伝説の英雄   作:奥歯

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嘘人

リクたちが珍獣島から出てしばらくしたころ。ナミははっきりと答えた。

 

「無謀だわ」

 

「何が?」

 

「このまま偉大なる航路(グランドライン)を通るのは無謀ってことだよ」

 

無謀の意味がわかっていないルフィにリクは簡単に説明する。ルフィもそれを聞いて確かにこの状態ではダメなことはわかっていた。

 

「確かにな。この前たわしのおっさんから果物いっぱい貰ったけど、やっぱ肉がないとな」

 

「食糧のこと言ったんじゃないわよ!」

 

「私も最近パンケーキ食べられてないしなぁ、ねぇリクまた作ってくれない?」

 

「食べ物の話じゃないし、材料ないし、船の話してるんだけど」

 

「このまま酒が飲めねぇとのもなんかツレェしな」

 

「飲食から頭を離せ!」

 

食べ物のことしか頭にない3人にナミは怒鳴るが、仕切り直してルフィたちに説明をした。

 

「私たちの向かっている偉大なる航路(グランドライン)は世界で最も危険な場所なのよ」

 

「それにワンピースを狙う海賊は俺たちだけじゃない。強力な敵も沢山いるんだ。そういう海賊は当然船も強力だろ?」

 

「船員の頭数にしても、この船の装備の無さにしても、とても無事とは思えないわ」

 

「で?何すんだ?」

 

「まずは準備。しっかりした海賊らしい船を手に入れないとね」

 

「ここから少し南に行けば村があるわ。ひとまずそこへ」

 

「肉を食うぞ!」

 

「パンケーキ!」

 

まだ食べ物のことしか頭にないルフィとウタに、リクとナミはツッコむのをやめた。

 

●●●

 

「あったなー本当に大陸が」

 

「何言ってんの?当たり前でしょ。地図の通り進んだんだから」

 

「ナミを仲間にして正解だった」

 

「おう!正解だ!」

 

「それはどうかな...」

 

やはりナミを仲間にして正解だったと喜ぶルフィだったが、ウタはまだ不満な様子だった。リクはなんとか仲良くできないものかと考える。このままの仲だったら、海賊として成り立っていけるのか難しいところだ。

 

「きっかけが必要だよね...」

 

「何か言ったリク?」

 

「いや、なんでもない」

 

ボソッと呟いたリクの言葉が聞こえたのか聞き返してくるウタだったが、リクは適当にはぐらかした。その時、ゾロが崖の上に誰かがいることに気がつき、全員に伝えた。

 

「ところでさっきから気になってたんだが、あいつらなんだ?」

 

ゾロが指を差す方向には全員振り向くと4人の人影が見えた。その人影のうち3人は風の如く逃げ去り、一人だけ取り残されてしまった。その鼻の長い男は冷や汗をかきながらリクたちを見る。そして意を決したのか、こちらに近づいていき、堂々と胸を張って声を上げた。

 

「俺はこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ!人々は俺を称え!さらに称え!"我が船長"キャプテン・ウソップの呼ぶ!!この村を攻めようと考えているならやめておけ!この俺の8000万の部下が黙っちゃいないからだ!」

 

ウソップは堂々と8000万の部下がいると言い張るが、気配もしない上に8000万もいるほどの大きな島には見えない。すぐに嘘だということがわかった。

 

「8000万人もいるほど大きな島には見えないけど...」

 

「もうちょっとマシな嘘とかあるんじゃない?」

 

「ゲッ!バレた!」

 

「ほらバレたって言った」

 

「バレたって言っちまったーー!おのれ策士め!」

 

リクとウタに嘘だと見抜かれたウソップはものすごく焦り、さらに墓穴を掘ってしまう。そんなウソップを見て、ルフィは大笑いした。

 

「はっはっはっ!お前面白ぇー!」

 

「おい、テメェ!俺をコケにすんな!俺は誇り高き男なんだ!その誇りの高さ故人が俺を"ホコリのウソップ"と呼ぶほどにな!」

 

「「「「へー」」」」

 

「リアクション薄いなお前らぁ!!」

 

自信満々に自分は誇り高き男だと自負するウソップだったが、リクたちはあまり興味を示さなかった。

 

