前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8133字。

勇者候補と絡むけど、展開自体はそこまで進んでなかったり...


勇者候補と、戦場風景

「勇者...候補⁉︎」

 

「そ、だからあんたと俺は、一緒に戦う仲間になるかもしれないってわけだ。よろしくな!」

 

「お、おう、よろしくな」

 

めっちゃ強めに握手された。ちょっと痛え。

 

「そうだ!俺と一緒にガネルに行こう!魔物の軍勢を薙ぎ払い、皆を救おうではないか!」

 

「…そうだな。行こうか」

 

9902、9903ページ 次元収納

 

刀を次元の狭間の中に収納する。スートと名乗ったこの勇者候補を追いかける時、無意識だったがちゃんと刀を持ってから走っていたおかげで手元にあったが、流石にここからガネルに戻る間ずっと手で持つのは面倒だった。なので、ここ最近でやっと使いこなせるようになった次元収納に入れたのだ。ちなみに、いつも背負っていた鞄は次元収納でしまってある。武器とポーチだけ持ち歩けばいいようになったのだ。

 

「次元収納じゃねぇか!すごいなあんた!そういや名前は?」

 

「仮谷だ」

 

「そうかカリヤか!よろしく...はもう言ったか。それじゃあ急いでガネルに向かうぞ。さっきの見た感じもう動けるんだよな?」

 

「いや、実はかなり限界」

 

雷装を解除すれば...ほらこの通り、一歩も動けません。

 

「ちょっ、大丈夫かカリヤ!」

 

「できればガネルまで運んでくれると助かる...」

 

「わ、わかった」

 

スートの指から光の紐...というか、ロープ?のようなものが伸びて、俺を縛り付ける...ゑ?

 

「すまない。流石にスタミナ切れで動けない人を杖に乗せるのは難しくてな...少々手荒になるがいいか?」

 

「縛る前に言ってくれよそういうこと...まぁそれしか方法ないならしょうがない。多分大丈夫だから自由にやってくれ」

 

「わかった。出来るだけ安全に行こう」

 

スートは俺を縛ると、光のロープの端を杖に括り付ける。安全性高いハーネスみたいな縛り方してんなこれ。なんか大丈夫そう。

 

「それじゃあ行くぞ。揺れると思うが我慢してくれ」

 

そう言うと、スートは杖に乗ったまま足裏でカカンッと杖を叩き、結構な速度で飛行し始めた。

 

「普段の俺よりかは流石に遅いか...」

 

加速させてもいいが、スートに慣れない速度で飛行させてバランス崩して墜落ってのが怖いからやめておこう。

 

「ってか風の抵抗がほぼないな。魔法か?」

 

速度操作が内蔵している、空気抵抗をなくす魔法かな多分。他の人が使ってるのは初めて見たな。

 

「その状態でよく話せるな...」

 

「まぁ高速移動には慣れてるんで」

 

「縛られている方の話なんだが...」

 

「…そっちは慣れてないが、まぁそんなに揺れてないしな。このくらいなら普通に話せる」

 

「すごいな神の使い」

 

多分、歴代の神の使いはこんなことですごいと言われたことないと思う。ちょっと複雑...?

 

「そうだ、話せるのならちょっと聞いていいか?」

 

「いいけど、なんだ?」

 

「なんであんな場所で寝てたんだ?」

 

「寝てたんじゃなくて気絶だったんだがな...勇者候補なら話しておいた方がいいか」

 

俺はアクセルと戦っていたことを話す。ついでに、双子か姉妹らしき魔族二人と戦ったことも伝える。

 

そんなことを話している間に、俺の頭は高速で思考を回していた。頭の整理のためだ。主に、勇者候補について。

 

この世界の勇者は、三人の候補から選ばれる。勇者選定の日の二年ほど前に、この世界の少年少女から三人が女神に選ばれて印を刻まれる。そして勇者選定の日までの二年間で各々修行をし、三人のうち一人だけが勇者として選ばれる、という仕組みらしい。ガネルの大会が始まるよりも前から選定は始まっているわけだ。

 

たった二年で勇者に慣れるほどの力を手に入れられるのかと、このことを知った時には思った。こういうのは、勇者の血筋を持つ者がなるんじゃないのか...ってな。だがなんでも、女神の印を持つ者は成長が凄まじく早くなるらしく、二年どころかその半分の一年でこの世界の最強クラスにはなれるらしい。インフレ激しいぞどうなってんだ?

