『AGP換装した金剛改二と長門型艤装を身に着けた戦艦・加賀がハチャメチャに暴れる話』泉浜鎮守府航海日誌 ダイヤモンド・フォートレス   作:沖野潤一

2 / 8
『八月十日』

一.

 

 暗い夜。闇に包まれて海を奔っていると、あの日のことを思い出す。

 遠く日本を離れた南の海。

 戦いで傷付き、草臥れた鋼の躯体。

 海獅子に襲われ、浦風と共に海へと没したあの日を。

「金剛姉さん! ウチは大丈夫じゃけえ、敵艦を……!」

 そう。ちょうど、こんな荒れた海の夜だった。

クソッ(Shit)……!」

 私たち、泉浜第一艦隊は敵襲に遭っていた。

 本土を遠く離れた洋上ならばまだ分かる。未だに海の大半は()()()()のものだったし、不用意に踏み込んだ艦隊ひとつが辿る運命など知れている。

 だが、ここは瀬戸内海だ。

 真田幸一少佐……私たちの()()()()からの指示で哨戒任務に就いていた私たちを、突如襲ったのが彼女たちだ。数は四、いや五……ともかく三隻以上。

「クソが……! なんなんだ、さっきのアイツ。ただの深海棲艦じゃねぇぞ」

多分(Maybe)……最近目撃された、新しい『姫』級ネ。武装に見覚えがありマス」

「んだよソレ。なんだってそんなのが瀬戸内海をウロついてんだよ――おい浦風、お前はアタシの後ろに隠れてな。心配すんな、すぐ鎮守府で治してやっから」

「う、っ……、ありがとう、摩耶さん」

 乱れた陣形を組み直す。私を庇った浦風を敵射線から影に。

 今は島影に隠れて見えないが、ここを出れば仕掛けてくるはず。

「ヘイ、電、雷! あなたたちは、対潜警戒と浦風のカバーをお願い!」

「電、了解なのです! 泉浜との交信維持しつつ、対応するのです!」

「浦風、こっちよ! ちょっとでいいから、あなたも右舷警戒をお願い!」

「……了解、じゃ」

 ここ瀬戸内で敵潜が遊弋しているとは考えにくいが、万一ということもある。それに、私と浦風が沈んだのも潜水艦からの雷撃だ。敵が験を担ぐなら、編成に組み込んでいても不思議ではない。警戒にやり過ぎて損などないのだから。

 このままの速度なら、島影から出るまで三分。

「敵の数が分かりまセン。摩耶と鳥海は随伴艦の牽制をお願いしマス。もちろん――」

「沈めちまってもオッケー、だろ。わかってんよ」

「了解です。押さえてみせます」

 主砲、副砲、機関銃。ハリネズミのような摩耶たちだったが、彼女らは数日後に第二次改装を控えている。より防空能力に特化した、いわゆる『改二』改装。徐々に戦力の整いつつある泉浜鎮守府を象徴するかのようだ。

 ならば、私は。

 姉妹ともども最初の改装は済ませているが、まだお声は掛かっていない。建造の時期がひとりだけ遅い私が比叡たちに追いつけたのは、どうやら大したことだったらしいが。

 なにかが足りないのか、それとも――。

「金剛さん。泉浜と連絡がついたのです。もう味方から増援を送ってくれてるって」

「オッケイ。テートクはなんて?」

「全速で戦闘域を離脱。速やかに帰投せよ、なのです。それから――」

「それから?」

「美味しい朝食を用意して待ってる、以上」

 なるほど、それなら無事に帰る以外の選択肢はない。

 艦は、生きてはいない。そこに存在はしているが、それは当然ただのモノでしかなく、生命活動をしているわけではない。

 けれど、魂はあった。それが、今の私たちを――そして深海棲艦たちを形作っている。

 生きることは苦しい。悲しい。なにより、痛い。艦娘となり肉の体を得たことで、私は多くの嫌なことを味わうはめになった。こんなことを味わうくらいならば、と思うことも無理はないと、そう考えたこともある。

