パパ黒が親バカだった世界線   作:限界社畜あんたーく 

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禪院直哉
禪院家の精鋭部隊[炳]の一兵にして筆頭。そして禪院家で唯一の()()()()
現在は高専関係者として活動してはいないが、過去に学徒とし在籍していた期間があり、その期間中に一級術師として認定。
卒業後現在に至るまで高専との関係は疎遠になるが、特例とし現在も一級術師として認知されている。
ただし、高専からの応援要請に対しては一部例外を除き応じたことはない。
また、その例外として応じた案件では毎度のように(主に本人の性格故に)問題を起こしており、高専術師からの評判は悪い。特に戦術指導に関してはとある教師の影響もあってか、昔ながらのスパルタ方式を取るため男女関係なく彼に対し強いトラウマを抱いている者が多い。例として「伏黒甚爾と連携し生徒を半殺し」「物覚えの悪い女性術師に対し罵詈雑言」「五条悟とのかけっこ(ソニックブームにより高専半壊)」「夏油傑と家入硝子を怒らせた」などが挙げられる。
しかしながら実力に関しては一級品。一級術師の名に恥じぬ戦闘能力を有しており、真偽は定かではないが特級に格上げされるのではという噂まで流れている。
総じて大半の術師からの評価は「強いけどカス」「カス」「関わりたくないけど強い」「カス」が大半である。



25.神速の術師

 

 

「禪院直哉…!!」

 

乙骨を除く三人が、それぞれ反応を示す。

 

ある者は「うわ……最悪……」

ある者は「この人が噂の…!?」

ある者は「いくらなんでも速すぎる…!?」

 

それらの心情を込めた、驚愕、或いは恐怖の表情を浮かべていた。

対する直哉は、周囲をぐるりと見渡し現状の把握に努める。

 

「……ふぅん」

 

綺羅羅…加茂…西宮…そして乙骨と里香。

順繰りにそれらを眺めた後。

一瞬、厭味ったらしい笑みを浮かべ、何かを口に出そうとした。

───が、その前に。

直哉の瞳に一羽の鴉が反射する。

その瞬間、直哉は口をへの字に結び、モゴモゴと動かす。その後、つまらなそうに吐き捨てた。

 

「…けっ。まぁええわ」

 

フイフイと除け者を退かすように手を振る。

そのジェスチャーの意味を理解した加茂は、いち早くその場からの退却を選択。

西宮も同様、その場で急旋回し、加茂と同じ方向へ逃げる。

 

唯一綺羅羅だけがその場に残ったまま。

直哉に対し強い睨みを向けていた。

…しかし、恐怖からか緊張からか、身体は小さく震えている。

 

「あ?なんやお前。まだいたんか」

「…死ぬまで、会いたくなかったんだけど」

「あっそ。で?何ボサッとしとんねん。…あぁ、それともあれか?()()()()()()()()()思い出して、まだ震えとるんか?」

「ッ!思い出すかって!?そりゃそうでしょ!まだ()()()()()、残ってるんだよ!?」

「へぇ。そりゃ運が悪かったなぁ。そんで?だからなんや?傷負ったんは、ンな格好して女やって勘違いさせた方に責任あるやろ?」

「『女って勘違いした』から?!だから私に責任がある!?はぁ!?そんなので私が納得すると、許してくれると思ってんの!?」

「なんそれ?納得して?許してもらって?それで俺になんの得があるん?」

「このッ───!!」

 

二人が言い争いをしている中。

直哉の背後から里香が走る。

腹の底を震わせるような凶暴な叫び声と共に。握られた巨拳が風切り音と共に迫る。

 

「無゛視す゛る゛なぁあ゛ァ゛!!」

 

豪速のスイング。込められた呪力量も桁外れ。

遠心力も上乗せされ放たれた渾身の一撃。

仮にそれが生身の人体に向け放たれたものであれば、跡形もなく吹き飛ぶ程の威力。

 

「少し黙れや」

 

