PS.どうやら消されてたっぽい…
ちなみに昼休憩合間に書いていたので全体的に出来がクソ悪いッス。
10/9にトロイのdef値を下方修正しました
8撃→1撃
不可侵のモールス
彼の術式は「断域碧線」。あらゆる衝撃に耐える膜を全身に張ることができる。
衝撃が加わる度に呪力を消費していくため永遠に膜を貼り続けることはできないが、その耐久度は五条悟の虚式「茈」でさえも無効化する程。
またモールス自身の総呪力量は一級術師禪院直毘人をも上回るため、並の術師では彼の呪力を──全身を覆う膜を剥がすことは不可能に近い。
だが───
ミゲルの持つ黒縄の前では無敵の術式も無意味。
術式の一部が乱されると同時に鳩尾に前蹴りを喰らい、そのままモールスは一瞬で気を失った。
黒神足のトルバチ
白鬼足のトルネア
彼らの術式は「倍力呪法」。自身の身体能力を全て2倍にすることができる。
数値だけ聞くとショボいものの、コレが中々侮れない。脚力や腕力、タフネスや五感が倍になったのは勿論、動体視力や脳内処理速度も二倍になっているため、彼らが術式を使えば周りの速度はスローモーションのように鈍重に見える。
事実そのスピードは現代に生きる全呪詛師を含めてもトップクラス。更にそこに純粋に飛躍したパワー、切り返し等の細かいテクニックも加わる。
シンプルな術式の割には、中々手強い相手と言えるだろう。
だが───
相対するは最速の術師とその息子。
その初速は視界にすら残ることは無く、二人は術式を発動するより前に、その素っ首を地に落とすことになった。
嵐荒蠅のレイン
彼の術式は「蝿頭操術」。四級呪霊である蝿頭を操ることができる。
基本的に呪霊操術の大型劣化版であり、本人の体術の強さもそこそこ止まり。幹部の中では最弱筆頭ではあるものの、呪力強化した蝿頭は思ったよりもしぶとくそして厄介。
特に集団戦においてその真価を発揮し、事実X加入前には他の呪詛師と手を組み二級術師6人を殺害した実績もある。
だが───
自慢の蝿頭達は七海の持つナタによって容易く断ち切られる。連れていた構成員も既に倒れ伏しており、残るは自分一人。逃げようと背を向けた所で後頭部に衝撃が走り、レインの意識は沼へと沈んだ。
無重力のトロイ
彼女の術式は「付喪操術」。呪力の籠もった傘を自在に扱うことができる。浮遊や高速移動は勿論、呪力強化により破壊力と耐久力も上がっている。
それを最大限利用した戦法こそ浮遊を利用した空中殺法。拳銃等を用い上空から一方的に攻め立て、相手の姿勢が崩れた所を一気に接近、傘による殴打で迅速に仕留める。
幹部の中では術式性能含め実力は低いものの、相手によっては完封勝ち出来る程。一芸特化ではあるものの、中々侮れない呪詛師である。
だが───
冥冥の黒鳥操術の前では傘での浮遊すらも許されず。
水天秤のマルク
術式は「手水操術」。手に触れた水を操ることができる。ただ操れる量は最大で10L、また手に触れていなければ水の操作は出来ないため射程も短い。
しかし手に触れている間だけとはいえ、相手の顔を包めば相手の窒息は確定。また水を手元で超高速回転させることで水力カッターを生み出すこともできる。
10Lという制限のせいで若干の地味さを感じるが、それでも実力は幹部の中ではトップクラスだ。
だが────
灰原はマルクの操作する水を真正面から受け止め、そのままマルク目掛けて猛進する。流石に顔が水で覆われた状態で突撃されるとは思ってもいなかったようで、全力タックルをモロに喰らい、そのまま気絶した。
復讐鬼のバイエル
術式は「懐納呪法」。術式効果は自身の手で触れた無機物を異空間に取り込み、またいつでも取り出すことができるというもの。
異空間には重量制限があり、100kgまで物量に限らず取り込むことが出来る。また100kgをオーバーした場合はその余剰分の重さが自身の体重に加わるだけで、自身の意思で解除しようとしない限りは更に取り込むこともできる。
Q時代の最高戦力と評されただけあり、Xでも腕前は随一。他の8柱と比べても戦闘能力、知識は秀でており、仮に幹部同士で殺し合ったとしてもバイエルは必ず生き残るだろうと言われることもしばしば。
だが、X最強とまで言われる彼であるが、実は未だに研鑽を怠らず日々修練に勤しんでいる。
何が彼をそこまで動かすのか──それは数年前、まだ学生だった五条にズタボロに敗北した過去からだ。
屈辱だった。学生如きに負けるなど、屈辱以外の何者でもなかった。
自身の弱さを痛感したバイエルは、来る五条への復讐のため、それから毎日鍛え続けた。
術式と向き合い、呪力と向き合い、己自身と向き合い───。
そして遂に、バイエルは術式の極致へと至る。
一階のリハビリルームを改築した武道場、その中心に待機していたバイエル。すると眼の前の扉が鳴り、そこから一人の男が現れる。
