前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8059字。

今回はいろんなストーリーの詰め合わせです。
たまにはこんなのもいい...よね?


ガネルでの日常、過ぎる時間

「さーて、楔使ってみるか」

 

俺はちょっとした平原に立っていた。クミリアはいない。というか、魔物もいない。俺一人だ。魔物がいないのは偶然だが、実験を邪魔されないからちょうどいい。

 

「どれくらい加速するのかな...というか神様、楔打つのってどうやるんだ?」

 

『ワシに楔を打つと宣言してくれればよい』

 

「なるほど。じゃあ楔を打つぞ」

 

『代償はなんじゃ?』

 

「まずは一時的に、魔力の最大値を一回分減らしてみる」

 

『なるほど、了解した』

 

そう言う神様の声が聞こえた瞬間だった。

 

「うぐっ...心臓を鷲掴みされた気分だ」

 

ワンナに速度操作を盗まれそうになった時に感じた痛みとはまた違う、別ベクトルの痛みが一瞬だけだが襲いかかってきた。楔が俺の魂に打ち込まれたのだろう。耐えられないほどの痛みというわけではないが、戦闘中には感じたくないな。

 

「んで、加速度合いはどのくらいなのかなーっと」

 

速度操作を起動し、全速力で走ってみる。

 

「お、おぉ...それなりに速くはなってるな」

 

元々の速度が秒速57メートルくらいだったのが、プラス7メートルくらいになってる。そこまで強化するのにどれくらいの時間今までかかってきていたのかを考えると、リスクに見合ってない結構なリターンに感じる。

 

「ここまで加速できるなら、一時的な方なら積極的に使ってもいいかもな...減速はどうだろ」

 

走るのをやめ、周囲のものの速度を減速してみる。

 

「あー...流石にこっちは大きく変化してたりしないか。それだけ制限大きくかかってるってことなんだろうな...」

 

今までよりかは減速しやすくなっていたけれど、微々たるものだった。減速の強化にはあまり期待しない方がいいかもしれない。こっちを目当てにするのはよしておこう。

 

「速度操作自体に制限かければ、減速だけ強化するってこともできるんだろうな...あとは能力の範囲か」

 

まぁすでにわかっていることなんだけどな、速度操作使ってる時点で速度探知も同時に起動してるわけだし。

 

「微妙に拡大してるなぁ...正直、範囲広がっても持て余すだけなんだよな」

 

範囲が広がってもいらない情報増えるだけで、加速が追いつかないと頭痛を誘発する恐れがあるからはっきり言って邪魔。活用しようと思えばできるんだろうけど、今のところいいアイデアを思いついていないからいらない。今ぐらいの広さでも大抵の攻撃には対応できるわけだから、範囲が広がるくらいなら加速の最大値が少しでも増えた方が嬉しい。

 

「楔を打つなら、代償に能力の範囲を入れた方がが良さそうだなこれ...実験はこのくらいでいっか。帰ろ」

 

永続的な代償の方も試してみたいが、この強化は一時間ほど持続する。そして複数個を同時に捧げると強化の度合いに影響するらしく、今やると実験にならない可能性があるのでやめておく。

 

「せっかくだし、この速度を堪能しながら帰ろーっと」

 

ガネルに向かって走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ、買います」

 

「毎度ありー」

 

「いやー、いいものを手に入れた」

 

今買ったのは、ゴーグル型のマナ探知装置だ。一応魔道具に当たり、貴重なものではあるのだが効果が微妙であり、そこまでお高くはなかった。マナ探知は結構簡単めの魔法だからな。わざわざゴーグルをつけてやるようなものではない。

 

「まっ、マナ探知はオマケなんだけどな...」

 

本命はこの形状、ゴーグルという形そのものだ。

 

「いずれ必要になるだろうし、今のうちにいいの買えてよかったわ」

 

ゴーグルをつけてみる。副次効果もあるのか、重量は感じなかった。視界もゴーグルをつける前と変わらない。というか、ちょっと見やすくなってる。

 

「…ほんとにいい買い物したな。形状がよかったから買ってみただけなのに」

 

なぜ俺はこんなものを買ったのか、それは加速中に目を守るためである。

 

加速して超高速で走っていると、ものすごい風と砂埃を浴びることになる。普段は速度操作を発動している時に自動的に付与される、物理保護機能によって防御できている。だが、雷装を発動していたり、全力疾走を使っていたりすると、物理保護を超える勢い、量の風を浴びて目がやられそうになるのだ。

