パパ黒が親バカだった世界線   作:限界社畜あんたーく 

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最近、glokに直哉と恵の学園青春小説を書かせてたんですけど

何故か分からないけど、何気も無い日常の時に唐突に直哉が恵のことを「カス」とか「ドブカス」とか罵ることがあるんですよね。多分、ネットの悪い印象操作を受けてるんだと思います。
……これはこれで無自覚洗脳みたいで興奮する。


ps.アニメ勢ネタバレあり


24.カスとの邂逅

 

 

時は少し遡る。

 

 

 

 

 

遠距離攻撃の手段というのは、戦術においてはかなり重宝されている。

それは呪術師同士の戦闘でも例外ではない。

一方的に攻撃を与えられるというのは勿論のこと、何より術式の詳細を知らない相手に対し、無闇に突っ込むリスクを最低限に抑えられるからだ。

それこそ投射呪法のような、触れた相手に対し不利な条件を与える術式、また無下限呪術のような、攻撃を無効化することができる術式。これらに対し近接戦を挑めば、必ず隙を晒してしまう。

そのため、遠方からの攻撃を行いつつ情報収集に徹することが、術師同士の戦闘におけるマストな戦術であるとされている。

 

しかし、そのような攻撃は、綺羅羅の格好のマト。

加茂ならば血を、西宮ならば術式を。ほんの少し触れれば、それだけでマーキングは済む。リスクの高い近接戦を行う必要すらなく、適当にいなしているだけで施せる。 

最早乙骨の護衛すら必要ない程。綺羅羅は身軽に攻撃をかわしながら、ほんの数分程度で二人の呪力にマーキングを施した。

 

それぞれ付けたマークは 加茂←イマイ 西宮←アクルックス 乙骨←ミモザ ??←ギナン 綺羅羅←ガクルックス

 

全てのマークが成立したことにより術式の発動条件は達成。

そしてそれぞれに効果が適用される。

詳しい性能については長くなるので省く。分かりやすく課された術式効果を以下に記す。

 

・西宮は"乙骨→??"の順番に触れなければ綺羅羅に接触することはできない。

・加茂は"西宮→乙骨→??"の順番に触れなければ綺羅羅に接触することはできない。

・マーキングを付けられた呪力は、呪力出力を参照しそれを中心にしようとする性質を持つ。

・そのため呪力放出による攻撃、また呪力を付与した遠距離攻撃を行おうとした場合、それが自身へと帰ってくる。

 

これらの四つである。

単純に説明すれば比較的分かりやすくはある。

しかしながら、加茂と西宮にはそのような説明すらなく、唐突に術式が適応された。

 

先に違和感を覚えたのは加茂。西宮を呼び2人から距離を取ることで、一時的に戦闘を中断した。

 

「西宮、気づいたか?」

「うん。綺羅羅ちゃんに近づけなくなってるよね。なにこの術式…?」

「私は星どころが乙骨にさえ近付けられなくなっている。…既視感…五条先生の術式に似ているな」

 

しかし2人も馬鹿ではない。

状況を確認し、大まかな考察を行う。

 

「私の手の甲にはイマイ…西宮の頬にはアクルックス…確かコレは…星の名前だったか?」 

「加茂君は乙骨君に近づけられないけど、私は近付ける。で、乙骨君の首に…ミモザかな?これはつまり…」

 

 

 

「「どういうこと?」」

 

 

 

2人は決して馬鹿ではない。

ただ綺羅羅の術式が難解すぎるだけである。

 

…しかしながら、だ。

 

「出会った時に、この術式をすぐに使ってこなかったってことは、発動に何か条件があるってことかな?例えば相手の身体に触れる必要があるとか。でも、綺羅羅ちゃんは直接私達に触れたわけじゃない…」

「恐らく呪力だろうな。私の血に一瞬、触れているのを見た。体の一部…という可能性もあるが、それでは西宮が術式対象である理由がつかない」

「つまり、私達の呪力にこの…星?星座?まぁいいや、このマーキングみたいなのを付けることで、術式が発動するってことかな?」

「ということは、恐らく解除条件も相手…いや、マーキングが施された呪力に触れることなのだろう」

 