白髪に丸いサングラス、余裕に満ちた憎たらしい笑みを浮かべこちらを覗くのは、紛れもない五条悟だった。
どれだけこの日を待ちわびたか。
バイエルはもったいぶることなく全霊を尽くす。
『領域展開』
指を絡め印*1を結び、唱える。
『
自身の生得領域に五条を引き込む。
四次元を具現化した領域。万華鏡が全身を包むような目紛るしさと、ガラスの大海原に立つような不安定感が五条を襲う。
「へー?面白いじゃん?」
だが、五条はそれを鼻で笑う。
相手の領域下に無防備で立っているというのに、今まさに絶体絶命の状況だと言うのに、まるでピンチを感じさせない飄々とした風格でバイエルを見た。
予想はしていた。だが想像以上に気に食わない。
どうせコイツは死ぬ間際も笑顔で死ぬのだろう。
だが、バイエルの抱く憎悪はそんな終幕は望んでいない。
絶望。圧倒的強者が絶望に至る様。それが見たいのだ。
「余裕をコケるのも今の内だ」
五条の四方八方を何百、何千、というナイフが包む。
本来、異空間から一度に取り出せる物量は1kgのみと決まっている。が、この領域内、強化された状態であればその全て──余剰分も含む118kg全てをまとめて一気に取り出すことが出来る。
その上、これらの物体には必中効果のおまけ付きだ。
「お得意の無下限も領域下では意味がないだろう?」
必中効果は例え相手が無下限呪術だろうと突破する。
そしてナイフの本数は数千。避けること、弾くことは不可能だ。
だが、そんな中五条はなんとも気の抜けた顔で自身を囲むナイフを一瞥すると、呑気にサングラスを取り懐のハンカチでレンズを拭き始める。
「ま、いいや。押し返しても後が面倒だし───
────それよりも、もっと手短に終わらせようか」
瞬間、バイエルの背筋を伝う寒気。脳裏に浮かぶは二度目の敗北。勝利という文字は一切浮かばず、濃い絶望感に見舞われる。
───違う。この状況で負けるはずがない。
術式の極致まで至った、血の滲む努力をしてきた。
それがあっさりと破られる───なんてことは断じてあり得ない。
「死ね!五条悟!!」
空中で静止していたナイフが一斉に動き出す。
対して五条は避けることも逃げることも、そもそも身動き一つすらするそとなく、そのナイフを全身で受け止める。
剣山が如く全身を埋め尽くすナイフの束。まるで蜘蛛に囚われた蝶のようにその姿は見えなくなり、遂に全てのナイフが五条に突き刺さった。
───勝ったのか?
ピクリとも動かない剣山に、バイエルが恐る恐る近づく。
しかし暫く経っても、動き出すような気配はない。
「クックハハハ!!遂に、遂に五条悟を!!」
そう言い切ろうとした次の瞬間、眼の前の剣山が全て吹き飛ばさる。そして中から現れたのは当然というべきか、傷一つ負っていない五条の姿だった。
「は!?な……何故だ……何故生きているんだ!?確かに当たったハズだ……!?」
「さぁ?なんでだろうね?」
五条が行ったのはごく普通の呪力ガード。全身に呪力を纏わせ、ナイフを真正面から受け止めた。ただそれだけだ。
だが、これらはあくまで五条レベルの呪力総量と呪力出力があってこそ成り立つ強硬手段。並の術師が真似しようとすれば、一瞬で細切れになってしまう。
つまり、要するに────
「君の敗因はただ一つ───
「そんな、馬鹿な………」
これまで築き上げてきた全てを持ってしても、五条悟にかすり傷一つ付けることはできなかった。
それも、本気を出すことなく、一歩も動きもせずに。
「あ……あぁ……」
二度目の敗北。
脳裏に深く刻まれたその文字を直視することが出来ず、徐々にバイエルの精神と領域は崩壊を始める。
その様子を見ていた五条はこれ以上手を加える必要は無いと判断。絶望するバイエルに背を向け、武道場から姿を消した。
◆□◆□◆
気配を探りながら二階を奔走する甚爾。
奥へ走れば走るほど恵の臭跡が強くなるが、一向に場所を探知することが出来ない。
というのも、この廃病院の中は恵以外にも誘拐された大量の児童が監禁されているらしく、その臭いも混じって鼻が上手く仕事をしないのだ。
流石に恵と他のガキの匂いを間違えることはないが、だが如何せん数が多いので紛らわしい。
「クソ……!何処だ恵…!!」
キョロキョロと視線を回しながら走っていると、すると正面の通路に一人の巨漢が現れた。
要塞城のガンダル
術式は「硬結我身」。その術式効果は肉体の強度を極限まで上げ──
「邪魔」
甚爾は蚊でも払うかの如く釈魂刀を振るい、ガンダルの肉体を上下に分け、その横を走り去る。
斬られたことに気づいていないガンダルは、甚爾を追うため振り向こうとする。が、その瞬間ズルリと上半身がズレ、地面へ臓腑を撒き散らす。
───何が起きた?
