伝説の英雄   作:奥歯

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魔獣

ルフィたちは小舟に揺られながら海を渡る。海に揺られながらリクはまた歌を歌っていた。

 

「昨日のことも 明日のことも ちょっと待って 口笛になる」

 

その歌に合わせてウタも歌い始める。

 

「走ってみても 歩いても 同じ場所には 辿り着くけど 走り出さなくちゃ 変わらない」

 

「「君を 連れて行こう 争いのない 未来まで 君と 過ごした思い出を アルバムに残して 僕は....」」

 

 

「「君を連れて行こう 悲しみのない未来まで 君が くれた笑顔だけ ポケットにしまって 僕は 僕は 青空に なる」」

 

リクとウタは気持ちよく歌っていると間奏に入った。リクは鼻歌を歌いながら空を眺める。ウタはその鼻歌に目を瞑って静かに耳を傾ける。そして間奏が終わるとまた歌い始めた。

 

「「君を 連れて行こう 争いのない 未来まで 君と 過ごした 思い出を アルバムに残して 僕は 僕は 青空に なる」」

 

歌い終わったリクとウタは大きく深呼吸をして息を吐いた。

 

「はースッキリした!」

 

「素敵な歌ですね」

 

「ありがと」

 

素直に素敵な歌だと感想を述べるコビーにリクも素直にありがとうと言った。

 

「それにしても、ルフィさんがゴムゴムの実を食べた能力者だっただなんて...」

 

「実は私もなんだ!」

 

「え!?ウタさんもですか!?」

 

「うん!ウタウタの実を食べた歌人間!」

 

「そうだったんですか。じゃあリクさんも?」

 

「いや、俺は違うよ。普通の人間。ただ能力者の二人よりも弱いわけじゃないからね。なんなら俺が一番強いかも。何故なら俺には1999の技を待ってるからね」

 

「1999!?そんなに沢山...」

 

コビーは1999個の技を持っていると豪語するリクに驚く。するとウタが張り合うように立ち上がった。

 

「それはないそれはない!絶対私が一番強いし!」

 

「何言ってんだ!俺が一番強えだろ!」

 

「でもルフィ私の勝負で勝ったことないじゃん」

 

「それはオメェがズルするからだろが!」

 

「でた負け惜しみ〜!」

 

「そんなこと言うならウタ。勝負する時何度もズルしてるけど一度も俺に勝ったことないじゃん」

 

「それはリクが私の弟だから手加減してるだけ!」

 

「負け惜しみ〜」

 

「負け惜しみじゃない!」

 

痴話喧嘩を始める3人にコビーは苦笑いを浮かべて見ていた。

 

「仲良いんですね。3人とも...っていうか兄弟だったんですか?」

 

さっきの会話の中でウタがリクに私の弟と言っていたのを見てコビーは疑問を投げかける。

 

「うん。私とリクは同じ船に乗っててね。私が一歳の頃から一緒にいるの」

 

「ルフィは血は繋がってないけど、っていうか俺もウタも血は繋がってないんだけどね」

 

「義兄弟なんですか」

 

「「「うん」」」

 

3人は同時に頷く。義兄弟だったとしても、本当の兄弟のように仲の良さそうな3人にコビーは微笑ましかった。

 

●●●

 

コビーの航海術により次の島へと辿り着いたルフィ一行は初めての新しい島に大興奮だった。

 

「ここは、海軍基地の島か」

 

「はい。ここは、あの"魔獣"と呼ばれている海賊狩り、ロロノア・ゾロという男が捕まっている場所です」

 

「ロロノア?」

 

「ゾロ?」

 

「それはとても恐ろしいやつでして。なんでも血に飢えた野犬のように賞金首をかぎまわり海をさすらう男だと、人の姿を借りた魔獣だと人はいいます」

 

「ふーん。まあ取り敢えず先ずは腹ごしらえだ!」

 

そう言ってルフィたちは近くにあった"FOOD FOO"という店で腹ごしらえをすることとなった。十分に腹を満たした四人はこれからのことについて話し始める。

 