 けれど。

 お湯を注がれたポットから立ち上る茶葉の甘い香り。

 湯気のたつカップの暖かさ。

 フォークを差し入れたケーキの柔らかさ。

 そして、口の中に広がる甘み。

 ああ、生きている。そう感じることのできる身体と心、そして環境。どれもひとの身になって手に入れたものだ。

「総員、砲雷撃戦準備! 帰ってテートクと朝ご飯デース!」

「おう!」

「了解なのです!」

 生きることは嬉しい。生命を得たことに意味などないのかも知れない。それでも私は、苦しみも痛みも受け止めたい。受け止めなくてはいけないのだ。

 生きているから。

 一杯の紅茶を口にする、その幸せを知ってしまったから。

 だから、私たちは、帰らなくてはいけない。あの人と、私たちを待っていてくれる人のところへと。

 決意と共に砲を指向する。会敵と同時に発射。あとは牽制しつつ弾幕を張って離脱だ。

 そして、暗闇の中、塊でしかない島影を抜けた。

 その瞬間だった。

「テイコウシテモ、ムダダヨ?」

 言葉と共に鈍い衝撃。

「ぐッ……!?」

 視界が白黒する。水面から浮いた足をつこうとして空振る。ほとんど本能で手を頭上へ伸ばし、()()()()()()()。体を捻り、なんとか姿勢を戻す。

 直接殴りつけられたのだと気付くまでに数秒を要した。

 左右の航行バランスがおかしい。ふらつく。主機に損傷か。スクリューがやられたか。

 いや、違う。

「金剛ォ!」

「う、摩耶」

 カバーに入った摩耶の主砲が吼え、そこでようやく事態を理解した。

 左舷側の艤装が半分、()()()()()()()()()無くなっていた。

「金剛、腕は付いてんな!? ヤロー最初っから不意打ち狙ってやがった! 鳥海、数は!?」

「探照灯で確認しました。敵旗艦のほか、重巡二隻。駆逐もいるかも知れませんが――」

「雷より報告よ! 水面下に敵影なし、敵潜警戒続けるわ!」

 崩れた陣形が元に戻る。正確には、吹っ飛んだ私を追う形で摩耶たちが合流したかたちなのだが、今はそれどころではない。

 敵旗艦の攻撃力は圧倒的だ。幸い敵の数は多くない。まだふらつく意識を立て直して、この海域を離脱しなくては。

「金剛! しっかりしろ、オイ金剛!」

「大丈夫デス……摩耶たちは敵を」

「分かってんよ! っ、食らえェ!」

 敵重巡は散発的な攻撃しかしてこない。避けられる――或いは、当たらない砲撃しか。

 その考えに至るまで時間を要したことで、既に相手の術中にあることを知る。

「回避行動デス!」

 全員が列を崩して散開した瞬間、水中から大口を見せ、飛び出すイ級。危ういところで食い付かれることを避けた私たちに、休む暇はない。

 摩耶がイ級を殴りつけ、口内に突っ込んだ主砲で処理するのを視界の片隅に追いやる。アレは本命の攻撃に見せかけた囮だ。

 ()()()()()

 ほとんど本能による直感。とっさに波を使って宙返り、同時に副砲の斉射を自分が通るはずだった水面へと見舞う。空しく水面に吸い込まれるはずの砲弾が、火花を散らした。

「痛イジャナイカァ!」

チクショウ(Shit)……!」

 夜の暗闇に紛れてこちらを襲おうとした、敵旗艦が悲鳴を上げた。しかし、その声には大した切迫も見られない。

 遊ばれている。実に腹立たしい。

 そして事実、今のこちらには有効な手がない。

「イクラ撃ッタッテネェ、無駄ナンダヨォ!」

 それは嘘だ。弾が当たって傷つかない艦なんかいない。真っ先に私の主砲を潰しに来たのがなによりの証拠だ。この余裕は、こちらが手負いで、追われているから見せている。

 だが、敵旗艦の攻撃力は本物だ。彼女ひとりで充分、私たち全員を沈められる。一瞬の油断で即全滅。今の泉浜第一艦隊は綱渡りを強いられている。

 ならば、少しでも生存の可能性を増やしていくしかない。

「摩耶、鳥海、電! 誰か重巡をお願いしマース!」

「お願いって、軽く言ってくれんなァ……」

「でも摩耶。このままだと私たち、少しずつ削られて終わりだわ。今なんとかしないと」

「ンなこと言っても、限度があるだろ限度がッ……!」

 牽制の主砲、副砲で動きを押さえるのが精一杯の摩耶。そして同様の鳥海が唇を噛む。かくいう私も敵旗艦への対応に一瞬でも手を抜いたら終わる。

「――電に、考えがあるのです」

 だから、電の決意に満ちた言葉に、()()()()()()()()()()()

「雷ちゃん、アンカーを借りるのです」

「え!? い、いいけど」

「電が合図をしたら、これを」

「ひえっ!? い、いいけどっ、これっ、電」

「なるべく上でお願いするのです!」

 戦艦(わたし)重巡(まやたち)がマークされて動けない――唯一の打開点は駆逐艦たちだ。傷付いた浦風に対潜を任せて、電が僅かに隊列から離れる。

 摩耶、鳥海を狙った重巡たちの砲撃リズム。大した規則性のないそれらを、電はまるで訓練されたアスリートのように読み切って、急制動を掛けた。

 直後、反転。

「雷ちゃんっ!」

「――まっかせて!」

 雷が空中に放ったのは、電から受け取った()()()()。投擲の直後、雷の機銃がそれらを打ち抜いた。

 必然、そこに起こるのは爆発。

「……!」

 制動を掛けた電を狙おうとした敵重巡二隻は、一瞬、そちらに気を取られる。まさに、電が欲しかった隙が、この一瞬だった。

「なのですっ!」

 電の左手が閃く。正体は雷の(アンカー)。海底に艦を繋ぎ止める強度の錨鎖が、一隻の重巡に絡みついた。すれ違いざまに足を払う。一撃でバランスを崩した重巡が洋上で転倒した。