 

それを防ぐために、このゴーグルを買ったのだ。これがあれば走っている最中にも目をちゃんと開くことができる。視界も普通以上だし、戦闘中は常につけておくとしよう。

 

「オマケのマナ探知は...今やってもわかんないか。後で試そ」

 

聖域の中で使っても、青い点で埋め尽くされるだけだろう。町の外じゃないとあまり意味はないな。

 

「着脱するのに微妙に時間かかるのだけ欠点といえば欠点だな...ビジ○イザーみたいな感じなら楽なんだけど、御○妹みたいな少しゴツめのゴーグルだからな...」

 

流石にそこまでゴツいわけではないが、片手で着けられないのは面倒だ。バンド部分を改造して、着け外ししやすいようにしてみようか。

 

「…そうだ。ついでにレンズも改良してみよ。ズーム機能つけたり...サーモグラフィー機能もつけるか。あんの姉妹魔族対策になるだろ」

 

せっかくゴーグル状になっていてレンズがついているのだから、視界に関する魔法を付与しておいてもいいだろう。

 

「久しぶりに魔法の研究もしてみるか...うん、部屋篭って一日集中してやってみよ」

 

少し、周囲の視線が気になったのでゴーグルを外してから、宿へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おっ、スートじゃん」

 

ガネルを歩いていると、少し先にスートがいるのに気がついた。てっきりカイスに戻っているものだと思っていたが、まさかまだガネルに残っていたとは。

 

「よっすスート。キョロキョロして何やってんだ?」

 

辺りを見渡して、何かを探している様子のスートに声をかける。

 

「ああ、カリヤか...人を探してるんだ」

 

「人?」

 

「本当はすぐにカイスに戻るつもりだったんだが、この町にも優秀な魔法使いがいると知ってな。魔法を教えてもらうために探しているのさ。でも、いかんせん人が多くてなかなか見つけられてないんだ。ミュラーって人なんだが...」

 

「ミュラーなら知ってるぞ。居場所までは知らんが」

 

「そうか...誰に聞いても、そう返答されるんだよな」

 

「大会上位者だし、知名度はあるからな...でも、どうしてミュラーに?罠の線でも教えてもらうのか?」

 

「ああ、あの罠には苦しめられたからな...」

 

「……苦しめられた?どゆこと?」

 

「戦争が終わった後、一旦ガネルに入ろうと思って歩いてたんだ。その時はまだすぐにカイスに帰ろうと思っていたから、飛ぶための魔力を回復をしにな。そうしたらあの罠の線に引っかかった」

 

「あぁ...魔力の登録してなかったからか」

 

スートは途中から戦争に参加したため、ホワイトリストにスートの魔力が載っておらず、ミュラーの線に引っかかってしまったのだろう。魔力を温存するために歩いて戻っていたのも運が悪かったな。空飛んでたら当たらなかったはずだし。

 

「一部仕組みを解析できたからなんとかなったが、なかなかに嫌らしい魔法だったからな。ぜひご教授していただきたいと思った」

 

…お礼参りでもしに行こうってんじゃないよな?流石に。

 

「…というか、一部仕組みを解析したってどういうこと?まさか、魔法に干渉してホワイトリストに自分の魔力入れたってわけ?エグ」

 

「あんなにばら撒かれていたら解析してくれと言っているようなものだろ。魔法に特化した魔族なら余裕で干渉してくると思うぞ」

 

「確かに妹の方ならやってきそうではあるな...」

 

「妹?」

 

「あそっかスートには言ってなかったか...双子か姉妹どっちなのかはわからんが、女二人組で動く魔族がいるんだ。俺が知ってる限りの情報はギルドに報告してる。公開されてるはずだから、後でギルドによった時にでも見ておいてくれ」

 

「ギルドか...そういえば、行ったことないな」

 

「マジ?...ギルドなら伝言を残すこともできるから、頼ってみるのも手だぞ」

 

「そうなのか...後で行ってみるよ」

 

まさかギルドに行ったことがないとは。いや、流石にこの町のギルドに行ったことがないって意味だよな多分。

 

「ところで話ちょっと変わるんだが、その手の紋章はなんなんだ?勇者候補の証的な奴?」

 

スートの右手の甲に、翼のような紋章がついていた。翼といっても、片翼だが。

 

