パパ黒が親バカだった世界線   作:限界社畜あんたーく 

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ファンパレやるので更に遅れる可能性…


21.作戦会議!

 

 京都姉妹校交流会 一日目 団体戦

 "王様だ〜れだ!牙城落城ハチマキ取り!"

 

 〜ルール説明〜

 

 ・参加者は全員ハチマキを所持する。ハチマキには種類があり、それぞれ代表者用の赤色のハチマキ、その他参加者の黄色のハチマキの二種類がある

 ・ハチマキは奪取して良し。奪取された者は指定区画内から即離脱すること。また今後の任務に支障が入らない程度であれば、奪取の際戦闘して良いものとする

 ・指定区画内は自由に闊歩して良し。ただし区画外に故意に侵入した場合はその者を失格と見做す

 ・ハチマキを紛失した場合は失格とし指定区画内から即離脱すること

 ・代表者がハチマキを失った場合そのチームの敗北とする。ただし相手チームに何らかのトラブルや違反行為が見られた場合は審判である各学長教師の判断に委ねるものとする

 ・日没までに勝敗が付かなかった場合は生存者の数が多いチームの勝利とする

 

 味方との連携が勝利の鍵!

 健全に呪い合い切磋琢磨を極めよう!

 

 

 

 

 

 

 

「いつも呪霊の討伐数で競ってなかった?今回肉弾戦メインすぎん?」

「まぁ…考案者があの人だから…」

「……あー、納得やな」

 

 

 

 

 

 ◆□◆□◆

 

 

 

 

 

 作戦を決めるため集まった東京校チーム。

 ルールを確認しながらそれぞれが思ったことを述べる中──

 

「私はやはり、赤ハチマキは綺羅羅が持つべきだと思う」

「…えっ!?」

 

 三年の一人はそう提案した。

 綺羅羅は青ざめ、嘘でしょ…?と言いたげに手を口元に当てている。

 

「なんで私…!?」

「まぁ…そりゃな」

 

 赤ハチマキはいわば爆弾であり、取られればチームの敗北が即確定される。

 例えば6対1の勝確の状況に持っていけたとしても、こちらの赤ハチマキが取られればその瞬間敗北する──つまりどれだけ優勢に立とうと負ける可能性はあり得るというだ。

 無論それは相手も同じなのだが、どちらにせよ赤ハチマキ所持者の守備周りを固めることは最優先すべき事項である。

 

 そこで綺羅羅の術式『星間飛行(ラブランデブー)』が光るわけだ。

 

星間飛行(ラブランデブー)』は条件こそあれど、五条並みの防御力を一時的に発揮できる術式。

 しかも術式の解析は非常に難解。更に仮に仕組みを理解されたとしても攻略にはかなりの手間が掛かる。

 また死角からの攻撃にも対応できるため、チーム戦においてその強さは遺憾無く発揮できるだろう。

 

「確かに綺羅羅先輩なら取られる危険は少ないですね」

「少ないっつーか無理っつーか…」

「というか私、綺羅羅の術式まだ理解出来てないんだけど」

「術式云々の前に知識力が試されるのムズすぎるって」

 

 グチグチと三年メンツが呟く。

 過去秤と綺羅羅のコンビにボコられた経験もあってか、中々怨念が積もっているらしい。

 尚綺羅羅は満更でも無さそうである。

 

「まぁ……やらないことはないけどさぁ…」

「けどよ、綺羅羅の術式でも止めれる人数に限りがあんだよな。確か人数は……」

「えーっと…三人を超えるとちょ〜っと厳しいかな〜…」

 

 申し訳無さそうに綺羅羅が頭を下げる。

 

星間飛行(ラブランデブー)』によるマーキングは計五つ。

 その内二つは自身と自身を仲介する物に取り付けなければならないため、自由に付けられるのは残る3つのみ。

 一応、異なる呪力同士にも同じマーキングを割り振ることができるので、頑張ろうと思えば五人だろうが十人だろうが相手にすることもできるのだが…。

 今の綺羅羅の実力──というより頭脳では最大でも三人しか管理が出来ず、それ以上となると呪力量も頭も足りない現状にある。

 

「いや、頭を下げなくても…」

「寧ろ三人までなら抑えられるのか…」

 

 恐れ慄く三年一同。

 五条悟程無敵ではないものの、擬似的にそれに近いものをそれも三人まで再現できるのだから。

 味方といえど凶悪と言わざるをえない。

 