だが、その巨拳が直哉に触れる前に、里香の動きが止まる。

 

それは奇妙な光景だった。

 

唐突に、何の前触れもなく、里香は()()になったのだ。

あれだけ凶暴で凶悪で、恐ろしく見えた里香が、ガラスに里香の写像を添付したような、そんな平面に変化したのだ。

そして、直哉はそれに対して躊躇の一つもせずに、前蹴りをかます。

平面が砕かれると共に、里香は立体へ戻った。地面を転がりながら、しかし直ぐ様体勢を立て直す。おそらく蹴られた位置であろう箇所を撫でながら、いったい何が起きたのかさっぱり理解していないという面…面?でこちらを睨みつける。

 

「そこで黙って乙骨クンの看病でもしとけや。内臓に直撃しとらんからって、死なないとも限らんやろ」

 

その指摘を受け、里香が放つ殺意が一瞬薄れる。

一次的に理性を取り戻したのか、乙骨に対し心配するように意識を向けた。

その隙を縫って、直哉は綺羅羅に向き直る。

 

「…で?結局君は何がお望みなん?悪いけど君なんかに構っとる暇俺にはないねん」

「……一言でいい。謝って。あの時私にしたこと、誠心誠意しっかり謝って」

「…あーはいはい。『あの時はわるいことしたわ〜、ごめんちゃい』ほら、これでええやろ?」

 

感情の欠片も乗っていない謝罪。

軽く手を合わせるだけで、頭を下げる所作すら取らない。

綺羅羅の額に血管が浮き、髪が逆立つほどの怒気に包まれる。

 

「てか、そんな()()()()()()()はええねん。さっさとここから去ねや」

「しょうもないって…!」

「あ?その通りやろ?今の状況に比べたら、下らんつまらんしょーもない話やろが。んなもんより先に、邪魔やからさっさと消えろ言うてんねん」

「───ッ」

 

イライラがますます募る。

だが、直哉の言うことも正論だ。

このような言い争いをしている間に、自分が里香に襲われかねない。

思わず、ムキになって立ち止まってしまったが…今自分は虎と龍の争いの場にいることを思い出す。

 

「ええんやで?このままアレと戦っても。それに君が巻き込まれて死のうが、俺は別にかまへんねん。ただ、それでどやされんのは俺や。君が死んだ責任負うんは俺になる。それが嫌やから、あくまで親切心で声かけてやってんねんで?」

「親切心って──」

 

綺羅羅は言い返そうとした。

だが、言い返そうとするより前に、とある事実に気付く。

 

今この状況下。直哉が戦闘を開始しないのは何故か。

別に今すぐに里香と戦闘を始めても、特に問題は無いはずだ。本人の性格的にも違和感はない。

だが、まだ戦わない。戦おうとしない。それはなぜか。

 

他でもない。綺羅羅に対し気を使っているからである。

 

仮に今戦いを始めれば、里香の攻撃か、或いは先程直哉が発した謎の衝撃波に巻き込まれ、少なくとも綺羅羅は怪我を負うか、最悪死んでしまう可能性がある。

 

無論、そこまで過激な戦闘になるかは神のみぞ知るというやつだが、それが今この瞬間起きないように臨界点を保っているのは、直哉に他ならない。

過剰に表現するのであれば、今の綺羅羅は直哉に生殺与奪を握られている。

 

先程、直哉は『親切心』だと言った。

当然、嘘である。

そのような高潔なものを直哉が持っていないことは誰にでもわかる。

だが…その理由がどうあれ。それこそ怒られたくないという情けない理由だとしても。

今こうして綺羅羅が呼吸できているのは、目の前の直哉という存在が一片を担っている事実には変わりない。

 

直哉のことはムカつく。

殺したいと思うほどではないが、死んでほしいと思う程には考えるほどに嫌悪している。

そんな存在に今、自分は生かされているのだ。

 

