シンフォギアVC 閑話 ファーストコンタクト   作:サリッサ@無期限休止

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マリア・カデンツァヴナ・イヴ殿

誕生日、誠におめでとうございます!!
この度も、貴女と出会えた幸運に感謝を…

さて、
またも、またも書かせていただきました(*'ω'*)♪

今回は拙作VCシリーズの主要キャラ 伴成蘭堂との邂逅エピ!
いつも通りの突貫作業、独自設定や曖昧表現オンパレードの平常運航で参ります!
時期はGとGXの間、時系列正史とずれていたらすみません…

楽しんでいただけたら、幸いです。



※こちらはPixivにも投稿しております。



ファーストコンタクト 前編

 

 伴成蘭堂。

 

 私のS.O.N.G.メンバーとの交流の中で、

 

 

 彼とのファーストコンタクトは、正しくワーストコンタクトであった。

 

 

「フンム」

 

 向かいに座る、口元をガスマスクで覆った男。時折、マスクの位置を調整するように、目尻を指で触っている。その瞳からは、何を考えているのか窺い知ることは出来ない。

「動くなッて言ってんだろうが!!」

 私たちの横に立つ、見張りの輩が声を荒げる。静寂と緊迫の支配する中でも、眼前の男は全く気にしていない様子だ。

「…思い出すわ」

「何を?」

 今度はこの男が問う番のようだ。私は危険な状態でありながら、少し笑ってしまった。

 

「ランド、貴方と出会った最初のことよ」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「……」

 

「……」

 

 直前にやって来た米国のエージェントの話を承諾し、内心荒れていた私、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。その前に、彼は現れた。面会用に強化ガラスで仕切られた向こう側の男は、ガスマスクに汚れた白衣。軍用ズボンのポケットより何かを探り出し、出てきた紙切れのしわを伸ばしている。

 

「…貴方は?」

 沈黙に耐えられず、私は怒気混じりに声を掛ける。男は私を一瞥すると、周囲を見渡した。

「何?」

「……」

そして自身の白衣に手を伸ばす。しかし、途中で思い出したかのように動きを止めた。考える仕草をした後、結局また手元の紙切れに目を戻してしまった。

「何なのよ…」

 事前に、特異災害対策二課(事実上のS.O.N.G.の前進)のメンバーが面会にやってくるとは聞いていた。が、本当にこの男なのかと訝しむ。想像していた組織柄とは、全く違った人員だった。

 

「…フンム」

 

 ようやく、男がガスマスクの向こうから音を発した。そのまま立ち上がると、ドアの近くまで歩いていく。

「え!?ちょ、ちょっと!!」

 たった三文字を呟いて、そのまま帰ろうというのか。予想外が過ぎる事態。慌てた私は、先の米国エージェントとのやり取りなど、すっかり忘れてしまった。ドアを開け、外にいる者に何かを問うているようだ。少し間を置き、男が私の前へ戻ってきた。

「すまんな。ゲンを待っていたんだが、どうやら来れんらしい。端末くらい持っていても良いだろうに」  

 これまたようやく、文章を発した男に、呆気にとられる私。そして次第に、また怒りが湧いてくる。不自由な身の上で、今度は世界政府の駒として偶像を演じることが決まって直ぐだ。あまりの扱い様に、流石に物申したくなる。

「…確か、貴方達の司令官。風鳴弦十郎というのよね。ということは、その人待ちだったってこと?」

 だが、あくまで協力関係を築く大事な局面だ。私は極めて努めて冷静に対処を試みた。男は無言で頷くと、手にもって伸ばしていた紙切れを、

 

ガラスに張り付けた。

 

「ちょ、ちょっとぉぉ!!!??」

 

 私が止める間もなく、けたたましい叫び声をあげるブザー。案の定、待機していた警備員が何事かと突入してくる。

 

「ん?間違った、と言うべきか?ここは」

 

 

 これが私と、伴成蘭堂 ランドの最初の出会い。場の空気を読まぬ、どこか抜けたフィールドワーカー。地面に組み伏せられた冷たい感触と一緒に、よく覚えている。

 