「っぁああああああっ!」

 再び反転した電が、全力航行。姿勢を立て直す隙を与えないまま引き摺り回し、速度を落としたもう一隻の重巡へと吶喊する。

 錨鎖から逃れようにも、電の勢いのほうが強い。

 その時、残った敵重巡の主砲が放たれ、うち一発が電を捉えた。

「電ァッ!」

 摩耶が叫ぶ。しかし、私には分かっていた。電なら、このくらいの無茶をすると。

 着弾の煙をくぐるように、魚雷が重巡に向かう。

「――命中、させちゃいます」

 魚雷を追うように電が姿を現した。防楯が根元からまるごと無くなり、傷付いているが、電の瞳は戦う意思を見失っていない。

 一発が重巡の足元で破裂。態勢を崩しながら、敵も魚雷を放つ。

 これこそ、電が待っていた展開。

「なの、ですっ……!」

 魚雷を横切るように電が奔る。

「電、あんにゃろ……無茶しやがる!」

 魚雷の進路に引き摺り出されたのは、錨鎖で電に絡め取られた敵重巡。放たれた魚雷は無慈悲に味方である重巡へと突き刺さる。爆発。悲鳴と共に沈んでいく重巡。

 そして、電がアンカーを手放した。

「っぅ――!」

 艦ひとり分の重量から解放された電が、弾かれるようにもう一隻へと飛び出した。

 予想外の速度で自分へと向かってくる駆逐艦に、残った重巡の反応は遅れた。そして、その遅れはまさに致命的だった。

 運命を分ける一撃。

「とりゃあああああああっ」

 懸架された電自身のアンカーが、大上段で重巡へと振り下ろされた。金属がひしゃげ、生物の出してはいけない音が周囲に響く。

「雷ちゃん、とどめの魚雷を」

「わ、わかったわ」

 僅かに身動きする敵重巡。電は、雷の魚雷が突き刺さる直前、深く頭を下げた。

 ここまでの攻防を邪魔させないようにしていた重量級三隻が、一斉に息を吐く。

「おっしゃあ! ――さすがだな、電」

「まだよ、摩耶。まだ旗艦が残ってるわ」

「そうデス。ここからが私たちの本番デース」

 と、遊んでいるかのように牽制の砲撃を躱していた敵の旗艦が、鳥海の探照灯が照らす位置に躍り出た。まるで、よく見ろと言わんばかりに。

「アレね……!」

 私が見たのは、ひと抱えもある巨大な大砲のような艤装だった。相手はまるでペットのように抱いているが、醜悪な口を開け閉めしている。アレが私の艤装を半分持って行ったのか。万一直撃していたら、胴体がまるごと喰われていたに違いない。

「マズッ――」

 しかし、彼女の姿に摩耶が別の反応を示した――正確には、()()()()()()()()()に。

「――金剛ッ、ヤツは()()()!」

 直後、私は頭上に気配を感じ、体を捻った。

「きゃああああああッ!」

「金剛さんっ」

 爆発。艤装の主砲塔を直撃した爆弾は、容赦なく込められた力を解放させた。致命的な一撃を受けた艤装が軋み、炎を上げている。敵艦載機の急降下爆撃だ。

 爆発の勢いのままに跳ね飛ばされた私は、よろよろと洋上に立とうとした。

 立てない。

「こ、このくらい……どーってこと……ないデース」

「金剛このバカッ」

 両脇を摩耶と鳥海に抱えられて、なんとか前に進む。敵機の爆撃が周囲に水柱を立て、跳ねた海水が容赦なく押し寄せる。爆撃は私たちをいたぶることを楽しんでいるようだ。

 

【挿絵表示】

 

 

 笑い声が聞こえる。ヤツが笑っていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「アハハハハハ! ソンナ調子デ帰レルノ? マァ、帰サナイケドサァ!」