砕けそうになるほどに、奥歯を強く噛み締める。

惨めな自分に嫌気が差す。それもこれも弱い自分のせいだ。

今できることと言えば、この場から離れて、二人の邪魔にならないようにする程度のもの。

本当は今ここで直哉に土下座でもさせたいところだが…それは時間的にも実力的にもどだい無理な話。

悔しいが、今はこの場からの撤退を優先するしかない。

 

「───クソッ。…分かったよ。別に今すぐ謝ってほしいわけでもなかったし。それに、私も死にたくはないし」

 

何より───コレ以上、恥を晒したくない。

 

「でも…もし今後、他の子達にも生涯残るような傷付けたら、絶ッ対に許さないからね?」

「ほーん。そら楽しみにしとくわ」

 

ヒラヒラと手を振る直哉。

そのなんとも思ってなさそうな顔が、より綺羅羅を苛立たせる。

ただ、コレ以上この場にいても仕方がないと自身を納得させ、踵を返した。

 

加茂達の逃げた方向へ走る。

その眼には、涙が堪えていた。

悔しさから。恥ずかしさから。

綺羅羅は振り向くことも出来ずに、ただ真っ直ぐ走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやっと邪魔モンが消えたわ。…で?君、まだ生きとる?」

 

里香の介護の下。乙骨は、直哉の返事に応えるように、刀を支え代わりにゆっくりと立ち上がる。

腹の傷は完治したわけではない。が、止血はできたのか、シミの広がりは止まっていた。

直哉は冷静に傷口を見つつ、分析する。

 

「反転…やないなぁ。傷口に呪力無理矢理籠めて止血しとるだけか。まぁ、反転使えん奴がやる対処にしては、ボチボチってとこか?別にええんやない?」

 

厭味ったらしくそう呟く。

 

「けどなぁ。呪力で止血する発想は褒めたるけど、肝心の呪力操作がなっとらんわ。汚すぎて見てられへん。ほんまに特級なん?君」

 

切傷には絆創膏を、刺傷には包帯を、骨折には当て木を。

それぞれの傷に適した応急処置があるように、呪力による傷の処置にも適切な方法がある。

しかし今の乙骨──正確には里香──の場合、絆創膏に包帯に当て木に包帯に…と、過剰なまでの処置を行っている。

当然それだけの呪力を無駄に浪費していることになり、維持するにもその分集中力を欠かなければならない。直哉の言う『汚い』とは、このことを差している。

 

───尚。

直哉も乙骨も気付いてはいないが…この状況に限り乙骨の手法は正解である。

 

乙骨の身体を包んでいるのは、乙骨ではなく里香との接続により供給された呪力。里香は底無しに近い莫大な呪力を所持しているため、乙骨が呪力消費に関して意識する必要はない。

また呪力の維持に関しても里香が無意識的に行ってくれているため、乙骨のキャパに大した負荷は掛かっていない。

その上、乙骨の全身を過剰なまでに包んでいる呪力も、痛みを多少和らげる補強材の役割と、これからの戦闘において負うであろう怪我を予防するプロテクターの役割を担っている。

見かけ上は無駄に見える。事実直哉からすればそれは愚かな行いであることに他ならない。

しかし結果として「直哉の指摘は間違ってはいないが、現状それが乙骨にとって最適解であり、そして両者それに気付いていない」という少しトンチキな状況になっている。

 

───閑話休題。

 

直哉の言葉が届いていないのか、それとも血が足りていないのか。ぼーっとしながら辺りを見渡す乙骨。

そしてハッとしたように里香と直哉を交互に見ると、少し悩んだ末に直哉へ声をかけた。 

 

「確か…禪院直哉さん……ですよね?」

「せや。直哉さんでも直哉様でもええよ。でも、直哉(にぃ)、直哉兄さん、直哉おじさんは駄目や。もう先客が()る」

「…あ、ハイ」

 

なんか変な人だな…。

噂の大半はカスが殆どだったが…対峙した印象はそこまで悪くはない。

 

