前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8163字。

今回は完全に説明回です。
四分の三は神様と話してます。


神との対話、新たな楔とは

「……もう今日は動けねぇな」

 

宿のベッドの上で横になりながら、誰に聞かせるわけでもなくポツリと呟く。筋肉痛になってないのはほとんど奇跡だけど、それでも動きたくはない。

 

「みんなも今ごろは同じように寝転んでるんだろうな...」

 

戦争が終わった後、特に何かあるわけでもなく解散になった。みんな疲れ果てていたのだ。おそらく、皆同じように宿や自分の家に帰り、寝る支度をしてすぐに寝たことだろう。

 

てっきりこの町の人なら祝勝会の一つでもやるのだろうと思っていたが、そんなことはなかった。大会終わったときは後夜祭でどんちゃん騒ぎしてたから、同じようにやると思って人に聞いてみたのだが、こう返答された。

 

そんなんやるわけないだろ死にかけたんだぞ、と。

 

今回の戦争も、幸運だったのか死者はゼロだった。けれど、怪我人は大量に出た。腕や脚を失った人も少なくないと聞く。そんな人たちをよそに祝勝会をするなんてとんでもない、ということなのだろう。こう言っては失礼だが、この町の人にもそれくらいの良心はあるわけだ。

 

「…大会も一応死んではいるんだけどな...あれ?俺がおかしいのか?」

 

すぐに回復して結局死んではいないからオーケー扱いなのか?それとも、娯楽カテゴリーだから問題ないのか...違いがよくわからん。

 

「まぁいいやもう。とりあえずやることやっておくか...」

 

右肩に包帯で固定している小石を、指で軽く叩く。この行動には特に意味はない。なんとなくだ。強いて言えば、神様にこれから話しますよという合図だ。

 

「神様ー聞こえてるか?」

 

『聞こえておるが...なんじゃ?』

 

「二つほど質問したいことがある。できれば誤魔化さずに答えて欲しいんだがいいか?」

 

『うーむ...質問によるが、大抵のことは答えられるぞ。魔王の正体は...とか、確実に現時点で答えるべきではないものは無理じゃ』

 

「…それに近い質問をするつもりだったんだがな。一つ目の質問だ。あれこれ前置きをするのは面倒だから、単刀直入に聞くぞ」

 

あの時から気になっていた、あれについて聞く。

 

「魔族の正体は、転生者か?」

 

『…どうしてそう思うのじゃ?』

 

「理由は一つ。アクセルがワンナの略奪を喰らって苦しんだから」

 

理由なんてこれしかない。

 

「ワンナの略奪で速度操作を盗まれそうになった時、俺の心臓が急激に痛みだした。その理由を、能力が魂に付与されたものだからだと説明したのは神様自身だ。アクセルが苦しんだってことは、アクセルの固有能力も魂に刻まれた能力だということ。となれば、アクセルは俺の同じ転生者だと考えられるわけだ」

 

『なるほど...』

 

「どうだ?間違ってるところ、あるか?」

 

『そもそもが間違いじゃ』

 

「…そもそもって?まさか、魔族は転生者じゃない?」

 

『そうじゃ』

 

「否定が早いのは助かるぜ...じゃあ、なんでアクセルは魂に能力が刻まれてるんだ?普通の人でそんなことなってる人いないし、魔族の特徴だったりするのか?」

 

『いや、普通の魔族はそんなことにはなっておらん。今代の魔族がちと特殊でのう...』

 

「特殊?それ、今聞いてもいいやつか?」

 

『一応、今お主が知っている情報だけで推理できなくはないからの。少し考えてみぃ』

 

「おけ」

 

魔族の能力が魂に宿ってる理由。それも、今代の魔族だけ...ダメだわからん。ほんとに情報揃ってんのか?