「三人…相手チームの二年も三人。この時点で既に定員か…」

「分かってはいたが、やはり三年は三年同士、私達でやり合うしかないか。相手の赤ハチマキが誰かにもよるが、仮に二年が持っていたとして…一人でもそっちに逃せば敗色濃厚になると。これは責任重大だな」

 

 とはいえ綺羅羅サイドに四人集まらない限りは、綺羅羅に赤ハチマキの守備を任せられる。それはつまり赤ハチマキの守備周りに神経を注ぐ分の思考力が省けるということ。

 逆に相手は逐一赤ハチマキの守備に集中しなければならないため、このことを踏まえると現状こちらがかなり有利と言える。

 

「問題はアッチが伏黒先生の授業受けてることだな。どれぐらい強くなってるか分かんねぇんだよな…」

「稀に先生との授業の相性が良く、飛び級レベルに強くなる者もいるという。今回の京都校連中にその稀が居ないとは限らない」

 

 特に一級術師の東堂葵と、御三家の加茂憲紀の二人。

 どちらも甚爾の授業により才能を開花させていてもおかしくはない実力者だ。

 

「里香無しの乙骨が相手できんのは、甘く見ても二級が限度。タイマンになんのは回避したいところだな」

「タイマンを回避させるには綺羅羅の術式かそれとも…だが綺羅羅の術式も万能ではない。秤が乙骨をカバーできるほどの余裕があるとは限らないしな…」

「となると、残る手は───」

「…秤の領域展開か」

 

 呪術戦の極致とされる領域展開。

 呪術師界全体を見てもほんの一握りの者のみ扱うことが出来る超高等技術であり、学生期間で領域を習得した者はそれこそ片手で数えられる程度しか存在しない。

 秤はそんな技術を術式にデフォルトで備えている。

 しかも領域効果は他を見ても異質と言わざるをえない。

 

 だが今回特筆すべきは秤の領域について、ではない。

 領域展開発動による戦闘状況の変化である。

 

「領域は外界とを完全に遮断することが出来る。それを逆手にとり、相手チームの何人かを領域に引きずり込むことで、相手の戦力を強制的に分断できる」

 

 例えば秤の領域で東堂と加茂を取り込めば、外では乙骨&綺羅羅VS西宮の二対一を強制することができる。

 無論秤を2対1の状況にさせてしまうというリスクはあるが、西宮が赤ハチマキを持っていれば一発大勝利のワンチャンスがある。

 

「ハチマキが取られない限りは領域時間が稼げるってわけだしな。なんなら赤ハチマキ持ち以外一人で抱え込むって手も…」

「ルール的にありなのソレ?」

 

 流石に五人巻き込むのはOUTになりそうではあるが。

 だがそれを抜きにしても、相手のヘイトを自身以外に向けさせない手段を持っているのは大きい。

 

「ま、五条先生なら許してくれるっしょ」

「たしかに」

「だな」

 

 怒られそうなら、怒られた時に考える。

 三年生の思考は既に問題児(主に五条)の意思を継いでいた。

 

「…で、何の話をしてたんだったか…」

「綺羅羅の赤ハチマキの話じゃない?」

「あぁそれか。話は逸れたが兎も角、赤ハチマキは綺羅羅に持たせるってことで、何か異論はあるか?」

「なし」

「ないです」

「しょうがないなぁ、取られても文句言わないでよ?」

 

 

 

 

 それからも暫く作戦会議は続き、ある程度形になったところで、区画内にアナウンスが響く。

 

『えーマイクテスマイクテス…。皆さん開始1分前でーす。ここで伏黒先生にありがたーい激励のお言葉を頂きましょー』

『……負けたら◯す』

『とても教師から出たとは思えない程の玉声頂きましたねー。では皆さん、スタート位置に着いて震えて待つように!』

 

 とんでもないアナウンスが響いた後、三年の一人がまるで何事もなかったかのように振り向いた。

 

「先の説明で伝えた通りだ。指定された位置につき、スタートの合図で…」

「あーはいはい。皆ハチマキ取られないように。というか殺されたくないから死ぬ気で頑張っていこー!」

「応」

「うい!」

「了解です」

 

 スタート位置へと向かう一同。

 

「……アレ、冗談…ですよね?」

「………」

「な、なんか言ってくださいよ!本当に冗談ですよねアレ!?」

 

 

 返答は沈黙。

 焦る乙骨を一蹴するかの如く、束の間の静寂と共に開始の合図が響いた───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒たちが戦う区画内より東───区画外に設営されたイベント用のパイプテント。

 その幕の下に佇む影は計八つ───。

 