「悟クンから聞いとるとは思うけど、俺の目的は別に君等を殺したり祓うことやない。ただ戦って、適当にボコす。んで、君の成長を促す。ただそれだけや」

「えぇ、聞いてます。…でも…」

「なんや?文句でもあるんか?」

「いえ、文句というよりも…」

 

ジンジンと痛む腹を抑える。

不思議と痛みは和らいでいるような気はするが、それもほんの違和感程度。

気を失わないで立っていられるのがやっとの状況だ。

 

対する直哉は朝見た時と同様。

当然怪我など負ってるわけもなく、見紛いようのない万全の状態。

 

戦いはいつも平等ではない。それは百も承知だ。

だが、流石にこれは、あまりにも理不尽すぎる。

 

「せめて、怪我を治してからじゃ…」

「良いわけ無いやろ」

「ですよね…」

 

これは…地獄を見ることになりそうだ。

苦虫を噛み潰したような苦悶の表情を浮かべつつ、致し方なしとそれを受け入れる。

足取りが重い。けれど、これも自身の成長のためと言い聞かせ、無理矢理身体に鞭を打ち───。

 

 

「………さっき゛から゛…憂゛太゛とイ゛チャイチ゛ャ゛イチ゛ャイ゛チ゛ャ゛ぁあ゛ア……!!!許゛さな゛いッッ゛!!許さ゛ないィ゛いい゛イ゛ッッ!!!」

 

 

乙骨が動く想定よりも、その遥か手前から、里香は動き出した。

まだ呼吸整えていたのに、まだ構えてすらいないのに。

なぜ今このタイミングなのか?

いや、むしろ今まで動かなかった方がおかしいのか?

…否。そんなことはどうでもいい。

今重要なのは、里香が動いたという、その事実のみ。

 

(このままだと、里香ちゃんと直哉さんがぶつかる…!!)

 

里香は強い。今まで傍にいた乙骨がその強さを誰よりも理解している。

だが、今目の前にいる直哉は、それと同格かそれ以上に強い。

 

恐らく。このまま一人で戦えば、里香が負ける。

 

そう思わせるほどの気迫が直哉にはある。

 

「待っ…て!里香ちゃん…!」

 

全身の骨と血管が軋むような痛みが走る。

一歩進む事につま先から頭頂まで崩れ落ちそうな予感がする。

それでも、なんとか食らいつこうと懸命に走る。

 

「…ほぉん。中々男気あるやん。少し見直したわ。ただ────」

 

 

 

 

 

 

「───ちと、鈍すぎるなぁ」

 

 

 

乙骨が気付いた頃には、直哉は既に真横に立ち、拳を構えていた。

あの時の、加茂の不意打ちを見ていなければ、反応することはできなかっただろう。経験がここで活きる。

回避は困難。しかし防御であれば間に合う。

迫りくる拳に対し、腕を交差し急所を中心に防御の体制をとる。

 

「耐えてみろや」

 

声を置き去りにした、右拳による四連撃が乙骨を襲う。

腕に二発。肩と胸にそれぞれ一発。

どれも鋭く、そして速い拳が呪力の上から身体を叩く。

しかしながら───呪力で守った故か、それとも単に重みがなかったからか。

意外にも、一撃一撃のダメージ自体はそこまで高くはなかった。

それこそ、先の加茂の一撃、それに比べれば遥かに弱いと断言できる程の、威力の低さ。

違和感はある。油断を誘っているのかと思わず疑う。

疑心故に、防御の隙間からギッと直哉を見据える。

振るった拳を引いている。今の攻撃で乙骨が倒れたと思っているのか、それとも里香に対し意識を割いているのか。

若しくはその動作自体が注意を引くためのブラフなのか。

 

───否。

今が、今こそが千載一遇の好機だ。

目が慣れたからこそ、速度を体感したからこそ分かる。

仮にもう一度、直哉が拳を引き、もう一度拳を振るったとしても、自分の方が先に攻撃できる。

仮に直哉の速度が勝ったとしても、今程度の攻撃なら歯を食いしばれば耐えられる。

 

捨て身覚悟で、刀を振り下ろせば、勝ちの目はある。

(カウンターを…!)

