどな!

 

「『雷装』...!」

 

雷装を発動させ、大量の電流を身に宿す。と同時に、スタミナ切れ中に雷装を発動していることで起こる激痛が走る。

 

「イ゛ッッッ、耐え...れる...!」

 

激痛で意識が飛びそうになるのをなんとか抑え、アクセルとの戦闘を続行する。雷装を発動したことで俺は音速に達した。けれど、今のアクセルよりはまだ遅い。追いつけてない。激痛で少しパフォーマンス落ちてるから最大速度も出せてないし...ああもうめちゃくちゃだ。

 

「オラァッ...テオラァッ!」

 

側頭部狙いのハイキックを二回放つ...が、避けられる。

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

「…シャオラァッ!」

 

未来跳躍0.003秒の跳躍によりアクセルの背後に回った俺の足払いが見事決まり、すぐさまアクセルの上に転移して落下、腹に両足で全体重を乗せた蹴りを叩き込む。

 

「ッ...カハッ...!」

 

「ほんと最高だぜ未来跳躍!もうほぼゼロ時間移動じゃねぇか!」

 

今の俺の速度は雷装使用前の秒速250メートルの1.5倍、秒速375メートルだ。たった0.003秒でおよそ1.125メートルの移動が可能である。この3ミリ秒を捉えることは流石のアクセルでもできないだろう。

 

「オラ立てよ。もう一発叩き込んでやるぜェ!」

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

またしても一瞬で転移した俺は、今度はアクセルの後頭部を狙った蹴りを放つ。

 

ドスッ...!ボキゴシャッ!

 

肉が裂け、骨が折れ、砕ける音が辺りに響いたことだろう。

 

そのうちのほとんどが俺の身体から出たものなんだがな...

 

「クソ...!どんだけ頑丈なんだお前...!」

 

俺の脚が曲がっちゃいけない方に曲がっていた。うわ骨が皮膚から突き出てやがる痛そう...他人事のようなのは、雷装の激痛で頭がいっぱいで、脚の痛みが届いていないからだ。

 

そして、俺がこんな傷を負ってまでして放った渾身の攻撃でアクセルはどうなったかというと...確かに傷はついた。皮膚が裂けて、血が垂れている。けれど、それだけ。頭蓋骨でも砕けそうなものなのに、そうなってないのは普通におかしいと思う、うん。

 

「くっ...ぐわんぐわんする...」

 

だが、流石に軽い脳震盪は起こったみたいだ。尻餅をついて座り込む。すぐに頭を押さえながら立ちあがろうとするも、ふらついてしまいちゃんと立てていない。ってか、やっぱり雷装のダメージはあんまりなさそうだな...

 

8271ページ 黒のみ 逆行再生

 

流石に骨が突き出しているのを再生魔法で治すのは時間がかかりすぎるため、時間操作を利用した逆行再生で脚を治していく。飛び出した骨が内側に戻っていき、周囲に飛び散っていた血が傷口へと吸い込まれていく。

 

「この間に攻撃できたらいいんだが...しゃあないな」

 

9929ページ 黒のみ 閃光・改

 

大量の魔力を込めた閃光を再生中に放ってみる。

 

「あ、ちょっ、んぐっ⁉︎」

 

アクセルは避けようとするが、まだ動けなかったようで土手っ腹に閃光がぶち当たる。

 

「結構魔力込めたんだが、それでもアザくらい...か」

 

内出血は起こせたのを速度探知で確認した。少し時間が経てばアザになるだろう。

 

「チキショウ威力不足だな...一旦仕切り直すか」

 

仕切り直し。どうやってやるんだという話だが、俺には策がある。

 

「未来跳躍...絶対覚えてやる...!」

 

「お前が使えるようになるとか考えたくもねぇからやめてくれ」

 

アクセルが未来跳躍を使うとか...怖すぎる。でも、アクセルって魔法あんまり使えないんじゃないかな。だってワンナが盗めなかったってことは普通の加速魔法を一個も使ったことないってことだろ?さらに速くなるなら真っ先に試す方法だ。

 

狂化は使ったことあるらしいから、魔力が少ないってことでもないはず。多分、魔法適性が絶望的なほどにないのだろう。だから未来跳躍の適性もないはず...ワンナみたいな例があるし、可能性がゼロではないのは怖いな。

 

「あっ、そうだアクセル。もう動けるか?」

 

「…なんだい?待ってくれていたのか?」

 

「いやね...また追いかけっこをしようと思ってな」

 

太陽の位置で方角を確認してから、南東方向へと走り出す。

 

「えっ...また⁉︎」

 

びっくりして少し遅れるも、急いでアクセルが追いかけてくる。

 

「まだフラフラか?ちょっと遅くなってるなァ!」

 

