前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8446字。

今回でアクセルとの戦闘は終わりです。
まさか五話もかかるとは思ってませんでしたわ。


蓄積された雷、破られた誓い

7399ページ 黒のみ 空間接続

 

「ほーらもう一発!」

 

真横に振った鞭の先端が空間の裂け目に入り、アクセルの右耳に命中する。空間接続を使えば、どの方向に攻撃しても標的に当てられる。奇襲にも使えるし、その場から動かずに攻撃することも可能だ。魔力はそれなりに使うが、魔力切れよりもスタミナ切れの方が深刻で困るので、スタミナ回復を優先する。魔力はポーションを飲めば最悪なんとかなるからな。スタミナは自然回復するしかないし。

 

「ほらほら、反撃してきなよアクセル」

 

「そんなに言うなら...!」

 

あっ、流石に慣れたみたいだな。鞭の攻撃を喰らいながらも、走り出す構えを取っている。

 

「反撃してやる!」

 

アクセルが真っ直ぐ走り出し、拳を突き出してくる。反射神経の加速のおかげで、しっかりと見えている。

 

7399ページ 黒のみ 空間接続

 

「自分の拳、喰らってみな」

 

俺の腹あたりに放たれた拳を空間の裂け目に引き摺り込む。その先はアクセルの顔の目の前だ。アクセルは自らの拳を喰らう。音速同士が衝突し合い、一気に後ろに吹き飛ぶ。反撃流で威力を利用した時よりも吹っ飛んだな。直接の方が威力損失ないからやっぱ強いな。

 

「おっと、吹き飛んで逃げられると思ったら大間違いだぜ?」

 

7399ページ 黒のみ 空間接続

 

アクセルの吹き飛ぶ先に空間の裂け目を作り出す。その先は俺の少し前、下向きに設置した。

 

「やっほ、もっかい飛んでけ」

 

頭だけ裂け目を通ってきたアクセルに声をかけながら思い切り蹴りつける。

 

さっきとは逆方向、奥からこっちに向かって跳ね飛ばされてくるアクセル。えーっと、今度は...こっちにしよう。

 

7399ページ 黒のみ 空間接続

 

今度は俺の前から地面に繋げる。これまた綺麗に頭だけが裂け目を通ったアクセルが、モグラ叩きみたいに地面から生えてくる。

 

「…ピコッ!」

 

ドゴッ!

 

自分で出した効果音とは違い、鈍い音が踏みつけたアクセルの顔から鳴る。

 

「うぐぅっ...」

 

空間の裂け目から弾き飛ばされたアクセルが地面に叩きつけられる。

 

「どうだ?この連続攻撃。面白いだろ」

 

地面に臥しているアクセルに向かって喋る。

 

「空間接続を利用した、自分じゃなくて相手を動かして攻撃を叩き込むこの手法。スタミナを温存したい時にはちょうどいい」

 

魔力はまぁまぁ使っちまうけどな。

 

「…ってか、お前再生早くね?どうなってんだ?」

 

さっきの連続攻撃で与えた傷がもう治りつつある。さらに言えば、シレンの穴に落とす前につけたはずの腕や肩、左手の傷はもう治っていた。穴から出てきた時に全身についていた軽い傷もなくなってる。再生魔法は使ってないはず。なら、この異様な再生の速さはなんだ?

 

「頑丈なのが私の取り柄なんでね...!」

 

ハンドスプリングみたいな感じで起き上がるアクセル。

 

「いや、頑丈とかじゃなくて...」

 

再生能力...固有能力は神様が言うには一人につき一つだけだから、固有能力ではないはず。となれば、普通に魔族としての性能差か...?いやでも、最初の方はここまで早くなかったはず。さっきよりも明らかに早くなってるのだから、何かあるのは確実だと思うんだが...