腕を上げ、刀を上段に構える。

そして振り下ろすべく、刀を強く握り締める。

乙骨が刀を振り下ろそうとしたその瞬間。

 

「もしかしてやけど、君ィ…

 

 

 

 

 俺のこと、嘗めとる?」

 

 

右足を軸に、引いた右拳の勢いを活用。その場で回転。

慣性と遠心力。それにより更なる加速を得た左足は、術式により更なる速度の昇華を得る。

乙骨の右肋目掛け放たれる超高速の回し蹴り。既に刀を振り下ろしていた乙骨に回避など、防御など、そんなものが出来るわけも、間に合うわけもなく。

奥歯を噛み締め、衝撃に耐える。

そして…直哉の蹴りが、吸い込まれるように乙骨を穿つ。

「ッ!!!─────」

痛みを感じるよりも前に。全身が悲鳴を上げるよりも前に。

それらを認識するよりも前に、乙骨は遥か彼方まで吹き飛んだ。

木々を薙ぎ倒しながら、直哉が視認できなくなるまで。

一直線に蹴飛ばされた。

 

 

 

直哉が乙骨の横に移動してから蹴飛ばすまで。それまでに掛かった時間は、僅か2秒にも満たない。

あまりにも唐突。あまりにも高速。

それ故に里香はその戦闘を視認し、認識し、理解し、そして行動に移すまでに、ほんの僅かなラグが発生していた。

 

「憂────」

乙骨の心配。直哉への怒り。

感情の赴くままに、行動を移そうとした。

 

しかし。

それよりも前に。

里香はまた、()()へと変えられる。

 

この術式のことを知らない。

これまでの戦いを無尽蔵の呪力とフィジカルだけで圧倒してきた。

汎ゆる攻撃障害、その全ては避けるに値しない。

そんな里香は、直哉の投射呪法にとっては格好の餌食。

その上表面積も大きいともなれば、意図せずともフリーズを誘発できる。

 

術式による加速を維持したまま、直哉はフリーズした里香に向かって、慣性を利用した正面蹴り───所謂ヤクザキックを放つ。

砕かれた平面。里香は吹き飛ぶが、しかし素の耐久力ですぐに態勢を整える。

「この゛───」

そこへ叩き込まれる右拳。

術式により加速され、重みと鋭さを増した拳は、里香の頭部へ深く突き刺さる。

拳を引くと、里香は仰け反り呻く。

───ダメージがまだ浅い。

直哉は術式を重ねがけしたままバックステップ。 

距離と狙いを定めながら、現状出せる最高速まで術式を重ね掛けし続ける。

そして───

 

「ブチ込んだるわ」

 

文字通り。音を置き去りにした猛進。

蹴りや拳を構えることさえ、どころが最早、そこに技など必要無い。

音速の体当たり。それを里香の腹部に目掛け放つ。

 

 

 

 

 

「吹き飛べやッ─────!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────

 

────────

 

───

 

 

 

 

 

開けた大地。

薙ぎ倒された木々の中心。

直哉は誰も居なくなった辺りを見渡しながら、軽く溜息を吐く。

 

 

 

「なんや。特級術師様もこの程度かいな。ビビって損したわ。……しとらんけど」

 

 

 

"神速の術師"禪院直哉。

 

後に彼は、特級術師としてその名を刻むことになる。

 

 





「ある程度離れたか。このまま再戦してもよいが…公平性を保つために、その前に指示を仰…どうした星?」
「憲ちゃんさぁ、『ささくれが肘まで裂ける呪い』をかけれる呪物とかしらない?」
「知らないな、そのような特級呪物…しかし唐突だな」
()()に『君如きが俺に何出来るん?』とか言われたから、呪いでもかけてやろうかなって」
「フム…そうだな。今度、加茂家の呪具庫から一品君に貸し出そう。それで思う存分呪うといい」
「ありがと!」
「…二人とも怖〜」

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