アクセルとはまだ結構な速度の差があるはずなのに、俺に追いつけていない。かなりありがたい。もっとも、追いつかれそうになったら未来跳躍を使うなり、重力操作でさらに加速して移動するなりしようと思っていたから、魔力消費量を減らせてお得ってだけだな。

 

…いや、そういえば周囲に魔素が潤沢にあるからマッハ1.2で動けるんだったか。移動しているから、意図的に作られた魔素の濃い空間から離れてしまい、最高速度が遅くなっているのだろう。通り道に先回りして魔族が魔素を増やしているみたいだが...それでも俺と同じ速度くらいしか出せていない。同速度なら追いつけないのも納得だ。

 

「チッ...なぜまた逃げる!」

 

「作戦なんでな!黙って付き合ってくれや!」

 

南東へと走る。どうやら、なぜ俺が南東に逃げているのかわからないみたいだな。目的の位置までの距離は20キロ。この速度なら1分も経たずにたどり着ける。

 

「よっしゃ見えてきた...!」

 

目的の場所が見えてきた。その次の瞬間には目の前にたどり着く。

 

「とうっ!」

 

全力疾走を解除しながらジャンプする。

 

「ここは...シレンの穴⁉︎」

 

もうすぐ後ろまで来ていたアクセルが穴のへりの直前で立ち止まり、思わず声を上げてしまう。

 

そう、俺はこのシレンの穴に入るために南東に走ってきたのだ。最初にガネルから移動したのも、ここに早く辿り着けるようにするという目的があったのだ。

 

「俺と戦いたきゃ飛び込んできな!」

 

速度操作の加速と雷装を解除しながら叫ぶ。スタミナ切れによって、体がダラリと脱力するが重力に引かれて落ちていくだけなので問題ない。

 

「…そうさせてもらう!」

 

穴のへりに手をかけ、壁を蹴って超高速で俺を追おうとするアクセル。

 

…予想通り。アクセルならそうすると思っていたよ。

 

「……ん?」

 

俺へと近づいてくるアクセルの速度が、どんどん遅くなっていく。

 

「なんだこれ...体が...止まって...?」

 

どんどん減速していくアクセル。対して俺は速度操作でほんの少しずつ加速して速度を保っているため、アクセルと俺との距離はどんどん離されていく。

 

「バカめ。このシレンの穴についてもっとよく知っておくべきだったな」

 

次第にアクセルの落下速度がゼロへと近づいていき...今、ゼロになる。

 

その瞬間、アクセルは、穴に飛び込む直前の位置に転移する。

 

「じゃあな」

 

俺はそのまま落ちていく。ゼロになったスタミナを加速しながら、だ。

 

これが俺の考えていた仕切り直しの方法だ。減ったスタミナを回復させながら、アクセルを引き剥がし思考の時間を確保する。

 

そして、ことがうまく進めばさらに大きなアドバンテージを得ることができる。

 

3207ページ上 黒のみ 集音

 

「落ちると戻されるのか...このまま待ってたらカリヤも戻ってくる、なんてことはないよな」

 

集音によってアクセルの呟きを聞き取る。

 

「そうなると...やることは一つだな」

 

そう言ってアクセルは走り出す。穴の周りをぐるっと回り、南側へと移動した。

 

「よっしゃ計画通り!」

 

アクセルが螺旋状の坂を下って穴を降りていく。そうだよこれだよこれを待ってたんだよ。

 

おそらく、アクセルはこのまま穴の最下層で俺が落ちてくるのを待つつもりだ。そして落ちてきたところで攻撃をしかけてくる...そんなところだろう。

 

「人がこちらの想像通りに動いてくれると嬉しいねぇ...」

 

アクセルは音速で坂を下るため、もう俺の横くらいの高さまで来ていた。そう、そのまま下ってくれれば...ん?

 

「叩き落とす!」

 

アクセルが坂を蹴って真横に飛び出た。空中で落ち続けている俺に近づいて蹴りを放ち、地面に叩き落とそうとしているみたいだ。

 

7713ページ 黒 赤 重力操作

 

「あっぶねぇなぁ...」

 

アクセルの周囲の重力を加速させ、こちらが逆に叩き落としてやる。もっとも、完全に地面に叩き落としたわけではない。少しでも下に落とすことができればこのシレンの穴の力で、飛び出した場所まで強制的に戻させることができる。

 

ちょっと想定外だったが、まぁ簡単に対処できる程度だったからよかった。でも、それなりに面倒だな。おちおちとスタミナ回復できないじゃないか。

 

「無駄だよそんなところから飛び出したくらいじゃなァ!」

 

慎重に、そう、慎重に落下速度を操作しながらアクセルを煽ってやる。これで誘導されてくれれば...

