・五条(22)
卒業後高専の先生に。一人称が俺から『僕』に(多分絶対書き間違える可能性大)。甚爾のことは名残でセンセーと呼んでいる。
服装は本編と一緒。けど目元は目隠しじゃなくてまだサングラス。
・夏油(22)
同じく先生になる。なんなら五条よりも教師してる。
服装は白いシャツに黒ズボン。髪は伸ばして伊達眼鏡を掛けてる。カタギに見えない。
・家入(22)
ほぼ本編と変わらない立ち位置。目元のクマは消えてる。
・直哉(21)
高専と禪院家の両側面を持った術師。但し基本禪院家派閥。
本編通りの着物を着てる
・七海(21)
本編とそんなに変わらないけど、灰原が生きているのでサラリーマンにはなっていない。ノー脱サラ術師。けどスーツ。ちなみに七海はまだ反転術式を覚えていない。
・灰原(21)
京都の高専の方で歌姫と共に先生を務めている。本当は夏油と一緒に働きたかった。
服装は高専時代のモノを少し改造している。
年齢多分違うかも
高専に向かった甚爾。
向かう道中に夜蛾にはメールで事情を伝えていたため、高専に入ると校舎の入り口前で夜蛾が迎え入れてくれた。
「メールを見た通りだ。恵が呪詛師に攫われた」
「こちらもメールで確認した。一応、犯人と思しき連中もこちらで調べ出したが今のところ確証は得れていない…一先ず、詳しい話は上でするとしよう」
夜蛾が顎で学長室のある方向を指す。
甚爾としては一分一秒でも急ぎたいところではあるが、ここで反発したところで意味はないし時間の無駄である。
返事をしながら屋内へ土足で踏み入れると、足早に学長室の方へ歩を進めた。
学長室に入るとまず真っ先に嫌な奴らが視界に入る。
「伏黒さん、恵君が攫われたって本当ですか?」
「嘘ならあんな殺意ビンビンじゃないでしょ。なぁ、センセー?」
「お前ら…なんでここに…?」
学長室には二つソファーがある。入って中央手前にある一人用のソファーと、中央右側にある二人用のソファー。そして甚爾の視線の先───その二人用のソファーには夏油と五条が座っていた。
夏油は深刻そうな面持ちをして、五条はおちゃらけながらも真剣な眼差しで甚爾の方を向いている。
「私は元々夜蛾学長に呼ばれていたのですが…それがまさか、こんなことになるとは…」
「僕は恵の教育のために高専で待ってたんだけど、いつまで経っても来ないからさ、暇でここに来たってわけ」
「…そうか」
邪魔だとは思いつつも口出しはしない。
どうせ言っても退出しないだろうし、言うだけ無駄だからだ。
夜蛾は部屋の奥にある社長机に腰を掛ける。
甚爾も一瞬手前側のソファーに座ろうかと考えたが、別に座りたい気分でもないし柔らかい椅子は嫌いなので壁に
「それで?その犯人と思しき連中ってのは?」
「先程も言ったが、彼等が犯人だとはまだ決まっていない。それを念頭に置いた上で、説明を聞いてほしい」
夜蛾は引き出しからファイルに挟まった幾つかの資料を取り出すと、それを机に広げる。
ちらりと中身が見えたが、それだけでも頭痛がするほどの文章量である。
そしてファイルの一つからあるページを抜くと、それを三人に見せる。
「今回の首謀と思われる組織。それは一年前より頭角を現しだした呪詛師集団。その名も────
───呪詛師集団『X』──!!!」
「「呪詛師集団……」」
「X………?」
三人は口を揃えて絶句する。
「……ついにボケたか」
「春だしね」
「最近パンダ愛でてるらしいしな。隠居の歳なんだろ」
「お前らな……」
とまぁ冗談はさておき、夏油と五条は何か思い当たる節があるのか、顎に手を当て記憶を探っている。
「それよりその名前…以前星漿体の一件で相手にした組織と同じような名前ですね」
「Qだっけ?もしかしてその組織の後継的な?」
「その通り。お前達が壊滅させた呪詛師集団Q。その残党が立ち上げたのが──」
「Xってか?だがその話聞いた限りじゃ、随分と弱そうだな」
甚爾の言葉に五条達がウンウンと大きく頷く。
実際五条が戦った最高戦力のバイエルは当時学生の五条相手に手も足も出なかった。その残党が結成した組織ともなれば程度も知れる。
「今のXにはQ時代の古株に加え、新しい呪詛師も加入しているという噂がある。一概に弱いとは──」
「仮に前より強くなっててもさ、僕も傑もいるしヨユーでしょ」
「油断は禁物だよ悟。私達だけじゃなく、直哉たち…それと冥さんや日下部さんも呼ぼう」