 

 

「で、何しに来たの?」

 

 不機嫌な視線を受け、ガスマスクの男は首を傾げた。

「怒っているのか?」

「ええ、悪い?」

 組み伏せられた時に切った口に、まだ鉄の味が残っている。まだ二課に対しての信用は失っていない。だが、この目の前の男にだけは、もう取り繕うつもりはなかった。

「フンム…そうか、ここは。すまない、というべきか」

 言い方も含め、最早呆れる他ない。どんな条件をだされても、最初は断ってやると、心に決めた。

「難しいな。人の世の慣習というのは。どうにも慣れん」

 とは言え、先の警報の処罰が、ガラスに触れないようにと厳重注意のみ。そのまま面会の続行を許されている。この男に対する評価は一定ラインある。あるいは、全く警戒されていないかのどちらか。

「貴方、何者なの?」

 

「伴成蘭堂。特異災害対策二課の、聖遺物及び異常現象分析担当の主任をしている。二課に入って二か月と少ししか経っていないがな」

 タイミングから見て、ルナアタック。フィーネによって引き起こされた事件が想起される。

「優秀、なのね」

「いや?俺はフィールドワーク専門。単に櫻井了子の後釜として、適任がいなかっただけだ。誰も日本政府の暴れ馬、特機部二に入って経歴を汚したくない、らしい。俺にはよくわからんがね」

 内情を簡単にばらし、蘭堂と名乗った男は肩を竦めた。こちらの口車に乗せるどころか、何を考えているのか本当に読めない。私は探り合いをしようとしていた自分が馬鹿らしくなってきた。

 

「で、本題は?」

「ん?ああ、そうだったな」

 私は心の中で身構えた。弱みを見せれば、更に大切な二人の立場が危うくなる。

「端的に言えば、世界政府、というより米国政府の意向が強いか。俺より先に来た連中の条件を、とりあえず飲んで協力してくれという要請だ」

 一転し、顔の眉に自然と皺ができる。沈黙する私に、構わず男は続ける。

「そう遠くなく、二課は正式に国連直下の組織に編成される。そうなれば、君たちの行動制限にも比較的手が出しやすくなる。協力的な姿勢を出していれば、二課へ引き込んで連中の手から守りやすい。だ、そうだ」

 男は途中から紙切れを読んでいた。最後にその紙切れを、今度はガラスに触れないように私に見せてくる。全く言った内容がそのまま書いてあった。

「…これ、言っていいの?」

疑問に対し、男は躊躇なく頷く。

「問題ないだろう。あの兄弟からはそのまま言っていいと言われているし、俺が嘘隠し事をしないことを、あの二人はよく知っている」

 そうして、頬杖をついて私を見る。真っ直ぐに視線が交錯する。

 

「俺が言うのもなんだがな、アイツらは度を越したお人好しだ。今だって装者三人の行動制限を極限まで無くしている。助ける、守るといった相手に対してはどうしようもなく実直だ。人間というカテゴリーから見れば、ヒビ割れているとしか、思えぬほどに」

警戒と疑心を忘れ、真正面から見た男の瞳。これまで相対してきた大人たちにはあった、利用価値を値踏みしてくるような、下劣な感情。そんなものは微塵もないように、思えた。

「信用、しているのね」

「少し違う。と言うべきか。観察していて、飽きないのは保証する」

「それは、わかる気がする」

 相対していた少女たちの太刀筋や言葉を、私はしっかりと覚えている。どこまでも真っ直ぐで、希望を見失わない明るさを持っていた。私は、思案した上で、頷いた。

「風鳴司令に伝えて。マムが守ったこの世界と、調と切歌の明日のためなら、協力は惜しまないと」

 男は首を傾げる。

「そこは自分の明日も入れておくところではないのか。そういうものか」

 やはり眼前の男はわからない。呆れ交りにため息をついた私の様子を見、男は目を細めた。

 

「お前もアイツらと同じ口か。まぁ、よろしく頼む」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「よろしく頼むって言うのが、こういう意味とはね」