 

いや、そもそもが違うのか?魔素操作の魔族が、実際には別のこともできたように、固有能力に多少の汎用性があるとしたら?たしか、アクセルの固有能力は肉体の強化。この強化ってのが、身体能力だけでなく免疫や傷の再生にまで及んでいるとしたら?あり得なくはないだろう。

 

「…まぁいい。再生するのなら、赤で切るだけ...!」

 

7399ページ 黒のみ 空間接続

『色彩剣装 原色・赤』

 

アクセルの足を空間の裂け目に落とし、目の前に出てきた足めがけて抜刀する。

 

「っ...!」

 

チッ、当たんなかったか。片足しか落とせてなかったから、残っていたもう片方の足で地面を蹴って上に跳び、すぐに脱出されてしまった。

 

「でも、跳んだら着地まで動けんよな?」

 

加速によって一瞬でアクセルの下まで移動し、跳びながら刀を振る。

 

「よっ...と、その赤に当たる気はないよ」

 

「空中で避けてんじゃねぇ!ってか二段ジャンプすんな!」

 

魔法だとか速度操作だとかじゃなく、肉体操作があるとはいえただの身体能力だけで二段ジャンプするとかおかしい。わけわからん。空気でも蹴ってるってか?水面走れんじゃねぇの?そんなんできんなら。

 

「そんなわけわからん動きで逃げられんなら退路塞いでやるよチクショウ!」

 

4014ページ 黄 青 障壁

5000ページ 黒のみ 魔法復唱

 

魔法を発動し、大量の障壁を設置してアクセルを囲む。

 

「障壁...閉じ込められた⁉︎」

 

「閉じ込めた、ってのはちと違うぜ。こいつは迷路だ。三次元のな」

 

そう、これは立体迷路だ。アクセルには障壁を打ち砕く方法はないし、完全に閉じ込めることはやろうと思えばできる。

 

けれど、これは試合だ。俺は隙あればアクセルを殺す気ではあるが、アクセルには俺を殺す気は今のところない。手加減してくれているわけだ。いつもなら舐めきっている相手を滅多撃ちにする俺だが、俺にも心はある。回避不可能攻撃で終わらせるのはダメだ。限りなく低い可能性でも、逆転の目を残してやる。それが、アクセルへの俺なりの敬意だ。多分、魔素操作の魔族相手だとこんなことはしないだろうな。

 

「逃げてみなよ俺の造った迷路から!ちゃんと出口は用意してあるからよ!」

 

狭い通路のためアクセルは全力で走ることができない。そして、左手の法則で出口に出れるような構造にもしていない。逃げるのには時間がかかるだろう。だが、頑張れば逃げられる。

 

「そうか...人間はやっぱり、ゲームを作るのが好きみたいだな」

 

「魔族はゲームしないのか?」

 

「戦いをゲームと呼ぶなら」

 

「オーケーそれなら迷路を十二分に楽しんでくれ」

 

「そうさせてもらう...よ!」

 

アクセルが迷路の中を走り出す。

 

「……あだっ」

 

「壁透明だから気をつけろよ」

 

見えない壁、床、天井。俺なら速度探知で位置を把握できるが、アクセルはそれができない。これも苦戦する要素だろうな。

 

「あと...俺にも注意だぜ」

 

迷路の障壁の一部を刀で切り裂き、中に入る。開いた穴は障壁を再発動して直しておく。

 

「追いかけっこもやるってことね」

 

「今度は俺が鬼だがな」

 

「…おに?」

 

「ああそっか鬼っていないんだな...まぁいいちゃんと逃げな。俺は速いぜ!」

 

全速力で迷路の中を走る。自分で造った迷路だ。構造は大体わかるし、速度探知で現在進行形で把握できる。壁を蹴って走り、二層目へと繋がる穴を登り、アクセルへと高速で近づく。

 

「忍者屋敷よろしく床からこんにちわ!」

 

「あっっぶな!」

 

アクセルの真下から床越しに刀を突き出すも、間一髪のところで避けられてしまった。流石に点の攻撃じゃ捉えられないよな。

 

「ところでに、にん...じゃ...?ってなに!」

 

「知りたきゃ俺の頭ん中でも読んでみるんだな!」

 

ってかこいつ運いいなサクサク出口に進んでやがる。もうちょい複雑にしてればよかったか...?