「傑は鬼だね~」
割と目がガチな夏油に、あの五条が引いている。
五条だけでも十分過剰戦力すぎるのだが…。
取り敢えず連れていく人員に関するは後にして、それよりも聞いておくべき話がある。
「で?なんでそのXってのが犯人だと?」
「てかそもそもX…前のQだった頃ってさ、呪術界の転覆狙って天内を襲ってたろ?それがなんで今は恵攫ってんの?」
「変態か、はたまた恵が星漿体だったのか…」
「どっちも違う。…詳しい説明は今からするところだ」
夜蛾はファイルの内の一つ───『失踪事件帳簿 2009~』と書かれたファイルを捲った。
「これは全国の失踪、誘拐事件を纏めたものだ。三年前から現在まで、全ての事件が載っている」
説明しながらパラパラと夜蛾が捲っていく。
そして残り三分の一ぐらいになったところで、その手を止める。
挟まれた用紙には新聞の一部が切り出されており、一番上の日付部分には2011年七月十日と書かれていた。
「この日───去年の七月より男児女児の失踪事件が五割ほど増している。そしてXの存在が呪術界に浸透し始めたのも、これより暫くした八月頃だった」
「確かに偶然とは思えないな」
「でも気になんのはさ。去年からそいつらが出しゃばりだしたわけでしょ?なんで上層部は対処しようとしないわけ?」
苛立った雰囲気の五条。確かに一年も前から彼らの存在が判明していたのであれば、高専側に任務を出すなり対策の仕様はあったはずだ。
前々から五条は上層部とはあまり仲が良くなかったが、今回の件で更に因縁が深まったように見える。
「そのことだが…実は上層部は冥に被害者と首謀の捜索依頼を極秘裏に出していたのだが、大した成果が得られていないんだ」
「冥さんが?しかも半年以上も捜索しているのに?」
「そんだけ冥さんが手こずるって、どんな相手よ」
「そこで傑、お前にも捜索を手伝ってもらおうと今日呼んだわけなんだが…」
丁度その時に甚爾からのメールを受け取ったと。何たる偶然だろうか。
「しっかしさぁ。相手も命知らずだよねー。恵を攫うなんて、溶鉱炉に頭突っ込むようなもんじゃん」
「それは言えてるね…けど、なんで恵を攫ったんだろう」
「そりゃ見た目がいいからじゃねえの?」
「まあ、それはそうなんだけど…親のアンタが言うなよ」
「当たり前のことを言っただけだが?」
「…?」
五条と甚爾の会話を傍に聞きつつ、夏油は何か気になる様子で机のファイルを手取りペラペラと捲る。
それから半分程度捲り、「やっぱりだ」と夏油は納得したように相槌を打った。
「これまでの事件、それは全てが「東京」と「京都」以外で発生している」
「東京と京都以外…?…ああ、高専があるからか。…ん?でも待てよ?」
「恵が攫われたってことは……あ」
「あ」
二人の間で結論が出ようとする中、それより先にその結論に辿り着いた男がいた。
甚爾達三人は津美紀が住んでいたアパートのある埼玉県に住んでいる。
だが埼玉県と言ってもアパート自体は東京都とギリギリ県境の位置にあり、東京の高専には途中電車に乗る必要こそあるものの、歩いて向かえる距離にある。そして夏油はミミナナのために東京のタワーマンションの一階を借りている。
そして津美紀は夏油の家に向かう途中で恵が攫われたのを目撃したと言っていた。
つまり恵は東京で攫われたことになる。
「そうか───つまりそいつらは、俺達に喧嘩売ってるってわけだな?」
それまで甚爾に帯びていた殺意は、猛獣や鬼人のような感情任せの──本能による怒りに満ちた殺意だった。
だが、今の甚爾が抱くものは、本能とは異なる静かな殺意。理知的に、理性的に、一点の揺らぎのない湖面のような殺意───明確に、確実に殺すという意思を持った漆黒の感情だった。
自尊心から生まれた物ではなかった。彼等はわざわざ東京に来て、わざわざ高専の庇護下にある恵を攫った。その明確な敵意、悪意に対して、甚爾は初めて感情的ではない殺意を抱いていた。
正面から見ていた夜蛾はブルリと背筋を震わせる。
甚爾に鍛えられたためかなりの耐性があったはずの二人ですら、額から冷汗が流れた。
暫くの静寂に辺りは包まれる。呼吸音すら聞こえず、秒針の音のみが時間が問題なく進んでいることを知らせてくれる。
だがこのままでは不味いと思ったのか、夜蛾はわざとらしく咳をしその静寂を破った。
「…は、話は戻すとして…彼らが子供を攫う理由は、恐らく人身売買だ。彼らの本願である呪術界の転覆、そのための資金を集めているのだろう」
