前世の俺がすでに転生特典決めてました 作:ダイヤモンドリリー
王都に到着します。
「よーし着いたな。どうだ?十分ちょい全速力で走った感想は」
王都に無事着いた。気持ちいいとか言いながら走ってたし、一応感想聞いてみるか。
「なぜ...スタミナ...切れてないんだ...」
…それはどっちの意味だろ。俺のスタミナが切れないのが不思議なのか、それともアライブ自身のスタミナが切れてないのが不思議なのか...アライブのスタミナ減少速度落としてたからどっちかわからん。
「ここまで...スタミナなかったはず...なのに...」
あっ、そっちね了解。
「俺がスタミナ減少速度を抑えたからな。速度操作を使えば、疲れにくくするってのもできたりする」
「便利な力...だな...」
「というか、流石に勇者になるにはスタミナ少なくない?全速力で走り続けるための体力と、戦闘を長時間やるための体力が違うのはわかってるけど、これだとちょっと心もとないというか。魔王と戦うには怖くね?」
「これでも...結構ある方なんだけど...」
「そうかな?クミリアなら多分走り切れるぞ?」
「うっ...勇者にさえなれば解消されるから大丈夫...なはず...です」
「勇者になれば?もしかして、聖剣のサポートみたいなのがある感じ?」
剣の実力とかも、聖剣を持てば身につくのだろうか。そういう補助があるのならいろんなことに説明がつくけど...それに頼るのってどうなんだ?
「サポートがあるのはそうなんですが...ここから先は秘密です」
「走る前に言ってた口止めされてるやつか」
「そうです」
おっ、そろそろスタミナ回復してきたみたいだな。だいぶ息が整ってきてすらすら話せるようになってる。口調も戻ってるな。
「…回復が早い。もしかして、これも速度操作のおかげですか?」
「ああ。魔力の回復も早められたりするぞ」
「それはすごいですね。聖剣と相性が良さそうだ...」
…聖剣の力がなんなのかも、後で神様に聞いておこ。
「よし、王都についたことだし...まずは宿取ってそのあとギルドに行くか。アライブはこの後なにするんだ?」
「とりあえずはもう少し休憩ですね、疲れて頭が回らない...」
「そっか。それじゃあ解散だな...」
なんか連絡取り合えるような魔道具あったら、渡していつでも連絡できるようにするんだけどな...スマホってほんと便利だったんだなぁ...
「そういえばなんですけど、カリヤさんはどうして王都に来たんですか?やっぱり、勇者選定が近づいてるから移動のためにとかですかね」
「それはそこまで重要じゃなかったり。間接的な理由の一つではあるけど、元々は当日にガネルから移動する予定だったしね」
「…なるほど、あの速さなら出来ないわけじゃないですね。というか余裕ですか」
「まぁな」
「なら、なぜ今日移動したんですか?」
「ちょうど今日、ガネルの門の前でクミリアと会ってな。今日王都に向かうつって出発していったから、先回りして驚かせてやろうと思って」
「そんな理由で...移動が速いと、そういった急な行動が気軽に出来ていいですね」
そうそう、フットワークめっちゃ軽くなったんだよな。速度操作って便利(小並感)
「よく知らないけどニアも長距離移動できる魔法があるって話だし、移動に関して心配することは一切なさそうだよな...」
「移動に労力割かないというのはいいですよね」
「魔力使うけど、それも回復加速で補えるしな...永久機関かな?」
現時点ですら、魔力回復速度の加速で使う魔力よりも、それで回復できる魔力の方が多いもんな。周囲の聖素の量にもよるけれど、ほとんどの場所で永久機関かって感じに魔力を生成して運用することができる。物理法則おかしい...魔力って言うほど物理か?