 

「久しぶりだね直哉君!元気してた!?」

「ボチボチやね。…にしても、灰原クンは相変わらず元気やねー」

「勿論!今日のためにばっちり寝てきたからね!」

「君がぐっすり寝ても仕方ないやろ」

 

 正面より右手前。

 太陽レベルの明るさと熱を放つ灰原。

 そんな灰原を鬱陶しそうに手で跳ね除ける直哉。

 

 

「歌姫っていっつも辛気臭そうな面してるよね。…もしかして小ジワでも増えた…?」

「だとしたらアンタのせいでしょうね」

「被害妄想はやめてくださいよセンパァイ……」

 

 正面より左手前。

 持っていた茶を五条に向けぶち撒ける歌姫。

 それを無下限で容易く受け止める五条。 

 

 

「…お前達、もう少し静かにできないのか…?」

「注意するだけ無駄ですよ。楽巖寺学長」

「年相応、多少は落ち着いたかと思ったのだが…本当にこれで30手前なのか?」

「…言い返す言葉もありません」

 

 正面より右奥。

 茶を飲みながら呆れた様子で五条達を見る楽巖寺。

 茶を注ぎながら諦めた様子で五条達を眺める夜蛾。

 

 

「……ハァ……」

「この光景懐かしいね。賑やかな雰囲気も。毎日聞かされてた時は堪ったものじゃなかったけど、時たま味わう分には心地がいい。…そう思わないかい?伏黒君」

「……ハァ……」

「…その溜息の原因、私から聞かないといけないのかな?」

 

 正面より左奥。

 関わったら絶対に面倒くさい溜息を連続で吐く甚爾。

 そんな甚爾を見て滅茶苦茶面倒くさそうな顔をする冥冥。

 

 

 計8脚のパイプ椅子。そこに座すは高専関係者八名。

 そして一同の真正面に陣取っているのは、交流会の様子を中継している5台のモニターだった。

 

 普段であれば教師学長一同は屋内にて観戦を行う。だが今回は乙骨という危惧すべき案件がある。そのためいつでも直哉が出動できるよう、今回ばかりは特例として屋外での観戦となっている。

 尚時期が時期な為、屋外は虫や湿気、直射日光がとんでもないことになっているのだが…それは五条お手製の結界によって完全に遮断されている。結界ってスゲー。

 

 

「なんや甚爾クン、そんな溜息吐いて。気に食わんことでもあったんか?」

 

 直哉がぐるりと甚爾の方を向き甚爾に質問を投げ掛ける。

 五条達もその内容が耳に入ったのか、「なになにー?」と甚爾達の方へと視線を向ける。

 

「…交流会。本来は東京でやるハズだったよな?」

「そうみたいやね。けど上が駄々こねて京都になったって聞いたで」

 

 直哉が交流会に参加──乙骨の保険だが──するにあたり、事前に五条に場所の確認を取っていた。

 とはいっても東京校は連勝中。どうせ東京になるだろう──と思っていたのだが、しかし答えは真逆。五条からは交流会は京都で行われる、という返答が帰ってきた。

 その際困惑した直哉は五条に事情を聞いていたため、今のように甚爾に聞かれても答えることができた。

 

 閑話休題(と、そんな話は置いといて)───

 

 直哉の返事を聞きその通りだと甚爾は重々しく頷いた。

 

「…まさか、東京に行けんくて拗ねてん?」

「それ以外に何があるってんだ?」

 

 真顔で答える甚爾に静まり返る一同。

 半数以上が甚爾の怒る理由に察しがついている。

 だが、だからこそ、その話題にしたくない。

 今その話題に振れば、恐らく塞き止めることはできなくなる。

 それを理解し、全員が黙っていた。

 

 

 唯一──察しの付いていない彼を除いて。

 

 

 

「え?東京に何か用でもあったんですか?」

 

 

 

 世界で最も察しが悪い男───灰原雄。

 

 その彼の一言により、それまで塞き止められていたダムが──決壊した。

 

 

 

「…東京ならッ!!東京だったらッ!!恵に会えるだろうがッ!!」

 

 

 

 

 眼の前で爆弾が炸裂したかのような衝撃波が、パイプテントを中心に放たれる。

 鼓膜どころが地面すら揺らぎかねない大音量。

 思わず耳を塞ぐ一同を無視し、甚爾は湧き出る怒りをそのまま吐き捨てる。

 