 

「わからん。教えてくれ神様」

 

『了解じゃ。お主、この世界に送られる前にワシに言われたことを覚えておるか?』

 

「言われたこと...?」

 

色々言われた覚えはあるけど、どれのことだ?...あっ。

 

「もしかして、歴史を元に戻す云々の話か?魂の初期化のせいで本来なら生まれるはずだった人が生まれず、本来なら生まれなかった存在が生まれたとかそういうやつ」

 

『正解じゃ』

 

「…ってことは、こういうことか?本来生まれるはずだった魔族が、魂の初期化の影響をモロに喰らって消滅。穴埋めをするために、どっかから適当に魂を持ってきて魔族とした。そしてその時に、魂に固有能力が付与された...こんなところか」

 

『…完璧な解答じゃな。まさかここまで言い当てられるとは』

 

「まぁ、情報を与えられて、ゆっくり考えられる時間があるならこのくらいはな...というか、今のがあってるってなると、魂の初期化で歴史が変わってなかったらアクセルとか生まれてなかったってことか?」

 

『そうなるの。魂ごと違うから、今のとは似ても似つかない姿、性格、能力になっているはずじゃ』

 

「なるほどなぁ...」

 

……なんか、数奇な運命だな。俺も魂の初期化の事件がなければ、この世界には来ていない。全く違う人生を歩んでいたことだろう。似たもの同士というか、なんというか...言葉では言い表せない何かを感じる。

 

「なぁ、最初に言った二つの質問とは別に、質問してもいいか?」

 

『いいぞ。いくつでもいい』

 

「そうか。なら教えてくれ。魂の初期化で、この世界は本来の歴史からどれくらい変わってしまったんだ?全部じゃなくていい。魔族が変わったみたいに、大きく変わった出来事だけでも頼む」

 

『そうじゃのう...実は、この世界が受けた影響はそこまで大きくはないんじゃ』

 

「そうなん?」

 

『受けた影響は二つ。一つは、さっき言った魔族のこと。もう一つは...念のためじゃ。これも考えてみろ』

 

「えー、多分考えても無理だと思うんだけど」

 

『今回はわかりやすいはずじゃ。身近なことじゃしの』

 

「身近ぁ?うーん...わからん」

 

『というか前に話したことあるぞ?』

 

「えっ、マジ?覚えてないんだけど」

 

『そうか...もう当然だと思ってるようじゃな。神の使いという座のことを』

 

「神の使い...?」

 

『まだわからんか...お主は本当の神の使いではない。神の使いを名乗れる方が便利じゃから、神の使いの印をワシが真似てお主の体に刻んだ。ここまで言えば思い出せるかのう』

 

「…あーそういえばそんなこと言ってたな。本来の神の使いは魂の初期化のせいで生まれなかったって言ってたわ。すっかり忘れてた。これが二つ目なのか?」

 

『そうじゃ』

 

「そう考えると、確かに結構影響少ないんだな...それが結構致命傷だったわけだけど」

 

神の使いが生まれず、魔族も本来のものとは違う。なんとなくだが、本来生まれるはずだった魔族よりも強くなってるんだと思う。音速を超える加速、転移、魔素操作、模倣...能力が強すぎる。魂の初期化後一発目で、今までの積み重ねが全て消えているから強い能力を与えられているような、そんな感じなんだろう。

 

この二つによって、勇者パーティー全滅ルートになってしまっている。これを、更なるイレギュラー要素である俺の手で変え、勝利ルートへと戻す...これが俺の役目。久しぶりに目標を再確認したな。

 

「…というか、魂の初期化って確か人間にしかやってなかったんだよな?そんでもって、魔族が魂の初期化に巻き込まれてるってことは、魔族って人間の魂を利用して作られてるの?」

 

『そうじゃ。そもそも、魔族はほぼほぼ人みたいなものじゃからのう。魔物の因子を持ち、魔王に与する人間それが魔族...という設定じゃからな。人間の魂が使われているのは当然みたいなものじゃ』

 

「なるほど...魔族って死んだらどうなるんだ?来世もまた魔族なのか?」

 

『いや、毎回使われる人の魂は変わるから、来世は人間になる。今回の場合、魂に刻まれた能力を切除する必要があるから復帰は時間がかかるがのう』

 

「へー...そうだ、ちょうどいいタイミングだから、最初に言ってた二つ目の質問をするわ」

 

『どんな質問じゃ?』

 

「まぁ、質問ってよりかはお願いみたいなものなんだけどな...能力の枷を解いてほしいんだ」

 

『能力の枷...じゃと?』

 

「ほら、あれだよ。能力の適用範囲...は別にいいんだけど、加速の限界値と、減速に時間がかかるってのが意外と困るんだ。それをなんとかして欲しい」

 

『…どうしてそんなことを藪から棒に?』

 