「じゃあここでコビーとはお別れだね」

 

「次会った時は敵同士だけど。立派な海兵になれるように頑張ってね!」

 

「はい....!ありがとうございます!みなさんも立派な海賊になってください!」

 

コビーは涙を流しながら感謝の気持ちを伝える。そんな中でルフィはとあることを言った。

 

「そういや基地にいるのかな?あの、ゾロって奴」

 

ルフィがゾロという名前を出した瞬間、店の中にいた人たちがまるで怪物に怯えるようにルフィたちから飛ぶように後ずさる。

 

「ここではゾロの名は禁句のようですね」

 

「ふーん」

 

どうやらこの街の人々はゾロという男に相当怯えているらしい。取り敢えずゾロの話はやめてコビーは話題を変えた。

 

「さっき張り紙を見たんですけど。ここの基地には"モーガン大佐"という人がいて...」

 

コビーが言ったモーガン大佐という名前が出た途端またさっきと同じように店の人たちはルフィ達から飛ぶように後ずさった。

 

●●●

 

「はっはっはっは!面白い店だったなーっ!後でもっかい行こっ」

 

「妙ですよ...!僕なんだか不安になってきました....!」

 

「そんなに怖いのかな?そのモーガンって人」

 

「どうだろう?あんな怯えた姿、何か訳がありそうだけど...」

 

リクが考え方をしている間に、海軍基地に到着した。そこには大きな要塞があり目の前には海軍と書かれた鉄の門がある。

 

「すごい立派だなぁ」

 

「お城みたい」

 

「いけよ!コビー!」

 

「で、でもまだ、その....心の準備が....さっきの一件もありますし...」

 

どうやらコビーはさっきの街の人たちの反応を見て怖気付いてしまったようだ。そんな中でルフィは海軍基地の塀をよじ登り中の様子を見始めた。

 

「魔獣はいるかなぁ?」

 

「なんか見えたルフィ?」

 

「覗いて見えるような所にはいませんよ。きっと奥の独房とか」

 

「いや!なんかいるぞ向こうに!ゾロってやつかも」

 

ルフィがよじ登った塀の先に誰かいたらしく。ルフィはもっと見えやすいところに移動した。リクたちもルフィの後ろを追う。見えやすい位置に来たのかルフィは塀をよじ登り、リクたちも続けて塀をよじ登る。そしてリクたちは十字架に縄で磔にされているあの海賊狩りと呼ばれるロロノア・ゾロの姿を見た。黒い手拭いを頭に巻き付け、腹巻きをした男。その目つきは魔獣と呼ばれても不思議ではない目つきをしていた。

 

「あれがゾロって人か、噂通り怖そうだね」

 

「うん。絶対強いよ。なんか今にも死にそうだけど」

 

リクとウタがゾロの姿を見る。リクはゾロの姿を見てかなり強いことを確信した。そしてコビーもそのゾロを見た瞬間その目つきに怖気つき、塀から落ちてしまう。

 

「く、く、黒い手拭いに腹巻き!ほ、本物だ!本物のロロノア・ゾロです!!なんで迫力だろう!あれがゾロ...!」

 

「あれがそうか...あの縄ほどけば簡単に逃がせるよなあれじゃあ」

 

「仲間にする気なのルフィ?」

 

「いんや、まだ決めてねぇ」

 

ウタはルフィに問うが、ルフィはまだ決めかねていた。

 

「まだどういう人間か決まったわけじゃないしね。無闇やたらに仲間にしてたらこっちが危ないし」

 

そんなことを言っていると向こうからゾロがこちらに気付いたのか、話しかけてきた。

 

「おいお前ら。ちょっとこっちきてこの縄、ほどいてくれねぇか?もう九日間もこのままだ。流石にくたばりそうだぜ」

 

どうやら九日間ずっとこの状態らしく、確かに見るからに弱って見えた。

 

「やっぱり、死にかけてるんだ」

 

「どうするルフィ?」

 

