戴天   作:灰汁

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十話

 あの時なぜ手を伸ばしたのか、自分でもはっきりとした理由はわからない。

 

 生物学上は女である身だから、遺伝子の話では我が子にあたる『それ』へ、本能的に触れようとしたのか。

 あるいは『それ』へ閉じ込めたモノを、無意識のうちに縊り殺そうとしたのか。

 もしかすると、はっきりとした理由なんて何もなかったのかもしれない。

 

 ――今となっては、もう二度と思い出すことはできないだろう。

 

「、」

 

 その赤子が、ゆっくりとわたしの指を小さな手で掴んだとき。

 くりくりとした赤い瞳で、まっすぐにわたしを見つめ返したとき。

 胸の奥に灯った熱が全身を駆け巡った。

 そんな小さな熱が、わたしの中にあった何かを、溶かした。

 だからもう、思い出せないのだ。

 それは、溶けてなくなったものだから。

 

「……███」

 

 病室のような部屋の中で、傍にいた狐の男の名を呼ぶ。

 目の前の赤子と――正確にはその中にいるモノと――同じくらい、忌々しくてたまらないクソ狐。

 

「なんだい」

 

 この狐も。この子も。

 大嫌いだ。

 

 そのはず、なのに。

 ただ血を分けて試験管の中で作られただけの姿が。

 ただ『その妖魔』を殺すためだけに与えた肉の檻が。

 娘と呼ぶことすら憚られるそれが。

 こんなにも。

 

「――この子、本当にわたしたちの娘にしちゃいませんか?」

 

 あの時、わたしは。

 この子と一緒に生きていきたいと。

 心の底から、そう願った。

 

 

『その妖魔』は殺すことができなかった。

 

 珍しい話ではない。

 波が荒ぶり村人を押し流したからと言え、ならば川を殺すことはできるのか。

 風に赤子が攫われたと言え、ならば嵐を殺すことはできるのか。

 狩りに赴いた猟師が帰らぬと言え、ならば山を殺すことはできるのか――。

 

 妖魔と相対するというのは、つまるところそういうことである。

 彼らは何も、ヒトを殺すためだけに存在しているのでもなければ、悪意や正義があるわけでもない。ただそこに在り続け、故に彼らの多くは限定的な不死の能力を持つ。

 生きてはいない。それ故に、殺すこともできない。

 だが津波を防ぐために防波堤を立てるように、嵐を凌ぐために耐震技術を発達させるように、山を拓いて少しずつ居住地を増やすように。

 殺せぬなりに、やり方というものはある。

 

「良い夜ですね」

 

 星の浮かぶ天幕に、血のような色をした孔が空いている。

 夜を丸ごと染め上げるような朱色の月明かりに、わたしは眉を顰めて呟いた。

 着物の上から被せた、桜の意匠が編み込まれた羽織がはためく。

 

「気の毒に。町に住む妖も、昂らずにはいられないでしょう」

「そっちは人間がなんとかするさ。僕たち忍者ほどではないが、この町にも拝み屋、霊媒師の類は多くいる。『結界』もあることだしね、人死には起こらないだろう」

 

 狐の面を被った男が答える。彼の真紅のマフラーが、わたしの羽織と同じように空へたなびき、赤い月と交差した。

 わたしたちの足はゆっくりと神社の石段を登っている。ふと顔を上げると、月の下に佇む鳥居が見え始めたところだった。

 

「もっとも、『今夜のあの子』は例外だけどね」

「わかってますよ。しくじらないでくださいね?」

「そっちこそ。僕の術に巻き込まれるなよ」

「なんだぁ……??? たたっ斬りますよ」

「標的が変わってるじゃないか」

 

 軽口を叩く気概はお互いにあるようで、わたしは小さく笑った。

 考えうる限り、おおよそ最悪の夜である。

 鮮血を浴びた月は、間違いなく『あの子』の妖気の影響だ。その光のもとにあれば、常人などはただそれだけで生気を奪われ続ける。ただちに死へ至るようなものでこそないが、手を打たなければいずれこの町に生けとし生けるものは例外なく死に絶えるだろう。

 草木も眠る丑三つ時である。だが月は数時間前からずっと同じ位置にあり、沈む気配はまるでない。

 事実、あの月は消えないのだ。『あの子』が目覚めている限り。

 日が昇れば人は目覚め、月が昇れば妖が動き出す。『あの子』はその因果を逆転させ、『自身が目覚めている限り明けない死の夜』を生み出している。

 ――蛭子と呼ばれた隠忍の少女の命を繋ぎ止めるにあたって、『あの子』は自身の力を使わざるを得なかった。

 細かい理屈はわたしにはわからないが、傍を歩く連れ合いの男によると、『マイナスにマイナスをかけるとプラスになるのと似てて、死んでいる人間をもう一度殺すと生きられるようになる』――らしい。なるほど聞いてもさっぱりわからないので、それ以上考えるのはやめにした。