●●●

 

それからなんやかんやあってリクたちはウソップに連れられて昼食を食べていた。

 

「何!?仲間を!?仲間とでかい船か!」

 

「ああそうなんだ」

 

「はーーっ!そりゃ大冒険だな!」

 

ルフィは肉をガツガツ食べならがウソップに海賊をやっていることを話す。ウソップも興味津々に聞いていた。するとウソップはとあることを話し始めた。

 

「まぁ大帆船ってわけにゃいかねぇが、船があるとすりゃこの村で持ってんのはあそこしかねぇな」

 

「あそこって?」

 

ナミがそう聞き返すとウソップは話し始めた。その船とは、この村には大富豪の屋敷が一軒あり、そこにいる主が持っているらしい。と言っても、その主はまだ年端もいかない少女で、病弱で寝たきりらしい。一年ほど前に病気で両親を失ってしまい、残されたのは莫大な遺産と屋敷と、数十人の執事たちだけとのことだ。それを聞いたナミは少し感慨深い顔をする。ウタはそんなナミの顔を見て、妙な気分になった。

 

「やめ!この村で船のことは諦めましょ。また別の町から村をあたればいいわ」

 

「そうだな!急ぐ旅でもねぇし!肉食ったし!いっぱい買い込んでいこう!」

 

リクも家族を失った少女に船をくれだなんて失礼なことはしない。ここは諦めて、他をあたるべきだと、ナミに賛成する。ウタとゾロも賛成らしい。そんな時、ウソップはリクたちに一つ提案を持ちかけた。

 

「ところでお前ら。仲間を探してると言ったな」

 

「まぁそうだけど、誰かいるの?」

 

ウタが聞き返すと、ウソップは自信満々に自分に指を差した。

 

「俺が船長になってもいいぜ!」

 

「「「「「ごめんなさい」」」」」

 

「はぇなおい!」

 

ウソップ自らが船長になれば仲間になると言ったが、そんな器の大きな男にはには見えないウソップにリクたちは丁重に断った。

 

●●●

 

しばらくの間。リクたちはこの場でのんびりとお茶を飲みながら今後のことについて話していた。

 

「この場所じゃ船は貰えないから...次の島ってどのあたりにあるの?」

 

「それならあの島なら...」

 

ナミが言いかけた時、店の扉が勢いよく開かれる。驚いたリクたちは扉の方を見た。

 

「「「ウソップ海賊団参上!」」」

 

「何あれ...」

 

「さー、なんだろうな」

 

「海賊ごっこじゃない?」

 

「あー懐かしいね」

 

そこには三人の子供がオモチャの武器を持っている。海賊ごっこで入ってきたのかと思った。子供の頃にルフィたちと一緒に海賊ごっこを楽しんでいた時を思い出す。そういう類だと思っていたが、そうゆう風には見えず、リクたちの前に来た。

 

「おい、キャプテンがいないぞ...!」

 

「まさか、やられちゃったのかな...!」

 

さっきからリクたちに警戒しながら喋る3人の子供。別にウソップに何かしたわけではないが、海賊だから当然の反応かなとは思った。少年たちはリクたちに怖がりながらも、それを誤魔化すために声をあげる。

 

「お、おい海賊たち!」

 

「我らがキャプテン・ウソップをどこへやった!」

 

「キャプテンを返せ!」

 

そんな声にビビることもなく黙って見つめるリクたち。そんな中でルフィはお茶を飲み終わると、大きく息を吐いた。

 

「はーー!うまかった!肉!」

 

「え、肉って...!」

 

「まさかキャプテンが...!」

 

少年たちはまさかウソップはリクたちに食べられたのではないかと勘違いする。なんとも微笑ましい勘違いにウタとナミは少し吹き出す。動揺しまくる少年たちにゾロはからかいを入れた。

 

「お前らのキャプテンならな、さっき...」

 

「な、なんだ!何をした...!」

 

「喰っちまった」

 

「「「ぎいやああああ!鬼ババァーー!!」」」

 

「なんで私を見てんのよ!」

 