 

とまぁ、そんなわけで誰よりも強い勇者ってのを育成するわけだが...もうその三人で魔王倒しに行った方がいいんじゃね?とは思う。聖剣を使えるのは一人だってのはわかるが、残る二人も、もともとは聖剣なんて使わずに力をつけてきたわけだし、そのまま戦力として使えると思うんだが...

 

各町の英雄は、もし仮に死亡してしまった場合、二番手三番手と後続に英雄の称号が引き継がれる。ガルムだったら、犯罪が露見していなければルードが、アクセルならば、本来なら準優勝のアクセルが...引き継ぎできねぇ⁉︎ま、まぁ誰かしらが引き継ぐことになるんだろう多分。

 

勇者も今のみたいな感じで、選ばれなかった二人を補充要員として用意しているのだろうか。違う気もするけれど、とりあえずそんなところで納得しておく。

 

というか、各々が自由に修行していいことになってるらしいんだけど、それ大丈夫なのかな?すごい偏った力をつけそうでちょっと怖い。スートはなんか、魔法特化みたいな感じなのをひしひしと感じるし、聖剣を扱えるのかちょっと不安になる。まぁ俺もこの世界に来てからすぐにダガーとか剣に適応できたし、やろうと思えばできるのかな。聖剣自身がサポートするってのもありそうだ。

 

「…っと、こんなところだな」

 

「あんたマジかよ魔族三体と戦って生きてんのか本当に人間か?」

 

「正真正銘の人間だよ。まぁ俺が生きてたのは、あいつら三人とも俺を殺す気がなかったからだしな。どうやら、俺を修行相手として見てるみたいなんだよな...」

 

「修行相手か...変なことなってんだな」

 

「殺されないで済むのは助かるけどな。こっちは本気で殺しにかかっても返り討ちにされるってことないし」

 

おそらく、これからもうまく立ち回れば俺は殺されない。そして、それは各町の英雄も同じはずだ。殺そうと思えば、レストはルードに成り済ましたフロートが、クミリアはアクセルが音速で闇討ちすれば殺せてしまう。各地を旅しているらしきニアも魔法拡散を使ってからアクセルに突っ込ませれば殺せるだろうし、まだ決まってないカリスの英雄も、魔族四人集まれば村ごと滅ぼせてしまうだろう。ガネルに送り込んでいる魔物の軍勢をそのままカリスに送り込めばさらに簡単だろう。

 

それをしないのだから、それぞれの英雄も何かしらの意図があって殺していないと考えられる。ただフロートがコピーしたいだけなのか、それとも既に情報を集めているのだから今更別の人に変わられても困るってだけなのかもしれないが。

 

「実は全て嘘で殺す気満々!とかだったら困るけどな...アクセルの言ったことは信じれるけど、あいつらは信用ならん...あっ!スートちょいストップ!」

 

「おおおわっとなんだ⁉︎」

 

俺の声に驚きながらも、スートはちゃんと止まってくれた。

 

「悪いこのまま降下して...いや、ロープを解いてくれ」

 

「落ちるぞ?」

 

「大丈夫だから頼む」

 

「…わかった」

 

スートがロープを切り離し、俺は落下する。

 

「よっ...と。確かこの辺に...」

 

速度操作を使って安全に着地した俺は、空を移動中に見えたものを探す。

 

「あった!」

 

見つけたそれらを拾い上げる。

 

「何を見つけたんだ?」

 

スートが音もなく降りてくる...すーっと降りてきたって言いたくなったけど我慢我慢...

 

「戦闘中に弾き飛ばされた俺の武器。見つかってよかったー!」

 

かんっぺきに頭から存在が抜け落ちていた。見つけられたのは完全に偶然だったけれど、今ここで見つけられてよかった。

 

「そ、そうか。よかったな」

 

「あっ、そうだ。ここまでずっとスートが運んでくれたから、今度は俺が運ぶわ」

 

「えっ、いやいいよ飛べるし」

 

「俺が運んだ方が早いし、スタミナはもう回復してるから問題ない。それに、勇者候補の魔力は出来るだけ残した方がいいしな。俺はもう色々消耗してるから、今から行ってもサポートに回ることの方が多い。主力は温存しておく必要がある。あとあと...」

 

「ああ、うんわかった。その辺でいいから。で、運ぶってどうやってだ?」

 

「背負う」

 

「あ、うんそっか。じゃあ頼む」

 

スートは次元の狭間に杖をしまってから、俺に背負われる...スートも次元収納使えるんじゃんか。

 