「そんな突然ってわけじゃないだろ。アクセルは速かった。今の俺じゃ追いつけない。これはアクセルが雷装を手に入れてなかったとしても同じことを頼んでいたはずだ。全力疾走と雷装を同時に使って、やっと追いつけた程度だったからな。加速も減速も、両方足りない。だから、変える必要がある」

 

『……なるほど。そういうことか』

 

「それで、どうなんだ。できるのか?」

 

神様はしばらく返事をしなかった。ずっと考えているのだろう。

 

そして、一分ちょい経ったのち、声が聞こえ始めた。

 

『……そもそも、どうして枷をつけているのか、覚えておるか?』

 

「前世の俺が、ゆっくり成長していく能力の方がいいって言ったからだろ?」

 

『うむ、ちゃんと覚えていたようじゃのう...実は、もう一つ理由があったんじゃ』

 

「それって?まさか、また考えてみろとは言わないよな?」

 

『そんなことは言わん。これは考えても出てこないだろうしのう』

 

「そっか。で、その理由ってのはなんなんだ?」

 

『お主には、魂に能力を付与することで力を与えておる。が、最初から能力をフルで使えるようにしてしまえば、お主の魂は間違いなく狂ってしまう。能力は元々持っていなかった不純物じゃからのう』

 

俺が魔力に対して感じているようなことと同じか。最近は慣れてきたけど、最初の頃は体がむず痒くてしょうがなかった。

 

『それに、無理に入れようとすれば、そもそも弾かれてしまうしのう。ゆっくり馴染ませて、能力に魂が適応できるようにする必要があったのじゃ』

 

「なるほどね...だから能力に制限をつけて、少しずつ解禁されるようになってるってわけか。納得したよ」

 

『ワシはその枷のことを、楔と呼んでおる。楔を打ち付けて、能力を制限する。いずれ楔は自然と取れていき、能力が解放されるというイメージじゃな』

 

「うんうん。わかりやすいわ」

 

楔を打ち込むことで、俺の魂と能力との間に隙間を作り深く能力が入り込むのを防いでいる、というわけだ。

 

『それでお主の言った、枷を外すということについてなのじゃが...今すぐに全てを取っ払うことは不可能じゃ。まだ能力に完全に馴染んでおらぬ』

 

「そっかできないのか...残念だな」

 

『そう言うのはまだ早いぞい』

 

「えっ?」

 

『諦めるのはまだ早い。少々強引な手ではあるが...一応方法がないわけじゃない』

 

方法...枷を外す方法があるってことか。でも、少々強引だとはどういうことだろう。

 

「どんな方法なんだ?」

 

『さっき、能力にかけた制限のことを楔と呼んでいる、という話をした。あえて抽象的な言い方をするならば...新たに別の楔を打ち込み、元々あった楔を引き抜く、といった感じじゃな』

 

「あー...なんで抽象的に言った?なんとなーくはわかったけど、ちゃんと具体的に言ってくれ」

 

何かしらの制約をかけることで、能力の枷を解いて強化できるということなんだろうが、いかんせんわかりにくい。具体的にこう、どういう制約をかけられるのかを教えてほしい。

 

『何かしらの代償をもって、そのリターンとして力を得るわけじゃ。まぁ、新たに楔を打ち込んでも、元の楔を完全に取り除くことはできないんじゃがな。少しだけ引き抜くことができる程度じゃ。最初の楔は強固じゃからのう...』

 

「ああ、うん。そこはもうわかってるんだ。どんな楔を打ち込めるかを教えてくれ」

 

『打てる楔は二種類に分類できる。一つは、速度操作に制限をかけるもの。例えば、加速と減速を同時に行うことができなくなる、加速に時間がかかるようになる...と言った感じじゃ』

 

「なるほど...結構重いな」

 

加速を一瞬でできなくなるのは、相当辛い。戦闘方法を大きく変える必要が出てくるし、咄嗟に動くのが難しくなってしまう。できればやりたくはない。

 

加速と減速を同時にできなくなるってのも、意外と困ることになるだろう。同時に使うというのはあまりやってこなかったことだが、近くにいる魔物や魔族の動きを鈍らせることができなくなったり、出血を遅くするということもできなくなると、サポート面が弱くなってしまう。貴重な妨害効果を潰してしまうのは、かなり勿体無い。

 

『制限が重い分、楔は大きく引き抜ける。相当な強化になるじゃろう』

 

「なるほどな...で、もう一種類ってのはなんなんだ?」

 