 わたしにとって重要なのは、その一件以来『あの子』がひときわ不安定になってしまった、ということだった。

 ひとたび怪我をすればそれが癖になるように、一度目覚めた『あの子』は、以降不定期に覚醒と休眠を繰り返している。

 

「あと半年くらいで次のお誕生日を迎えられたんですけどねえ……」

「ま、仕方ないさ。覚悟の上だ」

 

 やがて石段を登り切り、鳥居をくぐる。

 ――背を向けるようにして、ひとりの少女が、月を見上げていた。

 まだ自分より少しだけ低い背は、それでも数年前と比べれば見違えるようである。

 女の子の成長期は男の子より少し早いというけれど、将来この子はどんな女性になるのだろう。父親は腹立たしいことにわたしよりずっと背が高いから、この子もいつかはすらりとした美人になるのだろうか。あるいは自分に似て、今の姿と変わらない愛くるしい大人になるのだろうか。

 ふと、苦く笑う。気付けば、この子のことばかり考えている。ただ血を引いているだけで、産んだ子でもないというのに。

 

「天理ちゃん」

 

 他愛もないことを考えていたからなのか、それとも普段から口にし慣れているからか、自然とそう呼んでいた。

 少女――天理は、ゆっくりと振り返った。

 浮かぶ月よりもなお赤い瞳が、自分と狐面の男を反射して映し出す。天理のかんばせに、星よりまばゆい笑みが浮かんだ。

 その仕草も。

 浮かべた笑みも。

 普段と、なにひとつ変わらな

 

「――」

 

 腰に差した刀を音もなく抜く。

 不可視の斬撃が自分の首を断つ直前に、刃を滑り込ませて一撃を弾く。ほとんど同時に鳥居が斜めに切断される。

 刹那でも反応が遅れていれば、間違いなく自分の首と胴体は泣き別れになっていただろう。

 笑い声が聞こえる。

 くすくすと天理が嗤っている。

 ――細胞の全てが悲鳴を上げる。肌のひとひらに至るまでが飛び起きる。全身が絶叫する。

 目にするだけで、魂がちぎれ飛ぶようだった。

 人が人を殺すのとも、獣が獣を狩るのとも、妖が人を襲うのとも、世に存在するあらゆる『それ』とはまったく別の異質な殺意。

 常人ならば指先に浸しただけで発狂死しかねないその殺気は、圧倒的な暴威の証明だ。

 長く忍びをやっていても、そう味わえるものではない。

 

「よく見えたね」

「ふっふっふ。あの子のお母さんですからっ」

 

 ――なんて、強がりですけどね。

 反応できたのはほとんど偶然だ。

 初見の技というわけではもちろんなく、むしろ何度も目にしてはいるが、アレはもはや慣れだとかそういうもので対応できる次元ではない。その点で言えば【奥義】よりタチが悪い。

 はたして彼女も本気で斬ったものかどうか。少なくとも、『以前』戦った時より遥かに出力が落ちていることは疑う余地がなかった。

 今の彼女に手加減と言った概念があるのかはなんともだが、台風に目があるように、あるいは嵐も遠ければ被害が減るように、ちょっとした『緩急』は存在する。

 今の斬撃は、嵐そのものではなくせいぜい余波で飛んできた小枝にも等しく、言うなればそもそも攻撃ですらない。故に防げた。

 もし少しでも踏み出せば、次の一撃は確実に生けとし生きる者すべての首を断つだろう。

 わたしたちとて、その例外ではない。

 

「――帰りましょう、天理ちゃん」

 

 だが踏み出す足に、一切の迷いはなかった。

 浮かべた笑みに、ひとひらの偽りもなかった。

 嗤い声。

 斬撃音。

 天理の妖気が膨れ上がる。

 

「……やれやれ」

 

 世界が、

 

「結界を切り替える僕の身にもなってほしいんだけどねぇ」

 

 砕けた。

 

 

 そこには、古くから『お狐様』と呼ばれる神がいた。

 

 と言っても狐の神ではない。もしかしたら何か関連があるのかもしれないが、少なくともわたしが見る限り、アレは狐に似ているだけの全くの別物である。

 神は神でも、その性質は祟り神に近い。

『お狐様』がどこから来たどういう存在なのかすら、実際のところはわからない。

 なんとなくというか経験上だが、アレは多分、そういうことを知ってはいけない類なのだと思う。

 なにより、わたしには関係ないことでもある。

 