ゾロのからかいに少年たち何故かナミを見ながらビビり散らかし、泡を吹いて倒れた。それがおかしかったのか、ウタは腹を抱えて笑い転げてしまう。このままではいけないと、リクは泡を吹いて倒れている少年たちを起こす。起きた少年たちは最初はビビり散らかしたものの、すぐに敵ではないことを教える。敵でないとわかると、少年たち徐々に落ち着きを取り戻した。この3人の少年の名前は右から、にんじん、ピーマン、たまねぎと言う。

 

「時間?」

 

「うん。そう言ってさっき出て行ったよ」

 

「あ、そうか。キャプテン時間だったんだ」

 

「屋敷って、病弱そうな女の子がいるっていう?」

 

どうやらウソップは病弱なカヤという名の少女がいる屋敷に行ったらしい。理由はというと、嘘をつきにだ。ウソップは屋敷のカヤに嘘をつきに行ったのだ。リクたちはなぜ嘘をつきに行ったのか、理解できなかったが少年たちはその理由を話し始めた。それは病弱なカヤを元気つけるために一年前から毎日嘘をつきに行っているらしい。

 

「俺はキャプテンのそんなお節介なところが好きなんだ」

 

「俺は仕切り屋なところが好きだ」

 

「僕はホラ吹きなとこが好き!」

 

「取り敢えず慕われてんだな」

 

慕っているのか貶しているのかわからないことを言う3人だが兎にも角にも、ルフィの気持ちは決まった。

 

「よし!じゃあやっぱり屋敷に船をもらいに行こう!」

 

「行こう!」

 

「ダメよ!さっき諦めるって...!」

 

「止めてもムダだよ。さあ行こう!」

 

リクたち3人は少年たちに連れられてカヤがいる屋敷に行った。ナミは言うことを聞かないリクたちに肩を落としながらも後をついて行った。

 

●●●

 

少年たちに連れられて屋敷に向かっている道中、目の前に男女が歩いてくるのが見えた。リクは男と肩がぶつかってしまう。

 

「あ、すみません」

 

リクは咄嗟に謝り相手の顔を見る。肩がぶつかった男は奇妙な格好をしていた。黒いニット帽に白いローブで口元を隠し、目だけしか見えていない。隣にいる女性は鋭い目つきをしており、ショートヘアに黒いTシャツとホットパンツを着た見た目年齢的にウタと同い年くらいに見える。その恋人同士にも、ましてや兄妹にも見えない奇妙な二人にリクは呆然と見ていると向こうからウタが呼びかけた。

 

「リク!早く行くよ!」

 

「あ、ごめん!」

 

リクはウタの方を向き、返事をしてもう奇妙な男女の方に振り返ったが、すでに姿が見えなかった。リクは周りを見渡すが、どこにも居らず、少し不思議に思うが、取り敢えず屋敷へと向かった。屋敷に着いてみると、想像以上に大きな屋敷だった。周りには見渡した限りでは誰もいない。リクたちは屋敷全体を見上げる。

 

「すっごい大きい屋敷。こういうの憧れちゃうなぁ」

 

「でもウタ海賊に憧れてるって言ってたじゃん」

 

「女の子はみんなこういうの憧れるもんなの!」

 

そんな会話をしている間にルフィは大声で挨拶する。

 

「こんにちはー!船下さーい!」

 

屋敷からの返事はない。仮に返事があったとしても、突然見ず知らずの男が船をくれだなんて言われてそう易々とくれる筈がないだろう。なんの反応もないのでルフィは勝手に屋敷の中に入った。

 

「さあ入ろう」

 

「挨拶した意味あんのか...」

 

「ああ、リクの言ってたことわかったわ」

 

「俺も前に言われた。付き合うしかねぇな」

 

ピーマンは真っ当なツッコミを入れる。ナミはリクの言っていたことを理解する。あの男には何を言ってもムダなのだと。屋敷の中に不法侵入したリクたちは少年たちに案内されて屋敷の庭を歩き回る。

 

「前いた時こんな感じの屋敷いっぱいあったよね」

 

「うん。みんなやな奴ばっかだったけど」

 

「ハハッそうだったね」

 

そんな話をしているうちに、ウソップが木の下で誰かと話しているのを見つけた。ピーマンはウソップに声をかける。

 

