調律者サオリ   作:イワシコ農相

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ブルーアーカイブ小説は初めてなので初投稿です。


プロローグ

陽気な太陽が燦々と街を照らし、生徒たちが各々の学園へと向かうそんな日常のある日。

ブラックマーケットを見下ろす一つのビルの屋上にて、一人の少女が佇んでいる。

金色の線が複数入り乱れた黒い外套が生温い風でなびき、口元を覆うフェイスマスクの下から淡いため息が溢れ、漆黒に染まりきった瞳からかすかな希望が見える。

「本当に…久しいな」

私がそう言ったのは無理のないことではないと思う。なぜなら、あの地獄で早10年暮らしてからこの楽園を見せられると凍りきった心でも感動してしまうのだ。

「ようやく帰れたな…」

そう実感するが、同時に己のこの身がこの世界にとっての異物であることも理解してしまった。

なぜなら、眼前に広がっている頭の規則に反する違反者の群体に殺意しか覚えないから。

 

「壁を貫通する威力の銃を作ってはならない」

 

「保持してはならない」

 

「保持しようとも作ろうとも思考してはならない」

 

「弾丸が速ければ速いほど大きな音をたてるようにしなければならない」

 

無意識下で復唱された規則と違反者を滅しようとしている本能がその答えだ。

 

「はぁ…嫌になるな」

 

もはや、アリウスの錠前サオリではななく、A社の調律者になり果てたこの身はこの世界から見て唾棄すべき病に他ならない。

 

まずは今がいつであるかを確認し、それを踏まえて自身の取るべき行動を選定する。ここにはA社による指定がない"自由意志"が介在する領域だ。都市に慣れれば慣れるほど失われていく、"それ"に私は今満たされている。

 

だから、私は一歩を踏み出し、そのまま地へと落下した。

 

「はぁ?なんだあれ…って落ちてきてンじゃねぇか!!」

 

「早く離れろ、下敷きになるぞ!!」

 

「ヘルメット団散開!散開!」

 

慌ただしく落ちてくる地点から離れたヘルメット団はただ呆然とそれを見るしかなかった。

 

 急激な速度で落ちてきた少女はまるで何事もなかったかのように地面すれすれの空中で静止してから、ゆっくりと足をつけた。

 

「なんだあれ…」

 

「あぁ」

 

「綺麗…」

 

明らかな異常と調律者サオリの外見がヘルメット団と…それを見ていた観衆の心を鷲掴みにする。何せ、わざわざブラックマーケットの一番高いビルから中央交差点めがけ落下したのだ…目立たない訳がない。

 

 (やってしまった)

 

サオリの脳内を駆けるのはただその考えだけ。そりゃ、都市ではこういうのは日常茶飯事だ。そもそも、調律者を見かけても話しかける人も長く見ようとする人もいない。調律者の機嫌を損ねてしまったら、例え巣に住んでいる羽であっても外郭の住民と同じように等しく滅されてしまうからだ。だが、キヴォトスの住民はそれを知らない。

 

この殺人者でしかない自分にまるで魔法使いを見たかのようにキラキラとした眼差しを向けられては、居心地が悪い。

 

だがすぐに切り替え、目標を再確認する。

 

調律者として規則を執行する権利はこの世界では行使出来ないが、調律者としての力を意のままに扱うことは出来る。

 

ならすべきことはまず現状把握、それから行動指針の決定。いつであるかを確認することは、今後のための重要な情報となる。

 

そのためにはシャーレを用いるのが最適解だ。

 

もう生徒ではない大人になってしまったが、私はサオリだ。この身であっても、さすがに先生は無下にはしないだろう。仮に無下にされても調律者としてお願いすれば、きっと話してくれる。

 

「始めようか」

 

そう言って笑みを溢す。

 

それに合わせて黒と黄色入り交じるヘイローはどこまでも不気味に輝いたかのように見えた。

 

 




やっちゃったね。夢で見た調律者サオリ概念に脳破壊されて衝動的に書いてしまった。
後悔はしてない。
前作の反省を活かしてなんとか連載したいところです。なので、次回はあります!(不定期更新だけど許してね)
次回はもっと文字数増やしますのでお楽しみに。
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