前世の俺がすでに転生特典決めてました   作:ダイヤモンドリリー

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8082字。

ちなみになんですけど、前回手に入れたあの魔道具、屋敷の中に入らなくても手に入ったんですよね。
屋敷に対してワンナの略奪魔法を使えば簡単に盗み出せるという。
本来なら時間制限で勝手に返却されるが、指輪が屋敷の外から出たことで屋敷が消滅し返却せずに済むんですよね。
これのおかげで、ワンナはいくつもの魔道具を所持しているという裏設定があったり...


過去改変オートガード

「なにこれ強すぎんだろ...」

 

専門家に鑑定してもらったおかげで、昨日手に入れた指輪型の魔道具の効果がわかった。

 

簡単に言ってしまえば、こいつの効果は過去改変オートガードだ。

 

……なにを言ってるかわからない?うん、俺も最初はよくわからんかったよ。

 

詳しい説明をすると、だ。まずこいつを使うには魔力をあらかじめ流しておく必要がある。流した魔力の量は効果をアクティブにする時間に対応しており、多く流しておくと長時間持続するようになる。

 

肝心の効果だが、これは何者かを問わず攻撃を受けた瞬間に発動する。かすり傷だろうが、死に直結する攻撃でも等しく発動する。

 

攻撃を受けた瞬間、宝石に貯められた魔力を消費してまず過去改変を起こす。攻撃の当たるはずだった位置にその攻撃から身を守れる程度の障壁が貼られ、攻撃を防ぐのだ。

 

それを見ると俺も周りの人も、命中して傷ができたと思った瞬間に無傷に戻っているという認識になる。一瞬だが傷ついたのは真実なので、痛みが少し残るのだけデメリットといったところか。

 

だが、この守りのいいところは、本来なら障壁を貫通する閃光や、障壁突破特化の魔法を内包している色彩剣装の赤などの攻撃すらも守れるということだ。だから本質的には障壁とは違う防御なのだろう。

 

とまぁ、大体こんな感じ。痛みが残ることと、かすり傷でも発動してしまうこと、それと一回の発動で貯めた魔力を全て使ってしまうことがデメリットであり、魔力さえ流していればどんな攻撃でも一回は守ってくれることがメリットだな。

 

あっ、あと魔力は夜にしか流せないらしい。夜にしか屋敷が出てこないことの名残りか、それともアレキサンドライトが夜の光で赤くなるからなのかはわからないけれど、そのせいで消費してすぐに魔力を流して効果をアクティブに...といったことはできない。夜のうちに、一日持つぐらいの魔力を流す必要がある。

 

「一回完全耐性は強いけど、あくまで保険...みたいな感じだな。俺が持つ必要あるかなこれ...回復要員なり、防御担当のレストに持たせた方がいい気がしてきた。うん、合流したら渡そうかな」

 

俺が持っているよりも、防御とかサポート寄りの人に持たせた方が良さそうだ。コイツが落ちたら絶対パーティーが崩壊するって人に持たせることにしよう...そういった意味じゃ、勇者に持たせるのが一番ではあるんだけどな。

 

「まぁ、それまでは俺が持っておきますか...よっと」

 

首にかけている懐中時計のチェーンに指輪を通して身につけた判定にする。指輪だからといって指に通すわけない。今更そんなのつけたら、手元の感覚が変わってダガーをうまく操れなくなってしまうしな。それに、ただでさえ装備品多いというのに、これ以上増やしてどうすんだって話だ。

 

「さーて...今日はなにをしよう」

 

今日も今日とて、一日暇である。何にも予定が入っておらず、唯一できてた魔道具解析の予定もすぐに終わってしまった。やることが一切ない。

 

「明日の準備は夜やりゃあいいしなぁ...」

 

そう、明日はついに勇者選定の日である。だから明日は王都から、この世界の最南にある女神の山の山頂に移動することになる。クミリアは今日の朝に、ライトは今日の昼にカリスに移動し、女神の山への移動の準備をするらしい。だから、二人に絡みに行くことはできないんだよな。

 

「なーにしよっかなぁ...またあそこ行くのもいいな。結局ライトとの会話に時間使っちゃってスフィアとしか戦えてないし」

 

あの荒野に行ってキューブとテトラと戦ってみようかな。この指輪の力を試すのは魔力が入ってないから出来ないけど、まぁ、ただ戦うだけでいいだろう。

 

「そうと決まればさっそく移動を...およ?」

 

あんなところに見覚えのある姿が二人...