「キャプテーーン!!」

 

「そう、キャプテン....げっ!お前ら何しに来たんだ!」

 

「この人が連れて来いって...」

 

ウソップはなぜここに来たのかと問うと、ピーマンがルフィに指を差す。すると一体誰がきたんだと、窓から一人の少女が顔を出した。ルフィはすぐにカヤだと気づく。

 

「あ!お前がお嬢様か!」

 

ルフィはそう言ってウソップに駆け寄る、ウソップは駆け寄って来たルフィの肩を組むと咄嗟に嘘をついた。

 

「あーこいつは俺の噂を聞きつけて遠路はるばるやってきた新しいウソップ海賊団の一員だ」

 

「ああ!...いや!違うぞ俺は!」

 

ウソップの嘘にうっかり同調してしまうルフィだったがすぐに否定する。ルフィは早速カヤに頼み事をした。

 

「頼み?私に?」

 

「ああ!俺たちはさ!でっかい船が欲しいん...」

 

「君たちそこで何をしている!」

 

ルフィがカヤから船を譲ってもらうよう頼もうとした時、突然向こうから怒鳴り声が響く。ルフィたちは声がする方向に振り返ると、ピシッとスーツを着こなし、オールバックのメガネをかけた男がこっちに歩いてきた。おそらくこの屋敷の執事の一人であろう。ウソップはその執事を見るとバツが悪そうに向こうを見る。

 

「困るね、勝手に屋敷に入ってもらっては!」

 

「あのねクラハドール、この人たちは...」

 

「今は結構!理由なら後でキッチリ聞かせていただきます!」

 

カヤはクラハドールという男に事情を説明しようとするが、クラハドールは聞く耳を持たない。

 

「さあ君たち、帰ってくれたまえ。それとも何か言いたいことがあるのかね?」

 

「あのさ、俺船が欲しいんだけど」

 

「ダメだ」

 

ルフィはクラハドールに船が欲しいというが、すぐに断られてしまい落ち込んでしまう。それを他所にクラハドールはウソップの存在に気づいた。気づかれたウソップは冷や汗を流す。

 

「君は、ウソップ君だね?君の噂はよく聞いているよ。村で評判だからね」

 

嫌味ったらしく話すクラハドールにウソップは冷や汗を流しながらも堂々とした態度を崩さず胸を張る。

 

「あ、ありがとう。あんたも俺をキャプテン・ウソップと呼んでくれてもいいぜ。俺を称えるあまりにな」

 

「門番が君をちょくちょくこの屋敷で見かけると言うのだが、何か用があるのかね?」

 

「ああ...!それはあれだ、俺はこの屋敷に伝説のモグラが入って行くのを見たんだ!で、そいつを探しに...」

 

ウソップは得意の嘘で乗り切ろうとするがクラハドールは薄ら笑いを浮かべるだけだった。

 

「フフ...よくもそうクルクルと舌が回るもんだね。君の父上の話を聞いているぞ。君は所詮薄汚い海賊の息子だ。何をやろうとも驚きはしないが、ウチのお嬢様に近付くのはやめてくれないか!」

 

冷たい目で冷酷に言い放ちながらずれたメガネを手のひらで直すクラハドールにウソップには怒りが込み上げてくる。リクはクラハドールの話を聞いてウソップが海賊の息子ということを知り、同時にあることに気づいた。それはルフィもウタもそうだった。

 

「君とお嬢様とでは住む世界が違うんだ。目的は金が?いくら欲しい?」

 

「言い過ぎよクラハドール!ウソップさんに謝って!」

 

流石に言い過ぎなクラハドールにカヤは怒るが、クラハドールは動じずカヤに意見する。

 

「この野蛮な男に何を謝ることがあるのですお嬢様。私は真実を述べているだけだ。君には同情するよ、恨んでいることだろう。君や家族を捨てて村を飛び出した財宝狂いのバカ親父を」

 

「テメェそれ以上親父をバカにするな!」

 

ウソップは自分の父親をバカにされてクラハドールに怒鳴るが、クラハドールは構わず続ける。

 