 声を顰めながら、私はコーヒーを啜った。

 ここは英国のとあるバー。うす暗い店内では、低い笑い声とグラスをかち合わせる音が響く。スピーカーからなスタイリッシュなメロディが鳴り、キャスターがニュースを伝えている。真向かいに座る男は何も注文せず、天井を見上げたまま動かない。

「何も頼まなくていいの?」

 伴成蘭堂は視線を下ろすと、私とコーヒーカップをみやった。

「不要だ。…いや、何か頼むべきなのか?ここは」

 私は額に手を置いて首を振った。初対面の者と組まされるよりはいいと思っていいたが、間違いだったらしい。もう遅いが、カモフラージュのためにも何か頼んでおこう。

「で、見たことあるヤツはきたか?」

「いいえ」

 ため息をつき、再び店内に注意を向ける。私たちは国連要請による任務中。このバーで裏取引が行われることを、国連情報局がキャッチ。現場にやってくる構成員を取り押さえるため、複数のエージェントが同じように紛れているはずだ。

「でも、どうして私?」

 エージェントからの指示では、取引関係者にFISの関係者がいるとのこと。とは言え、そこまで候補が絞れているのなら、私が出る幕があるのだろうか。疑問に対し、男は興味もないといった様子だ。私は店内に気を配りつつ、ニュースに耳を傾けた。

 

『——月曜日に発見された、ロナウド・フィリップ上院議員のご家族の葬儀が、本日執り行われました。行方不明となっているフィリップ上院議員に替り、海外出張中だった長男が喪主を勤め、慕っていた多くの方が参列されました。フィリップ上院議員の捜索は未だ進展を見せておりません。遺体の損壊状態から、同氏が推し進めていたゴーツウッド保全活動への過激派反対組織による強襲ではないかとの見込みが強まっており——』

 

 

私は手をあげ、ウェイトレスを呼んだ。

「は、はいッ。どうされました?」

 やってきたのは、想定外にも東洋風の女性だった。おそらく日本人だ。

「ごめんなさい。温かい…ココアを彼にお願いできるかしら」

「……」

「?」

 そこで、違和感に気付く。動きのぎこちなさ、店員たちの顔色と汗。明らかに、店に入ってから見ていた様子と変わっている。そして、女性が口だけを動かした。

 

 

『ニ ゲ テ』

 

 

「ちょっと———」

「これはこれは、誰かと思えば今を時めく世界の歌姫様じゃぁないですか」

 下品な笑い声と共に発せられた言葉に、私の背筋が凍る。振り向く前に、背中に鉄の重い感触が伝わってきた。

「動くんじゃねぇぜ?周りの奴らは片付けた。大人しく従っていた方が身のためだ」

背後を意識しながら前を見ると、同じく伴成蘭堂にも別の男が張り付いている。身なりは一般人をよそおっているが、見せつける様に、肩口に銃口を突き付けている。

 

「フンム。これがムエン・コリツというやつか」

呑気に呟いた伴成蘭堂の頭を、男が殴りつける。ウェイトレスが小さく悲鳴をあげる。

「ッ!!!」

「下手な真似はすんじゃねぇって言ったよなぁ!?」

陽気な音楽が止まり、店内に静けさが走る。

「こんな騒ぎを起こして、ただで済むと思っているの?」

平静を装って、背後に視線を向ける。リーダー格らしい男が、鼻を鳴らした。

「ただで済むとも。人払いも、外に出張っていたお前らの護衛もみんな片付けた。店員には職場放棄を薦めるのは気が引けたんでね。コイツらが自宅の温かいベッドに寝れるか、狭く固いベッドで眠ることになるかは、お前ら次第だ」

奥歯を噛み締め、男を睨みつける。男はウェイトレスを引き寄せると、肩を掴んで下卑た笑みを浮かべた…

 




突然の招かれざる者たちに遭遇してしまった二人。

人質を取られ動けないマリアと、あまり気にしていない様子の蘭堂。

来訪者の目的とは?ウェイトレスの命運は?
ラジオから流れる不穏な事件は?


後半に続く!!!
(直ぐ書きますすみません(><)
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