 

「言うね...そんなに言うくらいなら」

 

アクセルが坂を超高速で駆け下り、最下層まで辿り着く。

 

「ここで君が降りてくるのを待ち、最高速度で攻撃してやろう」

 

よっしゃ賭けに勝った!

 

「じゃあなアクセル!さよならだグッバイアリーヴェデルチ!」

 

三カ国語でさよならを告げながら俺は速度操作を解除する。即座に速度がゼロとなり...俺は穴に飛び込む直前の位置に転移する。

 

「よっしゃ大成功!やっぱ戦いは頭なんだわ!」

 

穴の下に向かって大声量で煽り散らかす。

 

「これが目的か...!」

 

アクセルは俺の企みにまんまと乗ってしまったことに気づいたようで、こちらを睨みつけてくる...ノーダメージだ。それに、俺の策略はこれからだぜ...?

 

「ほら!早く上がってこいや!スタミナと魔力回復させながら待ってるぜー!」

 

「くそ...だが、私の速さならこんな穴一分もかからずに...えっ」

 

「言い忘れてたけど!この穴入ると魔物出てくるんだわ!モンスターホールにご招待!ここまで来たきゃ全部倒して登ってきな!」

 

百の横穴から既に魔物が大量に出てきており、坂を埋め尽くしていた。

 

そう、これが俺の策。まずシレンの穴の効果を利用してアクセルを引き剥がし、大量の魔物をけしかけることでさらに時間を稼ぐ。稼いだ時間でスタミナ回復と魔力回復をすることができ、アクセルがやっとこさ地上に出てきた頃には疲労、消耗し切っているという算段だ。

 

ちなみに、魔族は普通の魔物に襲われることはない。人間体の時は別みたいだが、この魔族体では基本的には襲われない。

 

だが、このシレンの穴の魔物は特殊なのだ。なにしろ、人工ダンジョン。人に創造された魔物しか存在しておらず、そもそも普通の魔物ではない。それに、魔族がこのシレンの穴を占領するなり攻略するのを防ぐために、魔族だろうと人間だろうと等しく襲いかかるようになっているらしい。だから、アクセルを足止めする役割を与えられているのだ。

 

「そんなことなら...!」

 

アクセルが地面を蹴って飛び上がり、直接俺のところまで来ようとした。

 

「あっ、それ無駄なんだわ」

 

アクセルが地面に足をつけた瞬間、またしても転移する。

 

「ズルはダメだぜー!ちゃんと坂を登るんだな!」

 

「くっ...!」

 

アクセルが急いで坂を登り出す。が、大量の魔物の対処に精一杯で思うように進めないみたいだった。あの程度の横幅の坂じゃ、音速を最大限に使うことができないだろう。

 

まぁ頑張ってくれアクセル。俺はここまで戻ってきてくれると信じているよ。

 

「さーて、どれくらいで戻ってくるかな...」

 

スタミナと魔力を回復させながら、アクセルが悪戦苦闘しているのを眺める。この間に次の戦法も考えておこうか...

 

「魔法使えたら簡単に突破できるのにねぇ...」

 

思考を加速して戦法を考えながら、アクセルを見てニマニマする。

 

「そうそう、そうやって下に叩き落とせば楽できるんだよな」

 

アクセルが三回回し蹴りを放ち、迫り来る魔物を穴の底に叩き落とす。どこの直○の魔眼使いだよ...そういや、アレも螺旋が絡んでたな...って、それは関係ねぇな、うん。

 

「だいぶ速くなってきたけど...それでもやっぱこの数じゃ厳しいか」

 

穴の底に叩き落とすという攻略法を見つけたアクセル。けれど、少しずつ攻撃を喰らうようになっていた。耐久力があるからそこまでの傷にはなっていないけれど、鬱陶しくはあるだろう。

 

「くっ、下からも...!」

 

通常、魔物は自分が出てきた横穴から上には登ってこない。そのために、本来なら下から攻撃されることはないのだが、いかんせん叩き落としすぎた。少し上の方の横穴から出てきた魔物の場合、叩き落としたとしても生き残っていれば登ってくる。

 

前進の速度が遅かったのもあるだろう。登ってくる前にその魔物が出てきた横穴より上にいればいいのだが、それが出来ず後ろから襲われることとなってしまっていた。

 

もっとも、こうなった一番の要因は、逃走開始の時間が遅すぎたというものなのだが。俺たちがここに来た時は、色々バタバタしたも比較的早めに逃げ始めていた。しかし、アクセルは飛び上がっての離脱を試していたり、そもそも降りるときに俺に攻撃しようとしたりなど、時間のロスが多かった。そのために、大量の魔物が多く出てきてしまっていた。前進が遅いのもそのせいだ。

 

「ほらほら頑張れー応援してるぞー」

 

