ーー
許されざる大罪を犯し、生者として生を謳歌することも死者として死に眠ることも拒絶された、《
《
隠世に流れ着く者は
遥か高次元宇宙の彼方から、異次元の深層から、彼らはこの地にやって来る。
超常の存在。形容し難き無形の神。しかして、この地の神に非らず。
《
彼らは、そう呼ばれた。
ーーそうした者を狩るのもまた、《
「…ゥ、ゥゥ…ァ、ァ……!」
寝台の上で1人の男が目を覚ました。歳の頃は20代半ばくらいであろうか、まだあどけなさが残るがしっかりと大人の相貌も兼ね備えた白金色とでも形容すべき美しい髪を後ろに束ねた青年であった。
悪夢に魘されていたのか全身から滝の様に汗をかき、大きな雫が頬を伝い落ちる。男はゆっくりと上半身を起こし、周囲を見渡す。
灯りのない薄暗い室内には古めかしいクラシック調の棚が壁一面に備え付けてあり、一定の間隔で、これまた古めかしい診察台が配置されている。焦茶色の木目の質感と、血の様に赤く染色された革製のクッションのコントラストが何よりも美しく感じるが、何処か陰鬱な雰囲気を醸し出していた。どうやら此処は診療所か何かのようだと青年は感じた。
そうして、自分もまた診察台の上で寝ていたことに気づくと両手を顔に覆い一抹の不安を感じ焦燥に駆られた。
自分は何かの病気に罹ってしまったのか。
そもそも此処は何処なのか。
何故自分は此処に居るのか。
そうして、一つの疑問にふと気付いてしまう。
《
「…あぁ、どうやら、気がついた様だな」
暗がりの中で、1人の老人であろう
慌てて声のした方を向くと、そこには奇妙な老人が居た。
古めかしいと感じるインバネスコートに身を包み、萎びたトップハットを被った老紳士が、ランタンを吊るした独特な車椅子に座り鎮座していた。
その老紳士は両目をボロボロの包帯で軽く覆い視界を遮っているにも関わらず明確に此方を見ており、一層の不気味さを感じずにはいられなかった。
「…ああ、怖がらなくて良い。この包帯は君が思う以上に薄くてな。視界の確保には困らない。」
こちらの考えすら見抜いていたことに更なる恐怖を感じて身を強張らせる青年を見た老紳士はやれやれと溜息をついて一息つく。
「…やれやれ、埒があかんなこれでは。…君の現状と今後についての話がある。私について来なさい。茶を用意してある。」
老人はそう言い残すと、器用に車椅子を反転させ部屋の出口であろう通路へとギィギィと車輪と床を軋ませながら闇の奥へと進んでいった。
「(…一体、何がどうなっているんだ?…でも、着いていく他無さそうだな)」
そうして、青年は未だ状況を飲み込めず混乱の最中であったが、意を決して老人の後を追うのであった。
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