「ちっ……くしょぉ」

「摩耶! 二時方向敵機!」

「分かってる! 分かってるけどよ!」

 電、雷、浦風が、私を助けようと主砲を放つ。余裕の笑みで敵旗艦はそれを躱した。

 頭が回らない。離脱しなくては。

「みんな、逃げて……」

 敵旗艦が、私たち全員をあざ笑うように片手を挙げた。

 しかし、覚悟した一斉攻撃は、来ない。

「――チ。新手カ」

 大して悔しくもなさそうにそう言うと、敵旗艦は興味を無くしたように背を返す。

 一体なにが、と思うより先に、耳が()()を捉えていた。

――プロペラの音。

 やってくる彼らの()()を耳にするだけで、私たちはどれだけ救われるか。左右の島々を縫うように、航空支援がやってきた。

 気がつけば日が昇りかけている。

 薄桃色の夜明けに影が消えそうになった瞬間。

「フフ……ククク、ハハハハハ。マタ会ッタラ、次コソ沈メテアゲルヨ?」

 耳の奥に哄笑を残して、敵旗艦が遠ざかっていく。

 左右からやってきたプロペラの音。私たちの横を、風を纏って追い抜いていく。

「――助かった、のか」

「そー、みたいデス……」

 航空支援を警戒して撤退してくれたのか、それとも別のなにかか。いずれにせよ、私と第一艦隊は命拾いをした。

 ああ、翼が飛んでいく。

 もう大丈夫だろう。浦風が私に駆け寄ってくるのが見える。彼女の損傷も命に別状ないようだ。テートクから頼まれた、哨戒任務はこれで終了。

 あとは帰って、テートクの作ってくれた朝食を頂くだけだ。

「第一艦隊――」

 少し疲れたのだろう、大きなため息が出てしまう。帰って少し休んで、それから――

「――これより、帰還、するデース……」

 そして、敵は夜明けと共に姿を消し――。

「――金剛、金剛姉さんッ、しっかりしぃ! 摩耶さん、手ぇ貸して!」

 私の意識は、闇へと飲み込まれた。

 

 

二.

 

「エヘヘ。一時期はどうなることかと思ったデース。テートク、慰めて下サーイ」

「……む」

 包帯を巻いた金剛は、オレの前でいつも通りに笑ってみせた。

 明らかに強がりであることは分かる。個人的にはよく帰って来たと褒めてやりたいが、彼女の求めるものをみんなの前で堂々とやるわけにもいかない。

 ハグからのキスだ。

 オレに抱きついて漫画のように唇を突き出しているからには、金剛が要求しているのは()()だろう。さすがにそれはよろしくない。

「テートクゥ」

「ええい、甘えた声を出すなっ」

「加賀がいなくて寂しいテートクぅ」

「――やかましい」

「最近ため息(Sigh)がちょっぴり増えてきたテートクぅ」

「人を人差し指でうりうりするんじゃない。誤解を招くだろうが」

「私はテートクとなら誤解されても問題ナッシンだけど」

「あらゆる意味で問題だらけだと言ってる」

 本当に落ち込んでるのか怪しくなってきたところで、横の電に助け船を求める。彼女も今回は派手に損傷を受けて帰って来たが、修復も早々にこの場に居合わせてくれている。

「電。今回の敵艦についての概要だが」

「なのです。敵旗艦はたぶん、先日データベースに登録されたばかりの『護衛棲水姫』と思われるのです。根拠になるところはいくつかありますけど、やっぱり……」

「あの抱えてたバカみてーにデカい艤装なのか大砲なのか、アレだろ。ったく」

 頬の絆創膏型高速修復パッチが痛々しい摩耶が、頬杖で言った。

「金剛さんの艤装、粉々でしたね。私も摩耶も直撃弾はもらっていませんが、戦艦棲姫の従えているような自立型艤装の一種でしょうか――もっとも、自分で動き回る様子はありませんでしたけど」

 帰投した第一艦隊の満身創痍ぶりを見なくとも、遭遇した敵がどれほどの強敵だったか資料上のデータだけで余りある。深海棲艦の『姫』や『鬼』級はどれをとっても規格外。そんなのに通常海域で偶発接触――というか一方的な奇襲を受けて、全員が沈まずに帰投できたことが奇跡に近い。航空支援が間に合っていなかったらと思うと肝が冷える。

「とにかく――」

 課題は山積みだったが、今できることは限られている。なにしろ、今回行われた戦闘が偶発的遭遇だとは思えなかったからだ。場所が場所――瀬戸内海という、比較的人類側の目が行き届いている海域だったこともあるが、それよりも――。

「取りあえず摩耶たちは第二次改装の事前準備があるだろ。ドックのほうへ夕張を回しておく。まずは戦力強化を優先して欲しい」

「おう。あんなのとまたやり合うんだったら、あたしらがもっと力付けておかないとな」

「それじゃ、行ってきます。行きましょ、摩耶」

「あ、こらちょっと待てよ鳥海っ」

「――で、金剛と電は少し残ってくれ。今回の哨戒任務についての話がしたい」

 オレの言葉に、金剛の雰囲気が少し変わる。

「テートク、はっきり言って欲しいことがありマス。ゆうべの出撃、私たちは囮デス?」

 真剣な眼差しだった。第一艦隊の旗艦として、()()()()()を預かる者として――そして人間と共に戦う艦娘として、譲れない一線について聞かせて欲しいという目だ。

 別に誤魔化すつもりはなかったが、仮にも提督としてはうろたえた様子を見せるわけにいかなかったという事情もある。それを含めて、正直に話すことにした。

「答えはNoだ。だが、ある程度危険を予測した上での出撃だったことは間違いない」

「――そうなのデス?」

「ああ。金剛にはもう話しておくべきだな。それを詳しく説明する前に、だ」

 おもむろに立ち上がり、執務室に併設されている小さなキッチンを指さす。

「朝メシ、食べてからにしよう。あまり器用でなくて申し訳ないが、少し待ってくれ」

「はぁあ……テートク……!」

 照れを隠し切れないオレの言葉に、金剛はふにゃりと笑った。

 