「ああ、その通りだ。勇者候補3人に、それぞれ違う紋章が刻まれている。俺は右翼、アライブが翼のない鳥、ライトが左翼をその手に刻んでいる」

 

おおっと、さらりと勇者候補3人全員の名前判明したな。というかこれ、最終的に紋章が一人に受け継がれるやつじゃん絶対。

 

「ってか、ライトは左翼なんだな...せめて右翼であれよ」

 

「どういう意味だ?」

 

「なんでもない、気にしないでくれ」

 

「そうか...じゃあ俺はそろそろ行くぞ。ギルドのこと教えてくれてありがとうな」

 

「いいってことよ。じゃあなスート」

 

スートが歩き去っていく。

 

「…そういや、俺一応ミュラーの魔法持ってるんだった」

 

「それは本当か!」

 

うっわまぁまぁ距離離れてたはずなのに聞こえたのかよ。

 

「それならそうと早く言ってくれミュラーを探す必要なかったじゃないか!」

 

「いや、そうなんだけど、流石に俺から教えるのは違うなって思ったから今俺が呟いたことは忘れてくれ頼む」

 

「なんでだ。今ここで魔法を教えて貰えば済む話だろ。なにが違うと言うんだ」

 

「ミュラーの魔法なのに俺が勝手に教えるのはおかしいだろ?やるならせめて、教えていいかちゃんとミュラーに許可を取ってからじゃないと...」

 

「それだと俺がミュラーに聞くのと変わらないじゃないか。それに、勇者になるかもしれないっていう相手になにを渋っているんだ。今ここで教えてくれ」

 

「渋ってるわけじゃなくて...なんていうか...そう、この町のルールだ」

 

「ルールだぁ?」

 

「この町には、上下関係はない。あるのは、勝者か敗者かという関係性だけ。勇者だとか神の使いとか関係ない。何かを教えてもらいたいのなら、戦って勝って力の差を見せつけてから教えてもらうしかない」

 

「なんだよそれ...」

 

「まっ、つべこべ言わずに従っておくのが吉だと思うぜ。信用、信頼ありきの勇者だろ?横暴なことしてたら嫌われんぜ?民衆に認められてない勇者ってなんか嫌じゃんか」

 

「……わかったよ」

 

そう言ってから、スートは少し俯きながら歩き去っていく。考えているような様子だったから、多分飲み込んでくれるだろう。

 

「頑張れよー」

 

その背中に適当に声をかけてから、俺も歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかクミリア、髪伸びた?」

 

偶然道端でバッタリとクミリアと会ったのだが、しばらく会っていなかったからか少し髪が伸びているのに気がついた。こういうのって毎日会ってると気づかないものだよな。

 

「えっ、うん。よくわかったね」

 

「ちょっと気になって、最初に会ったときのを思い出したら違いに確信したわ」

 

初めて会った頃はショートヘアだったのが、今はボブになりかけくらいの長さになっている。

 

「髪伸ばしてるのか?」

 

「実はちょうど切りに行こうとしてたとこだったんだよね」

 

「あっ、そうだったんだ」

 

「やっぱ短い方が邪魔にならないからねー。カリヤもそう思うでしょ?」

 

「そうだな。長いと無駄な重量になるし、動いてるとゆっさゆっさ揺れて邪魔だし。なんで魔族の奴らは髪切らないのか不思議なくらいだ」

 

アクセルも、あの姉妹or双子の魔族の妹の方も、髪の毛めっちゃ長いんだよな。妹の方は魔法主体っぽいからいいだろうけど、アクセルは多分切った方がもっと動きやすいと思う。

 

「そういやなんだけど、カリヤってずっと髪の毛の長さ変わってなくない?いつ髪切ってるの?」

 

「ちょっと伸びたなって思ったら自分で切ってる」

 

「えっ、自分で切ってるの?間違って切り過ぎちゃったりしない?」

 

「たまーにやらかすけど、結構前から自分でやってるから大体綺麗にできるぞ」

 

一応、地球にいたころ一人暮らししてた時からやってるからな。ラノベとか漫画買ったり円盤買うためのお金を捻出するには、千円カットに行くよりも自分で切った方が節約になるんだよな。一年の頃の数学の先生が自分で切ってるって言ってたから参考にしてやってみたら、意外とできたから続けていた。ミスった時は悲惨だけど。

 

「たまにやらかすって、切りすぎたときどうしてるんだ?」

 