 

「…?なるほど音か!」

 

いやに足踏みの回数が多いと思ったら、どうやら足音の反響音で迷路の構造を把握してるようだ。聴力を固有能力で強化してるのか?できなくはないけれど、まさか本当にやる奴がいるとは...

 

「悪いけど、こっちは直進できるんでな!」

 

赤の光を宿した刀で障壁を切り裂き、真っ直ぐ最短距離でアクセルに近づく。

 

「まずはその脚を貰う...!」

 

一度納刀し、刀を鞘に押し込む。抜刀速度の加速。音速を超えた防御無視治癒阻害の斬撃がアクセルを襲う。

 

「うおっ、マジかよ⁉︎」

 

避けられないとすぐに察知して、刀の側面を蹴りやがった。砕けてはないけど結構な大きさのヒビが...!刀はしばらく使えない。

 

そして、もうすぐ迷路を脱出される。

 

「脱出!私の勝ち!」

 

「だが試合は俺の勝ちだ!」

 

迷路の外、天井を走るアクセルに向かって叫ぶ。

 

『雷装』

9934、9935ページ

 

全力疾走(オーバーアクセル)!!」

 

雷装と全力疾走の同時発動。音速を超える速度を出す準備をする。

 

「障壁!全解除ォ!!」

 

空中に造った立体迷路を構成している障壁、その全て消滅させる。

 

「足場が...!」

 

俺もアクセルも、二人揃って足場を失い地面に向かって落ちていく。

 

だが、速度操作で落下速度を加速できる俺の方が早く着地できる。

 

「さぁ、シメだ...!」

 

7535ページ 黒のみ 物質転移

 

魔法図鑑の入っているポーチに入っている、もう一つの魔道具。それを物質転移で手元に移す。アクセルに見えないよう、握り込んでだ。

 

そして俺は今も落ち続けているアクセルに向かって跳ぶ。十分に近づき、速度操作で回避行動を減速させて封じる。

 

そして俺は右手に握り込んだそれをアクセルに突き出した。

 

「喰らわせろ!一ヶ月分の...充填器(チャージャー)!!!」

 

魔道具、充填器がアクセルに突き刺さり、その効果を発揮する。

 

次の瞬間だった。

 

充填器から大量の電流が溢れ出し、アクセルを貫いた。

 

充填器。レストと行ったアンデッド屋敷で手に入れた、単一電池のような形をした魔道具だ。レストが要らないからと俺に渡してきていたのだ。

 

この魔道具は充填器という名前の通り、エネルギーを充填することができるものだ。これにエネルギーを吸収、貯蔵し、いつでも放出することができるのだ。貯蔵できるエネルギーは一度に一種類のみ。

 

他の魔道具と比べると充填器は、比較的多く出回っている。名前も既に決まっていたくらいだからな。そうして出回っている充填器は、主に魔力を貯めて外付けの魔力タンクにする、という運用法がされている。魔力の回復や、大規模な魔法を発動するために使われることが多いようだ。他にも、熱量を貯蔵することで炉のような運用をする人もいるそうだ。

 

そして、エネルギーを貯蔵できるならば、電気量を貯蔵できるのも当然の摂理。俺はレストからこの充填器を受け取ってから一ヶ月強、雷装を発動した時はずっとこいつに電流を流し続けていた。そのせいで雷装の威力が微妙に落ちていたりしたのだが...ほんの僅かだったし、本来の雷装の威力を知る者が誰一人としていなかったので一切気づかれなかった。魔族にもバレていない。だから、今、このタイミングで使うことができた。警戒されてなかった。クリーンヒットさせることができた。

 

「……っ!ガッ...!」

 

全力疾走を発動していたため、スタミナが切れてしまう。雷装を発動しているため、激痛が全身に走る。

 

けれど、雷装を解除するわけにはいかない。解除してしまったら、俺も充填器の電撃を喰らってしまう。せめて貯蔵した電撃を全て解放し切るまでは...どちらが先に倒れるかの勝負だ。