 妖魔は殺す。隠忍も殺す。人ならざる者は、すべて殺す。

 それが自分の【使命】だと思っていた。

 善悪の話ではない。

 人と、人を喰うモノが共に同じ天の下で生きられる道理などあるはずがないという、もっと単純な話だ。

 わたしたちは人であり、奴らは怪物である。殺す、殺されるという関係のみがあり、それこそが自然の道理――『天理(・・)』なのだ。

 

 とはいえ隠忍、妖の類は斬れば殺せるのだが、妖魔は別だ。厄介なことに、奴らは殺すという対処がそも成り立たない。

 殺すには、相手が生きている必要がある。

 心や命を持つ隠忍、妖怪と違い、妖魔はそもそも海だとか山に近い。現象と言い換えても良い。生きてもいない者を殺すことは不可能なのだ。

 故に、別の手を考える必要があった。

 

 妖魔に対してもっとも有効な手段のひとつは『封印』である。

 封じる方法はいろいろある。物理的、霊的に人が住む領域に現れることができないようにするだとか、ある一点に繋ぎ止めるだとか、果ては別次元に飛ばすというものさえある。

 だが、『お狐様』ほど強大な妖魔に対して果たしてそれが可能なのか――。

 

 答えはあっさりと示された。わたしの想像を絶する形で。

 提案したのは、斜歯忍軍と呼ばれる忍びの流派だった。

 様々な技術を保有し、またそういったテクノロジー開発のためのデータ収集に対して、斜歯忍軍の貪欲さは人道を外れた域にある。

 倫理よりも、自分たちの好奇心を平気で優先するような集団である。個人的には、人の形をした怪物どもだとすら思う。

 わかっていた。斜歯がそういう連中だと。

 だけど実際に『それ』を聞いて、わたしは言葉を失った。

 

 ――殺せはせずとも、『お狐様』の活動を一時的に抑制することはできる。

 ――その間に、『お狐様』を『器』に封じ込める。

 ――成功すれば、器と『お狐様』は一体の存在となる。仕組み的には生まれ変わりや転生といった概念に近い。その現象自体は特別珍しくもないから、『お狐様』を封じ込めららればここまではほぼ確実に成功する。

 ――そののちに、器を殺す。

 ――そうすれば、中にいる『お狐様』も消滅する。

 

 器には相当の強度と霊的素質が必要不可欠だ。だがその用意は斜歯忍軍の技術をもってすれば難しくはない。『とある隠忍』にも同じように声をかけ、協力してもらう準備を進めている。

 何より鞍馬神流には、人と隠忍の血を計画的に掛け合わせた魔剣士たちの下位流派、分派のようなものが存在している。

 ――名を、魔王流。隠忍を殺すべく、隠忍の血を取り入れた魔剣士の流派。

 かの隠忍の協力を取り付け、魔王流のノウハウを活用し、まったく同じことをすれば、器の確保は問題にならない。試験管の中で器の『製作』を進めれば時間的な部分も解決しうる。

 鞍馬神流にとっても『お狐様』の存在は脅威であるはずだ。なにせ確認できる限りでは千年以上前からその存在が記録されており、ともすれば国すら滅ぼしかねない力を秘めている。

 だが二つの流派が手を組めば、その大妖魔を完全に封じ、殺すことさえできるのだと。

 

 斜歯忍軍の忍びは、無機質な笑みと共に言った。

 

 殺せないのは、生きていないからだ。

 ならば、生まれさせてやれば良い。

 殺すために。

 

 

 どれだけの間戦い続けていたのか、実のところあまりハッキリとはわからない。

 ただ、随分と久しぶりではあった。

『死』を、こうも間近に感じたのは。

 

「――生きてますか?」

「なんとかね」

 

 瓦礫の中から声が聞こえて、そこからひょっこりと男が顔を出す。どうやらまだくたばってはいないらしい。普段なら舌打ちしているところだが、一応たおやかな良妻賢母でご近所さんに通しているので控えておいた。

 

「そっちは無事かい?」

「もちろん」

「左腕がないように見えるが」

「腕なんて飾りだってロボットアニメの人も言ってました!」

「うん、それは多分脚だね。もっと言えばお前はそもそもロボットではないね。そこはもうちょい苦しそうにしろよ、人として」

 

 よっこいしょ、と瓦礫をどかした夫が、服についた埃を払いながら隣までやってくる。むせ返るような血の匂いがした。上手く誤魔化しているつもりだろうが、恐らく体のどこかが大きく欠損している。内臓の半分ほどは抉り取られていると見て良さそうだった。彼の真紅のマフラーに、いくらか血の色が混じっている。

 もっとも、そも人ではない彼にそんな傷がどれほどの意味を持つのかは、わたしにはよくわからない。少なくとも無傷でも余裕があるわけでもないのは確かだろう。

 それはわたしにも言えることだったが、とはいえ『前回』よりは遥かにマシである。なにせ片腕で済んでいる。頭の半分が潰れたりもしていないし、心臓を持っていかれてもいない。骨折くらいは多少あるが、それも全身に及ぶほどではない。