「じゃあ走るぞ。仲間になったらこの速度は日常になるだろうから、今のうちに慣れときな」

 

「えっ、うわ速い⁉︎」

 

ガネルまで走り出す。スタミナは十分保つだろう。残してきたクミリアたちが少し心配だ。負けているなんてことはないだろうが、どれくらいの被害が出ているかわからない。できる限り急ぐ。

 

速度操作だけで出せる全力を持って走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろだ」

 

「早いな...俺もこのくらいまで速く飛べるようにしたいな」

 

「俺の協力なしで飛べるんだったらこっちも助かる。勇者候補ってのは努力がそのまま力に繋がるんだろ?頑張れよ」

 

「言われなくても」

 

「っと、見えてきたな。行ってこいスート!」

 

「おう!」

 

杖を次元の狭間から取り出し、そのまま杖に乗って魔物の軍勢のもとまで飛んでいく。

 

「お手並み拝見...してる時間はなさそうだな。まずは知ってるやつと合流しねぇと...」

 

今はちょうどいいことに、この戦場を広く見渡せるところに立てている。誰かと合流したいので、辺りを見渡す...が、流石にこの距離からじゃ人の判別はできないな。

 

「とりあえず、適当にサポートして回るか。まずは...あいつのところから!」

 

少し走ったところに、ちょい巨大な魔物がいた。あれを倒すついでに、その近くにいる人に俺の知り合いがいないか聞いてみよう。

 

「スタミナは足りる!魔力もまだ残ってる...でも、やるなら一撃で!」

 

9902、9903ページ 次元収納

 

次元の狭間から刀を取り出す...チッ、時間停止効力のせいでヒビの修復が微妙に終わってねぇな。加速して対応...っと。

 

「弱点...はわかんねぇから適当に!」

 

魔物に近づき、首めがけて直った刀を抜刀。

 

「おっしゃ脆い!」

 

スパンッと呆気なく首が飛び、魔物は絶命する。そこまで大きくなかったから、そんなに強くなかったな。まぁ、全然刃が通らないアクセルと戦った後だから、感覚が狂ってるだけなのかもしれないが。このサイズでも、普通の人が相手するにはまぁまぁキツイだろう。倒せないほどではないと思うし、この町の冒険者にとっては余裕なのかもしれないが。

 

「…って、誰もいねぇし。まだ転移してきたばっかの魔物か?」

 

そっか、ここはガネルから距離がある。人間サイドの前線からは離れてるのか。アクセルあたりはここまで来てそうだが...

 

「…そうだな。もっと下がった方がいいか」

 

ガネル側に向かえばもっと多くの人に会えるはず...そうだ、ミュラーが張った罠の線があるところまで戻るのが一番だな。どのくらいまで魔物に侵攻されたのかがわかりやすいし、あの辺りは安全が確保されているから人も多いだろう。

 

「そんじゃ、殲滅しながら向かいますか!」

 

ガネルに向かって走り出す。

 

「ほい、ほい、ほいっ...と。やっぱカイスの時みたいな後方火力支援がないから魔物が多いな...」

 

カイスでの戦争中は、町の方からずっと魔法が飛んできていて、それだけであらかた魔物を殲滅したり瀕死に追い込んだりすることができていた。それがないため、魔物の数があの時よりもかなり多いように思えた。

 

もちろん、この町にも遠距離攻撃をできるものは多くいる。魔法使いも含まれているが、その多くは弓矢使いである。ゆえに、やろうと思えば遠距離から攻撃を仕掛けることは可能ではある。この町の冒険者は誰も彼も精鋭だから、やってできないことはない。

 

しかし、今回は正面以外の方向から飛んでくる魔法を逸らすことのできる、あの魔法石がない。だから後方から支援することができない。弓矢使いも、前線に出て近距離で矢を放たないといけなくなっている。それでも、見える範囲にいる弓矢使いはバンバン魔物を倒せていた...しょうがないんだろうけど、なんで近距離で戦えてんの?短剣使ってるわけでもないのにおかしくね?近距離なのに剣使わないなんてほんとに弓兵か?

 

…ダメだ。弓兵のイメージ狂ってんな俺。弓使うのが弓兵だろ。剣使う弓兵ってなんだよ...あっ、そういやステラにダガー持たせてたな。ちゃんと使ってくれてるかな...