 

「どうだよ...アクセル。痛えか?イテェよなァ!」

 

アクセルは声も出ない。全身が痺れ、口すらも動かせないのだろう。

 

「こっちだってイテェよ!この痛みをずっと味わうくれぇなら死んだ方がマシかもしんねぇなァ」

 

激痛に耐えながら充填器を押し込み続ける。外れて吹き飛ばないように、しっかり突き刺す。

 

「ってなわけで...」

 

『触手・水』

 

魔法図鑑に魔力を流せるほどの集中力がなく、スキルで触手を出す。

 

「もろとも吹っ飛ぼうぜ」

 

『火の粉』

 

充填器から手を離し、そのまま至近距離で爆発させる。

 

触手は背中から伸びている。だから、分解した水素と酸素は俺の後ろに多くあったわけで...真後ろから爆炎と衝撃を受け、俺はアクセルもろとも吹き飛ばされる。

 

「ぶへらっ!」

 

頭から落ちる。

 

「く、首逝かれんぞこんなの...!」

 

雷装を解除して激痛から逃れるも、今度は車○落ちしてしまった痛みに襲われる。

 

「クソ痛え...うおっ」

 

頭をさすろうとしたもののスタミナ切れで動けず断念していると、ちょうど目の前にアクセルが落ちてくる。

 

「びっくりした...くそ、動けよ身体。トドメを刺さねぇと...!」

 

地面を這って動くこともできない。アクセルの再生能力は相当だ。動けなくなってる今のうちにトドメを刺さないと。絶好のチャンスだというのに...!

 

「そうだ、『雷装』...   っっ⁉︎」

 

な、なんだ今の。今の激痛はなんだ?今までの比じゃない。痛みだけでショック死しそうになるほどの...反射的に解除してしまった。

 

「ここまでの痛みじゃなかったはず...なん...で...?」

 

こんな時でも発動していた速度探知が、透明になった人型を捉えた。この体格は...魔素操作の方か。

 

『はい動かないでねー...うわ、止まってる...⁉︎』

 

さっきの激痛はお前のせいか...!魔法で俺の痛覚を弄りやがったな畜生め。

 

『一人で戦うだなんて意地張ってこのザマか...さっさと起きなさい!』

 

アクセルの胸に手を当てる。一瞬光のようなものが走ったかと思えば、ビクンッとアクセルの身体が跳ねる。

 

「    かはっ⁉︎」

 

チッ、魔法で回復させやがったか。俺は動けないってのに...!

 

『やっと起きたね、お寝坊さん?戦闘中になんで寝てたわけ?』

 

「お前...バカの方!」

 

『バカの方言うな!助けてやったのになんてこと言うのさ!』

 

「ふざけんな!私一人でやるって話だったはずだろ!魔素のサポートだけは認めてやったが、それ以外は一切干渉しないって決めたはずだ!」

 

『私がやらなかったらアンタ死んでたんだよ⁉︎感謝してよ感謝!それと、早く退避するよ!妹からの命令!すぐに転移する!』

 

「嫌だね!私はまだ戦える!まだ...動ける!」

 

アクセルがバッと立ち上がり、走り回って動けることを証明する...マジかよ。まだ動けんのか。スタミナ底なしかよ...

 

『動かないでください!転移できませんから!』

 

「私はまだ戦う!カリヤが回復したら戦うから!もうちょっと待ってよ!」

 

『ダメです。もう退却です。姉さん』

 

『あいよ!』

 

俺の近くから一瞬で加速して走り出していった魔素操作の魔族。そして次の瞬間にはアクセルがその場でジタバタし始めた。羽交い締めでもされているかのようだ。

 

『私が追いつけるぐらいだよ?アクセル、もう限界だよ』

 

「まだだ...まだ...!」

 

『限界を越える。今のでその目的は達成できたのでは?もう神の使いは処分しましょう』

 

「ハァ⁉︎何言って...!」

 

空を見上げるアクセル。釣られて俺も目線を上げると、それが見えた。

 

