ヒロアカ世界の中心で「ユニコォォォォォン!」を叫ぶ   作:粗製海水塩化マグネシウム

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アンケートの結果が今朝7時の時点で大差が着いていましたので、この作品に恐れ多くも“ガンダム”のタグをつけさせていただきました。


目一杯の祝福を君に

 

 

 

「よし、忘れ物はないね。」

 

 

 

今日は高校デビューの日だ。事前に届いた制服に袖を通すと、姿見で身だしなみをチェックして、よし、こっちも問題ないね。

 

 

 

「んじゃま、行きますか。」

 

 

 

私が今住んでいるのは雄英近くのアパートだ。

一時期は公安委員会の建屋に住んでたけど、雄英合格を機にこちらへ引っ越すことになった。

東京から通うのはキツいからね。

 

 

そんな私の家の玄関を開けて私は学校へ向かう道筋を歩く。

空は晴れてる、雲はそこそこあるけど…うむ。いい天気だ。

 

 

定点観測時に雲が範囲の8割未満ならば晴れという定義を知ったのはいつだっけか。

ま、今はいいか。

 

 

考えもそこそこに歩いていると、雄英の校門前までやって来た。

今日からは私もこの高校に通う訳だ。

 

 

国内最高峰…前世の“Fラン”なんて括りで呼ばれてた大学に行ってた頃の“俺”に言ったら卒倒するかもしれない。

 

 

それにしても、大学のキャンパスかと思うくらい大きいな…いや前世基準だとキャンパスより大きいよこれ…

 

 

 

「うーんと…?」

 

 

 

手元の校内地図を見ながら各種施設を確認していく。

暫く歩いていると、唐突に“嫌な予感”がした。

 

 

ここは廊下の角で、あぁ、そういう…ベタ過ぎない?

私は歩くのを一旦止め、一歩下がった。

 

 

 

「うおぉ…」

 

 

 

角を曲がってきた男子生徒はこっちに気づいていなかったようで結構驚いている。

 

 

 

「あ、そっか…」

 

 

 

当然だが、一歩下がれば“衝突”は回避できるが、“接近”までは回避できないのだ。当然、思春期男子の目の前に同年代の女子が突然現れた格好になる。さぞかし心臓に悪いだろう。

申し訳ない事をした。

 

 

にしても、この学校に慣れてなさそうだから、私と同じ新入生かな。“勘”も肯定してるし、合ってる筈…多分!

 

 

 

「ごめん、驚かせちゃったね…」

 

 

 

「いや、別に問題ねぇけど…」

 

 

 

と言いつつ、目が泳いでるけど、追求はしない。言葉を間違えれば精神に復帰不可なダメージを負うことだってある。

それはお互いにとって不幸な事だ。

 

 

ただまぁ…

 

 

 

「うーん、私は1年A組結虹(ゆうに) 久遠(くおん)。君の名前は?」

 

 

 

「え、は?…1年C組心操(しんそう)人使(ひとし)。」

 

 

 

「ほーならば心操君か。」

 

 

 

多少揶揄うぐらいは許されるのではなかろうか。

 

 

 

「ヒーロー科…か。あの試験に受かったのか?良い個性に恵まれたんだな。」

 

 

 

ヤバい地雷踏んだかも。

 

 

 

「…確かに、個性に恵まれたのは否定しないけど…」

 

 

 

「俺の個性じゃあ、あの試験は点が取れなかった。」

 

 

 

言い方が引っかかるな…まるで、試験の形式が違えば実技で点が取れたみたいに聞こえるけど…

 

 

 

「失礼だけど…君の個性は?」

 

 

 

「……“洗脳”。任意で俺の質問に答えた奴を操れる。」

 

 

 

え、

 

 

 

「めちゃ強じゃん。」

 

 

 

「は…?」

 

 

 

心底驚いた、という顔をする心操君に私の考えを伝える。

 

 

 

「戦闘は一瞬で終わる。尋問はいらない。対人なら限りなく最強に近いよ。君の個性。」

 

 

 

本当に、実技試験が対人だったらかなり点数が取れたんじゃなかろうか。相手がロボットで他の受験者への妨害が禁止だったあの試験では、彼は実質無個性だ。それでも鍛えればある程度点は取れたんだろう。

 

 

 

「そんな事言われたの、初めてだ。」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「だって、普通は悪用を先に考えるもんだと…」

 

 

 

容易に想像出来た。例えば、「(ヴィラン)みてーな個性だな。」とかかな?小さい頃から言われ続ければ心操君がここまで擦れるのも致し方ないのかもしれない。

 

 

 

「それは…もったいないよ。」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「君がここに居るのは、(ヴィラン)に近づく行動を取らずに、自分を律してきたからでしょう?もったいないよ。」

 

 

 

「…!」

 

 

 

「ヒーロー科を受験したのは、ヒーローになりたいからでしょ?なら、出来る事は全部やらなきゃ。絶対後悔する。

 

将来テレビでヒーローとして成功している同年代や年下を見て、過去の自分がどうして何もしなかったのかと、そうやって苦しみ続ける事になる。断言する。」

 

 

 

「じゃあ、どうしたらいいんだよ…」

 

 

 

理想という越えるのが難しい壁に直面している心操君を見て、私は彼を手助けしたくなった。彼の“ヒーローになりたい”という思いに嘘はなかったし、何よりさっきも言ったけど彼の個性は対人最強だ。彼がヒーローになれば心強い。

 

 

メモ帳を取り出して“あるもの”を書き込んでいく。

 

 

 

「さしあたっては…『雄英体育祭』。そこでどこまで活躍できるかが君の将来を決める分水嶺になる。超常以前のオリンピックと同等の盛り上がりを見せるこの学校の体育祭は、スカウト目的で色々なヒーローがやってくる。1年の時から資質を示せば、教師陣も確実にヒーロー科への転科を勧めて来る。だからさ、ほれ。」

 

 

 

私は書き込んだメモを見せた。

 

 

 

「これは、訓練のスケジュールか…?」

 

 

 

That's Right(その通り)!戦闘訓練なんかは、私は人に教えられる程じゃないけど、筋トレさせるぐらいなら出来る。だからさ、頑張ってみよ。ヒーロー科の連中に目に物見せてやろうぜ!」

 

 

 

 

「お前も…ヒーロー科だろ…」

 

 

 

「ありゃ、そうでした。」

 

 

 

心操君は泣き笑いの格好だ。ただ、指摘はしない。

私は思春期男子の気持ちがわかるJKなのだから…

 

 

 

 

 

 

 

これで終われば美談だったんだけど…

 

 

 

「結虹さん…今、8時22分だ…」

 

 

 

涙の収まった心操君は知りたくない現実を突き付けてきた。

雄英の始業は、8時35分*1から、そしてここは校舎の端、端的に言うと、めちゃくちゃマズい。

 

 

 

「い、急ごう心操君!」

 

 

 

「うおっ!」

 

 

 

私は心操君の手を掴んで早歩きで教室に向かった。

 

*1
独自設定





どうも、にがりです。正直、最新作の最終話のタイトルをこんな序盤で引っ張ってくるとか馬鹿かよと思っております。

次回から原作の流れに合流していきます。
それと、間に合えば今晩の更新と一緒にオリ主の設定集的な物を投稿しようと思っております。

ついでに感想も募集してます。

何文字ぐらいだと読み易いかのアンケートです。回答頂けると嬉しいです。

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