 

「よーっす、スートにアライブじゃんかこんなところでなにやってるんだ?」

 

道端で会話をしていた勇者候補たちに声をかける。

 

「おお、カリヤか」

 

「こんにちわですカリヤさん。偶然バッタリと会ったものだから、ちょっと話をしてたんです」

 

「そうなのか。話ってあれか?明日についてとかか?」

 

「まぁ、そんなところだ」

 

「この二年の集大成になりますからね。長い長い努力が実を結ぶか、それとも完全に無駄になってしまうか...とても今日は寝つけそうにないです」

 

「まぁそりゃ二人は落ちちまうわけだしな。心配でしょうがないのは当然だわ...でも、完全に無駄になるってこたぁなくないか?勇者になれないってのは残念に違いないけど、修行した経験と力は残るわけだし」

 

「あー...」

 

「それは...」

 

ん?なんか目を逸らしてくる。何か変なこと...言ったんだろうな。勇者候補にだけ知らされてて、一般には広がってない情報と違うことを言ったのだろう。

 

「……よくわからんが、多分口止めされてる情報なんだろうな。追求しないでおくわ」

 

「そうしてくれると助かります」

 

「箝口令が敷かれていていてな。このことは王城の専門部署関係者と、勇者候補にしか知らない。もし勇者になれなかったとしても、生涯に渡って独り言で呟くことすらも許されないんだ」

 

「へー、結構厳重なんだな」

 

「言おうとすれば刻まれた魔法が発動して身体が蝕まれて...となるみたいですよ?」

 

「本当に厳重だなオイ」

 

「本当かどうかはわかりませんけどね。冗談みたいな口調で言われましたし」

 

「……魔法を色々使う様になって、ある日なんとなく調べてみたんだがガチだったぞ」

 

「えっ」

 

勇者候補にもそういう魔法刻むんすね。ほんとに知られたくない情報なんだろうなぁ...そういえば前に神様に色々聞こうと思って忘れてたな。今日中に聞いておこ。

 

「そ、そういえばなんだけど、二人ってお互いの実力どれくらい知ってるんだ?個別に修行してるからまるで知らない感じ?」

 

「あー...噂でたまに名前を聞くことはあったが、そもそも俺たちが勇者候補ってのは基本的に知られていないからな。バラバラで動いてたし、そんなには知らないな」

 

「ですね。王都に来たらよく話題を聞くようになりましたが、それでもどんな力をつけたのかまではそこまで...という感じです」

 

「ライトの話題とか特に聞かないよな」

 

「ライトさんに関しては本当に情報がないんですよね。スートさんは魔法特化で、僕はどちらかといえば物理より。というのはわかりやすいんですけど、ライトさんはサッパリで」

 

この様子だと、ライトが雷装を使えるってのは知らないのかな。あんまり互いの戦力を知らないみたいだから言わないでおくか。

 

「そんな感じか...二人はいつ移動始めるんだ?ライトは昼ごろにカリスに向かうみたいだけど」

 

「あっ、そうなんですか?」

 

「俺たちも昼に移動なんだ。しかも俺たち、同じ馬車らしい」

 

「そうなのか。そりゃ面白い偶然だな」

 

「これでライトさんも同じ馬車だったら面白いですね」

 

「ふふっ、そうだな。もしそうなったらその馬車は世界で一番安全だわ」

 

勇者候補三人乗ってるとか安心でしかない。逆に、魔族側から見れば格好の的でしかないけれど。勇者になられる前に全員を始末できる絶好のチャンスなんだよな。

 

まず魔法拡散を使われたらスートは詰む。アライブはいろんな武器を扱えるからある程度戦えるだろうけど、あの姉妹の見えない連携攻撃を喰らうと流石にキツいはず。そして、アクセルと戦うのは雷装を使えるライトくらいしか適任がいないが、それでも確実に速度不足で負ける。さらにそこにフロートが混ざれば...勇者候補たちに勝てる可能性は限りなくゼロに近いだろう。

 

「……やっぱ安全じゃないわ。魔族には気をつけろよ?本当にアイツら単体の力がエグくてそれぞれ一人ずつ受け持ったとしても各個撃破されるから、もし魔族に襲われたら全力で逃げて生き延びてくれ」