「三日会えないだけでも手が震えるってのに…ここ最近は土日も恵を任務に扱き使いやがってッ!!しかも今回の交流会は京都だぁ??舐めてんのかこの野郎!?去年は東京が勝っただろうがッ!東京でやれよッ!!平日に恵に会えるチャンスを俺から奪うなッ!!今日で十日も顔を合わせられてねぇんだぞッ!!」

 

 呆然と、怒りのままに叫び続ける甚爾を眺める五条達。

 灰原も流石に(しまった…)と申し訳無さそうな表情を浮かべている。…が、それを許す道理があるわけもなく、五条と歌姫が席を寄せて脛に蹴りをカマしている。

 

「そういえば…昨日の伏黒さん、堅気に到底見えないような、バッチバチの白スーツで着飾ってましたよね。もしかしてそれも恵くんに会うための?」

「あ?あぁ、そうd──」

「「え?!(なんや)それ!?」」

 

 歌姫の問いに甚爾が答えるより前に、真っ先に食い付いたのは五条と直哉。

 

「スーツ着てるのすら激レアだってのに、それが白!?ハァ!?」

「写真は!?ソレ写真撮ってないんか!?」

 

 甚爾がスーツを着るのは、授業参観や卒業式等の恵達が関わり、かつ自身が出向く必要のある学校イベントのみ。高専では基本ジャージ、なんなら寝間着のまま授業に来ることもある。

 甚爾のスーツ姿は年に数回あるか否か程度。そのため見れた日にはスーツ姿を拝むと同時に、「似合わね〜」と弄り回すのが定例となっている。

 が、歌姫曰く昨日の甚爾はまさかの白スーツ姿と来たものだ。

 

 既に脳内でその姿を想像した五条は腹を抱え、逆に直哉は目を血眼にしその写真が無いのかと歌姫に詰め寄っている。

 

「わ、私は職員室でその姿を見ただけで、写真は撮ってないわよ」

「儂はカメラに収めようとはしたのだが…二度見た頃には既にジャージ姿だったわい…」

 

 物悲しそうな顔で顎髭を触る楽巖寺。

 

 ちなみに、楽巖寺は甚爾のことを一見毛嫌いしてそうに見えるが、実は結構気に入っていたりする。

 不真面目ではあるが仕事はキチンと(こな)す上、恵が絡まない限りは割と言うことを聞いてくれる。

 何より甚爾が居ると五条(クソガキ)にいつもより強気に出れる。

 まぁ、色々と問題はあるが…他と比べればまだマシな方だ。

 

(というか、撮ろうとはしたのかよ)

 意外というか、ノリが良い一面もあるのかと五条は内心驚く。

 

「灰原は!?灰原は撮ってないんか?!」

「僕も撮ってないですね…」

「…頼めばワンチャン?」

「着るわけねぇだろ」

「ズルいで甚爾クン…!」

「恨むなら開催を京都にした奴等を恨め」

 

 ご尤もである。直哉が背凭れに倒れ込む。

 

「…てか仮に東京でやってたとしてさ、白スーツで高専来るつもりだったわけ?」

「?なんか可笑しいか?」

「駄目だ頭イかれてるわ」

「…君たち、喧嘩するのは構わないが。コチラにも集中した方が良いんじゃないかい?」

 

 天逆鉾が五条の腹部に突き立てられる一歩手前で、若干熱の入った冥冥の言葉が響いた。

 

 冥冥の視線の先───正面に置かれた5台のモニターには、当然ながら交流会の様子が中継されている。

 それぞれ東京校チームを追うモニター、京都校を追うモニター、上空から区画内全体を捉えたモニター、そして残りは戦闘を映すためのモニターで分かれており、中でも冥冥が見ていたのは戦闘を映しているモニターであった。

 

 

 そこに映されていたのは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地に伏す秤と、それを見下すかのように地に立つ東堂の姿だった。

 

 





「…そういえバ、昨日のアレは一体なんだったんダ?」
「アレ?……あぁ!伏黒先生のアレね!」
「?伏黒先生のアレ?なにそれ?」
「真依知らない?昨日の伏黒先生、来たとき凄い格好だったんだよ」
「白スーツに紫のネクタイを締めてたナ」
「なにそれ?完全にそっちの人じゃん」
「私思わずケータイで撮っちゃったもん」
「俺もフォルダに保存していル。…なんというカ、懐に入れているだけで心強いナ」
「えー?ちょっと見せてよー」
「やだもーん、いつかコレを弱みに何かするだもーん」
「いつか付加価値が出た時に誰かに売ルつもりダ。五千なら売るガ?」
「もう少しマシな用途考えなさいよ…」


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