「礼ならするぜ。その辺の賞金首ぶっ殺してテメェらにくれてやる。嘘は言わねぇ、約束する」

 

ゾロの提案にルフィは少し考えていた。するとコビーの隣にハシゴが置かれる。みんなそっちの方に見ると一人の少女が塀をよじ登り、海軍基地の中に入っていった。

 

「ちょっと、危ないよ」

 

「何しにいくんだろ?」

 

少女はリクの忠告を聞かず、コソコソとゾロの方に近づいていく。ゾロは少女に気が付く。

 

「おい、何だテメェ?殺されてぇのか?消えなチビ」

 

「あのね。おにぎり作ってきたの!お兄ちゃんずっとこのままでお腹すいてるでしょ?私初めてだけど一生懸命作ったから...」

 

どうやら少女はゾロのためにおにぎりを作ってきたようだ。しかしゾロはその少女の気持ちを怒鳴りながら断る。

 

「腹なんか減っちゃいねぇ!そいつ持ってとっとと消えろ!」

 

「だけど....」

 

「いらねぇっつったろ!帰れ!踏み殺すぞガキ!」

 

頑なに帰ろうとしない少女に怒鳴って帰らせようとするゾロだが、その時、フェンスの扉が開き向こうからおかっぱ頭の男とその後ろに海兵の二人が来るのが見えた。ゾロも少女もその方向に振り向く。

 

「ロロノア・ゾロォ!イジメはいかんねぇ。親父に言うぞ」

 

「また変なのがきたな」

 

「ケツアゴおかっぱだ」

 

「いかにも嫌な奴って感じだね」

 

「あれはきっと海軍の偉い人ですよ。よかったあの子殺されなくて...」

 

ゾロはそのおかっぱの男を見るなり嫌な顔をし、舌打ちをする。

 

「チッ、七光のバカ息子が...」

 

「バカ?から調子に乗るなよ。俺の親父はかのモーガン大佐だぞ!」

 

どうやらこの男はあの街の人々になぜか恐れられているモーガンの息子らしい。名前はヘルメッポ。ヘルメッポは少女に気付き近づいていく。

 

「おやおやお嬢ちゃん。美味しそうなおにぎり持って差し入れかい?」

 

「あ!ダメ!」

 

ヘルメッポは少女のおにぎりを無理やり取って食べる。するとその瞬間ヘルメッポは思いっきり吐き出した。

 

「ぷヘェっ!まずうっ!く、くそ甘ぇ!砂糖が入ってんぞこりゃ!塩だろうが普通!おにぎりには塩!」

 

どうやら少女が作ったおにぎりには砂糖が大量に入っていたらしい。吐き出してしまうほど不味いのなら相当なのだろう。

 

「だ、だって甘い方が美味しいと思って...」

 

「こんなもん食えるかボケ!」

 

ヘルメッポは少女が一生懸命作ったおにぎりを地面に叩きつけて踏みつける。

 

「ああっ!やめてよ!やめて!!食べられなくなっちゃう!」

 

「ひ、ひどい。あの子がせっかく作ったのに...!」

 

リクはヘルメッポの行動にかなり嫌な顔をした。ウタも同様である。

 

「大丈夫!アリならなんとか食ってくれるさ。ひえっひえっひえっ」

 

「酷いよ...私、一生懸命作ったのに...!」

 

少女は涙目になって今にも泣きそうになっていた。ヘルメッポはそれを見てめんどくさそうな顔をする。

 

「あ〜あ〜泣くな泣くな!だからガキは嫌いだぜ。悪いのはお前なんだぞ?ここになんて書いてあるか読めねぇのか?『罪人に肩を入れし者、同罪とみなす』"海軍大佐モーガン"。俺の親父の怖さくらいは知ってるよな?テメェが大人なら死刑ってとこだ!」

 

ヘルメッポは看板に書かれていることを読み上げながら少女に説明をする。少女は怯えながら涙を流していた。そしてヘルメッポは後ろにいた海兵に命令する。

 