    ■    ■    ■

 

「五日後……8月15日に何が行われるか、知っているか」

 思いのほか上手くできた手製のサンドイッチ。自分で作った朝食を頬張りつつ、紅茶のポットを傾ける。金剛のティーカップに注がれる熱い液体の香りが鼻腔を撫でた。

「――私たちが使ってる火器管制、兵器運用、他にもたくさんある情報システムの切替え作業デス。日付が変わる0時頃から開始、だいたい二日間の予定だったはずデース」

「さすがに、ちゃんと秘書艦してるだけはあるな」

「当然ネ。もう半年も前から計画されてたものデスから」

「じゃあ、この日に恐らく大規模な反乱が計画されてると言ったら、どうだ」

「――本気で言ってるデス(Are you serious)?」

 オレは黙って紅茶を口に運び、それを答えにした。電があとを引き取る。

「三か月前に、御影提督さんから連絡があったのです」

「テートクを傷物にした彼ネ。私の前に出てきたらただじゃおかないデス――それで?」

「ん。ざっくり言うと、一年前の事件……あれの置き土産だ」

「置き土産デスか」

「なのです。あの事件で、深海棲艦の側にも()がいて、やり方によっては協力できるって()()()した人たちがいたのです」

「味方にできる、っていう勘違いネ」

 一年前のことだ。とある泊地を攻略対象とした作戦が実施された。

 言うまでもなく中心にならざるを得なかったのがオレたち泉浜鎮守府だが、戦術的勝利――もちろん、我が鎮守府にとっての――だけは収めたものの、元の作戦目的は未達成に終わっている。おかげで、上層部からの風当たりは少々強い。

 佐伯提督の置き土産が、一年経って問題になるというのも皮肉なものだ。

「――で、どうも〇四三(マルヨンサン)鎮のあたりがくさいと当たりを付けてだ、二ヶ月ほど前から信用できる一部の提督たちで網を張って内偵を進めてた」

「ひょっとして、加賀が呉鎮に行ったのも」

 我が生涯のパートナーである空母の名前を挙げて、金剛がはっとした顔を見せた。

「万一の場合に備えて、本部とのパイプも作っておきたい。それに、ひとりで艦隊ひとつ相手にできるのはウチの加賀ぐらいだ。戦力を分けておくことで、緊急事態への速やかな対処ができるようにしておいた」

「それでテートクのパフォーマンスが下がってたら、本末転倒ネ」

「ぐ」

 加賀は呉で活動することで、それなりに自分の存在をアピールしている。敢えて目立つ真似をしているのは、やはり呉鎮管轄の各基地に対する牽制もあるのだろう。

 ……まぁ、金剛の言う通り、独り寝は寂しい。

「それはともかく、加賀や御影から入った情報を元に割り出したのが、今回出撃した海域――あの辺りで、今回の首謀者が深海棲艦と接触する可能性がある、と」

「なるほど、それで哨戒なのデスね」

「そうなのです」

 それで第一艦隊が受けた襲撃も説明がつく。恐らくこちらの動きを察知して、偽情報を掴まされたのだろう。敵対者の数を減らし、同時に警告もする。効率的だ。

「金剛。黙っていたことについては済まない。人間側のごたごた――それも非常に危ういバランスを保たなくてはいけない情報だったことが理由だが、せめてお前には共有をしておくべきだったよ」

「問題ナッシン。私、こうしてテートク手作りの朝ご飯(Breakfast)を食べてマス。問題無いデース」

「ありがとう」

「それで司令官さん。次はどうするのですか」

 電が牛乳を飲み干して心配げに言った。

「正直なところ……相手の出方を見るしかないのが実情だな。なかなか尻尾を掴ませてはくれないし、昨夜の接触で向こうの動きも更に慎重さを増すだろう。味方を疑うってのは厄介に過ぎる。下手をしたら内輪で武力衝突になる。それだけは絶対に避けたい」