 

 ――いつ左腕を斬られたのか、実のところハッキリとはわからない。

 

『覚えていない』ではなく、『斬撃が速すぎてどのタイミングで斬られたのかわからない』のだ。

 隙を見せたつもりはない。常に最大限の警戒を払っていたはずだし、傷を負うこと自体が久しぶりな程度には身のこなしには自信がある。

 その上でなお、気付いたら斬られていた(・・・・・・・・・・・)としか言いようがない。

 彼女の斬撃は時間や空間といった制約を無視して放たれる。世の理を嘲笑いながら踏みにじるような技であると言い換えても良い。

 間合は、少なくともこの町の隅から隅まで一切逃げ場がない程度。予備動作や後隙、負担、反動といったものもない。威力はわたしたちでもなんの対抗策もなければ三発は絶対に耐えられず、二発食らえば動けなくなり、一発でも運が悪ければ戦闘不能。並の忍びや常人なら即死だ。

 同時に複数、かつ超光速で斬撃が発生するため攻撃対象にできる数も恐らく無制限であり、どうやっても回避不可能なタイミングもある。

 そんな技を音速以上の速度で移動しながら全方位にばら撒き続けるため、並の忍びなら戦うどころか姿を視認する前に死んでいる。なぜ死んだかわかるのなら、その時点で相応に腕が立つ忍者だったと言えるだろう。

 事実、わたしですら斬られてから腕がなくなっていることに気付いたのだ。これが首なら終わっていた。

 もっともさすがにそこまで隙を晒してはいなかったからこそ、こうして今でも戦えている。

 

 なにより、『理不尽』には『理不尽』で対抗するのが忍びの戦いである。

 

 常人を遥かに超えた異能の戦は、最終的には互いが持つ『理不尽』の押し付け合いへとたどり着く。

 無論あの子が脅威でないはずはないが、同じようにわたしたちもまた相応に技を磨き上げている。

 もはやこれは常識の尺度で測れる戦いではとうにないのだ。

 二人がかりということもあり、殴り合い(ダメージレース)の観点ではどうやらこちらが有利と見えた。つまり、このまま普通にやれば普通に勝てるということだ。

 だがその代償か、周囲の景色は随分と様変わりしていた。

 というより、もはや原型を留めていない。

 

「まったく、結界に位相そのものをズラす仕組みを組み込んでいて良かったよ。今この場所、この瞬間は『どこでもないしいつでもない』独立した世界になってる」

 

 更地――という表現が、なんの捻りもないながらにしっくり来る。

 既に神社は跡形もなく消滅していた。山に囲まれている関係で相応の高低差があったはずの町は、もはや地形そのものが変わったことで見る影もない。

 最初の二秒で町の建物はあらかた両断された。十秒も経つ頃には、町を囲む山が消し飛んでいた。一分ほど戦えば、もはや残っているのは余波で表皮が丸ごとめくれ上がった大地だけだった。

 月の影響で赤みがかっていた夜空に至っては見ることもできない。そこにあるのは分厚い雲と稲光だけである。三人の戦闘が時空を歪め、その重力嵐によって天候が安定していないのだ。

 

「どれだけ戦っても現実の町には一切被害は出ないってわけだ」

「いやあ、助かります。さすがに、周りを気にしながら勝てる相手じゃないですからね」

 

 少し離れた場所に立つ『それ』から、わずかも目を逸らすことなく、わたしは笑った。

 

「ね、天理ちゃん」

 

 少女――天理は、肩で息をしながらこちらを静かに見据えた。

 こちらに負けず劣らず、まさしく満身創痍の有様である。全身もはや血に塗れていない部位を探す方が難しいのではないかとすら思える。さすがにあのお洋服は今後使えなさそうだった。天理も気に入っていたのに。

 

「僕からすれば、むしろなんでまだ引っ込まないのか不思議でならないね……」

 

 ――八度は手足を斬り落とし、七度胴体を貫き、五度頭を潰し、四度心臓を破壊した。

 そのすべてが瞬きひとつで再生しているのだから、彼女の耐久力にはまったくもって恐れ入る。

 西洋の吸血鬼のようになにか仕掛けがあって回復している、という類ではない。むしろそれであれば対策が立てられるだけまだマシだ。

 あの子の場合は純粋な生命力――と表現するのも変だが、とにかく存在そのものの強度とも言い換えられる何か――が途方もなく強いという、言ってしまえばただそれだけである。

 故に、真正面から削り切る以外の対処方法がない。

 加えてこれは妖魔特有の現象であるが、負傷や部位の欠損による戦闘力の低下というものが奴らには一切発生しない。

 忍びと言えども四肢を失えば動きに差し支えるが、妖魔の場合はそういうこと自体が起こり得ない。そもそも生命活動を行っていないからなのか、彼らは存在の一欠片でも残っている限りはまったくその暴威が衰えないのだ。