そう思うよりも前に、ガンダルは静かにこの世を去った。
走り続けていると、ようやくそれらしい扉が見えてきた。金属製の扉、そしてドアノブには南京錠が掛けられている。
───間違いない。ココだ。
扉を釈魂刀で斬ると、無理矢理手で押して中へ入る。
中は元々病室だったらしく、一角には朽ちたベッドが置かれている。そのベッドには監禁されていたのであろう子供たちが座っており、身を震わせてコチラを見ていた。
しかし、その中に恵の姿は無い。
どこだ?
首を扇風機のように回し周囲を確認する。既に海外に売られてしまったのか?それとも殺されてしまったのか?
様々な最悪が思い浮かび、胸の辺りが苦しくなる。
「恵!!どこだ!!」
早くその姿を見せてくれ───その一心で室内を目まぐるしく歩いていると、子供達が座るベッドの下から物音が聞こえる。
「父さん…?」
ベッドの下から這い出てきたのは、紛れもない恵だった。
「恵……なのか…!?」
手が震え、釈魂刀が滑り落ちる。
しかし得物のことなど意に介さず、直ぐ様恵に近づき幻覚じゃないかを確認する。
両手で頰に触れる。ちゃんと実体がある。
肩を寄せて抱きしめる。ちゃんと温もりがある。
額に唇を近づけようとする。だがこれは普通に拒絶された。
「……良かった……無事で本当に……」
服は少々汚れているものの、目立ったような傷は無い。
心の底から安心した甚爾は、疲れたように手で顔を覆い息を吐く。
長かった。恵が攫われて半日も経っていないというのに、やけに長く感じた日だった。
「…ごめん、父さん…」
「それはこっちのセリフだ。ゴメンな恵」
「父さんが謝る必要は……」
「いや、子の危険は親の不注意が原因だ。お前が攫われたのも、こんな目に遭ったのも、全部俺の責任だ」
実際、甚爾が恵の側にいればこんなことにはなっていなかった。
勿論、恵にそんなことをするアホがいるとは思っていなかったので、あくまでタラレバ、結果論でしかない。
だがそれで済まされるほど、今回の件は軽くはないのも事実。
「…俺は父親失格だな。恵に嫌われるのにも頷ける」
ココ最近の恵が、甚爾に当たりが強かったのも納得できる。
そりゃこんな父親、嫌いにもなるよな……。
「嫌い…?何言ってんの父さん?」
不思議そうに首を傾げる恵。
「何ってそりゃ、最近俺への当たりが強かったろ…?」
「それは……その……」
急にモジモジし始める恵。
だがそれも束の間、意を決したのか手を交差させ術式を行使する。
『鵺』
すると恵自身の影から滲み出るように、仮面を付けたフクロウのような式神が生まれる。
大きさは恵と同程度だが、翼を広げた時の威圧感はかなりのものだ。
「父さんみたいにもっと強くなりたくて…それでこの式神を調伏したくて頑張ってたんだけど…上手く行かなくて…それで少し、八つ当たりしちゃってた…ごめん」
「………」
甚爾は鵺を一瞥する。吟味するような視線、そして暫くすると恵に視線を移す。
流石に怒られる───そう思い目をキュッとさせた恵。
「そうか。俺みたいに…そうか。そう……うぅ……」
今日で合計15回目になる男泣き。だが、その涙に含まれた感情は複雑なものだった。
我が子の成長に対する感動。
恵から嫌われていなかったという安堵。
甚爾のようになりたいという願いに対する尊び。
「そうなんだな……てっきり俺は嫌われたものかと思って……」
「嫌いじゃないよ。…でも、いい加減子供扱いはやめてよ」
「そうだな。恵はもう充分……ん?」
するとその時、建物全体が揺れ始める。
恐らく家入の結界が解けたのだろう。朽ちた壁がポロポロと崩れ始めている。
「不味いな。そろそろ出ないとな……だが……」