───術式への理解が及ばずとも、法則性さえ見極めれば対処は容易。

特にこの二人の場合、持ち前の慧眼とこれまでの戦闘経験により、その辺りの手法は慣れている。

 

「…加茂君は乙骨君に近付けないんだっけ。でも私は乙骨君には問題なく近付ける…これっておかしくない?」

「…ふむ。試しに西宮、手を貸してくれないか?」

「えー、加茂君のえっちー」

 

そう言いながらも、西宮は加茂に対し手を伸ばし、ハイタッチを行う。

その後加茂は乙骨に対し手を伸ばす。

引いたり伸ばしたり。それを繰り返した後、納得したように相槌を打つ。

 

「やはり、触れることが解除条件のようだ」

「だね。じゃあ私達は乙骨君に触れば綺羅羅ちゃんに…いや、もしかしたら他にも何かを経由しないといけないのかも?めんどくさ!」

「だな。しかし、戦い方は把握した。西宮は他にマーキングされた呪力がないか上空から操作。私はその間に、乙骨を叩く」

「りょーかい」

 

短時間で作戦を立てた二人は、それぞれ持ち場について戦闘態勢に入る。

加茂は乙骨の正面に立ち「赤燐躍動」発動後、乙骨を見据える。

西宮は上空で周囲の観察。

 

 

「待たせたな。では…やり合おうか」

 

 

 

 

 

乙骨は刃引きされた刀を構えながら、冷や汗を流す。

 

(凄い…これが二年の高専術師…やっぱり手練れてるなぁ…)

 

単純に戦闘能力が高いのもある。

だがそれ以上に、明らかに場馴れしている。

 

綺羅羅の術式に対し、分からないから先延ばしにするのではなく、冷静に判断し現状最も効果的であろう対処を行う。戦闘スタイルも相手の術式が不明な内は安全な遠距離攻撃を主体していたが、見極めるやいなや即座に近距離に変えた。

先程までの作戦会議中もそうだ。和やかな雰囲気を出し隙をさらけ出していたが、アレは罠。こちらの一挙手一投足を見極めながら、いつでも攻撃に転換できるように構えていた。

 

これまで共に戦ってきた、一年の誰とも違う。

ただの強者ではない。言うなれば歴戦の猛者。

 

「…でも、僕も…負けられない理由があります」

 

息を吐き、落ち着いて加茂に切っ先を向ける。

対する加茂はフッと笑いながら、拳を構えた。

 

「良い眼だ。…では、行くぞ」

 

 

加茂はゆっくりと、重心を後ろに引いた姿勢へと移行、そして息を吐き捨てると、一気に身体を前に倒す。

縮地と呼ばれる、自重を利用した走法である。それに加え、赤燐躍動によって上昇した身体能力と呪力強化により、加茂は一瞬の内に乙骨の目の前へと踏み込む。

「なっ!?」

乙骨の目は、加茂の動きを捉えきれていなかった。

『突然加茂が前のめりに倒れたと思えば、いつの間にか目の前に立っていた』

乙骨の視界に映った光景はそれであった。

まるで加茂が瞬間移動でもしたかのように、それはあまりにも高速で刹那的な動作。

それ故に、乙骨の反応は遅れてしまった。

 

すかさず、加茂は掌底を放つ。防御すらも間に合わずに、乙骨はそれを諸に胸に受け、後方へと大きく吹き飛んだ。

距離にして五メートルほど。

そのまま木に背を打ち付けて、ズルズルと地面に落ちた。

 

「……ッ!…グッ!ガッ、ハッ……!?」

 

息が吸えない。肺がまるで潰れたのではと思う程。それは強烈で痛烈な一撃だった。

(なんだ、今の…?一瞬で目の前に…?)