「魔素しかなくて魔力回復できないって状況じゃなければほぼ永遠に魔法使えるし、ほんとぶっ壊れだよな...なんて力を持ってしまったのだ...」
なんて言ってみるけど、ほんとこの能力を選んでくれた前世の俺に感謝しかない。
「頼りにするよカリヤさん。僕が勇者になったら、是非ともよろしく頼みます」
「おう、アライブも勇者になれるように、最後の追い込み頑張りな」
「はい、頑張ります」
そんな感じで、アライブと別れる。
「よーし、宿とるか」
前に王都にいた時に使った宿に、まずは向かってみる。部屋空いてるといいなー
「よし、色々準備完了っと」
宿は、偶然だったが前に泊まったところが空いていた。ギルドの受付も済ませてある。あとはクミリアが王都に来るのを待つだけだ。
「それにしても、ギルドに顔馴染みいないのちょっと寂しいな...」
カイスではサーマルが、ガルムでは名前は知らないけどある程度の親密度を得ている男の受付の人、そしてガネルではキネット。それぞれの町でほとんど専属の担当かってレベルで顔を合わせていた人たちがいたから、ギルドに通うこと自体が楽しくあったりもしたのだが、王都はギルド職員が多すぎて同じ人に受付してもらった経験がない。毎回違う人と話すことになるのであまり会話も弾まず、楽しめていないのだ。
「まぁギルドは楽しむための場所じゃないから、顔馴染みいなくてもそれはそれで別にいいんだけど」
さて、そんなことよりもだ。
クミリアが王都に来るまで、おそらくあと二時間ちょいある。その時間まで暇を潰す必要があるのだが、なにをしようにもやることがない。久しぶりに王都の店を巡るってのもいいが、そんな九ヶ月くらいでは劇的に品揃えが変わってるみたいなことはないだろうし、あまり収穫はないだろう。ウィンドウショッピング...は趣味じゃないしな。寄ったら買わないとって意識が出ちゃうんだよな。
似たような理由で、クルスの武器屋に寄るってのも無しだ。特に作って欲しいものがあるわけでもないし、武器も買い替える予定は無し。何の用も無しに行くと面倒なことになる未来しか見えない。クルスは意外と怖いってのにガネルで気付かされたからな...
「うーむ...本当にやることないな。いっそのこと王都の外に出るか?」
いやでもそれならどこに行くんだって話に...
「あっ、いいところあるわ」
普通ならとても暇つぶしに行くような場所ではない場所が...な。
「多分往復二十分もかからないだろうし、ちょっくら走ってくるか」
王都を出て七分ちょい走り切る。
「よし到着。ちゃんと雷装使わないとな危ないし」
『雷装』
そう、雷装を使わないと危ないこの場所は...
「それにしても、久しぶりに来たな、この荒野。相変わらず雷落ちまくってんなー」
天の怒りの降り注ぐ地。俺が雷装を手に入れるきっかけとなった荒野だ。
「まぁ、ここ来たからって何かできることがあるわけでもないんだけどな...」
ここでできることといえば、あの謎の魔物たちを倒すことくらいだな。俺が命名した、スフィア、キューブ、テトラの三体。いくらでも湧いてくるから、肩慣らしをするにはいい相手だろう。戦った経験も少ないから、流れ作業みたいになることもないだろう。頭を使った戦いが久しぶりにできるかもしれない。
一つ気になることといえば、さっき行ったギルドでそれら三体の魔物についての報告書が読めるようになっていたということ。まぁそれだけならば俺が書いてギルドに提出したものだからなにも気に留めることはなかったのだが、なぜか俺の知らない情報まで書いてあったのだ。
どのくらいのサイズでどのくらいの威力の攻撃をしてくるのか。それぞれの魔物の関係性。効率のいい倒し方。弱点。
誰がこれらの情報を調べたのだろう。あの魔物たちはこの場所以外では出てこない...はず。けれど、この雷の降り注ぐ地であの魔物と戦うのは困難だ。雷を回避しながら戦うことはほぼ不可能。なんらかの魔法で雷を逸らすにしても、とてつもない速度で襲い掛かる雷を全て跳ね除けることなど出来そうにもない。
雷を無効化できる奴でないと無理だろう。そうなると...まさかアクセル?アクセルは雷装を手に入れるためにここに入り浸っていたと聞く。あの魔物たちと戦っていても不思議ではない...けど、まぁそれはないか。魔族のアクセルが魔物の情報をギルドに報告するなんてことするわけないよな。
でも、そうなると誰が調べたんだって話に戻っちゃうんだよな。ほんと誰だよ。可能性としてあるのは、天才のニアがなんとかして雷を跳ね除ける魔法を作るもしくはカスタム魔法で雷を対処して調べ上げたか、俺のように雷装を手に入れたやつが調べたか...
「わからん。とりあえず魔物倒していくか」
うだうだこのまま考えてても意味ないしな。雷装使ってるからスタミナ減り続けてるし、さっさと動き出そう。
一気に走り出し、荒野を駆け抜ける...