「決行に移す日が分かっているのはどうしてなのです?」

「今回導入される、新しい火器管制システムの()()()がその根拠だ」

 通常、艦娘たちの艤装は彼女たちの意思によって動作する。それを補助しているのが、艤装に組み込まれている火器管制システムだ。

 今までのシステムは、ごく初期に『最初の五人(オリジナル)』が人類側へ提供した簡易なシステムを徐々に発展させたもの。艤装とそれに宿った妖精、そして艦娘が揃って初めて深海棲艦と対等に渡り合える強さを発揮する。

 しかし、新たなシステムはソフトウェアの部分が大幅に強化されている。艦娘を介さずとも、人類側からの働きかけで補助的に艤装の動作に介入することが可能となる。

 言い換えれば、何かあれば管理側からストップが掛けられるようになるということだ。「システム的に強制停止を掛けられるから、もし艦娘を従えた部隊が反乱行動を起こしたとしても、バッサリ火器管制システムを止められて終わり。決起にならないだろ」

「――反乱、クーデターを起こすなら、旧式のシステムが動いてる時じゃないとダメってことデスね。つまり、今日を入れた五日間が勝負ってことネ」

「そうだ。この期を逃したら彼らに後はない。だから、きっと仕掛けてくる」

 事実、五日前にして彼らは邪魔者を排除しようと動いた。

「慎重になるから大規模に動けないのは分かりマス。でも(But)、私たちの味方は?」

「一応、呉の本部にも情報は上げているが……上が堂々と動くには、情報が少なすぎる。桂の鎮守府や、御影……それに、信頼の置ける何人かには協力の約束を取り付けてある」

「……味方のひと同士で、戦うのですか」

「必要なら()()。だから今は、全力で衝突を回避するために動くしかない」

 ひとが物事をどう考えるかは、変えることができない。戦争を止めるために深海棲艦と対話をし、手を取り合う道を模索するべきだという声を封じることはできない。

 まして、それが実際に命のやり取りをする現場から出る声ならなおさら。

「――問題なのは、恐らく彼らの得ている情報に、誤りや操作されたものが多く含まれているだろう、ということだ。ひょっとしたら、殆どが第三者の意図で吹き込まれた嘘かも知れない。だから、ギリギリまで彼らを止めることを諦めるわけにはいかないんだ」

「あの、司令官さん。深海棲艦がそんなことをするのです?」

「深海棲艦の側に()()やそれに類する人類がいないとは限らない。それに、混乱に乗じて権力の拡大を狙う頭のいいバカが隊の中にもいるかも知れない」

「ううん……悩ましいデス」

 説明を一通り終えたところで、オレはひとつ大きな息を吐いた。

「と、いうわけでだ。これからの泉浜鎮守府、行動する基本方針を伝える」

 龍田がいれば一緒に聞いてもらいたいところだが、あいにく今日は呉に出張っている。

「まず、戦力強化について。摩耶と鳥海を第二次改装に回すと言ってるが――」

「ね、テートク。私はいつ改二になれるノ?」

「これから説明するところだ。話を遮るな」

「エヘヘ、ごめんなさい(Execuse me.)

「金剛。お前と、摩耶と鳥海を含め、第二次改装は実施しない」

「ど、ドーシテ!?」

「練度、素行に問題あり。試験での改二艤装との適合度も低く、限られた改装リソースを消費するに値せず――というのが、()()()の話だ」

「表向きって、どういうことなのですか」

「夕張の発案だ。金剛、摩耶、鳥海の第二次改装は、今回のシステム改修に合わせる形で直前に実施することにした。システム移行に問題があった時の保険として、旧ファームのままで隔離しておく。これは、決起組の情報が入る前からの計画だが――」

 上層部が雇ったエンジニアがポンコツで、システムの移行で問題が出る可能性がある。そうなったときに戦える艦娘を確保しておくのが狙いだ。移行でなにもなければしれっと新システムに載せ替えればよし。わずかな間、新旧バージョンが混在するだけだ。

 なにしろ本邦では、巨大な情報システムを新バージョンに移行させるという事業の際にあまり喜ばしくない評価が付くことが非常に多い。縛りの多い旧バッチシステムを一新し自由度の高いオープン系に置き換えようとして失敗、会社が火だるまになった例もある。

「ウチはもう、連中に目を付けられてる。決起に備えていると見られて事前にあれこれとちょっかいを出されるのも面白くないし面倒だ。だから、戦力強化なんてしてませんよ、という(てい)で当日を迎えることにする」

 効果があるかどうかは別として、可能な限りこちらの手の内を見せないように。加賀というジョーカーを分かりやすい場所にオープンしてある以上、注意はそちらに引きつけておく必要がある。少なくともその点、加賀はよくやってくれている。