「速度操作で髪が伸びる速度を加速させてる」

 

「えっ、便利。そんなことまでできるの?速度操作って」

 

「うん。髪の毛一本一本加速具合を変えられるから、結構綺麗に長さ調節できるんだよね。疲れるってのを無視すれば、ある程度バッサリ切ってから加速で伸ばした方が早かったりする」

 

「…クミさんの髪の毛も切ってくれない?」

 

「悪いが、自分のしか切った経験ないから絶対ミスる。ちゃんと本職に頼んだ方がいいぞ」

 

「ミスっても大丈夫だよ。速度操作ですぐに伸ばせるんでしょ?」

 

「それも無理。髪の毛の加速くらいの細かい操作は今のところ自分にしかできない。ミスったら終わりだけど、それでもいいってんならやるが」

 

「遠慮しておきまーす」

 

「うん、それがいい」

 

人の髪の毛切るとか、責任持てん。成功しても、仕上がりは本職に到底及ばないだろうし、ちゃんと切ってもらった方が何倍もいいだろう。

 

「…さっき今のところって言ってたけどさ、いずれは他の人のも加速できるようになるの?」

 

「まぁな。できればなってほしくはないけど」

 

「どうして?」

 

「加速できるってことは当然速度探知ができてるわけで、速度探知ができてるってことはそれだけ情報が俺の頭に流れ込んでくるわけで、髪の毛全ての情報が流れ込んでくると俺の頭がやられるわけで...」

 

「…どういうこと?」

 

「俺の頭がパンクしかねない。加速が追いついてないと辛いだけなんだよ。だから、範囲が広がりすぎるのもダメなんだ。なんでも強化しまくればいいってわけじゃないわけだ」

 

「…それはそう。ちゃんとバランスよく強化しないとダメだよね、うん」

 

なんかちゃんと理解してるわけじゃなさそうだけど、まぁいいや。

 

「…ってか、長いこと引き止めちまったな。時間大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ。予約してるわけじゃないから。いつも行ってる店、そんなに人が来るような店じゃなくてマイナーなところだから」

 

「隠れた名店ってやつ?いってら」

 

「じゃあねー」

 

クミリアがゆっくり歩き去っていく...って、すぐそこの店かよ。ここ、まぁまぁ大通りだよな?それなのにあまり人が来ないってどゆこと?よくわからん。

 

「うーん...まぁなんでもいいや。次会ったら感想言ってやろ」

 

多分クミリアのことだから短くするだけだろう。どの程度まで切ってくるのかなーと予想してみながら、俺は用事を済ませに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっと、いい感じの依頼は...っと」

 

壁に貼られた依頼書を見ていく。

 

「……ダメだな。昨日見たのと変わんねぇ」

 

毎日確認してるからわかるが、ここ最近依頼書の入れ替わりがあんまりない。というより、古いのがずっと残っていて、新しいのはすぐに取られてしまうと言った方が正しいか。

 

「こうなりゃ古いのやるしかないかな...というか、ずっと残ってるならもうちょい報酬上げるなりして人集めればいいのにやらないんだな。金ないのかな?」

 

ってか、この日付が数年前のやつはなんなんだ?討伐依頼だし、流石にもう依頼外で討伐されてんじゃないの?外し忘れも混ざってりすんのかな。

 

「うーん...あっ、新人向けのが多く残ってんのか。低レベルのだからある程度経験ある人は受けたがらないのも当然だな...この町で初心者向けって需要あるのか?」

 

まぁ、冒険者の町とはいえ全員が全員猛者ってわけじゃないんだろうけど、個人的に駆け出しの冒険者は武器種に関わらずカリス辺りで経験つけた方がいいと思うんだよな。ここら辺と比べたら魔物も弱いのが多いし。最近はカリスの方でも強い魔物が増えてきたみたいだから、どっちもどっちかもしれんが。

 

「みんなあれか、珍しい駆け出し冒険者のためにこういう依頼を残してるってのもあるのかな。俺も受けるのやめておこ」

 

実はみんなこの考えに至ってるだけだったり...

 

「って言っても、そうなるといい依頼がなくて困るだけなんだよな...ほんとどうしよ」

 

もう依頼受けるの今日はいいかな...お金に困ってるわけじゃなくて暇潰しで来ただけだし、別に依頼を絶対に受けないといけないってわけでもないからな。うん、そうしよう。

 

「帰るか...おん?」

 

肩を叩かれた。誰だ?