「何を無理に熱くなっているんだ。君も賢くないな。こういう時こそ得意の嘘をつけばいいのに、本当は親父は旅の商人だとか、実は血が繋がってないとか...」

 

「ウルセェ!」

 

ここまで言いかけたクラハドールにウソップは怒りを込めてクラハドールの顔面を殴りつけた。クハラドールは地面に倒れる。リクたちは黙ったままその様子を見ていた。

 

「う、く....!ほ、ほらみろすぐに暴力だ!親父が親父なら息子も息子というわけだ!」

 

「黙れ!俺は親父が海賊であることを誇りに思っている!勇敢な海の戦士であることを誇りに思ってる!お前の言うとおり俺はホラ吹きだがな!俺が海賊の血を引いているその誇りだけは!偽るわけにはいかねぇんだ!俺は海賊の息子だ!」

 

ウソップは父親が海賊であることを誇りに思っていた。例え周りから可哀想だとか愚かだとか言われたとしても、それでも勇敢な海の戦士の血を引いている誇りだけは、父親をバカにすることだけは許さなかった。それ故の拳だった。クラハドールは殴られながらも立ち上がる。

 

「海賊が、勇敢な海の戦士か...!ずいぶんと捻じ曲がった言い回しがあるもんだね。だが、否めない野蛮な血の証拠が君だ!好き放題ホラを吹いて周り、頭にくればすぐに暴力。挙げ句の果てには財産目当てにお嬢様に近づく」

 

「なんだと!俺は...!」

 

「何か企みがあるという理由など、君の父親が海賊である事で充分だ!」

 

「テメェまだ言うか!」

 

「やめてウソップさん!もうこれ以上暴力は...!」

 

ウソップはクラハドールの胸ぐらを掴み、もう一度殴ろうとするが、カヤがそれを止める。ウソップは振り上げた拳を止めた。ウソップはカヤの方を振り向く、カヤは泣いているのか、顔を手で隠していた。

 

「悪い人じゃないんです。クラハドールは...!ただ私のためを思って過剰になっているだけなの....!」

 

カヤの言葉にウソップはこの怒りをどうしたらいいかわからなくなった。クラハドールは胸ぐらを掴んだウソップの手を払いのける。

 

「出て行きたまえ。ここは君のような野蛮な男の来る所ではない!二度とこの屋敷へは近づくな!」

 

「ああ、わかったよ。言われなくても出て行ってやる。もう二度とここへはこねぇ!!」

 

そう言ってウソップは後ろを振り向き、門から出て行ってしまった。今までのクラハドールの言動を見ていた少年たちはクラハドールに罵声を浴びせる。

 

「このヤロー羊!キャプテンはそんな男じゃないぞ!」

 

「そうだバーカ!」

 

「バーカ!」

 

「「バーカ!」」

 

「なんでお前らも一緒になったんだ」

 

クラハドールに罵声を浴びせる少年たちに乗っかってルフィとウタも同じように罵声を浴びせ、ゾロにしばかれた。暴れ回るルフィたちにナミは少年たちを、ゾロはルフィを、リクはウタを食い止めていた。そんなルフィたちにクラハドールは睨みつけて怒鳴る。

 

「君たちもさっさと出て行きたまえ!」

 

●●●

 

リクたちが屋敷に向かって行った少し前、森の中で二人の男女が話し合っていた。その二人は先ほどリクにぶつかってきたニット帽の男とショートヘアの女だった。

 

「ガギヅグクウガバボバ?」

(あいつがクウガなのか?)

 

「バルババサロササダビバゴゲドゴバジバゴザ。ラヂガギバギ。ドググス?ボボダゴパジャレデゾバンドボソデゲゲルゾギデロギギゾ」

(バルバから貰った似顔絵と同じ顔だ。間違いない。どうする?この場所はやめて他のところでゲゲルをしてもいいぞ)

 

バルバというと、バギー海賊団が占領していた町の場所にいた赤いマフラーをつけた女のことだ。ニット帽の男はこの場所はやめるかとショートヘアの女を試すように提案を出すが、ショートヘアの女はニヤリと笑う。

 