「テートク、私が改装を受けられるのは分かりました。比叡たちは?」

「ああ、心配するな。第二次改装は金剛型姉妹、全員で受けてもらう。摩耶たち同様に、今回のシステム移行に合わせる形だったんだ」

「ワオ、そーでしたか。姉妹一緒にだなんて、とっても楽しみデース」

「金剛さん、よかったのです」

「電、ありがとうございマース。イエーイ!」

 テンション高く電とハイタッチを決める金剛。待たせてしまった結果とは言え、あまり浮かれてもらっても困るのだが――今回はよしとしよう。

「さて、ふたつめ。鎮守府運営に関する話だが」

「誰か人が増えたりするのデスか?」

「副司令の手配は進めているが、まだこれという人材が出てきていない。それはおいおい進めるとして――電。お前はしばらく秘書艦や遠征ローテーションから外す」

「なにか、特別な任務があるのですか」

「ああ。ここ数週間、天龍と龍田が鎮守府をよく空けているのは気付いていると思うが」

「そういえば、最近ずっと遠征札がついてマス」

「あいつらは『ふせまちづき』で近海を哨戒してるんだ――まぁ、漁船を装うために基本夜間にしか回ってないし、本当に漁もしてるから効率は悪いんだが。ウチの漁獲量がここ数ヶ月増えてるのはそれが理由」

「ホントに漁をやってるデス!?」

 我が泉浜鎮守府所有の哨戒艇・ふせまちづき。十人乗りの小さな船舶だが、対潜網敷設能力を持っており使い勝手がいい。おまけにF装備に換装すれば漁もできる。

 本部から秋刀魚漁をやれと言われる前から、独自に経済活動を行うべく漁に出ている。水産庁に正式な届けを出した上で、近隣漁協にも話を通して許可を得た正式な漁船だ。

「おかげで加工場がパンクしそうになってる。今度施設拡張してみるか」

「ますます鎮守府がなんの施設なのか分からなくなってきたデース……じゃなくて、電も漁師にジョブチェンジ、ナノ?」

「漁師じゃない、哨戒任務。目的は今回の出撃と同じ。深海棲艦と反乱分子の逢い引きを邪魔するか、それが無理なら現場を押さえること」

「他人の恋愛邪魔するヒトは、馬に蹴られてヴァルハラ行きと決まってるデス」

 金剛の混ぜっ返しはスルーしつつ。

「――というわけで、電。今夜から龍田の指示で動いてくれ」

「了解したのです」

 とは言っても、こちら側が洋上を警戒していることが公然となった以上、相手も出方を変えて来ることは容易に想像できる。今後はますます尻尾が掴めなくなるだろう。

 しかし、鎮守府は独立愚連隊ではない。

 船を護り、海を護り、ひとを護る。

 対特殊海棲生物海上護衛隊としては、普段の職務を疎かにするわけにはいかないのだ。

「ま、そこは好き勝手動けるヤツや、みんなで少しずつカバーするしかないんだよな」

「なんのお話デス?」

「公務員は辛いってお話だ」

「安定していてとっても素敵だと思うデス」

「安定と停滞は紙一重だ」

 と、その時内線が静かに鳴った。

「こちら執務室。真田だ」

『お世話になっております。安心と信頼のメロン印、夕張重工で~す』

「セールスは間に合ってます」

『あ、ちょっ……切らないで下さいよぉ!』

 誰かと思えば、我が鎮守府の武器装備開発主任である夕張だ。ここ最近、明石と工房に籠もりきり。明石は余所の所属艦娘のくせにすっかり入り浸っている。

 予想される不測の事態に備えた装備開発と言えば聞こえはいいが、要は自分のやりたいことを時流に乗ってやっているだけとも言う。

 とは言え、彼女たちの力なくして今回の事態を乗り切ることは難しい。

()()()のロールアウトは間に合いそうか」

 最終調整中の加賀用特殊艤装がある。初春型などに採用されている自律行動式の主砲をアレンジした、攻防ともに兼ねる超画期的な装備。陽炎型のアーム式や従来の各部ハードポイントマウント式などの試作を経て、ようやく実用化したものだ。