ここまでの道のりは入り組んでおり、ここにいる子供を全員連れるとなると確実に一分近くは掛かる。
となると、脱出に適しているのは窓からか。
しかし窓は木枠がハメてあり、釘で固く打ち付けられている。また仮に外したとしてもここは二階。そこから子供が落ちて安全に助かる確率は五分程度。
木枠、というか壁は甚爾が破壊するとして、問題はその後どう出るべきか。
甚爾の視線の先に映ったのは、恵が呼び出した鵺とベッドだった。
「……そうだな……」
続々と廃病院から脱出する五条達。
「これで全員か?」
「…いや、まだ中に恵と…センセーも居るっぽい」
それぞれ回りを見渡すが、確かに甚爾、恵の姿が見えない。
「まぁ大丈夫っしょ」
「恵クンは心配やけど…まぁ甚爾クンやから平気やね」
すると廃病院からゴゴゴ…と地割れのような音が響き渡る。
それは崩壊の合図。下部から徐々に亀裂が入り、バラバラと破片が剥がれていく。そして耐えきれなくなった支柱から続々と倒れていき、そして遂に廃病院は文字通り瓦礫の山と化した。
崩壊により辺りに塵煙が舞う中、静まり返る五条達。
夏油は隣に立つ五条に、念のため確認を取る。
「生きてる…よな?」
「…………」
物悲しそうな顔で五条は天を仰ぐ。
まさか───夏油は最悪の未来を予想し、思わず悪態を吐く──演技だが。
「…いや、甚爾クンは何があっても死なんやろ」
「恵はどうかは分からんが、少なくともアイツは生きているだろうな」
「こういうのやってみたかっただけだよ。……でも、恵君は心配だね」
すると、目の前の煙の中から人影が近づいてくる。
どうせ甚爾だろと平然と眺める皆。対して何も知らないミゲルは警戒の姿勢を取っている。
そんな中、塵煙から現れたのは───。
「病床って、意外と軽いんだな」
───塵煙の中から現れたのは、両手でベッドを持ち上げたまま平然と歩く甚爾の姿だった。
ベッドの上には誘拐されたのであろう子供たちがズラリと乗っている。
「そんな元◯玉みたいな姿勢でベッド持ち上げるヤツ始めてみたんだけど」
「……アレ?恵君は…?」
「恵か?恵なら───」
ベッドを地面に下ろしながら、甚爾が指を差した先───夕暮れの空には恵と子供が二人が乗った鵺が旋回している。
甚爾の取った策は単純明快。鵺に恵と子供を可能な限り乗せ、それ以外をベッドごと運び出した。
無論それなりの危険はあったが、鵺で恵と子供2人分の重さが消えた甲斐もあり、特別何か問題が発生することもなくすんなり降りることができた。
恵も救えて子供も助けられた。既に大満足の結果である。
「いやー良かった良かった。恵も子どもたちも助かったことだし、これで一件落ちゃ────
「え?何言うてんの悟クン」
「…え?何が?」
直哉はポキポキと首を鳴らすと、既に瓦礫と化した廃病院へと近づいていく。甚爾も同じように肩を回しており、既に手には釈魂刀と天逆鉾が握られている。
「恵クンは助けたし、ガキ共も助けた。後やること言うたらそら勿論───」
「ゴミ掃除───だよな?ガレキに埋もれただけで生きてるやつがまだいるはずだよな?」
「いやいや、確かに生きてるかもしれないけどさ、もう決着付いてるでしょコレ?」
「決着?勝負はこれからだろ」
「そうか?…そうなのか…?」
悪魔のような笑みを浮かべる二人に、戦々恐々とする五条だった。
後日────
廃病院跡の土地を調査すべく赴いた市長率いる調査団だったが、そこには瓦礫の山は愚か草木一本すら生えていなかったのだとか。
(降伏しといて良かった……)
後は閑話で夏油戦とメロンパンと甚爾達のその後を書いて、一先ず小学生編は終わり。
次々回からはようやく見覚えのあるキャラが沢山出てきますぞ。
誤字報告あざます。