 

「っと危ね。意識逸れまくってたな集中しないと」

 

危うく魔物と衝突するところだった。いやまぁ、衝突しても速度操作の物理保護があるから問題ないとは思うけど。

 

「……もう、巨大化してるやつじゃないと味気ないな。ってか刀強すぎ!」

 

玉鋼を鞘に入れてから納刀すれば自動再生and研磨。押し込んでから抜刀すれば、音速の斬撃。魔力を流せば刀身は伸びる。刃文を魔法陣のように扱い威力や強度の補強、その他諸々の効果がある...やっぱ強い。まだちゃんと使いこなせてるわけじゃないけど、それでもここまでの威力を叩き出せている。マジモンの人が使ったらもっと強いんだろうなぁ...

 

「スパンスパン切れてくし...あれ?これもしかして血ィつかなくなってる?一切刀に血が付着しないんだけど」

 

錆びる心配をしなくていいから嬉しいんだけれど、説明し忘れてんじゃんクルスにコート...刀の錆にしてくれるってセリフ使えないじゃんどうしてくれてんだ?いちいち血を拭き取らなくていいのは楽だからいいけど、趣がない。

 

「…魔法陣が潰れないようにって意味もあんのかなこれ」

 

それなら納得だが...どういう仕組みなんだろこれ。液体を弾いてる?なんか水刃の速度速くなってるように感じたのってそれが原因だったりするのかな。音速の抜刀のせいだと思ってたけど、そういうことかもしれん。

 

「まぁ魔力勿体無いから今試そうとは思わないけどな...っとあの光はカノウか!」

 

やっと知り合いに会える...!いや、一応フロートの可能性考えないとまずいか。前にそれで酷い目にあったことあるし...あいつが存在してるだけで全ての人を警戒しないといけないの、普通に考えてヤバくね?俺ができる見分け方も、聖域の中じゃないとできないし...まぁとりあえず近づくしかないか。

 

「おま、カリヤ⁉︎魔族倒したのか⁉︎」

 

「よぉカノウ!フロートかもしれない可能性はとりあえず排除して聞くがちょっといいか?」

 

「フロー...なんだって?」

 

緑の光で魔物を複数斬りながら返答するカノウ。演技っぽくねぇな。うん、本物として見ておこう。

 

「先に答えるが、アクセルは倒せてない。とりあえず撃退したから戻ってきたんだけど、カノウお前クミリアがどの辺にいるか分かったりするか?」

 

「クミリアの居場所...?すまん俺にはわからない」

 

「そうか...じゃあ引き続き頑張ってくれカノウ。お前なら俺がいなくても問題ないよな!」

 

そう言ってから俺はまた北、ガネルの方へと走る。

 

「どこ行ったらクミリアにエンカウントできるかな...おっ、この音はミルキーの!」

 

聞き馴染みのあるメロディーが聞こえてきた。ミルキーの演奏魔法だ。この近くにミルキーがいる。音は...こっちから聞こえてきてるな。

 

「よぉミルキー!流石にお前がフロートってこたぁねぇよな?」

 

ミルキーは妙に魔物に囲まれていた。なんでこんなに魔物が集まってるわけ?音楽に引き寄せられてる?それとも、火力が足りなくてジリ貧になってるのかな?

 

「フロートって誰さ!ってかそんなこと話してる場合じゃないのちょっと助けて!」

 

どうやらジリ貧になっているみたいだ。助けてとミルキーが叫ぶと、ミルキーがかけている音楽がほんの少し変化し、バフが俺にもかかるようになる。咄嗟にこの行動ができたわけだから、流石にフロートではない...はず。

 

「りょーかい!」

 

音速で刀を抜刀し、ミルキーの周囲にいる魔物の首を一刀両断する。

 

「何その武器...あっ、あんまり近づかないでね?」

 

「まだ言ってんのかそれ...なぁミルキー、クミリアがどこにいるのか知ってたりしない?」

 

「知らないけど...ミュラーさんならわかるんじゃない?クミリアさんが、あの線に触れてるならだけど」

 

「なるほど、たしかにミュラーならクミリアの魔力を見つけられるかもな...んで、そのミュラーはどこにいるんだ?」

 

「知らない」

 

「…使えねぇなオイ」

 

「ちょっ、近寄らないで!丸裸にされる!」

 

「人聞きの悪いことを言うんじゃないっ!」

 

「あだっ⁉︎」

 

軽く頭にデコピンをしてやる。

 

「んじゃ、あとは頑張れよ。俺はもう行く」

 