 果たしてこれを使うタイミングが、これから五日の間にやってくるだろうか。

『四日、いや五日下さい! もう少しだけ甲板のコーティングを工夫したくて!』

「そこは蒼〇三の使用で決着したろ。ペイロードは増やせないし、防弾・防爆性能はもういっぱいいっぱい――」

『着艦がしにくいって艦載機妖精から苦情がちょー出てるんです。これ、加賀さんも気にしますよ、きっと』

「――加賀は錦の御旗じゃないぞ」

『実際に使う艦娘から()()()()()()意見を尊重しないおつもりですか。それならそれで、私にも考えというものが――」

 いかん。長くなりそうだ。別に、夕張の意見に異議があるわけではない。彼女が欲しいのは『やれ』のひと言なのだから、互いに最も貴重なリソースを消費するべきではない。

 そう、時間だ。

「三日。それ以上は待たない。金剛たちの改装もあるし、お前の手がずっと塞がった状態にはしときたくないからな」

『――了解しました。納期短いぶん、予算、回して下さいね?』

「向こう半年の新開発予算、前借りってことで」

 受話器の向こうから聞こえる悲鳴から逃れるように、内線電話を置く。残された時間は少ない。こちらにとっても、相手にとっても。

「金剛。最後に最も重要な方針について伝える」

「なにについてなのデス?」

「護衛棲水鬼について」

「――それは」

 瞬間、金剛の表情が曇る。

「今回、こちらはヤツに手痛くやられた。近隣の海域をあんなのがウロついてて平気ではいられない――それは、オレも同じだ」

「ハイ……」

「だが、こちらには武器がある。8月15日という期限――()()だ」

 各種システム更改が実施される日まで守り切れば、少なくとも味方の反乱という対処の難しい問題は当面心配しなくて済む。深海棲艦とどういう連携をしようと考えているのか知らないが、敵対艦娘と深海棲艦を同時に相手するのは困難だ。

「哨戒により反乱行為をさせないようにし、深海棲艦と反乱分子の接触を邪魔する。今はこれを主目的に動きたい。だから」

「――護衛棲水鬼を追い回すのはナッシン、ってことデショ」

「そうだ。追撃・討伐任務を命じたいのはやまやまだが」

 目的を対象の撃沈に据えるのと、広範囲の哨戒では全く話が違ってくる。装備や編成、艦隊の派遣海域、なにもかも。いま目的を分散するのは、正直避けたい。

 なにより、一撃で艤装を半分ねじ切って行くようなヤツらと中途半端な状態で戦って、艦娘を沈めるようなことになったら、死んでも死にきれない。

「もし海上で遭遇しても、戦闘は可能な限り避けろ。増援を呼んで撤退させれば――」

 そこまで言ったところで、金剛の瞳に射貫かれた。

「テートク」

 その顔が余りに真剣だったので、オレは下手な口を一度閉じた。

「大丈夫デス。私、自分がやるべきことは分かってるネ。いま大切(Important)仕事(Task)は、なんとか海を平和に出来ないか考えて、変な道へ挑戦(Challenge)してしまったひとを止めることデス」

「――ああ」

 きっと、悪意だけではない。いまのやり方では海を、世界を救えないと思ってしまった連中がいる。だからと言って、味方同士でやり合うなんて間違っている。

「だから、私たちがいま出来ることをするのデス。そのためなら私、殴られたことなんてちっとも気にしないネ」

「すまない」

「謝らないでヨ、テートク。その代わり」

「代わり?」

「落ち着いたら、私とデートしてネ――あ、もちろん加賀の許可(OK)をもらってからだから、心配ナッシン、大丈夫デース」

「いったい今のどこに大丈夫な要素があったのか分からんが――前向きに検討しよう」

「ワオ!」

 本心はどうあれ、こうして方針に従う旨を口にしてくれたのだから良しとしなくては。

 さて、鎮守府内の意思統一はできた。あとは、連中の決起が可能な五日間を、なんとか乗り切らなくては。決起には実行部隊が要る。仮にも軍事組織が部隊を動かすのだから、まったく気配を見せないことは難しいはず。どこかで尻尾を掴まなくては。

「金剛、電。今日を入れてあと五日だ。気を引き締めて任務に就いてくれ。オレも全力で()を回してみる。まだまだやれることはあるはずだ」

「了解ネ!」

「哨戒任務、了解なのです!」

 外へ出て行くふたりの背中を見送って、執務室で腰を下ろす。思わず漏れそうになったため息をかみ殺して、数秒だけ目を閉じた。

 加賀も戦っている。手元の広報誌に一瞬目を落として、それからオレは、提督としての戦いに戻ることにした。

 

    ■    ■    ■

 

「――×××××××……!」

 ひとには聞かせられない暴言を小さく呟いて、私は廊下を歩き出した。

 電と別れたあとだから言えた。そうでなければ、堂々とテートクに見得を切った手前、格好が付かない。まぁ、彼女なら聞かない振りくらいしてくれそうだったが。

 ああは言ったけど、腹が煮えくりかえっているのは事実。護衛棲水鬼(ヤツ)にも、自分にも。

 ただの哨戒任務ではなかった。視界の効かない夜だった。味方が傷付いていた。

 言い訳はいくらでも言える。でも、なにも出来なかった――それだけが事実だ。味方の艦載機が来てくれなかったらいまごろ全滅して海の底にいただろう。

(いつかリベンジするネ。あの生意気な顔を吹っ飛ばしてやりマス)

 あの悔しさを忘れることは、簡単にはできない。必ずいつか、仕返しを。

(アラ?)

 と、考えていて気付く。

(助けに来てくれた艦載機、誰のだったデス……?)

 しばらく浮かんだ疑問とにらめっこをしていた私だったが。

(――赤城。確か、赤城。多分(Maybe)

 おぼろげな記憶との戦いに飽きて、勝手にそう決めつけた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。