 

「…ってスートか。どうした?」

 

そういや最近スートがギルドに入り浸ってるって言う話をキネットから聞いてたな。

 

「前にカリヤにギルドの話をされたから最近よく来てるんだけど、あの報告書読んだぞ」

 

「ああ、魔族の報告書な。どうだ?読んでみた感想は」

 

「………」

 

「…どうした?」

 

なんか黙ってる...あれ、なんかこれ前にもあった気がする。デジャヴってやつかなー

 

「なんで魔族を強化してるわけ?実は神の使いじゃなくて魔族だったりしないよな?完全に利敵行為じゃないか」

 

「返す言葉もありません...」

 

実は神の使いじゃないってのもあながち間違いじゃないんだよな...魔族ってのは流石に違うけど。

 

「一応俺頑張ったんだよ?アクセルを後一歩で倒せるところまで追い込んだんだ。あの姉の方が魔法で治しさえしなければ勝ってたんだよ。その結果の雷装入手だから、少しは温情を...」

 

「それはわかっている。事細かに報告書に詳細が書かれていたからな。事情はハッキリとわかっている」

 

「それでも怒るのは酷くなーい?」

 

「…まぁ、そうだな。怒っても仕方ないのもわかってるんだが、流石にこれは怒りたくもなるだろ?なんだよこの推定速度。お前にしか対処できないじゃないか」

 

「うん、俺の不始末だし、ちゃんと責任取って俺がアクセルを倒す。俺が言うのもなんだが、幸いアクセルは俺にしか興味ない...っていうか、俺と戦って強くなることが目的みたいだからな。他の魔族の言うことも突っぱねてたし、その意志は何が何でも押し通すはず。俺以外を巻き込むことはないだろ」

 

「だといいんだがな...」

 

「そこはほら、信じようぜ」

 

「魔族を信じるってのがもうおかしいんだけどな...でもまぁ、幸運だったな」

 

「ん?なにが?」

 

「アクセルが雷装を手に入れたことだ」

 

「んーさっきと言ってること全然変わっててよくわかんないんだけどどういうこと?」

 

「報告書を読んでて思ったんだ。もしあのタイミングでアクセルがそのまま死んでいたら、間違いなくお前は残る二体の魔族に殺されていた」

 

「あー...スートもやっぱりそう思う?」

 

俺が殺されなかったのは、アクセルが雷装を手に入れたからだ。こいつはアクセルの強化に役立ってくれる。そう魔族に思ってくれたからこそ、俺は殺されずに済んだ。

 

「そう思うって、カリヤも思っていたのか?」

 

「まぁ、そりゃな。それ分かってないってどんな馬鹿さ。能天気すぎるだろ」

 

生かされてることに気づいてないとか、そんな何も考えてなさすぎな奴にはなりたくないな。

 

「そうだな。ちゃんとわかっててよかったよ」

 

「そんなに俺頭悪いように見えたのか?」

 

「いや、別に。言ってやりたかっただけだ。一応フォローのつもりでもあったんだがな」

 

「そうなのか?別にいらなかったのに...怒られたのも、フォローされたのも、全部受け止める。感想聞かせてくれてありがとうな。あっ、そういえばあれからミュラーには会えたのか?」

 

「まだだ。だが、伝言が伝わったみたいでな。今日昼過ぎから会う予定だ」

 

「そうなのか。よかったな」

 

「それじゃあ俺はここで。そういやさっきキネットがカリヤ指名の依頼があるみたいなこと言っていたぞ。行ってやれ」

 

「わかった。教えてくれてサンキューな」

 

スートがギルドから出て行く。

 

「さーて、キネットのところ行きますか」

 

チラッと見てみたが、今日は依頼受理の受付担当らしい。結構人並んでいるし、これはかなり待ちそうだな。

 

「俺指名の依頼...どんな依頼かな。楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、ガネルでの日時が過ぎていく。

 

勇者選定の日が近づく。




今回で相当な時間が進んでいます。
戦争はカリヤくんがガネルに来てから一ヶ月ちょい経った後に起きたんですが、ガネルには三ヶ月いる予定なんで、このペースで行くとガネル編が長くなりすぎるんですよね。
なんでキン○リして時間を飛ばしたわけです。

次回か、次次回でおそらくガネル編は終わりになる...はずです。
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