「おい!このガキ投げ捨てろ」

 

「....は?」

 

「塀の外へ投げ飛ばせっつってんだよ!俺の命令が聞けねぇのか!親父に言うぞ!」

 

「は、はい只今!」

 

少女は塀のところに連れていかれ、そのまま海兵に投げ捨てられた。塀の外に来た少女をリクは片手でキャッチする。

 

「よっと、大丈夫?」

 

「あ、ありがと...」

 

リクは少女をゆっくり降ろし、安否を確認する。幸いどこも怪我をしていないようだ。

 

「ほんと最低だよねあいつ!」

 

「俺もそう思うよ。モーガン大佐の息子みたいだし」

 

しばらくするとヘルメッポはその場から立ち去り、それを見計らってルフィたちは塀を越えて中に入る。

 

「なんだテメェら。まだいたのか。ボーッとしてると親父に言いつけられるぜ」

 

「まぁね。俺たち今、一緒に海賊になる仲間を探してるんだ」

 

「海賊だと?」

 

「そ。私たち兄弟で海賊やってるんだ!」

 

「まだ船も海賊旗もないけどね」

 

「ハンッ!兄弟仲良く悪党に成り下がろうとはご苦労なこって...」

 

「俺たちの意志だ!海賊になりたくて何が悪い!」

 

ゾロはルフィたちに悪態を吐く。ルフィは睨みつけるように自分たちで選んだことだと、強く主張した。

 

「で?まさか縄をほどいてやるから力を貸せだの言い出すんじゃねぇだろうな?」

 

「別にまだ誘うつもりはねぇよ。お前悪い奴だって評判だからな」

 

「悪いやつね....言っとくが、そんな条件こっちから願い下げだ。俺にはやりてぇことがあるんだ」

 

「やりたいこと?なんなの?」

 

ゾロのやりたいこととは何かウタは何をやりたいのか聞く。

 

「一ヶ月ここに生きたまま突っ立ってりゃ助けてやるとあのバカ息子が約束してくれた。何がなんでも生き延びて、俺は俺のやりたいことをやる!」

 

「でも何か口に入れないと。水ならあるけど」

 

「いらねぇ。それはテメェが飲め」

 

リクは水筒を取り出しゾロに飲ませようとするが、ゾロはそれを拒否する。ゾロの意思は相当固いものだと感じた。リクは仲間にするとは決まっていないが、するとしたら難しいだろうと思った。

 

「ふーんそうか。でも俺なら一週間で餓死する自信あるけどな」

 

「私一週間も持たないかも。リクはどう?」

 

「うーん。一ヶ月か....ギリギリいけるかも」

 

「本当に?」

 

「多分.....」

 

リクとウタは気の抜けた会話をする。ゾロは少々呆れるも、取り敢えずルフィたちを追い払うことにした。

 

「俺とお前らじゃ気力が違うんだ。もの好きな仲間探しは他をあたるんだな」

 

それを最後にルフィたちはこの場から立ち去ろうとした。しかしゾロはルフィたちを呼び止める。

 

「おい!ちょっと待て。それとってくれねぇか」

 

ルフィたちは振り返るとゾロはルフィにとあるお願いをする。ゾロはヘルメッポが踏みつけた泥だらけになったおにぎりの方を見る。ルフィはそのおにぎりを拾う。

 

「食うのかよこれ?もうおにぎりじゃなくて泥の塊だぞ?いくら腹減っててもこりゃあ...」

 

「ガタガタぬかすな。黙って食わせろ。落ちてんの全部だ」

 

ゾロは、口を大きく開けてそのおにぎりを食おうとする。ルフィはそのおにぎりをゾロの口に放り投げるとゾロはおにぎりを吐きそうになりながらしっかりと噛んで飲み込んだ。

 

「だから言ったろ。死にてぇのか?」

 

「ゴブッ....!あ、あのガキに伝えてくれねぇか......!『美味かった。ご馳走様でした。』ってよ」

 

ゾロのその言葉にルフィとウタとリクは笑顔になった。

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