「ギャァ目が忘れてた⁉︎」
雷が直撃し、あまりの光に目がやられる。うん、こうなること完全に忘れてたわ...こうなるってのにどうやって魔物のことを調べたのだろう。速度探知があったからこそ色々調べられたのに...やっぱ土のドーム作ってその中から観察したのかな?
「そうだよな、前回来た時は走り回って偶然速度探知に引っかかった奴だけ倒してたんだっけ...あの時よりかは能力適用範囲広がってるし、流石に見つけやすいよな」
目が見えないのだからこうやって走り回って魔物を探すしかない...というか、前回って来たのって九ヶ月前か。ほんと、時間が濃密すぎて九ヶ月前に感じないぜ...思考加速のせいかもしれんが。
「……っと、お前スフィアじゃん!ひさしぶり...っと!」
ちょうど雷がスフィアに落ちようとしていたところだったみたいで、本来ならスフィアに落ちるはずだった雷が俺に落ちてくる。
「あー...すまんな、増殖の機会奪って。そして死んじまえ」
こいつは一体だと攻撃性能なにもないからな。適当にダガーで切り捨てておく。
「……やっぱこの方法だと効率悪いか」
戦い甲斐があるのは、やっぱりキューブとテトラだ。そいつらと優先的に戦いたい。けど、いかんせん選んで戦う方法がないんだよなぁ...
「……あそっか、あっちから来て貰えばいいだけか」
2472ページ上 黒 紫 誘引
誘引魔法を使い、周囲にいる魔物を誘き寄せる。これで俺は動くことなく魔物と戦えるわけだ。
「…あれ?これってもしや...?」
4014ページ 黒 黄 赤 障壁
巨大化させた障壁を、座標固定で俺の少し上に設置する。
「まさかこれで雷を無効化できたりは...しないよな?」
これで守れるんならすごい肩透かしというか、めっちゃビックリする。こんなので守れるならもっと調査進んでるだろうし、流石に貫通するだろう...それはそれでほぼ無敵の障壁としてどうなんだって感じだが。一応障壁って、閃光とか障壁突破用の魔法とか、そういった数少ない方法でしか突破できないんだよな。そういや、雷装に障壁を合わせられたこと一回もないかもしれん。ちょうどいい機会だし、どうなるのか試してみよう。
「雷こーい...えっ、まじ?」
なんか、貫通したはした。でも、かなーり威力減衰していた。雷装を発動していないと電流を浴びて危険だから、雷装を持ってない人がやっても守り切れるわけじゃない。けど、とりあえず目がやられない程度には減衰してくれるおかげで、普通に周囲を探索することができるようになった。
「障壁だと完全には無効化できない...と。俺が雷装打ち込んでも貫通しないんだろうな多分」
雷と雷装じゃ威力が違いすぎる。一点集中ささた雷装ならば突破できるかもしれないが、おそらく魔族の障壁相手だと無理だろう。それこそ、アクセルに叩き込んだ充填器ほどの電力でない限りはな。
「というか懐かしいな。前に来た時は魔法五、六個しか使えなかったんだもんな...」
九ヶ月前に使えた魔法は、火球、水弾、微風、土流、マナ探知、路面凍結だけだった。今は魔法図鑑のおかげで一万を超える魔法を使うことができるが、以前はこれだけしか使えなかったわけだ...よくこれで生きてたな。こっわ。
「あの時は土流で休憩ポイント作ってたけど、この感じだと障壁と金属生成で避雷針作れそうだな。魔法さまさまだ」
まぁ魔力も全然余裕あるし、スタミナもまだまだ問題ないから、とりあえずはこのまま障壁を上に構えておくだけにしておこう。
いやーそれにしてもめっちゃ視界が通る...ん?人影?