空気を貪るように、荒く呼吸を繰り返しながら。何とか乙骨は立ち上がる。

 

「…フム。手加減はしたが、それでも、まだ立てるとはな。少し見くびっていたよ」

「はぁ…はぁ…これで……手加減、したんですか…?」

「あぁ。私が本気で打てば、恐らく心臓を潰せていただろうな。…いや、流石に驕りが過ぎるだろうか」

 

肩を竦める加茂。

見る者が見ればイラッとするかもしれない動作だが、乙骨にはそんなことを考える心の余裕はない。

むしろ逆。

 

「いえ…多分、殺されてたでしょうね」

 

今乙骨が立てているのは、身体から溢れ出る膨大な呪力によって威力が軽減されたからだ。肝心の呪力強化による防御は、そもそも防御するという意識すら間に合っていない。

つまりあの時の乙骨は、仮に実戦であったとしてもほぼ丸腰に近い形で受けていた事になる。

縮地の技術も考慮するなら、アレで乙骨が死んでいてもおかしくはない。

 

「…素直だな。俺の知る術師であれば、大抵怒るかキレるのだが」

(怒るもキレるも一緒じゃないのかな…?)「…えぇ…まぁ…。ただ、僕も高専で、それなりに鍛えたつもりです」

 

息を整えて、もう一度刀を構える。

 

 

「同じ手は、食らいません…!」

 

 

だが…加茂は構えない。

乙骨を一瞥した後、フッと笑って空を見上げた。

 

「あぁ、そうだろうな。───西宮!」

「分かってるよー。7時の方向、木の裏に貼られたお札が、次のマーキングだね」

「ッ!!」

 

その声に反応したのは、加茂ではなく綺羅羅。

肩を一瞬震わせて、「しまった」という顔を浮かべてしまった。

 

西宮の言う方向には、ギナンのマーキングを施した、呪力を込めた杭が刺さっている。

ここまで来る道中に一定間隔で地面に刺したもので、いつでもマーキングが施せるように自分の呪力を込めていた。

だが……まさかこの短時間でバレるとは。

 

「でも他にもブラフで色々やってたんだけど!?別のお札とか貼ったりしてたんですけど?!」

「うん、知ってる。でも戦ってる間、綺羅羅ちゃんの視線がチラチラそっち向いてたし。それに何故か他の仕掛けよりもなるべく遠くに居ようと立ち回ってたし」

 

ぐぬぬ。何も言えずに綺羅羅が呻く。

 

「…といっても、そこまで確証があったわけじゃないけど…綺羅羅ちゃんの顔にさっきまで『しまった!!』って文字がデカデカと書かれたのを見て、確信したかな」

「え?嘘ぉ!?」

「綺羅羅ちゃん、思ってる以上に顔に出やすいよ…」

「表情豊かって言ってくれない!?」

 

どっちも変わらないだろ。

加茂は心の中で小さく呟く。

 

「まぁ、兎も角だ。あとは私が次の印を触れば、問題なく綺羅羅に近づけるわけだ───」

「そうは…させません…!!」

 

ザッと、ギナンの印と加茂の間に、乙骨が急いで割り込む。

刀の切っ先を加茂に向けた、堂々とした戦闘態勢である。

しかしながら───地に足ついて立ててはいるが…小さく膝が震えている。

呼吸も乱れており、冷や汗が止まらず流れている。

 

「…気持ちは、分からなくもない。負けたくないという気持ちは痛いほど分かる。…だが…素直に負けを認めたほうが良い時もある。今回がそれだ。少なくとも、君と私の間には、それが明白である程の決定的な差がある」

「…貴方の言う通り、僕と貴方にはかなりの力量差があるんだとは思います。それに、今負けを認めたほうが、コレ以上怪我を負わなくても済むってことも。………でも……だからって……たがらって、それで勝負を諦めて良い理由にはならないでしょ…!」

「……」

 

加茂は目を薄く開く。

閉じているのか見分けがつかないほど薄く細い瞳。

そこにはまるで、眩しいものを見ているかのような、強い共感と同情を抱いた瞳があった。

 

「…そうだろうな。その通りだ。いくら痛めつけられようが、怪我を負おうが、それが諦めて良い理由にはならない。…しかしながら、まさか、伏黒先生の教育を受けていない者の口からそのような言葉が出るとは………フッ」

 