 それは今のあの子も例外ではなく、両腕をもごうが足を斬り飛ばそうが頭を潰そうがまるで動きが鈍らなかった。

 こちらは渾身の一撃を何度も当てなければならないのに対して、あの子の斬撃に一度でも当たれば最悪即死、良くても動きに支障を来すことは避けられない。

 途方もない削り合い。

 だがその戦いも、無限に続くわけではない。

 

「見たところ……君ならあと一撃でやれるか?」

 

 しばし考える。――相応の深手を与えてはいるだろう。残りの耐久力は、恐らく四分の一程度。

 逆を言えば二割と五分は残っている。膨大な力に対してその割合となれば、満身創痍の今ですら万全の達人(中忍)クラスはあると見て良い。

 だから、

 

「やれます」

 

 微笑んで、そう返した。

 その程度(・・・・)であれば、一撃で倒してなお釣りが来る。彼も小さく笑って返答とした。ちょっとだけ呆れが入っていたような気もするけれど。

 

「あの子も奥の手はすべて使い果たしたはずですしね」

 

 以前と比べて弱体化こそしているが、彼女の奥の手は未だ健在だった。

 だがその上で、すべて、破った。

 

「こちらにも正直余裕はないね。向こうと同じく、一発耐えられるか耐えられないか」

「言っときますけど、わたしは避けられませんし耐えられませんよ。大技(奥義)なら破れますけど、向こうもそれはわかってるでしょうしね。普通に斬られたら普通に死にます」

「じゃ、先手を取るしかない」

 

 くつくつと彼は笑うと、ゆっくり構えた。その手に淡い銀の光が宿る。

 

「崩すのは僕に任せたまえ。出し惜しみはなしで行こう」

「――やるんですね? アレを」

「いや初めて見せる技なんだから知らないだろ君。なんか安っぽく聞こえるからやめてくれ。死亡フラグみたいじゃないか」

「ふっふっふ。この技を破った奴はいねえ! ってやつですねっ」

「ホントにやめてくれ」

 

 苦虫を噛み潰したようなその顔が面白くて、けらけらと笑う。

 ――彼女の【奥義】は四つあった。

 わたしたちも、なんの苦労もなくそれらを破ることができたわけではない。

 忍者や妖魔が持つ異能の極致。ひとつ修めたならば道を極めた証となり、二つ修めたならば国を傾け、三つ修めたならば神の域に踏み込むとされるほどの大技を【奥義】と呼ぶ。

 それを四度も防ぐには、こちらも相応の手札を切らなければならなかった。

 即ち、【奥義】に対抗しうるのは【奥義】のみ。

 二人合わせて、同じく四つの【奥義】を見せた。いずれもひとつ会得するにあたり、人の生を丸ごと一度分は費やさねばならぬほどの技である。

 計八つの【奥義】が、その余波だけでこれほどの惨事を引き起こしたとなれば、いかな威力を秘めた技であるかは推して知るべしとなろう。

 だがそれでもなお、互いに命には届かない。

 双方、一度見た【奥義】を二度通すような手ぬるさは持ち合わせていない。本来たったひとつで勝負を決めうる技を八つ放ってなお決着は付かず、かつもはやそれを再度切ることは叶わない。

 

「決着は君に譲ろう。しくじるなよ」

「誰に言ってるんですか」

 

 一度見た【奥義】は二度と通用しない。

 だが【奥義】とは読んで字の如く、各々の異能の最奥に位置する技だ。その術理は複雑を極め、初見で破ることは原則不可能である。

 わたしも、この憎きクソ狐も、そして目の前の愛しい娘も例外ではない。だからこそわたしたちは【奥義】の対抗策として同じく【奥義】を切らねばならなかった。

 男の左手に集った銀の燐光が、弾ける。

 

「本当は、別の奴を殺すためだけに編み出したとっておきだったんだけどねえ」

 

 彼女にもはや【奥義】はない。『前回』と同じく四つもそれを扱えることに驚きこそしたが、弱体化している原因はあれど、強くなっている理由はない以上、追加の【奥義】もないと見て良い。

 ――だから、今から放つ『それ』に、彼女が対応できる道理もない。

 彼が駆け出すのに合わせ、残った片手で刀を大上段に振りかぶる。彼は『崩す』と言った。ならば、必ず隙はできる。わたしがやるべきは、その機に最高の一撃を合わせることだ。