 

「……そんなにヤバいのか?」

 

「うん。俺が魔族と戦った時は全部手加減されてたから勝てただけだし、多分全力を出されたら俺が死ぬ。アクセルとはまだ戦えるだろうけど、フロートはコピーした能力によっては余裕で死ねるし、姉妹の方もガチ連携されるとヤバい。姉妹のやつらは二人同時に殺さないと蘇生するから一人じゃ無理だし...」

 

「今のでハッキリわかった出会ったらすぐ逃げよう」

 

「そ、そうですね。勇者になる前に死んでしまうと勇者自体の戦力ダウンに繋がりますし、少なくとも明日までは生存第一で行きましょうか」

 

「そうしてくれマジで頼む」

 

俺の使命は勇者を守ることだし出来ればついていってやりたいけど、今から準備しても多分もう出発してカリスについているだろう。行く意味がない。無事だけ祈っておこう。

 

「……あー、そろそろ時間だな。アライブ行くぞ」

 

「わかりました。ではカリヤさん。僕たちはここで」

 

そう言ってから、スートとアライブは王都の南へと向かって歩いていった。

 

「……よし、後回しにする前に神様に話聞くか」

 

一旦宿に戻ろう。神との会話を誰かに聞かれるわけにはいかないからな。声出さなくても話そうと思えば話せるけど、多分リアクションしちゃうだろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神様ーまた聞きたいことあるんだけどちょっといいか?」

 

『勇者についてか?』

 

「そうだ。話が早いな」

 

『たまにではあるが、お主の行動を見させてもらっておるからのう。先の勇者候補との会話を聞いていた』

 

「なるほど、じゃあ早速聞くぞ。選ばれなかった勇者候補ってどうなるんだ?」

 

『勇者になれないというだけじゃが...?』

 

「いや、そうじゃなくて...なんて言えばいいかな。勇者候補って三人いるだろ?そして、それぞれ自分の力を磨いている。勇者に選ばれるために...でも、選ばれなかった二人の努力はどうなるんだ?なんか、二人の口ぶりからすると勇者になれなかったらその努力が無駄になるって感じなんだよ」

 

『ああ、そういうことか。それはじゃの...』

 

なんとなく予想はできてるけど、神様に確定させてもらおう。

 

『勇者になれなかった勇者候補の力は、勇者に引き継がれるようになっておる』

 

「やっぱそういうことね。だからスートは剣の修行をしないわけだ」

 

スートが魔法しか使わないのは、ライトやアライブが剣を使っていればその技能を受け継ぐことができるから。自分がやらなくともできるようになるから、魔法の修行に専念することができた。

 

そしてそれは逆も言えることで、スートが魔法を極めると最初に宣言しているおかげで、アライブもライトも物理に偏った修行ができた。一人で両方やれと言われると厳しいが、分担できるなら簡単だろう。

 

「……引き継がれるって具体的にどういう感じなんだ?勇者になった奴にスキルや魔法を完全に渡してしまう感じ?それとも共有させる感じ?」

 

『完全に渡す感じじゃ。勇者候補の力を失うと同時に、得てきたものを失うことになる』

 

「そりゃ勇者になりたがるわけだわ。二年間頑張ってきて、それが無駄になるってのはキツいものがある」

 

案外、そう思わせて全力で勇者になるための努力をさせるのが目的なのかも。

 

『……お主が思ってる以上にキツいだろうな』

 

「思ってる以上ってどういうことだ?まぁ俺まだこの世界に来て二年経ってないから、そういうタイプの修行二年がどれだけ苦しいのかはわからないけど流石に推測することくらいは...」

 

『お主が考えている、勇者に受け継がれる力はなんじゃ?』

 

「えっ?そりゃ武器の熟練度とか、魔法の適性とかスキルとかだろ?」

 

『それとあと魔力じゃが...簡単に言ってしまえば、身体的な成長を除いたほぼ全ての技術が受け継がれることになる。二年の間に新たに得たスキルや経験、魔力量上昇、魔法適性値の上昇などなど...勇者になるという目的外で得たものも全てな』

 

ん?なんか雲行きが...