「ルギソガゼンジャスビグゼグパ。ボボゼクウガゾダゴギデパダギグガギボグドギグボドゾゴグレギグス」

(むしろ俄然やる気が出るわ。ここでクウガを倒して私が最強ということを証明する)

 

そう言ってショートヘアの女はまるで豹のように森の中を駆け抜けていった。

 

●●●

 

屋敷で一悶着あったウソップは海岸で静かに黄昏ていた。それを邪魔するかのように、上からルフィが、左からウタが、右からリクが現れ、ウソップはものすごく驚く。

 

「なんだオメェらか!普通に声かけろバカ!」

 

「ごめんごめん。ちょっと驚かせたくなっちゃってね」

 

「へぇーこんな場所があるんだ」

 

そう言いながらリクとウタはウソップの隣に座る。ルフィは木から降りて両手で着地すると、とあることを言った。

 

「ヤソップだろ。お前の父ちゃん」

 

「え....!?」

 

ヤソップという名前にウソップはさっきとは違う意味で驚き、目を丸くする。

 

「お前!なんでそれを知ってんだ!?」

 

「昔会ったことあるっていうか、同じ船に乗ってたんだけどね。私とリクが」

 

「同じ船に!?マジか!」

 

それを聞いてウソップは嬉しそうに声を上げる。本当に父親を尊敬しているのだろう。

 

「お前と顔そっくりだからさ、なんか懐かしい感じはしてたんだけど、さっきはっきり思い出した」

 

「い、今どこに!?」

 

「今はわかんねぇ!だけど今もきっと赤髪のシャンクスの船に乗ってるよ!ヤソップは俺が大好きな海賊船の一員なんだ」

 

「そ、そうか!」

 

少し興奮気味にルフィの話を聞くウソップ。一旦落ち着き、改めて事実を振り返ってみる。

 

「そうか、シャンクスの船に、あの赤髪のねぇ.....シャンクスだとぉ!?」

 

「なんだ!シャンクス知ってんのか!?」

 

突然大声を上げるウソップにリクたちは驚く。

 

「当たり前だ!そりゃお前四皇じゃねぇか!」

 

赤髪のシャンクスといえば、海賊の中で四皇と呼ばれている者の一人だ。するとルフィはリクたちの方に指を差した。

 

「実はよ、ウタとリクはシャンクスの娘と息子なんだ」

 

「はぁ!?まじか!あの四皇の子供なのか!?」

 

「まぁ血は繋がってないけど、私たちは拾われたんだ。シャンクスにさ」

 

「俺なんか魚の口から出てきたんだってさ、覚えてないけど」

 

まさかリクとウタがシャンクスの子供だということにウソップは驚く。

 

「そう言えば、ヤソップさんは射撃の腕はすごかったよね」

 

「うん、的を外したとか見たことなかったし」

 

「ヤソップは立派な海賊だった!」

 

「そうだろう!?そうなんだ!こんな果てがあるかも分からねぇ海へ飛び出して命をはって生きる親父を俺は誇りに思っている!」

 

ウソップは立ち上がり海の向こうを見る。あの海の向こうに四皇の船に乗った自分の父親がいると思うと、心から誇らしく思った。

 

「それなのにあの執事は親父をバカにした...!俺の誇りを踏み躙った!」

 

そんな父親をバカにしたクラハドールにウソップは怒りが込み上げてくる。ルフィもウタも同じ気持ちだった。

 

「うん!あいつは俺も嫌いだ!」

 

「私もあんなやつ大っ嫌い!」

 

「もうあの子のところには行かないの?」

 

「さぁな、あの執事が頭でも下げてきやがったら行ってやってもいいけどよ」

 

「あの執事がか?」

 

「そうあの執事あの執事.....あの執事がなんでここにいんだぁ!?」

 

そう言ってルフィは崖の下の方をなぜか指差す。リクたちも釣られて下の方を見ると本当にクラハドールがいた。しかも隣にはハートのサングラスをかけた変な男までいる。リクたちはバレないように身を屈めて耳をそばたてた。話の聞いているとあのサングラスの男の名はジャンゴでクラハドールは本名ではなくキャプテン・クロと名乗るらしい。どうやら暗殺計画を企てているようだった。しかも暗殺する対象は、あの屋敷に住んでいるカヤだ。