 彼が懐から得物である脇差を取り出す。逆手に構えた刃で、まさしく獣のように斬りかかる。

 鞍馬神流の剣士として腕を磨いてきたわたしから見ても厄介な剣技である。あれだけ妖術に長けてるのに、真正面から戦っても馬鹿みたいに強いのは正直反則だと思う。

 その一撃を、あの子は腕に妖気を纏わせて防御しようとした。防御行動としては単純明快だが、底なしの力を持つ彼女がやればそれだけで鉄壁として作用しうる。

 それを貫けなければ、反撃で即座に死へ至る――。

 

「術の浸透はもう終わっていてね。あとは発動するだけなんだ」

 

 彼が、笑った。

 

「ではひとつ。世界を騙してみるとしよう」

 

 指を鳴らし、

 

 

「――――【不倶戴天】」

 

 

「、」

 

『そこ』は、夜の形をしている――のだと、思う。

 断言できなかったのは、その景色が、わたしの見てきたどの夜よりも暗く、眩かったからだ。

 世界の姿が変わっている。

 空を覆う夜に青みはまるでなく、瞼を閉じたときのような色がどこまでも続いている。底なしの黒が広がる夜を、しかし闇と認識するまで一瞬間が空いた。

 ――白い月。見上げれば、後ろに倒れてしまいそうな。

 満ちた白銀の月が空のほとんどを覆い尽くし、色のない大地に突き刺さった無数の鳥居の残骸を、逆光で黒く照らしている。

 

「『心象世界』というやつさ。幻術で作った僕の世界と言い換えても良いだろう」

 

 妖狐の彼は静かに語った。

 

「この術の仮想敵は恐ろしい剣技の使い手でね。僕に勝ち目があるとすれば、こういう搦手の部分だった」

 

 遅れて、気付く。

 あの子の腕に集まっていた妖気が霧散している。

 彼の脇差がその腕を貫いていた。

 

「この世界を展開している限り、お前の動きはすべて僕の意のままだ。だからこのように、強制的に『逆凪状態にする(動きを止める)』こともできる」

 

 ――わたしと彼。二人合わせて、奥義の総数は六つ(・・)

 できることなら、彼もこの技を見せたくはなかっただろう。

 あの子に、ではない。

 わたしにだ。

 一度明かした奥義は、もう二度と通用しないのだから。

 

「もっとも、心象世界の持続時間は僕をもってしてごく短時間だ。世界そのものを作り替えているに等しいからね。直接的な攻撃力もないから、本来の用途は動きを止めている間に強力な忍法で嵌め殺すこと。……困ったねえ、僕にそんな手札はもうないのだけど」

 

 彼の一撃自体に、あの子を止めるほどの威力はない。

 だけど。

 彼は宣言通り、あの子の動きを崩した。

 小さく、笑う。

 わたしも、この技をあの男に見せたくはなかった。

 彼と同じ理由で。

 

「おやおや。そう言えば、ここにはなんと偶然びっくり『馬鹿みたいな剛腕の忍び』がいるじゃないか」

 

 でも。

 ほんのちょっと。

 ……ちょっとだけ。

 ちょっとだけ、このにっくき旦那様のためにがんばっちゃっても良いかなあ。

 そんなことを、思ったから。

 

「……お父さん」

 

 いやあくまでメインは天理ちゃんのためだけど。

 指先くらいは、あの男のためにがんばっても良いというか。

 この技を見せたことが原因で、いつか彼に何かをされたとしても。

 まあ、後悔はしないかなあ、なんて。

 

「遺言はそれで良いですね?」

「この流れで僕を攻撃したら本当に大したものだよ、君」

 

 今度は、声を上げて笑った。

 

 ――今から放つのは、なにも大層な技ではない。

 ――ただ、刀を、振り下ろす。

 ――気が遠くなるほど振った一撃を、修練と同じように打ち込む。

 ――本当に、ただそれだけ。

 ――だから、本来なら初見では回避できないはずの【奥義】であるにも関わらず。

 ――この技は、やろうと思えばかわせてしまう。

 

「ね、天理ちゃん。あなたのお父さん、意外と良いところあるんですね?」

 

 ――それでも。

 ――たったひとりの食えないクソ狐を殺すためだけに、考えた。

 ――彼ほど生きているわけでも、経験があるわけでもないわたしは、読み合いでは絶対に勝てないと思ったから。

 ――だからあえて、勝ち筋も負け筋も、すべて一閃に乗せようとした。

 ――その一閃で、なにもかもを斬ると決めた。

 ――ただ果てしなく、技の冴えだけを突き詰めた。

 ――通常の【奥義】を置き去りにするまで。

 ――遥か、天の域にまで。

 

「でも正直ネーミングセンスは終わってると思います。なんでよりによってその奥義にそんな名前付けちゃうんですかばか。あほ。ぼけなす」

「は?」

「だってぇーっ!!」

 