『速度操作以外に制限をかけるものじゃ。その他みたいなものじゃな。魔力や魔法、スキルを制限する』

 

「分類の仕方雑じゃね...?というか、魂に打ち込む楔なんだろ?速度操作そのものに打ち込めるのはわかるけど、それ以外ってどうなんだ?スキルとかそうだけど、あれ確か体に刻まれてるものじゃんか。魂に打ち込んでも制限できなくね?」

 

レストと行った、魂を入れ替えるあのダンジョンで知った事実。速度操作は魂に、魔力やスキルは体に宿っているという事実。これをもとに考えると、魂に楔を打ち込んでもスキルを制限するのは無理だと思うのだが。

 

『そこは問題ない。魂と肉体は密接に関係しているからのう。魂が入れ替わるあの場所ではもちろん不具合も起こるじゃろうが、まぁそんな状況滅多にないから大丈夫じゃろう』

 

「まぁそれもそうか...で、魔力を制限するってのはどんな感じだ?最大値を減らすとかか?」

 

『そんな感じじゃ。魔力最大値は魔力枯渇状態になれば増えるが、その上昇分を減らすんじゃ。一回分、二回分と言った感じでのう。そしてスキルは使用不可、他にも魔法の適性を減らしたり無くしたりも選択肢としてあるのう』

 

「ふむふむ...ちょっと思ったんだが、それって永続的に使えなくなる感じなのか?それとも、一時的に使えなくなる感じか?どっちなのかによって結構変わってくるんだけど、そこら辺どうなってるんだ?」

 

『いい質問じゃな』

 

なにそれどこの池○彰?

 

『どちらでもできるように、選択式になっておる。永続的に制限される方が速度操作の強化率が大きくなるから、ケースバイケースで使い分けるのがいいじゃろうな』

 

「やっぱ代償がキツイほど制限も大きく開放できるわけか」

 

『それと補足なのじゃが、速度操作を制限する方も一時的永続的を選べるようになっておる。あと、たとえ永続的な制限をかけたとしても、速度操作の強化は一時的なものになってしまう。長くても、一時間が限界じゃ。そこら辺をよく考えて楔を打ち込むといい』

 

「ありゃ、どうやっても強化自体は一時的なのか。あくまでどれだけ制限から解放できるのかが変わるってだけなんだな...うん、了解した」

 

代償はあるが、できないわけじゃない。これだけ記憶の片隅にでも置いておこう。リスクが大きすぎてここぞという時にしか使えないから、一旦試して練習するというのができないのはちょっと不安材料だな...あっ、あれどうなんだろう。聞いておこ。

 

「あっ、最後に一つ聞いていいか?さっき魔力の最大値を減らすこともできるって言ってたけど、永続的に減る奴をやってもまた魔力枯渇させて増やすことはできるよな?流石に」

 

『できるぞい。ただ、取り返しのつかないものよりかは強化率は悪い。使わない魔法の適性を無くした方が、効率はいいじゃろうな』

 

「わかった。色々質問に答えてくれてありがとう神様」

 

『お安い御用じゃ』

 

声が聞こえなくなる。

 

「ふぅ、色々聞けてよかったな」

 

ほんと、聞けば大抵答えてくれるのいいな。何気にこの世界の裏事情的なの知れるから、かなりチート気味かもしれない。魔族は人間の魂を使っているという情報が戦闘に役立つかは微妙だけれど。

 

「能力の強化も、後で試してみるか。魔力の最大値減らすやつはデメリットほぼないようなものだしな」

 

取り返しのつくものを代償に捧げてもあまり強化されないという話だったけど、一回試してみないとどれくらい強化されるのかわからないしな。さっきはあまり試せないとか思ったが、比較的軽率に差し出せるものが見つかったから試してみようと思う。

 

「まっ、今日は動く気ないけどな...」

 

試すのは明日になってからだ。今日はもう一日中ゴロゴロするんだ...!

 

と、そんなことを考えていた時、部屋の扉にコンコンとノックされる。一体誰だ?