 

「暗殺って....!どういうこと!?」

 

「多分あの子の遺産目当てだろうね」

 

「そういえば、キャプテン・クロって名前は知ってる...!計算された略奪を繰り返す事で有名だった海賊だ...!でもあいつは、3年前に海軍に捕まって処刑されたと聞いたぞ...!」

 

まさかあの誠実そうな男が極悪な海賊だとは思いもしなかった。ウソップは冷や汗を流すが、ルフィはどうも理解していないようだった。

 

「カヤも殺される....!村も襲われる....!ヤベェ...!マジでヤベェ...!」

 

ウソップがものすごく焦っている中、ルフィとウタは立ち上がる。そして下にいる二人に向かって大声を上げた。

 

「おいお前ら!お嬢様を殺すな!」

 

「あんたたちみたいな奴は私たちがぶっ飛ばしてやるんだから!」

 

ルフィとウタのせいでバレてしまい、ウソップは必死に止めようと思わず立ち上がる。

 

「バカ野郎!見つかっちまったじゃねぇか!早く隠れろ!殺されるぞ!」

 

「やぁこれは、ウソップ君じゃありませんか」

 

「うわあああ!俺まで見つかっちまった!」

 

「何か、聞こえたかね?」

 

殺気を込めた視線でウソップを睨みつけるクロに、ウソップは涙目になりながら必死に嘘をつく。

 

「い、いや!え!?なんのことだろう!俺は今ここへ来たばかりだから当然なにも...!」

 

「「全部聞いた」」

 

「おい!!」

 

嘘をついて逃れようとしたが、ルフィとウタが正直に言ってしまう。それを聞いてジャンゴは何か輪っかのようなものを取り出した。

 

「聞かれたか。仕方ねぇな、おい貴様ら、この輪をよく見るんだ」

 

「なんだ?」

 

「何してんの?」

 

ジャンゴが突然輪っかのようなもので紐で左右にゆっくり動かす。ウソップはビビって身をかがめ、ルフィとウタはその輪っかをじっと見つめていた。

 

「ワン・ツー・ジャンゴでお前らは眠くなる。ワン・ツー....」

 

何かやばいと思ったリクはルフィとウタに呼びかけた。

 

「ダメだ!ルフィ!ウタ!目を閉じて!」

 

「ジャンゴ」

 

リクは立ち上がり咄嗟にウタの目を手で抑えるが、ルフィは間に合わず、最後まで見てしまった。するとルフィは糸が切れたかのように眠ってしまい、そのまま崖から落ちてしまった。そしてジャンゴも眠ってしまった。

 

「「ルフィ!」」

 

「あーあー、殺すつもりはなかったんだがな。頭からいったか、この高さじゃ助からねぇ。もう一匹をどうする?殺しとくか?」

 

「必要ない。あいつがどう騒ごうと無駄なことだ。明日の朝だジャンゴ。夜明けとともに村を襲え。村の民家も適度に荒してあくまで事故を装いカヤお嬢様を殺すんだ。聞いた通りだウソップ君。君が何を聞こうとも私の計画に何ら影響はない」

 

余裕な態度を見せるクロにウソップは焦りを見せながらもなんとかしようと大声を上げて走り去っていった。その後、クロとジャンゴも姿を消し、残ったのはリクとウタと、下の方で眠っているルフィだけだ。

 

「ウタ。ルフィをお願い。俺はウソップの方に行くから」

 

「わかった!」

 

そう言ってウタは崖から飛び降り、リクは走り去っていったウソップを追いかけた。




ウタ「第六回!仮面ライダー情報発信部!今回紹介する仮面ライダーはこの人!」

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ウタ「本名は山本大介。普段は仮面ライダーの名前で呼ばれていて、モチーフはバッタじゃなくてトカゲなんだって!長老バゴーっていう人にギギの腕輪?を移植されて仮面ライダーになったんだ。しかも変身の掛け声は『アーマーゾーン!』ってすごいワイルドなんだ」

ウタ「必殺技は大切断!腕にあるヒレ状のカッターで相手を真っ二つに切り裂くんだって!必殺技もワイルド...それじゃあまた次のお話で!バイバーイ!」

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