薄く、笑う。

大きくもなく、高くもなく。ただただ薄く、呆れた吐息。

そして───加茂は目をつむり、もう一度───構える。

 

「その代わり、痛くても泣かないでくれ。心が痛む」

「…善処します」

 

乙骨の返事を聞くと同時に、加茂は姿勢を低く構える。

相手は手負いの獣。油断はしない。先程の縮地は通用しないものとし、攻め方を変える。

 

『赤血操術』

 

懐から取り出した血液パックを破ると、血を1点に押し固める。

 

身体から離れた呪力は、綺羅羅の術式により術師本人の元へと帰る。それは加茂の血も例外ではない。

西宮との連携により飛ばした微小の血の数々は、含有する呪力も出力も低いため術式の対象に選定されなかった。だが、含有する呪力も出力も高い穿血や苅祓、赤縛は対象に取られる。

遠距離攻撃の手段は潰えている。

 

ならば───。

血を固め、両手で挟み、圧縮させる。

穿血の構え。だが少し異なる。

圧縮した血が両掌を伝い、手の甲へと登る。そしてそれは、薄い装甲となって、手を包んだ。

 

赤糸威(あかいとおどし)

 

それは甚爾の授業の末編み出した新技。

血を常に手に這わせることで、攻守を兼ね備えた手套を形成する。

殴る時は圧し固めることでメリケンに。守る時は柔らかく緩衝材に。

そして敵を仕留める時は、百歛で押し固め穿血を放つ。

常に呪力を回す必要があること、そしてそれにより呪力消燃費が少々悪いことに目を瞑れば、使い勝手のよい技であると自負している。

 

「覚悟はいいか?」

「はい」

「…手加減はしないぞ」

「…はい」

「そうか…では───」

 

加茂は地面が割れるほど強く踏み込む───

 

 

「勝負ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「────今ッ!!!」

 

叫んだのは───乙骨でも、加茂でもない。

ほぼ傍観者に近かったはずの、綺羅羅だった。

 

その言葉を聞いた乙骨はその瞬間。呪力出力限界まで、全身に滾らせる。

 

「ッ!?」

「は!?」

 

加茂と西宮から、驚いたような声が漏れる。

それもそうだ。そのような動作は防御にしても攻撃にしても、無意味であり無駄だから。

だが、もし意味があるとすれば、それは───

 

「まさか!?」

「そのまさかだよ!!」

 

西宮の声掛けに応えるように、綺羅羅は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

つまり、加茂と西宮のマーキングが、乙骨と同じマーキングであるミモザに変更されたのだ。

本来ならば、マーキングの付け直しはマーキングを施したその者に直接触れる必要がある。

だが、加茂であれば周囲に飛び散った血に触れるだけで、付け直しは何時でもできる。

 

「そして!私の術式は、呪力出力が高い方に引っ張られる!!」

「グッ!!」

 

ダメ押しの、綺羅羅の術式の開示。

加茂の身体がグンッと前方向に引っ張られる。

その影響により重心がブレ、体勢は崩れる。

ゴロゴロと、地面を転がる加茂。だが、その間も加茂は乙骨に向け引っ張られ続ける。

 

無防備な加茂が、段々と目の前に近付いてくる。

少しだけ罪悪感がある。反則じみていると、そう思ってしまう。

ただ…これも、勝利のため。

 

「勝たせてもらいます!!」

 

 

乙骨は刀を振り下ろし───

 

 

 

 

 

『百歛』

 

 

 

 

 

───乙骨の腹部を、穿血が貫いた。

 

 

「ッガハッ!」

苦悶の表情を浮かべ、地面に倒れる乙骨。

対して加茂は、身体についた埃をぽんぽんと落としながら立ち上がる。

 

「…溜めが一瞬でも遅れていれば、私の負けだっただろう。若しくは、私が穿血を撃つ前に、星が術式を解除していれば、加速も減衰し、ここまでの威力にはならなかっただろう」

 

コヒュー…コヒュー…と呼吸を繰り返しながら、それでも、必死に顔を上げ目線を加茂に向ける。

 