 

『勇者になれないということは、己の二年間を完全に無駄にすることになる。その二年のうちに手に入れたほぼ全てを失い、二年前、勇者候補に選ばれる瞬間の状態に巻き戻されるようなものじゃ』

 

「ちょっと待ってくれ。そんなに重いのか?」

 

『もちろんじゃ。彼らはまだ十八かそこら。まだまだ成長期とも言える。その成長期中の貴重な二年を、なにもせずに過ごしたようなものになってしまう』

 

自分の努力は完全に奪われ、自分に残るものは何もない。これは...結構辛い。

 

『そしてタチの悪いことに、勇者候補時代の記憶はそのままじゃ。勇者候補としての力で、普通の人よりも成長度合いが全然違う。やればやるだけ力になる。その時の記憶があるせいで、勇者になれなかった者はいくら修行してもあの時の力を取り戻せず、無力感に苛まれる。歴代の勇者候補脱落者は総じて、悲惨な末路を追うことに...』

 

この世界では国によって隠匿されておるから世間に知られてはいないがの、と付け加えながら神様は話す。こんなの知られたら問題になる。口止めのために勇者候補にも魔法を刻むのも納得だ。

 

「やっぱこういうのって記憶ごと奪った方が本人のためになるんじゃ...いやでも、記憶も戻ったらそれはそれでいやだな。急に二年分身体が成長したように感じるわけだし」

 

身体も元に戻るのが最高だが、流石にそこまでするのは難しいんだろうな...

 

「なんか...こう...胸糞悪いな。強い勇者を作るためとはいえ、二人犠牲にするのはちょっと...どうなんだ?」

 

もちろん、この世界の常識と俺の常識は違うわけだし、そうなると俺の方がおかしいと言えるんだけども、やはり人の人生を消耗品のように扱うのはダメだと言いたくなってしまう。

 

これが、自ら名乗り出て勇者候補になったんだとしたらまだマシだろう。二年を失うリスクを自ら負うのだから、自己責任の範疇だ。

 

でも、勇者候補はこの世界の女神が選んでいる。ある日突然選ばれるわけだ。自らの意思じゃない。勝手に選んでおいて、失われた二年のアフターケアは無し。そんなのあんまりじゃないか。

 

『仕方ないじゃろう。全ては魔王を倒せる勇者を育成するためじゃ』

 

「でもさぁ...」

 

『勇者は一人しかなれない。一人分が女神のサポートの限界なんじゃ。じゃが、勇者候補に対する成長補佐は数人分できる。一人一人に勇者として十分に戦える力を身につけてもらい、その力を集約させれば単純に勇者数人分の力を持った勇者を作れる。実質六年分の修行と同じだけの力になる。この世界の女神の力では、これが限界じゃ』

 

なんか、もしこの神様がここの世界の運営をやってたなら、もっと別の方法で勇者作りそうな気がする。そもそも力の差があると思うし。ただの一般人の魂に超能力を付与させて、なおかつ別の世界に肉体をゼロから作って転生させるとか絶対この世界の女神には出来ないでしょ。

 

『それがこの世界の仕組み、と飲み込んだ方が楽だと思うぞい。いちいち気にして背負い込むことはない』

 

「そう...だな」

 

こんなシステムにしないといけないのも、魔王がいるからなんだよな。この世界に来る前に神様が、魔王は何度も現れてるけど全部同一個体だと言っていた。つまり、新しく魔王が生まれているわけではない。この代で魔王を完全に殺してしまえば、この後の世代で勇者が生まれる必要がなくなり犠牲になる人がいなくなる。

 

「俺がいるうちに魔王を殺してしまえば、それでいいんだな...んあれ?そういやなんだけど、俺がいないと勇者死ぬんでしょ?三人分の勇者の力を束ねても魔王に勝てないってどういうわけ?」

 

勇者候補を三人選んで一人に力を集約させるこのシステムは、おそらく今までもやってきたはず。そしてこの世界が存続しているということは、それで魔王を倒せていたということ。

 

なのにこの世界では勇者は負けてしまう。魔王は変わっていないというのにだ。本来と違う魔族と、神の使いが生まれなかったことが原因だと説明されたが、たったそれだけで勇者が負けるものだろうか。まぁあの魔族らと戦って勝てるかって言われると、まだ勇者の力がどの程度のものなのか知らないからどうともいえないけれど。

 

『とある理由で女神の力が少し落ちている、ということもあるがのう』

 

「力が落ちてる?その理由ってなんだ?」

 

『……すまないが、説明できない』

 