 ――いろんなことがありすぎたし、殺し合いをした回数も一度や二度では済まないし。

 ――だから、わかり合うことなんか絶対できないんだろうなって思ってた。

 ――わたしたちの繋がりは、そういうものだろうなあって。

 

「……いみたいじゃないですか……!」

「なんて?」

「だから! お揃いみたいじゃないかって!! 言ったんですーっ!!」

 

 ――故に、この奥義の名は。

 ――奇しくも。本当に奇しくも。

 

「この戦い終わったら名前考え直してください! 恥ずかしいんで!!」

 

 ――彼が付けた名前と。技に込めた呪いと、同じ。

 

「え? おい、ちょっと待てまさか」

「ああもうっ。詳しいお話はあとで! とりあえずいきます!!」

 

 轟く剣気が、蒼炎となって刀を包む。

 その一閃は空を裂き、地を割り、

 天を、

 

 

「――――【不倶戴天】ッ!」

 

 

 斬った。

 

 

 

「 ――⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ 」

 

 

 

 世界の形が戻る。

【不倶戴天】――旦那の方の――の効果時間が終了したのだろうなと、すぐにわかった。

 それ自体は不思議ではない。

 だから、わたしが解せなかったのは。

 

 

「――え?」

 

 

 振り下ろしたはずの刀が、半ばから真っ二つに折れていることだった。

 

 

 

「……あー……」

 

 血が噴き出す。

 男の首から。

 

 

 嗤う。

 既に天理は、

 

 世界の戒めを、脱していた。

 

 

 

「……これは……うん。あれだね」

 

 のんびりと、彼は言った。

 

「しょうがないってやつだねぇ……」

 

 絞り出した声は、わたし自身でもあんまりだと思うくらいに間抜けなものだった。

 

「悪い、お母さん。しくじった。あとは頼む」

 

 ゆっくりと、彼の首から上と胴体とが横にズレていく。

 あまりにもあっけなく、彼だったものが地面に転がった。

 嗤う声。

 

「――ッ!」

 

 半ば機能停止していた脳を、強制的にフル回転させる。

 父親の屍から噴き出す血飛沫に紛れ、三日月のような笑みを浮かべた天理がこちらへ手をかざした。長射程、超高速、超威力の斬撃が無数に飛ぶ。

 折れて半分の長さになった刀を無理やり振るう。だがそんな刀と片腕のみで、嵐のような怒涛の斬撃を防ぎ切るなどできるはずもない。肩、脇腹、太ももの肉が一瞬で削ぎ落とされる。冗談のような勢いで血が噴き出した。視界の上下が逆転する。何度も地面を跳ね飛んでいるのだとわかった。

 ――何故。

 ――あの子は動けなかったはず。

 衝撃で吹き飛んだ体を、膝を地面に擦り付けて止める。それでもなお勢いを殺し切れず、やむなく折れた刀を地に突き刺して楔とする。こすれた刃の断面が火花を散らし、なお数十メートルは引きずってなんとか静止した。

 先に術の効果時間が終わったのか。いや、それはない。先にあの子が拘束から脱出し、奥義に対応したとしか思えない。

 ならば彼が自分で術を解いた?

 それこそありえない。意味のない自殺行為だ。

 あるとすれば、強制的に『術を解除された』くらいしか。

 だが、斬撃も妖術も身動きすらもできない状態でどうやって奥義を突破した?

 あの子が奥義を使った様子はなかった。そもそも先手はこちらが取っていたはずなのに。ならば、やはり破れるはずがない。少なくとも自分であれば、あれだけの妖術を奥義なしで破ることは不可能だ。もしわたしにあの技が向けられていたとして、どう対抗すれば良いのか見当もつかない。そのくらいの術だった。

 刹那の思考。堂々巡りの泥沼に入ったことを自覚すると同時に、その思考を打ち切る。

 打ち切って、

 

 ――彼が、死んだ。

 

 ふと、そんな事実が。

 遅れて、脳裏を過ぎった。

 

「、」

 

 天理が追撃のため踏み込む。すぐ側に彼女が迫る。ゼロ距離で斬撃を放たれれば、次こそ命はない。

 思考に気を取られ動きが鈍ったか。彼の『死』に触れ、天理の動きがさらに冴えを増したのか。はたまたそれ以外の要因か。距離を詰めさせた迂闊に歯噛みする。

 だが、過ぎ去ったことを考え始める時点で死合は負けに近付く。

 考えるな。

 集中しろ。

 今は戦うことだけに意識を向けろ。

 体を起こす。

 天理が嗤った。

 来る。

 斬撃は、

 

 

「 ――おかあさん 」

 

「ぁ、」

 

 なかった。

 代わりに天理が、たった一言と共に微笑んだ。

 