よーし、スタミナ全快だ。魔力はまだかかりそうだな。周囲の魔素が多すぎるせいで聖素が排斥されてしまい、それに伴って魔力の回復効率が低くなってしまっていた。加速によって本来よりは早くなっているのだが、それでも町の中やその近くよりかは遅い。白を使ったし、未来跳躍も何度も使った。この減った魔力を取り戻すには...十分弱はかかるだろうな。

 

「まぁこの調子だとアクセル登ってくるのまだまだだろうし、魔力も全快できそうだな...貴様ァ見ているな!」

 

1203ページ左下 黒のみ 水刃

 

「『雷装』水刃!」

 

振り向きざまに刀を抜刀し、何もない虚空に水の刃を放つ。

 

「当たった感覚ねぇな...姿隠して見てんじゃねぇよ腰抜け!」

 

空を見上げて何もないところに向かって叫ぶ。

 

「アクセルにバレたくねぇからコソコソとしてるんだろうけどよォ!視線で気が散るわ邪魔だから消えやがれ!」

 

3740ページ上 黒のみ 熱視

 

どうやら何かしらの姿を消す魔法を使っているみたいだが、この熱を見ることができる魔法を使って魔族の姿を視認する。

 

二人...か。転移と、魔素操作の魔族だろうな。あくまで見えるのは熱だけなので、ちゃんとした容姿を確認することができないのは残念だが...近づけば背丈くらいはわかるだろう。

 

「今そっちに行かせてもらうぜ!」

 

72ページ右下 黒のみ 跳躍

 

比較的低いところを飛んでいる魔族に向かって跳躍する。もちろん、普通なら届かないが加速と跳躍を合わせればひとっ飛びだ。

 

「随分低いところ飛んでんなお前。流石に俺のこと舐めすぎだろバカだなお前」

 

『こ、こいつ二回もバカって言った!』

 

…なんか、声変えてる?

 

「バカは下に落ちてな」

 

7713ページ 黒のみ 重力操作

 

重力操作で魔族に向かって落ち、最高速度でドロップキックをかます。

 

「んぐっ...!」

 

あっ、素の声出たな。なんか聞いたことある気が...?

 

『なんでそんな低いところで飛んでたんですかやはりバカなんですね姉さんは』

 

凄まじい速度で地面に落ちていく魔族だったが、急に姿が消えた。そして気がつくと上から落ちてきていて、俺と一緒に落ちていく。

 

『あ、ありがとー!』

 

「んじゃ死ね」

 

『あっぶね!』

 

刀を抜刀するが、上に飛ぶことで避けられてしまった。仕方ない。このままだと俺は地面に落ちてしまう。いちいち着地と跳躍を繰り返すのも面倒だ。魔力を結構使ってしまうが、飛ぶしかないな。

 

9037ページ 黒のみ 飛行

 

空を自在に飛び回ることのできる魔法を発動する。この魔法は、発動にはそこまで魔力を使うことはないが、動くたびに大量の魔力を消費してしまう。今の適性と魔力量では、十分が限界といったところだろう。

 

「さっさと終わらせる...!」

 

そう意気込んで刀を納刀した。

 

その時。

 

『さっきのお返し!』

 

「えっ、プゴアァッ」

 

いつのまにか背後に回られていた。そして動き自体はへっぽことしか言いようのないパンチを喰らった。なのになぜだ。

 

バキゴキグシャァッ!!!

 

この背骨が折れる感覚は...なんなんだ。

 

「ッッッッ...!」

 

声にならない、息の音が口から漏れる。

 

8271ページ 黒のみ 逆行再生

 

意識が飛びそうだったが、なんとか耐える。魔法で折れた背骨を治し、背骨が刺さったことで傷ついた内臓を治していく。

 

それにしても、何だったんだ今の攻撃...すっとろい、スローな攻撃だったというのに威力がヤバすぎる。

 

突然背後に現れたのは転移の仕業だろう。けれど、さっきのパンチが何でああなったのかがわからない。魔素操作ではあんなことはできないはず。大量のバフ魔法を重ねがけした?バカな分筋肉に全振りしてる脳筋とか?いやでも、速度操作で体型はわかってる。とても筋肉があるようには思えない。

 

『もう一発!』

 

7801ページ 黒 青 未来跳躍

 

「っ!」

 

ギリギリだったが、振りはへなちょこ威力はバカ高い謎パンチをなんとか避けることができた。

 

『避けんな!』

 

だが、さらに転移して魔族は襲いかかってくる。

 

こいつら...マジヤベェ!




赤髪姉妹参戦!
ここらで戦闘しないと、今のところ終盤まで戦う機会ないのでね...急遽戦闘シーン追加です。
ちなみに、サーマルの力は魔素操作ではありません。
以前、仮に魔素操作だとすると絶対にできないことをやっていますしね。
固有能力が何なのかは終盤まで明かしません。
考察ポイントですよ...ぜひ考えてみてください。
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