「だが───今回は私の勝ちだ」

 

ゆっくりと、その勝利を噛みしめるように、加茂はギナンの元へと向かい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────駄目だ。

 

 

 

 

 

───嫌だ。

 

 

 

 

 

──負けたくない。

 

 

 

 

 

思いの力。願いの力。

それは時に強大な力を発揮する。

思い込みが予想外の力を発揮するように。

強く心の底から発した思いは、時に当人の限界という名の壁を乗り越えるための礎となる。

 

それは乙骨も例外ではない。

 

限界を乗り越えられるだけの才能を秘めている。

磨いても磨いても輝き続ける、ダイヤモンドの原石を持っている。

きっかけさえ巡り合えば…自身を押し上げるための限界さえ目の前にあれば…それはそれは見事に輝くだろう。

 

だが────それでは駄目だ。

乙骨に限界が来るということは。

乗り越えられない壁が来るということは。

 

彼にとって、強く思うということは…。

 

 

 

それは、彼女を呼び起こすための、呼笛となってしまう。

 

 

 

 

『ゆう゛だ゛をお゛オぉ゛オ゛ッッ!!゛虐める゛なァ゛あァア゛アああ゛ッ!!!』

 

 

 

 

折本里香の残滓を、完全に抑え込みきれていなかったこと。

乙骨が怪我を負ったこと。

乙骨がこの状況を乗り越えたいと願ったこと。

打開できるだけの、より強い力を求めたこと。

皆の勝利という、切なる思いにを抱いたこと。

 

様々な要因。だが、直接的な原因は不明。

 

しかし。

だが。

理由はどうあれ。

 

それは、顕現してしまった。 

 

 

特級過呪怨霊 折本里香

 

 

初めて相対した加茂と西宮は、ゴクリと喉を鳴らしながら警戒態勢を取る。

 

「これが…!!」

「噂の…折本里香か…!!」

 

立ち昇る呪力に圧倒されながらも、しかしあくまで戦闘意欲は見せ続ける。

 

 

折本里香───彼女は、ゆっくりと2人を見据える。

そして、加茂を視界に収めるやいなやまるで乙骨の仇を討たんばかりに、加茂目掛け一直線に猪突猛進を繰り出す。

 

 

「里香ちゃん!!!」

 

 

乙骨は声を張り、静止しようとする。

だが…その呼び声は、まるで聞こえるわけもなく。

土煙を巻き上げながら、奇声を発し、爪を大きく振り被りながら加茂へと迫る。

 

「加茂君!」

「分かっている。だが、対峙した以上、やれるだけのことはやるまでだ!」

 

近場に五条達が構えているのは知っている。

それに助けを呼ばずとも、冥冥の中継でこちらの事情も今頃知っているだろう。

ならばここに来るのは時間の問題。

その上運が良いことに、狙っているのは打たれ弱い西宮ではなく自分と来た。

 

「私が時間を稼ぐ!それまでに西宮達はこの場から離れ───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────邪魔すんで〜」

 

 

───声が真隣から聞こえた。

そう認識した頃には、加茂は大きく吹き飛ばされていた。

上空にいた西宮も猛風に煽られ転落し、折本里香も風圧に対し手で防御するように前に構える。

 

土煙が収まった頃。

里香は、目の前の乱入者に向け、咆哮する。

 

 

「里香゛の邪゛魔゛する゛なァあ゛あァあァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっさいねんアマ」

 

 

冷徹無常。冷や水を浴びせたような返事であった。

ゆっくりと、男は顔を上げて、里香の方に視線を向ける。

その目には、まるで敵意も殺意もなく。

ただ、舐め腐ったように見下す目と表情が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が誰かって?ただの通りすがりの直哉サマや。覚えとき」

 

 

 

 

彼は意気揚々と髪をかき上げながら、そう名乗った。

 





※里香が新喜劇見てた世界線

「邪魔するで〜」
「邪魔するなら帰れぇ゛え゛!!」
「あいよ〜」


ちなみに綺羅羅の術式に関しては少々憶測が入ってます。
間違ってたらスマソ。
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