「誰だありゃあ...というか、こんなところに人?」
遮蔽物がないおかげで遠くまで見通せる。そのため距離感が少し掴みづらいが、スフィアやキューブ、テトラがいる中で、人の姿をした何かが動いているのを見つける。
「テトラが人型っぽく集まってる...ってことはないよな?でも人がこんなところいるわけないし...まさか、アクセルか?」
ありえるぞ。雷装を手に入れたことだし、ここで修行してみるかつってやってる可能性は大いにある。
どうしよう。絡みにいくか、それとも触らぬ神に祟りなしと離れるか...アクセルじゃない可能性あるし、とりあえず行ってみるか。もしアクセルだったとしても、視界を確保できている俺の方が有利なはず。戦ったとしても勝てる可能性が高い。よしケツイ決まったさぁ行こう。
「……うわっビックリしたぁ。光は抑えられても音はまだやばいな...耳死ぬってんなもん」
なによりも、予期しないタイミングで落ちてくるから普通にビビらされる。速度探知で当たる直前に気づいてしまうのもタチが悪い。心構えできるくらいの時間があれば話は別だが、ほぼ同時に来るからな。気づかない方がマシまである。
「ってか、あいつもめっちゃ雷撃たれてんな...うん、とりあえずアクセルじゃなさそうだな」
この距離だとまだ男女どっちなのかもわからないが、とりあえずあの印象に残る青く長い髪がないからアクセルではないことが確定した。人間体でもあの髪はデフォだったからな。黒髪だし、多分普通の人間だと思う。
「まぁ、フロートでしたとかはあり得るけどな...」
毎回思うことだけど、フロートのせいで会う人全てを疑わないといけないのヤバすぎる。判別法はあるにはあるけど、聖域の中じゃないと使えないしな...
「警戒しつつ近づくか...」
サササッと、足音が出ないくらいの速さで近づく。
「……よーし、声かけるか」
見た感じの印象は、普通の剣士。動きやすさを損なわない程度の鎧を身につけて、少し長めの剣を鞘に収めている。身体に電流が走っているのが目に見えてわかる。雷装を手に入れているのは確定だな。
「ちょっとあんた、少し話を」
「っ⁉︎だ、誰だ!」
「うわっ⁉︎」
あっぶねぇ切られるところだった!なんで剣なんか向けて...ああそっか。雷の光で目がやられてるからか。そりゃ怖いよな。目が見えない状態で、こんな誰もこない場所で急に声をかけられたのだから当然だ。
「驚かせちまったな悪かった。と、とりあえずその剣下ろそうか。怖いから振り回さないでくれ...ん?」
右手の甲に...鳥の翼の紋章だと⁉︎
「もしかしてあんた、勇者候補のライトか⁉︎」
「そそ、そうだけど...君は何者なんだ...!」
まだ目が見えてないからか、露骨にビビられている。障壁はライトの上もカバーしているから、しばらくすれば見えるようになるだろう。そうすれば怖がられないはず...
「俺は神の使いの仮谷幸希だ。雷装を使えるってのは噂でも聞いたことあるだろ?」
「…おかしい、確かガネルにいるって聞いた...ここにいるわけない...!」
「速度操作で走れば、ガネルから王都まで三十分かからず移動できる。王都からここまでは十分かかんない。ここにいることはなんらおかしいことじゃないぞ?」
「まさか...フロートか?」
えーっと、なにこの流れ。そこまで疑われることある?
「報告書を読んだよ。フロートって魔族は姿形だけじゃなくて、魔力も魔法も記憶も全て模倣できるって...雷装を使えるのも、その速度操作っていうのも使えても不思議じゃない...!」
「いやそうなんだけど、ってかその報告書俺が書いた奴なんだけど...というかそろそろ目が見えるだろ?ほらこれ見てくれよ。うなじのこの印!これで本物だってわかるだろ?」
「見えるけど、どうせそれも模倣したものなんだろ...!」
「それ言われると反論材料無くなるんだけど⁉︎」
アカンこれ、俺がフロートじゃないって証明する方法なくない?唯一フロートかどうか判別できる方法も、俺が判別する方法でしかなく、俺以外の誰かが俺を判別するのはできない。何を言っても、模倣したものなんだろと言われるのがオチだ。なんでここまで疑い深いんだ...
これ、世界五分前仮説に似ている。俺がどんな反論をしようとも、それごと模倣したのだという論理で切り捨てられてしまう。けれど、ライトだって俺をフロートだと完全に証明することはできない。そもそも俺はフロートじゃないのだから証明のしようがないのだが、だからこそ証拠不十分で疑惑だけが残ってしまう。
…いや、一つだけ、フロートかどうかわかる方法がある。それは殺すこと。死んだら本人、死なないで別の姿に切り替わればフロート。最悪な方法ではあるが、これしか方法がないのも事実。
どうにかして、ライトにこの発想をさせないようにしなければ...!