「転移の...兆候...!」

 

『そもそも、神の使いを泳がせておくのは反対なんですよ私たち。フロートも、出来れば模倣したいと言っただけで、殺すなとまでは言っていないんです』

 

『アクセル、アンタの我儘にこれ以上付き合う気はないよ』

 

「カリヤは今動けないんだぞ⁉︎それなのにあのサイズをぶつけるのは...!」

 

『動けない?絶好の機会じゃないですか。その隙を、私たち魔族が見逃すとでもお思いで?』

 

巨大な魔物が転移してくる。位置は俺の真上。このままだと俺は潰されてデッドエンドだ。

 

「チィッ!こいつら...クソ野郎共がア゛!」

 

バチンッと、アクセルの身体から紫電が走...り...は?

 

『いった...ら、雷装⁉︎』

 

声からして、電流の痛みで羽交い締めを解いたのだろう。自由になったアクセルが紫電を纏いながら、落ちてくる魔物に向かって跳び上がる。

 

「先にルールを破ったのはあんたたちだからね!こっちも全力で邪魔するよ!」

 

ただでさえ速かった速度が更に加速し、一瞬で魔物のすぐ近くまで接近したアクセル。そしてそのまま拳を突き出して魔物を殴りつけると...

 

『うそ...でしょ?』

 

『これは想像以上ですね...』

 

魔物が粉々に砕ける。中央に一発叩き込んだだけなのに、だ。肉片が飛び散って撒き散らされる。

 

「呆気ない...これが雷装か...!」

 

アクセルが着地し、手の感触を確かめるかのようにグーパーと動かす。

 

『これは...姉さん』

 

『そうだね。いいんじゃない?』

 

『ですね...アクセル、さっきのは無しです。神の使いの処分は先送りにしましょう。今のを見て、今すぐに処分っていうのは流石に無理ですね』

 

「…ほんと?嘘じゃない?」

 

『ええ、嘘はつきません。ですが、代わりに一つ条件。今は撤退する。従ってくれれば、今後も神の使いと戦う機会を作りましょう』

 

「……乗った」

 

交渉を終えたアクセルがこちらに近づいてくる。

 

「ってなわけで...また今度、次会った時も戦ってくれるかい?」

 

「…………」

 

アクセルが雷装を手に入れてしまった。やばい。ヤバイ。充填器のせいか?雷以上の火力を出してしまったからか?知らないうちに、雷装の取得条件を満たしてしまったのか?

 

本当にやばい。雷装は使うと無条件で1.5倍に加速する。魔素が多い環境だとマッハ1.2とかいう速度を叩き出すアクセルだぞ?マッハ1.8とかヤバすぎる。あっという間に抜き返されてしまった。追いつける気がしない。

 

……これでも殺○んせーの十分の一以下ってヤバくね?あの生徒たちならアクセル余裕で捉えて撃ち殺せそうだな...

 

「……聞いているか?」

 

「…聞こえてはいる。ちょっと現実逃避をな...」

 

「で、答えは?」

 

「……嫌だと言ったら?」

 

「無理矢理戦わせる。この二人にも協力してもらって、無理矢理連れ出してもらう」

 

無理矢理連れ出す...か。今日、いつのまにか別の場所まで転移された経験をしたばっかだからか、いやに現実味がする。ほんとにやりかねない。

 

「わーったよやるやる。次会ったら戦おうな。勝てるかは知らんけど...」

 

「その言葉が聞きたかった。それじゃ、私に追いつけるように頑張ってくれ」

 

電流を纏ったアクセルの手が俺の首に近づく。

 

「えっ、ちょっ、待っ

 

バチンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……意識が戻ってきた。くそ、まだ痺れてやがる。火力高すぎだろ俺以上じゃねぇか。雷装を手に入れた原因となった電気が、雷以上の火力だったからか?