「結構痛い...えっ、ちょっと置いてかないで!一人じゃ流石にキツいしスタミナもやばいんだよ今!」

 

「だったら一旦下がってな。悪いが、サポートするほどの余裕はこっちもないんでね」

 

そう言いながら、刀に魔力を流す。

 

「まぁ、道だけは作ってやるよ」

 

刀身が伸びた刀を振り、少し先の方にいる魔物を一気に殲滅する。使ってみてわかったが、意外と消費魔力が少ない。ただ刀を伸ばすだけなら、色彩剣装の緑を使うよりもいいかもしれない。あっちは目に見えないから、まるっきり上位互換ってわけではないがな。使い分けることが必要そうだ。

 

「ほれほれ、逃げなされ逃げなされ」

 

「あ、ありがとう...あんた、素直じゃないね」

 

「うっせぇ早よ行け」

 

「うわ近づいてこないでわかったから逃げますからぁ!」

 

慌ただしくガネルの方へと駆けていくミルキー。音楽も遠のいていくのちょっと面白いな...

 

「…んよし、人探し続行だな」

 

ガネルに向かって、北へと走る。ガネルに近づくにつれてだいぶ人も増えてきて、それに比例するように魔物の死体もどんどん多くなってくる。はっきり言って走りにくいし、臭いがキツイ...ほぼほぼ物理攻撃で薙ぎ倒されてるからだな。辺りに血肉が飛び散ってやがる。カイスのときは魔法で消し炭にされてたから、臭いあんまりしなかったんだな多分。

 

「魔力に余裕があったら消臭してやるんだけどな...っとと、こっからはミュラーの領域か」

 

ミュラーの罠の線が敷き詰められたエリアに入る。随分と広いな...ってか、ダメだ。

 

「頭痛ぇ...線多すぎだろ情報過多だなこれ」

 

この線、頑張って見ようとしないと気づかないくらい細いくせに、大量に魔法陣的なものを内蔵してるせいで、見た目に反して情報量が多い。しかもそれが無数にあるときた。情報処理が追いつかず、頭痛を引き起こしてしまう。

 

「こういう時、速度探知が邪魔に感じるんだよな...」

 

速度探知がどれだけ俺の命を救ってきたか、それはわかっているつもりだ。けれど、速度操作を使えば自動的に発動してしまう探知は、時にいらない情報まで集めてしまう。それで思考がパンクすれば本末転倒だ。

 

…これ、これからどんどん能力の適用範囲広くなってくわけじゃんか。それに思考速度の加速が間に合わなくなったら...ちょーっと将来に心配ごとできたな。まともに能力使えなくなんじゃね?

 

「探知なしで速度操作できるようになればいいんだけどな...どうにかならないか、後で色々聞くついでに神に頼んでみるか」

 

線の持つ情報量は煩わしいが、速度操作を解除するわけにはいかない。消耗する前に人探しを終わらせないと...

 

「っといいところにミュラー発見!」

 

かなーり運がいい。多分本物だろう。仮にフロートだとしたら、線の中に誰も入れなくなってそうだし。

 

「よっすミュラー!」

 

「おおカリヤか。どこにいたんだ?ずっと姿が見えなかったけど」

 

あそっか。アクセルが出てくる前に罠の線を張りに行ったから知らないのか。

 

「まぁ色々あって遠くに行っててな...んで、さっそく質問なんだがクミリアの居場所わかったりしない?」

 

「クミリア?ちょっと待て調べてみる」

 

「頼むわ」

 

よかった。俺の想像通り、魔力を調べて位置を特定することは可能みたいだ。

 

「えーっとだな...見つけた」

 

「マジ?どこどこ?」

 

「結構外縁だな。あっちの方角の、一番端っこだ。そう、ちょうどあいつがいる場所に...あっ」

 

「…さっきまであんなやついなかったよな。転移直後ってわけか」

 

巨大な魔物が、ミュラーの指差した先にいた。

 

「魔力の反応が消えた。線から離れたみたいだな...行ってやれ」

 

「言われなくても行きますよっと!」

 

南西へと走る。やっとクミリアと合流できるわけだ。

 

「待ってろクミリア。今から加勢してやるからな...!」




色々あって頭回らんかったせいで、今回あまり出来良くない...
というか、アクセル回5話もやってたせいで、クミリアと書こうとしても無意識にアクセルと打ち込んでたのを10回近くやったわ。
本当に頭回ってない...次回は改善してるといいな。
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