 

「入っても大丈夫?」

 

クミリアの声だ。何の用だろう。

 

「大丈夫だ」

 

「じゃあ入るねー」

 

ガチャリと扉を開けて部屋に入る。実は、最近は外出してる時以外は鍵を開けていたりする。大事なものは次元収納で誰にも触れないところにしまってるからな。何も盗られる心配がないから鍵を開けていても問題ないのだ。

 

唯一魔法図鑑だけ盗られるとまずいものに該当するが、速度探知の範囲内に置いて寝てるので盗まれることはない。寝てる時も速度探知を使うことに完全に慣れているので、防犯はバッチリなのだ。

 

まぁ、たまに魔力を増やすために魔力を使い切っていて速度探知を使えない時があり、そういう時だけ鍵を閉めている。と言ってもこの世界だとやろうと思えば魔法で鍵開けられるわけだし、やはり一番の防犯は速度探知なのだが。レストの盾が盗まれた一件があってから、俺も気をつけるようにしている。

 

「やぁクミリア、元気そうだな。今日は何の用だ...って、キョロキョロしてどうした?」

 

「いや、なんかさっき入る前にね?誰かと話してるみたいな声が聞こえてきたから邪魔しちゃ悪いかなと思ってちょっと離れたところで待ってたんだけど、誰も部屋から出てきてないのにカリヤしかいないから不思議に思って」

 

「あー...うん。神様と話してたんだよ」

 

聞かれてたのか...部屋で一人だからって、声に出して話をするもんじゃねぇな。というか、そんなに音漏れするわけじゃなかったはずなんだけどこの部屋。クミリア耳良すぎない?...そういや、音楽のバフをすぐに再現してたな。あの音の中から必要な音だけを瞬時に抜き出せていたわけだから、耳がいいのは分かりきっていたことか。

 

「へー、神様と...ねぇねぇ、クミさんも神様と話できたりしない?」

 

「えっ?えーっと...」

 

これ、どうなんだ?一応、神様との連絡装置である小石に触れれば話せないことはないんだろうけど...確かこの世界で信仰されてる神って女神なんだよな。うちの神は普通におじいちゃんだし、声もおじいちゃんだし、どう考えても話をさせたらダメな気がする。誰この神様ってなって神の使いという設定が崩れかねない。

 

「悪いが今は無理だ。いずれ話をさせてやるから楽しみにして待ってな」

 

いずれ、俺が転生者だと話す時が来る。その時にでも、証拠として出せばいいだろう。

 

「で、クミリアは何の用で来たんだ?」

 

「あ、そうそう。戦争終わったら魔族と戦った話するってことになってたでしょ?昨日はバタバタしてて聞く時間なかったから、聞きに来たんだ」

 

「そうかなるほど...」

 

よかったてっきりクミリアのことだから、魔物討伐しに行こうぜみたいなこと言われると思ってたわ。このまま部屋から出ずにいられるならなんでもいい。

 

「…なんでベッドに寝たままなの?もしかして体調悪かったりする?」

 

「いや、単純に動きたくないだけ。疲れがエグくてな...雷装ではしゃぎすぎたし」

 

「なるほどね...そんなに疲れるものかな?」

 

「俺は二回スタミナ切れ起こしたからな。気絶させられたりもしたし、雷装で無理矢理動いたりもしたし。普通の疲労の比じゃないんだよ」

 

これでも結構スタミナには自信ある方なんだけどな、と笑ってみる。

 

「で、魔族と戦った話だったよな...あっ、そうだこれ渡しておくぞ」

 

「なにこれ...魔法陣?」

 

「クミリア専用の全力疾走だ。使いやすいようにチューニングしてあるが、なんかあったら言ってくれ。いつでも改良してやる」

 

「ありがと〜助かるよ」

 

「他にも、使いそうな魔法があったら言ってくれよ。もういちいち魔法図鑑渡すのめんどいからな」

 

「やっぱそうだよね...クミさんもちょっとめんどうだと思ってた」

 

「だよなー...流石にこれ以上引き伸ばしても無駄か。魔族と戦った話、結構いろんなことがあったが、まず一つ伝えないといけないことがある。超重要なことだ」

 

「なに?」

 

「………」

 

「…なに?黙ってるのちょっと怖いんだけど」

 

「………アクセルが雷装使えるようになっちった」テヘペロ!

 

………沈黙が痛ぇ

 

「………」

 

「あだっ」

 

軽くデコピンされた。ひでぇ...と、こっちが言える立場じゃないんだよな。うん、ほんとごめん。




説明多くてダルくなってたら、ごめんなさいとしか言いようがないですね。
設定的には重要なことばっかなんや。
許してクレメンス。
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