 

あーあ、次会った時どうやって戦えばいいんだよ。瞬殺されんぞんなもん。クソ、雷受けても雷装手に入れてなかったつってたから、何も考えずに充填器ぶつけちまった。こんなことになるならちゃんと殺せる筋書きを作ってからやればよかった。いけるかも、でやるべきではなかった。

 

…ダメだな。こんな後悔もう遅い。多分もうアクセルたちはどっか行ってるだろうし、早く動いてガネルに戻らないと...そのためにも、スタミナと魔力を回復させて、47キロちょいを走り切れるようにしなければ...

 

そう思い、気絶したことでキャンセルされていた速度操作を起動した。回復速度を加速させて...は?

 

「ま、まままま、まま、ま、魔物⁉︎」

 

いつのまにか魔物に囲まれてる⁉︎目ぇ開いてなかったから気づかなかった!マジかよとりあえず雷装使って回避を...!

 

「動くな!」

 

そんな声が空から響いた。

 

ビックリして雷装を発動し損ねた。魔物が襲いかかってくる。

 

そしてそんな魔物を謎のレーザーが襲った。

 

「…助かっ...た?」

 

誰が助けてくれたんだ?こんなところに人?しかも、真上からレーザー降ってきたけど飛んでいるのか?助けてもらった手前アレだけどちょっと怖い。変声魔法を使ってないから魔族じゃないと思いたいけど、フロートの可能性が捨てきれないのが怖すぎる。

 

やっと痺れがとれてきたので、恐る恐る目を開く。頼む、魔族じゃなければ誰だっていい。俺を助けてくれたのは誰だ...?

 

「おーいあんた。何だってこんなところで寝てやがるんだ?」

 

あれは...杖?箒?柄の部分にエウレ○セブンみたいに乗ってこっちの方まで降りてくる。魔法使い...か?

 

「ちょっと...色々あってな」

 

魔族と戦ってたってことを言ってもしょうがないよな。とりあえず感謝だけ伝えておこう。

 

「こんな見ず知らずの人を助けてくれてありがとう。あなたは...」

 

「すまん、俺ちょっと急いでいてな。あまり話をしている暇はないんだ。あんた、もう動けるか?」

 

「ちとキツイが少し休めば」

 

「そうか。感謝は受け取っておくよ。それじゃあ俺はここで」

 

そう言って魔法使いは北東方面へと向かい始め...北東?

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

…ダメだ聞こえてない!

 

「『雷装』...!」

 

無理矢理体を動かして魔法使いを追いかける。

 

「ちょ...っと待ってそっちは今危ないから!」

 

「うお、速っ」

 

よかった何とか追いつけた。身体中いったいけど追いつけてよかった。

 

「ガネルは今魔物の軍勢と戦争やってんだ。よほど力に自信がある、ってわけじゃないならそっちは行かないほうがいい」

 

「それは知っている。だからはるばるカイスの方から飛んできたんだ」

 

「魔族も少なくとも三人は関わっている。できれば行くのは止したほうが...」

 

「問題ない...ところで、さっきの動きはなんなんだ?あんた強いのか?」

 

「…仮にも、神の使いなんで」

 

「神の...使い⁉︎」

 

少し驚いたような顔をする。その驚きは、はたして神の使いだと知ったからなのか、それともそんな神の使いがあんな場所で魔物に襲われて死にかけていたからなのか...

 

「ってことは将来の仲間じゃねぇか!よろしくな!」

 

「…へ?」

 

将来の仲間?もしかしてニア...は女性のはずだし、こいつ誰?

 

「どちら様で...?」

 

「俺はスート。勇者候補の一人だ!」

 

……マジ?




うん、ここでアクセルが雷装を手に入れるのは初期の想定にはなかったんですわ。
そもそも雷装手に入れない予定だったんですわ。
でも流れ的にも、取得条件を満たしていて取っていないとおかしいのもあって、雷装を取得させることに...ああ、オリチャーがどんどん崩れていく。
なんなら、今回のアクセル戦はボロ負けする予定だったんすよ。
なんで辛くも勝利一歩手前まで行ってるんですかね...

ちな、勇者候補と邂逅する予定もなかったぜ!
ノリと勢いだけで小説書いてるな俺大丈夫か?
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