「それ、隠されると結構困るんだけど。どうすんだよそれで肝心な時に女神のサポートが消えて勇者の力が使えなくなったりしたら。理由さえ知ってたら、何か対策できるかもしれないだろ?」

 

『そうじゃが...実は、ワシもよくわかってないんじゃ。二代前の魔王が倒された後くらいから、少しずつ女神の力が落ちているらしい』

 

「二代前...大体三百年くらい前か。その時って魂初期化事件って起こってないよな?それとは関係なしに、何かが起きてると...」

 

『じゃな。おそらくというか確実に魔王が原因じゃろうが、具体的に何が起こっているのかはワシにも感知できん...明日、お主は女神の山に向かうじゃろう。その時に、できる限りで良いから少し調べてみてはくれんか?』

 

「うーん...神様がわかんないこと俺に調べられるとは思えないけど、まぁ一応調べてみるよ」

 

『頼んだ』

 

「頼まれた」

 

よし、とりあえず聞きたいこと聞けたな。ちょうどいい機会だし、他に何か聞けることないかな...あっ。

 

「なぁ神様。勇者候補は三人いるけど、勇者に選ばれる基準ってなんなんだ?」

 

最終的に三人の力が統合される以上、選定の日現在での実力はそこまで重要じゃない気がする。

 

「まさか、これも言えないってわけじゃないよな?」

 

『……まぁ、言っても大丈夫じゃろう。女神の啓示を受けれる王族でさえも知らないことではあるが、今から干渉して勇者になる人を変えられるわけじゃないしのう』

 

王族が女神の啓示を受けれるっていう情報サラッと出てきたけど、なにそれこんな感じに出していい情報ではなくない?確かにありがちではあるけれども、それくらいじゃないと国の長にはなれないから予想できなくもないけど、こうあたかも当然のように言うのは止しません?

 

『勇者になる人の条件。それは...』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、山登りするか」

 

今日は勇者選定の日。女神の山の頂上で選定は行われるため、この山を登る必要がある。

 

「チラホラ人いるけど、見物人なんかな。走ると危険だし、普通に歩いて登るか」

 

この世界を救う勇者が決まる瞬間だ。女神の山は丸ごと聖域なため安全だし、見にくる人は多いだろう。

 

「勇者パーティーの結成もやるんだったよな確か。初めてニアに会うな。ちょっと楽しみだ」

 

昨日、神様に勇者になる人の条件を聞いた後、王城から使いが来た。そこで手紙を受け取り、今日の勇者選定の流れとその直後に行われる勇者パーティーお披露目の予定を知らされた。集合時間も書いてあったが、今からなら普通に歩いても十分間に合うので、のんびり歩こうと思う。

 

「神様が女神の山を調べてくれって言ってきたけど、しょうみどうやって調べればいいのかまるでわからないんだよな」

 

一応速度探知で周囲と山の表層を調べてはいるけど、そもそもどの状態が正常なのかを知らないから気付きようがないんだよな。どうすりゃいいってんだ。

 

「というかこの山、なんでこんなにグルグルすんだろ」

 

傾斜が緩く、あまり登っている感じがしない。時々トンネルみたいな感じになってて山の中入ったりするし、その中で広い空間に出たりする。なんなんだろこの場所。よくわからん。

 

「うーん...あれかな、避難壕というか避難場所?戦争始まったら一般人はここに逃げ込む手筈になってるんかな?」

 

ここなら大勢の人を収容できるだろう。聖域だし、安全は保証されている。仮に王都にまで魔王軍の魔の手が及んだとしても、女神の力が宿っているここから反撃の狼煙を上げることもできるだろう。

 

「うん、それならこの構造もちょっとは納得かな。肝心の女神の力が魔王のせいで弱まっているのだけ心配だけど...ん?」

 

なんだろアレ。砲台?...カイスの防衛装置に似てるな。魔物に攻められても十分に防衛可能ってわけか。

 

「……んあれ?もう頂上?そんな歩いた気しないんだが...これも魔法なんだろなどうせ」

 

よし、予定より早かったが無事到着だ。

 

勇者選定が、もうすぐ始まる。




次回、とうとう勇者が選ばれます。
ここまで長かった...

そして、前回後書きで書いたとおり、テストあるのでしばらく投稿止まります。
次回は7月9日火曜日になります。
三人のうち誰が勇者に選ばれるのか、考えながらお待ちください。
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