はい、ライトに俺がフロートじゃないと説明して納得させるのに一時間かかりました。
どう納得させたかって?
まずは、ライトは俺を疑ってくるけど、そういうお前はフロートじゃないと証明できるのか?と言う。そしたらこの紋章が証拠だと鳥の左翼の紋章を見せつけてきたから、それすらもフロートがコピーしたんだろと言う。そして反論できず言い淀んだところに言葉をぶつけまくって、なんとか納得させた。
ほぼゴリ押しみたいなものだけど、正直これは信じてもらうしか方法はないから、勢いでゴリ押して信じさせた方が勝ちだ。疑心暗鬼を破るのは人を信じる心だってのは、よく言われてることだと思う。
そうしてライトに信じてもらえた俺は、ライトと一緒に王都に戻ってきた。信用を築くのに一時間かかってしまったため、もうそろそろクミリアが来てしまうと大急ぎで戻ってきたのだ。そしてライトがついてきたのは、ちょうど魔力がそろそろピンチで戻ろうとしていたところだったから、ついでにということになったからだ。
「…んで、どうしてライトはそんなにびくついてるわけ?」
「人多いところちょっと苦手で...」
うーん...あれかな?もしかして陰の者だったりする?
「そんなにビビることないと思うけどな...勇者なってメンタル持つのか?」
「それは...多分大丈夫。勇者候補に選ばれて、今までの自分から変わるって決めたから...」
「今これだと変わるのすごい時間かかりそうだな...」
勇者って勇気のある者って意味だろ?ライトはそれに当てはまるのか?というかそもそも、どういう感じで勇者候補が選ばれたのか知らないんよな。急に女神から紋章が刻まれて候補に選ばれるのだろうか。それとも、選考みたいなのがまずあって、そこから三人が選ばれて紋章が刻まれるのか...
まぁ、勇気がないってわけじゃないんだけどな。雷装を手に入れたってことは、あの雷を受けたはずだ。それも、複数回。未だに雷装のちゃんとした取得条件はわかっていないが、死に瀕するほどの威力の雷を受けることが条件なのはほぼ確実だろう。
そんな雷を身に受けても、まだ勇者として選ばれるための努力をしている。戦うことを選んでいる。死に怯えるような臆病者ではないわけだ。そして、トラウマになっても不思議じゃない雷を喰らい続けることも厭わない...うん、十分勇気はあると言えるだろう。というか普通に勇者じゃんか。
「変わるよ。どれだけ時間がかかってもね」
その言葉には、強い意志がこもっているように感じられた。
「…と、ところで、誰かを待ってるの?」
「ああ。仲間が来るのを待ってるんだ」
「仲間...?もしかして、どこかの英雄?」
「ああ。ガネルの英雄、クミリアだ」
そう俺が言ったその時、馬車が門を通って町に入ってくる。そしてクミリアが馬車から降りてくる。
「ずっと座ってるの疲れたわー」
「お疲れさんクミリア」
「……へ?」
素っ頓狂な声を上げるクミリア。
「な、なんでここに⁉︎」
「ん?予定前倒しにして先回りした」
「うそーん...もしかして、ガネル出て少しした時ぐらいに感じた視線ってカリヤのだったり...?」
「うっそだろあの距離で気づかれてたのかよ」
索敵範囲エグすぎんぞ。
「…それで、隣...というか、後ろにいる人はどちらさん?」
「こいつはライト。勇者候補の一人さ。ほら隠れてないで出る!」
「強そうなオーラがすごいから怖い...」
「強いってのは正解だが、もし勇者になったら仲間になる奴だぞ?怖がってないで挨拶しとけ」
「ら、ライトですよろしく...」
「クミさんはクミリアだよ。よろしくねーライト」
勇者候補に呼び捨て。うん、ガネル味が出てるな。
「こいつ雷装使えるんだってさ。すごくね?」
「えっ、そうなのすごいじゃん。クミさんも雷装使いたいなー」
そんな感じの会話が弾みに弾む。
終始ライトは怯え気味だったが、俺にもクミリアにも、なんとか心を開き始めたところでこの集まりはお開きになったとさ。
今日だけで、ガネルでスート、シレンの穴でアライブ、荒野でライトと、勇者候補全員と会ってるんですよね...さすが主人公。
さて、誰が勇者になるんでしょうね?
考察ポイント...?ですが、どれだけ属性盛ってるかでわかりそうですねこれ。