 そのくりくりとした赤い瞳に、だが今なお光はない。

 だからその言葉は、きっとなんの意味も持たないものなのだろう。

 犠牲者の声を真似て人をおびき寄せる妖魔と、理屈はまったく同じだ。

 わかっている。

 知っている。

 様々な妖魔を斃す中でその手は何度も食ってきたし、今までそれで体の動きが鈍ったことなんて一度もない。

 一度も、なかったのに。

 

 時間にすれば、須臾にも等しい一瞬。本来ならば認識不可能なほどの瞬間、わたしの動きが止まった。

 その一瞬は。

 

 文字通り、致命的で、

 

「……そっか」

 

 自分でもちょっとびっくりするくらい、気付けば静かに、そう呟いていた。

 首元を何かが通り抜けていく感覚。体の中の切れてはいけないものが、壊れてはいけない部分が、あっけなく絶たれた音がした。

 先程とは違い、後ろに吹き飛ぶことすらできない。その威力は余すことなく、わたしの体を完全に破壊した。

 全身から力が抜けていく。胸元を生暖かい何かが伝い、だがそれもすぐに感じられなくなる。刀を取り落としたらしいということすら、それが転がった音を聞くまでわからなかった。

 指先から、ゆっくりと、熱が失われていく。

 ――天地を揺るがす大忍法でも、世の理を超越した奥義でもない。

 たった一言の、ありふれた言葉に。

 わたしは。

 

「たしかにこれは、しかたないですね」

 

 静かに、納得が落ちた。彼も、『これ』をされたのだ。

 この一言を前に、わたしが動きを止めてしまったように。

 彼もまた、術を維持できなくなった。

 あるいは天理と出会う前であれば、わたしも彼も間違いなくこんな手には引っかからなかっただろう、なんて。我ながら、ちょっと言い訳がましいだろうか。

 苦笑いすると同時に、天理がぽすっとわたしの体を抱き留めた。

 血塗れた体の向こうに、小さく心臓の音が聞こえる。互いの心音が重なり合うような距離で、わたしの背に天理の手が触れる。すぐ側にいるはずなのに、その感覚すら朧気なのは、わたしの体が機能を停止し始めているからなのか。

 耳元で嗤う声が聞こえた。天使みたいな声をした死神から逃れる術は、ない。

 ――こういう生き方を選んだのだ。むしろわたしも彼も、随分上等な最期だろう。

 壊れた体はもはやわたしの言うことを聞かないけれど、意志を振り絞って、同じように天理を抱きしめ返す。

 もう少しすれば、この子はすべてを忘れてしまうだろう。『そういう仕掛けをした』。

 負けると思ってこの場に来たわけではない。だがいつかこんな日が来るだろうとは思っていたし、もしかしたらそれが今日かもしれないという予感もあった。

 だから、『どう転んでも大丈夫なように下準備をした』のだ。

 

「困ったな。こういう時、なにかかっこいいことを言えたらなあって、思って。いろいろ考えてた、はずなんですけど。全部、飛んじゃいました」

 

 笑おうとして、喉の奥から出たのは、血だけだった。

 

「――悔しい、なあ。もうちょっとだけ、一緒にいたかったなあ」

 

 今更、死ぬのが怖いなんて思わないけれど。

 そんなことを、考えてしまった。

 

「……天理ちゃん。わたしの、わたしたちの、宝物」

 

 意識が薄れていく。

 

「なにがあっても。わたしたちは、ずっとずっと、あなたの味方だから」

 

 視界が暗くなっていく。

 

「――あなたは。どうか、幸せに……生きて、」

 

 ぱしゃり、と湿った音が聞こえた。自分の体がバラバラに刻まれた音だった。

 言いたいことを、最期まで言えたかすらも。

 わたしにはもう、わからなかった。

 

 

 ――世界が、戻る。

 そこは既に神社の境内だった。山の入口に差し掛かるこの場所からは、普段と変わらない町の様子が見下ろせる。

 月は未だ血のように赤く、永遠の夜は明ける気配すらない。

 自らの瞳と同じような色合いの真紅の満月を、少女はひとり、見上げていた。

 どこか遠くから、雨雲とそれに伴う雷雨が近付いてきている。

 先程の戦闘が、現世に影響を及ぼすことはない。だからこれは、単なる自然現象の一環である。やがて大雨になるだろう。

 少女は嗤った。何かを感じる心を持ち得ぬ以上、その笑みにはなんの意味もありはしない。

 それでも。

 忍花天理という少女が常人たちへ向けていた曖昧な笑みとは違う、純粋な笑顔だった。

 あるがままに殺し。

 あるがままに死を振りまく。

 人妖神魔、一切を区別せず。

 何もかもを鏖殺(みなごろ)す。

 

 ――少女の足下に転がる、二人のように。

 

 赤い夜の下、少女の嗤い声だけが響いていた。

 

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