「じゃあ恵が攫われたのは単なる偶然ってことか?」
「恐らく、な」
「成程なあ…」
「うん…」
「…」
甚爾は何も喋らない。
気まずい空気が流れる中、三人は顔を合わせながらどうしようかと頭を悩ませる。
今すべきことは分かっている。『恵を助けるために今すぐにでも動き始めること』だ。そしてそれは本人である甚爾を含め、この場の誰もが分かっていることだ。
だが、何故か甚爾は動かない。本来であれば一番最初に動くはずの甚爾が全く動かない。自分の心を整理しているのか、策を練っているのか、理由は分からないが動こうとしない。
そのため五条達は動けなかった。甚爾にも何か考えがあるのかもしれないし、そうであれば甚爾の意思を尊重すべきだと判断しているからだ。
だが、それでも一向に動こうとしない。
三人がそれぞれ目配せをしながら、「お前が行けよ」「いやお前がいけよ」と切り込み隊長の押し付け合いをしていると、どこからともなく携帯の着信音が鳴り始める。
出所は甚爾の懐からだった。若干無気力っぽく手を動かすと、携帯を取り出し相手を確認もせずに耳へと近づけた。
「…誰だ?」
『…なんか、さっきと随分と雰囲気が変わったな…』
「……孔か」
相手は三十分程前に電話していた孔だった。
その場にいる三人は会話の内容も聞こえず、更に孔の存在も知らないため頭にクエスチョンマークを浮かばせているが、無視して会話を続ける。
『そろそろ犯人の目星は付いたか?』
「……ああ。相手は恐らく呪詛師集団Xだって話らしい」
『凄ェな、もうそこまで進んでんのか。…それじゃ、後は俺に任せとけ』
「…ん?どういうことだ?」
先程までの静かな雰囲気が一転、理解が出来ずアホ面を晒す甚爾。
ますます会話の内容が読めず三人も困惑した表情を浮かべている。
『自慢できることじゃないが、俺はお前以外の呪詛師にも依頼の仲介をしている。全国津々浦々…沖縄から北海道まで網羅しているレベルでな。そしてその中にはQ時代からの呪詛師たちもいる。当然、今も連絡先は抑えている』
「本当か!?」
『この場で嘘なんか吐かねえよ。そんでもって、俺の持ってる情報網も合わせればXの
「…マジ?」
『大マジ。俺が日本に居たら一時間で行けたとは思うが…』
「…悪い、今人生で初めてお前に感謝してる」
人の
『調べ終えたらまた電話する。それまでは大人しく待っとけよ?』
「ああ。分かった」
『…それと帰ったら寿司奢れよ』
「回る寿司ならいいぜ」
電話を切ると先程までの冷酷無比な状態が一変、いつもの甚爾に若干戻った。
懐に電話を仕舞い、五条たちの方を向くとにこやかな笑みを浮かべた。にこやかと言うにはあまりにも残虐的な笑みだが…。
「伏黒さん、電話の相手は…?」
「あ?あぁ、俺の元ビジネスパートナーだ」
「ビジネスパートナー…?誰ソレ?」
「それは……あー、それよりもXのことだが…ソイツに特定を任せることにした」
「…へー…」
面倒臭くなり言葉を濁す甚爾。その様子を見て何処となく信用していなさそうな口ぶりの五条。
というのも半年以上──それも冥冥の術式でも特定できない相手を、そんなどこの馬の骨とも知らない相手に調べ上げられるとは思ってもいないからだ。
甚爾のことを信用していないわけではないが、元ビジネスパートナーだからとソイツも信用できるかと言われると───
「あと二時間もすれば特定できるとさ」
「「「…え?」」」
三人揃って間抜けな声を出す。
冥冥が半年掛かったものを二時間!?信じられない…が、嘘を吐いているようにも見えない。
驚きのあまり呆ける三人を無視して、甚爾は扉の前へ移動する。
「俺はその間に灰原たちを呼んでおく。お前たちも呼びたい奴がいたら呼んどけよ」
そう言うと、ルンルンという擬音が似合いそうな歩調で甚爾は学長室から出て行く。
恐らく彼が幻想しているのは花畑ではなく屍の山だろうが…三人にはそれすら見えない程に、脳裏に宇宙が広がっていた。
「元ビジネスパートナーって、そもそも前の職業なんだよって話だよな」
「聞いてもずっと誤魔化してたよね…私達には言えない仕事…とか?」
「CIA?FBI?諜報員?秘密警察?」
「否定できないのがなんとも…」
誤字報告ありがとうございます。
ちなみに次回はあの人が出ます。
なんか読み返してみたらあれだな、説明パートすぎて凄い盛り下がるなこの話